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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】自動取引装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/60 20190101AFI20240814BHJP
   G06Q 20/18 20120101ALI20240814BHJP
【FI】
G07D11/60
G06Q20/18
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020056614
(22)【出願日】2020-03-26
(65)【公開番号】P2021157457
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-11-08
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180275
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 倫太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161861
【弁理士】
【氏名又は名称】若林 裕介
(72)【発明者】
【氏名】友久 誠
【審査官】小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-122684(JP,A)
【文献】特開2017-211796(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 9/00-13/00
G07D 1/00- 3/16
G07F 19/00
G06Q 20/00-20/42
G06Q 40/00-40/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作表示部を有する自動取引装置であって、
携帯端末によって事前に入力された取引内容を示す情報を読み取るデータ読取部と、
前記データ読取部が上記情報を読み取ると、前記取引内容に基づき所定の取引が、当該自動取引装置の状態に基づき実行可能であるか否か判定し、前記取引内容が実行不可能である場合、顧客に対して事前に入力した前記取引内容を変更するための画面を前記操作表示部に表示する取引処理部とを有し、
前記取引内容を変更するための画面は、取引できない理由を表示する第1の領域と前記取引内容の変更操作を行うための第2の領域を有し、
前記取引内容は、出金取引であり、
当該自動取引装置の状態は、前記取引内容に対する現金の不足であり、
前記取引処理部は、前記取引内容を変更するための画面に当該自動取引装置が保有する現金の前記取引内容に対する不足状況に基づく取り扱い可能な範囲の金額の情報を併せて表示する
ことを特徴とする自動取引装置。
【請求項2】
操作表示部を有する自動取引装置であって、
携帯端末によって事前に入力された取引内容を示す情報を読み取るデータ読取部と、
前記データ読取部が上記情報を読み取ると、前記取引内容に基づき所定の取引が、当該自動取引装置の状態に基づき実行可能であるか否か判定し、前記取引内容が実行不可能である場合、顧客に対して事前に入力した前記取引内容を変更するための画面を前記操作表示部に表示する取引処理部とを有し、
前記取引内容を変更するための画面は、取引できない理由を表示する第1の領域と前記取引内容の変更操作を行うための第2の領域を有し、
前記取引内容は、出金取引であり、
当該自動取引装置の状態は、前記取引内容に対する現金の不足であり、
前記取引処理部は、前記取引内容を変更するための画面に当該自動取引装置が保有する現金の前記取引内容に対する不足状況に基づく取り扱い可能な範囲の金種の情報を併せて表示する
ことを特徴とする自動取引装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動取引装置に関し、例えば、スマートフォン、タブレット端末等の携帯端末を用いて現金取引を行う自動取引装置に適用し得る。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、顧客が保持する携帯端末を用いて現金取引を行うATM(Automated Teller Machine)が開示されている。特許文献1の記載技術は、携帯端末が、近距離無線通信等により取引データをATMに送信して取引開始を要求し、ATMが携帯端末を介してホスト装置との間で取引電文の授受を行う。
【0003】
上記取引データは、例えば、携帯端末のアプリケーション等を通じて取引種別、取引口座、取引金額等が事前入力されたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-117849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のATMでは、機器の状態(紙幣・硬貨不足等)により、事前入力した内容で取引が実行できない場合があった。この場合、顧客は再び携帯端末のアプリケーションを起動し、情報の再入力を行う必要があった。
【0006】
そのため、携帯端末を用いて現金取引を行う顧客の利便性を考慮した自動取引装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の本発明は、操作表示部を有する自動取引装置であって、(1)携帯端末によって事前に入力された取引内容を示す情報を読み取るデータ読取部と、(2)前記データ読取部が上記情報を読み取ると、前記取引内容に基づき所定の取引が、当該自動取引装置の状態に基づき実行可能であるか否か判定し、前記取引内容が実行不可能である場合、顧客に対して事前に入力した前記取引内容を変更するための画面を前記操作表示部に表示する取引処理部とを有し、(3)前記取引内容を変更するための画面は、取引できない理由を表示する第1の領域と前記取引内容の変更操作を行うための第2の領域を有し、(4)前記取引内容は、出金取引であり、当該自動取引装置の状態は、前記取引内容に対する現金の不足であり、前記取引処理部は、前記取引内容を変更するための画面に当該自動取引装置が保有する現金の前記取引内容に対する不足状況に基づく取り扱い可能な範囲の金額の情報を併せて表示することを特徴とする。
【0008】
第2の本発明は、操作表示部を有する自動取引装置であって、(1)携帯端末によって事前に入力された取引内容を示す情報を読み取るデータ読取部と、(2)前記データ読取部が上記情報を読み取ると、前記取引内容に基づき所定の取引が、当該自動取引装置の状態に基づき実行可能であるか否か判定し、前記取引内容が実行不可能である場合、顧客に対して事前に入力した前記取引内容を変更するための画面を前記操作表示部に表示する取引処理部とを有し、(3)前記取引内容を変更するための画面は、取引できない理由を表示する第1の領域と前記取引内容の変更操作を行うための第2の領域を有し、(4)前記取引内容は、出金取引であり、当該自動取引装置の状態は、前記取引内容に対する現金の不足であり、前記取引処理部は、前記取引内容を変更するための画面に当該自動取引装置が保有する現金の前記取引内容に対する不足状況に基づく取り扱い可能な範囲の金種の情報を併せて表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、携帯端末を用いて現金取引を行う顧客の利便性を考慮できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態に係る取引処理システムの全体構成を示す全体構成図である。
図2】第1の実施形態に係るATMの内部構成を示すブロック図である。
図3】第1の実施形態に係る取引処理システムの取引処理の全体的な動作を示すシーケンス図である。
図4】第1の実施形態に係るATMの取引処理で用いる画面の一例を示す説明図である。
図5】第1の実施形態に係るATMの取引処理で用いる訂正確認画面の一例を示す説明図である。
図6】第1の実施形態に係るATMの取引処理で用いる入金警告画面の一例を示す説明図である。
図7】第1の実施形態に係るATMの取引処理で用いる取引選択画面の一例を示す説明図である。
図8】第2の実施形態に係る取引処理システムの取引処理の全体的な動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(A)第1の実施形態
以下では、本発明に係る自動取引装置の第1の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
(A-1)第1の実施形態の構成
第1の実施形態では、例えばインターネットバンキングやモバイルネットワーキング(以下では、「オンラインバンキング」と呼ぶ。)などを利用して、予約登録(事前登録)した内容を、ATMが読み取って現金取引を行うシステムに、本発明を適用する場合を例示する。
【0013】
(A-1-1)全体構成
図1は、第1の実施形態に係る取引処理システムの全体構成を示す全体構成図である。
【0014】
図1において、第1の実施形態に係る取引処理システム9は、ATM1、携帯端末2、連携サーバ3、インターネットバンキングサーバ(以下、「IBサーバ」とも呼ぶ。)4、及びホストサーバ5を有する。
【0015】
ATM1は、従来の一般的なATMの機能に加えて、携帯端末2から送信された事前に登録された取引内容を読み取り、読み取った取引データに基づいて取引処理を実施する機能を有する。また、第1の実施形態では、ATM1は、事前登録した内容で取引が実行できない場合、ATM1上で事前登録した内容を修正させたり、異なる取引を実行するように顧客を誘導する。
【0016】
携帯端末2は、ネットワークNを通じて、連携サーバ3と接続可能であり、連携サーバ3を介して、インターネットバンキングにより、取引内容を予約登録し、その取引内容を記憶する。
【0017】
また、携帯端末2は、取引を行う際、顧客が、ATM1に、近距離無線通信等により携帯端末2から取引データを送信することにより(又は二次元コードを読み取らせることにより)、事前登録した取引内容の取引を実施する。
【0018】
携帯端末2は、通信機能、操作表示部を有する端末であれば、様々な端末を適用することができ、例えば、スマートフォン、タブレット端末、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話機、ゲーム端末、電子書籍端末、ウェラブル端末等を適用できる。携帯端末2は、例えば、専用のアプリケーションソフトウェアをインストールして実施することにより取引処理を実施することができる。
【0019】
連携サーバ3は、インターネットバンキングの仕組みと連携をとるため、IBサーバ4及びホストサーバ5と接続可能であり、IBサーバ4との間で取引に関する情報を授受するものである。また、連携サーバ3は、ネットワークNを通じて、携帯端末2及びATM1との間で情報の授受を行う。
【0020】
IBサーバ4は、インターネットバンキングシステムを実行するサーバである。IBサーバ4によるインターネットバンキングの詳細な仕組みは、既存技術を広く適用することができ、ここでの詳細な説明は省略する。IBサーバ4は、ATM1及び連携サーバ3を通じて、取引内容を含む取引実行の許可要求信号を受信し、この取引実行の許可要求信号をホストサーバ5に送信して、当該取引実行の許可要求信号を送信する。また、IBサーバ4は、ホストサーバ5により取引実行の許可応答を取得すると、その取引実行の許可応答を、連携サーバ3を介してATM1に送信する。
【0021】
ホストサーバ5は、例えば、IBサーバ4から受信した携帯端末2からの取引に関するデータに基づいて取引実行を許可するか否かを判断し、許可する場合、取引実行の許可応答をIBサーバ4に送信する。
【0022】
(A-1-2)ATM1の詳細な構成
図1に示すように、ATM1は、操作表示部12、カード入出口13、紙幣入出口14、硬貨入出口15、取引データ読取部16、及びレシート排出口17を有する。
【0023】
操作表示部12は、例えば、取引種類の選択メニュー画面、各取引の操作画面、取引内容の確認画面等を表示したり、顧客が入力した入力情報を取り込んだりするものである。操作表示部12は、例えば、タッチパネル方式の操作表示部を適用することができる。なお、操作表示部12は、操作部と表示部とが一体となったタッチパネル方式のものに限らず、操作部と表示部とがそれぞれ物理的に別の構成のものであっても良い。
【0024】
カード入出口13は、顧客がキャッシュカードを挿入したり又はキャッシュカードを取り出したりするものである。
【0025】
紙幣入出口14は、顧客が紙幣を挿入したり又は紙幣を取り出したりするものである。紙幣入出口14は、例えば、開閉可能な開閉体を有するバケットタイプのものを用いても良いし、若しくは、開閉体を有しないバケットタイプのものを用いることができる。顧客が紙幣を投入するときには、例えば、開閉体(シャッタ)を有するバケットタイプの場合、開閉体がバケットの開口部を開けた後、顧客はバケットの開口部に紙幣を投入し、その後ATM1は、開閉体が閉じて投入された紙幣を取り込む。またATM1が紙幣を返却するときには、ATM1はバケットに紙幣を繰り出し、その後、開閉体が開放する。なお、紙幣入出口14は、紙幣を投入する紙幣入口と紙幣を放出する紙幣出口とが一体となったものに限らず、紙幣入口と紙幣出口とがそれぞれ物理的に別の構成のものであっても良い。
【0026】
硬貨入出口15は、顧客又は店員が硬貨を投入したり又は硬貨を取り出したりするものである。硬貨入出口15も、例えば、開閉体が開口部を開閉可能なバケットタイプのものを用いても良いし、若しくは、開閉体を有しないバケットタイプのものを用いても良い。この場合も、紙幣入出口14と同様に、顧客又は店員が硬貨を投入するときには、例えば、開閉体を有するバケットタイプの場合、開閉体がバケットの開口部を開けた後、顧客又は店員はバケットの開口部に硬貨を投入し、その後ATM1は、開閉体を閉じて投入された硬貨を取り込む。またATM1が硬貨を返却するときには、ATM1はバケットに硬貨を繰り出し、その後、開閉体が開放する。なお、硬貨入出口15は、硬貨を投入する硬貨入口と硬貨を放出する硬貨出口とが一体となったものに限らず、硬貨入口と硬貨出口とがそれぞれ物理的に別の構成のものであってもよい。
【0027】
取引データ読取部16は、携帯端末2を介して事前登録された取引データを読み取るものである。取引データ読取部16は、例えば、ICリーダーであり、携帯端末2が備えるICチップに接触して電気回路を駆動させることによって、又は非接触式のICチップのアンテナと通信することによって、ICチップのデータを読み取るものである。また、取引データ読取部16は、例えば、バーコードリーダーであり、携帯端末2に表示された取引データを示すバーコード(1次元バーコードでも良く、又は2次元バーコードでも良い)のデータを読み取るものである。
【0028】
なお、取引データ読取部16は、携帯端末2を物理的に配置できような構成にしても良い。
【0029】
レシート排出口17は、取引内容を印刷したレシート(明細票)を排出するものである。
【0030】
図2は、第1の実施形態に係るATMの内部構成を示すブロック図である。図2において、ATM1は、制御部10、記憶部20、操作表示制御部30、通信部40、カード処理部50、紙幣入出金部60、硬貨入出金部70、取引データ処理部80、及び明細票発行部90を有する。
【0031】
制御部10は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、記憶部20から所定のプログラムを読み出して実行することにより、各部を制御して入金取引、収納処理や出金取引等の種々の処理を行う。
【0032】
記憶部20は、制御部10が実行する処理プログラム等を記憶するものあり、例えば、フラッシュメモリやHDD等により構成される。
【0033】
操作表示制御部30は、制御部10の制御の下、操作表示部12の動作を制御するものである。操作表示制御部30は、制御部10から画面情報に基づいて、操作表示部12に画面を表示させたり、又は操作表示部12から入力された情報を制御部10に与えたりするものである。
【0034】
通信部40は、ネットワークNを介して、ホストサーバ5と接続するためのネットワークインタフェースである。
【0035】
カード処理部50は、制御部10の制御の下、カード入出口13からキャッシュカードを取り込んだり又は排出したりするものである。また、カード処理部50は、カード入出口13から挿入されたキャッシュカードの格納部(例えば、磁気格納部やICチップ等)に格納されているカード情報を読み取り、そのカード情報を制御部10に与えるものである。
【0036】
紙幣入出金部60は、制御部10の制御の下、紙幣を金種別に収納・管理するものである。
【0037】
硬貨入出金部70は、制御部10の制御の下、硬貨を金種別に収納・管理するものである。
【0038】
取引データ処理部80は、制御部10の制御の下、取引データ読取部16を用いて、顧客により翳された携帯端末2の読み取り処理を実行し、読み取った取引データを制御部10に与えるものである。
【0039】
明細票発行部90は、制御部10の制御の下、明細票に取引結果を印刷して、レシート排出口17から発行(排出)を行うものである。
【0040】
(A-1-3)制御部10(取引処理部11)の詳細な構成
制御部10は、取引処理部11を有している。取引処理部11は、顧客との取引を行うための情報処理(顧客への情報の提示や操作受付に伴う処理を含む)や取引処理に伴うATM1内の各構成要素の制御等を行う。
【0041】
第1の実施形態の取引処理部11は、携帯端末2を用いて事前入力した取引が、紙幣や硬貨の不足等のATMの状態により実行できない場合には、操作表示部12に、取引内容を訂正(再入力)できる画面(後述する図4(B)の金額入力画面等)を表示する。そして、取引処理部11は、顧客により訂正された内容に基づき取引を継続する。これ以上の取引処理部11の詳細は動作の項で述べる。
【0042】
(A-2)第1の実施形態の動作
次に、第1の実施形態に係る取引処理システム9における取引処理を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0043】
(A-2-1)全体的な動作
図3は、第1の実施形態に係る取引処理システムの取引処理の全体的な動作を示すシーケンス図である。
【0044】
まず、携帯端末2には、ATM1で行う取引内容を予め事前登録できるアプリケーションソフトウェアがインストールされており、顧客操作により、当該アプリケーションソフトウェアを起動する。
【0045】
携帯端末2では、所定のメニュー画面が表示され、顧客により新規取引登録を選択し(S101)、続いて希望取引を選択し、選択した取引の内容を入力する(S102)。例えば、希望取引が出金であれば、「出金(お引き出し)」を選択し、「金額」を入力する。他にも入金取引等の他の取引を選択しても良い。
【0046】
また、ここでは、金融機関名、店番号、口座番号、口座名義人等の設定登録の詳細な設定方法については説明していないが、予め登録されているものとする。
【0047】
携帯端末2において新規の取引内容の入力が行われると、入力された取引内容を示す取引データが連携サーバ3に送信される(S103)。連携サーバ3では取引データを受信し(S104)、IBサーバ4に取引データを送信して、取引の事前登録を行う。このインターネットバンキングの仕組みは、既存技術により、種々の方法を適用することができるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0048】
連携サーバ3は、事前登録された取引データをデータベースに登録し(S105)、事前登録した内容を含む情報を携帯端末2に送信する(S106)。
【0049】
取引データを事前登録した旨の応答が携帯端末2に受信されると(S107)、携帯端末2の表示画面はメニュー画面に戻る。
【0050】
次に、顧客が、事前登録(予約登録)した取引内容で現金処理を実施するときの処理を説明する。なお、ATM1では、図4(A)の取引選択画面100が表示され、顧客により取引可能であるとする。
【0051】
顧客は、携帯端末2を、ATM1の取引データ読取部16にかざす(S108)。
【0052】
ATM1では、取引データ読取部16において事前登録された取引データを携帯端末2から読み取る(S109)。なお、本実施の形態では、上記取引データは携帯端末2から読み取る場合を例に挙げて説明するが、かかる例に限定されず、例えば、連携サーバ3、IBサーバ4、またはホストサーバ5の上位側から上記取引データをATM1が受信しても良い。
【0053】
ATM1では、読み取った取引データに基づいて、事前登録された取引処理を自装置で実行できるか否か判定する(S110)。ATM1は、例えば、後述するように紙幣不足等により事前登録された内容で取引処理が実行できない場合には、次のステップS111の処理を行い、一方、事前登録された内容で取引処理が実行できる場合には後述するステップS113の処理に移行する。
【0054】
ATM1では、先述のステップS110の処理により、事前登録された内容で取引処理が実行できない場合には、操作表示部12に金額を訂正する画面等を表示して顧客に取引内容の訂正を促す(S111)。
【0055】
続いて、ATM1では、顧客により取引内容の訂正がされると、暗証番号を入力する画面(例えば、図4(C)の暗証番号入力画面200)を表示して顧客からの入力を受け付ける(S112)。なお、暗証番号の入力画面は、取引内容によっては省略しても良い(例えば、入金取引の場合は省略しても良い)。また、暗証番号の入力は、操作表示部12からではなく、ハードキー(図示せず)を用いて入力しても良い。
【0056】
そして、ATM1から取引実行電文(ステップS111で訂正された場合には訂正された内容の実行電文)が連携サーバ3に送信され(S113)、連携サーバ3は取引実行電文を受信する(S114)。なお、連携サーバ3は取引実行電文をIBサーバ4に送信して、インターネットバンキングの仕組みにより、取引実行の許可をIBサーバ4及びホストサーバ5に要求する。なお、ATM1では、取引内容が訂正された場合、訂正内容を携帯端末2に送信しても良い。
【0057】
ATM1では、連携サーバ3及びIBサーバ4を介して、ホストサーバ5から実行許可の電文が通知されると(S115、S116)、取引内容に関する処理を実行する(S117)。
【0058】
ATM1では、例えば、出金取引の場合には図示しないセンサ等により紙幣等の抜き取りを確認して、取引を終了する(S118)。なお、ATM1は、取引終了する際、携帯端末2に取引結果(取引訂正があった場合は、訂正後の取引内容及び/又は訂正後の取引結果も含む)を送信しても良い。また、ATM1は、携帯端末2と通信の必要がある場合、その都度又は取引が終了するまで、携帯端末2を取引データ処理部80にかざすように又は載置するように顧客を誘導しても良い。
【0059】
なお、本実施の形態において、かかる例に限定されず、例えば、取引内容が訂正された場合(S111)、ATM1から携帯端末2を介して、連携サーバ3等の上位側に取引実行電文等のデータが送信される場合でも良い。
【0060】
(A-2-2)ステップS111の処理の詳細
次に、取引内容を訂正する処理(S111)の処理を、具体例を挙げて説明する。
【0061】
(A-2-2-1)出金時の金額訂正
ATM1は、例えば、紙幣や硬貨の不足又は外部からの指示により指定された金額の出金取引が実施できなければ、以下のような金額入力画面を操作表示部12に表示する。
【0062】
例えば、図4(B)では、金額の訂正(再入力)を促すメッセージを含む金額入力画面150が例示されている。金額入力画面150では、金額の訂正(再入力)を促すメッセージ表示するメッセージ欄151と、新たな金額(出金額)を入力するための「0」~「9」の数字ボタンを含む入力ボタン152と、入力ボタン152で入力された出金額が表示される出金額表示欄153とが示されている。
【0063】
顧客は、上記金額入力画面150のようなインタフェースを用いて、取引の金額を訂正する。例えば、34000円の出金取引を事前入力しておいたところ、ATM1内で、千円札が不足しており、4000円の出金ができない場合、顧客にATM1上で30000円に訂正させる。
【0064】
この場合、上記金額入力画面150には、取り扱い可能な範囲の金額の情報を併せて表示しても良く、千円札が不足している場合には、1000円単位の金額は取引できない旨のメッセージを上記メッセージ欄151に表示しても良い。また、千円札の対応はできないが、硬貨で1000円単位の金額の取り扱いが可能である場合には、千円札ではなく、硬貨で対応する旨を表示した上で1000円単位の金額を取り扱っても良い。金額入力画面150に取引対応可能な範囲(取り扱い可能な金種及び金額等)を顧客に示すことで、顧客は取引内容の訂正を円滑に行えることができる。
【0065】
また、ATM1は、金額入力画面150を表示する前に図5に示すような訂正確認画面を表示しても良い。訂正確認画面110では、金額の訂正(再入力)をするか、取引をキャンセルするかを問いただすメッセージを表示するメッセージ欄111と、事前登録した取引をキャンセルするキャンセルボタン112と、金額を再入力するために先述の金額入力画面150に移行する再入力ボタン113とが示されている。
【0066】
(A-2-2-2)入金時の警告
ATM1は、例えば、入金取引が事前登録されていた場合であって、紙幣入出金部60及び硬貨入出金部70に収納できる(言い換えれば、入金できる)紙幣及び硬貨の数が限界に近づいている場合には、以下の図6に示すような入金警告画面を表示しても良い。
【0067】
図6の入金警告画面300では、現在ATM1で取扱可能な現金を通知する旨のメッセージを表示するメッセージ欄301が示されている。例えば、ATM1は、硬貨入出金部70に収納できる硬貨が所定の閾値(例えば、限界に近い値)を超えている場合には、図6のメッセージ欄301に示すように硬貨の入金を不可として紙幣のみ入金可能とするメッセージを表示しても良い。
【0068】
また、ATM1は、金種毎に収納できる硬貨及び紙幣を判定しても良く、例えば、紙幣入出金部60の千円札を収納できるカセットのみが収納の限界に近づいている場合には、千円札のみ入金不可として他の金種の紙幣については入金できるようにしても良い。
【0069】
(A-2-2-3)取引種類の訂正
ATM1は、紙幣や硬貨の不足又は外部からの指示により、事前に登録した取引自体が実行できない場合には、顧客に取引種類の変更を促しても良い。例えば、ATM1では、図7に示すように取引の再選択を促す取引選択画面を操作表示部12に表示する。
【0070】
図7の取引選択画面100Aでは、取引の再選択を促すメッセージを表示するメッセージ欄101が、各取引を選択する選択ボタンと共に示されている。例えば、顧客は、出金取引を事前登録したが、ATM1上で出金取引が行えないことが分かり、振込取引で代用できると考えたならば、振込取引を選択する。また、出金取引(又は入金取引)が行えないが、残高だけでも確認したい場合には残高照会取引を実行することとなる。
【0071】
(A-3)第1の実施形態の効果
以上のように、第1の実施形態によれば、ATM1において顧客が携帯端末2を用いて事前入力した内容がATM1の状態と合致しない場合には、ATM1上で取引情報を訂正できようにした。これにより、顧客は取引を中断し、アプリを再起動させることなく、取引を続行できる。例えば、ATMに行列が出来ている状況でも、並びなおすことなく取引が可能となり、顧客同士のトラブルの減少も期待できる。
【0072】
(B)第2の実施形態
第2の実施形態では、オンラインバンキングなどを利用して、予約登録(事前登録)した内容を、ATMが読み取って現金取引を行うシステムに、本発明を適用する場合を例示する。
【0073】
(B-1)第2の実施形態の構成
第2の実施形態に係るATM1及び周辺の構成は、基本的には上述の図1及び図2で示した構成と同様である。ただし、制御部10の取引処理部11の処理が第1の実施形態と異なるので、以下では異なる点を中心に説明する。
【0074】
第2の実施形態の取引処理部11では、携帯端末2を介して事前登録した内容が顧客要因により実行できない場合には、第1の実施形態と同様に事前登録した取引内容の訂正を促す。例えば、事前情報入力時は、顧客の口座に十分な残高が存在していたが、ATM取引時には口座の残高が不足して、取引不可能となった場合が考えられる。取引処理部11は、顧客により訂正された内容に基づき取引を継続する。これ以上の取引処理部11の詳細は動作の項で述べる。
【0075】
(B-2)第2の実施形態の動作
次に、第2の実施形態におけるATM1の動作を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0076】
図8は、第2の実施形態に係る取引処理システムの取引処理の全体的な動作を示すシーケンス図である。なお、図8において、第1の実施形態に係る図3のシーケンス図と同一又は対応する処理については、同一符号を付して示している。また、第1の実施形態に係る図8のシーケンス図と同一又は対応する処理の詳細な説明は、重複するため省略する。
【0077】
ATM1では、先述のステップS109の処理で、事前登録された取引データを携帯端末2から読み取った後、取引実行電文を連携サーバ3に送信する(S201)。
【0078】
連携サーバ3は取引実行電文を受信し、取引実行電文をIBサーバ4に送信して、取引実行の許可をIBサーバ4及びホストサーバ5に要求する(S202)。
【0079】
ATM1では、連携サーバ3及びIBサーバ4を介して、ホストサーバ5から実行不可の電文が通知されると(S203、S204)、先述のステップS111の処理と同様に、事前登録した内容を訂正させる画面を表示する等して、顧客に取引内容の訂正を促す(S205)。
【0080】
例えば、事前登録した出金額が口座残高を超えていた場合には、先述の図4(B)で示した金額入力画面150を表示して、顧客は出金額を訂正する。また、ATM1は、先述の図7で示した取引選択画面100Aを表示して、顧客に他の取引を選択するように促しても良い。
【0081】
これ以降の訂正(再入力)した内容で取引を行う処理(S113~S118)は、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0082】
(B-3)第2の実施形態の効果
以上のように、第2の実施形態によれば、顧客が携帯端末2を用いて事前入力した内容が、ATM1操作時点における顧客の取引口座の状態と合致しない場合には、ATM1上で取引情報を訂正できようにした。これにより、顧客は取引を中断し、アプリを再起動させることなく、取引を続行できる。
【0083】
(C)他の実施形態
上述した第1及び第2の実施形態においても種々の変形実施形態を言及したが、以下の変形実施形態にも適用できる。
【0084】
(C-1)上記第1及び第2の実施形態では、本発明の自動取引装置をATM1に適用する例を示したが、現金処理を行う他の装置(例えば、入金機、出納機等)にも適用可能である。
【0085】
(C-2)上記第1及び第2の実施形態では、オンラインバンキングの仕組みを用いて携帯端末2により取引内容を事前登録する例を示したが、別の手段を用いても良い。
【0086】
(C-3)上記第1及び第2の実施形態では、ATM1は、携帯端末2を介して事前登録した取引内容が実行できない場合、ATM1に所定の画面を表示して取引内容を変更するように誘導する例を示したが、携帯端末2のアプリケーションを用いて取引内容を変更するように顧客を誘導しても良い。
【0087】
(C-4)上記第1及び第2の実施形態では、ATM1は、硬貨入出口15を備える場合を例に挙げて説明したが、かかる例に限定されず、例えば、ATM1は、硬貨入出口15を備えなくても良い。
【0088】
(C-5)変形例として、ATM1は、上述した各実施形態で述べた変形例の構成及び機能の全部又は一部を組み合わせて使用しても良い。
【符号の説明】
【0089】
1…ATM、2…携帯端末、3…連携サーバ、4…IBサーバ、5…ホストサーバ、9…取引処理システム、10…制御部、11…取引処理部、12…操作表示部、13…カード入出口、14…紙幣入出口、15…硬貨入出口、16…取引データ読取部、17…レシート排出口、20…記憶部、30…操作表示制御部、40…通信部、50…カード処理部、60…紙幣入出金部、70…硬貨入出金部、80…取引データ処理部、90…明細票発行部、100…取引選択画面、100A…取引選択画面、150…金額入力画面、200…暗証番号入力画面、300…入金警告画面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8