(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】営巣防止装置
(51)【国際特許分類】
A01M 29/32 20110101AFI20240814BHJP
【FI】
A01M29/32
(21)【出願番号】P 2020098713
(22)【出願日】2020-06-05
【審査請求日】2023-05-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】戸田 浩幸
(72)【発明者】
【氏名】木下 聖基
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-043795(JP,A)
【文献】特開2010-063449(JP,A)
【文献】登録実用新案第3214169(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2018/0055038(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 29/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄塔に、マグネットの磁力により固着される台座と、
前記台座に立設された支柱と、
前記支柱に対して斜め下方に伸びるように設けられた忌避棒と、を有し、
前記忌避棒は、前記支柱に対して前記支柱の軸心周りに回動可能となっているとともに、前記忌避棒を、前記回動方向の所望の位置で位置決めする位置決め手段が設けられ、
前記忌避棒が前記支柱に対して傾動自在であるとともに、所望の位置で前記傾動が抑止される傾動抑止手段が設けられ、
前記忌避棒が複数であって、前記忌避棒それぞれの前記支柱に対する傾角を変えることができる、
ことを特徴とする営巣防止装置。
【請求項2】
前記忌避棒が伸縮自在にされた、
ことを特徴とする請求項1に記載の営巣防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、鳥類が鉄塔などの周り(なお、送電線などの鉄塔や電柱に限らず、通信線の電柱やアンテナであっても良い)に巣を作るのを防止する営巣防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラスなどの鳥類が、春先に鉄塔などに巣を作ることで、送電線(配電線)停電事故が発生するケースが後を絶たない。このため、巡視点検などで巣を見つけた場合には、巣を撤去して、風車や針式の鳥害防止具などを腕金などに取り付け、鳥類が巣を作るのを防止している。しかしながら、このような防止策を施しても、次から次に営巣場所を変えられたり、鳥類が慣れたりするため、実効的に防止することが困難であった。
【0003】
一方、鉛直に配した幹体に複数本の枝棒が所定角度で放射状に拡がって支持し、枝棒を必要な空間に自由に延設することで、営巣を防止する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、本願発明者は、詳細な観察・調査、考察の結果、カラスなどは、鉄塔にとまり、そこから枝などの営巣材を落とし、鉄骨や連結板などに引っかかった営巣材を基にして下地を作り、その中に巣を作ることが確認された。
【0006】
このため、上記の特許文献1の技術では、下方を向いた枝棒には営巣材は引っ掛かりにくいが、枝棒が鉄骨や連結板などと交差した箇所では営巣材が引っ掛かってしまうことがあり、これを下地として巣を作ってしまう場合がある。つまり、営巣を効果的に防止することができない。
【0007】
また、一度、営巣防止装置を設置してしまうと、その設置場所が有効でなかった場合に簡単に移動することができず、さらに、現場の状況に合わせて設置状態、或いは枝棒などの配置、形状を変更することができないという問題もあった。
【0008】
そこでこの発明は、営巣をより効果的に防止することが可能な営巣防止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、鉄塔に、マグネットの磁力により固着される台座と、前記台座に立設された支柱と、前記支柱に対して斜め下方に伸びるように設けられた忌避棒と、を有し、前記忌避棒は、前記支柱に対して前記支柱の軸心周りに回動可能となっているとともに、前記忌避棒を、前記回動方向の所望の位置で位置決めする位置決め手段が設けられ、前記忌避棒が前記支柱に対して傾動自在であるとともに、所望の位置で前記傾動が抑止される傾動抑止手段が設けられ、前記忌避棒が複数であって、前記忌避棒それぞれの前記支柱に対する傾角を変えることができる、ことを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、マグネットの磁力で鉄塔に固着でき、各忌避棒の向きを変更可能となる。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1に記載の営巣防止装置において、前記忌避棒が伸縮自在にされた、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、マグネットで鉄塔に固着したので、適宜、設置場所の移動が簡単に行なうことができ、支柱に対して回転自在に忌避棒を設け、さらにその位置決め手段を設けたので忌避棒を所定の箇所にセッティングすることが容易で、かつ鳥等が触れても動くことはなくその状態を維持することができるため、恒久的かつ効率的に営巣防止することが可能となる。
【0014】
請求項1の発明によれば、忌避棒を支柱に対して傾動自在に設け、かつ、その傾動を抑止する抑止手段を設けたので、さらに、広い範囲でかつ効率的に営巣防止することが可能となる。
【0015】
請求項2の発明によれば、忌避棒を伸縮自在にしたので、さらに、広い範囲でかつ効率的に営巣防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図2~
図4と共にこの発明の実施の形態1に係る営巣防止装置を示すもので、本図は正面図である。
【
図4】鉄塔の
図3とは別の場所に設置した状態を示す平面図である。
【
図5】
図6、
図7と共にこの発明の実施の形態2に係る営巣防止装置を示すもので、本図は正面図である。
【
図6】営巣防止装置を鉄塔に設置した状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0018】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1に係る営巣防止装置1を示す正面図である。この営巣防止装置1は、鳥類が鉄塔30、腕金(腕部材)などに巣を作るのを防止する装置であり、主として、鉄塔30に固着される台座11と、台座11に立設された支柱12と、支柱12から放射状にかつ斜め下方に伸びる忌避棒13と、を備えており、例えば、全高が30~40cmに形成されている。
【0019】
台座11は、ブロック状の台の底面隅部から下方に伸びる脚部が形成され、各脚部にマグネット15及び鉄ヨーク板16が設けられている。
【0020】
マグネット15は、断面コ字状の鉄ヨーク板16の奥部に取着され、鉄ヨーク板16の先端部が上記脚部の底面と面一か又は僅かに突出するように設けられている。
【0021】
これにより、鉄ヨーク板16の先端部における吸着力はマグネット15単体よりも増して、鉄塔30に対して強力な吸着力で固着することができる。
【0022】
また、台座11の底面に脚部を設け、該脚部にマグネット15、鉄ヨーク板16を設けたので、鉄ヨーク板16の下面と台座11の底面との間に空間ができ、設置場所である連結板32にナット31などがあった場合でも、上記空間にナット31を位置させることで、設置することができる。
【0023】
支柱12は、長さに下から2/3が太径部(例えば、φ17mm)に、該太径部からその上部が細径部(例えば、φ10mm)に、さらに細径部の全体の上部1/3がネジ部に形成されている(図示は省略する)。
【0024】
支柱12の細径部には、ややきつめに嵌合された筒体14が設けられ、該筒体14には互いに反対方向に伸びる2つの忌避棒13が設けられている。
【0025】
忌避棒13は、筒体14の外周面に縦方向に伸びるように形成されたスリットにその基端部が圧入され、圧入方向に対して直交する方向に伸びる支軸で、忌避棒13の基端部が支持され、これにより、忌避棒13は筒体14に対して上下方向に傾動自在に設けられている。また、上述のように、忌避棒13はその基端が筒体14のスリットに圧入されているため、忌避棒13を支柱12に対して傾動させて所望の角度にしたときに、その角度を維持することができ、また、鳥等が忌避棒13に接触しても容易には動かないようになっている。このように忌避棒13の基端をスリットに圧入することで、傾動を抑止する傾動抑止手段として機能する。
【0026】
このような忌避棒13は、前記支柱12の全高が30~40cmの場合、例えば、その長さ50cmに形成されている。
【0027】
2つの忌避棒13を備えた筒体14は、支柱12に対して上下に2つ設けられており、全部で4つの忌避棒13が支柱12から斜め下方に伸びるように位置されている。
【0028】
2つの筒体14の上部には長目な袋ナット状の先端キャップ17が支柱12のネジ部に螺合されており、該先端キャップ17をねじ込むことで、上記2つの筒体14が下方に押され、太径部と細径部との間の段差部に押し付けられることで固定される。筒体14は支柱12の細径部にきつめに嵌合されているが、上記先端キャップ17をねじ込むことで、よりその固着状態を強固にすることができ、先端キャップ17は忌避棒13の支柱12に対する回転方向における位置決め手段として機能する。
【0029】
これにより、忌避棒13を所望の箇所に位置させたときに簡単には動かないため、鳥等が営巣のため当該箇所に飛来し、忌避棒13に触れても忌避棒13は動かず、結局、忌避棒13が邪魔して当該箇所での営巣を防止することができる。
【0030】
また、先端キャップ17を緩めて筒体14を回転可能とし、筒体14の回転により忌避棒13の向きを変えたり、支柱12に対して傾動させることで、忌避棒13を所望する箇所を簡単に位置させることができる。
【0031】
次に、営巣防止装置1の鉄塔30への設置について説明する。
【0032】
先ず、営巣されそうな場所、例えば、鉄骨と鉄骨を連結するための連結板32(鉄塔30の一部)が水平となっており、かつ、ある程度の面積を有する箇所に台座11を固着する。
【0033】
このとき、連結板32にボルトの頭やナット31などがあっても、上述のように台座11の下面に空間を設けたので、この空間にボルトの頭やナット31などを位置させることで、これらと干渉することなく連結板32の任意の箇所へ営巣防止装置1を取付けることができ、忌避棒13を所望の箇所に位置させることができる。
【0034】
忌避棒13のセッティングに当たっては、先端キャップ17を緩めて筒体14を支柱12に対して回動させたり、或いは忌避棒13を支柱12に対して傾動させることで行う。
【0035】
例えば、1つの筒体14に設けられた2つの忌避棒13のうち、一方の忌避棒13を所望の箇所に位置させたときに他方の忌避棒13が鉄塔30などに衝突してしまうことがある。このような場合、他方の忌避棒13の傾斜角を変更することで、鉄骨への衝突を回避することができる場合がある。
【0036】
もちろん、このセッティングをしても忌避棒13が所望する箇所に位置させることができないときは、台座11の設置場所を変更して行う。このとき、台座11はマグネット15、鉄ヨーク板16の磁力による吸着であり容易に位置を変更することができる。
【0037】
図3は、営巣防止装置1を連結板32(鉄塔30)が水平で、ある程度の面積を有し、やや縦長(
図3において上下方向に長い)な箇所に、設置した状態を示す。
【0038】
このような場所に営巣防止装置1を設置する場合は、設置する連結板32の形状が一方向に長いため、平面視で、一方の筒体14の忌避棒13と他方の筒体14の忌避棒13との開き角を均等でなく、広い角と狭い角とになるようにして、かつ、各忌避棒13を支柱12に対して傾動することで、各忌避棒13ができるだけ所望の箇所に位置するようにする。これにより、鳥等は忌避棒13があることにより営巣できず、その場から去ることになる。
【0039】
図3において、同じ筒体14に設けられた2つの忌避棒13の長さが異なって見えるのは、短く見える忌避棒13を他の忌避棒13よりも垂直に近くなるように傾動させているためである。
【0040】
図4は、平面視で、ほぼ正方形の1つの角部が斜めにカットされた形状の連結板32(鉄塔30)に営巣防止装置1を設置した状態を示す。
【0041】
このような場所に営巣防止装置1を設置する場合は、設置する形状がほぼ正方形に近いため、平面視で、一方の筒体14の忌避棒13と他方の筒体14の忌避棒13との開き角を均等にして、かつ、各忌避棒13を支柱12に対して傾動することで、各忌避棒13ができるだけ所望の箇所に位置するようにする。これにより、鳥等は忌避棒13があることにより営巣できず、その場から去ることになる。
【0042】
図4において、右肩下がりの方向に伸びる2つの忌避棒13の長さが異なって見えるのは、短く見える忌避棒13を他の忌避棒13よりも垂直に近くなるように傾動させているためである。
【0043】
以上のように、実施の形態1に係る営巣防止装置1にあっては、営巣を妨げる各忌避棒13が斜め下方に伸びているので、鳥等が巣材を上方から落としても、忌避棒13に引っ掛かることはなく、よって、営巣を助成するような巣材の蓄積が行われることを防止することができる。
【0044】
また、台座11に設けたマグネット15の磁力で鉄塔3に固着したので、適宜、移動することが可能で、設置場所を自由に選択することができ、営巣されそうな場所に当該営巣防止装置1を簡単に設置したり、或いは設置場所を簡単に移動することができる。
【0045】
さらに、忌避棒13を支柱12に対して回動可能にするとともに、先端キャップ17をねじ込むことによりその位置決め状態を保持し、鳥等が触れても移動することはないので、所望する箇所に位置せしめた忌避棒13を保持することができ、よって、営巣を恒久的に防止することができる。
【0046】
さらにまた、2本で一組の忌避棒13を備えた筒体14を支柱12に上下に2つ設けたので、上下の忌避棒13の平面視における開き角を変えること及び各忌避棒13の支柱12に対する傾角を変えることで、営巣されそうな箇所に忌避棒13をより広範囲に位置させることができ、営巣防止を効率的に行うことができる。
【0047】
先端キャップ17をねじ込むことで忌避棒13を周方向の所望の位置で位置決める位置決め手段としたので、先端キャップ17を緩め外すことで、忌避棒13が設けられた筒体14を容易に交換することができる。これにより、種々のタイプ(忌避棒13の数、異なった傾角など)の筒体14を用意しておけば、現場(鉄塔に登った状況)でも、適切な忌避棒13を選択することが可能で、あらゆる状況下でも営巣防止することができる。
【0048】
なお、実施の形態1において、忌避棒13を支柱12に対して傾動自在にしたが、本願発明はこれに限らず、忌避棒13が傾動しないものであっても良い。本願発明は、忌避棒13が支柱12に対して回転自在で、かつ、その周方向において所望の位置で位置決めする位置決め手段が設けられていれば、鉄骨が複雑に組み合わさった鉄塔でなければ、十分に営巣防止器装置1として機能を発揮することができる。
【0049】
また、実施の形態1において、1つの筒体14に2つの忌避棒13を設けたものについて説明した、本願発明はこれに限らず、1つの筒体14に1つの忌避棒13を設けたり、3つ以上の複数の忌避棒13を設けたものであっても良い。
【0050】
特に、1つの忌避棒13を設けた筒体14にあっては、複数の忌避棒13を設けたものと比較して、他の忌避棒13があることによる制約を受けずに、むしろ、その忌避棒13を所望する箇所(営巣を効率的に妨害できる箇所)に位置させることができる場合がある。
【0051】
例えば、実施の形態1のように、互いに反対方向に伸びる忌避棒13を筒体14に設けた場合、一方の忌避棒13を営巣されそうな箇所に位置させようとしても、他方の忌避棒13が鉄塔30の他の鉄骨などに衝突してしまうことがあり、このような場合には、1つの筒体14に1つの忌避棒13を設けた方が、有効な場合がある。
【0052】
(実施の形態2)
図5~
図7は、この発明の実施の形態2に係る営巣防止装置2を示すもので、
図5は正面図で、
図6は営巣防止装置を鉄塔30に設置した状態の側面図、
図7は
図6の状態の平面図を示す。この実施の形態2に係る営巣防止装置2が、上記実施の形態1に係る営巣防止装置1と異なる点は、忌避棒の本数が相違する点及び忌避棒が伸縮可能である点であり、他の部分については、同様な構成であるのでその詳細な説明は省略する。
【0053】
具体的には、営巣防止装置2は、台座21の側部に4組のマグネット25、鉄ヨーク板26が配設されており、これらマグネット25、鉄ヨーク板26が鉄塔30の垂直な面に対して固着できるようになっている。
【0054】
また、支柱22に対して2つの筒体24が回転自在に設けられ、支柱22の上部であって上記筒体24の上側に、先端キャップ27が螺合され、先端キャップ27をねじ込むことにより、上記筒体24の回転が阻止される。
【0055】
筒体24には傾動自在に忌避棒23が設けられ、筒体24の回転が阻止されることで、忌避棒23の周方向への位置決めがなされるようになっている。
【0056】
忌避棒23は、基端側部材23aと先端側部材23bとからなり、先端側部材23bが基端側部材に対して伸縮自在になっている。また、先端側部材23bを基端側部材23aに治して所定の長さにしたときに、その伸縮させた位置で位置決めできるように位置決め手段が設けられている。位置決め手段は、例えば、先端側部材23bを基端側部材23aに対してねじ込むことで位置決めがなされ、ねじ戻すことにより位置決めが解除されるようになっている。
【0057】
また、忌避棒23は、同一方向に伸びるものが上下に2段で配置されており、これにより、営巣防止装置2を設置したときに、忌避棒23の先端にて、営巣を防止する箇所を、より多くすることができる。
【0058】
このような営巣防止装置2は、平面視で鉄塔30の4つの角部に水平な連結板32がない場合であっても、角部を構成する2つの水平方向に伸びる2つの?字アングル鉄骨33hの水平な部分に営巣される場合があるため、このような角部における営巣を防止するのに有効である。
【0059】
すなわち、鉄塔3は通常、垂直方向に伸びる4本の鉄骨33vを角部にして4本の水平方向に伸びる鉄骨33hが連結されており、その角部においてL字アングルの鉄骨33hの水平部分を足掛かりに営巣されることがある(
図6、
図7において一点鎖線で示す「P」)。
【0060】
このような場合、垂直方向に伸びる鉄骨33vの方が水平方向に伸びる鉄骨33hよりも営巣防止装置2の台座21を設置するのにその設置面積を大きくとることができるため、営巣防止装置2をより安定した設置を可能にする。
【0061】
具体的には、垂直方向に伸びるL字アングルの鉄骨33vの内側面に、営巣防止装置2の台座21の下面に位置するマグネット25及び鉄ヨーク板26を吸着させ、忌避棒23を下方に向けて伸ばす。このとき、忌避棒23の先端側部材23bの先端を、所望の箇所に位置させることができる。
【0062】
これにより、水平方向に伸びるL字アングルの鉄骨の水平面の僅かな場所においても営巣を防止することができる。
【0063】
このとき、忌避棒23の先端側部材23bを伸縮させることで、所望の箇所まで忌避棒23を伸ばして位置させ、営巣を妨げることができる。
【0064】
以上のように、実施の形態2に係る営巣防止装置2にあっても、営巣を妨げる各忌避棒23を支柱22に対して回動させたり、傾動させることにより、所望の箇所に位置させることができるほか、その長さを伸縮させることでさらに、広い範囲で忌避棒23を位置させることができ、営巣防止をさらに効率よく行うことができる。
【0065】
特に、上述のように、鉄塔30の鉄骨33が複雑に連結されている場所であったり、僅かな水平な部位においても、鉄塔30水平方向に伸びる鉄骨33hや垂直方向に伸びる鉄骨33vに設置することで、所望する箇所に忌避棒23を位置させることができ、より広範囲での営巣防止効果を発揮することができる。
【0066】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の実施の形態1では、台座11に4つの脚部を設け、これらにマグネット15、鉄ヨーク板16を設けたものを示したが、これに限らず、U字溝を逆さにしたような形状の鉄ヨーク板に棒状のマグネットを取着したものであっても良い。
【0067】
また、忌避棒13、23をその軸心回り方向に回転自在にしてもよく、このようにすることで、忌避棒13、23が風を受けて回転することで、近傍に飛来した鳥等を驚かすことができ、営巣防止効果を高めることができる。
【0068】
さらに、忌避棒13、23の本数や、配置する向きなどは上記実施の形態1、2に限定されることはなく、鉄塔の構造など、営巣される状況に合わせて適宜、設定することができる。
【符号の説明】
【0069】
1 営巣防止装置
11 台座
12 支柱
13 忌避棒
15 マグネット
17 先端キャップ(位置決め手段)
2 営巣防止装置
21 台座
22 支柱
23a 忌避棒
23b 忌避棒(伸長分)
25 マグネット
27 先端キャップ(位置決め手段)
30 鉄塔
32 連結板(鉄塔)