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特許7537131操作システム、前記操作システムで操作される作業装置を備える高所作業車および作業車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】操作システム、前記操作システムで操作される作業装置を備える高所作業車および作業車
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/24 20060101AFI20240814BHJP
   B66F 11/04 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
B66F9/24 S
B66F11/04
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020093369
(22)【出願日】2020-05-28
(65)【公開番号】P2021187605
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000148759
【氏名又は名称】株式会社タダノ
(74)【代理人】
【識別番号】100196623
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 計介
(72)【発明者】
【氏名】元木 浩平
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-202299(JP,A)
【文献】特開2018-070349(JP,A)
【文献】特開2004-144557(JP,A)
【文献】特開昭64-069908(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/24
B66F 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋回台を介して起伏可能なブームが設けられた作業装置の操作システムであって、
対象物に図形、印または文字のうち少なくとも一つを投影する投影装置と、
前記対象物の壁面に投影された前記図形、前記印および前記文字を撮影する撮影装置と、
前記作業装置の位置および方向と、前記撮影装置に対する前記投影装置の位置および方向とを検出する位置検出装置と、
前記撮影装置に対する前記投影装置の位置と方向、および前記投影装置から基準距離だけ離隔した仮想の投影面に投影された前記図形、前記印および前記文字に対する前記対象物の壁面に投影された前記図形、前記印および前記文字の形状の差異から、前記投影装置から前記対象物の壁面までの距離および前記壁面の形状を算出する端末制御装置と、
前記作業装置のブームを移動させるための操作信号を前記端末制御装置に送信する操作具と、
を備え
前記端末制御装置は、
算出した前記壁面までの距離および壁面の形状に基づいて、前記作業装置の操作対象が前記壁面から所定の距離だけ離隔した状態で前記壁面に沿って任意の方向に移動させる制御信号を生成し、前記操作具の操作によって前記作業装置の制御装置に送信する、
操作システム。
【請求項2】
前記端末制御装置は、算出した前記壁面までの距離および壁面の形状に基づいて、前記作業装置の操作対象を前記壁面から所定の距離だけ離隔した位置に移動させる制御信号を生成し、前記操作具の操作によって前記作業装置の制御装置に送信する請求項1に記載の操作システム。
【請求項3】
前記投影装置と前記操作具とが一体に構成され、対象物に図形、印または文字を投影した状態で前記操作具を操作可能な携帯操作端末を備える請求項1または請求項2に記載の操作システム。
【請求項4】
前記撮影装置がさらに一体に構成され、対象物に投影した前記図形、前記印または前記文字を撮影可能な携帯操作端末を備える請求項3に記載の操作システム。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の操作システムで操作される高所作業装置を備える高所作業車であって、
前記操作システムは、
前記投影装置と前記操作具とが一体に構成され、前記対象物の壁面に図形、印または文字を投影した状態で前記操作具を操作可能な携帯操作端末を有し、
前記高所作業装置の作業床に前記撮影装置が設けられ、
前記撮影装置によって前記携帯操作端末の前記投影装置から前記対象物に投影された前記図形、前記印または前記文字を撮影するとともに前記携帯操作端末を撮影し、前記位置検出装置として前記投影装置の位置および方向を検出し、
前記端末制御装置が算出した前記壁面までの距離および壁面の形状に基づいた制御信号を前記操作具の操作によって前記高所作業装置の制御装置に送信する高所作業車。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の操作システムで操作される高所作業装置を備える高所作業車であって、
前記操作システムは、
前記投影装置と前記操作具とが一体に構成され、前記対象物に図形、印または文字を投影した状態で前記操作具を操作可能な携帯操作端末を有し、
前記高所作業装置の作業床に前記撮影装置が設けられ、
前記高所作業装置と前記携帯操作端末とに前記位置検出装置が設けられ、
前記端末制御装置が算出した前記壁面までの距離および壁面の形状に基づいた制御信号を前記操作具の操作によって前記高所作業装置の制御装置に送信する高所作業車。
【請求項7】
操作システムで操作される作業装置を備える作業車であって、
前記操作システムは、
対象物に図形、印または文字の少なくとも一つを投影する投影装置と、
前記対象物に投影された前記図形、前記印または前記文字を撮影する撮影装置と、
前記作業装置の位置および方向を検出する位置検出装置と、
前記撮影装置に対する前記投影装置の位置と方向、および前記投影装置から基準距離だけ離隔した仮想の投影面に投影された前記図形、前記印および前記文字に対する前記対象物の壁面に投影された前記図形、前記印および前記文字の形状の差異から、前記投影装置から前記対象物の壁面までの距離および前記壁面の形状を算出する端末制御装置と、
前記端末制御装置から前記作業装置の制御装置に前記作業装置のブームを移動させるための制御信号を送信させる操作具と、を備え、
前記作業装置に前記投影装置と前記撮影装置とが設けられ、前記撮影装置に対する前記投影装置の位置および方向が一定に定められ、
前記端末制御装置は、
算出した前記壁面までの距離および壁面の形状に基づいて、前記作業装置の操作対象が前記壁面から所定の距離だけ離隔した状態で前記壁面に沿って任意の方向に移動させる制御信号を生成し、前記制御信号を前記操作具の操作によって前記作業装置の制御装置に送信する作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作システム、前記操作システムで操作される作業装置を備える高所作業車および作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高所作業装置を備える高所作業車は、自走可能な下部走行体に上部旋回台が設けられ、この旋回台に伸縮するブームが起伏自在に設けられている。ブームの先端には、作業者が搭乗するバケットが設けられている。高所作業車は、バケット内の操作具によって作業者の所望する位置にバケットを移動することができる。このような高所作業車において、操作具の操作方向にバケットが移動するように構成されたものが知られている。例えば、特許文献1の如くである。
【0003】
特許文献1に記載の高所作業車(作業車両)は、走行体に設けられた旋回台に伸縮自在なブームが設けられている。ブームの先端には、バケット(作業床)が設けられている。バケットには、任意の方向に傾倒操作可能な1本の入力操作レバーが設けられている。また入力操作レバーには、軸回りに回転可能な可動グリップが設けられている。バケットは、入力操作レバーの傾倒方向に移動し、可動グリップの回転方向に揺動するように構成されている。このように構成することで、入力操作レバーの操作に対するバケットの移動方向の不一致が解消され、作業者の操作感を向上させることができる。
【0004】
特許文献1に記載の高所作業車は、バケットの操作端末に入力操作レバーが設けられている。作業者は、操作端末の位置から周囲の状況を確認しつつ、入力操作レバーでバケットを移動させる。このため、複数の作業者、荷物を積載することができる程度の大きさのバケットでは、作業者が操作端末の位置からバケットの周囲の状況を確認し難い場合がある。また、壁面に沿ってバケットを移動させる場合、傾斜した壁面、トンネルの内壁等の湾曲した壁面における傾斜、湾曲の度合いの把握が難しいため、直感的に作業車両を操作できない場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平9-202599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、作業装置の操作端末の利便性を向上させ、直感的に作業装置を制御することができる操作システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、第1の発明は、旋回台を介して起伏可能なブームが設けられた作業装置の操作システムである。
【0009】
前記操作システムは、対象物に図形、印または文字のうち少なくとも一つを投影する投影装置と、前記対象物の壁面に投影された前記図形、前記印および前記文字を撮影する撮影装置と、前記作業装置の位置および方向と、前記撮影装置に対する前記投影装置の位置および方向とを検出する位置検出装置と、前記撮影装置に対する前記投影装置の位置と方向、および前記投影装置から基準距離だけ離隔した投影面に投影された前記図形、前記印および前記文字に対する前記対象物の壁面に投影された前記図形、前記印および前記文字の形状の差異から、前記投影装置から前記対象物の投影面までの距離および投影面の形状を算出する端末制御装置と、前記作業装置のブームを移動させるための操作信号を前記端末制御装置に送信する操作具と、を備える。前記端末制御装置は、算出した前記壁面までの距離および壁面の形状に基づいて、前記作業装置の操作対象が前記壁面から所定の距離だけ離隔した状態で前記壁面に沿って任意の方向に移動させる制御信号を生成し、前記操作具の操作によって前記作業装置の制御装置に送信する
【0010】
第2の発明において、前記端末制御装置は、算出した前記壁面までの距離および壁面の形状に基づいて前記作業装置の操作対象が前記壁面から所定の距離だけ離隔した位置に移動させる制御信号を生成し、前記操作具の操作によって前記作業装置の制御装置に送信する。
【0012】
第4の発明において、前記投影装置と前記操作具とが一体に構成され、対象物に図形、印または文字を投影した状態で前記操作具を操作可能な携帯操作端末を備える。
【0013】
第5の発明において、前記撮影装置がさらに一体に構成され、対象物に投影した前記図形、前記印または前記文字を撮影可能な携帯操作端末を備える。
【0014】
第6の発明において、上述した発明に記載の操作システムで操作される高所作業装置を備える高所作業車であって、前記操作システムは、前記投影装置と前記操作具とが一体に構成され、前記対象物の壁面に図形、印または文字を投影した状態で前記操作具を操作可能な携帯操作端末を有し、前記高所作業装置の作業床に前記撮影装置が設けられ、前記撮影装置によって前記撮影装置によって前記携帯操作端末の前記投影装置から前記対象物に投影された前記図形、前記印または前記文字を撮影するとともに前記携帯操作端末を撮影し、前記位置検出装置として前記投影装置の位置および方向を検出し、前記端末制御装置が算出した前記壁面までの距離および壁面の形状に基づいた制御信号を前記操作具の操作によって前記高所作業装置の制御装置に送信する。
【0015】
第7の発明において、上述した発明に記載の操作システムで操作される高所作業装置を備える高所作業車であって、前記操作システムは、前記投影装置と前記操作具とが一体に構成され、前記対象物に図形、印または文字を投影した状態で前記操作具を操作可能な携帯操作端末を有し、前記高所作業装置の作業床に前記撮影装置が設けられ、前記高所作業装置と前記携帯操作端末とに前記位置検出装置が設けられ、前記端末制御装置が算出した前記壁面までの距離および壁面の形状に基づいた制御信号を前記操作具の操作によって前記高所作業装置の制御装置に送信する。
【0016】
第8の発明は、操作システムで操作される作業装置を備える作業車である。
【0017】
前記操作システムは、対象物に図形、印または文字の少なくとも一つを投影する投影装置と、前記対象物に投影された前記図形、前記印または前記文字を撮影する撮影装置と、前記作業装置の位置および方向を検出する位置検出装置と、前記撮影装置に対する前記投影装置の位置と方向、および前記投影装置から基準距離だけ離隔した仮想の投影面に投影された前記図形、前記印および前記文字に対する前記対象物の壁面に投影された前記図形、前記印および前記文字の形状の差異から、前記投影装置から前記対象物の壁面までの距離および前記壁面の形状を算出する端末制御装置と、前記作業装置のブームを移動させるための操作信号を前記端末制御装置に送信する操作具と、を備える。前記端末制御装置は、算出した前記壁面までの距離および壁面の形状に基づいて、前記作業装置の操作対象が前記壁面から所定の距離だけ離隔した状態で前記壁面に沿って任意の方向に移動させる制御信号を生成し、前記操作具の操作によって前記作業装置の制御装置に送信する
【発明の効果】
【0018】
本発明は、以下に示すような効果を奏する。
【0019】
第1の発明および第8の発明において、操作システムは、基準となる図形等と対象物に投影された図形等とを比較することで、作業者の視覚による把握が難しい壁面の形状を操作システムの端末制御装置が算出する。従って、作業者は、所定の図形等を壁面に投影するだけで、壁面の形状を基準として作業装置を操作することができる。これにより、操作システムは、作業装置の操作端末の利便性を向上させ、直感的に作業装置を制御することができる。
【0020】
第2の発明および第3の発明において、操作システムは、作業者の視覚による把握が難しい壁面の形状を基準として一定の距離を保つように作業装置を操作することができる。これにより、操作システムは、作業装置の操作端末の利便性を向上させ、直感的に作業装置を制御することができる。
【0021】
第4の発明において、操作システムは、作業者が任意の位置から任意の方向の対象物の壁面に図形等を投影し、且つ作業装置を操作することができる。これにより、操作システムは、作業装置の操作端末の利便性を向上させ、直感的に作業装置を制御することができる。
【0022】
第5の発明および第6の発明において、作業者は、高所作業装置の作業床から携帯操作端末によって対象物の壁面に図形等を投影するだけで、作業床を対象物の壁面にそって移動させることができる。これにより、高所作業車は、操作システムによって高所作業装置の操作端末の利便性を向上させ、直感的に高所作業装置を制御することができる。
【0023】
第7の発明において、作業者は、作業装置の投影装置を対象物の壁面に向けて、図形等を投影することで、対象物の壁面に沿って作業装置を移動させることができる。これにより、作業車は、操作システムによって作業装置の操作端末の利便性を向上させ、直感的に作業装置を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】操作システムの制御構成を示すブロック図。
図2】投影図形等に基づく制御方法のフローチャート図。
図3】基準投影図形および基準投影矢印を示す概念図。
図4】基準投影図形等の投影画像を取得する状態を示す概念図。
図5】基準投影図形等の投影位置画像を取得し、基準位置座標を算出する状態を示す概念図。
図6】基準投影図形等の正投影画像を取得し、正投影位置座標を算出する状態を示す概念図。
図7】投影装置と撮影装置が一体に構成されている操作システムの制御構成を示すブロック図。
図8】投影装置と操作具が一体に構成されている操作システムの制御構成を示すブロック図。
図9】操作システムによって操作される作業車両の第1実施形態である高所作業車の全体構成を示す上面図と側面図。
図10】高所作業車と操作システムの制御構成を示すブロック図。
図11図11は本発明の操作システムに含まれる携帯操作端末を示す。(A)は携帯操作端末の全体を示す斜視図を示し、(B)は携帯操作端末の側面図を示す。
図12】携帯操作端末によって基準投影図形等が投影されている状態を示す模式図。
図13図13は基準投影図形等に基づいたバケットの移動状態を示す。(A)は、壁面に近接するバケットの移動状態を示し、(B)は壁面に沿って移動するバケットの移動状態を示す。
図14】操作システムによって操作される作業車両の第2実施形態である高所作業車のバケットを示す上面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下で、各実施形態について、図面を参照しながら説明する。各図において、同一部分には同一の符号を付して、その同一部分の説明は繰り返さない。なお、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
【0026】
図1から図6を用いて本発明の実施形態1に係る作業装置の操作端末である操作システム1の全体構成について説明する。
【0027】
図1に示すように、操作システム1は、旋回、且つ起伏可能なブームが設けられた作業装置の操作を行うシステムである。操作システム1は、作業装置のブームの旋回、ブームの起伏およびブームの伸縮の少なくとも一つの制御を行う。
【0028】
操作システム1は、投影装置2、撮影装置3、位置検出装置4、操作具および端末制御装置7を備える。操作システム1は、投影装置2、撮影装置3、位置検出装置4、計測操作具5、移動操作具6および端末制御装置7から操作端末を構成する。
【0029】
投影装置2は、構造物等の対象物の壁面W等に図形、印または文字の少なくとも一つを投影する装置である。投影装置2は、例えば、レーザーポインタから構成されている。投影装置2は、対象物の壁面Wに、円形または四角形等の図形、矢印等の印および文字を投影可能に構成される。投影装置2は、端末制御装置7からの制御信号を取得可能に構成されている。
【0030】
撮影装置3は、投影装置2が投影した図形等を撮影する装置である。撮影装置3は、任意の位置に投影される図形等を撮影するために撮影装置3を中心として360度の範囲を撮影可能に構成されている。撮影装置3は、例えば、360度の視野角を有する360度カメラから構成されている。なお、撮影装置3は、回転機構を有し、360度の範囲をスキャン可能なカメラでもよい。また、撮影装置3は、投影装置2が投影している方向を撮影するように、投影装置2と連動するように構成されていてもよい。撮影装置3は、端末制御装置7からの制御信号を取得可能に構成されている。また、撮影装置3は、撮影した画像を端末制御装置7に送信可能に構成されている。
【0031】
位置検出装置4は、撮影装置3と投影装置2との絶対座標と方向を検出する装置である。位置検出装置4は、投影位置検出装置4aと撮影位置検出装置4bとから構成されている。位置検出装置4は、例えば、投影装置2と撮影装置3とにそれぞれ設けられた複数のGNSS受信機から構成されている。GNSS受信機は、全球測位衛星システム(Global Navigation Satellite System)を構成する受信機である。GNSS受信機は、衛星から測距電波を受信し、受信機のグローバル座標系の絶対座標である緯度、経度、標高を算出する装置である。位置検出装置4は、端末制御装置7からの制御信号を取得可能に構成されている。位置検出装置4は、撮影装置3に設けられた撮影位置検出装置4bのGNSS受信機のグローバル座標系における位置座標(以下、単に「位置座標」と記す)と投影装置2に設けられた投影位置検出装置4aのGNSS受信機の位置座標とを端末制御装置7に送信可能に構成されている。
【0032】
なお、本実施形態で、位置検出装置4は、撮影装置3と投影装置2とに複数もうけられたGNSS受信機から構成されているが、これに限定するものではない。位置検出装置4は、GNSS受信機とジャイロセンサまたは方位センサの組み合わせでもよい。また、位置検出装置4は、複数のビーコン(Beacon)でもよい。
【0033】
操作具である計測操作具5は、投影装置2、撮影装置3の操作信号を端末制御装置7に送信する。計測操作具5は、作業者が携帯可能な携帯型操作具でも作業装置に設けられた据え付け型操作具でもよい。計測操作具5は、例えば、押しボタン、ジョイスティック等から構成されている。計測操作具5は、作業者の操作により、投影装置2に図形等を投影させるための操作信号と、撮影装置3に投影された図形等を撮影させるための操作信号を端末制御装置7に送信する。また、操作具である移動操作具6は、作業者の操作により、端末制御装置7が算出した対象物の壁面Wを基準として設定した位置に作業装置のブームを移動させるための操作信号を端末制御装置7に送信する。
【0034】
端末制御装置7は、計測操作具5および移動操作具6からの操作信号に基づいて、投影装置2、撮影装置3および位置検出装置4を制御するとともに、作業装置のアクチュエータを制御する装置である。端末制御装置7は、作業者が携帯可能な携帯型操作具と一体に構成されていてもよい。また、端末制御装置7は、作業装置に設けられていてもよい。端末制御装置7は、実体的には、CPU、ROM、RAM、HDD等がバスで接続される構成であってもよく、あるいはワンチップのLSI等からなる構成であってもよい。端末制御装置7は、投影装置2、撮影装置3、位置検出装置4および各アクチュエータ、切換え弁、センサ等の動作を制御するために種々のプログラム、データが格納されている。
【0035】
端末制御装置7は、投影装置2に接続され、投影装置2に制御信号を送信することができる。また、端末制御装置7は、投影装置2から制御信号を取得することができる。
【0036】
端末制御装置7は、撮影装置3に接続され、撮影装置3に制御信号を送信することができる。また、端末制御装置7は、撮影装置3から制御信号および画像を取得することができる。
【0037】
端末制御装置7は、位置検出装置4に接続され、位置検出装置4に制御信号を送信することができる。また、端末制御装置7は、位置検出装置4から位置検出装置4が算出した位置情報を取得することができる。端末制御装置7は、撮影位置検出装置4bから取得した撮影装置3における複数の部分の位置座標から、撮影装置3の位置座標と方向とを算出することができる。同様に、端末制御装置7は、投影位置検出装置4aから取得した投影装置2における複数の部分の位置座標から、撮影装置3の位置座標と方向とを算出することができる。すなわち、制御装置は、撮影装置3に対する投影装置2の相対座標と方向とを算出することができる。
【0038】
端末制御装置7は、計測操作具5および移動操作具6から操作信号を取得することができる。
【0039】
端末制御装置7は、取得した図形等の画像と、算出した撮影装置3に対する投影装置2の位置と方向とから図形等が投影された対象物の壁面Wに基づく制御信号を生成することができる。
【0040】
端末制御装置7は、作業装置の制御装置に接続され、生成したアクチュエータの制御信号を作業装置の制御装置に送信することができる。
【0041】
このように構成される操作システム1は、計測操作具5が操作されると、撮影装置3によって投影装置2が対象物の壁面Wに投影した図形等の画像を撮影する。さらに、操作システム1は、端末制御装置7によって投影装置2と撮影装置3との位置情報から撮影装置3に対する投影装置2の位置と方向とを算出する。操作システム1は、撮影した画像と算出した位置情報とから、後述する壁面Wを示す式(1)を算出する。次に、操作システム1は、移動操作具6が操作されると、端末制御装置7によって式(1)に基づいて生成した制御信号を作業装置のアクチュエータに送信する。
【0042】
なお、他の実施形態として、操作システム1は、撮影装置3が位置検出装置4を兼ねる構成でもよい。撮影装置3が、2台の360度カメラによって構成されている場合、撮影装置3は、ステレオ計測によって撮影対象物の位置計測が可能である。撮影装置3は、投影装置2が投影した図形等を撮影するとともに、2台の360度カメラによって投影装置2を撮影する。撮影装置3は、撮影した図形等の画像と投影装置2の画像とを端末制御装置7に送信する。
【0043】
端末制御装置7は、撮影装置3が撮影した投影装置2のステレオ画像から、撮影装置3に対する投影装置2の位置と方向とを算出することができる。
【0044】
次に、投影装置2から投影された投影図形等に基づく制御方法について詳細に説明する。
【0045】
図3に示すように、投影装置2は、基準形状の一つである正方形の図形(以下、単に「基準投影図形Fs」と記す)を対象物の壁面Wに投影する。合わせて、投影装置2は、基準形状の一つである方向を示す矢印(以下、単に「基準投影矢印As」と記す)を対象物の壁面Wに投影する。また、端末制御装置7(図1参照)は、撮影位置検出装置4b(図1参照)から撮影装置3の位置座標と、投影位置検出装置4a(図1参照)から投影装置2の位置座標および投影方向Sを取得しているものとする。
【0046】
端末制御装置7(図1参照)は、撮影装置3が撮影した画像内において、基準投影図形Fsの頂点位置を画像上の画素で表した座標(以下、単に「画像座標」と記す)と投影距離Drとの関係についてのデータを保持しているものとする。具体的には、端末制御装置7は、投影装置2から投影方向Sに基準距離Dsだけ離隔した仮想の投影面Vに正投影された基準投影図形Fs(薄墨部分)の実辺長である基準辺長Lsおよび基準投影図形Fsの画像座標である基準画像座標Cps(不図示)を保持している。
【0047】
基準投影図形取得行程S1
図2図4に示すように、基準投影図形取得行程S1として、端末制御装置7(図1参照)は、計測操作具5(図1参照)の操作信号を取得すると、投影装置2によって対象物の壁面Wに基準投影図形Fsと基準投影矢印Asとを投影するとともに、撮影装置3によって基準投影図形Fs(薄墨部分)と基準投影矢印Asとを含む投影画像Pを撮影する。端末制御装置7は、撮影装置3から、投影画像Pを取得する。
【0048】
視点位置変換行程S2
図2図5とに示すように、視点位置変換行程S2として、端末制御装置7(図1参照)は、投影位置検出装置4a((図1参照))から取得した投影装置2の位置座標および投影方向Sと、撮影位置検出装置4b((図1参照))から取得した撮影装置3の位置座標および撮影装置3の撮影方向とに基づいて、取得した投影画像Pを既知の回転行列(ビュー変換行列)によって投影位置からの視点画像である投影位置画像Pvに変換する。
【0049】
正投影画像取得行程S3
図2図6とに示すように、正投影画像取得行程S3として、端末制御装置7は、投影位置画像Pvの基準投影図形Fs(二点鎖線図)の図心Gを基準として、投影方向Sから見て基準投影図形Fsの左辺の長さと右辺の長さとが等しく、上辺の長さと下辺の長さとが等しくなるように投影位置画像Pvを変換する。すなわち、端末制御装置7は、投影位置画像Pvの基準投影図形Fsを投影装置2と基準投影図形Fsの図心Gを結ぶ直線に垂直な平面上に投影した状態の正投影画像Poの基準投影図形Fs(薄墨部分)に射影変換する。この際、端末制御装置7は、投影方向Sから見て、投影位置画像Pvの基準投影図形Fsと正投影画像Poの基準投影図形Fsとの間の左右方向(ヨー方向)の傾きθyと上下方向(ピッチ方向)の傾きθpとを算出する。さらに、端末制御装置7は、正投影画像Poにおいて基準投影矢印Asが指している方向を既知の画像処理方法によって算出する。
【0050】
位置座標算出行程S4
位置座標算出行程S4として、端末制御装置7は、基準投影図形Fs(図6の二点鎖線図参照)の基準画像座標Cps(不図示)と、正投影画像Poにおける基準投影図形Fs(図6の薄墨部分参照)の正投影画像座標Cpo(不図示)とを算出する。端末制御装置7は、算出した基準画像座標Cpsと正投影画像座標Cpoとを比較し、投影装置2の位置座標(不図示)、基準辺長Ls(図3参照)、基準距離Ds(図3参照)、傾きθyおよび傾きθpに基づいて、投影装置2から基準投影図形Fsの図心Gまでの投影距離Drを算出する。
【0051】
さらに、端末制御装置7は、投影位置画像Pvの基準投影図形Fs(図5の薄墨部分参照)における基準画像座標Cpsの位置座標である第1基準位置座標Cs1(x1、y1、z1)、第2基準位置座標Cs2(x2、y2、z2)、第3基準位置座標Cs3(x3、y3、z3)および第4基準位置座標Cs4(x4、y4、z4)と、正投影画像Poの基準投影図形Fs(図6の薄墨部分参照)おける正投影画像座標Cpoの位置座標である第1正投影位置座標Co1(x´1、y´1、z´1)、第2正投影位置座標Co2(x´2、y´2、z´2)、第3正投影位置座標Co3(x´3、y´3、z´3)および第4正投影位置座標Co4(x´4、y´4、z´4)と、を算出する。正投影位置座標Coのうち第1正投影位置座標Co1(x´1、y´1、z´1)は、基準位置座標Csのうち第1基準位置座標Cs1(x1、y1、z1)を正投影した座標である。同様に、第2正投影位置座標Co2(x´2、y´2、z´2)は、第2基準位置座標Cs2(x2、y2、z2)を正投影した座標である。第3正投影位置座標Co3(x´3、y´3、z´3)は、第3基準位置座標Cs3(x3、y3、z3)を正投影した座標である。第4正投影位置座標Co4(x4、y4、z4)は、第4基準位置座標Cs4(x´4、y´4、z´4)を投影した座標である。
【0052】
壁面算出行程S5
壁面算出行程S5として、端末制御装置7は、算出した第1基準位置座標Cs1(x1、y1、z1)・・第4基準位置座標Cs4(x4、y4、z4)および第1基準位置座標Cs1(x´1、y´1、z´1)・・および第4正投影位置座標Co4(x´4、y´4、z´4)を用いて、基準投影図形Fsが投影されている対象物の壁面Wの形状を示す式を算出する。投影方向Sの対象物の壁面W上のz座標を式(1)で規定した場合、各正投影位置座標Coのx´座標は、式(2)に示すように、対応する基準位置座標Csのx座標とy座標とによって表せる。同様に、各正投影位置座標Coのy´座標は、式(3)に示すように、対応する基準位置座標Csのx座標とy座標とによって表せる。なお、添え字のφは、第1基準位置座標Cs1(x1、y1、z1)から第4基準位置座標Cs4(x4、y4、z4)、および第1正投影位置座標Co1(x´1、y´1、z´1)から第4正投影位置座標Co4(x´4、y´4、z´4)のいずれかを表すものである。また、A0、B0、C0、A1、B1、C1、A2、B2、C2は係数である。
【数1】
【数2】
【数3】
【0053】
端末制御装置7は、第1正投影位置座標Co1(x´1、y´1、z´1)のx座標を式(2)の左辺に代入し、第1基準位置座標Cs1(x1、y1、z1)のx座標およびy座標を式(2)の右辺に代入する。さらに、端末制御装置7は、第1正投影位置座標Co1(x´1、y´1、z´1)のy座標を式(3)の左辺に代入し、第1基準位置座標Cs1(x1、y1、z1)のx座標およびy座標を式(3)の右辺に代入する。
【0054】
同様に、端末制御装置7は、第2正投影位置座標Co2(x´2、y´2、z´2)、第3正投影位置座標Co3(x´3、y´3、z´3)および第4正投影位置座標Co4(x´4、y´4、z´4)のx座標を式(2)の左辺にそれぞれ代入し、各x座標に対応するように第2基準位置座標Cs2(x2、y2、z2)、第3基準位置座標Cs3(x3、y3、z3)および第4基準位置座標Cs4(x4、y4、z4)のx座標およびy座標を式(2)の右辺にそれぞれ代入する。さらに、端末制御装置7は、第2正投影位置座標Co2(x´2、y´2、z´2)、第3正投影位置座標Co3(x´3、y´3、z´3)および第4正投影位置座標Co4(x´4、y´4、z´4)のy座標を式(3)の左辺にそれぞれ代入し、各y座標に対応するように第2基準位置座標Cs2(x2、y2、z2)、第3基準位置座標Cs3(x3、y3、z3)および第4基準位置座標Cs4(x4、y4、z4)のx座標およびy座標を式(3)の右辺にそれぞれ代入する。
【0055】
端末制御装置7は、各正投影位置座標Coと各基準位置座標Csとをそれぞれ代入した各式(2)各、式(3)から、係数A0、B0、C0、A1、B1、C1、A2、B2、C2を算出する。さらに、端末制御装置7は、算出した係数A0、B0、C0を式(1)に代入することで、対象物の壁面Wを式(1)で表す。
【0056】
このように、端末制御装置7は、撮影装置3に対する投影装置2の位置座標と方向、および投影装置2から基準距離Dsだけ離隔した仮想の投影面Vに投影された基準投影図形Fsに対する対象物の壁面Wに投影された基準投影図形Fsの形状の差異から、投影装置2から対象物の壁面Wまでの投影距離Drおよび壁面Wの形状として壁面Wの表面の三次元座標を表す式(1)を算出する。
【0057】
制御信号生成行程S6
制御信号生成行程S6として、端末制御装置7は、移動操作具6の操作信号を取得すると、撮影装置3の位置座標および係数A0、B0、C0が代入された式(1)に基づいて、作業装置のブームの制御信号を生成する。端末制御装置7は、例えば、投影装置2と、対象物の壁面Wに投影された基準投影図形Fsの図心Gとを結ぶ投影方向Sに沿って、照射された壁面から所定距離Dpだけ離れた位置まで作業装置のブーム先端を移動させる制御信号を生成する。また、端末制御装置7は、照射された部分から所定距離Dpだけ離れた状態で、対象物の壁面Wに投影された基準投影矢印Asの方向に移動させる制御信号を生成する。端末制御装置7は、生成した制御信号を作業装置のアクチュエータに送信する。
【0058】
このように構成される操作システム1は、投影装置2から対象物に基準投影図形Fsと基準投影矢印Asとを投影することで、作業者の視覚による把握が難しい壁面Wの形状を基準投影図形Fsの形状から算出することができる。また、操作システム1は、投影装置2と撮影装置3とがそれぞれ独立して構成されていても、ビュー変換、射影変換によって対象物の壁面Wを算出することができる。従って、作業者は、任意の位置から任意の方向の壁面Wに基準投影図形Fsと基準投影矢印Asとを投影するだけで、壁面Wの形状を基準として作業装置を操作することができる。また、操作システム1は、基準位置座標Csと正投影位置座標Coとから算出する壁面Wを表す式(1)を連続して算出することで、壁面Wが湾曲していても壁面Wに沿って一定の距離を保ってブームの先端を移動させることができる。これにより、操作システム1は、作業装置の操作端末の利便性を向上させ、直感的に作業装置を制御することができる。
【0059】
また、本実施形態において、操作システム1は、投影装置2と撮影装置3とはそれぞれ独立した別個の装置として構成されているが、投影装置2と撮影装置3とを一体に構成してもよい。
【0060】
図7に示すように、撮影装置3は、作業者が携帯した状態で基準投影図形Fsと基準投影矢印Asとを投影可能な投影装置2と一体に構成されている。撮影装置3の撮影方向は、投影装置2の投影方向Sと一致するように構成されている。操作システム1は、計測操作具5が操作されると、投影装置2から基準投影図形Fsと基準投影矢印Asとが投影されるとともに、撮影装置3が対象物の壁面Wに投影された基準投影図形Fsを撮影するように構成されている。
【0061】
このように構成することで、撮影装置3は、投影装置2が基準投影図形Fsと基準投影矢印Asとを投影している位置から基準投影図形Fsと基準投影矢印Asとを撮影する。つまり、撮影装置3は、投影位置画像Pvを撮影している。従って、操作システム1の端末制御装置7は、撮影装置3から取得した基準投影図形Fsと基準投影矢印Asとを既知の回転行列(ビュー変換行列)によって投影位置からの画像である投影位置画像Pvに変換する視点位置変換行程S2を実施する必要が。これにより、操作システム1は、座標変換時の誤差の発生を防止するとともに、端末制御装置7の計算負荷を低減することができる。また、作業者は、対象物の壁面Wに基準投影図形Fsを投影するだけで基準投影図形Fsと基準投影矢印Asとの撮影を同時におこなうことができる。操作システム1は、投影装置2、撮影装置3および位置検出装置4を一体に構成することで、作業装置の操作端末の利便性をさらに向上させ、直感的に作業装置を制御することができる。
【0062】
また、本実施形態において、操作システム1は、投影装置2と計測操作具5および移動操作具6とはそれぞれ独立した別個の装置として構成されているが、投影装置2と計測操作具5および移動操作具6とを一体に構成してもよい。
【0063】
図8に示すように、計測操作具5と移動操作具6とは、作業者が携帯した状態で基準投影図形Fsと基準投影矢印Asとを投影可能な投影装置2と一体に構成されている。操作システム1は、投影装置2が対象物の壁面Wに向けられた状態で計測操作具5が操作されると、投影装置2から基準投影図形Fsと基準投影矢印Asとが投影されるとともに、別個に設けられた撮影装置3が対象物の壁面Wに投影された基準投影図形Fsを撮影するように構成されている。さらに、操作システム1は、移動操作具6が操作されると、投影装置2によって基準投影図形Fsと基準投影矢印Asとが投影されている壁面Wの方向に作業装置を移動させる制御信号を生成するように構成されている。
【0064】
このように構成することで、操作システム1は、投影装置2の操作と計測操作具5および移動操作具6の操作を一連の操作として行うことができる。これにより、操作システム1は、投影装置2、計測操作具5、移動操作具6および位置検出装置4を一体に構成することで、作業装置の操作端末の利便性をさらに向上させ、直感的に作業装置を制御することができる。
【0065】
さらに、操作システム1は、撮影装置3、投影装置2、位置検出装置4、計測操作具5および移動操作具6を一体に構成してもよい。このように構成することで、操作システム1は、視点位置変換行程S2を削減し、座標変換時の誤差を抑制するとともに、端末制御装置7の計算負荷を低減する、さらに、操作システム1は、投影装置2の操作と計測操作具5および移動操作具6の操作を一連の操作として行うことができる。これにより、操作システム1は、作業装置の操作端末の利便性をさらに向上させ、直感的に作業装置を制御することができる。
【0066】
次に、図9図10とを用いて、本発明の操作システム1によって操作される作業車両の第1実施形態である高所作業車11について説明する。以下の実施形態において、作業車両として高所作業車11を用いて説明するが、トラッククレーン等の旋回台とブームを備える作業車両であればよい。なお、以下の各実施形態に係る操作システム1は、図1から図8に示す操作システム1において、操作システム1に替えて適用されるものとして、その説明で用いた名称、図番、符号を用いることで、同じものを指すこととし、以下の実施形態において、既に説明した実施形態と同様の点に関してはその具体的説明を省略し、相違する部分を中心に説明する。
【0067】
図9に示すように、高所作業車11は、高所に作業者を配置するための作業車である。高所作業車11は、車両12、作業装置である高所作業装置15を有する。高所作業車11は、携帯操作端末34によって操作可能に構成されている。
【0068】
車両12は、高所作業装置15を搬送する走行体である。車両12は、フレーム12aに運転室12b、複数の車輪13が設けられ、動力源である図示しないエンジンが搭載されている。車両12は、エンジンの駆動力を複数の車輪13に伝達して走行するように構成されている。車両12には、アウトリガ14が設けられている。アウトリガ14は、車両12の幅方向両側に油圧によって延伸可能な張り出しビームと地面に垂直な方向に延伸可能な油圧式のジャッキシリンダとから構成されている。車両12は、アウトリガ14を車両12の幅方向に延伸させるとともにジャッキシリンダを接地させることにより、高所作業車11の作業可能範囲を広げることができる。
【0069】
高所作業装置15は、作業者が搭乗するバケット19を高所まで持ち上げる装置である。高所作業装置15は、旋回台16、ブーム18、バケット19、車両制御装置24(図10参照)を具備する。
【0070】
旋回台16は、高所作業装置15を旋回させる装置である。旋回台16は、円環状の軸受の中心を回転中心として回転自在に構成されている。また、旋回台16は、アクチュエータである旋回用油圧モータ17が設けられている。旋回台16は、旋回用油圧モータ17によって一方向と他方向とに旋回可能に構成されている。
【0071】
旋回用油圧モータ17は、電磁比例切換弁である旋回用バルブ25(図10参照)によって回転操作される。旋回用バルブ25は、旋回用油圧モータ17に供給される作動油の流量を任意の流量に制御することができる。旋回台16には、旋回台16の基準位置からの旋回角度を検出する旋回用センサ30(図10参照)が設けられている。
【0072】
ブーム18は、バケット19を支持する梁部材である。ブーム18は、複数のブーム部材から構成されている。ブーム18は、各ブーム部材を図示しない伸縮用油圧シリンダで移動させることで伸縮自在に構成されている。伸縮用油圧シリンダは、電磁比例切換弁である伸縮用バルブ26(図10参照)によって伸縮操作される。ブーム18は、ブーム部材の基端が旋回台16上に揺動可能に設けられている。ブーム18には、ブーム長さを検出する伸縮用センサ31(図10参照)が設けられている。
【0073】
作業床であるバケット19は、作業者の作業空間を確保する箱状部材である。バケット19は、内部に作業者が乗り込むように構成されている。バケット19は、支持機構19aを介してブーム18の先端に支持されている。支持機構19aは、図示しないバケット用油圧モータで回転させることでバケット19を水平方向に揺動(スイング)自在に構成している。バケット用油圧モータは、電磁比例切換弁である揺動用バルブ28(図10参照)によって回転操作される。バケット19には、バケット19の基準位置からのバケット角度を検出する揺動用センサ33(図10参照)が設けられている。
【0074】
バケット19には、旋回台16の旋回操作、ブーム18の伸縮操作を行う旋回伸縮操作具20、ブーム18の起伏操作を行う起伏操作具21等が設けられている。
【0075】
起伏用油圧シリンダ22は、ブーム18を起立および倒伏させ、ブーム18の姿勢を保持する油圧アクチュエータである。起伏用油圧シリンダ22は、電磁比例切換弁である起伏用バルブ27(図10参照)によって伸縮操作される。起伏用油圧シリンダ22は、基部が旋回台16に揺動自在に連結され、ロッド先端がブーム18に揺動自在に連結されている。起伏用油圧シリンダ22には、ブーム18の起伏角度を検出する起伏用センサ32(図10参照)が設けられている。
【0076】
図10に示すように、車両通信装置23は、携帯操作端末34からの制御信号等を受信する装置である。車両通信装置23は、携帯操作端末34からの制御信号を受信すると車両制御装置24に転送するように構成されている。
【0077】
高所作業車11の位置情報とは、高所作業車11におけるブーム18の先端の位置座標、旋回台16の回転中心における位置座標およびバケット19の旋回伸縮操作具20、起伏操作具21等が設けられている側面が向いている一端部を含む情報とする。高所作業車11の姿勢情報とは、高所作業車11における旋回台16の旋回角度、ブーム18の起伏角度およびブーム18の長さおよびバケット19の揺動角度を言う。
【0078】
高所作業車11の制御装置である車両制御装置24は、各操作弁を介して高所作業車11や高所作業装置15のアクチュエータを制御する装置である。つまり、車両制御装置24は、高所作業装置15の制御装置である。車両制御装置24は、実体的には、CPU、ROM、RAM、HDD等がバスで接続される構成であってもよく、あるいはワンチップのLSI等からなる構成であってもよい。車両制御装置24は、各アクチュエータ、切換え弁、センサ等の動作を制御するために種々のプログラムやデータが格納されている。車両制御装置24は、高所作業装置15(図9参照)に設けられている。
【0079】
車両制御装置24は、旋回伸縮操作具20、起伏操作具21に接続され、旋回伸縮操作具20、起伏操作具21のそれぞれの操作信号を取得することができる。
【0080】
車両制御装置24は、車両通信装置23に接続され、携帯操作端末34からの制御信号を取得することができる。そして、車両制御装置24は、高所作業車11の位置情報と姿勢情報を携帯操作端末34に送信することができる。
【0081】
車両制御装置24は、旋回用バルブ25、伸縮用バルブ26、起伏用バルブ27および揺動用バルブ28に接続され、旋回用バルブ25、伸縮用バルブ26、起伏用バルブ27および揺動用バルブ28に制御信号を伝達することができる。
【0082】
車両制御装置24は、旋回用センサ30、伸縮用センサ31、起伏用センサ32および揺動用センサ33に接続され、旋回台16の旋回角度、ブーム18の起伏角度、ブーム長さ、バケット19の揺動角度等の姿勢情報を取得することができる。
【0083】
車両制御装置24は、後述する位置検出装置4に接続され、高所作業車11にけるバケット19の位置座標を高精度で取得することができる。また、車両制御装置24は、旋回台16の旋回操作、ブーム18の伸縮操作および起伏操作によって複数の位置座標とそれぞれの姿勢情報を取得することで、旋回台16の回転中心における位置座標を高精度で算出することができる。
【0084】
車両制御装置24は、旋回伸縮操作具20および起伏操作具21の操作信号に基づいて各操作具に対応した制御信号を生成することができる。
【0085】
このように構成される高所作業車11は、車両12を走行させることで任意の位置に高所作業装置15を移動させることができる。また、高所作業車11は、ブーム18を任意の起伏角度に起立させて、ブーム18を任意のブーム長さに延伸させて高所作業装置15のバケット19の移動範囲を拡大することができる。
【0086】
以下に、図8から図11を用いて、携帯操作端末34を含む操作システム1について説明する。操作システム1は、投影装置2、撮影装置3、位置検出装置4、計測操作具5、移動操作具6、端末制御装置7および携帯操作端末34を備える。本実施形態において、携帯操作端末34は、高所作業車11を遠隔操作するものとして説明するが、旋回台16とブーム18を有する作業車両であるトラッククレーン等を遠隔操作する構成であればよい。なお、以下の実施形態での携帯操作端末34のスイッチ操作等は、一例を示しており、実施形態に記載されている操作以外の操作方法でもよい。
【0087】
図9に示すように、撮影装置3は、投影装置2が投影した図形等を撮影する装置である。撮影装置3は、高所作業装置15のバケット19に設けられている。撮影装置3は、任意の位置に投影される図形等を撮影するために撮影装置3を中心として360度の範囲を撮影可能に構成されている。
【0088】
撮影位置検出装置4bは、撮影装置3の位置座標と撮影方向を算出するための位置座標を検出する。撮影位置検出装置4bは、複数のGNSS受信機から構成されている。撮影位置検出装置4bは、撮影装置3の内部に設けられている。撮影位置検出装置4bを構成する複数のGNSS受信機は、撮影装置3における所定の位置に配置されている。つまり、撮影位置検出装置4bは、撮影装置3の位置座標と撮影方向、および高所作業装置15のバケット19の位置座標を検出する。なお、撮影装置3は、GNSS受信機と撮影装置3の方位センサ等との組み合わせによって、撮影装置3の位置座標と撮影方向を算出してもよい。
【0089】
図11(A)、(B)に示すように、携帯操作端末34は、バケット19の移動方向を設定し、バケット19を移動させる操作具である。携帯操作端末34には、筐体35、投影装置2、投影位置検出装置4a、計測操作具5、移動操作具6、端末通信装置29(図10参照)および端末制御装置7が設けられている。
【0090】
筐体35は、携帯操作端末34の主な構成部品である。筐体35は、片手で把持可能、且つ投影装置2による投影方向Sが認識可能な形状に形成されている。本実施形態において、筐体35は、片手で把持可能な所定長さの筒形状に形成されている。また、本実施形態において、携帯操作端末34は、筐体35の軸線が投影方向Sに定められているものとする。
【0091】
投影装置2は、投影方向Sに向けて基準投影図形Fsと基準投影矢印Asとを投影する。投影装置2は、筐体35の一端部に設けられている。投影装置2は、筐体35の一端部から投影方向Sに沿って筐体35の外側にレーザー等を照射するように配置されている。投影方向Sとは、投影装置2のレーザー等の照射方向であり、筐体35の軸線に沿って筐体35の一端部から筐体35の外側に向かう方向を言う。すなわち、投影方向Sとは、筐体35の一端部が向けられた方向を言う。
【0092】
投影位置検出装置4aは、投影装置2の位置座標と投影方向Sを算出するための位置座標を検出する。投影位置検出装置4aは、複数のGNSS受信機から構成されている。投影位置検出装置4aは、筐体35の内部に設けられている。投影位置検出装置4aを構成する複数のGNSS受信機は、筐体35における所定の位置に離隔して配置されている。つまり、投影位置検出装置4aは、筐体35を基準として投影装置2の位置座標と投影方向Sを検出する。なお、投影装置2の位置座標と投影方向Sは、2台の360度カメラによって構成されている撮影装置3によって携帯操作端末34を撮影することで算出してもよい。
【0093】
計測操作具5は、筐体35の側面に設けられている。計測操作具5は、押圧操作によって投影装置2をレーザー等の照射を行うON状態に切り替える。また、計測操作具5は、押圧操作を止めるとばね等の力により投影装置2をレーザー等の照射を停止するOFF状態に切り替える。さらに、計測操作具5は、押圧操作によって撮影装置3による撮影を開始する操作信号を、端末通信装置29を介して端末制御装置7に送信する。つまり、操作システム1は、計測操作具5の押圧操作によって、基準投影図形取得行程S1、視点位置変換行程S2、正投影画像取得行程S3、位置座標算出行程S4および壁面算出行程S5(図2参照)を実施するように構成されている。
【0094】
移動操作具6は、筐体35の側面に設けられている。移動操作具6は、第1操作位置P1における押圧操作によって、基準投影図形Fsと基準投影矢印Asとが投影されている対象物の壁面Wから所定の距離までバケット19を移動させる操作信号を、端末通信装置29を介して端末制御装置7に送信する。また、移動操作具6は、第2操作位置P2における押圧操作によって、対象物の壁面Wから所定の距離を保ちながら基準投影矢印Asの方向に移動させる操作信号を、端末通信装置29を介して端末制御装置7に送信する。また、移動操作具6は、押圧操作を止めるとばね等の力によりバケット19を移動させる操作信号の端末制御装置7への送信を停止する。つまり、操作システム1は、移動操作具6の操作によって、制御信号生成行程S6を実施するように構成されている。
【0095】
図10図11(A)、(B)とに示すように、端末通信装置29は、高所作業車11の車両制御装置24から高所作業装置15の姿勢情報を含む位置情報を受信し、車両制御装置24に御信号等を送信する装置である。端末通信装置29は、筐体35の内部に設けられている。端末通信装置29は、車両制御装置24からの位置情報を受信すると端末制御装置7に転送するように構成されている。
【0096】
図10に示すように、端末制御装置7は、高所作業装置15の制御信号を生成する装置である。端末制御装置7は、筐体35内に設けられている。端末制御装置7は、各アクチュエータ、切換え弁、センサ等の動作を制御するために種々のプログラムやデータが格納されている。
【0097】
端末制御装置7は、端末通信装置29を介して車両制御装置24に接続され、車両制御装置24から高所作業装置15の位置情報および姿勢情報を取得し、車両制御装置24に制御信号を送信することができる。
【0098】
端末制御装置7は、端末通信装置29を介して撮影装置3に接続され、撮影装置3が撮影した画像を取得し、撮影装置3に制御信号を送信するこができる。
【0099】
以上のように構成される携帯操作端末34の端末制御装置7は、計測操作具5の操作によって、携帯操作端末34から基準投影図形Fsと基準投影矢印Asとが投影されている対象物の壁面Wの位置座標を算出する。また、端末制御装置7は、移動操作具6の操作によって、投影方向Sに高所作業車11のバケット19を移動させる制御信号を車両制御装置24に送信する。
【0100】
次に、図2図6図12および図13を用いて、携帯操作端末34における高所作業装置15のバケット19の制御について説明する。高所作業装置15を操作する作業者は、操作対象である高所作業装置15のバケット19に搭乗しているものとする。また、作業者は、携帯操作端末34を手で保持しているものとする。
【0101】
図12に示すように、作業者は、高所作業車11のバケット19を移動させたい方向の対象物である壁面Wに携帯操作端末34の投影方向Sを向けた状態で携帯操作端末34の計測操作具5を操作する。
【0102】
端末制御装置7は、計測操作具5の操作信号を取得すると、投影装置2による基準投影図形Fsと基準投影矢印Asとの投影を開始する。同時に、端末制御装置7は、撮影装置3によって対象物の壁面Wに投影された基準投影図形Fsと基準投影矢印Asとを撮影する。端末制御装置7は、撮影装置3が撮影した画像を取得する(基準投影図形取得行程S1(図2参照))。
【0103】
端末制御装置7は、端末通信装置29を介して撮影位置検出装置4bから撮影装置3の位置座標を取得する。さらに、端末制御装置7は、投影位置検出装置4aから投影装置2の位置座標を取得する。端末制御装置7は、取得した投影装置2の位置座標から投影装置2の投影方向Sを算出する。
【0104】
図2図6とに示すように、端末制御装置7は、取得した基準投影図形Fsと基準投影矢印Asとを投影位置画像Pvに変換する視点位置変換行程S2、投影位置画像Pvを正投影画像Poに射影変換する正投影画像取得行程S3、正投影画像座標Cpoの第1正投影位置座標Co1(x1、y1、z1)・・第4正投影位置座標Co4(x4、y4、z4)を算出する位置座標算出行程S4、対象物の壁面W上の位置座標である第1基準位置座標Cs1(x1、y1、z1)・・第4基準位置座標Cs4(x4、y4、z4)および第1基準位置座標Cs1(x´1、y´1、z´1)・・および第4正投影位置座標Co4(x´4、y´4、z´4)から上述の式(1)を算出する壁面算出行程S5を実施する。
【0105】
端末制御装置7は、移動操作具6の操作信号を取得すると、式(1)に基づいて、移動操作具6の操作状態に応じた高所作業装置15のブーム18の制御信号を生成し、端末通信装置29を介して車両制御装置24に送信する制御信号生成行程S6を実施する。
【0106】
図13(A)に示すように、高所作業車11の車両制御装置24は、携帯操作端末34の端末制御装置7からの制御信号を取得すると、高所作業装置15の各アクチュエータを制御する各バルブに制御信号を送信する。移動操作具6が第1操作位置P1(図11参照)において押圧操作された場合、車両制御装置24は、バケット19を対象物の壁面Wから所定の距離まで移動させる。
【0107】
図13(B)に示すように、移動操作具6が第2操作位置P2(図11参照)において押圧操作された場合、車両制御装置24は、バケット19を対象物の壁面Wから所定の距離を保ちながら基準投影矢印Asの方向に移動させる。移動操作具6の押圧操作が中止された場合、車両制御装置24は、バケット19の移動を中止させる。
【0108】
このように構成される携帯操作端末34は、任意の場所から移動させたい方向の対象物に基準投影図形Fsを投影させるだけでよい。操作システム1は、携帯操作端末34の計測操作具5と移動操作具6との押圧操作によって投影装置2、撮影装置3、バケット19の移動態様が定められている。これにより、操作システム1は、様々な制御信号を携帯操作端末34の単純な動きで生成するので、高所作業装置15の操作端末の利便性を向上させ、直感的に高所作業装置15を制御することができる。
【0109】
また、携帯操作端末34は、高所作業車11のバケット19と一体に移動している場合、バケット19の移動方向に向けられた携帯操作端末34の投影方向Sの対象物までの距離を算出するので、移動方向に存在する対象物との接触が抑制される。つまり、高所作業車11は、対象物からの距離を制御条件としてバケット19の作動態様が制御される。これにより、高所作業装置15の操作端末の利便性を向上させ、直感的に作業車両を操作することができる。
【0110】
また、高所作業車11は、携帯操作端末34によって対象物に図形等を投影し、計測操作具5、移動操作具6の押圧操作だけで、対象物の壁面Wから所定の距離までバケット19を自動的に移動させたり、所定の距離を保ちながら壁面Wに沿って移動させたりすることができる。従って、バケット19内の作業者は、バケット19を壁面Wに沿わせて移動させるために旋回伸縮操作具20および起伏操作具21を連動させてそれぞれ同時に操作する必要がない。これにより、高所作業車11は、操作システム1によって高所作業装置15の操作端末の利便性を向上させ、直感的に高所作業装置15を制御することができる。
【0111】
なお、本実施形態において、携帯操作端末34は、バケット19内の作業者によって操作されているが、地上にいる作業者によって操作されてもよい。また、携帯操作端末34で操作される作業車両は、旋回台16と起伏可能なブーム18を有するトラッククレーン等の作業車両であればよい。
【0112】
次に、図1図9および図14を用いて、本発明の操作システム1によって操作される作業車両である高所作業車の第2実施形態である高所作業車11Aについて説明する。高所作業車11Aは、図9に記載の高所作業車11のバケット19を図14のバケット36に置き換えたものである。
【0113】
図1図14とに示す高所作業車11Aの操作システム1は、投影装置2、撮影装置3、バケット位置検出装置37、計測操作具5、移動操作具6および端末制御装置7(図1参照)を備える。操作システム1は、撮影装置3と投影装置2とが高所作業装置15(図9参照)に設けられている。
【0114】
投影装置2は、高所作業装置15(図9参照)におけるバケット36の所定の位置に設けられている。投影装置2は、バケット36の一端部から投影方向Sに沿ってバケット36の外側にレーザー等を照射するように配置されている。これにより、投影装置2は、バケット36の一端部から投影方向Sの対象物に基準投影図形Fs(図3参照)を投影する。
【0115】
撮影装置3は、投影装置2が投影した図形等を撮影する装置である。撮影装置3は、バケット36に設けられている。撮影装置3は、任意の位置に投影される図形等を撮影するために撮影装置3を中心として360度の範囲を撮影可能に構成されている。撮影装置3の撮影方向は、投影装置2の投影方向Sと一致するように構成されている。操作システム1は、計測操作具5が操作されると、投影装置2から基準投影図形Fsと基準投影矢印Asとが投影されるとともに、撮影装置3が対象物の壁面Wに投影された基準投影図形Fsを撮影するように構成されている。このように、投影装置2と撮影装置3とをバケット36に設けることで、撮影装置3に対する投影装置2の位置が一定に定まる。
【0116】
バケット位置検出装置37は、バケット36の位置座標を検出する。バケット位置検出装置37は、複数のGNSS受信機から構成されている。バケット位置検出装置37は、バケット36の所定の位置に設けられている。これにより、バケット位置検出装置37は、検出したバケット36の位置座標に基づいて、バケット36の所定に位置に設けられている投影装置2の位置座標および撮影装置3の位置座標を検出している。
【0117】
計測操作具5と移動操作具6とは、バケット36の一端部に設けられている。計測操作具5と移動操作具6とは、作業者がバケット36内から基準投影図形Fsの投影方向Sに向かって操作可能な位置に配置されている。つまり、計測操作具5と移動操作具6とは、投影装置2の投影方向に向いた作業者が操作可能に構成されている。
【0118】
端末制御装置7(図1参照)は、高所作業装置15(本実施形態においてバケット36)に設けられている。端末制御装置7は、各アクチュエータ、切換え弁、センサ等の動作を制御するために種々のプログラムやデータが格納されている。なお、端末制御装置7は、車両制御装置24(図10参照)と一体に構成されていてもよい。
【0119】
操作システム1は、バケット位置検出装置37によるバケット36の位置座標を検出するだけで投影装置2および撮影装置3の位置座標を算出することができる、従って、作業者は、バケット36の操作によりバケット36の一端部を対象物の壁面Wに向けて基準投影図形Fsを投影するだけで、対象物の壁面Wに沿って作業装置を移動させることができる。これにより、高所作業車11は、操作システム1によって高所作業装置15の操作端末の利便性を向上させ、直感的に作業装置を制御することができる。
【0120】
上述の実施形態は、代表的な形態を示したに過ぎず、一実施形態の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
【符号の説明】
【0121】
1 操作システム
2 投影装置
3 撮影装置
4 位置検出装置
5 計測操作具
6 移動操作具
7 端末制御装置
W 壁面
Ds 基準距離
Ps 基準投影画像
Fs 基準投影図形
Ls 基準辺長
Cps 基準画像座標
Cs 基準位置座標
P 投影画像
Pv 投影位置画像
Po 正投影画像
Cpo 正投影画像座標
Co 正投影位置座標
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14