(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】ブロー成形ボトル
(51)【国際特許分類】
B65D 1/02 20060101AFI20240814BHJP
【FI】
B65D1/02 230
(21)【出願番号】P 2020021405
(22)【出願日】2020-02-12
【審査請求日】2023-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【氏名又は名称】藤本 信男
(72)【発明者】
【氏名】田所 洋一
(72)【発明者】
【氏名】岡部 高規
(72)【発明者】
【氏名】浅井 隼人
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 大紀
【審査官】森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-509098(JP,A)
【文献】米国特許第04955491(US,A)
【文献】特開2011-031968(JP,A)
【文献】特開2003-054565(JP,A)
【文献】特開2008-150060(JP,A)
【文献】特開2007-230603(JP,A)
【文献】国際公開第2009/128190(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口部と肩部と胴部と底部とを備えたブロー成形ボトル本体と、前記ブロー成形ボトル本体に取り付けられる添付部材とからなるブロー成形ボトルであって、
前記底部には、前記添付部材の少なくとも一部を内包して保持可能な装着部が設けられ、
前記添付部材の上面は、
中央部が最も高く形成されるとともに、前記添付部材の上面の中央部から前記添付部材の側面と接続する箇所
に向かって徐々に下方に傾斜して前記添付部材の側面と接続する山なりな
傾斜面で形成され、
前記傾斜面は、ブロー成形時にブロー成形ボトル本体の口部側から底部側に向かう方向に発生する気流の乱れを抑制する
ように構成されていることを特徴とするブロー成形ボトル。
【請求項2】
前記装着部の前記添付部材側の面である装着面は、前記添付部材の側面の少なくとも一部と密着していることを特徴とする請求項1に記載のブロー成形ボトル。
【請求項3】
前記添付部材の側面は、前記添付部材の中心軸と平行な面、および、下方に向かって前記添付部材の中心軸に近づく面のいずれか、または、両方を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のブロー成形ボトル。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のブロー成形ボトルの成形方法であって、
有底の筒状成形体をブロー用金型内に導入してブロー成形ボトル本体をブロー成形する際に、前記ブロー用金型内の底部形成部に前記添付部材を予め配置することを特徴とするブロー成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口部と肩部と胴部と底部とを備えたブロー成形ボトル本体と、前記ブロー成形ボトル本体に取り付けられる添付部材とからなるブロー成形ボトルに関するものであって、特に、添付部材を底部に装着するブロー成形ボトルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、瓶状のブロー成形ボトルは、プリフォームやパリソンなどと呼ばれる有底の筒状成形体をまず成形し、次工程で筒状成形体の内側から圧力をかけて膨らませ、外側のブロー用金型に押し付けることで成形されているものが公知である。
また、ブロー成形ボトルの底部は、自立性や耐圧性能を確保するために大小様々な形状の凹部を設けているものが多い。
また、ブロー成形ボトルは、凹部からはみ出ない大きさの付属品を取り付けて、ブロー成形ボトルに装飾効果や照明効果などを付与したものも種々考案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、口部と肩部と胴部と底部とを備えた透明または半透明のブロー成形ボトル本体(ボトル本体2)と、口部に着脱自在なキャップ3と、ブロー成形ボトル本体(ボトル本体2)の内部に充填されている飲料4と、ブロー成形ボトル本体(ボトル本体2)の胴部に帯状に巻かれたラベル5と、ブロー成形ボトル本体(ボトル本体2)の底部に取り付けられた発光体6とから構成されたブロー成形ボトル(発光体付き飲料用透明ボトル1)が記載されている。
【0004】
この特許文献1に記載のブロー成形ボトル(発光体付き飲料用透明ボトル1)は、ブロー成形ボトル本体(ボトル本体2)の底部に取付板8で貼り付けられた添付部材(液体容器本体7)内に充填された第1の液体9と、密閉ケース10内の第2の液体11とが、使用時に混合されることで化学的に発光するものである。
これによって、ブロー成形ボトル本体(ボトル本体2)やブロー成形ボトル本体(ボトル本体2)内の飲料4の着色あるいは透過率などを考慮して多様な光輝色を楽しめるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1に記載のブロー成形ボトル(発光体付き飲料用透明ボトル1)には、改善の余地があった。
すなわち、特許文献1に記載のブロー成形ボトル(発光体付き飲料用透明ボトル1)は、添付部材(液体容器本体7)を取付板8によってブロー成形ボトル本体(ボトル本体2)の底部に貼り付けられて位置固定されているため、貼り付け力によっては、振動や落下、粘着剤の劣化等で取付板8が剥がれ、添付部材(液体容器本体7)がブロー成形ボトル本体(ボトル本体2)から不意に外れてしまう虞があった。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するものであり、簡単な構成で、添付部材を不意にブロー成形ボトル本体から外れることなく取り付け可能なブロー成形ボトルを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のブロー成形ボトルは、口部と肩部と胴部と底部とを備えたブロー成形ボトル本体と、前記ブロー成形ボトル本体に取り付けられる添付部材とからなるブロー成形ボトルであって、前記底部には、前記添付部材の少なくとも一部を内包して保持可能な装着部が設けられ、前記添付部材の上面は、中央部が最も高く形成されるとともに、前記添付部材の上面の中央部から前記添付部材の側面と接続する箇所に向かって徐々に下方に傾斜して前記添付部材の側面と接続する山なりな傾斜面で形成され、前記傾斜面は、ブロー成形時にブロー成形ボトル本体の口部側から底部側に向かう方向に発生する気流の乱れを抑制するように構成されていることにより、前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係るブロー成形ボトルによれば、ブロー成形ボトル本体の底部に、添付部材の少なくとも一部を内包して保持可能な装着部を設けているため、装着部のない一般的なブロー成形ボトルに比べて、確実に添付部材を底部に接続することができ、添付部材が不意にブロー成形ボトル本体から外れてしまうことがない。
また、装着部に添付部材を接続可能な部位を有していれば、底部に収容したい物品によって添付部材の大きさや形状を自由に変更することができる。
これによって、例えば、底部に収まらない大きさの物品に対しても、自立可能な形状の添付部材を使用することで、ブロー成形ボトルを自立可能な構成で装着部から脱落させることなく安定的に保持することもできる。
さらに、ブロー成形ボトル本体の成形時に、金型内に添付部材を配置する場合、装着部を成形すると同時に、添付部材を装着部に接続することもできる。
これによって、添付部材を装着部に十分に密着させることもでき、添付部材と装着部の摩擦力によって添付部材の装着部からの不意の離脱を抑制できる。
また、添付部材の上面は、中央部が最も高く形成されるとともに、添付部材の上面の中央部から添付部材の側面と接続する箇所に向かって徐々に下方に傾斜して前記添付部材の側面と接続する山なりな傾斜面で形成され、傾斜面は、ブロー成形時にブロー成形ボトル本体の口部側から底部側に向かう方向に発生する気流の乱れを抑制するように構成されているため、添付部材の上面から側面にかけてのブローエアの気流の乱れを抑制できる。
これによって、ブローエアが有底の筒状成形体を下方側に押し伸ばす力を安定的に供給でき、ブロー成形ボトルの成形時の装着部周辺の賦形性を向上できる。
【0010】
請求項2に記載の構成によれば、装着部の添付部材側の面である装着面は、添付部材の側面の少なくとも一部と密着しているため、大きな衝撃や振動などをブロー成形ボトルが受けても、装着部と添付部材とは互いの相対位置がずれることがなく、不意に添付部材が抜け落ちることをより一層防止できる。
【0011】
請求項3に記載の構成によれば、添付部材の側面は、添付部材の中心軸と平行な面、および、下方に向かって添付部材の中心軸に近づく面のいずれか、または、両方を含むため、例えば、添付部材の側面が下方に向かって添付部材の中心軸に近づく面を有する場合、添付部材の側面に沿って形成された装着部は、添付部材の側面を下方側から支持でき、添付部材が装着部から抜け落ちることを防ぐことができる。
また、添付部材の側面が添付部材の中心軸と平行な面のみで形成されていた場合でも、添付部材の側面と装着部の装着面とが十分に密着していれば、ブロー成形ボトル本体は添付部材と装着部の摩擦によって添付部材が装着部から抜け落ちることを防ぐことができる。
請求項4に記載のブロー成形方法によれば、有底の筒状成形体をブロー用金型内に導入してブロー成形ボトル本体をブロー成形する際に、ブロー用金型内の底部形成部に添付部材を予め配置することで、有底の筒状成形体は添付部材の形状に沿うように変形して装着部を形成できるため、添付部材と装着部との密着度が向上し、添付部材が装着部から抜けにくくなる。
また、添付部材を装着部に取り付ける工程を別工程として用意する必要がなく、生産効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係るブロー成形ボトル100の正面図。
【
図2】本発明の一実施形態に係るブロー成形ボトル本体110の正面図。
【
図3】本発明の一実施形態に係る添付部材120の正面図および下面図。
【
図4】本発明の一実施形態に係るブロー成形ボトル100の成形手順1を示す断面図。
【
図5】本発明の一実施形態に係るブロー成形ボトル100の成形手順2を示す断面図。
【
図6】本発明の一実施形態に係るブロー成形ボトル100の成形手順3を示す断面図。
【
図7】本発明の一実施形態に係るブロー成形ボトル100の底部114を示す断面拡大図。
【
図8】本発明の一実施形態に係る添付部材120の形状例1を示す正面図。
【
図9】本発明の一実施形態に係る添付部材120の形状例2を示す正面図。
【
図10】本発明の一実施形態に係る添付部材120の形状例3を示す正面図。
【
図11】本発明の一実施形態に係る添付部材120の形状例4を示す正面図。
【
図12】本発明の一実施形態に係るブロー成形ボトル100の用途例1を示す説明図。
【
図13】本発明の一実施形態に係るブロー成形ボトル100の用途例2を示す説明図。
【
図14】本発明の一実施形態に係るブロー成形ボトル100の用途例3を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の一実施形態に係るブロー成形ボトル100について、図面に基づいて説明する。
ブロー成形ボトル100は、
図1に示すように、ブロー成形ボトル本体110と、ブロー成形ボトル本体110に取り付けられる添付部材120とから構成されている。
ブロー成形ボトル本体110は、
図2に示すように、後述する有底の筒状成形体であるプリフォームPをブロー成形することで形成され、口部111と、肩部112と、胴部113と、底部114とが設けられている。
なお、本発明の一実施形態に係るブロー成形ボトル100では、口部111の中心を通る軸を中心軸Eとし、ブロー成形ボトル本体110の口部111側を上方、ブロー成形ボトル本体110の底部114側を下方とする。
【0014】
底部114には、添付部材120を取り付け可能な下方に開放した凹部である装着部115が形成され、装着部115の周囲には、装着部115よりも下方に位置し、最下端面に接地面117を有する脚部116が形成されている。
なお、装着部115は、装着部115に添付部材120を取り付けた際、ブロー成形ボトル本体110の中心軸Eと添付部材120の中心軸Fとが一致するように形成されている。
これによって、ブロー成形ボトル本体110を成形する際に周方向均一に延伸されるため、成形し易く、成形したブロー成形ボトル本体110の強度、自立性も向上できる。
なお、ブロー成形ボトル本体110の中心軸Eと添付部材120の中心軸Fとが一致していなくてもよい。
【0015】
添付部材120は、
図3に示すように、上面121と、側面123と、底面125とを有している。
側面123は、上面121に接続する上部側面123aと、上部側面123aよりも下方に形成され底面125に接続する下部側面123bと、上部側面123aと下部側面123bとをつなぐ中間部側面123cからなる。
また、上面121は、下方に向かって添付部材120の中心軸Fから離れる円錐面状の傾斜、すなわち、山なりな傾斜面122を有し、傾斜面122の下端は上部側面123aに接続している。
下部側面123bは、上部側面123aよりも小径の円筒状に形成されている。
底面125には、後述する固定突起T1を挿入可能な位置決め凹部126が形成されている。
【0016】
次に、本発明の一実施形態に係るブロー成形ボトル100の成形方法について、図面に基づいて説明する。
【0017】
まず、
図4および
図5に示すように、底部形成金型K3の固定突起T1を添付部材120の位置決め凹部126に挿入して位置を固定し、熱可塑性樹脂で構成されたプリフォームPとともに第1側面形成金型K1および第2側面形成金型K2で挟み込む。
このとき、プリフォームPは口部111が第1側面形成金型K1および第2側面形成金型K2から露出するように挟み込まれる。
【0018】
なお、ブロー成形ボトル本体110を構成する熱可塑性樹脂としては、ブロー成形が可能な任意の樹脂を使用することができる。
具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、非晶ポリアリレート、ポリ乳酸、ポリエチレンフラノエート又はこれらの共重合体などの熱可塑性ポリエステル、これらの樹脂あるいは他の樹脂とブレンドされたものなどが好適である。
特に、ポリエチレンテレフタレートなどのエチレンテレフタレート系熱可塑性ポリエステルが、好適に使用される。
また、ポリカーボネート、アクリロニトリル樹脂、ポリプロピレン、プロピレン-エチレン共重合体、ポリエチレンなども使用することができる。
【0019】
ここで、プリフォームPは事前に温められて柔らかくなっているため、この状態でプリフォームP内に空気等の流体を送り込んで加圧することで、プリフォームPの口部以外が、第1側面形成金型K1、第2側面形成金型K2、底部形成金型K3の形状に沿って膨らみブロー成形ボトル本体110を形成する。
このとき、添付部材120が底部形成金型K3上に固定されているため、プリフォームPが底部114を形成する際に添付部材120に沿って変形することで、装着部115が形成される。
【0020】
これによって、
図6に示すように、添付部材120が装着部115の装着面に密着した状態でブロー成形ボトル本体110は成形される。
すなわち、ブロー成形ボトル本体110の装着部115に添付部材120を挿入する工程を別工程として設ける必要がなく、ブロー成形ボトル100の製造工程を簡略化でき、製造コストを削減でき、生産効率を向上できる。
また、添付部材120が装着部115の装着面に十分に密着しているため、ブロー成形ボトル100を持ち上げても、添付部材120と装着部115の摩擦力によって添付部材120は装着部115から落下しにくくなる。
【0021】
なお、添付部材120の材質は特に限定されないが、ブロー成形ボトル本体110と同一の材質で構成されている場合、ブロー成形ボトル本体110と添付部材120とを分別して廃棄する手間がかからず、リサイクル性を向上できる。
また、添付部材120の上面121は、外周にテーパ角度Sで形成された山なりな傾斜面122を有しているため、プリフォームPが添付部材120に沿って装着部115を形成する際、傾斜面122によってブローエアの気流の乱れを抑制できる。
これによって、ブローエアがプリフォームPを下方側に押し伸ばす力を安定的に供給でき、装着部115周辺の賦形性を向上できる。
【0022】
また、
図7に示すように、添付部材120の側面123が、添付部材120の中心軸Fと平行な面である上部側面123aと下部側面123bとを有し、上部側面123aと下部側面123bは下方に向かって添付部材120の中心軸Fに近づく面である中間部側面123cにより接続され、装着部115は添付部材120に沿って形成されているため、ブロー成形ボトル100を持ち上げても、添付部材120は中間部側面123cが装着部115に下方側から支持され、輸送時の振動や取扱時の衝撃等で添付部材120が不意に装着部115から抜け落ちることがない。
【0023】
また、装着部115の周囲には、装着部115よりも下方に位置する脚部116が形成されているため、添付部材120の底面125が脚部116の最下端面である接地面117よりも上に位置するように固定されていれば、添付部材120が外観上ブロー成形ボトル本体110からはみ出ることがなく、ブロー成形ボトル100を落下させてしまっても、添付部材120が直接衝撃を受けることを防止でき、添付部材120の破損を防ぐ。
さらに、ブロー成形ボトル本体110の外観を一般的な飲料用ボトル等と同様にすれば、一般的な飲料用ボトル等と同じ商品陳列棚上に陳列することができ、自動販売機に投入することもできる。
また、添付部材120または添付部材120内の内容物を金属等の比重の重いもので構成すれば、ブロー成形ボトル100全体の重心が低くなって倒れにくくなるため、搬送性を向上させることもできる。
【0024】
ここで、添付部材120の形状の違いによる、ブロー成形ボトル本体110、特に装着部115の賦形性への影響についての実験の条件と実験結果について、以下に説明する。
図3に示すように、実験に使用した添付部材120は、傾斜面122の角度Sを変えたプラスチック製のものである。
【0025】
プリフォームPは、十分に乾燥したポリエチレンテレフタレート樹脂をホッパーへ供給し、成形温度としてバレルの設定温度が280度に設定された射出成形機を用いて成形した、27g800ml用プリフォームである。
なお、金型温度は15度に設定し、成形サイクルは30秒とした。
【0026】
ブロー成形ボトル本体110は、上述した条件で成形したプリフォームPをブロー金型にセットし、2軸延伸ブロー成形によって成形した。
なお、プレブロー圧は1.0MPa、メインブロー圧は3.5MPaとした。
このとき、添付部材120は底部形成金型K3に固定した状態で2軸延伸ブロー成形した。
【0027】
以上の条件で成形した実験例1乃至実験例3の角度Sと実験結果をまとめた表を、表1に示す。
【表1】
【0028】
なお、装着部115による添付部材120の保持性の評価方法は、ブロー成形ボトル100の底部114を下方に向けて胴部113を持ち上げた際に、添付部材120の位置がブロー成形ボトル本体110の成形時に装着部115と密着している位置からずれなかったものを○とし、添付部材120の位置がブロー成形ボトル本体110の成形時に装着部115と密着している位置から装着部115の開口側にずれたものを△として評価した。
また、賦形性の評価方法は、ブロー成形ボトル100の装着部115に凹みや膨らみがなかったものを○とし、装着部115の一部に凹みや膨らみが確認できたものを△として評価した。
【0029】
本実験条件におけるブロー成形ボトル100は、傾斜面122が一定のテーパ角度Sを有した添付部材120を使用した方が装着部115の賦形性に有利である。
具体的には、本実験条件における添付部材120のテーパ角度Sは6°以上が好ましい。
ただし、テーパ角度Sが90°に近づくと傾斜面122が徐々に垂直面に近づくため、賦形性に有利な効果が失われていくことを考慮すると、6°~75°が賦形性が良好である。
【0030】
本実験条件におけるブロー成形ボトル100は、いずれも十分な保持性を有している。
これは、本実験条件で使用した添付部材120の側面123が、添付部材120の中心軸Fと平行な面である上部側面123aと下部側面123bとを有し、上部側面123aと下部側面123bが下方に向かって添付部材120の中心軸Fに近づく面である中間部側面123cにより接続されたいわゆるアンダーカット形状のため、添付部材120の側面123に沿って形成された装着部115が、添付部材120の上部側面123aの下方側から添付部材120を支持するように位置していることによるものである。
なお、ブロー成形ボトル本体110の添付部材120に対する十分な保持性を発生させる方法は、上述したアンダーカット形状だけではない。
【0031】
例えば、
図8に示すように、側面123が添付部材120の中心軸Fと平行な均一な面で形成されていても、添付部材120の側面123と装着部115の装着面とが十分に密着していれば、ブロー成形ボトル本体110は添付部材120と装着部115の摩擦によって添付部材120を保持することができる。
また、添付部材120をブロー金型内に配置してブロー成形ボトル本体110を成形した場合、添付部材120に沿って成形されたブロー成形ボトル本体110は、徐々に冷却されるに従って収縮するため、添付部材120を周囲から締め付けるような力が発生する。
これによって、添付部材120と装着部115の摩擦はより一層強くなり、ブロー成形ボトル本体110は添付部材120をさらに確実に保持することができる。
【0032】
これらの効果によって、ブロー成形ボトル本体110は、アンダーカットが形成された添付部材120や側面123が添付部材120の中心軸Fと平行な均一な面で形成された添付部材120だけでなく、添付部材120の側面123が、添付部材120の中心軸Fと平行な面、および、下方に向かって添付部材120の中心軸Fに近づく面のいずれか、または、両方を含む形状であれば、様々な形状の添付部材120を確実に保持することができる。
例えば、
図9に示すような、側面123に側面凹部124aや側面凸部124bのような凹凸形状を有した添付部材120や、
図10に示すような、上部側面123aと下部側面123bとの間にリング状凹部124cが形成された添付部材120をブロー金型内に配置してブロー成形ボトル100を成形すれば、装着部115は添付部材120の側面123の凹凸形状に沿って形成され、凹凸形状の下方側から添付部材120を支持するように位置し、添付部材120を保持することができる。
【0033】
なお、添付部材120の側面123が、下方に向かって添付部材120の中心軸Fから遠ざかる面を有した形状、例えば、
図11に示すような側面123の上部から下部に向かって徐々に径大な円錐台のような形状の添付部材120であっても、ブロー成形ボトル本体110の収縮によって発生する締付け力と摩擦力によっては、添付部材120を保持することができる。
【0034】
以上のように成形したブロー成形ボトル100およびブロー成形ボトル本体110は、装着部115の形状や構成、また、添付部材120内に入れるものなどによって、様々な用途が考えられる。
例えば、添付部材120を透明な素材で構成し、添付部材120内に照明装置を設置することで、ブロー成形ボトル本体110内の液体およびブロー成形ボトル本体110そのものに照明装置からの光を当て、ブロー成形ボトル100を簡易的な照明器具として使用することができる。
また、
図12に示すように、添付部材120の底面125を着脱可能に構成することで、ブロー成形ボトル本体110に添付部材120を接続した後で、添付部材120から着脱可能に構成された底面125側から添付部材120内に飲料の調味液が入ったポーションGや販売促進用のサンプルなどを入れることもできる。
これによって、使用者は任意のタイミングで添付部材120の底面125を外し、添付部材120内のポーションGやサンプルなどを取り出して使用することができる。
【0035】
また、添付部材120の上部側面123aと下部側面123bとを同一の径で連続するように形成し、上部側面123aおよび下部側面123b上に雄ねじ部を形成することで、ブロー成形ボトル本体110のブロー成形時に添付部材120に沿って装着部115を形成する場合、ブロー成形ボトル本体110の装着部115には雌ねじ部が形成されるため、添付部材120をブロー成形ボトル本体110と相対的に回転させることで、添付部材120を取り外すこともできる。
また、添付部材120の底面125を外し、上部側面123aや下部側面123bの内周面に、キャップと係合可能な係合面Mを設けることで、
図13に示すように、固く締まって開けにくくなってしまったボトルBのキャップCをブロー成形ボトル100の係合面Mに挿入して簡単に開栓できるキャップオープナーとして使用することもできる。
【0036】
また、
図14に示すように、添付部材120または添付部材120内の内容物Wが磁石等を含む材質で構成され、搬送用コンベアHのコンベアベルトLが磁性体を含む鉄等の金属材料で構成されている場合、ブロー成形ボトル本体110に取り付けられた添付部材120がコンベアベルトLにつくため、ブロー成形ボトル100が倒れることなく安定した状態でコンベア搬送できる。
さらに、添付部材120または添付部材120内の内容物Wの磁力が十分に強ければ、ブロー成形ボトル本体110の口部111を下方に向けた状態、すなわち、逆さの状態でもブロー成形ボトル本体110を落下させることなくコンベア搬送することもできる。
【0037】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0038】
なお、上述した実施形態では、添付部材は、装着部内にすべて内包されるものとして説明したが、添付部材の構成はこれに限定されず、例えば、添付部材の一部のみが装着部内に内包されるように構成されていてもよく、添付部材が脚部の接地面よりも下方に伸びていてもよい。
また、上述した実施形態では、添付部材の上面は、下方に向かって添付部材の中心軸から離れる円錐面状の傾斜面、すなわち、山なりな傾斜面を有し、傾斜面の下端は上部側面に接続しているものとして説明したが、添付部材の構成はこれに限定されず、例えば、上面全体が傾斜面で構成されていてもよく、上面および傾斜面を半球面状に形成してもよい。
【0039】
また、上述した実施形態では、添付部材は、下部側面が上部側面よりも小径に形成されているものとして説明したが、添付部材の構成はこれに限定されず、例えば、上部側面が下部側面よりも小径に形成されるとともに、上部側面が傾斜面の下端よりも小径に形成されていてもよい。
また、上述した実施形態では、添付部材は、上部側面および下部側面が円筒状に形成されているものとして説明したが、添付部材の構成はこれに限定されず、例えば、上部側面および下部側面が多角形筒状に形成されていてもよく、添付部材全体が角柱状に形成されていてもよい。
【0040】
また、上述した実施形態では、ブロー成形ボトル本体は添付部材が装着部の装着面に密着した状態で成形されるものとして説明したが、ブロー成形ボトル本体の成形方法はこれに限定されず、例えば、底部形成金型に添付部材の形状を模した凸部を設けて、添付部材を金型内に設置することなくブロー成形ボトル本体を成形してもよい。
また、上述した実施形態では、ブロー成形ボトル本体はプリフォーム内に空気等の流体を送り込んで加圧することで形成するものとして説明したが、プリフォーム内を加圧する方法はこれに限定されず、例えば、空気の代わりに窒素ガスを使用してもよく、水や油などの液体を使用してもよい。
【0041】
また、上述した実施形態では、装着部は添付部材の中心軸とブロー成形ボトル本体の中心軸とを一致させているものとして説明したが、装着部の位置関係はこれに限定されず、例えば、装着部に取り付けられた添付部材の中心軸とブロー成形ボトル本体の中心軸とが一致しなくてもよい。
また、上述した実施形態では、添付部材はブロー成形ボトル本体に1つ備えられているものとして説明したが、添付部材の数はこれに限定されず、例えば、装着部がブロー成形ボトル本体の底部に2つ以上設けられていてもよく、一つの装着部に2つ以上の底部が接触するように配置されていてもよい。
【0042】
また、上述した実施形態では、添付部材の底面には、底部形成金型の固定突起を挿入可能な位置決め凹部が形成されているものとして説明したが、添付部材と底部形成金型との接続関係はこれに限定されず、例えば、添付部材に底面から下方に伸びる脚部を形成するとともに脚部に嵌合可能な凹部を底部形成金型に設けてもよく、添付部材の下部側面に沿うような円筒状の壁面を底部形成金型に設けてもよい。
【符号の説明】
【0043】
100、200 ・・・ ブロー成形ボトル
110、210 ・・・ ブロー成形ボトル本体
111 ・・・ 口部
112 ・・・ 肩部
113 ・・・ 胴部
114 ・・・ 底部
115、215 ・・・ 装着部
116 ・・・ 脚部
117 ・・・ 接地面
120 ・・・ 添付部材
121 ・・・ 上面
122 ・・・ 傾斜面
123 ・・・ 側面
123a ・・・ 上部側面
123b ・・・ 下部側面
123c ・・・ 中間部側面
124a ・・・ 側面凹部
124b ・・・ 側面凸部
124c ・・・ リング状凹部
125 ・・・ 底面
126 ・・・ 位置決め凹部
K1 ・・・ 第1側面形成金型
K2 ・・・ 第2側面形成金型
K3 ・・・ 底部形成金型
T1 ・・・ 固定突起
B ・・・ ボトル
C ・・・ キャップ
E ・・・ ブロー成形ボトルの中心軸
F ・・・ 添付部材の中心軸
G ・・・ ポーション
H ・・・ 搬送用コンベア
L ・・・ コンベアベルト
M ・・・ 係合面
P ・・・ プリフォーム
S ・・・ テーパ角度
W ・・・ 内容物