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特許7537134コンテナ管理装置、コンテナ管理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】コンテナ管理装置、コンテナ管理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 9/50 20060101AFI20240814BHJP
   G06F 9/455 20180101ALI20240814BHJP
【FI】
G06F9/50 120A
G06F9/455 150
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020099567
(22)【出願日】2020-06-08
(65)【公開番号】P2021193517
(43)【公開日】2021-12-23
【審査請求日】2023-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100181135
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 隆史
(72)【発明者】
【氏名】山口 啓介
【審査官】田中 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-70522(JP,A)
【文献】国際公開第2015/049789(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 9/50
G06F 9/455
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1または複数のコンテナが動作するホスト計算機またはコンテナ基盤に割り当てられている資源を示す資源割当情報に基づいて、前記1または複数のコンテナに関する性能情報を補正する性能情報補正手段を備え
前記性能情報補正手段は、
前記性能情報の補正を開始する前の期間の最後の時点における第1性能情報と、前記性能情報の補正を行う期間の最初の時点における第2性能情報とが一致するように、前記性能情報の補正を行う期間における性能情報の値を増減させることにより、前記性能情報を補正する
コンテナ管理装置。
【請求項2】
前記性能情報補正手段は、前記資源割当情報として、前記ホスト計算機の中央演算処理装置の数を用いる
請求項1に記載のコンテナ管理装置。
【請求項3】
前記性能情報補正手段は、前記ホスト計算機の中央演算処理装置の数が変化した場合に、変化前後の前記性能情報が連続するように、前記性能情報を補正する
請求項2に記載のコンテナ管理装置。
【請求項4】
前記性能情報補正手段は、前記性能情報として、前記1または複数のコンテナを処理する中央演算処理装置の負荷の値を用いる
請求項2に記載のコンテナ管理装置。
【請求項5】
前記性能情報補正手段は、前記資源割当情報として、前記1または複数のコンテナの数を用いる
請求項1に記載のコンテナ管理装置。
【請求項6】
前記性能情報補正手段は、前記1または複数のコンテナの数が変化した場合に、変化前後の前記性能情報が連続するように、前記性能情報を補正する
請求項5に記載のコンテナ管理装置。
【請求項7】
前記性能情報補正手段は、前記性能情報として、前記1または複数のコンテナを処理する中央演算処理装置の負荷の値を用いる
請求項2に記載のコンテナ管理装置。
【請求項8】
前記性能情報補正手段が補正した前記性能情報を、グラフとして表示する性能情報表示手段を更に備える
請求項1から7までのいずれか一項に記載のコンテナ管理装置。
【請求項9】
コンテナ管理装置のコンピュータを用いたコンテナ管理方法であって、
1または複数のコンテナが動作するホスト計算機またはコンテナ基盤に割り当てられている資源を示す資源割当情報に基づいて、前記1または複数のコンテナに関する性能情報を補正し、
前記性能情報の補正では、
前記性能情報の補正を開始する前の期間の最後の時点における第1性能情報と、前記性能情報の補正を行う期間の最初の時点における第2性能情報とが一致するように、前記性能情報の補正を行う期間における性能情報の値を増減させることにより、前記性能情報を補正する
コンテナ管理方法。
【請求項10】
コンテナ管理装置のコンピュータを、
1または複数のコンテナが動作するホスト計算機またはコンテナ基盤に割り当てられている資源を示す資源割当情報に基づいて、前記1または複数のコンテナに関する性能情報を補正させる性能情報補正手段として機能させ
前記性能情報補正手段は、
前記性能情報の補正を開始する前の期間の最後の時点における第1性能情報と、前記性能情報の補正を行う期間の最初の時点における第2性能情報とが一致するように、前記性能情報の補正を行う期間における性能情報の値を増減させることにより、前記性能情報を補正させる
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナ管理装置、コンテナ管理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、対応付けられるリソースの一部を管理し、仮想リソースとして提供するコンテナについて開示している。また、特許文献1は、装置管理部が、管理対象の各装置から利用率および実性能を取得し、リソース稼働情報データベースに格納することについて開示している。また、特許文献1は、テナント又はアプリケーション管理サーバに提供される仮想的なリソース構成が、コンテナごとに管理され、コンテナ管理テーブルに保持されることについて開示している。また、特許文献1は、テーブルに、複数の異種アプリケーションによるリソース要件を共通して比較評価するために、補正係数を設定し、それぞれの性能指標の実計測値を補正係数で補正し、その補正結果を記録することについて開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2015/049789号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、リソースの最適化を行うために、性能指標を収集し、アプリケーションの種類ごとに、特定の倍率を用いて補正を行って、スコア計算した結果を、リソースの性能特性として示している。
しかし、特許文献1では、資源の割り当ての影響を排除して、性能情報の連続性を得ることはできなかった。
【0005】
そこで、この発明は、上述の課題を解決するコンテナ管理装置、コンテナ管理方法及びプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のいくつかの態様は、上述の課題を解決すべくなされたもので、本発明の第1態様は、1または複数のコンテナが動作するホスト計算機またはコンテナ基盤に割り当てられている資源を示す資源割当情報に基づいて、前記1または複数のコンテナに関する性能情報を補正する性能情報補正手段を備えるコンテナ管理装置である。
【0007】
また、本発明の第2態様は、1または複数のコンテナが動作するホスト計算機またはコンテナ基盤に割り当てられている資源を示す資源割当情報に基づいて、前記1または複数のコンテナに関する性能情報を補正するコンテナ管理方法である。
【0008】
また、本発明の第3態様は、コンテナ管理装置のコンピュータを、1または複数のコンテナが動作するホスト計算機またはコンテナ基盤に割り当てられている資源を示す資源割当情報に基づいて、前記1または複数のコンテナに関する性能情報を補正させる性能情報補正手段として機能させるプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のいくつかの態様によれば、資源の割り当ての影響を排除して、性能情報の連続性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態によるコンテナ管理システムの概略構成図である。
図2】本発明の第1実施形態による監視マネージャの処理を示すフローチャートである。
図3A】本発明の第1実施形態によるホスト計算機、コンテナ基盤、コンテナの関係を示す概念図である。
図3B】本発明の第1実施形態によるホスト計算機、コンテナ基盤、コンテナの関係を示す他の概念図である。
図4A】本発明の第1実施形態による資源割当情報収集部が収集する資源割当情報の一例を示すグラフである。
図4B】本発明の第1実施形態による性能情報収集部が収集する性能情報の一例を示すグラフである。
図4C】本発明の第1実施形態による性能情報補正部が生成する補正後の性能情報の一例を示すグラフである。
図5】本発明の第2実施形態によるコンテナ管理システムの概略構成図である。
図6】本発明の第2実施形態による監視マネージャの処理を示すフローチャートである。
図7A】本発明の第2実施形態による資源割当情報収集部が収集する資源割当情報の一例を示すグラフである。
図7B】本発明の第2実施形態による性能情報収集部が収集する性能情報の一例を示すグラフである。
図7C】本発明の第2実施形態による性能情報補正部が生成する補正後の性能情報の一例を示すグラフである。
図8】最小構成を有する監視マネージャの構成を示すブロック図である。
図9】最小構成を有する監視マネージャの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1実施形態]
始めに、本発明の第1実施形態について説明する。
【0012】
図1は、本発明の第1実施形態によるコンテナ管理システム100aの概略構成図である。コンテナ管理システム100aは、ホスト計算機10a、監視マネージャ20a(コンテナ管理装置とも称する)を備える。
ホスト計算機10aと監視マネージャ20aは、有線又は無線のネットワークにより、相互に接続される。なお、図1では、ホスト計算機10aが1つの場合を示しているが、ホスト計算機は、複数台存在することもある。
【0013】
ホスト計算機10aは、コンテナ基盤11、性能情報収集部13、性能情報蓄積部14、資源割当情報収集部15a、資源割当情報蓄積部16aを備える。
コンテナ基盤11は、ホスト計算機10aで処理されるコンテナ12を制御する。コンテナ12は、ホスト計算機10a上で、論理的な区画を設定し、アプリケーションを動作させるために必要なライブラリやアプリケーションなどを1つにまとめたものであり、疑似的に個別のサーバのように用いることができるようにしたものである。
なお、図1では、コンテナ12を、1つのみ示しているが、コンテナ12は、複数存在し得る。コンテナ基盤11は、複数のコンテナを制御することができる。
【0014】
性能情報収集部13は、コンテナ12に関する性能情報を収集する。ここでは、コンテナ12は、性能情報として、コンテナ12を処理するCPU(Central Processing Unit)(中央演算処理装置とも称する)の負荷の情報を収集する。
性能情報蓄積部14は、HDD(Hard Disk Drive)などの記憶装置であり、性能情報収集部13が収集した性能情報など、コンテナ12に関する各種情報を記憶する。
【0015】
資源割当情報収集部15aは、コンテナ基盤11から、コンテナ12に割り当てられている資源の情報である資源割当情報を収集する。ここでは、資源割当情報収集部15aは、資源割当情報として、コンテナ12の処理に用いられているCPUの数の情報を収集する。
資源割当情報蓄積部16aは、HDDなどの記憶装置であり、資源割当情報収集部15aが収集した資源割当情報を記憶する。
【0016】
一方、監視マネージャ20aは、性能情報取得部21、性能情報補正部22a(性能情報補正手段とも称する)、性能情報表示部23(性能情報表示手段とも称する)、管理者対話部24を備える。
性能情報取得部21は、ホスト計算機10aの性能情報蓄積部14に記憶されている性能情報を読み出し、性能情報補正部22aに出力する。
【0017】
性能情報補正部22aは、管理者対話部24から入力される補正指示に基づき、ホスト計算機10aの資源割当情報蓄積部16aに記憶されている資源割当情報を読み出す。性能情報補正部22aは、性能情報蓄積部14から読み出した性能情報を、資源割当情報蓄積部16aから読み出した資源割当情報を用いて補正し、補正後の性能情報を、性能情報表示部23に出力する。
【0018】
性能情報表示部23は、ディスプレイなどの表示装置であり、性能情報補正部22aから出力された補正後の性能情報を、グラフとして表示する。
管理者対話部24は、キーボードなどの入力装置であり、コンテナ管理システム100aの操作に基づき、性能情報補正部22aで、性能情報の補正を行うか否かに関する補正指示を取得し、その補正指示を、性能情報補正部22aに出力する。
【0019】
図2は、本発明の第1実施形態による監視マネージャ20aの処理を示すフローチャートである。
始めに、性能情報取得部21は、性能情報蓄積部14に記憶されている性能情報を読み出すことにより、コンテナ12に関する性能情報を取得する(ステップS11)。
【0020】
次に、管理者対話部24は、性能情報補正部22aで性能情報を補正することを指示する補正指示を受領しているか否かに基づいて、性能情報の補正を行うか否かについて判定する(ステップS12)。管理者からの補正指示には、性能情報補正部22aで性能情報を補正するか否かについての情報と、補正を行う場合には、補正を行う補正期間(例えば、時刻t0~tn(nは整数))についての情報が含まれる。
性能情報の補正を行わないと判定した場合には(ステップS12でNo)、後述するステップS15の処理が行われる。
【0021】
一方、性能情報の補正を行うと判定した場合には(ステップS12でYes)、性能情報補正部22aは、資源割当情報蓄積部16aから、補正期間における資源割当情報を読み出すことにより、コンテナ基盤11の資源割当情報として、コンテナ12を処理するために用いられているホスト計算機10aの数に関する情報を取得する(ステップS13)。
【0022】
次に、性能情報補正部22aは、資源割当情報蓄積部16aから読み出した資源割当情報を用いて、性能情報取得部21が取得した性能情報を補正する(ステップS14)。例えば、性能情報補正部22aは、性能情報の補正を開始する前の期間の最後の時点における性能情報と、性能情報の補正を行う期間の最初の時点における性能情報とが一致するように、性能情報の補正を行う期間における性能情報の値を増減させる。
【0023】
次に、性能情報表示部23は、性能情報補正部22aが補正した性能情報を、グラフで表示することにより、補正後の性能情報を、コンテナ管理システム100aの管理者に提示する(ステップS15)。
【0024】
図3A及び図3Bは、本発明の第1実施形態によるホスト計算機10a、コンテナ基盤11、コンテナ12の関係を示す概念図である。
図3A及び図3Bでは、ホスト計算機10a(図1)が、ホスト計算機10-1と、ホスト計算機10-2からなる場合について説明する。
コンテナ12が、異なる性能のホスト計算機10-1、10-2の間で移動したり、コンテナ12が使用できるCPU割当が変化したりすると、コンテナ12上で利用可能なCPU資源は変化する。
【0025】
図3Aは、1つのコンテナ12が、コンテナ基盤11の制御に基づき、4つのCPUを用いて動作するホスト計算機10-1で処理される場合を示している。
図3Bは、1つのコンテナ12が、コンテナ基盤11の制御に基づき、2つのCPUを用いて動作するホスト計算機10-2で処理される場合を示している。
コンテナ基盤11は、図3Aの状態と、図3Bの状態を切り替えることにより、1つのコンテナ12が、ホスト計算機10-1と、ホスト計算機10-2のいずれで処理するかを制御する。
【0026】
図4Aは、本発明の第1実施形態による資源割当情報収集部15aが収集する資源割当情報の一例を示すグラフである。なお、図4Aに示すグラフのデータは、図2のフローチャートのステップS13で、性能情報補正部22aにより取得される。
図4Aにおいて、横軸は、時間を示しており、縦軸は、資源割当情報を示すコンテナ12の処理に用いられているCPUの数を示している。
【0027】
具体的には、図4Aでは、時刻t0~t1の期間は、コンテナ12は、4つのCPUを用いて動作するホスト計算機10-1により処理されることを示している。また、図4Aでは、時刻t1~t2の期間は、コンテナ12は、2つのCPUを用いて動作するホスト計算機10-2により処理されることを示している。また、図4Aでは、時刻t2以降の期間は、コンテナ12は、4つのCPUを用いて動作するホスト計算機10-1により処理されることを示している。
つまり、図4Aでは、時刻t1を境に、コンテナ12を処理するCPUの数が、4つから2つに減少しているため、コンテナ12では、時刻t1~t2の期間は、コンテナ12の処理に用いられる資源が、一定量減少する。
【0028】
図4Bは、本発明の第1実施形態による性能情報収集部13が収集する性能情報の一例を示すグラフである。なお、図4Bに示すグラフのデータは、図2のフローチャートのステップS11で、性能情報取得部21により取得される。
なお、ここでは、性能情報が、コンテナ12を処理する際のCPUの負荷である場合について説明する。
図4Bにおいて、横軸は、時間を示しており、縦軸は、コンテナ12を処理する際の1つのCPUあたりの負荷を示している。
【0029】
図4Aで説明したように、時刻t0~t1の期間は、コンテナ12は、4つのCPUを用いるホスト計算機10-1で処理されるが、時刻t1~t2の期間は、コンテナ12が、2つのCPUを用いるホスト計算機10-2で処理される。図4Bでは、時刻t1~t2の期間では、使用可能なCPUの数が減少しているため、1つのCPUあたりの負荷が増加し、監視閾値V1を超える場合を示している。
【0030】
図4Cは、本発明の第1実施形態による性能情報補正部22aが生成する補正後の性能情報の一例を示すグラフである。なお、図4Cに示すグラフのデータは、図2のフローチャートのステップS15で、性能情報表示部23により表示される。
図4Cにおいて、横軸は、時間を示しており、縦軸は、コンテナ12を処理する際の1つのCPUあたりの補正後の負荷を示している。
【0031】
図4Bと比較して、図4Cでは、性能情報補正部22aは、性能情報の補正を開始する前の期間(時刻t0~t1)の最後の時点における性能情報と、性能情報の補正を行う期間(時刻t1~t2)の最初の時点における性能情報とが一致するように、性能情報の補正を行う期間における性能情報の値を、図4Cの縦軸方向に、所定の割合だけ減少させている。図4Cでは、時刻t1~t2の期間でも、1つのCPUあたりの負荷が、監視閾値V1を超えていない。
【0032】
図3A及び図3Bで示すように、コンテナ12の処理に用いられるCPUの数が変更される場合には、コンテナ12について行われる処理には変化が無いものの、検出されるCPU負荷が増加してしまう(図4Bの時刻t1~t2参照)。このようなCPU負荷の変化は、ホスト計算機のCPUの割り当てに基づく変化であるため、この期間t1~t2のCPU負荷の増加を障害として、コンテナ管理システム100aの管理者に提示する必要はない。
【0033】
従来のコンテナ管理装置では、このようなコンテナ12の処理に用いられるCPUの数の変化に基づいて、性能情報を把握することができないため、コンテナ管理システム100a全体としてはコンテナ12の処理に変化が生じていなくても、図4Bに示すように、CPUの負荷が監視閾値V1を超えてしまうため、管理者は、コンテナ管理システム100aに障害が発生していると誤認識するおそれがある。
【0034】
本発明の第1の実施形態では、コンテナ12に関する性能情報として、図4Bに示すようなグラフではなく、図4Cに示すようなグラフを、管理者に提示するため、上述したような管理者による誤認識を防ぐことができ、コンテナ管理システム100a全体として、障害が発生しているか否かを正確に判定することができる。
【0035】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
第2実施形態の構成が、第1実施形態の構成と同様である部分については、同一の符号を付して、それらの説明を省略する。
第2実施形態では、コンテナ環境のスケールアウトにより、コンテナが複製された時に、コンテナのCPU負荷のグラフを表示する場合について説明する。
【0036】
図5は、本発明の第2実施形態によるコンテナ管理システム100bの概略構成図である。コンテナ管理システム100bは、ホスト計算機10b、監視マネージャ20b(コンテナ管理装置とも称する)を備える。
【0037】
第1実施形態によるホスト計算機10aは、資源割当情報収集部15a、資源割当情報蓄積部16aを備えていたが(図1参照)、第2実施形態によるホスト計算機10bは、資源割当情報収集部15b、資源割当情報蓄積部16bを備える。
【0038】
資源割当情報収集部15bは、コンテナ基盤11から、コンテナ12に割り当てられている資源の情報である資源割当情報を収集する。ここでは、資源割当情報収集部15bは、資源割当情報として、コンテナ基盤11で処理されているコンテナ12の数の情報を収集する。
資源割当情報蓄積部16bは、HDDなどの記憶装置であり、資源割当情報収集部15bが収集した資源割当情報を記憶する。
【0039】
第1実施形態による監視マネージャ20aは、性能情報補正部22aを備えていたが(図1参照)、第2実施形態による監視マネージャ20bは、性能情報補正部22b(性能情報補正手段とも称する)を備える。
性能情報補正部22bは、管理者対話部24から入力される補正指示に基づき、ホスト計算機10bの資源割当情報蓄積部16bに記憶されている資源割当情報を読み出す。性能情報補正部22bは、性能情報蓄積部14から読み出した性能情報を、資源割当情報蓄積部16bから読み出した資源割当情報を用いて補正し、補正後の性能情報を、性能情報表示部23に出力する。
【0040】
図6は、本発明の第2実施形態による監視マネージャ20bの処理を示すフローチャートである。
始めに、性能情報取得部21は、性能情報蓄積部14に記憶されている性能情報を読み出すことにより、コンテナ12に関する性能情報を取得する(ステップS21)。
【0041】
次に、管理者対話部24は、性能情報補正部22bで性能情報を補正することを指示する補正指示を受領しているか否かに基づいて、性能情報の補正を行うか否かについて判定する(ステップS22)。管理者からの補正指示には、性能情報補正部22bで性能情報を補正するか否かについての情報と、補正を行う場合には、補正を行う補正期間(例えば、時刻t0~tn(nは整数))についての情報が含まれる。
性能情報の補正を行わないと判定した場合には(ステップS22でNo)、後述するステップS25の処理が行われる。
【0042】
一方、性能情報の補正を行うと判定した場合には(ステップS22でYes)、性能情報補正部22bは、資源割当情報蓄積部16bから、補正期間における資源割当情報を読み出すことにより、コンテナ基盤11の資源割当情報として、コンテナ基盤11で処理しているコンテナ12の数に関する情報を取得する(ステップS23)。
【0043】
次に、性能情報補正部22bは、資源割当情報蓄積部16bから読み出した資源割当情報を用いて、性能情報取得部21が取得した性能情報を補正する(ステップS24)。例えば、性能情報補正部22bは、性能情報の補正を開始する前の期間の最後の時点における性能情報と、性能情報の補正を行う期間の最初の時点における性能情報とが一致するように、性能情報の補正を行う期間における性能情報の値を増減させる。
次に、性能情報表示部23は、性能情報補正部22bが補正した性能情報を、グラフで表示することにより、補正後の性能情報を、コンテナ管理システム100bの管理者に提示する(ステップS25)。
【0044】
図7Aは、本発明の第2実施形態による資源割当情報収集部15bが収集する資源割当情報の一例を示すグラフである。なお、図7Aに示すグラフのデータは、図6のフローチャートのステップS23で、性能情報補正部22bにより取得される。
図7Aにおいて、横軸は、時間を示しており、縦軸は、資源割当情報を示すコンテナ基盤11で処理されているコンテナ12の数を示している。
【0045】
具体的には、図7Aでは、時刻t0~t3の期間は、コンテナ基盤11は、1つのコンテナ12を処理していることを示している。また、図7Aでは、時刻t3~t4の期間は、コンテナ基盤11は、2つのコンテナ12を処理していることを示している。また、図7Aでは、時刻t4以降の期間は、コンテナ基盤11は、1つのコンテナ12を処理していることを示している。
【0046】
図7Bは、本発明の第2実施形態による性能情報収集部13が収集する性能情報の一例を示すグラフである。なお、図7Bに示すグラフのデータは、図6のフローチャートのステップS21で、性能情報取得部21により取得される。
なお、ここでは、性能情報が、コンテナ12を処理する際のCPUの負荷である場合について説明する。
図7Bにおいて、横軸は、時間を示しており、縦軸は、コンテナ12を処理する際のCPUの負荷を示している。
【0047】
図7Aで説明したように、時刻t0~t3の期間は、コンテナ基盤11は、1つのコンテナ12を処理するが、時刻t3~t4の期間は、コンテナ基盤11は、2つのコンテナ12を処理する。図7Bでは、時刻t3~t4の期間では、処理されるコンテナ12の数が増加しているため、1つのコンテナあたりのCPUの負荷は減少する場合を示している。
【0048】
図7Cは、本発明の第2実施形態による性能情報補正部22bが生成する補正後の性能情報の一例を示すグラフである。なお、図7Cに示すグラフのデータは、図6のフローチャートのステップS25で、性能情報表示部23により表示される。
図7Cにおいて、横軸は、時間を示しており、縦軸は、コンテナ12を処理する際のCPUの補正後の負荷を示している。
【0049】
図7Bと比較して、図7Cでは、性能情報補正部22bは、性能情報の補正を開始する前の期間(時刻t0~t3)の最後の時点における性能情報と、性能情報の補正を行う期間(時刻t3~t4)の最初の時点における性能情報とが一致するように、性能情報の補正を行う期間における性能情報の値を、図7Cの縦軸方向に、所定の割合だけ増加させている。
【0050】
図7A及び図7Bで示すように、コンテナ基盤11で処理されるコンテナ12の数が変更される場合には、コンテナ12を処理するCPUの数には変化が無いものの、検出されるCPU負荷は減少してしまう(図7Bの時刻t3~t4参照)。このようなCPU負荷の変化は、処理するコンテナ数の変化に基づくものであるため、この期間t3~t4のCPU負荷の値を問題ないとして、コンテナ管理システム100bの管理者に提示すると問題となることがある。
【0051】
従来のコンテナ管理装置では、処理されるコンテナ12の数の変化に基づいて、性能情報を把握することができないため、1つのコンテナを処理するCPUの負荷には変化が生じていない場合に、管理者は、コンテナ管理システム100bに問題が発生していないと誤認識するおそれがある。
【0052】
本発明の第2の実施形態では、コンテナ12に関する性能情報として、図7Bに示すようなグラフではなく、図7Cに示すようなグラフを、管理者に提示するため、上述したような管理者による誤認識を防ぐことができ、コンテナ管理システム100b全体として、障害が発生しているか否かを正確に判定することができる。
【0053】
なお、上述した第1及び第2実施形態では、性能情報として、コンテナ12をCPUで処理する際に測定された負荷の情報を用いる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、その他の性能情報を用いるようにしてもよい。
【0054】
また、上述した第1及び第2実施形態では、資源割当情報として、CPUの数やコンテナ12の数を用いる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、資源割当情報として、CPUクロックの情報を用いるようにしてもよい。
また、上述した第1及び第2実施形態では、1つの資源割当情報(CPUの数、又は、コンテナの数)を用いる場合について説明したが、複数の資源割当情報を同時に用いるようにしてもよい。
【0055】
次に、最小構成を有する監視マネージャ20c(コンテナ管理装置とも称する)について説明する。
【0056】
図8は、最小構成を有する監視マネージャ20cの構成を示すブロック図である。監視マネージャ20cは、性能情報補正部22c(性能情報補正手段とも称する)を備える。
【0057】
図9は、最小構成を有する監視マネージャ20cの処理を示すフローチャートである。
監視マネージャ20cが備える性能情報補正部22cは、1または複数のコンテナが動作するホスト計算機、または、コンテナ基盤に割り当てられている資源を示す資源割当情報に基づいて、1または複数のコンテナに関する性能情報を補正する(ステップS31)。
【0058】
なお、図1図5図8における各部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各部の処理を行ってもよい。
【0059】
なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OS(Operating System)や周辺機器等のハードウェアを含む。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、CD(Compact Disk)-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるHDD等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM(Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含む。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明のいくつかの態様は、資源の割り当ての影響を排除して、性能情報の連続性を得ることが必要なコンテナ管理装置、コンテナ管理方法及びプログラムなどに適用することができる。
【符号の説明】
【0061】
10a、10b、10-1、10-2・・・ホスト計算機、
11・・・コンテナ基盤、
12・・・コンテナ12、
13・・・性能情報収集部、
14・・・性能情報蓄積部、
15a、15b・・・資源割当情報収集部、
16a、16b・・・資源割当情報蓄積部、
20a、20b、20c・・・監視マネージャ、
21・・・性能情報取得部、
22a、22b、22c・・・性能情報補正部、
23・・・性能情報表示部、
24・・・管理者対話部、
100a、100b・・・コンテナ管理システム
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9