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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】車両用駆動システム
(51)【国際特許分類】
   B60L 58/21 20190101AFI20240814BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240814BHJP
   H02J 7/10 20060101ALI20240814BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20240814BHJP
   B60L 50/16 20190101ALI20240814BHJP
   B60L 15/20 20060101ALI20240814BHJP
   B60L 9/18 20060101ALI20240814BHJP
   B60L 58/22 20190101ALI20240814BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
B60L58/21
H02J7/00 P
H02J7/10 P
H02J7/02 H
B60L50/16
B60L15/20 J
B60L9/18 J
B60L58/22
H01M10/44 P
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020106230
(22)【出願日】2020-06-19
(65)【公開番号】P2022002429
(43)【公開日】2022-01-06
【審査請求日】2023-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古川 晶博
(72)【発明者】
【氏名】宇佐美 郁央
(72)【発明者】
【氏名】小谷 和也
(72)【発明者】
【氏名】平野 晴洋
【審査官】井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-002428(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0250279(US,A1)
【文献】特開2010-004666(JP,A)
【文献】特開2010-028881(JP,A)
【文献】国際公開第2020/067395(WO,A1)
【文献】特開2015-037339(JP,A)
【文献】特開平11-103535(JP,A)
【文献】特開昭58-112476(JP,A)
【文献】特表2017-538388(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 58/21
H02J 7/00
H02J 7/10
H02J 7/02
B60L 50/16
B60L 50/61
B60L 15/20
B60L 9/18
B60L 58/22
H01M 50/20
H01M 10/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用駆動システムであって、
駆動輪に駆動力を発生させるモータと、
前記モータと電気的に接続されたインバータと、
前記インバータに電力を供給するバッテリ部と、
前記インバータの動作を制御する制御装置とを備え、
前記バッテリ部は、直列に接続された第1および第2バッテリを有し、かつ、互いに接続された前記第1バッテリの負極および前記第2バッテリの正極が、接地されており、
前記制御装置は、前記インバータから前記モータに出力される電圧が、前記第1バッテリの出力電圧および前記第2バッテリの出力電圧よりも高くなるように、前記インバータの動作を制御するものであり、
前記バッテリ部は、カートリッジ化された第3および第4バッテリが着脱可能なように構成されており、装着された前記第3バッテリが前記第1バッテリと並列に接続され、装着された前記第4バッテリが前記第2バッテリと並列に接続されるように構成されており、
前記バッテリ部と前記インバータとは、第1、第2および第3ワイヤによって電気的に接続されており、
前記バッテリ部において、前記第1ワイヤは、前記第1バッテリの正極に接続されており、前記第2ワイヤは、互いに接続された前記第1バッテリの負極および前記第2バッテリの正極に接続されており、前記第3ワイヤは、前記第2バッテリの負極に接続されており、
前記インバータにおいて、直列に接続された第1および第2キャパシタが設けられており、互いに接続された前記第1キャパシタの一端および前記第2キャパシタの一端に、前記第2ワイヤが接続されており、前記第1キャパシタの他端が前記第1ワイヤに接続されており、前記第2キャパシタの他端が前記第3ワイヤに接続されている
ことを特徴とする車両用駆動システム。
【請求項2】
請求項1記載の車両用駆動システムにおいて、
前記第3および第4バッテリは、略四角柱形状を有しており、かつ、一方の底面に、正極および負極を含む第1電気接続部が形成されており、他方の底面に、持ち手が形成されている
ことを特徴とする車両用駆動システム。
【請求項3】
請求項2記載の車両用駆動システムにおいて、
前記バッテリ部は、前記第3および第4バッテリをそれぞれ装着するための穴部を有し、
前記穴部は、底面に第2電気接続部が形成されており、前記第3または第4バッテリが前記一方の底面を前記穴部の底面側に向けて装着されたとき、前記第1電気接続部と前記第2電気接続部とが電気的に接続されるように構成されている
ことを特徴とする車両用駆動システム。
【請求項4】
請求項1記載の車両用駆動システムにおいて、
前記バッテリ部は、当該車両において、最後部座席の後方で、かつ、燃料タンクの前方に配置されている
ことを特徴とする車両用駆動システム。
【請求項5】
請求項1記載の車両用駆動システムにおいて、
前記インバータは、マルチレベルインバータである
ことを特徴とする車両用駆動システム。
【請求項6】
請求項1記載の車両用駆動システムにおいて、
前記第1および第2バッテリの出力電圧は、60V以下である
ことを特徴とする車両用駆動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、走行用モータとバッテリを利用する車両用駆動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、高電圧バッテリで走行用モータを駆動する車両用駆動システムが知られている。モータの出力は電流と電圧に依存するため(P=I・V・cosθ)、モータを高出力化するためには、バッテリの高電圧化が有効である。一般的には、走行用モータを駆動するために、60V以上の高電圧バッテリが利用されている。
【0003】
ここで、高電圧バッテリを利用する装置では、部品や配線に関して高電圧対策が必要になり、このことがコストや重量の増加につながってしまう。例えば、インバータとバッテリを接続する配線が大型になり、重量が重くなる。また、インバータやバッテリのコネクタとして、高電圧に耐え得る高価な部品を使わざるを得ない。その一方で、高電圧化することによって、所定のモータ出力を得るための電流値が小さくなるため(P=I・V・cosθより)、モータ損失を低減することができる(Ploss=R・I)。これにより、車両の電費を向上させることができる。近年では、車両重量およびコストの増加のデメリットよりも、電費向上のメリットを優先して、バッテリを高電圧化する構成が主流になっている。
【0004】
特許文献1では、モータの駆動力を主体とするハイブリッド駆動装置の構成が開示されている。この構成では、低電圧バッテリとキャパシタとを直列接続して、モータを駆動するための高電圧電源を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-162964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
キャパシタは一般に、通常のバッテリよりも瞬間的に大電流を供給することができる。特許文献1の構成では、この応答性の良いキャパシタを、例えば車両発進時の加速に利用している。ところが、キャパシタはエネルギー密度が小さいため、モータへの長時間の電力供給は困難である。したがって、航続距離を確保するという面では、キャパシタを利用しないで、バッテリを利用する方が好ましい。
【0007】
ここに開示された技術は、走行用モータを利用する車両用駆動システムにおいて、車両重量やコストの増大を抑制しつつ、モータを高出力化し、モータへの長時間の電力供給を可能にし、かつ、航続距離の問題を緩和可能にする、ことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ここで、発明者らは、上述した構成の車両用駆動システムについて、実験および検討等により、次のような知見を得ることができた。
【0009】
すなわち、上述した構成の車両用駆動システムでは、直列に接続した第1および第2バッテリについて、その接続ノードをグランドに接続し、バッテリ部から出力される電圧を低電圧化している。そして、インバータとして3レベルインバータを採用し、インバータから、バッテリ電圧よりも高いモータ駆動電圧が生成されるようにしている。これにより、重量が小さく、コストが低く、かつ、モータ出力が高い車両用駆動システムを実現することができる。
【0010】
しかしながら、発明者らによる実験の結果、上述した構成の車両用駆動システムでは、期待されるほどの出力性能が確保できないことが判明した。検討の結果、その原因は、バッテリの充電量(SOC)/電圧のばらつきにあることが分かった。
【0011】
すなわち、インバータに電源を供給する各バッテリの充電量/電圧にばらつきがあると、モータ駆動電圧の振幅にばらつきが生じ、これがモータのトルク変動を引き起こす。車両駆動において、モータのトルク変動は、運転の快適さを大きく損なう要因になるため、できるだけ抑制する必要がある。ところが、トルク変動を抑制するためには、充電量/電圧が低い方のバッテリに合わせてインバータ出力を制限せざるを得ない。このことは、車両用駆動システムが持つポテンシャルを十分に発揮させることができない、という問題を生じさせる。
【0012】
すなわち、上述した構成の車両用駆動システムにおいて、モータ出力性能を十分に確保するためには、インバータに電源を供給する各バッテリについて、充電量/電圧のバランスをとることが重要である、との知見を得ることができた。この知見に基づいて、本願発明者らは、以下に説明するような構成を考案した。
【0013】
すなわち、ここに開示された技術では、車両用駆動システムは、駆動輪に駆動力を発生させるモータと、前記モータと電気的に接続されたインバータと、前記インバータに電力を供給するバッテリ部と、前記インバータの動作を制御する制御装置とを備え、前記バッテリ部は、直列に接続された第1および第2バッテリを有し、かつ、互いに接続された前記第1バッテリの負極および前記第2バッテリの正極が、接地されており、前記制御装置は、前記インバータから前記モータに出力される電圧が、前記第1バッテリの出力電圧および前記第2バッテリの出力電圧よりも高くなるように、前記インバータの動作を制御するものであり、前記バッテリ部は、カートリッジ化された第3および第4バッテリが着脱可能なように構成されており、装着された前記第3バッテリが前記第1バッテリと並列に接続され、装着された前記第4バッテリが前記第2バッテリと並列に接続されるように構成されている。
【0014】
この構成によると、バッテリ部において、直列に接続された第1および第2バッテリの接続ノードが接地されるので、グランドを基準にして、第1バッテリの出力電圧と同じ値の正の電圧と、第2バッテリの出力電圧と絶対値が同じである負の電圧が、バッテリ部から出力される。そして、インバータから出力されるモータ駆動電圧が、第1バッテリの出力電圧や第2バッテリの出力電圧よりも高くなるように、インバータの動作が制御される。これにより、バッテリ部の出力を低電圧化して車両重量やコストを抑制しつつ、モータを高出力化することができる。さらに、バッテリ部は、カートリッジ化された第3および第4バッテリが着脱可能なように構成されており、装着された第3バッテリが第1バッテリと並列に接続され、装着された第4バッテリが前記第2バッテリと並列に接続されるように構成されている。これにより、補助バッテリの利用が可能になり、かつ、補助バッテリの交換が容易になるため、航続距離を緩和することができる。
【0015】
さらに、前記バッテリ部と前記インバータとは、第1、第2および第3ワイヤによって電気的に接続されており、前記バッテリ部において、前記第1ワイヤは、前記第1バッテリの正極に接続されており、前記第2ワイヤは、互いに接続された前記第1バッテリの負極および前記第2バッテリの正極に接続されており、前記第3ワイヤは、前記第2バッテリの負極に接続されており、前記インバータにおいて、直列に接続された第1および第2キャパシタが設けられており、互いに接続された前記第1キャパシタの一端および前記第2キャパシタの一端に、前記第2ワイヤが接続されており、前記第1キャパシタの他端が前記第1ワイヤに接続されており、前記第2キャパシタの他端が前記第3ワイヤに接続されている。
【0016】
また、前記第3および第4バッテリは、略四角柱形状を有しており、かつ、一方の底面に、正極および負極を含む第1電気接続部が形成されており、他方の底面に、持ち手が形成されている、としてもよい。
【0017】
これにより、第3および第4バッテリの取り扱いが容易になり、交換が容易になる。
【0018】
さらに、前記バッテリ部は、前記第3および第4バッテリをそれぞれ装着するための穴部を有し、前記穴部は、底面に第2電気接続部が形成されており、前記第3または第4バッテリが前記一方の底面を前記穴部の底面側に向けて装着されたとき、前記第1電気接続部と前記第2電気接続部とが電気的に接続されるように構成されている、としてもよい。
【0019】
これにより、バッテリ部への第3および第4バッテリの装着が容易になる。
【0020】
また、上述した車両用駆動システムにおいて、前記バッテリ部は、当該車両において、最後部座席の後方で、かつ、燃料タンクの前方に配置されている、としてもよい。
【0021】
これにより、作業者がバッテリ部にアクセスしやすくなるため、バッテリ交換がより一層容易になる。また、荷室スペースを確保することができる
【0022】
た、上述した車両用駆動システムにおいて、インバータは、マルチレベルインバータである、としてもよい。
【0023】
これにより、インバータからモータに出力される電圧が、第1バッテリの出力電圧および第2バッテリの出力電圧よりも高くなるように、インバータの動作を容易に制御することができる。
【0024】
また、上述した車両用駆動システムにおいて、前記第1および第2バッテリの出力電圧は、例えば、60V以下である。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、ここに開示された技術によると、走行用モータを利用する車両用駆動システムにおいて、車両重量やコストの増大を抑制しつつ、モータを高出力化し、モータへの長時間の電力供給を可能にし、かつ、航続距離の問題を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】実施形態に係る車両用駆動システムを車両に搭載したレイアウトの例
図2】実施形態に係る車両用駆動システムの構成例
図3】実施形態に係る車両用駆動システムにおけるモータ駆動の主要回路構成
図4】比較例に係るモータ駆動の主要回路構成
図5】3レベルインバータの概要構成と動作
図6】3レベルインバータの一相分のインバータ回路
図7】3レベルインバータの詳細動作図
図8】実施形態に係る車両用駆動システムにおける、バッテリ制御に係る回路構成の一例
図9図8におけるバランス回路の回路構成例
図10図8におけるセルバランス回路の回路構成
図11】バランス回路の動作を示すフローチャート
図12】(a),(b)はバッテリ1からバッテリ2へエネルギーを移動させる動作を示す図
図13】(a),(b)はバッテリ2からバッテリ1へエネルギーを移動させる動作を示す図
図14】バッテリカートリッジの外観例
図15】バッテリカートリッジにおける電気接続部の構造例
図16】バッテリ部において、バッテリカートリッジが装着される部分の構造例
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0028】
図1は実施形態に係る車両用駆動システムを車両に搭載したレイアウトの例であり、車両を側面から見た透視図である。図2は実施形態に係る車両用駆動システムの構成例である。
【0029】
図1および図2に示すように、車両1に、車両用駆動システム10が搭載されている。車両用駆動システム10は、後輪2aを駆動するエンジン12と、後輪2aに駆動力を伝達する動力伝達機構14と、後輪2aを駆動する主駆動モータ16と、前輪2bを駆動する副駆動モータ20と、主駆動モータ16に電気的に接続されたインバータ15aと、副駆動モータ20に電気的に接続されたインバータ15bと、インバータ15a,15bに電力を供給するバッテリ部18と、制御装置24と、エンジン12に供給する燃料を格納する燃料タンク30とを備える。すなわち、車両用駆動システム10は、ハイブリッド駆動システムである。
【0030】
エンジン12は、車両1の主駆動輪である後輪2aに対する駆動力を発生するための内燃機関であり、本実施形態では、ロータリーエンジンである。なお、エンジン12は。ロータリーエンジン以外のエンジン、例えばレシプロエンジンであってもよい。エンジン12は、車両1の前部に配置されており、動力伝達機構14を介して後輪2aを駆動する。
【0031】
動力伝達機構14は、エンジン12が発生した駆動力を主駆動輪である後輪2aに伝達するように構成されている。動力伝達機構14は、エンジン12に接続されたプロペラシャフト14a、クラッチ14b、および、有段変速機であるトランスミッション14cを備えている。プロペラシャフト14aは、車両1の前部に配置されたエンジン12から、プロペラシャフトトンネル(図示せず)の中を車両1の後方へ向けて延びている。プロペラシャフト14aの後端は、クラッチ14bを介してトランスミッション14cに接続されている。トランスミッション14cの出力軸は後輪2aの車軸(図示せず)に接続され、後輪2aを駆動する。
【0032】
主駆動モータ16は、車両1の主駆動輪である後輪2aに対する駆動力を発生するための電動機であり、エンジン12の後ろ側に、エンジン12に隣接して配置されている。主駆動モータ16はエンジン12と直列に接続されており、主駆動モータ16が発生した駆動力も動力伝達機構14を介して後輪2aに伝達される。本実施形態では、主駆動モータ16として、48Vで駆動される25kWの永久磁石同期電動機が採用されている。
【0033】
インバータ15aは、主駆動モータ16に隣接して配置されており、バッテリ部18から供給される直流電力を交流電力に変換して、主駆動モータ16に供給する。
【0034】
副駆動モータ20は、副駆動輪である前輪2bに対する駆動力を発生するための電動機であり、本実施形態では、各前輪2bのホイール内にそれぞれ収容されたインホイールモータである。本実施形態では、副駆動モータ20として、17kWの誘導電動機がそれぞれ採用されている。
【0035】
インバータ15bは、バッテリ部18から供給される直流電力を交流電力に変換して、副駆動モータ20にそれぞれ供給する。
【0036】
バッテリ部18は、本実施形態では、シート3の後方であって、燃料タンク30の前方に配置されている。本実施形態では、バッテリ部18は、4個のバッテリ18a,18b,18c、18dを備えている。なお、各バッテリ18a~18dは例えば、出力電圧が48Vであり、その内部に直列接続された4個の12Vのバッテリセルをそれぞれ備えている。
【0037】
バッテリ18a,18bは、電気的に直列に接続されており、バッテリ部18に据え付けられている。また、後述するように、バッテリ18a,18bの接続ノード、すなわちバッテリ18aの負極およびバッテリ18bの正極は、インバータ15aと共通に、グランドに接続されている。また、バッテリ18cは、バッテリ18aと並列に接続され、バッテリ18dは、バッテリ18bと並列に接続されている。ここでは、バッテリ18c,18dは、カートリッジ化されたバッテリカートリッジになっており、バッテリ部18に着脱可能になっている。バッテリ部18は、カートリッジ化されたバッテリ18c,18dが装着されると、バッテリ18cがバッテリ18aと並列に接続され、バッテリ18dがバッテリ18bと並列に接続されるように構成されている。
【0038】
制御装置24は、エンジン12、主駆動モータ16と電気的に接続されたインバータ15a、および、副駆動モータ20と電気的に接続されたインバータ15bを制御して、車両1が、エンジン走行モードおよびモータ走行モードを適宜実行するように構成されている。具体的には、制御装置24は、マイクロプロセッサ、メモリ、インタフェイス回路、および、これらを作動させるプログラム(以上、図示せず)等によって構成することができる。
【0039】
エンジン走行モードとモータ走行モードの切り替え制御は、例えば次のように行われる。ここでは、車両1には、エンジン走行モードまたはモータ走行モードを選択するスイッチが設けられているものとする。
【0040】
市街地の中などで比較的低速で発進、停止が繰り返される間は、モータ走行モードに設定される。モータ走行モードでは、制御装置24は、バッテリ部18の電力をインバータ15aに供給し、主駆動モータ16を駆動する。一方で、制御装置24は、エンジン12に燃料が供給されないように制御し、エンジン12がトルクを発生しないようにする。この場合、車両1は、純粋に電気自動車(EV)として機能する。
【0041】
車両1が所定車速以上で走行している状態であっても、所定量以上の加速が行われていない状態では、モータ走行モードのままになり、主駆動モータ16によって車両1が駆動される。
【0042】
ここで、運転者によって上述のスイッチが操作され、エンジン走行モードに切り替えられ、アクセルペダルが踏み込まれたとする。エンジン走行モードでは、制御装置24は、エンジン12への燃料の供給を開始し、これにより、エンジン12がトルクを発生する。一方で、制御装置24は、インバータ15aの制御を停止し、主駆動モータ16による駆動を停止する。このため、運転者は、エンジン12により駆動される車両1の運転フィーリングを楽しむことができる。
【0043】
図3は実施形態に係る車両用駆動システムにおけるモータ駆動に係る主要回路の構成である。また、図4は比較例に係るモータ駆動の主要回路の構成である。
【0044】
図3に示すように、本実施形態では、バッテリ部18のコネクタ4aとインバータ15aの4bとが、3本のワイヤ5(5a,5b,5c)によって電気的に接続されている。バッテリ部18において、バッテリ18a,18bが直列に接続されており、その接続ノードすなわちバッテリ18aの負極およびバッテリ18bの正極がグランドに接続されている。ワイヤ5aはバッテリ18aの正極に接続され、ワイヤ5bはバッテリ18aの負極およびバッテリ18bの正極に接続され、ワイヤ5cはバッテリ18bの負極に接続される。すなわち、バッテリ部18から、±48Vの電圧が出力される。
【0045】
インバータ15aにおいて、キャパシタ15c,15dが直列に接続されており、その接続ノードはワイヤ5bに接続されている。キャパシタ15cの他端がワイヤ5aに接続され、キャパシタ15dの他端がワイヤ5cに接続されている。すなわち、キャパシタ15c,15dには、96Vの電圧が印加されている。
【0046】
ここで、60V以下の低電圧では、高電圧安全対策が基本的に不要となり、低コストの素子や部品を用いることができる。具体的には、図3の構成において、コネクタ4a,4bおよびワイヤ5について、低電圧用の安価な部品を利用することができる。また、ハーネス等の重量も大幅に低減することができる。
【0047】
一方、図4の構成では、バッテリ部118において、バッテリ118a,118bが直列に接続されており、その両端の電圧である96Vがバッテリ部118から出力される。このため、バッテリ部118のコネクタ104a、インバータ115aのコネクタ104bには、高電圧対応の部品を用いなければならない。また、コネクタ104a,104bを接続するワイヤ105に関して、高電圧用の高価で重い配線を用いなければならない。
【0048】
すなわち、本実施形態の構成では、バッテリ部18において、直列に接続されたバッテリ18a,18bの接続ノードが接地されているので、グランドを基準にして、バッテリ18aの出力電圧と同じ値の正の電圧と、バッテリ18bの出力電圧と絶対値が同じである負の電圧とが、バッテリ部18から出力される。したがって、バッテリ部18の出力が低電圧化されるので、これにより、車両重量やコストを抑制することができる。
【0049】
そして、本実施形態では、バッテリ電圧48Vよりも高いモータ駆動電圧を得るために、インバータ15aとして、3レベルインバータを採用している。
【0050】
図5は3レベルインバータの概要を示す図であり、(a)は回路構成、(b)は出力電圧の波形を示す。図5(a)に示すように、3レベルインバータでは、正側と負側にそれぞれ、直列接続した2個のスイッチング素子が配置されている。三相モータの制御のためには、計12(2×2×3)個のスイッチング素子が必要となる。バッテリ電圧として±48Vが与えられたとき、図5(b)に示すように、スイッチング素子の制御によって、96Vのモータ駆動電圧を生成することができる。また、スイッチング素子として、IGBTと比べて耐圧が低いMOS-FETを用いることができる。
【0051】
図6は1相分のインバータ回路の構成例である。図6において、スイッチング素子Q5,Q6の間の接続ノードがグランドと接続されている。スイッチング素子Q5にはスイッチング素子Q3と共通の駆動信号が与えられ、スイッチング素子Q6にはスイッチング素子Q2と共通の駆動信号が与えられる。
【0052】
図7は各相におけるスイッチング素子の駆動波形と、相間電圧の例である。図7に示すように、駆動波形によって駆動された各相の電圧の差分が、その相間電圧になる。例えば、駆動波形Q1u~Q4uによって駆動されたu相の電圧と、駆動波形Q1v~Q4vによって駆動されたv相の電圧との差分が、相間電圧Vu-vになる。図7に示すようなインバータ制御によって、例えば、±48Vのバッテリ電圧から、96Vのモータ駆動電圧を生成することができる。
【0053】
図8は実施形態に係る車両用駆動システムにおける、バッテリ制御に係る回路構成の一例である。図8の構成において、Batt1,Batt2,Batt3,Batt4は48Vのバッテリであり、図2の構成におけるバッテリ18a,18b,18c,18dにそれぞれ対応している。バッテリBatt1の負極とバッテリBatt2の正極とが接続されており、その接続ノードが接地されている(中性点)。バッテリBatt3はバッテリBatt1と並列に接続されており、バッテリBatt4はバッテリBatt2と並列に接続されている。なお、バッテリBatt3,Batt4は省いてもかまわない。
【0054】
バッテリBatt1の正極とインバータ15aとの間にスイッチS1が挿入されており、バッテリBatt2の負極とインバータ15aとの間にスイッチS2が挿入されている。また、バッテリBatt1から、車両1内の電装品等に向けて、48Vと12Vの電力が供給可能になっている。バッテリBatt1の正極と48Vの電力線との間に、スイッチS3が挿入されている。バッテリBatt1内の1個のバッテリセルの正極と12Vの電力線との間に、スイッチS0が挿入されている。スイッチS0~S3は、例えばMOSFETによって構成される。また、DC/DCコンバータ41は、バッテリBatt1から供給される48Vの電力を12Vの電力に変換して出力する。
【0055】
バッテリBatt1,Batt2に対して、バランス回路30(図では、バランス0と表記)が設けられている。バランス回路30は、バッテリBatt1,Batt2間の充放電制御を行うことによって、バッテリBatt1,Batt2の充電量をバランスさせる機能を有する。また、各バッテリBatt1,Batt2,Batt3,Batt4に対して、セルバランス回路31,32,33,34がそれぞれ設けられている(図では、バランス1~4と表記)。セルバランス回路31~34は、対応するバッテリ内部のバッテリセルについて、その充電量のバランスをとる機能を有する。
【0056】
制御部42は、スイッチS0~S3のオンオフ制御、並びに、バランス回路30およびセルバランス回路31~34の制御を行う。制御部42は、マイクロプロセッサ、メモリ、インタフェイス回路、および、これらを作動させるプログラム等によって構成することができる。なお、制御部42は、図2に示す制御装置24と一体に構成されてもよいし、個別に構成されていてもよい。
【0057】
図9はバランス回路30の回路構成例である。図9のバランス回路30は、バッテリBatt1の正極と負極との間に直列配置されたスイッチS4,S5と、バッテリBatt2の正極と負極との間に直列配置されたスイッチS6,S7と、スイッチS4,S5間のノードとスイッチS6,S7間のノードとの間に設けられたキャパシタC30とを備える。スイッチS4~S7のオンオフを制御することによって、バッテリBatt1,Batt2の一方から、キャパシタC30を介して、バッテリBatt1,Batt2の他方へ、エネルギーを移動させることができる。バランス回路30の動作の詳細については後述する。
【0058】
図10はセルバランス回路31の回路構成例である。なお、セルバランス回路32~34も図10と同様の回路構成としてよい。バッテリBatt1は、直列に接続された4個のバッテリセル181~184を備える。図10のセルバランス回路31は、まず、バッテリセル181,182の充電量のバランスを整えるための構成として、スイッチS11~S14およびキャパシタC31aを備える。セルバランス回路31は、また、バッテリセル183,184の充電量のバランスを整えるための構成として、スイッチS15~S18およびキャパシタC31bを備える。さらに、セルバランス回路31は、バッテリセル181,182とバッテリセル183,184との充電量のバランスを整えるための構成として、スイッチS21~S24およびキャパシタC31cを備える。なお、セルバランス回路31の動作については、以下に説明するバランス回路30の動作から容易に類推することができるため、詳細な説明は省略する。
【0059】
以下、バランス回路30の動作について説明する。図11はバランス回路30の動作を示すフローチャートである。また、図12(a),(b)はバッテリBatt1からバッテリBatt2へエネルギーを移動させる動作を示し、図13(a),(b)はバッテリBatt2からバッテリBatt1へエネルギーを移動させる動作を示す。なお、図12および図13では、図の簡略化のために、バッテリBatt3,Batt4とこれらに関わる構成要素については図示を省略している。
【0060】
バランス回路30の動作を開始するとき、制御部42は、バッテリBatt1,Batt2の電圧値および電流値を取得する(ステップS11)。そして、バッテリBatt1,Batt2が有するエネルギーの大小を判定する。
【0061】
バッテリBatt1のエネルギーがバッテリBatt2のエネルギーよりも大きいときは(ステップS12でYES)、バランス回路30は、バッテリBatt1のエネルギーをバッテリBatt2に移動させる。すなわち、制御部42は、バランス回路30において、スイッチS4,S6をオンにし、スイッチS5,S7をオフにする(ステップS13)。これにより、図12(a)に示すように、バッテリBatt1のエネルギーがキャパシタC30に移動し始める。所定時間が経過した後(ステップS14)、制御部42は、バランス回路30において、スイッチS4,S6をオフにし、スイッチS5,S7をオンにする(ステップS15)。これにより、図12(b)に示すように、キャパシタC30に蓄積されたエネルギーがバッテリBatt2に移動し始める。所定時間が経過した後(ステップS16)、制御部42は、スイッチS4~S7をオフにする(ステップS17)。このようなバランス回路30の動作によって、バッテリBatt1のエネルギーの一部を、バッテリBatt2に移動させることができる。
【0062】
一方、バッテリBatt2のエネルギーがバッテリBatt1のエネルギーよりも大きいときは(ステップS21でYES)、バランス回路30は、バッテリBatt2のエネルギーをバッテリBatt1に移動させる。すなわち、制御部42は、バランス回路30において、スイッチS4,S6をオフにし、スイッチS5,S7をオンにする(ステップS22)。これにより、図13(a)に示すように、バッテリBatt2のエネルギーがキャパシタC30に移動し始める。所定時間が経過した後(ステップS23)、制御部42は、バランス回路30において、スイッチS4,S6をオンにし、スイッチS5,S7をオフにする(ステップS24)。これにより、図13(b)に示すように、キャパシタC30に蓄積されたエネルギーがバッテリBatt1に移動し始める。所定時間が経過した後(ステップS25)、制御部42は、スイッチS4~S7をオフにする(ステップS17)。このようなバランス回路30の動作によって、バッテリBatt2のエネルギーの一部を、バッテリBatt1に移動させることができる。
【0063】
なお、バッテリBatt1,Batt2が有するエネルギーに大小がある場合であっても、その差が所定値以下である場合は、バランス回路30を動作させずに、バッテリBatt1,Batt2間のエネルギーの移動を行わないようにしてもよい。すなわち、バッテリBatt1のエネルギーがバッテリBatt2のエネルギーよりも所定値以上大きいときに、バッテリBatt1のエネルギーがバッテリBatt2のエネルギーよりも大きいと判定してもよい。また、バッテリBatt2のエネルギーがバッテリBatt1のエネルギーよりも所定値以上大きいときに、バッテリBatt2のエネルギーがバッテリBatt1のエネルギーよりも大きいと判定してもよい。
【0064】
また、キャパシタC30にバッテリBatt1,Batt2からのエネルギーを蓄積する所定時間は、キャパシタC30の容量や、バッテリBatt1,Batt2の容量等を基にして、予め定めておけばよい。
【0065】
また、バランス回路30は、車両1がモータによって走行しているモータ走行モードのときに動作してもかまわないし、また車両1がエンジン走行モードのときに動作してもかまわない。
【0066】
また、図9のバランス回路30の構成において、バッテリBatt1,Batt2の接続ノードとスイッチS5,S6の接続ノードとの間の電気経路に、インダクタLを挿入してもよい。これにより、バッテリBatt1,Batt2間の電圧差が小さいときでも、LC共振を利用して、キャパシタC30へエネルギーを移動させることができる。
【0067】
また、図8の構成において、セルバランス回路31~34は省いてもかまわない。ただし、バッテリBatt1に関しては、1個のバッテリセルから12Vの電力が出力されているため、バッテリセル間で充電量のバランスがくずれる可能性が高い。このため、バッテリBatt1に対するセルバランス回路31は設けることが好ましい。
【0068】
<バッテリカートリッジの構成例>
上述したとおり、第3および第4バッテリ18c,18dは、バッテリ部18に着脱可能なように、カートリッジ化されている。以下、本実施形態におけるバッテリカートリッジの構成例について説明する。
【0069】
図14は本実施形態におけるバッテリカートリッジの外観例、図15はバッテリカートリッジにおける電気接続部の構造例である。図14に示すように、バッテリカートリッジ50は、略四角柱形状を有している。ただし、側面の高さ方向の辺は、角が削られて丸みを帯びた形状になっている。図15に示すように、一方の底面51には、ほぼ中央に、バッテリの正極52aおよび負極52bを含む電気接続部52が形成されている。また、他方の底面53には、持ち手54が形成されている。底面53から底面51に向けて、わずかに先細りになるようにテーパーがつけられている。
【0070】
図16はバッテリ部18において、バッテリカートリッジ50が装着される部分の構造例である。図16に示すように、バッテリ部は、バッテリカートリッジ50を装着するための穴部60を有している。穴部60は、その底面61に、電気接続部62が形成されている。また、穴部60の側面表面には、弾性部材63が配置されている。この穴部60に、バッテリカートリッジ50が底面51を穴部60の底面61側に向けて装着されたとき、バッテリカートリッジ50の電気接続部52と、穴部60の電気接続部62とが電気的に接続される。
【0071】
以上のように本実施形態によると、バッテリ部18において、直列に接続されたバッテリBatt1,Batt2の接続ノードが接地されるので、グランドを基準にして、バッテリBatt1の出力電圧と同じ値の正の電圧と、バッテリBatt2の出力電圧と絶対値が同じである負の電圧が、バッテリ部18から出力される。そして、インバータ15aから出力されるモータ駆動電圧が、バッテリBatt1,Batt2の出力電圧よりも高くなるように、インバータ15aの動作が制御される。これにより、バッテリ部18の出力を低電圧化して車両重量やコストを抑制しつつ、モータを高出力化することができる。
【0072】
さらに、バッテリ部18は、カートリッジ化されたバッテリ18c,18dが着脱可能なように構成されており、装着されたバッテリ18cがバッテリ18aと並列に接続され、装着されたバッテリ18dがバッテリ18bと並列に接続されるように構成されている。これにより、補助バッテリの利用が可能になり、かつ、補助バッテリの交換が容易になるため、航続距離の問題を緩和することができる。
【0073】
なお、本実施形態では、バッテリ18a,18bはバッテリ部18に据え付けられているものとしたが、バッテリ18a,18bの少なくとも一方について、カートリッジ化されたバッテリカートリッジとして構成してもかまわない。例えば、図14図16に示したバッテリカートリッジおよびバッテリ部の構成例を、バッテリ18a,18bの少なくとも一方に適用してもかまわない。これにより、バッテリ18a,18bの少なくとも一方について、交換が容易になるため、航続距離の問題を緩和することができる。
【0074】
また、本実施形態では、車両1は1列シートであり、バッテリ部18は、シート3の後方で、かつ、燃料タンク30の前方に配置されている。このように、バッテリ部は、最後部座席の後方で、かつ、燃料タンクの前方に配置されているのが好ましい。これにより、作業者がバッテリ部にアクセスしやすくなるため、バッテリ交換がより一層容易になる。また、荷室スペースを確保することができる。なお、バッテリ部の配置位置は、本実施形態で示したものに限られるものではなく、例えば、フロア下に配置してもよい。また、バッテリ部は、複数の場所に分けて配置してもかまわない。例えば、バッテリカートリッジを収容する部分は、作業者がアクセスしやすい後部座席の後方に配置し、バッテリが据え付けられた部分はフロア下に配置する、としてもよい。
【0075】
また、本実施形態では、バッテリBatt1,Batt2間の充放電制御を行うことによって、バッテリBatt1,Batt2の充電量をバランスさせるバランス回路30を設けるものとした。ただし、バランス回路30を設けない構成であっても、本実施形態と同様に、バッテリ部18においてバッテリカートリッジを用いるようにしてもよい。
【0076】
また、本実施形態では、インバータ15aは3レベルインバータであるものとしたが、本開示はこれに限られるものではなく、例えば、インバータ15aを、4レベルインバータ、5レベルインバータなどの他のレベルのマルチレベルインバータとしてもかまわない。また、インバータ15aをマルチインバータとはしないで、インバータ15aから出力されるモータ駆動電圧が、バッテリBatt1の出力電圧やバッテリBatt2の出力電圧よりも高くなるように、インバータの動作を制御するようにしてもかまわない。
【0077】
また、本実施形態では、バッテリ部18は、車両1に据え付けられたバッテリ18a,18bを備えており、かつ、カートリッジ化されたバッテリ18c,18dが着脱可能に構成されているものとしたが、バッテリの個数や形態はこれに限られるものではない。例えば、バッテリ部は、車両に据え付けられた2個のバッテリを備え、カートリッジ化されたバッテリは用いない構成としてもよい。
【0078】
また、バッテリの電圧やバッテリを構成するバッテリセルの個数や電圧は、本実施形態で示したものに限られない。ただし、バッテリ部の出力を低電圧化して車両重量やコストを抑制する、という本開示の目的からすると、バッテリの出力電圧は、例えば60V以下であることが好ましい。
【0079】
また、本実施形態では、車両用駆動システムは、ハイブリッド駆動システムであるものとして説明を行ったが、本開示は、モータ駆動システムに適用してもよい。
【0080】
前述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本開示の範囲を限定的に解釈してはならない。本開示の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本開示の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0081】
1 車両
2a 駆動輪
10 車両用駆動システム
15a インバータ
16 モータ
18 バッテリ部
18a,18b,18c,18d バッテリ
24 制御装置
30 バランス回路
42 制御部
50 バッテリカートリッジ
51 底面
52 電気接続部
53 底面
54 持ち手
60 穴部
61 底面
62 電気接続部
Batt1,Batt2,Batt3,Batt4 バッテリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16