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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】光学式選別機
(51)【国際特許分類】
   B07C 5/342 20060101AFI20240814BHJP
   B65G 11/00 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
B07C5/342
B65G11/00 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019209821
(22)【出願日】2019-11-20
(65)【公開番号】P2021079343
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100158702
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 卓也
(72)【発明者】
【氏名】宮本 知幸
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04848590(US,A)
【文献】国際公開第2013/179758(WO,A1)
【文献】特開2005-270914(JP,A)
【文献】特開平10-174938(JP,A)
【文献】特開平11-090345(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07C 5/342
B65G 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被選別物を流下させるために傾斜配置したシュートと、
前記被選別物を検出位置において検出する光学検出手段と、
前記光学検出手段による検出結果に基づいて前記被選別物を選別除去するエジェクター手段と、
前記エジェクター手段により選別された被選別物を各別に排出する排出ホッパを備えるとともに、
前記光学検出手段は、
前記検出位置を照明する照明手段と、
前記検出位置において前記被選別物を撮像する撮像手段と、を備えた光学式選別機において、
前記シュートには、前記被選別物の流下方向に直交して光学検出用スリットが設けられ、前記光学検出用スリットは前記シュートの幅方向に連続的に開口し、前記光学検出手段は、前記光学検出用スリットが設けられる位置を前記検出位置として、前記シュート上を流下する前記被選別物を前記撮像手段により撮像し、
前記シュートには、前記光学検出用スリットの下流側に前記被選別物の流下方向に直交して選別除去用スリットが設けられ、前記選別除去用スリットは前記シュートの幅方向に連続的又は断続的に開口し、
前記シュートは、その下端が前記排出ホッパの良品排出路内に延出して位置し、前記選別除去用スリットが前記良品排出路の上方に位置するように配置され、
前記エジェクター手段は、前記シュートの下面側にあって、前記エジェクター手段のエジェクターノズルの先端が前記シュートの下面側に当接し、前記エジェクターノズルの複数のノズル孔が前記選別除去用スリットに直接的に連通するように配設し、前記シュート上を流下する被選別物の中で前記撮像手段の撮像信号に基づいて不良品と判別されたものを、前記選別除去用スリットを介して前記シュートの上面側へ噴風し前記排出ホッパの不良品排出路へ選別除去することを特徴とする光学式選別機。
【請求項2】
前記光学検出手段は、前記シュートの上面側及び下面側に一対が設けられ、前記シュート上を流下する前記被選別物を前記シュートの上面側及び下面側から撮像する請求項1記載の光学式選別機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀粒や樹脂ペレット等の粒状物を色彩等に基づいて選別する光学式選別機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、米や小麦等の穀粒、樹脂ペレット、コーヒー豆、その他の粒状物からなる原料を色彩等により良品と不良品に選別したり、原料に混入する異物を色彩等により除去したりする光学式選別機が知られている。(特許文献1,2参照。)。
【0003】
特許文献1,2に記載された光学式選別機は、傾斜状のシュートを備え、前記シュートの下端から一定の軌跡を描いて落下する粒状物に光源から光を照射し、前記粒状物からの反射光や透過光をセンサにより受光して不良品や異物等を検出し、当該検出した不良品や異物等をエジェクターにより吹き飛ばすことで良否選別するものである。
【0004】
ところで、前記光学式選別機において、前記シュートの下端から落下する粒状物の中には、形状や大きさの違い、空中での飛行姿勢の違い等により一定の落下軌跡から外れるものがあり、この場合、不良品や異物等を精度よく検出することができず、選別性能に影響を及ぼす問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平8-252535号公報
【文献】特開2009-50760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、被選別物の不良品や異物等を精度よく検出することができ、選別性能を向上させることができる光学式選別機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、
被選別物を流下させるために傾斜配置したシュートと、
前記被選別物を検出位置において検出する光学検出手段と、
前記光学検出手段による検出結果に基づいて前記被選別物を選別除去するエジェクター手段と、
前記エジェクター手段により選別された被選別物を各別に排出する排出ホッパを備えるとともに、
前記光学検出手段は、
前記検出位置を照明する照明手段と、
前記検出位置において前記被選別物を撮像する撮像手段と、を備えた光学式選別機において、
前記シュートには、前記被選別物の流下方向に直交して光学検出用スリットが設けられ、前記光学検出用スリットは前記シュートの幅方向に連続的に開口し、前記光学検出手段は、前記光学検出用スリットが設けられる位置を前記検出位置として、前記シュート上を流下する前記被選別物を前記撮像手段により撮像し、
前記シュートには、前記光学検出用スリットの下流側に前記被選別物の流下方向に直交して選別除去用スリットが設けられ、前記選別除去用スリットは前記シュートの幅方向に連続的又は断続的に開口し、
前記シュートは、その下端が前記排出ホッパの良品排出路内に延出して位置し、前記選別除去用スリットが前記良品排出路の上方に位置するように配置され、
前記エジェクター手段は、前記シュートの下面側にあって、前記エジェクター手段のエジェクターノズルの先端が前記シュートの下面側に当接し、前記エジェクターノズルの複数のノズル孔が前記選別除去用スリットに直接的に連通するように配設し、前記シュート上を流下する被選別物の中で前記撮像手段の撮像信号に基づいて不良品と判別されたものを、前記選別除去用スリットを介して前記シュートの上面側へ噴風し前記排出ホッパの不良品排出路へ選別除去することを特徴とする。
【0008】
本発明は、
前記光学検出手段が、前記シュートの上面側及び下面側に一対が設けられ、前記シュート上を流下する前記被選別物を前記シュートの上面側及び下面側から撮像することが好ましい。
【0009】
本発明は、
前記シュートには、前記光学検出用スリットの下流側に前記被選別物の流下方向に直交して選別除去用スリットが設けられ、
前記エジェクター手段が、前記シュート上を流下する前記被選別物を、前記選別除去用スリットを介して前記シュートの上面へ選別除去す
【0010】
参考発明は、
前記エジェクター手段が、前記シュートの下面側に設けられ、前記シュート上を流下する前記被選別物を、前記選別除去用スリットを介し前記シュートの下面側へ吸引して除去することが好ましい。
【0011】
参考発明は、
前記エジェクター手段が、前記シュートの上面側に設けられ、前記シュート上を流下する前記被選別物を、前記選別除去用スリットを介して前記シュートの上面側へ吸引し又は前記シュートの下面側へ噴風して除去することが好ましい。
【0012】
本発明は、
記エジェクター手段により選別された被選別物を各別に排出する排出ホッパを備え、
前記シュートは、その下端が前記排出ホッパの良品排出路内に延出して位置し、前記選別除去用スリットが前記良品排出路の上方に位置するように配置され、
前記エジェクター手段が、前記シュート上を流下する前記被選別物の中で前記撮像手段の撮像信号に基づいて不良品と判別されたものを、前記選別除去用スリットを介して前記排出ホッパの不良品排出路へ選別除去す
【0013】
参考発明は、
前記エジェクター手段が、前記シュートの下端から落下する前記被選別物の落下軌跡に対向する位置に設けられ、前記シュートの下端から落下する前記被選別物を、前記落下軌跡から選別除去することが好ましい。
【0014】
参考発明は、
前記エジェクター手段が、前記シュートの下端に隣接する位置に設けられ、前記シュートの下端から落下する前記被選別物を、前記シュートの上面側又は下面側へ選別除去することが好ましい。
【0015】
参考発明は、
前記エジェクター手段が、前記シュートの下面側に設けられ、前記シュートの下端から落下する前記被選別物を、前記シュートの上面側へ噴風し又は前記シュートの下面側へ吸引して除去することが好ましい。
【0016】
参考発明は、
前記エジェクター手段が、前記シュートの上面側に設けられ、前記シュートの下端から落下する前記被選別物を、前記シュートの上面側へ吸引し又は前記シュートの下面側へ噴風して除去することが好ましい。
【0017】
本発明は、
前記撮像手段がラインセンサを内蔵するものであることが好ましい。
【0018】
本発明は、
前記照明手段がLED光源であることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の光学式選別機は、前記シュートには前記被選別物の流下方向に直交して光学検出用スリットが設けられ、前記光学検出手段は、前記光学検出用スリットが設けられる位置を前記検出位置として、前記シュート上を流下する前記被選別物を前記撮像手段により撮像するので、従来の光学式選別機のように、シュートの下端から落下する途中の被選別物を検出する場合と異なり、前記シュート上を常に一定の軌跡で流下する被選別物を検出することができる。
したがって、本発明の光学式選別機によれば、従来の光学式選別機に比べ、被選別物の不良品や異物等を精度よく検出することができるので、選別性能を向上させることができる。
【0020】
本発明の光学式選別機は、前記シュートには、前記光学検出用スリットの下流側に前記被選別物の流下方向に直交して選別除去用スリットが設けられ、前記エジェクター手段が、前記シュート上を流下する前記被選別物を、前記選別除去用スリットを介して前記シュートの上面へ選別除去するので、従来の光学式選別機のように、シュートの下端から落下する途中の被選別物を選別除去する場合と異なり、前記シュート上を常に一定の軌跡で流下する被選別物を選別除去することができる。
したがって、本発明の光学式選別機によれば、従来の光学式選別機に比べ、被選別物の不良品や異物等を精度よく選別除去することができるので、選別性能をさらに向上させることができる。
【0021】
本発明の光学式選別機は、前記シュートは、その下端が前記排出ホッパの良品排出路内に延出して位置し、前記選別除去用スリットが前記良品排出路の上方に位置するように配置され、前記エジェクター手段が、前記シュート上を流下する前記被選別物の中で前記撮像手段の撮像信号に基づいて不良品と判別されたものを、前記選別除去用スリットを介して前記排出ホッパの不良品排出路へ選別除去するので、前記被選別物を前記排出ホッパの前記良品排出路と前記不良品排出路に簡単かつ確実に仕分けして排出することができる。
【0022】
参考発明の光学式選別機は、前記エジェクター手段が、前記シュートの下端から落下する前記被選別物の落下軌跡に対向する位置に設けられ、前記シュートの下端から落下する前記被選別物を、前記落下軌跡から選別除去することとすれば、従来の光学式選別機と異なり、前記エジェクター手段を前記シュートの下端近傍位置に配設することができるため、前記エジェクター手段による選別位置において被選別物の落下軌跡にバラツキが生じにくい。
したがって、参考発明の光学式選別機によれば、従来の光学式選別機に比べ、被選別物の不良品や異物等を精度よく選別除去することができるので、選別性能をさらに向上させることができる。
【0023】
参考発明の光学式選別機は、前記エジェクター手段が、前記シュートの下端に隣接する位置に設けられ、前記シュートの下端から落下する前記被選別物を、前記シュートの上面側又は下面側へ選別除去することとすれば、従来の光学式選別機と異なり、前記エジェクター手段による選別位置において被選別物の落下軌跡にバラツキが生じない。
したがって、参考発明の光学式選別機によれば、従来の光学式選別機に比べ、被選別物の不良品や異物等を精度よく選別除去することができるので、選別性能をさらに向上させることができる。
【0024】
本発明の光学式選別機は、前記撮像手段がラインセンサを内蔵するものであれば、前記光学検出用スリットの幅を小さくすることができる。
【0025】
本発明の光学式選別機は、前記照明手段がLED光源であれば、光が発散しにくいため、前記光学検出用スリットの幅が小さくても前記検出位置における光量を十分に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】光学式選別機の概略側断面図。
図2】実施例1における光学選別部の概略説明図。
図3】実施例1におけるシュートの概略斜視図。
図4】実施例1の光学選別部において、エジェクター装置により不良品を選別除去する例の説明図を示す。
図5】実施例1の光学選別部の変形例であって、エジェクター装置により不良品を選別除去する他の例の説明図を示す。
図6】実施例1の光学選別部の他の変形例の概略説明図。
図7参考例における光学選別部の概略説明図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は光学式選別機の一例であって概略側断面図を示す。
本発明の実施の形態において、光学式選別機1は、原料となる粒状物を供給する粒状物供給部2、傾斜状に配置されて前記粒状物を流下させるシュート3、前記シュート3上を流下する粒状物を検出し、該検出結果に基づいて良品と不良品に選別する光学選別部4、前記光学選別部4で選別された粒状物を良品と不良品に分けて排出する排出ホッパ5を備える。
【0028】
前記粒状物供給部2は、図示しない原料タンクと、前記原料タンクに貯留する粒状物を前記シュート3に供給する振動フィーダ21を備える。
【0029】
前記シュート3は、所定幅を有して前記振動フィーダ21の先端側下方位置に傾斜した状態で配置され、前記振動フィーダ21から供給される粒状物を自然流下させる。
【0030】
前記光学選別部4は、前記シュート3の上面側及び下面側に配設される一対の光学検出装置41a,41b、前記光学検出装置41a,41bの撮像信号に基づいて前記粒状物を良品と不良品に判別する判別装置42、前記判別装置42の判別結果に基づいて前記不良品を除去し前記粒状物を良品と不良品に選別するエジェクター装置43を備える。
【0031】
前記排出ホッパ5は、前記エジェクター装置43により選別された粒状物を良品と不良品に分別して排出する良品排出路51及び不良品排出路52を備える。
【0032】
前記光学式選別機1において、前記粒状物供給部2の原料タンクに貯留される粒状物は、前記振動フィーダ21により前記シュート3に連続して供給され、該シュート3の表面上を幅方向に広がる状態で連続状に自然流下する。
【0033】
前記シュート3上を流下する粒状物は、前記光学選別部4において、一対の前記光学検出装置41a,41bにおける撮像手段により撮像され、前記判別装置42において前記撮像手段の撮像信号における光量や色成分等の信号レベルがしきい値と比較されて良品と不良品のいずれかに判別され、前記判別装置42から送られる除去信号に基づいて前記エジェクター装置43におけるエアの噴射により不良品が除去され、良品と不良品に選別される。
【0034】
そして、前記良品に選別された粒状物は前記排出ホッパ5の良品排出路51、前記不良品に選別された粒状物は前記排出ホッパ5の不良品排出路52からそれぞれ排出される。
【0035】
[実施例1]
図2は実施例1における光学選別部の概略説明図を示す。図3は実施例1におけるシュートの概略斜視図を示す。図4は実施例1の光学選別部において、エジェクター装置により不良品を選別除去する例の説明図を示す。
実施例1における光学選別部4において、前記シュート3には、粒状物の流下方向に直交して前記シュート3の幅方向に連続的に開口する光学検出用スリット31が設けられる。
また、前記シュート3には、前記光学検出用スリット31の下流側に前記粒状物の流下方向に直交して前記シュート3の幅方向に連続的に開口する選別除去用スリット32が設けられる。
前記シュート3は、その下端が前記排出ホッパ5の前記良品排出路51内に延出して位置し、前記選別除去用スリット32が前記良品排出路51よりも上方に位置するように配設される。
【0036】
前記光学選別部4において、前記光学検出装置41a,41bは、前記シュート3上を幅方向に広がる状態で流下する粒状物に対応できるCCD等のラインセンサやエリアセンサを内蔵し、近赤外線(NIR)、可視光又は紫外線等の波長域の光を受光可能とするCCDカメラ等の撮像手段411a,411bと、前記粒状物が流下する前記シュート3上の検出位置Oを照明するLED光源や蛍光灯等の照明手段412a,412bと、前記検出位置Oにおいて前記撮像手段411a,411bにより前記粒状物を撮像する際の背景となるバックグラウンドとを備える。
【0037】
また、前記エジェクター装置43は、前記光学検出装置41a,41bと同様に、前記シュート3上を幅方向に広がる状態で流下する粒状物に対応できるものであって、前記幅方向に形成される複数のノズル孔から選択的にエアを噴射することができるエジェクターノズル431と、前記判別装置から送られる除去信号に基づいて前記エジェクターノズル431からエアを噴射させる図示しないエジェクター駆動装置を備える。
【0038】
前記光学検出装置41a,41bは、前記シュート3上の前記光学検出用スリット31が設けられる位置が前記検出位置Oとなるように配設されており、前記シュート3上を流下する粒状物を、前記検出位置Oにおいて前記シュートの上面側及び下面側から前記照明手段412a,412bにより照明し、前記撮像手段411a,411bにより撮像する。
【0039】
また、前記エジェクター装置43は、前記エジェクターノズル431の先端が前記シュート3の下面側に当接又は近接し、前記エジェクターノズル431の複数のノズル孔が前記選別除去用スリット32に直接又は間接的に連通するように配設されており、前記シュート3上を流下する粒状物の中で不良品と判別されたものを、前記選別除去用スリット32を介して前記シュート3の上面側へエアの噴射により除去する。
【0040】
そして、前記シュート3上を流下する粒状物の中で良品と判別されたものは、前記排出ホッパ5の前記良品排出路51から排出され、不良品と判別されたものは前記排出ホッパ5の前記不良品排出路52から排出される。
【0041】
ここで、前記撮像手段411a,411bは、ラインセンサやエリアセンサを内蔵するものとしたが、ラインセンサを内蔵するものであれば、エリアセンサを内蔵するものと比べ、前記光学検出用スリット31の幅を小さくした場合でも不良品等を精度よく検出することができる。
【0042】
また、前記照明手段412a,412bは、LED光源や蛍光灯等を用いることとしたが、LED光源を用いれば、その特性から光が発散しにくいため、前記検出位置Oにおいて前記シュート3上を流下する粒状物を前記撮像手段411a,411bにより撮像するに際し、前記光学検出用スリット31の幅が小さくても十分な光量を確保することができる。
なお、前記照明手段412a,412bとして蛍光灯を用いる場合でも、集光させることで、LED光源と同等の効果を得ることができる。
【0043】
前記シュート3に設けられる前記光学検出用スリット31の幅は、センサ素子のサイズ、前記センサが受光する光量、前記シュートの傾斜角度、前記シュート上を流下する粒状物の重量や大きさ等を考慮して設定することができ、例えば米粒の場合には1~2mmとすることができる。
【0044】
また、前記シュート3に設けられる前記選別除去用スリット32の幅は、粒状物の不良品を確実に選別除去できる幅に設定することができる。
なお、前記選別除去用スリット32は、前記シュート3の幅方向に連続状に開口することとしたが、前記エジェクターノズル431の複数のノズル孔に対応させて前記シュート3の幅方向に断続的に開口することもできる。
【0045】
前記シュート3には、粒状物の跳ねを防ぐために表面上にカバーを設けることができる。前記シュート3の表面上にカバーを設ければ、豆類等の跳ねやすい粒状物であっても、前記シュート3上を常に一定の軌跡で流下させることができる。
【0046】
なお、図4に示す例では、前記エジェクター装置43は、前記エジェクターノズル431の先端が前記シュート3の下面側に当接又は近接するように配設され、前記シュート3上を流下する不良品を、前記シュート3の上面側へエアの噴射により除去することとしたが、これに代えて、エジェクター装置として吸引装置を用いることで、前記シュート3上を流下する不良品を、前記選別除去用スリット32を介して前記シュート3の下面側へ吸引して除去することもできる。
【0047】
図5は実施例1の光学選別部の変形例であって、エジェクター装置により不良品を選別除去する他の例の説明図を示す。
図4に示す例では、前記エジェクター装置43は、前記エジェクターノズル431が前記シュート3の下面側に配設されるものであったが、図5に示すように、エジェクターノズル431をシュート3の上面側であって前記シュート3上を流下する粒状粒と干渉しない高さ位置に配設することで、前記シュート3上を流下する不良品を、前記選別除去用スリット32を介して前記シュート3の下面側へエアの噴射により除去することもできる。また、エジェクター装置として吸引装置を用いることで、前記シュート3上を流下する不良品を、前記シュート3の上面側へ吸引して除去することもできる。
【0048】
図6は実施例1の光学選別部の他の変形例の概略説明図を示す。
図2に示す例では、前記光学選別部4において、前記シュート3は、その下端が排出ホッパ5の良品排出路51内に延出して位置するように配設されるものであったが、図6に示すように、前記シュート3の下端を前記排出ホッパ5の前記良品排出路51内に延出しないものとすることもできる。
前記光学選別部4において、前記シュート3の下端が前記排出ホッパ5の前記良品排出路51内に延出しない場合でも、良品と判別されたものは前記排出ホッパ5の前記良品排出路51、不良品と判別されたものは前記排出ホッパ5の前記不良品排出路52からそれぞれ排出することができる。
【0049】
本発明の実施の形態において、実施例1における光学式選別機は、前記シュート3には、粒状物の流下方向に直交して前記シュート3の幅方向に連続的に開口する光学検出用スリット31が設けられ、前記光学検出装置41a,41bは、前記光学検出用スリット31が設けられる位置を前記検出位置Oとして、前記シュート3上を流下する前記粒状物を前記撮像手段411a,411bにより撮像するので、従来の光学式選別機のように、シュートの下端から落下する途中の粒状物を検出する場合と異なり、前記シュート3上を常に一定の軌跡で流下する粒状物を検出することができる。
したがって、実施例1における光学式選別機によれば、従来の光学式選別機に比べ、粒状物の不良品を精度よく検出することができるので、選別性能を向上させることができる。
【0050】
本発明の実施の形態において、実施例1における光学式選別機は、前記シュート3には、前記光学検出用スリット31の下流側に前記粒状物の流下方向に直交して前記シュート3の幅方向に連続的又は断続的に開口する選別除去用スリット32が設けられ、前記エジェクター装置43が、前記シュート3上を流下する前記粒状物を、前記選別除去用スリット32を介して前記シュート3の上面側又は下面側へ選別除去するので、従来の光学式選別機のように、シュートの下端から落下する途中の粒状物を選別除去する場合と異なり、前記シュート3上を常に一定の軌跡で流下する粒状物を選別除去することができる。
したがって、実施例1における光学式選別機によれば、従来の光学式選別機に比べ、粒状物の不良品を精度よく選別除去することができるので、選別性能をさらに向上させることができる。
【0051】
また、本発明の実施の形態において、実施例1における光学式選別機は、従来の光学式選別機のように、シュートの下端から落下する途中の粒状物を選別除去する場合と異なり、前記シュート3上を常に一定の軌跡で流下する粒状物を選別除去するので、エジェクターノズル431の位置調整が不要となり作業性が向上する。
【0052】
本発明の実施の形態において、実施例1における光学式選別機は、前記シュート3が、その下端が前記排出ホッパ5の良品排出路51内に延出して位置し、前記選別除去用スリット32が前記良品排出路51の上方に位置するように配置され、前記エジェクター装置43が、前記シュート3上を流下する前記粒状物を、前記選別除去用スリット32を介して不良品排出路52へ選別除去するものであれば、前記粒状物を前記排出ホッパ5の前記良品排出路51と前記不良品排出路52に簡単かつ確実に仕分けして排出することができる。
【0053】
参考例
図7参考例における光学選別部の概略説明図を示す。
参考例における光学選別部4において、前記シュート3には、粒状物の流下方向に直交して前記シュート3の幅方向に連続的に開口する光学検出用スリット31が設けられる点で実施例1における光学選別部と共通するが、前記光学検出用スリット31の下流側に選別除去用スリット32が設けられるものでない点で前記実施例1における光学選別部と相違する。
【0054】
参考例における光学選別部4において、前記エジェクター装置43は、前記エジェクターノズル431の先端が前記シュート3の下面側であって前記シュート3の下端に隣接する位置に配設されており、前記シュート3上を流下する粒状物の中で不良品と判別されたものであって、前記シュート3の下端から正に落下する瞬間の粒状物を前記シュート3の上面側へエアの噴射により除去する。
【0055】
なお、図面からも理解できるように、参考例における光学選別部4において、他の構成は実施例1における光学選別部4と共通するので、ここでの説明は省略する。
【0056】
図7に示す例では、前記エジェクター装置43は、前記エジェクターノズル431の先端が前記シュート3の下面側であって前記シュート3の下端に隣接する位置に配設され、前記シュート3の下端から正に落下する瞬間の不良品を前記シュート3の上面側へエアの噴射により除去することとしたが、これに代えて、エジェクター装置として吸引装置を用いることで、前記シュート3の下端から落下する瞬間の不良品を前記シュート3の下面側へ吸引して除去することもできる。
【0057】
また、前記エジェクター装置43は、前記エジェクターノズル431の先端を、前記シュート3の上面側であって前記シュート3の下端に隣接する位置で、かつ、前記シュート3の下端から落下する粒状物と干渉しない高さ位置に配設することで、前記シュート3の下端から落下する瞬間の不良品を前記シュート3の下面側へエアの噴射により除去することもできる。さらに、エジェクター装置として吸引装置を用いることで、前記シュート3の下端から落下する瞬間の不良品を、前記シュート3の上面側へ吸引して除去することもできる。
【0058】
本発明の実施の形態において、参考例における光学式選別機は、前記エジェクターノズル431の先端が、前記シュート3の下端に隣接する位置に設けられ、前記シュート3の下端から落下する瞬間の粒状物を、前記シュート3の上面側又は下面側へ選別除去するので、従来の光学式選別機と異なり、前記エジェクター装置43による選別位置において粒状物の落下軌跡にバラツキが生じない。
したがって、参考例における光学式選別機によれば、従来の光学式選別機に比べ、粒状物の不良品を精度よく選別除去することができるので、選別性能をさらに向上させることができる。
【0059】
図7に示す例では、前記エジェクター装置43は、前記エジェクターノズル431の先端が前記シュート3の下端に隣接する位置に配設されるものであったが、前記エジェクターノズル431を、前記シュート3の下端に隣接する位置を含め、前記シュート3の下端から落下する粒状物の落下軌跡に対向する位置に配設することで、前記シュート3の下端から落下する不良品をエアの噴射により除去することができる。また、エジェクター装置43として吸引装置を用いることで、前記シュート3の下端から落下する不良品を吸引して除去することもできる。
【0060】
本発明の実施の形態において、参考例における光学式選別機は、前記エジェクターノズル431が、前記シュート3の下端から落下する粒状物の落下軌跡に対向する位置に設けられ、前記シュート3の下端から落下する不良品を、前記落下軌跡から選別除去することとした場合、従来の光学式選別機と異なり、前記エジェクターノズル431を前記シュート3の下端近傍位置に配設することができるため、前記エジェクターノズル431による選別位置において粒状物の落下軌跡にバラツキが生じにくい。
したがって、参考例における光学式選別機によれば、従来の光学式選別機に比べ、粒状物の不良品を精度よく選別除去することができるので、選別性能をさらに向上させることができる。
【0061】
上記本発明の実施の形態において、前記光学選別部4は、不良品を除去することとしたが、良品を除去することで粒状物を良品と不良品に選別することもできる、また、原料に混入する異物を除去することで原料と異物を選別することもできる。
【0062】
上記本発明の実施の形態において、前記エジェクター装置43は、エジェクターノズル431を有し、粒状物をエアの噴射により除去するものを例としたが、粒状物を吸引装置による吸引により除去するものや、粒状物を機械的動作により除去するものとすることもできる。
【0063】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて構成を適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明の光学式選別機は、粒状物の不良品や異物等を精度よく検出することができるので、選別性能を向上させることができる。また、本発明の光学式選別機は、粒状物の不良品や異物等を精度よく選別除去することができるので、選別性能をさらに向上させることができる。
【符号の説明】
【0065】
1 光学式選別機
2 粒状物供給部
21 振動フィーダ
3 シュート
31 光学検出用スリット
32 選別除去用スリット
4 光学選別部
41a,41b 光学検出装置
411a,411b 撮像手段
412a,412b 照明手段
42 判別装置
43 エジェクター装置
431 エジェクターノズル
5 排出ホッパ
51 良品排出路(第1排出部)
52 不良品排出路(第2排出部)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7