(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】記録装置
(51)【国際特許分類】
B65H 31/00 20060101AFI20240814BHJP
【FI】
B65H31/00 B
(21)【出願番号】P 2020033145
(22)【出願日】2020-02-28
【審査請求日】2023-01-10
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】玉井 聡志
(72)【発明者】
【氏名】小室 新太郎
(72)【発明者】
【氏名】篠▲崎▼ 暢彦
(72)【発明者】
【氏名】野本 伸寿
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0077114(US,A1)
【文献】特開2016-023031(JP,A)
【文献】特開2015-024917(JP,A)
【文献】特開2018-016487(JP,A)
【文献】実開昭57-136949(JP,U)
【文献】特開平03-279161(JP,A)
【文献】米国特許第05251890(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0029387(US,A1)
【文献】特開2015-044665(JP,A)
【文献】実開昭63-077947(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第109573704(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/00-7/20
B65H 11/00-11/02
B65H 31/00-31/40
B65H 43/00-43/08
B41J 11/00-11/70
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に記録を行う記録手段を備える装置本体と、
前記装置本体に収納された収納状態と、前記収納状態よりも前記装置本体から突出する突出状態と、を切り換え可能であり、前記突出状態において排出される媒体を受ける媒体受けトレイと、
前記媒体受けトレイの状態切り換えの動力源と、
前記媒体受けトレイ上の媒体の有無を検出する媒体検出手段と、
前記装置本体に対する人の近接を検知する人感センサーと、
前記媒体検出手段及び前記人感センサーの検出情報をもとに前記動力源を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記媒体受けトレイが前記突出状態にあるとともに前記媒体受けトレイ上に媒体が有る状態で、記録待機状態が予め定められた時間経過した場合、省電力モードに移行し、
前記省電力モードの実行中において前記人感センサーが人の近接を検知すると、前記省電力モードから復帰し、その際に前記媒体受けトレイ上の媒体の有無を判断し、前記媒体受けトレイ上に媒体が無いと判断した場合、前記媒体受けトレイを前記収納状態に切り換える、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載の記録装置において、前記制御手段は、前記省電力モードから復帰した際、前記媒体受けトレイ上の媒体の有無を判断し、前記媒体受けトレイ上に媒体が有ると判断した場合、前記媒体受けトレイ上からの媒体の取り除きを促すアラートを発し、
その後に前記媒体受けトレイ上に媒体が無いと判断した場合、前記媒体受けトレイを前記収納状態に切り換える、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の記録装置において、
前記制御手段は、記録ジョブの進行中にエラーを検出した場合、前記媒体受けトレイ上の媒体の有無を判断し、
前記媒体受けトレイ上に媒体が無いと判断した場合、前記媒体受けトレイを前記収納状態に切り換え、
前記エラーが解消された場合、前記媒体受けトレイを突出状態に切り替え、記録ジョブが再開する、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項4】
請求項3に記載の記録装置において、前記制御手段は、前記媒体受けトレイ上に媒体が有ると判断した場合、前記媒体受けトレイ上からの媒体の取り除きを促すアラートを発し、
その後に前記媒体受けトレイ上に媒体が無いと判断した場合、前記媒体受けトレイを前記収納状態に切り換える、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の記録装置において、前記装置本体は、前記媒体受けトレイの下部に、給送する媒体を収容する媒体収容部を備え、
前記エラーは、前記媒体収容部内の媒体が無くなったことに起因するエラーである、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項6】
請求項3または請求項4に記載の記録装置において、前記装置本体は、装置前方に前記媒体受けトレイを備えるとともに、装置後方に、給送する媒体を載置する給送トレイを備
え、
前記エラーは、前記給送トレイ上の媒体が無くなったことに起因するエラーである、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項7】
請求項3または請求項4に記載の記録装置において、前記エラーは、前記装置本体内での媒体の詰まりに起因するエラーである、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項8】
請求項3または請求項4に記載の記録装置において、前記記録手段は、媒体に対しインクを吐出するインク吐出ヘッドで構成され、
前記エラーは、インク切れに起因するエラーである、
ことを特徴とする記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体に記録を行う記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ファクシミリやプリンター等に代表される記録装置においては、記録が行われて排出されるシート材を受けるトレイを備えるものがある。またこの様なトレイは、動力源によって収納状態と展開状態とを切り換え可能に構成されるものがある。ここで、トレイが展開状態にあるまま放置されると、装置の設置状況によっては、装置から突出しているトレイが人の通行を邪魔したりする虞がある。特許文献1にはこの様な問題に鑑み、トレイ上のシート材の有無を検出する手段を設け、トレイ上のシート材が無くなったと判断すると、トレイを展開状態から収納状態に切り替える技術が開示されている。加えてシート材の排出中、つまりジョブが完了していない状態でトレイ上のシート材が無くなったと判断しても、トレイの展開状態から収納状態への切り替えは行わない旨、記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1記載の技術では、所定の条件でトレイが展開状態から収納状態に切り替えられるが、ユーザーの利便性向上の観点で、更なる改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための、本発明の記録装置は、媒体に記録を行う記録手段を備える装置本体と、前記装置本体に収納された収納状態と、前記収納状態よりも前記装置本体から突出する突出状態と、を切り換え可能であり、前記突出状態において排出される媒体を受ける媒体受けトレイと、前記媒体受けトレイの状態切り換えの動力源と、前記媒体受けトレイ上の媒体の有無を検出する媒体検出手段と、前記媒体検出手段の検出情報をもとに前記動力源を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、記録ジョブの実行中にエラーを検出した場合、前記媒体受けトレイ上の媒体の有無を判断し、前記媒体受けトレイ上に媒体が無いと判断した場合、前記媒体受けトレイを前記収納状態に切り換えることを特徴とする。
また本発明の記録装置は、媒体に記録を行う記録手段を備える装置本体と、前記装置本体に収納された収納状態と、前記収納状態よりも前記装置本体から突出する突出状態と、を切り換え可能であり、前記突出状態において排出される媒体を受ける媒体受けトレイと、前記媒体受けトレイの状態切り換えの動力源と、前記媒体受けトレイ上の媒体の有無を検出する媒体検出手段と、前記装置本体に対する人の近接を検知する人感センサーと、前記媒体検出手段及び前記人感センサーの検出情報をもとに前記動力源を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記媒体受けトレイが前記突出状態にあるとともに前記媒体受けトレイ上に媒体が有る状態で、記録待機状態が予め定められた時間経過した場合、省電力モードに移行し、前記省電力モードの実行中において前記人感センサーが人の近接を検知すると、前記省電力モードから復帰し、その際に前記媒体受けトレイ上の媒体の有無を判断し、前記媒体受けトレイ上に媒体が無いと判断した場合、前記媒体受けトレイを前記収納状態に切り換えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】排紙トレイが収納状態にある場合のプリンターの斜視図。
【
図2】排紙トレイが第2突出状態にある場合のプリンターの斜視図。
【
図3】排紙トレイが収納状態にあり、給送トレイが展開された状態のプリンターの斜視図。
【
図5】排紙トレイの収納状態、第1突出状態、第2突出状態を示す側面図。
【
図6】プリンターの用紙搬送経路及び制御系統を示す図。
【
図7】エラー発生時の排紙トレイの制御を示すフローチャート。
【
図8】省電力モードから復帰した際の排紙トレイの制御を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を概略的に説明する。
第1の態様に係る記録装置は、媒体に記録を行う記録手段を備える装置本体と、前記装置本体に収納された収納状態と、前記収納状態よりも前記装置本体から突出する突出状態と、を切り換え可能であり、前記突出状態において排出される媒体を受ける媒体受けトレイと、前記媒体受けトレイの状態切り換えの動力源と、前記媒体受けトレイ上の媒体の有無を検出する媒体検出手段と、前記媒体検出手段の検出情報をもとに前記動力源を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、記録ジョブの進行中にエラーを検出した場合、前記媒体受けトレイ上の媒体の有無を判断し、前記媒体受けトレイ上に媒体が無いと判断した場合、前記媒体受けトレイを前記収納状態に切り換えることを特徴とする。
【0008】
記録ジョブの進行中にエラーが生じた場合、ユーザーは記録装置に対してエラーに応じた措置を講じることとなり、その際に前記媒体受けトレイが前記突出状態にあると、当該媒体受けトレイがユーザー作業を邪魔する虞がある。
そこで本態様によれば、前記制御手段は、記録ジョブの進行中にエラーを検出した場合、前記媒体受けトレイ上の媒体の有無を判断し、前記媒体受けトレイ上に媒体が無いと判断した場合、前記媒体受けトレイを前記収納状態に切り換えるので、ユーザーが記録装置に対してエラーに応じた措置を講じる際に、前記媒体受けトレイが邪魔になることを回避できる。
尚、前記媒体受けトレイの前記収納状態とは、前記媒体受けトレイが前記装置本体に完全に収納された状態のみを指すものではなく、前記装置本体から前記媒体受けトレイの一部が突出していても、非使用状態であればよい。
【0009】
第2の態様は、第1の態様において、前記制御手段は、前記媒体受けトレイ上に媒体が有ると判断した場合、前記媒体受けトレイ上からの媒体の取り除きを促すアラートを発し、その後に前記媒体受けトレイ上に媒体が無いと判断した場合、前記媒体受けトレイを前記収納状態に切り換えることを特徴とする。
【0010】
本態様によれば、前記媒体受けトレイ上に媒体が有る場合でも、前記媒体受けトレイ上からの媒体の取り除きを促すアラートを発するので、前記媒体受けトレイから媒体が除去されることが期待できる。そしてその後に前記媒体受けトレイ上に媒体が無いと判断した場合、前記媒体受けトレイを前記収納状態に切り換えるので、ユーザーが記録装置に対してエラーに応じた措置を講じる際に、前記媒体受けトレイが邪魔になることを回避できる。
【0011】
第3の態様は、第1のまたは第2の態様において、前記装置本体は、前記媒体受けトレイの下部に、給送する媒体を収容する媒体収容部を備え、前記エラーは、前記媒体収容部内の媒体が無くなったことに起因するエラーであることを特徴とする。
【0012】
本態様によれば、前記エラーは、前記媒体収容部内の媒体が無くなったことに起因するエラーであり、このエラーに対してユーザーは前記媒体収容部を前記装置本体から取り外したり、前記媒体収容部に媒体を継ぎ足したりする措置を講じる。そしてその際に前記媒体収容部の上部に位置する前記媒体受けトレイが前記収納状態に切り換えられているので、前記媒体受けトレイがユーザー作業の邪魔になることを回避できる。
【0013】
第4の態様は、第1のまたは第2の態様において、前記装置本体は、装置前方に前記媒体受けトレイを備えるとともに、装置後方に、給送する媒体を載置する給送トレイを備え、前記エラーは、前記給送トレイ上の媒体が無くなったことに起因するエラーであることを特徴とする。
【0014】
本態様によれば、前記エラーは、前記給送トレイ上の媒体が無くなったことに起因するエラーであり、このエラーに対してユーザーは前記装置本体において後方に位置する前記給送トレイに媒体を継ぎ足す措置を講じる。そしてその際に装置前方に位置する前記媒体受けトレイが前記収納状態に切り換えられているので、装置後方に位置する前記媒体受けトレイがユーザー作業の邪魔になることを回避できる。
【0015】
第5の態様は、第1のまたは第2の態様において、前記エラーは、前記装置本体内での媒体の詰まりに起因するエラーであることを特徴とする。
本態様によれば、前記エラーは、前記装置本体内での媒体の詰まりに起因するエラーであり、このエラーに対してユーザーは前記装置本体内から詰まった媒体を除去する措置を講じる。そしてその際に前記媒体受けトレイが前記収納状態に切り換えられているので、前記媒体受けトレイがユーザー作業の邪魔になることを回避できる。
【0016】
第6の態様は、第1のまたは第2の態様において、前記記録手段は、媒体に対しインクを吐出するインク吐出ヘッドで構成され、前記エラーは、インク切れに起因するエラーであることを特徴とする。
本態様によれば、前記エラーは、インク切れに起因するエラーであり、このエラーに対してユーザーはインクを補充する措置を講じる。そしてその際に前記媒体受けトレイが前記収納状態に切り換えられているので、前記媒体受けトレイがユーザー作業の邪魔になることを回避できる。
【0017】
第7の態様に係る記録装置は、媒体に記録を行う記録手段を備える装置本体と、前記装置本体に収納された収納状態と、前記収納状態よりも前記装置本体から突出する突出状態と、を切り換え可能であり、前記突出状態において排出される媒体を受ける媒体受けトレイと、前記媒体受けトレイの状態切り換えの動力源と、前記媒体受けトレイ上の媒体の有無を検出する媒体検出手段と、前記装置本体に対する人の近接を検知する人感センサーと、前記媒体検出手段及び前記人感センサーの検出情報をもとに前記動力源を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記媒体受けトレイが前記突出状態にあるとともに前記媒体受けトレイ上に媒体が有る状態で、記録待機状態が予め定められた時間経過した場合、省電力モードに移行し、前記省電力モードの実行中において前記人感センサーが人の近接を検知すると、前記省電力モードから復帰し、その際に前記媒体受けトレイ上の媒体の有無を判断し、前記媒体受けトレイ上に媒体が無いと判断した場合、前記媒体受けトレイを前記収納状態に切り換えることを特徴とする。
【0018】
前記媒体受けトレイ上に媒体がある場合は前記媒体受けトレイを前記収納状態に切り換えることができず、そしてその状態で記録装置が省電力モードに移行すると、前記媒体受けトレイから媒体が取り除かれても、前記媒体受けトレイの駆動ができなくなる。しかしながら、前記人感センサーが人の近接を検知すると、前記省電力モードから復帰し、その際に前記媒体受けトレイ上の媒体の有無を判断し、前記媒体受けトレイ上に媒体が無いと判断した場合、前記媒体受けトレイを前記収納状態に切り換えるので、前記媒体受けトレイが人の通行等の邪魔になることを回避できる。
尚、前記媒体受けトレイの前記収納状態とは、前記媒体受けトレイが前記装置本体に完全に収納された状態のみを指すものではなく、前記装置本体から前記媒体受けトレイの一部が突出していても、非使用状態であればよい。
【0019】
第8の態様は、第7の態様において、前記制御手段は、前記省電力モードから復帰した際、前記媒体受けトレイ上の媒体の有無を判断し、前記媒体受けトレイ上に媒体が有ると判断した場合、前記媒体受けトレイ上からの媒体の取り除きを促すアラートを発し、その後に前記媒体受けトレイ上に媒体が無いと判断した場合、前記媒体受けトレイを前記収納状態に切り換えることを特徴とする。
【0020】
本態様によれば、前記媒体受けトレイ上に媒体が有る場合でも、前記媒体受けトレイ上からの媒体の取り除きを促すアラートを発するので、前記媒体受けトレイから媒体が除去されることが期待できる。そしてその後に前記媒体受けトレイ上に媒体が無いと判断した場合、前記媒体受けトレイを前記収納状態に切り換えるので、前記媒体受けトレイが人の通行等の邪魔になることを回避できる。
【0021】
以下、本発明を具体的に説明する。
尚、各図においてX軸に沿った方向は装置幅方向であり、用紙幅方向となる。-X方向は装置前面をユーザーと対面させた際にユーザーから見て右方向となり、+X方向は左方向となる。
またY軸に沿った方向は装置奥行き方向であり、+Y方向は装置背面から前面に向かう方向、-Y方向は装置前面から背面に向かう方向となる。従ってY軸方向における装置本体2の中心位置に対し+Y方向の位置は装置前方の位置となり、Y軸方向における装置本体2の中心位置に対し-Y方向の位置は装置後方の位置となる。
またZ軸に沿った方向は鉛直方向であり、+Z方向は鉛直上方、-Z方向は鉛直下方となる。
本実施形態において装置の周囲を構成する側面のうちチルトパネル5が設けられた側面が装置前面となる。
【0022】
図1~
図3において記録装置の一例であるインクジェットプリンター1は、装置本体2の上部に、画像読取装置の一例であるスキャナー部3を備えて成る。以下、インクジェットプリンターを「プリンター」と略称する。装置本体2の外郭は筐体4で構成されており、符号4aは装置本体2の前面を形成する筐体4の前面である。
装置本体2は、媒体の一例である用紙に記録を行う機能を有し、スキャナー部3は、原稿を読み取る機能を有する。
装置本体2は、用紙搬送経路R(後述)や記録手段の一例である記録ヘッド34(
図6参照)を備えている。また装置本体2は、下部に2つの媒体収容部を備え、より具体的には第1用紙カセット18及び第2用紙カセット19を着脱可能に備えている。
【0023】
また装置本体2は、第1用紙カセット18及び第2用紙カセット19への用紙セットに加え、装置後方から装置前方に向けた用紙セット及び給送も可能に構成されている。符号7は装置後方から用紙をセットする際の用紙セット口8(
図3参照)を開閉するカバーである。カバー7を開くことで、
図3に示す様に用紙セット口8が露呈し、また、給送トレイ6が展開可能となる。給送トレイ6は、展開トレイ6a、6b、6cを備えており、即ち多段式に構成されている。
【0024】
装置本体2は、装置前面に、チルトパネル5を備えている。チルトパネル5は、パネル面が傾斜面となる様にチルト可能に設けられており、各種情報を表示する表示部5aと、各種操作を行う為の操作部5bとを備えている。表示部5aに表示される各種情報には、後述する各種アラートが含まれる。表示部5aは、情報表示のみを行うのみならず、操作入力を受け付けるタッチパネルとして構成しても良い。
【0025】
チルトパネル5の下方には、記録が行われて排出される用紙を受ける媒体受けトレイとしての排紙トレイ22が設けられている。排紙トレイ22は、本実施形態では第1排紙トレイ23と第2排紙トレイ24とを備えて構成されている。排紙トレイ22は、
図1及び
図3に示すように装置本体2の内部に収納された収納状態と、
図2に示す様に収納状態よりも装置本体2から+Y方向に突出する突出状態と、を切り換え可能である。排紙トレイ22の状態切り換えは、後述する動力源の動力によって行われる。
【0026】
排紙トレイ22は、より具体的には
図5に示す様に2つの突出状態を取り得る。
図5の最も上の図は収納状態を示し、この収納状態から、
図5の中央の図に示す第1突出状態に切り換わることができる。第1突出状態では、第2排紙トレイ24は第1排紙トレイ23よりも+Y方向に突出していない。排紙トレイ22は、この第1突出状態から、
図5の最も下の図に示す第2突出状態を取り得る。第2突出状態では、第2排紙トレイ24が、第1排紙トレイ23よりも+Y方向に突出する。
排紙トレイ22が第2突出状態にあるとき、第1突出状態にあるときよりも、大きいサイズの用紙を受けることができる。
【0027】
尚、上記の例では、排紙トレイ22が収納状態から第1突出状態に切り換わる際、第2排紙トレイ24が第1排紙トレイ23との位置関係を維持したまま第1排紙トレイ23が突出するが、第1排紙トレイ23が装置本体2内に収納されたまま第2排紙トレイ24のみが突出することで第1突出状態になっても良い。また、第1排紙トレイ23と第2排紙トレイ24の双方がある程度突出することで第1突出状態になっても良い。
また本実施形態では、排紙トレイ22は第1排紙トレイ23と第2排紙トレイ24の2つの部材で構成されているが、3つ以上の部材で構成されていても良く、或いは逆に1つの部材のみで構成されていても良い。
【0028】
排紙トレイ22は、装置本体2に対して着脱可能に構成されている。
図4において符号25はフックであり、装置本体2に設けられた不図示の係合部に対しフック25が係合することで、排紙トレイ22が装置本体2に対しロックされる。フック25は、操作つまみ26を操作することでX-Z平面内で回転可能に設けられており、操作つまみ26を操作して回転させることで上記係合部に対するフック26の係合が解除でき、即ち排紙トレイ22の装置本体2に対するロックが解除される。
【0029】
続いて
図1~
図3に示す様に、装置本体2の前面において左側には、インク収容部15が設けられている。
インク収容部15の内部にはインクを収容するインク収容容器(不図示)が設けられており、このインク収容容器から、不図示のインクチューブを介して記録ヘッド34(
図6参照)へとインクが供給される。
インク収容部15の上部には開閉可能なカバー16が設けられており、カバー16を開くことで、インクの補充作業が行える様に構成されている。
【0030】
続いて
図6を参照しつつプリンター1における制御系統と用紙搬送経路について説明する。尚、
図6では便宜上、第2用紙カセット19の図示は省略している。
先ず、用紙搬送経路について概説する。符号Rで示す破線は用紙搬送経路を示しており、符号Pは第1用紙カセット18に収容された用紙を示している。用紙Pは給送ローラー30から送り力を受けて、反転ローラー31によって更に給送され、搬送ローラー対32に到達する。また給送トレイ6に載置された用紙は、給送ローラー36から送り力を受けて下流に進み、反転ローラー31によって更に給送され、搬送ローラー対32に到達する。
【0031】
搬送ローラー対32の下流にはインク吐出ヘッドとしての記録ヘッド34が設けられている。記録ヘッド34はキャリッジ33に搭載され、キャリッジ33はX軸方向に往復動する。
記録ヘッド34の下流には排出ローラー対35が設けられ、記録の行われた用紙は排出ローラー対35から送り力を受けて排紙トレイ22へと排出される。
【0032】
次に、制御系統について説明する。制御手段としての制御部50は、用紙の給送、搬送、記録、及び排出を含め、プリンター1の各種制御を行う。尚、制御部50の制御には、スキャナー部3の制御も含まれるが、
図6ではスキャナー部3の構成は図示を省略している。
制御部50には操作部5bからの信号が入力され、また、表示部5aの表示、特にユーザーインターフェース(UI)を実現する為の信号が制御部50から表示部5aに送信される。
【0033】
制御部50は、キャリッジモーター55、給送モーター56、搬送モーター57、及びトレイ駆動モーター58のこれらモーターを制御する。本実施形態では各モーターはDCモーターである。給送モーター56は、給送ローラー30、36及び反転ローラー31の駆動源であり、搬送モーター57は搬送ローラー対32及び排出ローラー対35の駆動源である。トレイ駆動モーター58は、排紙トレイ22の状態切り換えの動力源であり、ラックピニオン機構27を介して排紙トレイ22を駆動し、これにより排紙トレイ22がY軸方向に沿って展開及び縮小し、
図5を参照しつつ説明した各状態を切り換える。
【0034】
制御部50には、各種センサーからの検出信号も入力される。各種センサーには、用紙の通過を検出する為の用紙検出センサー63が含まれる。制御部50は、用紙検出センサー63の出力信号をもとに、用紙先端及び後端の通過を検出できる。また制御部50は、給送ローラー30、給送ローラー36、反転ローラー31などの用紙給送手段を所定量駆動しても用紙検出センサー63の出力信号に変化が無い場合、用紙切れであると判断できる。また、用紙先端が用紙検出センサー63に到達した後、搬送ローラー対32を所定量駆動しても用紙検出センサー63の出力信号に変化が無い場合、紙詰まりであると判断できる。
また各種センサーには、用紙検出部60が含まれる。用紙検出部60は、排紙トレイ22に設けられており、制御部50は用紙検出部60の検出信号に基づき、排紙トレイ22上に用紙が有るか無いかを判断できる。
また、各種センサーには、インク残量センサー62が含まれる。制御部50はインク残量センサー62の検出信号に基づき、インク切れ、即ちインク収容部15(
図1~
図3参照)のインク残量が記録を実行できない程度まで減ったことを検知できる。
【0035】
用紙検出部60は、本実施形態では
図4に示す様に第1排紙トレイ23の上流に設けられている。また用紙検出部60のX軸方向における位置は、第1排紙トレイ23の中心位置である。用紙検出部60はこの様な配置により、使用が想定される複数のサイズの用紙のうち、最小サイズの用紙であっても検出することができる。
用紙検出部60は、検出レバー60aを備えている。検出レバー60aは不図示の回転軸を中心にY-Z平面で回転可能であり、第1排紙トレイ23に形成された開口部23aから上方に突出している。排紙トレイ22に用紙が排出されると、用紙の重さによって検出レバー60aが下方に変位し、これにより用紙検出部60の検出信号が変化する。
但し、用紙検出部60はこの様な接触式のセンサーに限られず、光学式センサーなどの非接触式のセンサーであっても良い。
【0036】
チルトパネル5には、人感センサー61が設けられている(
図5参照)。人感センサー61は、本実施形態では赤外線センサーであり、人が通った際の赤外線量の変化を感知し、これにより制御部50は、プリンター1に対する人の近接を検知することができる。尚、人感センサー61は赤外線センサーに限らず、人の動きを映像の解析により検知するモーションセンサーなどの、他の方式を採用しても良い。
【0037】
次に制御部50は、CPU51、フラッシュROM52、及びRAM53を備えている。CPU51はフラッシュROM52に格納されたプログラムに従って各種演算処理を行い、プリンター1全体の動作を制御する。フラッシュROMに格納されるプログラムには、後に
図7を参照して説明する制御フローを実現する制御プログラムや、
図8を参照して説明する制御フローを実現する制御プログラムが含まれる。
記憶手段の一例であるフラッシュROM52は読み出し及び書き込みが可能な不揮発性メモリである。また操作部5bを介してユーザーが入力した各種設定情報も、フラッシュROM52に記憶される。記憶手段の一例であるRAM53には、一時的に各種情報が格納される。
また制御部50はインターフェース54を備えており、このインターフェース54を介して外部コンピューター90との通信が可能となっている。
【0038】
次に、
図7及び
図8を参照して制御部50が行う排紙トレイ22の制御について説明する。先ず、
図7を参照してエラー発生時の排紙トレイ22の制御について説明する。
制御部50は、記録ジョブが開始されると(ステップS101においてYes)、排紙トレイ22を進出させる、具体的には収納状態(
図5の最も上の図)から第1突出状態(
図5の中央の図)或いは第2突出状態(
図5の最も下の図)へと切り換える(ステップS102)。第1突出状態と第2突出状態のいずれを選択するかは、ドライバ情報に含まれる用紙サイズ情報に基づき決定される。
尚、記録ジョブとはユーザーによって指示された1回の記録実行指示により実行される一連の記録動作を意味し、1枚の用紙への記録実行で記録ジョブが終了する場合もあれば、複数枚の用紙への記録実行で記録ジョブが終了する場合もある。
【0039】
次いで制御部50は、記録ジョブが終了するまで、エラーが発生するか否かを判断する(ステップS103、ステップS104)。ここでのエラーとは、一例として、用紙切れ、インク切れ、紙ジャム、のいずれかである。
エラーが生じた場合(ステップS104においてYes)、記録動作を中断し(ステップS105)、第1アラートを発する(ステップS106)。ここでの第1アラートは、エラー内容を表示部5aに表示するものであり、例えばエラー内容が用紙切れの場合には「用紙が正しくセットされていません。」などの警告メッセージとともに必要に応じて対処法を表示部5aに表示する。また、エラー内容がインク切れの場合には「インク残量が限界値を下回りました。」などの警告メッセージとともに必要に応じて対処法を表示部5aに表示する。また、エラー内容が紙ジャムの場合には「用紙が詰まりました。」などの警告メッセージとともに必要に応じて対処法を表示部5aに表示する。
【0040】
次いで制御部50は、ステップS107以降の処理と、ステップS114の処理を、並列に行う。先ず、ステップS107以降の処理について説明する。
制御部50は、用紙検出部60の検出情報に基づき、排紙トレイ22上に用紙が有るかを判断する(ステップS107)。その結果排紙トレイ22上に用紙が無い場合には(ステップS107においてNo)、排紙トレイ22を収納状態に切り換える(ステップS110)。
【0041】
一方、排紙トレイ22上に用紙が有る場合には(ステップS107においてYes)、第2アラートを発する(ステップS108)。ここでの第2アラートは、排紙トレイ22からの印刷物の取り除きを促すものであり、例えば「排紙トレイから印刷物を取り出してください。」などの警告メッセージを表示部5aに表示する。尚、この第2アラートと、上述した第1アラートを同一画面に表示するのが好適である。
その結果、排紙トレイ22から用紙が取り除かれたと判断できる場合には(ステップS109においてNo)、排紙トレイ22を収納状態に切り換える(ステップS110)。
【0042】
その後、第1アラートで警告したエラーが解消された場合(ステップS111においてYes)、排紙トレイ22を収納状態から進出させてもとの状態、つまり第1突出状態或いは第2突出状態に切り換え(ステップS112)、記録動作を再開する(ステップS113)。尚、第1アラートで警告したエラーは、エラー内容が用紙切れの場合にはユーザーによって用紙の補充がされ、且つ、操作部5bにより「OK」が押下されることにより解消する。或いは第1アラートで警告したエラーは、エラー内容がインク切れの場合にはユーザーによってインクの補充がされ、且つ、操作部5bにより「OK」が押下されることにより解消する。或いは第1アラートで警告したエラーは、エラー内容が紙詰まりの場合にはユーザーによって詰まった用紙が取り除かれ、且つ、操作部5bにより「OK」が押下されることにより解消する。
【0043】
尚、ユーザーによっては、第2アラート(ステップS108)に拘わらず、つまり排紙トレイ22上に印刷物が載置されたままで、第1アラートで警告した内容のエラーを解消させる措置を講じる場合がある。その様にしてエラーが解消された場合には(ステップS114においてYes)、記録動作を再開する(ステップS113)。
【0044】
次いで、
図8を参照して省電力モードから復帰した際の排紙トレイ22の制御について説明する。先ず、
図8での図示は省略するが、制御部50は記録ジョブが終了すると、表示部5aに「排紙トレイから印刷物を取り出してください。」などの、排紙トレイ22からの印刷物の取り除きを促すメッセージを表示させる。その結果排紙トレイ22から印刷物が取り除かれると、排紙トレイ22を収納状態に切り換える。
【0045】
しかし、ユーザーによっては排紙トレイ22から印刷物を取り除かず、そのまま放置する場合がある。そして制御部50は、記録動作を行わない待機状態が所定時間経過すると、電力消費を抑える省電力モードに移行する。省電力モードでは、各モーターへの電力供給は行われず、また、表示部5aは消灯する。
【0046】
図8は、排紙トレイ22に用紙が載置されたまま省電力モードに移行する場合の制御を示すものであり、制御部50は、排紙トレイ22に用紙が載置されたまま待機状態が所定時間経過すると(ステップS201においてYes)、省電力モードに移行する(ステップS202)。尚、もちろん排紙トレイ22に用紙が無い状態でも、所定時間経過すると省電力モードに移行する。
ここで排紙トレイ22に用紙が載置された状態で省電力モードに移行するまでの時間T1と、排紙トレイ22に用紙が無い状態で省電力モードに移行するまでの時間T2は、同じにすることもできるし、或いは時間T1を時間T2より長くすることもできる。時間T1を時間T2より長くすれば、より確実に、ユーザーが排紙トレイ22から用紙を取り除くことが期待できる。時間T1、時間T2のカウント開始タイミングは、例えば記録ジョブの終了時点とすることができ、より具体的には全てのモーターの駆動停止タイミングとすることができる。
【0047】
そして本実施形態では、省電力モードの状態においても人感センサー61への電力供給は行われており、制御部50は省電力モードの状態で人感センサー61によりプリンター1への人の接近を検知すると(ステップS203)、省電力モードを解除する(ステップS204)。次いで、排紙トレイ22に用紙が有るか否かを判断し(ステップS205)、用紙が無い場合には(ステップS205においてNo)、排紙トレイ22を収納状態に切り換える(ステップS208)。
【0048】
一方、排紙トレイ22に用紙が有る場合には(ステップS205においてYes)、アラートを発する(ステップS205)。ここでのアラートは、排紙トレイ22からの印刷物の取り除きを促すものであり、例えば「排紙トレイから印刷物を取り出してください。」などの警告メッセージを表示部5aに表示する。
その結果、排紙トレイ22から用紙が取り除かれたと判断できる場合には(ステップS207においてNo)、排紙トレイ22を収納状態に切り換える(ステップS208)。
【0049】
以上説明した様に、排紙トレイ22上の用紙の有無を検出する媒体検出手段である用紙検出部60の検出情報をもとにトレイ駆動モーター58を制御する制御部50は、記録ジョブの進行中にエラーを検出した場合、排紙トレイ22上の用紙の有無を判断し、用紙が無いと判断した場合、排紙トレイ22を収納状態に切り換える(
図7においてステップS110)。
即ち、記録ジョブの進行中にエラーが生じた場合、ユーザーはプリンター1に対してエラーに応じた措置を講じることとなり、その際に排紙トレイ22が第1突出状態或いは第2突出状態にあると、排紙トレイ22がユーザー作業を邪魔する虞がある。しかしながら上記の様に排紙トレイ22が収納状態に切り換えられるので、ユーザーがプリンター1に対してエラーに応じた措置を講じる際に、排紙トレイ22が邪魔になることを回避できる。
【0050】
また制御部50は、排紙トレイ22上に用紙が有ると判断した場合、排紙トレイ22上からの用紙の取り除きを促すアラートを発し(
図7のステップS108)、その後に排紙トレイ22上に用紙が無いと判断した場合、排紙トレイ22を収納状態に切り換える(
図7においてステップS110)。
即ち、排紙トレイ22上に用紙が有る場合、排紙トレイ22上からの用紙の取り除きを促すアラートを発するので、排紙トレイ22から用紙が除去されることが期待できる。そしてその後に排紙トレイ22上に用紙が無いと判断した場合、排紙トレイ22を収納状態に切り換えるので、ユーザーがプリンター1に対してエラーに応じた措置を講じる際に、排紙トレイ22が邪魔になることを回避できる。
【0051】
また装置本体2は、排紙トレイ22の下部に、給送する用紙を収容する用紙収容部としての第1用紙カセット18及び第2用紙カセット19を備え、エラー(
図7のステップS104)には、各カセット内の用紙が無くなったことに起因する用紙切れエラーが含まれる。
即ち、用紙切れが生じた場合ユーザーは第1用紙カセット18或いは第2用紙カセット19を装置本体2から取り外したり、第1用紙カセット18或いは第2用紙カセット19を装着したまま、用紙を継ぎ足したりする措置を講じる。そしてその際に各カセットの上部に位置する排紙トレイ22が収納状態に切り換えられているので、排紙トレイ22がユーザー作業の邪魔になることを回避できる。
【0052】
また装置本体2は、装置前方に排紙トレイ22を備えるとともに、装置後方に、給送する用紙を載置する給送トレイ6を備え、エラー(
図7のステップS104)には、給送トレイ6上の用紙が無くなったことに起因する用紙切れエラーが含まれる。
即ち、給送トレイ6上の用紙が無くなった場合、ユーザーは装置本体2の後方に位置する給送トレイに用紙を継ぎ足す措置を講じる。そしてその際に装置本体2の前方に位置する排紙トレイ22が収納状態に切り換えられているので、排紙トレイ22がユーザー作業の邪魔になることを回避できる。
【0053】
また、エラー(
図7のステップS104)には、装置本体2内での用紙の詰まりに起因する紙詰まりエラーが含まれる。
即ち、このエラーに対してユーザーは装置本体2内から詰まった用紙を除去する措置を講じるが、その際に排紙トレイ22が収納状態に切り換えられているので、排紙トレイ22がユーザー作業の邪魔になることを回避できる。
【0054】
また、エラー(
図7のステップS104)には、インク切れに起因するエラーが含まれる。
即ち、このエラーに対してユーザーはインクを補充する措置を講じるが、その際に排紙トレイ22が収納状態に切り換えられているので、排紙トレイ22がユーザー作業の邪魔になることを回避できる。
【0055】
また制御部50は、
図8を参照して説明した様に、排紙トレイ22が突出状態にあるとともに排紙トレイ22上に用紙が有る状態で、記録待機状態が予め定められた時間経過した場合、省電力モードに移行する。そして省電力モードの実行中において人感センサー61が人の近接を検知すると、省電力モードから復帰し、その際に排紙トレイ22上の用紙の有無を判断し、排紙トレイ22上に用紙が無いと判断した場合、排紙トレイ22を収納状態に切り換える(
図8のステップS208)。
【0056】
即ち、排紙トレイ22上に用紙がある場合は排紙トレイ22を収納状態に切り換えることができず、そしてその状態でプリンター1が省電力モードに移行すると、排紙トレイ22から用紙が取り除かれても、排紙トレイ22の駆動ができなくなる。しかしながら、人感センサー61が人の近接を検知すると、省電力モードから復帰し、その際に排紙トレイ22上の用紙の有無を判断し、排紙トレイ22上に用紙が無いと判断した場合、排紙トレイ22を収納状態に切り換えるので、排紙トレイ22が人の通行等の邪魔になることを回避できる。
【0057】
また制御部50は、省電力モードから復帰した際、排紙トレイ22上の用紙の有無を判断し、排紙トレイ22上に用紙が有ると判断した場合、排紙トレイ22上からの用紙の取り除きを促すアラートを発し(
図8のステップS206)、その後に排紙トレイ22上に用紙が無いと判断した場合、排紙トレイ22を収納状態に切り換える(
図8のステップS208)。
これにより、排紙トレイ22から用紙が除去されることが期待でき、そしてその後に排紙トレイ22上に用紙が無いと判断した場合、排紙トレイ22を収納状態に切り換えるので、排紙トレイ22が人の通行等の邪魔になることを回避できる。
【0058】
本発明は上記において説明した実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0059】
1…インクジェットプリンター、2…装置本体、3…スキャナー部、4…筐体、4a…前面、5…チルトパネル、5a…表示部、5b…操作部、6…給送トレイ、7…カバー、8…用紙セット口、15…インク収容部、16…カバー、18…第1用紙カセット、19…第2用紙カセット、22…排紙トレイ、23…第1排紙トレイ、24…第2排紙トレイ、25…フック、26…操作部、27…ラックピニオン機構、30…給送ローラー、31…反転ローラー、32…搬送ローラー対、33…キャリッジ、34…記録ヘッド、35…排出ローラー対、36…給送ローラー、50…制御部、51…CPU、52…フラッシュROM、53…RAM、54…インターフェース、55…キャリッジモーター、56…給送モーター、57…搬送モーター、58…トレイ駆動モーター、60…用紙検出部、60a…検出レバー、61…人感センサー、62…インク残量センサー、63…用紙検出センサー