(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】画像伝送システム、画像受信装置、及び画像受信装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
H04N 21/442 20110101AFI20240814BHJP
H04N 21/436 20110101ALI20240814BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20240814BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
H04N21/442
H04N21/436
H04N5/74 Z
G09G5/00 555D
G09G5/00 550C
(21)【出願番号】P 2020092015
(22)【出願日】2020-05-27
【審査請求日】2023-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】内山 喜照
【審査官】大西 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-110343(JP,A)
【文献】特開2008-165007(JP,A)
【文献】特開2010-041613(JP,A)
【文献】特開2011-109536(JP,A)
【文献】特開2013-236230(JP,A)
【文献】特開2015-177331(JP,A)
【文献】特開2016-161893(JP,A)
【文献】特開2017-191189(JP,A)
【文献】特開2018-055409(JP,A)
【文献】韓国登録特許第1384603(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第1384606(KR,B1)
【文献】中国特許出願公開第102854717(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第1904717(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00 -21/858
H04N 5/66 - 5/74
G09G 5/00 - 5/42
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像供給装置に接続される画像送信装置と、画像表示装置に接続される画像受信装置と
を備え、
複数の前記画像送信装置から前記画像受信装置に無線通信により画像情報を送信
する画像伝送システムであって、
前記画像送信装置は、
前記画像供給装置に接続される接続部と、
前記接続部が前記画像供給装置に接続された場合に前記無線通信を開始し、前記画像供
給装置から前記接続部を介して供給される前記画像情報を前記画像受信装置に送信する第
1無線通信部と、を備え、
前記画像受信装置は、
前記画像送信装置から送信される前記画像情報を受信する第2無線通信部と、
前記第2無線通信部で受信した前記画像情報を前記画像表示装置に出力する第1出力部
と、
前記画像表示装置の電源を制御する制御信号を前記画像表示装置に出力する第2出力部
と、
前記画像送信装置による前記無線通信の状態を検出する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記無線通信が開始されたことを検出した場合に、前記画像表示装置の
電源をオンにする第1制御信号を、前記第2出力部から前記画像表示装置に出力
し、
前記制御部は、複数の前記画像送信装置のうち、全ての前記画像送信装置との前記無線
通信が切断されたことを検出した場合に、前記画像表示装置の電源をオフにする第2制御
信号を、前記第2出力部から前記画像表示装置に出力する画像伝送システム。
【請求項2】
請求項1に記載の画像伝送システムであって、
前記画像受信装置は、電源がオンの状態である第1状態と、前記第2無線通信部を含む
一部の部位を除いて電源がオフとなる第2状態とに切り替え可能であり、
前記制御部は、前記画像受信装置が前記第2状態のときに、前記無線通信が開始したこ
とを検出した場合には、前記画像受信装置を前記第1状態に切り替える画像伝送システム
。
【請求項3】
請求項
2に記載の画像伝送システムであって、
前記制御部は、前記画像受信装置が前記第1状態のときに、
複数の前記画像送信装置の
うち、全ての前記画像送信装置との前記無線通信が切断されたことを検出した場合には、
前記画像受信装置を前記第2状態に切り替える画像伝送システム。
【請求項4】
請求項
1に記載の画像伝送システムであって、
前記制御部は、
複数の前記画像送信装置のうち、全ての前記画像送信装置との前記無線
通信が切断されたことを検出してから所定時間が経過した後で、前記第2出力部から前記
第2制御信号を出力する画像伝送システム。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか一項に記載の画像伝送システムであって、
前記第2出力部は、前記第1出力部と共通である画像伝送システム。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか一項に記載の画像伝送システムであって、
前記画像送信装置の前記接続部は、前記画像表示装置と有線で接続される画像伝送シス
テム。
【請求項7】
画像供給装置に接続される画像送信装置と、画像を表示する画像表示装置とを備え、
複
数の前記画像送信装置から前記画像表示装置に無線通信により画像情報を送信する画像伝
送システムであって、
前記画像送信装置は、
前記画像供給装置に接続される接続部と、
前記接続部が前記画像供給装置に接続された場合に前記無線通信を開始し、前記画像供
給装置から前記接続部を介して供給される前記画像情報を前記画像表示装置に送信する第
1無線通信部と、を備え、
前記画像表示装置は、
前記画像送信装置から送信される前記画像情報を受信する第2無線通信部と、
前記第2無線通信部で受信した前記画像情報に基づいて前記画像を表示する表示部と、
前記画像送信装置による前記無線通信の状態を検出する制御部と、を備え、
前記画像表示装置は、電源がオンの状態である第1状態と、前記第2無線通信部を含む
一部の部位を除いて電源がオフとなる第2状態とに切り替え可能であり、
前記制御部は、前記画像表示装置が前記第2状態のときに、前記無線通信が開始された
ことを検出した場合には、前記画像表示装置を前記第1状態に切り替え
、
前記制御部は、前記画像表示装置が前記第1状態のときに、複数の前記画像送信装置の
うち、全ての前記画像送信装置との前記無線通信が切断されたことを検出した場合には、
前記画像表示装置を前記第2状態に切り替える画像伝送システム。
【請求項8】
画像供給装置に接続された場合に無線通信を開始する画像送信装置から画像情報を受信
して、画像表示装置に出力する画像受信装置であって、
複数の前記画像送信装置から送信される前記画像情報を受信する無線通信部と、
前記無線通信部で受信した前記画像情報を前記画像表示装置に出力する第1出力部と、
前記画像表示装置の電源を制御する制御信号を前記画像表示装置に出力する第2出力部
と、
複数の前記画像送信装置による前記無線通信の状態を検出する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記無線通信が開始されたことを検出した場合に、前記画像表示装置の
電源をオンにする第1制御信号を、前記第2出力部から前記画像表示装置に出力
し、
前記制御部は、複数の前記画像送信装置のうち、全ての前記画像送信装置との前記無線
通信が切断されたことを検出した場合に、前記画像表示装置の電源をオフにする第2制御
信号を、前記第2出力部から前記画像表示装置に出力する画像受信装置。
【請求項9】
画像供給装置に接続された場合に無線通信を開始する画像送信装置から画像情報を受信
して、画像表示装置に出力する画像受信装置の制御方法であって、
複数の前記画像送信装置による前記無線通信の状態を検出し、
前記無線通信が開始されたことを検出した場合に、前記画像表示装置の電源をオンにす
る第1制御信号を前記画像表示装置に出力し、
前記画像送信装置から送信される前記画像情報を受信し、
受信した前記画像情報を前記画像表示装置に出力
し、
複数の前記画像送信装置のうち、全ての前記画像送信装置との前記無線通信が切断され
たことを検出した場合に、前記画像表示装置の電源をオフにする第2制御信号を出力する
画像受信装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像伝送システム、画像受信装置、及び画像受信装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、コンピューターに接続された無線デバイスを介して、コンピューターから画像投影装置に画像情報を送信し、画像投影装置に画像を表示させるシステムが記載されている。このようなシステムによれば、コンピューターと画像投影装置とを有線で接続する必要がないため、ユーザーの利便性が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、実際にコンピューターから画像投影装置に画像情報を送信して画像を投影させる際には、コンピューターを操作するユーザー等が、画像投影装置の電源をオンにするために、画像投影装置の位置に移動したり、画像投影装置を操作するためのリモコンを取りに行ったりしなければならなかった。このため、さらなる利便性の向上が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
画像伝送システムは、画像供給装置に接続される画像送信装置と、画像表示装置に接続される画像受信装置とを備え、前記画像送信装置から前記画像受信装置に無線通信により画像情報を送信する画像伝送システムであって、前記画像送信装置は、前記画像供給装置に接続される接続部と、前記接続部が前記画像供給装置に接続された場合に前記無線通信を開始し、前記画像供給装置から前記接続部を介して供給される前記画像情報を前記画像受信装置に送信する第1無線通信部と、を備え、前記画像受信装置は、前記画像送信装置から送信される前記画像情報を受信する第2無線通信部と、前記第2無線通信部で受信した前記画像情報を前記画像表示装置に出力する第1出力部と、前記画像表示装置の電源を制御する制御信号を前記画像表示装置に出力する第2出力部と、前記画像送信装置による前記無線通信の状態を検出する制御部と、を備え、前記制御部は、前記無線通信が開始されたことを検出した場合に、前記画像表示装置の電源をオンにする第1制御信号を、前記第2出力部から前記画像表示装置に出力する。
【0006】
画像伝送システムは、画像供給装置に接続される画像送信装置と、画像を表示する画像表示装置とを備え、前記画像送信装置から前記画像表示装置に無線通信により画像情報を送信する画像伝送システムであって、前記画像送信装置は、前記画像供給装置に接続される接続部と、前記接続部が前記画像供給装置に接続された場合に前記無線通信を開始し、前記画像供給装置から前記接続部を介して供給される前記画像情報を前記画像表示装置に送信する第1無線通信部と、を備え、前記画像表示装置は、前記画像送信装置から送信される前記画像情報を受信する第2無線通信部と、前記第2無線通信部で受信した前記画像情報に基づいて前記画像を表示する表示部と、前記画像送信装置による前記無線通信の状態を検出する制御部と、を備え、前記画像表示装置は、電源がオンの状態である第1状態と、前記第2無線通信部を含む一部の部位を除いて電源がオフとなる第2状態とに切り替え可能であり、前記制御部は、前記画像表示装置が前記第2状態のときに、前記無線通信が開始されたことを検出した場合には、前記画像表示装置を前記第1状態に切り替える。
【0007】
画像受信装置は、画像供給装置に接続された場合に無線通信を開始する画像送信装置から画像情報を受信して、画像表示装置に出力する画像受信装置であって、前記画像送信装置から送信される前記画像情報を受信する無線通信部と、前記無線通信部で受信した前記画像情報を前記画像表示装置に出力する第1出力部と、前記画像表示装置の電源を制御する制御信号を前記画像表示装置に出力する第2出力部と、前記画像送信装置による前記無線通信の状態を検出する制御部と、を備え、前記制御部は、前記無線通信が開始されたことを検出した場合に、前記画像表示装置の電源をオンにする第1制御信号を、前記第2出力部から前記画像表示装置に出力する。
【0008】
画像受信装置の制御方法は、画像供給装置に接続された場合に無線通信を開始する画像送信装置から画像情報を受信して、画像表示装置に出力する画像受信装置の制御方法であって、前記画像送信装置による前記無線通信の状態を検出し、前記無線通信が開始されたことを検出した場合に、前記画像表示装置の電源をオンにする第1制御信号を前記画像表示装置に出力し、前記画像送信装置から送信される前記画像情報を受信し、受信した前記画像情報を前記画像表示装置に出力する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る画像表示システムを示す説明図。
【
図2】コンピューター及び画像送信装置の概略構成を示すブロック図。
【
図4】画像受信装置の動作を説明するためのフローチャート。
【
図5】第2実施形態に係る画像表示システムを示す説明図。
【
図6】第2実施形態に係るプロジェクターの概略構成を示すブロック図。
【
図8】プロジェクターの動作を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1実施形態
以下、本実施形態の画像伝送システム100について、図面を参照して説明する。
図1は、画像伝送システム100を示す説明図である。
図1に示すように、画像伝送システム100は、画像供給装置としてのコンピューター1と、画像送信装置2と、画像受信装置3と、画像表示装置としてのプロジェクター4とを備えている。コンピューター1は、例えば、ノート型のパーソナルコンピューターであり、キーボード等の入力操作部12、画像を表示する表示部13等を一体的に備えて構成されている。画像送信装置2は、コンピューター1に接続可能に構成され、コンピューター1の表示部13に表示されいている表示画像Im1の画像情報を無線で画像受信装置3に送信する。画像受信装置3は、プロジェクター4に接続されており、画像送信装置2から送信された画像情報を受信してプロジェクター4に出力する。プロジェクター4は、画像受信装置3から画像情報の供給を受けて、この画像情報に応じた表示画像Im2、即ち表示画像Im1と同じ内容の表示画像Im2をスクリーンや壁面等の投写面SCに投写する。画像送信装置2と画像受信装置3とは、無線LAN(Local Area Network)によって接続される。
【0011】
図2は、コンピューター1及び画像送信装置2の概略構成を示すブロック図である。
図2に示すように、コンピューター1は、制御部10と、記憶部11と、入力操作部12と、表示部13と、表示制御部14と、USB(Universal Serial Bus)通信部15とを含んで構成されている。
【0012】
制御部10は、1つ又は複数のプロセッサー、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)等を含んで構成される。制御部10は、ROMに記憶されたプログラム、又は記憶部11や外部の記憶装置等からRAMに読み出されたプログラムに従って動作することにより、コンピューター1の動作を制御する。
【0013】
記憶部11は、ハードディスクドライブ又はソリッドステートドライブ等の記憶装置を備えて構成される。記憶部11は、インストールされたOS(Operating System)、アプリケーションプログラム及び各種データ等を記憶する。本実施形態の記憶部11には、画像伝送プログラムPtが記憶されている。画像伝送プログラムPtは、コンピューター1から画像送信装置2を介して外部に画像情報を送信するためのアプリケーションプログラムである。
【0014】
入力操作部12は、キー操作によって文字や制御コード等の入力を受け付けるキーボードや、ポインティングデバイス等を含んで構成される。入力操作部12は、ユーザーによってなされた操作に基づく操作信号を制御部10に伝達する。
【0015】
表示部13は、液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の表示装置を備えて構成され、画像情報に基づく画像を表示する。
【0016】
表示制御部14は、1つ又は複数のプロセッサー等によって構成され、制御部10の制御に基づいて、表示部13による画像の表示を制御する。表示制御部14は、図示しないVRAM(Video RAM)に接続されており、制御部10の制御に基づいて、OSやアプリケーションプログラム、各種データ等に応じた画像情報をVRAMに記憶することにより、画像情報に基づく画像を表示部13に表示させる。なお、表示制御部14は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の専用の処理装置によって構成されてもよい。
【0017】
USB通信部15は、図示しないUSB端子を介して外部の周辺機器に接続され、制御部10の制御に基づいて、周辺機器との間でUSB規格に準じたデータ通信を行う。本実施形態のUSB通信部15には、周辺機器として、上述した画像送信装置2が接続される。
【0018】
コンピューター1の記憶部11に記憶されている画像伝送プログラムPtは、表示部13に表示されている表示画像Im1と同じ画像をプロジェクター4に表示させるために、画像送信装置2から画像情報を送信するプログラムである。ユーザーにより画像伝送プログラムPtの実行が指示された場合、又はUSB通信部15への画像送信装置2の接続が検出された場合に、制御部10は、画像伝送プログラムPtを起動し、画像伝送プログラムPtに従った動作を開始する。具体的には、制御部10は、表示部13が表示している表示画像Im1の画像情報を表示制御部14から取得し、所定の形式でエンコードする。そして、制御部10は、エンコードした画像情報をUSB通信部15から画像送信装置2に出力する。
【0019】
画像送信装置2は、制御部20と、記憶部21と、報知部22と、接続部としてのUSB通信部23と、第1無線通信部としての無線通信部24とを含んで構成されている。画像送信装置2は、予めペアリングされた外部の装置に対して、画像情報を無線で送信する。本実施形態では、通信対象となる外部の装置に無線LANで接続するために必要な情報を取得することをペアリングと呼ぶ。本実施形態の画像送信装置2は、予め画像受信装置3とペアリングがなされている。
【0020】
制御部20は、1つ又は複数のプロセッサーを備えて構成され、記憶部21に記憶されている図示しない制御プログラムに従って動作することにより画像送信装置2の動作を制御する。
【0021】
記憶部21は、メモリーを備えて構成され、画像送信装置2の動作を制御するための制御プログラムや制御データ等を記憶する。本実施形態の記憶部21には、画像受信装置3と無線LANで接続するための接続情報Dcが記憶されている。接続情報Dcとしては、無線LANの識別子であるSSID(Service Set Identifier)、これに対応するパスワード、画像受信装置3のIPアドレス等が含まれる。接続情報Dcは、画像受信装置3とのペアリングによって画像受信装置3から取得され、記憶部21に記憶される。
【0022】
報知部22は、1つ又は複数のLED(Light Emitting Diode)を備えており、制御部20は、LEDの点灯状態または点灯色を制御することによって、ユーザーに画像送信装置2の動作状態を報知する。
【0023】
USB通信部23は、図示しないUSB端子を介して外部のホスト機器であるコンピューター1に接続され、制御部20の制御に基づいて、コンピューター1との間でUSB規格に準じたデータ通信を行う。
【0024】
無線通信部24は、無線LANによって通信を行う無線LANデバイスを備えて構成され、制御部20の制御に基づいて、画像受信装置3等の外部の装置と無線で通信を行う。本実施形態の無線通信部24は、コンピューター1からUSB通信部23を介して入力された画像情報を画像受信装置3に無線で送信する。
【0025】
なお、画像送信装置2は、コンピューター1に接続された状態において、コンピューター1が画像送信装置2の記憶部21にアクセスできるように構成されており、この記憶部21には、画像伝送プログラムPtが記憶されている。このため、画像伝送プログラムPtがインストールされていないコンピューター1に画像送信装置2が接続された場合であっても、コンピューター1は、記憶部21から画像伝送プログラムPtを読み出して実行することができる。
【0026】
図3は、画像受信装置3の概略構成を示すブロック図である。
図3に示すように、画像受信装置3は、制御部30と、記憶部31と、入力操作部32と、USB通信部33と、第2無線通信部としての無線通信部34と、HDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)入力部35と、画像選択部36と、画像処理部37と、第1出力部及び第2出力部としてのHDMI出力部38と、電源装置39とを含んで構成されている。
【0027】
制御部30は、1つ又は複数のプロセッサーを備えて構成され、記憶部31に記憶されている図示しない制御プログラムに従って動作することにより画像受信装置3の動作を制御する。
【0028】
記憶部31は、メモリーを備えて構成され、画像受信装置3の動作を制御するための制御プログラムや制御データ等を記憶する。本実施形態の記憶部31には、外部の装置が無線LANにより画像受信装置3に接続するための接続情報Dcが記憶されている。上述した画像送信装置2の記憶部21に記憶されている接続情報Dcは、記憶部31に記憶されている接続情報Dcと同じであり、ペアリングの際に画像受信装置3から画像送信装置2にコピーされたものである。
【0029】
入力操作部32は、ユーザーが画像受信装置3に対して各種指示を行うための複数の操作キーを備えている。入力操作部32が備える操作キーとしては、電源のオンとオフとを切り替えるための電源キー、出力する画像情報を切り替える画像選択キー等がある。ユーザーが入力操作部32の各種操作キーを操作すると、入力操作部32は、ユーザーの操作内容に応じた操作信号を制御部30に出力する。なお、遠隔操作が可能な図示しないリモコンを、入力操作部32として用いる構成としてもよい。この場合、リモコンは、ユーザーの操作内容に応じた赤外線の操作信号を発信し、図示しないリモコン信号受信部がこれを受信して制御部30に伝達する。
【0030】
USB通信部33は、図示しないUSB端子を介して外部の周辺機器に接続され、制御部30の制御に基づいて、周辺機器との間でUSB規格に準じたデータ通信を行う。このUSB通信部33は、画像送信装置2とペアリングを行う際に用いられる。具体的には、ペアリングの対象となる画像送信装置2のUSB通信部23が画像受信装置3のUSB通信部33に接続され、入力操作部32に対して所定の操作がなされると、制御部30は、記憶部31に記憶されている接続情報Dcを、USB通信部33を介して画像送信装置2に出力する。そして、画像送信装置2の制御部20が、USB通信部23を介して入力される接続情報Dcを記憶部21に記憶させることで、ペアリングが完了する。
【0031】
無線通信部34は、無線LANによって通信を行う無線LANデバイスを備えて構成され、制御部30の制御に基づいて、画像送信装置2等の外部の装置と無線で通信を行う。制御部30は、無線通信部34の通信結果に基づいて、画像送信装置2による無線通信の状態を検出可能であり、無線通信が開始されたり、切断されたりした場合に、これを検出することができる。無線通信部34は、画像送信装置2から画像情報が送信された場合には、この画像情報を受信し、受信した画像情報を画像選択部36に出力する。なお、無線通信部34は、複数の画像送信装置2との通信も可能であり、複数の画像送信装置2のそれぞれから画像情報を受信することができる。
【0032】
HDMI入力部35は、図示しない外部の画像出力装置に接続され、画像出力装置からHDMIに準拠した画像情報が入力される。HDMI入力部35は、接続端子及びインターフェイス回路等を含んで構成され、画像出力装置から入力された画像情報を画像選択部36に出力する。また、制御部30は、HDMI入力部35に対する画像情報の入力の有無を検出することができる。
【0033】
画像選択部36は、制御部30の制御に基づいて、無線通信部34及びHDMI入力部35から入力される画像情報の1つ又は複数を選択し、選択した画像情報を画像処理部37に出力する。画像選択部36は、個別の回路で実現されてもよいし、制御部30と一体的に構成されてもよい。
【0034】
画像処理部37は、画像選択部36から入力される画像情報に対して必要な処理を施し、処理後の画像情報をHDMI出力部38に出力する。例えば、画像送信装置2から送信された画像情報が画像選択部36から入力された場合には、画像処理部37は、この画像情報をデコードするとともに、HDMIに準拠した画像情報に変換する処理を行う。また、画像選択部36から複数の画像情報が入力された場合には、画像処理部37は、それぞれを縮小し、複数の画像が並べて配置されるような1つの画像情報を生成する処理を施す。また、画像処理部37は、必要に応じて、画像情報にOSD(On Screen Display)を重畳する処理を行うようにしてもよい。
【0035】
HDMI出力部38は、図示しない接続端子及びインターフェイス回路等を含んで構成
され、画像処理部37から入力された画像情報を、接続端子に接続された画像表示装置に
出力する。本実施形態のHDMI出力部38には、プロジェクター4が接続されている。
プロジェクター4は、画像受信装置3から入力される画像情報に基づく画像光を投写し、
投写面SCに表示画像Im2を表示させる。この表示画像Im2には、コンピューター1
の表示部13に表示されている表示画像Im1が含まれる。また、HDMI出力部38は
、HDMIのCEC(Consumer Electronics Control)と呼ばれる機能による制御情報の
入出力を中継する。このため、制御部30は、HDMI出力部38を介してプロジェクタ
ー4との間で制御情報の入出力を行うことができる。この制御情報には、プロジェクター
4の電源を制御するための制御信号も含まれる。
【0036】
電源装置39は、AC100V等の図示しない商用電源に接続される。電源装置39は、商用電源を所定の電圧の直流電源に変換し、制御部30の制御に基づいて、画像受信装置3を構成する各部に電力を供給する。なお、電力の供給経路については、図示を省略している。画像受信装置3は、電源装置39が商用電源に接続された状態において、第1状態としての電源オン状態と、第2状態としてのスタンバイ状態とに切り替えが可能になっている。電源オン状態は、画像受信装置3の電源がオンの状態であり、電源装置39から画像受信装置3の各部に電力が供給されて、画像受信装置3としての所望の動作が可能な状態である。一方、スタンバイ状態は、画像受信装置3の一部の部位を除いて電源がオフの状態であり、電源オン状態と比較して電力の消費が非常に小さい状態である。本実施形態のスタンバイ状態では、電源装置39から、入力操作部32、無線通信部34、及びこれらを制御する制御部30の一部には電力が供給され、これら各部は動作が可能である。制御部30は、電源装置39を制御して、電源オン状態とスタンバイ状態とを切り替えることができる。
【0037】
次に、画像伝送システム100の動作について説明する。
上述したように、画像送信装置2は、画像受信装置3と予めペアリングがなされており、画像送信装置2の記憶部21には、画像受信装置3に無線で接続するための接続情報Dcが記憶されている。なお、この接続情報Dcは、ユーザーが、画像送信装置2のUSB通信部23を画像受信装置3のUSB通信部33に接続して取得されたものであるが、通信対象が予め定まっている場合には、製品の出荷前に記憶部21に記憶させるようにしてもよい。
【0038】
ペアリングが済んだ画像送信装置2のUSB通信部23を、ユーザーがコンピューター1のUSB通信部15に接続すると、画像送信装置2は、USB通信部23を介してコンピューター1から電力の供給を受け、記憶部21に記憶されている制御プログラムに従った動作を開始する。
まず、画像送信装置2は、無線通信部24による無線通信を開始し、記憶部21に記憶されている接続情報Dcに基づいて画像受信装置3に接続を要求する。画像受信装置3は、画像送信装置2からの接続の要求を受け、接続を許可する応答を送信する。これにより、無線LANによる画像送信装置2と画像受信装置3との接続が確立する。
【0039】
一方、コンピューター1の制御部10は、USB通信部15に対する画像送信装置2の接続を検出すると、予めインストールされている画像伝送プログラムPtを起動し、画像伝送プログラムPtに従った動作を開始する。具体的には、制御部10は、コンピューター1の表示部13に表示されている表示画像Im1の画像情報をUSB通信部15から画像送信装置2に出力する。画像送信装置2は、USB通信部23を介してこの画像情報の供給を受け、無線通信部24から画像情報の送信を開始する。
【0040】
なお、上述したように、画像送信装置2が接続されたコンピューター1に画像伝送プログラムPtが予めインストールされていない場合には、ユーザーは、画像送信装置2の記憶部21に記憶されている画像伝送プログラムPtを入力操作部12により指定して、コンピューター1に実行させることができる。
【0041】
図4は、画像受信装置3の動作、即ち画像受信装置3の制御方法を説明するためのフローチャートである。画像受信装置3は、スタンバイ状態において、
図4に示すフローに従って動作する。なお、説明を簡単にするために、
図4では、画像受信装置3が1つの画像送信装置2のみから画像情報を受信する態様を示す。
【0042】
図4に示すように、ステップS101では、画像受信装置3の制御部30は、画像送信装置2による無線通信が開始したか否か、即ち画像送信装置2から接続の要求があったか否かを判断する。制御部30は、画像送信装置2から接続の要求があった場合には、ステップS102に移行して、無線LANによる接続を確立する。一方、画像送信装置2から接続の要求がない場合には、制御部30は、ステップS101を繰り返す。
【0043】
画像送信装置2による無線通信が開始し、画像送信装置2との接続が確立すると、ステップS103において、制御部30は、電源装置39を制御して各部への電力の供給を開始させ、画像受信装置3の電源状態を、スタンバイ状態から電源オン状態に切り替える。
【0044】
続くステップS104では、制御部30は、上述したHDMIのCECにより、プロジェクター4の電源をオンにするための制御信号である第1制御信号を、HDMI出力部38からプロジェクター4に出力する。プロジェクター4は、スタンバイ状態において、この第1制御信号が入力されると、自らの電源をオンにして、画像の投写が可能な状態となる。
【0045】
ステップS105では、画像送信装置2から送信される画像情報を無線通信部34が受信する。受信した画像情報は、画像選択部36を経て画像処理部37に出力される。ステップS106では、画像処理部37が、入力された画像情報に対してデコード等の必要な処理を施し、処理後の画像情報をHDMI出力部38を介してプロジェクター4に出力する。
【0046】
ステップS107では、制御部30は、画像送信装置2からの無線通信が切断されたか否かを判断する。例えば、画像送信装置2がコンピューター1から抜き取られ、コンピューター1と画像送信装置2との接続が解除された場合に、無線通信が切断される。制御部30は、無線通信が切断されたことを検出した場合には、通信を終了させる処理を行った後でステップS108に処理を移す。一方、無線通信が切断されたことを検出していない場合には、制御部30は、ステップS105に処理を戻し、画像情報の受信と出力とを繰り返させる。
【0047】
画像送信装置2による無線通信が切断されてステップS108に処理が移行した場合には、制御部30は、画像送信装置2による無線通信が再開したか否か、即ち画像送信装置2から再び接続の要求があったか否かを判断する。例えば、コンピューター1から抜き取られた画像送信装置2が、他のコンピューター1に接続された場合に、画像送信装置2からの無線通信が再開する。制御部30は、画像送信装置2から接続の要求があった場合には、ステップS109に処理を移し、画像送信装置2から接続の要求がない場合には、ステップS110に処理を移す。
【0048】
画像送信装置2から接続の要求があってステップS109に処理が移行した場合には、制御部30は、再び画像送信装置2との無線LANによる接続を確立し、ステップS105に処理を移す。これ以降、画像受信装置3は、画像送信装置2から送信される画像情報の受信と出力とを繰り返す。
【0049】
一方、画像送信装置2から接続の要求がなくステップS110に処理が移行した場合には、制御部30は、ステップS107で無線通信の切断が検出されてから所定時間が経過したか否かを判断する。そして、所定時間が経過していない場合には、制御部30は、ステップS108に処理を戻し、無線通信の再開の有無を判断する。一方、無線通信の切断が検出されてから所定時間が経過した場合には、制御部30は、ステップS111に処理を移す。なお、所定時間としては、例えば1分程度の時間が想定されるが、1分未満であってもよいし、5分や10分等、1分より長い時間であってもよい。
【0050】
無線通信の切断が検出されてから所定時間が経過してステップS111に処理が移行した場合には、制御部30は、HDMIのCECにより、プロジェクター4の電源をオフにするための制御信号である第2制御信号を、HDMI出力部38からプロジェクター4に出力する。プロジェクター4は、電源オン状態において、この第2制御信号が入力されると、自らの電源をオフにして、第1制御信号の入力を待機するスタンバイ状態となる。
【0051】
ステップS112では、制御部30は、電源装置39を制御して電力の供給を部分的に停止させ、画像受信装置3の電源状態を、電源オン状態からスタンバイ状態に切り替える。その後、制御部30は、ステップS101に処理を移し、画像送信装置2による無線通信の開始を待機する。
【0052】
以上説明したように、本実施形態によれば、画像送信装置2は、コンピューター1に接続された場合に無線通信を開始し、画像受信装置3は、無線通信が開始された場合にプロジェクター4の電源をオンにする。つまり、コンピューター1に画像送信装置2が接続されれば、プロジェクター4の電源がオンになることから、ユーザーは、プロジェクター4の電源をオンにするために、プロジェクター4やリモコンの位置に移動する必要がなくなり、ユーザーの利便性が向上する。
【0053】
また、本実施形態によれば、画像受信装置3は、画像送信装置2による無線通信が切断された場合にプロジェクター4の電源をオフにするため、ユーザーは、プロジェクター4の電源をオフにするために、プロジェクター4やリモコンの位置に移動する必要がなくなり、ユーザーの利便性がさらに向上する。
【0054】
また、本実施形態によれば、コンピューター1に画像送信装置2が接続されれば、画像受信装置3の電源もオンになることから、ユーザーの利便性がさらに向上する。
【0055】
また、本実施形態によれば、画像送信装置2による無線通信が切断された場合に画像受信装置3の電源もオフになるため、ユーザーの利便性がさらに向上する。
【0056】
また、本実施形態によれば、画像送信装置2による無線通信が切断されてから所定時間が経過した後でプロジェクター4の電源をオフにするため、例えば、画像送信装置2を他のコンピューター1等に接続し直す場合のように、無線通信を一時的に切断する場合にもプロジェクター4の電源がオフになってしまうことを抑制できる。
【0057】
また、本実施形態によれば、プロジェクター4の電源を制御するための制御信号の出力と、プロジェクター4への画像情報の出力とが、共通のHDMI出力部38を経由して行われる構成であるため、画像伝送システム100の構成を簡略化することが可能となる。
【0058】
なお、画像受信装置3が複数の画像送信装置2と無線通信を行って、それぞれから画像情報を受信する態様では、制御部30は、画像送信装置2がコンピューター1から順次抜き取られ、最後に残った画像送信装置2との無線通信が切断されてから所定時間が経過した後で、プロジェクター4に第2制御信号を出力し、画像受信装置3をスタンバイ状態に切り替える。また、HDMI入力部35に画像情報が入力されている場合には、制御部30は、すべての画像送信装置2との無線通信が切断された後でも、画像受信装置3及びプロジェクター4の双方を電源オン状態のままで維持する。
【0059】
また、画像受信装置3が画像送信装置2から受信する画像情報は、エンコードがなされた状態の画像情報であるのに対して、画像受信装置3がプロジェクター4に出力する画像情報は、デコードした後の画像情報であり、両者の形式は異なっているが、同じ表示画像Im1を表す画像情報という点では共通であるため、両者を同じ画像情報とみなすことができる。
【0060】
第2実施形態
図5は、第2実施形態の画像伝送システム101を示す説明図である。
図5に示すように、本実施形態の画像伝送システム101は、画像供給装置としてのコンピューター1と、画像送信装置2と、画像表示装置としてのプロジェクター5とを備えている。本実施形態のプロジェクター5は、第1実施形態における画像受信装置3及びプロジェクター4が一体的に構成された装置であり、本実施形態では、画像送信装置2とプロジェクター5とが、無線LANによって接続される。
【0061】
図6は、プロジェクター5の概略構成を示すブロック図であり、
図7は、プロジェクター5に備わる画像投写部50の概略構成を示すブロック図である。
図6に示すように、プロジェクター5は、第1実施形態の画像受信装置3におけるHDMI出力部38の代わりに画像投写部50を備える点で画像受信装置3と異なっているが、それ以外の構成については、画像受信装置3と共通である。このため、これ以降の説明において、画像受信装置3と共通の構成については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用し、各々の詳細な説明を省略する。
【0062】
本実施形態の画像処理部37は、画像選択部36から入力される画像情報に対して、デコード等の必要な処理を施し、処理後の画像情報を画像投写部50での使用に適した形式に変換して、画像投写部50に出力する。
【0063】
図7に示すように、画像投写部50は、光源51、光変調装置としての3つの液晶ライトバルブ52R,52G,52B、投写光学系としての投写レンズ53、ライトバルブ駆動部54等を備えて構成されている。画像投写部50は、表示部に相当するものであり、光源51から射出された光を、液晶ライトバルブ52R,52G,52Bで変調して画像光を形成し、この画像光を投写レンズ53から投写して投写面SCに画像を表示する。
【0064】
光源51は、超高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等の放電型の光源ランプ、又は発光ダイオードや半導体レーザー等の固体光源を含んで構成されている。光源51から射出された光は、図示しないインテグレーター光学系によって輝度分布が略均一な光に変換され、図示しない色分離光学系によって光の3原色である赤色、緑色、青色の各色光成分に分離された後、それぞれ液晶ライトバルブ52R,52G,52Bに入射する。
【0065】
液晶ライトバルブ52R,52G,52Bは、それぞれ一対の透明基板間に液晶が封入された図示しない透過型の液晶パネル等によって構成される。各液晶パネルには、マトリクス状に配列された複数の画素からなる矩形の画像形成領域52iが形成されており、液晶に対して画素毎に駆動電圧を印加可能になっている。
【0066】
ライトバルブ駆動部54は、液晶ライトバルブ52R,52G,52Bの画像形成領域52iに画像を形成する。具体的には、ライトバルブ駆動部54は、画像処理部37から入力される画像情報に応じた駆動電圧を、画像形成領域52iの各画素に印加し、各画素を画像情報に応じた光透過率に設定する。光源51から射出された光は、液晶ライトバルブ52R,52G,52Bの画像形成領域52iを透過することによって画素毎に変調され、画像情報に応じた画像光が色光毎に形成される。形成された各色の画像光は、図示しない色合成光学系によって画素毎に合成されてカラー画像を表す画像光となり、投写レンズ53によって投写面SCに拡大投写される。この結果、投写面SC上には、画像送信装置2から送信された画像情報に基づく画像、即ちコンピューター1の表示部13に表示されている表示画像Im1を含む表示画像Im2が表示される(
図5参照)。
【0067】
次に、画像伝送システム101の動作について説明する。
画像送信装置2は、プロジェクター5と予めペアリングがなされており、画像送信装置2の記憶部21には、プロジェクター5に無線で接続するための接続情報Dcが記憶されている。なお、この接続情報Dcは、ユーザーが、画像送信装置2のUSB通信部23をプロジェクター5のUSB通信部33に接続して取得されたものであるが、通信対象が予め定まっている場合には、製品の出荷前に記憶部21に記憶させるようにしてもよい。
【0068】
ペアリングが済んだ画像送信装置2のUSB通信部23を、ユーザーがコンピューター1のUSB通信部15に接続すると、画像送信装置2は、USB通信部23を介してコンピューター1から電力の供給を受け、記憶部21に記憶されいてる制御プログラムに従った動作を開始する。
まず、画像送信装置2は、無線通信部24による無線通信を開始し、記憶部21に記憶されている接続情報Dcに基づいてプロジェクター5に接続を要求する。プロジェクター5は、画像送信装置2からの接続の要求を受け、接続を許可する応答を送信する。これにより、無線LANによる画像送信装置2とプロジェクター5との接続が確立する。
【0069】
一方、コンピューター1の制御部10は、USB通信部15に対する画像送信装置2の接続を検出すると、予めインストールされている画像伝送プログラムPtを起動し、画像伝送プログラムPtに従った動作を開始する。具体的には、制御部10は、コンピューター1の表示部13に表示されている表示画像Im1の画像情報をUSB通信部15から画像送信装置2に出力する。画像送信装置2は、USB通信部23を介してこの画像情報の供給を受け、無線通信部24から画像情報の送信を開始する。
【0070】
図8は、プロジェクター5の動作、即ちプロジェクター5の制御方法を説明するためのフローチャートである。プロジェクター5は、スタンバイ状態において、
図8に示すフローに従って動作する。なお、説明を簡単にするために、
図8では、プロジェクター5が1つの画像送信装置2のみから画像情報を受信する態様を示す。
【0071】
図8に示すように、ステップS201では、プロジェクター5の制御部30は、画像送信装置2による無線通信が開始したか否か、即ち画像送信装置2から接続の要求があったか否かを判断する。制御部30は、画像送信装置2から接続の要求があった場合には、ステップS202に移行して、無線LANによる接続を確立する。一方、画像送信装置2から接続の要求がない場合には、制御部30は、ステップS201を繰り返す。
【0072】
画像送信装置2による無線通信が開始し、画像送信装置2との接続が確立すると、ステップS203において、制御部30は、電源装置39を制御して各部への電力の供給を開始させ、プロジェクター5の電源状態を、スタンバイ状態から電源オン状態に切り替える。
【0073】
ステップS204では、画像送信装置2から送信される画像情報を無線通信部34が受信する。受信した画像情報は、画像選択部36を経て画像処理部37に出力される。ステップS205では、画像処理部37が、入力された画像情報に対してデコード等の必要な処理を施し、処理後の画像情報を画像投写部50に出力することで、画像投写部50に画像を表示させる。
【0074】
ステップS206では、制御部30は、画像送信装置2からの無線通信が切断されたか否かを判断する。制御部30は、無線通信が切断されたことを検出した場合には、通信を終了させる処理を行った後でステップS207に処理を移す。一方、無線通信が切断されたことを検出していない場合には、制御部30は、ステップS204に処理を戻し、画像情報の受信と画像の表示とを繰り返させる。
【0075】
画像送信装置2による無線通信が切断されてステップS207に処理が移行した場合には、制御部30は、画像送信装置2による無線通信が再開したか否か、即ち画像送信装置2から再び接続の要求があったか否かを判断する。制御部30は、画像送信装置2から接続の要求があった場合には、ステップS208に処理を移し、画像送信装置2から接続の要求がない場合には、ステップS209に処理を移す。
【0076】
画像送信装置2から接続の要求があってステップS208に処理が移行した場合には、制御部30は、再び画像送信装置2との無線LANによる接続を確立し、ステップS204に処理を移す。これ以降、プロジェクター5は、画像送信装置2から送信される画像情報の受信と画像の表示とを繰り返す。
【0077】
一方、画像送信装置2から接続の要求がなくステップS209に処理が移行した場合には、制御部30は、ステップS206で無線通信の切断が検出されてから所定時間が経過したか否かを判断する。そして、所定時間が経過していない場合には、制御部30は、ステップS207に処理を戻し、無線通信の再開の有無を判断する。一方、無線通信の切断が検出されてから所定時間が経過した場合には、制御部30は、ステップS210に処理を移す。
【0078】
無線通信の切断が検出されてから所定時間が経過してステップS210に処理が移行した場合には、制御部30は、電源装置39を制御して電力の供給を部分的に停止させ、プロジェクター5の電源状態を、電源オン状態からスタンバイ状態に切り替える。その後、制御部30は、ステップS201に処理を移し、画像送信装置2による無線通信の開始を待機する。
【0079】
以上説明したように、本実施形態によれば、画像送信装置2は、コンピューター1に接続された場合に無線通信を開始し、プロジェクター5は、無線通信が開始された場合に自らの電源をオンにする。つまり、コンピューター1に画像送信装置2が接続されれば、プロジェクター5の電源がオンになることから、ユーザーは、プロジェクター5の電源をオンにするために、プロジェクター5やリモコンの位置に移動する必要がなくなり、ユーザーの利便性が向上する。
【0080】
また、本実施形態によれば、プロジェクター5は、画像送信装置2による無線通信が切断された場合に自らの電源をオフにするため、ユーザーは、プロジェクター5の電源をオフにするために、プロジェクター5やリモコンの位置に移動する必要がなくなり、ユーザーの利便性がさらに向上する。
【0081】
なお、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
【0082】
上記第1及び第2実施形態では、画像供給装置としてコンピューター1を採用しているが、画像供給装置はコンピューター1に限定されず、例えば、スマートフォンやタブレット端末等、画像送信装置2を接続可能な装置であれば、他の装置であってもよい。
【0083】
上記第1及び第2実施形態では、コンピューター1と画像送信装置2との接続は、US
Bに準拠した接続であるが、他の規格に準拠した接続であってもよい。ただし、これらの
接続は、USBのように有線による接続であることが望ましい。これらの接続が有線であ
れば、コンピューター1と画像送信装置2との接続、即ち画像受信装置3やプロジェクタ
ー4,5の電源状態の切り替えのトリガーとなる接続を視覚的に確認することが可能とな
り、誤った接続を防止することができる。
また、画像送信装置2と、画像受信装置3又はプロジェクター5とが無線LANによっ
て通信を行う態様を示したが、無線によって通信を行う態様であれば、他の規格に準拠し
た通信であってもよい。
また、第1実施形態において、画像受信装置3とプロジェクター4との接続は、HDM
Iに準拠した接続であるが、他の規格に準拠した接続であってもよい。
【0084】
上記第2実施形態では、光変調装置として、透過型の液晶ライトバルブ52R,52G,52Bを用いているが、反射型の液晶ライトバルブ等、反射型の光変調装置を用いることも可能である。また、入射した光の射出方向を、画素としてのマイクロミラー毎に制御することにより、光源51から射出された光を変調するデジタルミラーデバイス等を用いることもできる。また、色光別に複数の光変調装置を備える構成に限定されず、1つの光変調装置で複数の色光を時分割で変調する構成としてもよい。
【0085】
上記第1及び第2実施形態では、画像表示装置としてプロジェクター4,5を採用しているが、画像表示装置はプロジェクター4,5に限定されず、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等、他の画像表示装置であってもよい。これらの場合には、液晶パネルや有機ELパネル等で構成される表示画面が表示部に相当する。
【0086】
上記第1実施形態において、画像受信装置3は、プロジェクター4への画像情報の出力と、プロジェクター4の電源を制御するための制御信号の出力とを、共通のHDMI出力部38を経由して行っているが、画像情報の出力と、制御信号の出力とを異なるインターフェイスで行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0087】
1…コンピューター、2…画像送信装置、3…画像受信装置、4,5…プロジェクター、10…制御部、11…記憶部、12…入力操作部、13…表示部、14…表示制御部、15…USB通信部、20…制御部、21…記憶部、22…報知部、23…USB通信部、24…無線通信部、30…制御部、31…記憶部、32…入力操作部、33…USB通信部、34…無線通信部、35…HDMI入力部、36…画像選択部、37…画像処理部、38…HDMI出力部、39…電源装置、50…画像投写部、51…光源、52R,52G,52B…液晶ライトバルブ、52i…画像形成領域、53…投写レンズ、54…ライトバルブ駆動部、100,101…画像伝送システム、Im1,Im2…表示画像、Dc…接続情報、Pt…画像伝送プログラム、SC…投写面。