(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】絶縁型共振回路装置及び非接触給電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 50/12 20160101AFI20240814BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240814BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20240814BHJP
H02M 7/12 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
H02J50/12
H02J7/00 301D
H02M7/48 A
H02M7/12 A
(21)【出願番号】P 2020105481
(22)【出願日】2020-06-18
【審査請求日】2023-04-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100091524
【氏名又は名称】和田 充夫
(72)【発明者】
【氏名】三島 大地
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 勇輝
(72)【発明者】
【氏名】長岡 真吾
(72)【発明者】
【氏名】上松 武
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-176173(JP,A)
【文献】特開2016-063699(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/12
H02J 7/00
H02M 7/48
H02M 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに電磁的に結合して電気的に絶縁された第1及び第2のLC共振回路を含み、入力される交流電圧に基づいて所定の第1の共振周波数で発振し、発振信号電圧を発生して出力する第1の共振回路と、
複数のスイッチング素子を含み、所定の複数のゲート信号に従って、前記発振信号電圧をスイッチングした後、平滑して所定の直流電圧を負荷に出力する整流回路と、
前記第1の共振周波数
と同一の第2の共振周波数を有し、前記発振信号電圧に共振して検出し、検出した発振信号電圧を出力する第2の共振回路と、
前記第2の共振回路からの発振信号電圧を、所定の目標の出力電圧及び/又は所定の目標の出力電流を得るための比較信号電圧と比較することで、前記整流回路を制御するための前記複数のゲート信号を発生して前記整流回路に出力する制御回路と、
を備える絶縁型共振回路装置。
【請求項2】
前記絶縁型共振回路装置はさらに、
前記第1の共振回路の前段に設けられたインバータ回路であって、複数のスイッチング素子を含み、所定の複数のゲート信号に従って、入力電圧をスイッチングした後、前記スイッチング後の交流電圧を前記第1の共振回路に出力するインバータ回路を備え、
前記制御回路は、前記第2の共振回路からの発振信号電圧に基づいて所定の基準信号を生成し、前記基準信号を前記比較信号電圧と比較することで、前記インバータ回路の複数のゲート信号と、前記整流回路の複数のゲート信号との間の位相差を算出し、前記算出した位相差に基づいて前記整流回路の複数のゲート信号を発生し、前記発生した整流回路の複数のゲート信号を用いて、前記位相差で前記整流回路が動作するように制御することで、前記目標の出力電圧及び/又は前記目標の出力電流を得るように制御する、
請求項1に記載の絶縁型共振回路装置。
【請求項3】
前記整流回路は、
第1のレグに属する1対の第1及び第2のスイッチング素子と、
第2のレグに属する1対の第3及び第4のスイッチング素子とを含み、
前記第1及び第4のスイッチング素子はハイサイドのスイッチング素子であり、前記第2及び第3のスイッチング素子はローサイドのスイッチング素子であり、
前記第1~第4のスイッチング素子がブリッジ形式で接続されて構成され、
前記制御回路は、
前記第2の共振回路からの発振信号電圧に基づいて、前記発振信号電圧に同期する所定の同期信号電圧を発生する積分手段と、
前記同期信号電圧を前記比較信号電圧と比較することで、前記同期信号電圧が前記比較信号電圧に到達したときに、互いに同一の第1及び第3のゲート信号を発生してそれぞれ前記第1及び第3のスイッチング素子の制御端子に出力する比較手段と、
前記第1のゲート信号を反転して、互いに同一の第2及び第4のゲート信号を発生してそれぞれ前記第2及び第4のスイッチング素子の制御端子に出力する反転手段と、
を備える請求項1又は2に記載の絶縁型共振回路装置。
【請求項4】
前記整流回路は、
第1のレグに属する1対の第1及び第2のスイッチング素子と、
第2のレグに属する1対の第3及び第4のスイッチング素子とを含み、
前記第1及び第4のスイッチング素子はハイサイドのスイッチング素子であり、前記第2及び第3のスイッチング素子はローサイドのスイッチング素子であり、
前記第1~第4のスイッチング素子がブリッジ形式で接続されて構成され、
前記制御回路は、前記第2の共振回路からの発振信号電圧に基づいて所定の基準信号を生成し、前記基準信号を前記比較信号電圧と比較することで、前記第1と第2のレグ間の対応するスイッチング素子間の位相差を算出し、前記算出した位相差に基づいて前記複数のゲート信号を発生し、前記目標の出力電圧及び/又は前記目標の出力電流を得るように制御する、
請求項1に記載の絶縁型共振回路装置。
【請求項5】
前記制御回路は、
前記第2の共振回路からの発振信号電圧に同期する同期信号電圧を発生する積分手段と、
前記第2の共振回路からの発振信号電圧に基づいて、前記発振信号電圧に同期する基準信号電圧を第1のゲート信号として前記第1のスイッチング素子の制御端子に出力する第1の比較手段と、
前記第1のゲート信号を反転して、第2のゲート信号を発生して前記第2のスイッチング素子の制御端子に出力する第1の反転手段と、
前記同期信号電圧を前記比較信号電圧と比較することで、前記同期信号電圧が前記比較信号電圧に到達したときに、第3のゲート信号を発生して前記第3のスイッチング素子の制御端子に出力する第2の比較手段と、
前記第3のゲート信号を反転して、第4のゲート信号を発生して前記第4のスイッチング素子の制御端子に出力する第2の反転手段と、
を備える請求項
4に記載の絶縁型共振回路装置。
【請求項6】
前記絶縁型共振回路装置は、
複数のスイッチング素子を含み、所定の複数の別のゲート信号に従って、前記発振信号電圧をスイッチングした後、平滑して所定の直流電圧を負荷に出力する少なくとも1つの別の整流回路と、
前記第1の共振周波数
と同一の第2の共振周波数を有し、前記発振信号電圧に共振して検出し、検出した発振信号電圧を出力する少なくとも1つの別の第2の共振回路とをさらに備え、
前記制御回路はさらに、前記別の第2の共振回路からの発振信号電圧を、前記比較信号電圧と比較することで、前記別の整流回路を制御するための前記複数の別のゲート信号を発生して前記別の整流回路に出力する、
請求項1~5のうちのいずれか1つに記載の絶縁型共振回路装置。
【請求項7】
前記絶縁型共振回路装置は、
前記第1のLC共振回路に接続された第3の共振回路であって、前記入力される交流電圧の周波数
と同一の共振周波数を有し、前記交流電圧に対して共振する第3の共振回路をさらに備える、
請求項1~6のうちのいずれか1つに記載の絶縁型共振回路装置。
【請求項8】
交流電圧を送電する送電装置と、
前記送電装置と電磁的に結合され、前記交流電圧を受電する受電装置とを備え、請求項1~5のうちのいずれか1つに記載の絶縁型共振回路装置を備える非接触給電システムであって、
前記送電装置は、前記第1のLC共振回路を含み、
前記受電装置は、前記第2のLC共振回路と、前記第2の共振回路と、前記整流回路と、前記制御回路とを含む、
非接触給電システム。
【請求項9】
交流電圧を送電する送電装置と、
前記送電装置と電磁的に結合され、前記交流電圧を受電する受電装置とを備え、請求項6に記載の絶縁型共振回路装置を備える非接触給電システムであって、
前記送電装置は、前記第1のLC共振回路を含み、
前記受電装置は、前記第2のLC共振回路と、前記第2の共振回路と、前記整流回路と、前記別の第2の共振回路と、前記別の整流回路と、前記制御回路とを含む、
非接触給電システム。
【請求項10】
交流電圧を送電する送電装置と、
前記送電装置と電磁的に結合され、前記交流電圧を受電する受電装置とを備え、請求項7に記載の絶縁型共振回路装置を備える非接触給電システムであって、
前記送電装置は、前記第1のLC共振回路と、前記第3の共振回路とを含み、
前記受電装置は、前記第2のLC共振回路と、前記第2の共振回路と、前記整流回路と、前記制御回路とを含む、
非接触給電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば互いに電気的に絶縁された複数のLC共振回路及び制御回路を備える絶縁型共振回路装置と、前記絶縁型共振回路装置を備える非接触給電システムとに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線搬送車(AGV(Automatic Guided Vehicle)などの移動体はリチウムイオンバッテリーなどの充電池を搭載している。この充電池を充電するときは、AGVを充電ステーションまで移動させた後、AGVに搭載された受電コイルを、充電ステーションの送電コイルに電磁的に結合させて非接触充電システムにおいて非接触充電を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記非接触充電システムにおいては、
図10に示すように、以下の2つの課題があった。
【0005】
(課題1)送電コイルと受電コイルとの間の位置関係が変化するとインダクタンスが変化し、共振周波数frが変化しスイッチング周波数fswとfrが不一致することにより効率悪化などの悪影響を及ぼす。これにより、スイッチング周波数を共振周波数に一致させるためにはスイッチング素子の駆動回路を制御するための機構が必要となる。また、インダクタンスの変化により充電回路の出力電圧、出力電流等の出力特性が変化するため充電池の充電プロファイルを満たすための回路設計や制御が複雑になる。
(課題2)充電池の残量によって負荷が変動し、その結果、充電回路の出力電圧、出力電流等の出力特性が変動する。これにより、充電池の充電プロファイルを満たすための回路設計や制御が複雑になる。
【0006】
ここで、課題1及び2は例えば特許文献1において開示された技術により解決できるが、以下の別の課題が発生する。
【0007】
例えば、非接触給電システムの出力特性を制御するために送電装置の回路、もしくは受電装置の回路に対する制御回路を追加する必要がある。また、この制御のために無線通信システムを利用する必要もある。そのため、構成部品の増加による回路サイズの増大や、通信が遅延したり途絶えたりすることで回路の出力特性が制御できなくなるという課題があった。
【0008】
本発明の目的は以上の問題点を解決し、前記2つの課題を解決するための複雑な制御が不要であって、従来技術に比較して簡単な回路の追加のみで、出力特性を制御するための一部分(送電装置の制御回路、もしくは送電装置を制御するための通信システムなど)を削減することができる絶縁型共振回路装置と、前記絶縁型共振回路装置を用いた非接触給電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る絶縁型共振回路装置は、
互いに電磁的に結合して電気的に絶縁された第1と第2のLC共振回路を含み、入力される交流電圧に基づいて所定の第1の共振周波数で発振し、発振信号電圧を発生して出力する第1の共振回路と、
複数のスイッチング素子を含み、所定の複数のゲート信号に従って、前記発振信号電圧をスイッチングした後、平滑して所定の直流電圧を負荷に出力する整流回路と、
前記第1の共振周波数と実質的に同一の第2の共振周波数を有し、前記発振信号電圧に共振して検出し、検出した発振信号電圧を出力する第2の共振回路と、
前記第2の共振回路からの発振信号電圧を、所定の目標の出力電圧及び/又は所定の目標の出力電流を得るための比較信号電圧と比較することで、前記整流回路を制御するための前記複数のゲート信号を発生して前記整流回路に出力する制御回路と、
を備える。
【発明の効果】
【0010】
従って、本発明に係る絶縁型共振回路装置等によれば、受電装置に第2のLC共振回路を追加することで、出力特性を制御するための一部分(送電装置の制御回路、もしくは送電装置を制御するための通信システムなど)を削減することが可能になる。これにより、従来技術に比較して、構成が簡単であって大幅に製造コストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態1に係る非接触給電システムの構成例を示すブロック図である。
【
図2A】
図1のインバータ回路12の構成例を示す回路図である。
【
図2B】
図1の制御回路30の構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図1の非接触給電システムの動作例を示す各電圧及び信号のタイミングチャートである。
【
図4】実施形態2に係る非接触給電システムにおいて用いる制御回路30Aの構成例を示すブロック図である。
【
図5】
図4の非接触給電システムの動作例を示す各電圧及び信号のタイミングチャートである。
【
図6】実施形態3に係る非接触給電システムの構成例を示すブロック図である。
【
図7】実施形態4に係る非接触給電システムの構成例を示すブロック図である。
【
図8A】
図1等のLC共振回路13の構成例を示す回路図である。
【
図8B】変形例1に係るLC共振回路13Aの構成例を示す回路図である。
【
図8C】変形例2に係るLC共振回路13Bの構成例を示す回路図である。
【
図8D】変形例3に係るLC共振回路13Cの構成例を示す回路図である。
【
図8E】変形例4に係るLC共振回路13Dの構成例を示す回路図である。
【
図8F】変形例5に係るLC共振回路13Eの構成例を示す回路図である。
【
図9A】変形例6に係るLC共振回路14Bの構成例を示す回路図である。
【
図9B】変形例7に係るLC共振回路14Cの構成例を示す回路図である。
【
図9C】変形例8に係るLC共振回路14Dの構成例を示す回路図である。
【
図9D】変形例9に係るLC共振回路14Eの構成例を示す回路図である。
【
図9E】変形例10に係るLC共振回路14Fの構成例を示す回路図である。
【
図9F】変形例11に係るLC共振回路14Gの構成例を示す回路図である。
【
図10】従来技術に係る問題点を説明するための非接触給電システムにおける出力電圧の周波数スペクトラムを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明にかかる実施形態について図面を参照して説明する。なお、同一又は同様の構成要素については同一の符号を付している。
【0013】
(発明者の知見)
以下の実施形態では、送電装置と受電装置間の通信が不要であり、受電装置の情報のみによって受電装置の回路を制御することで、送電装置と受電装置間の結合度及び負荷変動に対して所望な出力特性(出力電圧特性及び/又は出力電流特性)とすることが可能な絶縁型共振回路装置とその制御方法、及び非接触給電システムについて以下に説明する。
【0014】
上述の従来技術における課題を解決するために、本発明に係る実施形態では、受電装置の情報のみに基づいて、受電装置に備えた整流用インバータ回路を制御するように構成したことを特徴とする。ここで、以下の構成を有する。
(1)送電装置の送電コイルと、受電装置の受電コイルとの間の位置関係が変化するとインダクタンスが変化し又は結合度が変動すると、送電装置のインバータ回路のゲート信号と、受電装置の整流回路(インバータ回路)のゲート信号との位相差が変化する。
(2)この位相差を、受電装置の共振回路に接続される第2の共振回路により検出し、負荷の変動及びインダクタンス又は結合度の変動に対して所望の出力特性(出力電圧又は出力電流)となる所定の位相差を算出する。
【0015】
(3)受電装置の制御回路にてインバータ回路を駆動するゲート信号の周波数及び位相差を制御する。このとき、制御方法としては下記の2つがある。
(制御方法A)インダクタンス、結合度、又は負荷の変動に対して、出力特性が非依存となる、送電装置のインバータ回路のゲート信号と、整流用インバータ回路のゲート信号との間の位相差を算出して、この位相差に基づいて、整流用インバータ回路のゲート信号を制御する。これは、実施形態1において開示する。
(制御方法B)インダクタンス、結合度、又は負荷の変動に対して、出力特性が非依存となる整流用インバータ回路のレグ間の所定の位相差を算出して、この位相差に基づいて、整流用インバータ回路のゲート信号を制御する。これは、実施形態2において開示する。
(4)これにより、送電装置と受電装置間の通信が不要で、インダクタンスと結合度及び負荷変動に対して所望の出力特性(出力電圧又は出力電流)に制御することが可能となる。
【0016】
以下、本発明の実施形態及び変形例に係る、これらの制御回路及び制御方法について説明する。以下のすべての実施形態及び変形例は、本発明を実施するための一例であって、これに限定されるものではない。
【0017】
(実施形態1)
図1は実施形態1に係る非接触給電システムの構成例を示すブロック図である。
【0018】
図1において、実施形態1に係る非接触給電システムは、送電装置100と、受電装置200とを備えて構成される。ここで、送電装置100は、力率改善回路(以下、PFC回路という。)11と、インバータ回路12と、送電用LC共振回路13とを備えて構成される。一方、受電装置200は、受電用LC共振回路14と、インバータ回路15と、平滑用電解キャパシタ16と、負荷17と、制御回路30と、電圧検出用LCR共振回路である第2の共振回路22とを備えて構成される。なお、送電用LC共振回路13と、受電用LC共振回路14とにより、第1の共振回路21が構成される。また、インバータ回路15及び電解キャパシタ16により、整流回路が構成される。受電装置200はさらに、電圧検出器31,32,34と、電流検出器33,35を備える。
【0019】
ここで、LC共振回路13は、例えばキャパシタC1と、インダクタL1との直列回路で構成され、LC共振回路14は、例えばキャパシタC2,C3と、インダクタL2との直列回路で構成される。また、第2の共振回路22は、インダクタL3と、キャパシタC3と、抵抗R1との直列回路で構成され、第1の共振回路21の発振周波数と実質的に同一の共振周波数を有するように構成される。
【0020】
また、共振回路13,14,22と、インバータ回路15と、電解キャパシタ16と、制御回路30とにより、本発明に係る絶縁型共振回路装置301を構成する。また、送電装置100と受電装置200とは例えば充電などの電源供給のために互いに近傍に位置することで、LC共振回路13のインダクタL1と、LC共振回路14のインダクタL2とが互いに所定の結合度で電磁的に結合して電気的に絶縁される。
【0021】
送電装置100において、PFC回路11は、例えば商用交流電源等の交流電源からの交流電圧である入力電圧Vinを直流電圧に変換しかつ所定の力率改善方法を用いて入力電圧に対して力率改善処理を行った後、所定の直流電圧にDCDC変換してインバータ回路12に出力する。インバータ回路12は、PFC回路11からの直流電圧をスイッチングすることで交流電圧を発生してLC共振回路13に出力する。LC共振回路13は、入力される交流電圧に基づいて所定の共振周波数frで共振して当該共振周波数frを有する交流電圧を含む交流電力を発生して、LC共振回路13に結合されたLC共振回路14に送電する。
【0022】
図2Aは
図1のインバータ回路12の構成例を示す回路図である。
図2Aにおいて、インバータ回路12は、それぞれスイッチング素子である4個のMOSトランジスタQ21~Q24がブリッジ形式で接続され、さらに制御回路12Cを備えて構成される。ここで、MOSトランジスタQ21,Q24はハイサイド(高電圧側)のスイッチング素子であり、MOSトランジスタQ22,Q23はローサイド(低電圧側)のスイッチング素子である。4個のMOSトランジスタQ21~Q24は、各ゲート(制御端子の一例)に入力される、制御回路12Cからの4個のゲート信号Sp1~Sp4によりオン・オフ制御される。なお、
図3に示すように、ゲート信号Sp1,Sp3は例えばデューティ比が50%である互いに同一のゲート信号である一方、ゲート信号Sp2,Sp4は例えばデューティ比が50%である互いに同一のゲート信号であって、ゲート信号Sp1,Sp3の反転信号である。なお、ゲート信号Sp1~Sp4のデューティ比は50%に限定されず、それ以外のデューティ比の設定値であってもよい。
【0023】
受電装置200において、LC共振回路14は、LC共振回路13からの交流電力を受電して、当該交流電力の交流電圧を、整流回路を構成するインバータ回路15及び電解キャパシタ16を介して負荷17に出力する。ここで、インバータ回路15は、それぞれスイッチング素子である4個のMOSトランジスタQ1~Q4がブリッジ形式で接続されて構成される。ここで、MOSトランジスタQ1,Q4はハイサイド(高電圧側)のスイッチング素子であり、MOSトランジスタQ2,Q3はローサイド(低電圧側)のスイッチング素子である。4個のMOSトランジスタQ1~Q4は、各ゲート(制御端子の一例)に入力される、制御回路30からの4個のゲート信号S1~S4によりオン・オフ制御される。ここで、MOSトランジスタQ1,Q2をレグLg1といい、MOSトランジスタQ3,Q4をレグLg2という。
【0024】
インバータ回路15からの電圧が電解キャパシタ16により平滑されることで所定の直流電圧に整流された後、負荷17に出力される。なお、電解キャパシタ16と負荷17との間に、直流電圧を変更するDCDC変換器を設けてもよい。
【0025】
電圧検出器31はLC共振回路14の出力電圧Vs1を検出し、電流検出器33はLC共振回路14の出力電流Is1を検出する。電圧検出器32は、第2の共振回路22の出力電圧である発振信号電圧Vr1を検出する。電圧検出器34はインバータ回路15及び電解キャパシタ16(整流回路)の出力電圧Voを検出し、電流検出器35はインバータ回路15及び電解キャパシタ16(整流回路)の出力電流Ioを検出する。
【0026】
図1の実施形態1では、特に、従来技術に比較して、第2の共振回路22をさらに備えることを特徴とする。第2の共振回路22は、第1の共振回路21Aにより発振された発振信号電圧Vr1を検出して制御回路30に出力し、制御回路30は、発振信号電圧Vr1を所定の目標の出力電圧及び/又は所定の目標の出力電流を得るための比較信号電圧Vtと比較することで、インバータ回路15のMOSトランジスタQ1~Q4を駆動する4個のゲート信号S1~S4を生成する。
【0027】
図2Bは
図1の制御回路30の構成の一例を示すブロック図である。なお、
図1の制御回路30の構成はこれに限定されない。すなわち、
図2Bの構成、種々の設定値、以下の説明はあくまで一例であって、これに限定されない。
【0028】
図2Bにおいて、制御回路30は、コンパレータ51,53と、リセット付き積分器52と、操作部54と、比較信号電圧発生器55と、インバータ56とを備えて構成される。
【0029】
コンパレータ51は、第2の共振回路22により検出した発振信号電圧Vr1を接地電圧と比較して、比較結果の基準信号電圧Vrefを発生してリセット付き積分器52に出力する。リセット付き積分器52は、基準信号電圧Vrefの立下がりで出力電圧を接地電圧0Vにリセットした後、基準信号電圧Vrefの周期Tの半分であるT/2の周期を有して繰り返され、所定の傾斜で増大した後、基準信号電圧Vrefに同期する同期信号電圧であり、接地電圧(0V)にリセットする三角波信号電圧Vtriを発生してコンパレータ53の反転入力端子に出力する。
【0030】
一方、比較信号電圧発生器55は、操作部54を用いて例えばユーザにより設定された所定の目標の出力電圧及び/又は所定の目標の出力電流を得るための比較信号電圧Vtを発生してコンパレータ53の非反転入力端子に出力する。ここで、目標電圧Vtは例えば三角波信号電圧Vtriの最大値よりも低い電圧を有する。コンパレータ53は入力される三角波信号電圧Vtriを、前記比較信号電圧Vtと比較し、比較結果信号をゲート信号S1,S3として生成するとともに、前記比較結果信号を、インバータ56を介して、ゲート信号S1,S3とは反転するゲート信号S2,S4を生成する。これらのゲート信号S1~S4はインバータ回路15のMOSトランジスタQ1~Q4の各ゲートに印加されて、MOSトランジスタQ1~Q4がオン・オフ駆動制御される。ここで、ゲート信号S1~S4は例えば矩形パルス形状を有する。
【0031】
以上のように構成された
図2Bに図示した、
図1の制御回路30の構成の一例では、第2の共振回路22からの発振信号電圧Vr1に基づいて基準信号Vrefを生成し、基準信号Vrefを、所定の目標の出力電圧及び/又は所定の目標の出力電流を得るための比較信号電圧Vtと比較することで、送電装置100のインバータ回路12のゲート信号と、受電装置200のインバータ回路15のゲート信号との間の位相差αを算出し、算出した位相差αに基づいてゲート信号S1~S4を発生し、当該ゲート信号S1~S4を用いて当該位相差αでインバータ回路15が動作するように制御することで、所定の目標の出力電圧及び/又は所定の目標の出力電流を得るように制御している。
【0032】
図3は
図1の非接触給電システムの動作例を示す各電圧及び信号のタイミングチャートである。
【0033】
図3から明らかなように、基準信号電圧Vrefは例えば矩形パルス形状を有し、発振信号電圧Vr1に同期するように発生される。なお、基準信号電圧Vrefは、送電装置100のインバータ回路12のゲート信号Sp2,Sp4に同期しており、ゲート信号Sp1,Sp3の反転信号に同期している。
【0034】
三角波信号電圧Vtriは基準信号電圧Vrefに同期するように発生され、基準信号電圧Vrefの立下がりで接地電圧0Vにリセットされた後、所定の傾斜で増大する。ここで、三角波信号電圧Vtriが、その立下がるリセットの時刻t2よりも所定の時間期間αだけ前のタイミングの時刻t1で、所定の目標の出力電圧及び/又は所定の目標の出力電流を得るための比較信号電圧Vtに到達したときに、ゲート信号S1,S3がオンされる一方、ゲート信号S2,S4がオフされる。次いで、三角波信号電圧Vtriが、その立下がるリセットの時刻t4よりも所定の時間期間αだけ前のタイミングt3で、前記比較信号電圧Vtに到達したときに、ゲート信号S1,S3がオフされる一方、ゲート信号S2,S4がオンされる。この動作が周期Tで繰り返される。
【0035】
すなわち、ゲート信号S1,S3は互いに同一であり、ゲート信号S2,S4は互いに同一である。また、ゲート信号S2,S4はゲート信号S1,S3の反転信号である。従って、同一の各レグLg1,Lg2内で、1対のゲート信号(S1,S2)(S3,S4)は互いに反転関係にある。
【0036】
なお、以上の実施形態においては、出力電圧Voを制御しているが、本発明はこれに限らず、出力電流Ioを制御するように構成してもよい。これについては、以下の実施形態及び変形例においても同様である。
【0037】
以上説明したように、本実施形態によれば、第1の共振回路21の発振信号電圧を検出する第2の共振回路22をさらに備え、第2の共振回路22により検出した発振信号電圧Vr1を検出して制御回路30に出力し、制御回路30は、発振信号電圧Vr1を、所定の目標の出力電圧及び/又は所定の目標の出力電流を得るための比較信号電圧Vtと比較することで、インバータ回路15のMOSトランジスタQ1~Q4を駆動する4個のゲート信号S1~S4を生成してインバータ回路15を制御することで、出力電圧Voが所定の目標の出力電圧になり、及び/又は、出力電流Ioが所定の目標の出力電流となるように制御する。
【0038】
以上の構成により、送電装置100と受電装置200との間で制御情報を通信するために用いていた機構や、インダクタンス及び結合度又は負荷変動に対して出力電圧又は出力電流の特性を所望の値に制御するための機構が不要となる。ここで、無線通信システムを使用しないため、通信の遅延や途絶えによる制御不可能な状態になることがなく、保護回路などを必要としない。これにより、従来技術に比較して、構成が簡単であって大幅に製造コストを削減することができる。
【0039】
(実施形態2)
図4は、実施形態2に係る非接触給電システムにおいて用いる制御回路30Aの構成例を示すブロック図である。実施形態2に係る非接触給電システムは、
図1の実施形態1に係る非接触給電システムに比較して、以下の相違点を有する。
(1)制御回路30に代えて、
図4の制御回路30Aを備える。
(2)制御回路30Aは、
図2Bの制御回路30に比較して、インバータ57をさらに備える。
以下、相違点について説明する。
【0040】
図4において、コンパレータ53はゲート信号S3を出力するとともに、インバータ56を介してゲート信号S4として出力する。また、コンパレータ51は基準信号電圧Vrefを、ゲート信号S1として出力するとともに、インバータ57を介してゲート信号S2として出力する。これらのゲート信号S1~S4はそれぞれ、インバータか15のMOSトランジスタQ1~Q4の各ゲートに印加される。
【0041】
図5は
図4の非接触給電システムの動作例を示す各電圧及び信号のタイミングチャートである。
【0042】
図5から明らかなように、基準信号電圧Vref及び三角波信号電圧Vtriは
図3の実施形態1と同様に発生される。ここで、三角波信号電圧Vtriが、その立下がるリセットの時刻t2よりも所定の時間期間αだけ前のタイミングの時刻t1で、所定の目標の出力電圧及び/又は所定の目標の出力電流を得るための比較信号電圧Vtに到達したときに、ゲート信号S3がオンされる一方、ゲート信号S4がオフされる。また、ゲート信号S1は基準信号電圧Vrefと同一の同期信号であり、ゲート信号S2はゲート信号S1の反転信号である。次いで、三角波信号電圧Vtriが、その立下がるリセットの時刻t4よりも所定の時間期間αだけ前のタイミングt3で、前記比較信号電圧Vtに到達したときに、ゲート信号S3がオフされる一方、ゲート信号S4がオンされる。この動作が周期Tで繰り返される。
【0043】
すなわち、ゲート信号S2はゲート信号S1の反転信号であり、ゲート信号S4はゲート信号S3の反転信号である。従って、同一の各レグLg1,Lg2内で、1対のゲート信号(S1,S2)(S3,S4)は互いに反転関係にあるが、異なるレグLg1,Lg2において、ゲート信号S1はゲート信号S3よりも時間期間αだけ遅延し、ゲート信号S2はゲート信号S4よりも時間期間αだけ遅延する。
【0044】
以上説明したように、本実施形態によれば、第1の共振回路21の発振信号電圧を検出する第2の共振回路22をさらに備え、第2の共振回路22により検出した発振信号電圧Vr1を検出して制御回路30Aに出力し、制御回路30Aは、発振信号電圧Vr1を、所定の目標の出力電圧及び/又は所定の目標の出力電流を得るための比較信号電圧Vtと比較することで、インバータ回路15のMOSトランジスタQ1~Q4を駆動する4個のゲート信号S1~S4を生成してインバータ回路15を制御することで、出力電圧Voが所定の目標の出力電圧となり、及び/又は、出力電流Ioが所定の目標の出力電流となるように制御する。
【0045】
すなわち、第2の共振回路22からの発振信号電圧Vr1に基づいて基準信号Vrefを生成し、基準信号Vrefを、前記比較信号電圧Vtと比較することで、レグLg1,Lg2間の対応するスイッチング素子(S1とS3;S2とS4)間の位相差を算出し、前記算出した位相差に基づいてゲート信号S1~S4を発生し、所定の目標の出力電圧及び/又は目標の出力電流を得るように制御する。
【0046】
以上の構成により、送電装置100と受電装置200Aとの間で制御情報を通信するために用いていた機構や、インダクタンス及び結合度又は負荷変動に対して出力電圧又は出力電流の特性を所望の値に制御するための機構が不要となる。ここで、無線通信システムを使用しないため、通信の遅延や途絶えによる制御不可能な状態になることがなく、保護回路などを必要としない。これにより、従来技術に比較して、構成が簡単であって大幅に製造コストを削減することができる。
【0047】
(実施形態3)
図6は実施形態3に係る非接触給電システムの構成例を示すブロック図である。実施形態3に係る非接触給電システムは、
図1の実施形態1に係る非接触給電システムに比較して、以下の相違点を有する。
(1)受電装置200に代えて、受電装置200Aを備える。
(2)受電装置200Aは、受電装置200に比較して、制御回路30に代えて、制御回路30Bを備えるとともに、LC共振回路14Aと、別の第2の共振回路22Aと、インバータ回路15Aと、電圧検出器31,42と、電流検出器33とをさらに備える。
【0048】
すなわち、実施形態3に係る非接触給電システムは、2個の第2の共振回路22,22A及び2個のインバータ回路15,15Aを備えて並列に接続したことを特徴としている。以下、相違点について説明する。
【0049】
図6において、共振回路13,14,14A,22,22Aと、インバータ回路15、15Aと、電解キャパシタ16と、制御回路30Bとにより、本発明に係る絶縁型共振回路装置302を構成する。また、共振回路13,14,14Aにより、第1の共振回路21Aを構成する。ここで、送電装置100と受電装置200Aとは例えば充電などの電源供給のために互いに近傍に位置することで、LC共振回路13のインダクタL1と、LC共振回路14のインダクタL2及びLC共振回路14AのインダクタL12とが互いに所定の結合度で電磁的に結合する。
【0050】
LC共振回路14Aは、インダクタL12と、キャパシタC12,C13との直列回路により構成される。また、別の第2の共振回路22Aは、抵抗R11と、インダクタL13と、キャパシタC13の直列回路により構成され、第1の共振回路21の発振周波数と実質的に同一の共振周波数を有するように構成される。
【0051】
インバータ回路15Aはインバータ回路15と同様に、それぞれスイッチング素子である4個のMOSトランジスタQ11~Q14がブリッジ形式で接続されて構成される。ここで、MOSトランジスタQ11,Q14はハイサイド(高電圧側)のスイッチング素子であり、MOSトランジスタQ12,Q13はローサイド(低電圧側)のスイッチング素子である。4個のMOSトランジスタQ11~Q14は、制御回路30Bからの4個のゲート信号によりオン・オフ制御される。ここで、MOSトランジスタQ11,Q12をレグLg11といい、MOSトランジスタQ13,Q14をレグLg12という。
【0052】
インバータ回路15,15Aからの電圧が電解キャパシタ16により平滑されることで所定の直流電圧に整流された後、負荷17に出力される。
【0053】
電圧検出器41はLC共振回路14Aの出力電圧Vs2を検出し、電流検出器43はLC共振回路14の出力電流Is2を検出する。電圧検出器42は、別の第2の共振回路22Aの出力電圧Vr2を検出する。
【0054】
以上のように構成された実施形態3においては、制御回路30Bは発振信号電圧Vr1に加えて、検出電圧Vr2に基づいて、制御方法A又はBに係る
図2B又は
図4の回路を用いて、
(1)検出電圧Vr1を、所定の目標の出力電圧及び/又は所定の目標の出力電流を得るための比較信号電圧Vtと比較することで、インバータ回路15のMOSトランジスタQ1~Q4を駆動する4個のゲート信号S1~S4を生成してそれぞれ、インバータ回路15を制御し、
(2)検出電圧Vr2を、所定の目標の出力電圧及び/又は所定の目標の出力電流を得るための比較信号電圧Vtと比較することで、インバータ回路15AのMOSトランジスタQ11~Q14を駆動する4個のゲート信号S11~S14を生成してそれぞれ、インバータ回路15Aを制御する。
これにより、制御回路30Bは、出力電圧Voが所定の目標の出力電圧となり、及び/又は、出力電流Ioが所定の目標の出力電流となるように制御する。
【0055】
以上の構成により、送電装置100と受電装置200又は200Aとの間で制御情報を通信するために用いていた機構や、インダクタンス及び結合度又は負荷変動に対して出力電圧又は出力電流の特性を所望の値に制御するための機構が不要となる。ここで、無線通信システムを使用しないため、通信の遅延や途絶えによる制御不可能な状態になることがなく、保護回路などを必要としない。これにより、従来技術に比較して、構成が簡単であって大幅に製造コストを削減することができる。
【0056】
実施形態3では、受電装置200Aにおいて、2個の第2の共振回路22,22A及び2個のインバータ回路15,15Aを備えて並列に接続したことを特徴としている。この実施形態3における特有の効果は以下の通りである。
【0057】
例えば大電力化などによって受電装置200Aを多相で動作する回路で構成した場合、各相間の電流が不平衡になるという課題が発生する。しかし、インバータ回路15,15Aに対する制御処理を簡単化する方法として、受電装置200Aをいわゆるマルチ構成にして位相制御することで前記の課題を解決することができる。すなわち、実施形態3の構成により、効率改善による回路全体の小型化に加えて、電流の不平衡を改善するための従来の複雑な制御回路の部分を極めて簡単化することが可能となる。
【0058】
以上の実施形態3では、2個の第2の共振回路22,22A及び2個のインバータ回路15,15Aを用いているが、本発明はこれに限らず、3個以上の複数個の各回路を用いて、これらを並列に接続するように構成してもよい。
【0059】
(実施形態4)
図7は実施形態4に係る非接触給電システムの構成例を示すブロック図である。実施形態4に係る非接触給電システムは、
図1の実施形態1に係る非接触給電システムに比較して以下の相違点を有する。
(1)送電装置100に代えて、送電装置100Aを備える。
(2)送電装置100Aはさらに、第3の共振回路23をさらに備える。
以下、相違点について説明する。
【0060】
図7において、
共振回路13,14,22と、インバータ回路15と、電解キャパシタ16と、制御回路30と、電圧検出器32とにより、本発明に係る絶縁型共振回路装置303を構成する。また、第3の共振回路23は、LC共振回路13に対して直列に接続され、抵抗R21と、インダクタL23と、キャパシタC21との直列回路により構成される。第3の共振回路23は、インバータ回路12のスイッチング周波数fswと実質的に同一の共振周波数を有するように構成され、インバータ回路12からの出力電圧に追従するように発振する発振電流が第3の共振回路23内で流れることで、LC共振回路13の発振状態を安定化させることができる。なお、制御回路30の制御方法は、制御方法AとBのいずれであってもよい。
【0061】
以上のように構成された実施形態4に係る作用効果は以下の通りである。
【0062】
図1の実施形態1の送電装置100では、送電装置100のスイッチング周波数は固定のため、結合度kにより変化するインダクタンスL(k)の変動により、電力変換効率が悪化するという課題がある。
【0063】
そこで、実施形態4に係る非接触給電システムによれば、第3の共振回路23は、結合度kにより変化するインダクタンスL(k)の変動による送電装置100Aの共振周波数fsrの変化に対してインバータ回路12のスイッチング周波数fswを追従制御なしで追従可能であるため、送電装置100Aと受電装置200との間で無線通信システムなしで、電力変換効率を改善させることが可能である。
【0064】
なお、実施形態4において、実施形態3と同様に、受電装置200Aに係る複数の第2の共振回路22,22A及びインバータ回路15,15Aにより構成してもよい。
【0065】
(変形例等)
以下において、第1の共振回路21内のLC共振回路13及び14の変形例等について説明する。以下のインダクタは、自己インダクタンス、励磁インダクタンス、又は漏れインダクタンス等を含んでおり、L31、L41、L42はそれらとは異なるインダクタを設けることを意味する。また、下記の構成例はあくまで基本形式の回路であり、インダクタとキャパシタを直列又は並列に接続するそれらの数量は変更してもよい。
【0066】
図8Aは
図1等のLC共振回路13の構成例を示す回路図である。
図8Aにおいて、LC共振回路13は実施形態1~4に係る共振回路であり、インダクタL1とキャパシタC1の直列回路により構成される。ここで、送電装置100,100AのLC共振回路13は、以下のLC共振回路13A~13Eのいずれかで構成されてもよい。
【0067】
図8Bは変形例1に係るLC共振回路13Aの構成例を示す回路図である。
図8Bにおいて、LC共振回路13Aは、インダクタL1とキャパシタC1の並列回路により構成される。
【0068】
図8Cは変形例2に係るLC共振回路13Bの構成例を示す回路図である。
図8Cにおいて、LC共振回路13Cは、インダクタL1及びキャパシタC1の直列回路と、キャパシタC31との並列回路により構成される。
【0069】
図8Dは変形例3に係るLC共振回路13Cの構成例を示す回路図である。
図8Dにおいて、LC共振回路13Dは、インダクタL1及びキャパシタC31の並列回路と、キャパシタC1との直列回路により構成される。
【0070】
図8Eは変形例4に係るLC共振回路13Dの構成例を示す回路図である。
図8Eにおいて、LC共振回路13Dは、インダクタL1及びキャパシタC1の直列回路と、
キャパシタC31との並列回路に対して、直列に接続されたインダクタL31を含み構成される。
【0071】
図8Fは変形例5に係るLC共振回路13Eの構成例を示す回路図である。
図8Fにおいて、LC共振回路13Eは、インダクタL1及びキャパシタC1の直列回路と、インダクタL31との並列回路に対して、直列に接続されたキャパシタC32を含み構成される。
【0072】
図8A~
図8Fから明らかなように、LC共振回路13、13A~13Eは、少なくとも1つのインダクタと、少なくとも1つのキャパシタとを含み、前記各インダクタと前記各キャパシタとが直列又は並列に接続されている。
【0073】
また、受電装置200,200AのLC共振回路14,14Aは、以下のLC共振回路14B~14Gのいずれかで構成されてもよい。
【0074】
図9Aは変形例6に係るLC共振回路14Bの構成例を示す回路図である。
図9Aにおいて、LC共振回路14Bは、インダクタL2とキャパシタC2の直列回路により構成される。
【0075】
図9Bは変形例7に係るLC共振回路14Cの構成例を示す回路図である。
図9Bにおいて、LC共振回路14Cは、インダクタL2とキャパシタC2の並列回路により構成される。
【0076】
図9Cは変形例8に係るLC共振回路14Dの構成例を示す回路図である。
図9Cにおいて、LC共振回路14Dは、インダクタL2とキャパシタC2の直列回路と、キャパシタC41との並列回路により構成される。
【0077】
図9Dは変形例9に係るLC共振回路14Eの構成例を示す回路図である。
図9Dにおいて、LC共振回路14Eは、インダクタL2とキャパシタC41の並列回路と、キャパシタC2との直列回路により構成される。
【0078】
図9Eは変形例10に係るLC共振回路14Fの構成例を示す回路図である。
図9Eにおいて、LC共振回路14Fは、インダクタL2とキャパシタC2の直列回路と、キャパシタC41との並列回路に対して直列に接続されたインダクタL41を含み構成される。
【0079】
図9Fは変形例11に係るLC共振回路14Gの構成例を示す回路図である。
図9Fにおいて、LC共振回路14Gは、インダクタL2とキャパシタC2の直列回路と、インダクタL42との並列回路に対して接続されたキャパシタC42を含み構成される。
【0080】
図9A~
図9Fから明らかなように、LC共振回路14
B~
14G、少なくとも1つのインダクタと、少なくとも1つのキャパシタとを含み、前記各インダクタと前記各キャパシタとが直列又は並列に接続されている。
【産業上の利用可能性】
【0081】
以上の実施形態に係る非接触給電システムは、例えばAGVやEVなどの移動体に対する給電システム、並びに、生産ラインのパレットへの給電システムに適用できる。また、送受電間距離が変化しないアプリケーションにおいても本実施形態は有効であり、例えば、ロボットアーム等に使用されるスリップリング(回転体)に代替して使用される非接触給電装置の非接触スリップリングに適用できる。
【0082】
さらに、以上の実施形態に係る共振回路は、LC共振回路を利用した電源装置等に適用可能であり、製品ばらつきなどでインダクタやコンデンサの値が設計通りになっていなくても、実機で共振周波数を、インダクタ値及び/又はキャパシタ値のばらつきに対応して所定値に合わせることができる。
【符号の説明】
【0083】
11 力率改善回路(PFC回路)
12 インバータ回路
12C 制御回路
13,13A~13E,14,14A~14G LC共振回路
15 インバータ回路
16 電解キャパシタ
17 負荷
21,21A 第1の共振回路
22 第2の共振回路
23 第3の共振回路
30,30A,30B 制御回路
31,32,34,41,42 電圧検出器
33,35,43 電流検出器
51,53 コンパレータ
52 リセット付き積分器
54 操作部
55 比較信号電圧発生器
56,57 インバータ
100 送電装置
200,200A 受電装置
301,302 絶縁型共振回路装置
C1~C42 キャパシタ
L1~L42 インダクタ
Lg1~Lg12 レグ
R1~R21 抵抗
Q1~Q24 MOSトランジスタ