(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 7/12 20060101AFI20240814BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240814BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240814BHJP
G01B 17/02 20060101ALI20240814BHJP
G01N 29/11 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
B65H7/12
G03G21/00 370
G03G15/00 481
G01B17/02 Z
G01N29/11
(21)【出願番号】P 2020054338
(22)【出願日】2020-03-25
【審査請求日】2023-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100141298
【氏名又は名称】今村 文典
(74)【代理人】
【識別番号】100187492
【氏名又は名称】新保 元啓
(74)【代理人】
【識別番号】100181869
【氏名又は名称】大久保 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】青野 信也
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-039591(JP,A)
【文献】特開2019-123603(JP,A)
【文献】特開2013-063843(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2001/0042030(US,A1)
【文献】中国特許第108058494(CN,B)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/12
G03G 21/00
G03G 15/00
G01B 17/02
G01N 29/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートの重送を検知するための重送検知部と、
前記重送検知部の出力に基づいて重送の発生を判定する制御部と
、
記憶部と、
前記シートの種別を示す情報を入力する入力部と
を備え、
前記重送検知部は、
前記シートに向けて超音波を発信する発信部と、
前記シートを介して前記超音波を受信して、受信した前記超音波に基づく信号を生成する受信部と
を含み、
前記発信部は、
前記超音波を発信する発信素子と、
前記発信素子に電圧を印加して前記発信素子に前記超音波を発信させる駆動部と
を有し、
前記制御部は、
前記シートの単位面積あたりの重量に関連する関連情報に基づいて、前記駆動部から前記発信素子に印加される電圧である印加電圧を調整
し、
前記関連情報は、前記シートの種別を示す情報を含み、
前記シートの種別を示す情報は、前記シートのメーカー名、製品名、品番の少なくとも1つを含む製品情報を含み、
前記記憶部は、前記製品情報、前記シートの紙種および前記シートのサイズに対応付けて、前記シートの単位面積あたりの重量を記憶し、
前記制御部は、前記入力部によって指定された前記製品情報に対応付けられた前記シートの単位面積あたりの重量に基づいて、前記印加電圧を調整する、画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記受信部において生成される前記信号の信号レベルが所定の範囲内のレベルとなるように前記印加電圧を調整する、請求項
1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナー等の原稿読取装置の原稿搬送経路や、用紙に画像を形成する画像形成装置の用紙搬送経路には、2枚以上のシートが重なって搬送される「重送」を検知するための重送検知装置が配置されている。重送検知装置は、シートを透過するように照射した超音波の減衰を検出して、重送の有無を判断する(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、超音波の減衰量は、シートの厚みに応じて変化する。具体的には、シートが厚い程、超音波の減衰量は大きくなる。例えば、厚紙の減衰量は大きい。そのため、厚紙を1枚搬送する時の超音波の減衰量と、厚紙より薄い用紙を2枚以上同時に搬送する重送時の超音波の減衰量とが近似することがある。その結果、重送の誤検知の可能性が高まる。
【0005】
本発明は、重送の誤検知を抑制することのできる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像形成装置は、重送検知部と、制御部とを備える。前記重送検知部は、シートの重送を検知する。前記制御部は、前記重送検知部の出力に基づいて重送の発生を判定する。前記重送検知部は、発信部と、受信部とを含む。前記発信部は、前記シートに向けて超音波を発信する。前記受信部は、前記シートを介して前記超音波を受信して、受信した前記超音波に基づく信号を生成する。前記発信部は、発信素子と、駆動部とを有する。前記発信素子は、前記超音波を発信する。前記駆動部は、前記発信素子に電圧を印加して前記発信素子に前記超音波を発信させる。前記制御部は、前記シートの単位面積あたりの重量に関連する関連情報に基づいて、前記駆動部から前記発信素子に印加される電圧である印加電圧を調整する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、重送の誤検知の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置の重送検知部の構成を示す図である。
【
図3】シート搬送路における重送検知部の発信部と受信部との配置を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る画像形成装置のブロック図である。
【
図5】シートの種別を示す情報を入力する入力画面の一例を示す図である。
【
図6】シートの坪量と印加電圧との対応関係を示す表の一例を示す図である。
【
図7】シートの坪量と印加電圧との関係、及び、シートの坪量と第1出力レベルとの関係を示すグラフである。
【
図8】シートの坪量と印加電圧との関係、及び、シートの坪量と第2出力レベルとの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については、同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0010】
図1を参照して、本発明の実施形態に係る画像形成装置100を説明する。
図1は、実施形態に係る画像形成装置100の構成を示す図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態において、重送検知装置は、画像形成装置100の下部に第1重送検知部10Aとして、画像形成装置100の上部に第2重送検知部10Bとして、各々組み込まれている。
【0012】
画像形成装置100は、装置本体1と、原稿搬送装置61とを備える。原稿搬送装置61は、画像読取部64を介して、装置本体1に取り付けられる。
【0013】
第1重送検知部10Aは、装置本体1に配置される。第2重送検知部10Bは、原稿搬送装置61に配置される。なお、第1重送検知部10Aと第2重送検知部10Bとの間に、構成上あるいは機能上の差異はない。そのため、第1重送検知部10A及び第2重送検知部10Bの配置位置や序列を考慮する必要のない場合は、単に「重送検知部」と記載する場合がある。
【0014】
画像形成装置100の装置本体1は、第1重送検知部10A、シート搬送部31、シート給送部32、シート排出部33、画像形成部40、定着部41及び操作パネル50を備える。また、装置本体1は、制御部20を備える。
【0015】
シート給送部32は、シートSをシート搬送部31に給送する。具体的には、シート給送部32は、用紙トレイ32Tと、ピックアップローラー32Rとを有する。
【0016】
用紙トレイ32Tは、複数枚のシートSを収容可能である。
【0017】
ピックアップローラー32Rは、用紙トレイ32TからシートSをピックアップして、ピックアップしたシートSをシート搬送部31に給送する。
【0018】
シートSは、薄紙から厚紙まで含む。シートSは、例えば、普通紙、コート紙、光沢紙、コピー用紙、再生紙、又はOHP(Overhead Projector)シートである。
【0019】
シート搬送部31は、シート給送部32から給送されたシートSを、画像形成部40に搬送する。具体的には、シート搬送部31は、複数のガイド板と、複数の搬送ローラー対31Rとを含む。
【0020】
複数のガイド板は、シートSの搬送路であるシート搬送路Fを構成する。複数の搬送ローラー対31Rは、シート搬送路Fに沿ってシートSを搬送する。
【0021】
画像形成部40は、シートSに画像を形成する。本実施形態において、画像形成部40は、電子写真方式によって、シートSに画像を形成する。具体的には、画像形成部40は、像担持体、帯電装置、露光装置、現像装置、転写装置、クリーニング装置、及び除電装置を有する。
【0022】
なお、画像形成部40は、インクジェット方式によって、シートSに画像を形成してもよい。
【0023】
シート搬送部31は、画像形成後のシートSを定着部41に搬送する。
【0024】
定着部41は、シートSに画像を定着させる。具体的には、定着部41は、加圧部材と、加熱部材とを有する。定着部41は、シートSを加熱するとともに、シートSを加圧して、シートSに画像を定着させる。
【0025】
シート搬送部31は、画像定着後のシートSをシート排出部33に搬送する。
【0026】
シート排出部33は、シートSを装置本体1の外部に排出する。具体的には、シート排出部33は、排出ローラー対を有する。排出ローラー対は、シートSを装置本体1の外部に排出する。
【0027】
図2及び
図3を参照して、第1重送検知部10Aについて説明する。
図2は、実施形態の画像形成装置100における第1重送検知部10Aの構成を示す図である。
図3は、シート搬送路Fにおける第1重送検知部10Aの発信素子4と受信素子5との配置を示す図である。
【0028】
本実施形態の第1重送検知部10Aは、
図2に示すように、超音波発信部2と、超音波受信部3と、電圧可変回路6と、これらの間を接続する電気配線とを備える。以下、超音波発信部2を「発信部2」と、超音波受信部3を「受信部3」と記載する。
【0029】
図3に示すように、発信部2は、発信素子4を含む。また、受信部3は、受信素子5を含む。発信素子4及び受信素子5は、シート搬送路Fに沿って搬送されているシートSを挟む位置に配置される。
【0030】
詳しくは、発信素子4が発振した超音波が、シートSを透過して、受信素子5で受信される。また、発信素子4及び受信素子5は、ピックアップローラー32Rと搬送ローラー対31Rとの間に配置される。
【0031】
図2に示すように、発信部2は、発信素子4と、発信素子4の駆動回路7とを含む。発信素子4は、例えば超音波振動子である。発信部2は、例えば超音波トランスデューサーである。
【0032】
駆動回路7は、本発明における駆動部の一例である。駆動回路7は、例えばインバーターである。
【0033】
電圧可変回路6は、駆動回路7に電圧(電流)を供給する。電圧可変回路6は、例えばA/Dコンバーターである。
【0034】
制御部20は、駆動回路7を作動させる駆動クロックを出力する。制御部20は、シートSの「単位面積あたりの重量」(「坪量」ともいう)に関連する関連情報に基づいて、駆動回路7から発信素子4に印加される電圧である印加電圧Aを調整する。
【0035】
発信部2は、発信素子4への電圧の印加により、
図1を参照して説明したシート搬送路Fを搬送されるシートSに向けて、印加電圧Aの電圧値に応じた発振出力の超音波を照射する。
【0036】
図2に示すように、受信部3は、受信素子5と、増幅回路8と、ピーク検出回路9とを含む。
【0037】
受信素子5は、例えば圧電素子である。受信素子5は、シートSを介して超音波を受信して、受信した超音波に基づく信号を生成する。詳しくは、受信素子5は、受信した超音波の振幅の大きさ対応する信号レベル(単位:ボルト)を有する信号を生成する。以下、受信素子5が生成する出力信号を、「増幅前信号」と記載する。また、増幅前信号の信号レベル(電圧値)を「第1出力レベルL1」と記載する。
【0038】
増幅前信号は、増幅回路8に出力される。
【0039】
増幅回路8は、増幅前信号を増幅して「増幅後信号」を生成する。増幅回路8は、例えば増幅器(アンプリファイアー)である。増幅回路8は、増幅前信号の信号レベル(第1出力レベルL1)を、所定の増幅倍率で増幅して、増幅後信号を生成する。
【0040】
例えば、増幅回路8は、増幅前信号の信号レベルを2倍にして出力する。なお、増幅倍率は変更することもできる。また、増幅回路8は、多段としてもよい。以下、増幅後信号の信号レベル(電圧値)を「第2出力レベルL2」と記載する。
【0041】
増幅後信号は、ピーク検出回路9に出力される。
【0042】
ピーク検出回路9は、増幅後信号の信号レベル(第2出力レベルL2)の極大値(ピーク値)を検出する。そして、ピーク検出回路9は、第2出力レベルL2の極大値を示す信号を、制御部20へ出力する。
【0043】
次に、
図1と、
図4及び
図5とを参照して、第1重送検知部10A及び第2重送検知部10Bを制御する構成について説明する。
図4は、実施形態に係る画像形成装置100のブロック図である。
図5は、シートSの種別を入力する入力画面53の一例を示す図である。
【0044】
図1及び
図4に示す本実施形態の画像形成装置100は、制御部20、記憶部21及び操作パネル50を備える。
【0045】
制御部20は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサーを含む。制御部20は、記憶部21に記憶されたコンピュータープログラムを実行することにより、画像形成装置100の各要素を制御する。
【0046】
制御部20は、第1重送検知部10Aの出力信号に基づいて、重送の発生を検知する。詳しくは、制御部20は、第2出力レベルL2又は第1出力レベルL1のピーク値に基づいて、シート給送部32からシート搬送部31(シート搬送路F)にシートSが2枚以上重なって給送される重送が発生していないか否かを判定する。
【0047】
同様に、制御部20は、第2重送検知部10Bの出力信号に基づいて、重送の発生を検知する。具体的には、原稿給送部から原稿搬送部に原稿Dが2枚以上重なって給送される重送が発生していないか否かを判定する。
【0048】
制御部20は、第1重送検知部10Aの出力に基づいて重送が発生していると判定した場合、シート搬送部31によるシート搬送動作を停止する。
【0049】
同様に、制御部20は、第2重送検知部10Bの出力に基づいて重送が発生していると判定した場合、原稿搬送部による原稿搬送動作を停止させる。
【0050】
記憶部21は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)のような主記憶装置を含む。記憶部21は、HDD(Hard Disk Drive)のような補助記憶装置を含み得る。
【0051】
記憶部21は、種々のコンピュータープログラムと、種々のデータとを記憶する。また、記憶部21は、シートSの単位面積あたりの重量(g/m2)に関連する関連情報を記憶する。
【0052】
制御部20は、シートSの単位面積あたりの重量(g/m2)に関連する関連情報に基づいて、駆動回路7が発信素子4に印加する印加電圧Aの電圧値を調整する。以下、シートSの単位面積あたりの重量を「坪量」と記載する場合がある。
【0053】
本実施形態では、ユーザーが、操作パネル50を操作して、シートSの種別を示す情報を入力する。
【0054】
記憶部21が記憶するシートの単位面積あたりの重量に関連する関連情報は、シートSの種別を示す情報を含む。
【0055】
制御部20は、シートSの種別を示す情報に基づいて、シートSの坪量を決定する。
【0056】
記憶部21は、坪量(シートの単位面積あたりの重量)に関連して、坪量に応じた適切な印加電圧を示す対応テーブルを記憶する。具体的には、記憶部21は、「坪量-電圧対応表22」を記憶する。坪量-電圧対応表22は、坪量と印加電圧Aとを関連付ける。
【0057】
制御部20は、シートSの坪量が決定すると、坪量-電圧対応表22のうちから、決定した坪量に関連付けられている印加電圧の電圧値を探索する。
【0058】
そして、制御部20は、駆動回路7から発信素子4に印加される印加電圧Aの電圧値が、探索した印加電圧Aの電圧値となるように、電圧可変回路6から駆動回路7に供給される電圧の電圧値を調整する。
【0059】
以下、制御部20が坪量-電圧対応表22のうちから探索した印加電圧Aを、「調整後電圧A1」と記載する。
【0060】
次に、
図5を参照して、シートSの種別を示す情報を、ユーザーが入力するための入力画面53について説明する。
図5は、シートSの種別を示す情報を入力するための入力画面53を示す図である。
【0061】
入力画面53は、操作パネル50(
図1を参照)に表示される。操作パネル50は、ユーザーの操作を受け付ける。ユーザーの操作は、シートSの種別を指定する操作を含む。操作パネル50は、ユーザーの操作を受け付けると、ユーザーの操作に対応する操作信号を制御部20に出力する。
【0062】
また、操作パネル50は、各種画面を表示する。各種画面は、シートSの種別をユーザーが指定するための入力画面53を含む。具体的には、操作パネル50は、ハードキー51と、タッチディスプレー52とを有する。
【0063】
タッチディスプレー52は、表示装置とタッチセンサーとを有する。表示装置は、例えば、液晶表示装置(Liquid Crystal Display:LCD)である。
【0064】
ハードキー51は、ユーザーの操作を受け付ける。タッチディスプレー52は、ユーザーの操作を受け付ける。また、タッチディスプレー52は、各種画面を表示する。
【0065】
ユーザーは、タッチディスプレー52が入力画面を表示している際に、ハードキー51又はタッチディスプレー52を操作して、シートの種別を指定することができる。ハードキー51及びタッチディスプレー52のタッチセンサーは、本発明の入力部の一例である。
【0066】
図5は、タッチディスプレー52の表示画面に表示されている入力画面53を示す。
図5に示すように、入力画面53は、各種シートの種別を示す。ユーザーは、ハードキー51及びタッチディスプレー52のタッチセンサーを操作して、シートSの種別を指定することができる。
【0067】
具体的には、入力画面53は、各種シートの種別を示す表として一覧表54を含む。一覧表54は、メーカー名欄、製品名欄、品番欄、紙種欄、サイズ欄、及び坪量(重さ)欄等を含む。メーカー名、製品名、品番、紙種、サイズ等は、本発明におけるシートの種別を示す情報の一例である。
【0068】
ユーザーは、使用するシートSの仕様を、例えば、使用するシートSの包装紙から確認して、入力画面53に示されているシート種別のうちから、使用するシートSの種別を指定する。なお、入力画面53に含まれる各種の情報は、記憶部21に予め記憶されている。
【0069】
例えば、入力画面53に含まれる各種の情報は、デフォルト値として記憶部21に記憶されている。あるいは、入力画面53に含まれる各種の情報は、ユーザーが、画像形成装置100に登録してもよい。
【0070】
ユーザーが入力画面53を介してシートSの種別を指定すると、制御部20は、入力画面53に含まれる情報のうちから、指定されたシートSの種別に関連付けられている坪量を探索する。
【0071】
具体的には、入力画面53に含まれる一覧表54は、行単位で、シートSの種別を示す。ユーザーは、行単位でシートSの種別を指定する。制御部20は、ユーザーが指定した行に含まれる坪量を探索する。
【0072】
図5は、ユーザーが、No.102の行を指定している例を示す。この場合、制御部20は、No.102の行に含まれる「坪量(重さ)」を探索する。No.102の行に含まれる坪量は「50(g/m
2)」を示す。なお、以下の説明において、入力画面53に含まれる情報のうちから探索された坪量を「指定坪量」と記載する。
【0073】
次に、
図6を参照して、シートの坪量と印加電圧との対応関係を示す対応テーブルについて説明する。
図6は、坪量と電圧との対応関係を示す坪量-電圧対応表22を示す図である。
【0074】
図6に示すように、坪量-電圧対応表22は、「坪量の範囲」欄と「印加電圧A」欄とを含む。坪量の範囲欄は、坪量範囲(坪量ランク)が複数あることを示す。
【0075】
図6に示す例では、坪量-電圧対応表22は、6つの坪量ランク(ここでは坪量ランクR1~R6)を含む。坪量の範囲は各々、坪量の上限値と坪量の下限値とを示す。印加電圧A欄に含まれる各印加電圧A(各調整後電圧A1)は、各坪量範囲に関連付けられている。
【0076】
制御部20は、指定坪量を探索した後、指定坪量に対応する印加電圧(以下、調整後電圧A1)を、坪量-電圧対応表22に含まれる情報のうちから探索する。そして、制御部20は、発信素子4に印加する印加電圧Aが、調整後電圧A1となるように電圧可変回路6を調整する。
【0077】
具体的には、制御部20は、坪量の範囲欄に含まれる坪量範囲(坪量ランクR1~R6)のうちから、指定坪量が含まれる坪量範囲を探索する。以下、坪量の範囲欄に含まれる範囲のうちから探索された坪量範囲(坪量ランク)を「対応坪量範囲」と記載する。
【0078】
制御部20は、対応坪量範囲を探索すると、印加電圧A欄のうちから、対応坪量範囲に関連付けられている印加電圧(調整後電圧A1)を探索する。
【0079】
例えば、指定坪量が「50(g/m2)」である場合、制御部20は、坪量ランクR1(坪量55g/m2未満)を対応坪量範囲に決定する。その結果、坪量ランクR1(坪量55g/m2未満)に関連付けられた調整後電圧A1「9.8(V)」が探索され、発信素子4に印加する印加電圧Aの電圧値が9.8(V)に設定される。
【0080】
以上説明した「坪量-電圧対応表22」を用いた印加電圧Aの決定のプロセスは、本発明におけるシートの坪量に関連する情報に基づいて、発信素子に印加される印加電圧を調整する処理の一例である。
【0081】
次に、
図7及び
図8を参照して、
図6に示す「坪量-電圧対応表22」の構成内容について説明する。
【0082】
図7は、坪量と印加電圧A(調整後電圧A1)との関係、及び、坪量と第1出力レベルL1との関係を示す。ここで、第1出力レベルL1は、発信素子4に調整後電圧A1が印加された場合に、受信素子5が生成する受信信号の信号レベル(電圧値)を示す。
【0083】
図8は、坪量と印加電圧A(調整後電圧A1)との関係、及び、坪量と第2出力レベルL2との関係を示す。ここで、第2出力レベルL2は、発信素子4に調整後電圧A1が印加された場合に、増幅回路8が出力する出力信号の信号レベル(電圧値)を示す。
【0084】
図7及び
図8において、実線のグラフは、調整後の印加電圧Aの電圧値の変化を示す。
図7の点線のグラフは、第1出力レベルL1の電圧値の変化を示し、
図8の点線のグラフは、第2出力レベルL2の電圧値の変化を示す。なお、第2出力レベルL2の電圧値(
図8)は、第1出力レベルL1の電圧値(
図7)の2倍の値を示す。
【0085】
図6に示す坪量-電圧対応表22は、6つの坪量範囲(6つの坪量ランクR1~R6)を含む。換言すれば、坪量の範囲が6段階で区分されている。
【0086】
例えば、1行目の坪量ランクR6は、250g/m2以上の坪量に対応する。坪量ランクR6は、厚手のシート又は厚紙に適用される坪量範囲である。坪量ランクR6に対応する調整後電圧A1は24.0(V)である。なお、24.0(V)は、機器の構成上、発信素子4へ印加可能な最大印加電圧である。
【0087】
2行目の坪量ランクR5は、200g/m2以上250g/m2未満の坪量に対応する。坪量ランクR5は、厚手のシートに適用される坪量範囲である。坪量ランクR5に対応する調整後電圧A1は19.6(V)である。
【0088】
3行目の坪量ランクR4は、150g/m2以上200g/m2未満の坪量に対応する。坪量ランクR4は、比較的厚手の用紙に適用される坪量範囲である。坪量ランクR4に対応する調整後電圧A1は18.0(V)である。
【0089】
4行目の坪量ランクR3は、100g/m2以上150g/m2未満の坪量に対応する。坪量ランクR3は、比較的厚手の用紙に適用される坪量範囲である。坪量ランクR3に対応する調整後電圧A1は15.4(V)である。
【0090】
5行目の坪量ランクR2は、55g/m2以上100g/m2未満の坪量に対応する。坪量ランクR2は、上質紙あるいはコート紙に適用される坪量範囲である。坪量ランクR2に対応する調整後電圧A1は12.7(V)である。
【0091】
6行目の坪量ランクR1は、55g/m
2未満の坪量に対応する。坪量ランクR1は、普通紙又は薄手の用紙に適用される坪量範囲である。坪量ランクR1に対応する調整後電圧A1は9.8(V)である。なお、9.8(V)は、
図6の坪量-電圧対応表22のうちで最小の印加電圧であり、印加可能な最大印加電圧(24.0V 100%出力時)の約40%の出力に相当する。
【0092】
ここで、
図7を参照して、実施形態の制御部20が行っている印加電圧Aの調整について説明する。
図7の点線のグラフに示すように、本実施形態では、制御部20は、受信素子5が超音波を受信することにより生成する受信信号の出力レベル(第1出力レベルL1)が、所定の範囲内のレベルとなるよう、坪量に応じて、印加電圧Aを調整する。言い換えれば、制御部20は、坪量の低下に対応して、印加電圧Aを段階的に低減する処理を行っている。
【0093】
従って、本実施形態によれば、
図7に示すように低坪量の薄紙領域から高坪量の厚紙領域までの全坪量範囲にわたって、受信信号の第1出力レベルL1が所定の範囲内に収まる。これにより、
図8に示すように、全坪量範囲において、増幅回路8の増幅倍率を上げることができる。その結果、重送検知の感度を向上させることができる。
【0094】
また、本実施形態によれば、
図8に示すように、全坪量範囲において、増幅回路8が出力する出力信号の第2出力レベルL2が所定の範囲内に収まる。これにより、低坪量の薄紙領域における第2出力レベルL2と、高坪量の厚紙領域における第2出力レベルL2との差が、より小さくなる。その結果、重送検知の誤検知を低減することができる。
【0095】
なお、
図6に示す坪量-電圧対応表22では、坪量範囲が6段階に区分されていたが、坪量範囲は、7段階以上に区分されていてもよい。例えば、坪量範囲を10g/m
2刻みで区分してもよい。あるいは、坪量範囲を5g/m
2刻み又は1g/m
2刻みで区分してもよい。坪量範囲をより細分化することにより、重送の誤検知の可能性をより低減することができる。
【0096】
また、本実施形態では、ユーザーが、入力画面53を介してシートSの種別を指定し、制御部20が、指定されたシートSの種別に基づいて、シートSの坪量を判定したが、制御部20は、操作パネル50から直接、坪量の数値の入力を受け付けてもよい。この場合、操作パネル50のタッチディスプレー52は、シートSの坪量を数値で入力するための入力画面53を表示する。
【0097】
また、本実施形態では、ユーザーが、入力画面53を介してシートSの坪量に関する情報を入力したが、制御部20は、第1重送検知部10Aの出力に基づいて、シートSの坪量を判定してもよい。
【0098】
具体的には、ユーザーは、使用予定のシートSの1枚をサンプルとして、シート給送部32からシート排出部33まで搬送させる。この結果、サンプルに対しいて超音波が照射され、受信素子5がサンプルを介して超音波を受信する。
【0099】
受信素子5は、サンプルの坪量に応じた受信信号レベル(第1出力レベルL1)を有する増幅前信号を出力し、増幅回路8は、サンプルの坪量に応じた出力信号レベル(第2出力レベルL2)を有する増幅後信号を出力する。
【0100】
従って、ピーク検出回路9から制御部20に出力される信号は、サンプルの坪量を示す。制御部20は、ピーク検出回路9の出力に基づいて、シートSの坪量を判定する。なお、サンプルに超音波を照射する際に発信素子4に印加される印加電圧は、所定値(デフォルト値)である。
【0101】
以上、
図1から
図8を参照して、第1重送検知部10Aについて説明した。続いて、
図1及び
図4を参照して、第2重送検知部10Bについて説明する。
【0102】
図1及び
図4に示すように、原稿搬送装置61は、原稿給送部62と、原稿排出部63と、画像読取部64とを含む。
【0103】
原稿給送部62は、原稿Dを原稿搬送装置61に給送する。具体的には、原稿給送部62は、原稿トレイ62Tと、ピックアップローラー62Rとを有する。
【0104】
原稿トレイ62Tは、複数枚の原稿Dを載置可能である。
【0105】
ピックアップローラー62Rは、原稿トレイ62Tから原稿Dをピックアップして、ピックアップした原稿Dを原稿搬送装置61に給送する。
【0106】
原稿Dは、薄紙から厚紙まで含む。原稿Dは、例えば、普通紙、コート紙、光沢紙、コピー用紙、再生紙、又はOHP(Overhead Projector)シートである。
【0107】
原稿搬送装置61は、原稿給送部62から給送された原稿Dを、画像読取部64の読取部まで搬送する。具体的には、原稿搬送装置61は、所定の原稿搬送路Gに沿って、原稿Dを、原稿給送部62から、画像読取部64を経由して、原稿排出部63まで案内する。
【0108】
原稿排出部63は、画像読取部64で画像を読み取られた原稿Dを装置外に排出する。原稿排出部63は、例えば、排出ローラーと、排出トレイを含む。
【0109】
発信部2の発信素子4と、受信部3の受信素子5とは、原稿搬送路Gに沿って搬送されている原稿Dを挟む位置に配置される。
【0110】
詳しくは、第1重送検知部10Aと同様、発信素子4が発振した超音波が、原稿Dを透過して、受信素子5で受信される。また、発信素子4及び受信素子5は、ピックアップローラー62Rと搬送ローラー61Rとの間に配置される。
【0111】
画像読取部64は、原稿搬送装置61の原稿搬送路Gを搬送されてきた原稿Dから画像を読み取る。画像読取部64は、読み取った画像から画像データを生成する。画像読取部64は、CIS(Contact Image Sensor)方式又はCCD(Charge Coupled Devices)方式のスキャナーである。
【0112】
以上の構成の第2重送検知部10Bにおいても、制御部20は、第1重送検知部10Aにおける印加電圧Aと同様、原稿Dの単位面積あたりの重量(坪量)に関連する関連情報に基づいて、駆動回路7から発信素子4に印加される電圧である印加電圧Bを調整する。
【0113】
例えば、ユーザーが、操作パネル50を操作して、原稿Dの種別を示す情報を入力する。すると、制御部20は、第1重送検知部10Aの場合と同様に、記憶部21中の坪量-電圧対応表22を参照して、第2重送検知部10Bの発信素子4に印加される印加電圧B(調整後電圧B1)を調整する。
【0114】
従って、第2重送検知部10Bも、第1重送検知部10Aと同様、重送の誤検知の可能性を低減することができる。
【0115】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の構成から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明は、重送検知部を備える画像形成装置、又は、重送検知部を備える原稿読取装置の分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0117】
2 発信部
3 受信部
4 発信素子
5 受信素子
7 駆動回路
8 増幅回路
10A 第1重送検知部
10B 第2重送検知部
20 制御部
21 記憶部
31 シート搬送部
40 画像形成部
50 操作パネル
61 原稿搬送部
100 画像形成装置