IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ブラザー工業株式会社の特許一覧

特許7537142印刷データ作成プログラム、印刷装置、及び印刷データ作成方法
<>
  • 特許-印刷データ作成プログラム、印刷装置、及び印刷データ作成方法 図1
  • 特許-印刷データ作成プログラム、印刷装置、及び印刷データ作成方法 図2
  • 特許-印刷データ作成プログラム、印刷装置、及び印刷データ作成方法 図3
  • 特許-印刷データ作成プログラム、印刷装置、及び印刷データ作成方法 図4
  • 特許-印刷データ作成プログラム、印刷装置、及び印刷データ作成方法 図5
  • 特許-印刷データ作成プログラム、印刷装置、及び印刷データ作成方法 図6
  • 特許-印刷データ作成プログラム、印刷装置、及び印刷データ作成方法 図7
  • 特許-印刷データ作成プログラム、印刷装置、及び印刷データ作成方法 図8
  • 特許-印刷データ作成プログラム、印刷装置、及び印刷データ作成方法 図9
  • 特許-印刷データ作成プログラム、印刷装置、及び印刷データ作成方法 図10
  • 特許-印刷データ作成プログラム、印刷装置、及び印刷データ作成方法 図11
  • 特許-印刷データ作成プログラム、印刷装置、及び印刷データ作成方法 図12
  • 特許-印刷データ作成プログラム、印刷装置、及び印刷データ作成方法 図13
  • 特許-印刷データ作成プログラム、印刷装置、及び印刷データ作成方法 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】印刷データ作成プログラム、印刷装置、及び印刷データ作成方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240814BHJP
   B41J 2/21 20060101ALI20240814BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
B41J2/01 201
B41J2/21
B41J2/01 401
B41J2/01 211
G06F3/12 311
G06F3/12 340
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020112164
(22)【出願日】2020-06-29
(65)【公開番号】P2022011189
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2023-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100152515
【弁理士】
【氏名又は名称】稲山 朋宏
(72)【発明者】
【氏名】茅中 良久
(72)【発明者】
【氏名】森川 彰太
(72)【発明者】
【氏名】渡部 剛
(72)【発明者】
【氏名】上田 昌史
(72)【発明者】
【氏名】岡本 雅史
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-187820(JP,A)
【文献】特開2013-154514(JP,A)
【文献】特開2011-025525(JP,A)
【文献】特開2013-154515(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0165765(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215、2/52-2/525
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷画像を示す画像データを記憶部から取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得した前記画像データにより示される前記印刷画像を、一部の分割画像の解像度を他部の分割画像の解像度よりも高くして複数の分割画像に互いに重複せずに分割し、前記複数の分割画像の少なくとも一部から、印刷装置が印刷する印刷データを作成する第1作成ステップと
を、コンピュータに実行させるための印刷データ作成プログラム。
【請求項2】
印刷画像を示す画像データを記憶部から取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得した前記画像データにより示される前記印刷画像を、任意の解像度で複数の分割画像に分割し、前記複数の分割画像の一部のみから、印刷装置が印刷する印刷データを作成する第1作成ステップと
を、コンピュータに実行させるための印刷データ作成プログラム。
【請求項3】
前記第1作成ステップにおいて、前記コンピュータに、
前記取得ステップにより取得した前記画像データにより示される前記印刷画像を、一部の分割画像の解像度を他部の分割画像の解像度よりも高くして前記複数の分割画像に互いに重複せずに分割させ、前記複数の分割画像の全てから、前記印刷装置が印刷する前記印刷データを作成させる
ことを特徴とする請求項に記載の印刷データ作成プログラム。
【請求項4】
前記第1作成ステップにおいて、前記コンピュータに、
前記印刷画像の解像度DをN(Nは整数)等分した解像度D/Nを有するn(nはNよりも小さい整数)個の分割画像と、解像度(D-(D×n/N))/m(mは、N-nよりも小さい整数)を有するm個の分割画像とに、前記印刷画像を分割させることを特徴とする請求項3に記載の印刷データ作成プログラム。
【請求項5】
前記第1作成ステップにおいて、前記コンピュータに、
前記印刷画像を前記複数の分割画像に分割させ、前記複数の分割画像の一部を重ねて印刷する前記印刷データを作成させる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷データ作成プログラム。
【請求項6】
前記第1作成ステップにおいて、前記コンピュータに、
前記複数の分割画像のうち隣接する2つの分割画像の少なくとも一部が連続して印刷されないように、前記複数の分割画像の夫々が印刷される順番を設定した前記印刷データを作成させる
ことを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の印刷データ作成プログラム。
【請求項7】
前記取得ステップにおいて、前記コンピュータに、
カラー画像の下地に使用される下地画像を示す前記印刷画像の前記画像データを取得させることを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の印刷データ作成プログラム。
【請求項8】
前記第1作成ステップにおいて、前記コンピュータに、
前記下地画像を分割した前記複数の分割画像の一部と、前記カラー画像とを同時に印刷する前記印刷データを作成させる
ことを特徴とする請求項7に記載の印刷データ作成プログラム。
【請求項9】
前記第1作成ステップにおいて、前記コンピュータに、
前記下地画像を分割した前記複数の分割画像の少なくとも一部を印刷した後、分割しない前記下地画像と分割しない前記カラー画像とを印刷する前記印刷データを作成させる
ことを特徴とする請求項7又は8に記載の印刷データ作成プログラム。
【請求項10】
前記取得ステップにおいて、前記コンピュータに、
前記下地画像を分割した前記複数の分割画像の印刷後、前記カラー画像が印刷されるまでの待機時間を取得させ、
前記第1作成ステップにおいて、前記コンピュータに、
前記複数の分割画像の印刷後、前記取得ステップによって取得した前記待機時間の経過後に、前記カラー画像を印刷する前記印刷データを作成させる請求項7に記載の印刷データ作成プログラム。
【請求項11】
前記取得ステップにおいて、前記コンピュータに、
カラー画像、及び、前記カラー画像の下地に使用される下地画像を示す前記印刷画像の前記画像データを取得させ、
前記第1作成ステップにおいて、前記コンピュータに、
前記下地画像を複数の下地分割画像に分割させ、且つ、前記カラー画像を複数のカラー分割画像に分割させ、
前記複数の下地分割画像の少なくとも一部を前記印刷装置が印刷し、且つ、前記複数のカラー分割画像の全てを前記印刷装置が印刷する前記印刷データを作成させる
ことを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の印刷データ作成プログラム。
【請求項12】
前記取得ステップにおいて、前記コンピュータに、
カラー画像、及び、前記カラー画像の下地に使用される下地画像を示す前記印刷画像の前記画像データを取得させ、
前記第1作成ステップにおいて、前記コンピュータに、
前記下地画像を複数の下地分割画像に分割させ、且つ、前記カラー画像を、前記複数の下地分割画像の数よりも小さい数の複数のカラー分割画像に分割させる
ことを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の印刷データ作成プログラム。
【請求項13】
前記取得ステップにおいて、前記コンピュータに、
前記印刷装置による印刷方法を更に取得させ、
前記第1作成ステップにおいて、前記コンピュータに、
前記取得ステップにより第1印刷方法を取得した場合、前記印刷データを作成させ、
前記取得ステップにより第2印刷方法を取得した場合、前記印刷画像を分割せずに前記印刷装置が印刷する印刷データ、又は、前記印刷画像を等分割した複数の分割画像の全てから前記印刷装置が印刷する印刷データを作成する第2作成ステップを、前記コンピュータに更に実行させる
ことを特徴とする請求項1から12の何れかに記載の印刷データ作成プログラム。
【請求項14】
印刷画像を示す画像データを記憶部から取得する取得手段と、
前記取得手段により取得した前記画像データにより示される前記印刷画像を、一部の分割画像の解像度を他部の分割画像の解像度よりも高くして複数の分割画像に互いに重複せずに分割し、前記複数の分割画像の少なくとも一部から、印刷データを作成する作成手段と
を備えたことを特徴とする印刷装置。
【請求項15】
印刷画像を示す画像データを記憶部から取得する取得手段と、
前記取得手段により取得した前記画像データにより示される前記印刷画像を、任意の解像度で複数の分割画像に分割し、前記複数の分割画像の一部のみから、印刷データを作成する作成手段と
を備えたことを特徴とする印刷装置。
【請求項16】
印刷画像を示す画像データを記憶部から取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得した前記画像データにより示される前記印刷画像を、一部の分割画像の解像度を他部の分割画像の解像度よりも高くして複数の分割画像に互いに重複せずに分割し、前記複数の分割画像の少なくとも一部から、印刷装置が印刷する印刷データを作成する作成ステップと
を備えたことを特徴とする印刷データ作成方法。
【請求項17】
印刷画像を示す画像データを記憶部から取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得した前記画像データにより示される前記印刷画像を、任意の解像度で複数の分割画像に分割し、前記複数の分割画像の一部のみから、印刷装置が印刷する印刷データを作成する作成ステップと
を備えたことを特徴とする印刷データ作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷データ作成プログラム、印刷装置、及び印刷データ作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示の印刷装置は、元印刷データに基づき、複数の画素列を等分に分割した組毎に印刷を行うための分割印刷データを作成する。印刷装置は、作成した分割印刷データに基づいて印刷することにより、複数の画素列を全て印刷する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6554889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記印刷装置は、複数の画素列を等分に分割した組毎に印刷を行うための分割印刷データに基づいて印刷するので、印刷時間が長くなるという問題点がある。また、元印刷データに基づいて画像を印刷する場合のインク量よりも多いインク量の画像を印刷する印刷データを作成する場合、印刷データの作成時間が長くなるといった問題点もある。
【0005】
本発明の目的は、複数の画素列を含む印刷画像を分割して印刷を行う場合でも、印刷時間が長くなること、または印刷データの作成時間を抑制することが可能な印刷データ作成プログラム、印刷装置、及び印刷データ作成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係る印刷データ作成プログラムは、印刷画像を示す画像データを記憶部から取得する取得ステップと、前記取得ステップにより取得した前記画像データにより示される前記印刷画像を、任意の解像度で複数の分割画像に分割し、前記複数の分割画像の少なくとも一部から、印刷装置が印刷する印刷データを作成する第1作成ステップとを、コンピュータに実行させる。
【0007】
第1態様によれば、印刷データ作成プログラムにより作成された印刷データに基づいて印刷装置が印刷を行う場合、任意の解像度に分割された複数の分割画像の少なくとも一部が印刷される。この場合、印刷データに基づいて印刷を行う場合の印刷時間が長くなることを抑制できる。又、元の印刷画像を印刷する場合のインク量よりも多いインク量の画像を印刷する印刷データを作成する場合でも、印刷データの作成時間を短くできる。
【0008】
第1態様では、前記第1作成ステップにおいて、前記コンピュータに、前記取得ステップにより取得した前記画像データにより示される前記印刷画像を、一部の分割画像の解像度を他部の分割画像の解像度よりも高くして前記複数の分割画像に分割させ、前記複数の分割画像の少なくとも一部から、前記印刷装置が印刷する印刷データを作成させてもよい。この場合、一部の分割画像の解像度で印刷画像が等分に分割される場合よりも分割数が少なくなるので、印刷データに基づく印刷時間を短縮できる。又は、前記第1作成ステップにおいて、前記コンピュータに、前記取得ステップにより取得した前記画像データにより示される前記印刷画像を任意の解像度で分割させ、分割された前記複数の分割画像の一部から、前記印刷装置が印刷する印刷データを作成させてもよい。この場合、分割された複数の分割画像の全てに基づき印刷が実行されるよりも、印刷時間を短縮できる。
【0009】
第1態様では、前記第1作成ステップにおいて、前記コンピュータに、前記取得ステップにより取得した前記画像データにより示される前記印刷画像を、一部の分割画像の解像度を他部の分割画像の解像度よりも高くして前記複数の分割画像に分割させ、前記複数の分割画像の全てから、前記印刷装置が印刷する前記印刷データを作成させてもよい。この場合、印刷画像を印刷するために使用されるインク量と、複数の分割画像の全てを印刷するために使用されるインク量とが等しくなる。従って印刷装置は、元の印刷画像と等しい発色条件で複数の分割画像を印刷できる。
【0010】
第1態様では、前記第1作成ステップにおいて、前記コンピュータに、前記印刷画像の解像度DをN(Nは整数)等分した解像度D/Nを有するn(nはNよりも小さい整数)個の分割画像と、解像度(D-(D×n/N))/m(mは、N-nよりも小さい整数)を有するm個の分割画像とに、前記印刷画像を分割させてもよい。この場合、解像度D/Nを有するn個の分割画像と、解像度(D-(D×n/N))/mを有するm個の分割画像とを印刷する場合の方が、解像度D/Nを有するN個の分割画像を印刷する場合よりも、印刷時間が短くなる。従って印刷装置は、印刷画像を等分した分割画像を印刷する場合よりも短い印刷時間で印刷を行うことができる。又、印刷装置は、解像度D/Nを有する分割画像が印刷された場合の画質と、解像度D/Nの2倍以上の解像度を有する分割画像が印刷された場合の画質との間の画質で、印刷画像を印刷できる。
【0011】
第1態様では、前記第1作成ステップにおいて、前記コンピュータに、前記印刷画像を任意の解像度で前記複数の分割画像に分割させ、前記複数の分割画像の一部を重ねて印刷する前記印刷データを作成させてもよい。この場合、印刷装置は、重ねて印刷された部分の画質を良好にできる。又、印刷画像の解像度より大きな解像度で印刷を行う印刷データを作成する場合でも、複数の分割画像の一部が重ねて印刷されない場合と比べて印刷データの作成時間を抑制できる。又、印刷画像を印刷する場合のインク量よりも多いインク量で印刷を行う印刷データを作成する場合でも、複数の分割画像の一部が重ねて印刷されない場合と比べて印刷データの作成時間を抑制できる。
【0012】
第1態様では、前記第1作成ステップにおいて、前記コンピュータに、前記複数の分割画像のうち隣接する2つの分割画像の少なくとも一部が連続して印刷されないように、前記複数の分割画像の夫々が印刷される順番を設定した前記印刷データを作成させてもよい。この場合、印刷装置は、吐出されたインクの滲みを軽減できる。
【0013】
第1態様では、前記取得ステップにおいて、前記コンピュータに、カラー画像の下地に使用される下地画像を示す前記印刷画像の前記画像データを取得させてもよい。複数の分割画像が印刷されることによる画質の低下の程度は、カラー画像の分割画像が印刷される場合よりも、下地画像の分割画像が印刷される場合の方が小さい。このため、印刷装置は、複数の分割画像が印刷されることによる画質の低下を抑制できる。
【0014】
第1態様では、前記第1作成ステップにおいて、前記コンピュータに、前記下地画像を分割した前記複数の分割画像の一部と、前記カラー画像とを同時に印刷する前記印刷データを作成させてもよい。印刷装置は、下地画像とカラー画像とが別々のタイミングで印刷される場合と比べて、印刷時間を短縮できる。
【0015】
第1態様では、前記第1作成ステップにおいて、前記コンピュータに、前記下地画像を分割した前記複数の分割画像の少なくとも一部を印刷した後、分割しない前記下地画像と分割しない前記カラー画像とを印刷する前記印刷データを作成させてもよい。この場合、印刷装置は、下地画像を分割した複数の分割画像の少なくとも一部を印刷した後、分割した下地画像と分割しないカラー画像を印刷する場合よりも、印刷時間を短縮できる。
【0016】
第1態様では、前記取得ステップにおいて、前記コンピュータに、前記下地画像を分割した前記複数の分割画像の印刷後、前記カラー画像が印刷されるまでの待機時間を取得させ、前記第1作成ステップにおいて、前記コンピュータに、前記複数の分割画像の印刷後、前記取得ステップによって取得した前記待機時間の経過後に、前記カラー画像を印刷する前記印刷データを作成させてもよい。この場合、印刷装置は、下地画像に重ねて印刷されるカラー画像の滲みを抑制できる。
【0017】
第1態様では、前記取得ステップにおいて、前記コンピュータに、カラー画像、及び、前記カラー画像の下地に使用される下地画像を示す前記印刷画像の前記画像データを取得させ、前記第1作成ステップにおいて、前記コンピュータに、前記下地画像を任意の解像度で複数の下地分割画像に分割させ、且つ、前記カラー画像を任意の解像度で複数のカラー分割画像に分割させ、前記複数の下地分割画像の少なくとも一部を前記印刷装置が印刷し、且つ、前記複数のカラー分割画像の全てを前記印刷装置が印刷する前記印刷データを作成させてもよい。この場合、印刷装置は、複数のカラー分割画像を全て印刷することで、カラー画像の画質の低下を抑制できる。
【0018】
第1態様では、前記取得ステップにおいて、前記コンピュータに、カラー画像、及び、前記カラー画像の下地に使用される下地画像を示す前記印刷画像の前記画像データを取得させ、前記第1作成ステップにおいて、前記コンピュータに、前記下地画像を任意の解像度で複数の下地分割画像に分割させ、且つ、前記カラー画像を任意の解像度で、前記複数の下地分割画像の数よりも小さい数の複数のカラー分割画像に分割させてもよい。この場合、印刷装置は、複数の下地分割画像の数を相対的に多くすることにより下地画像の滲みを抑制できる。
【0019】
第1態様では、前記取得ステップにおいて、前記コンピュータに、前記印刷装置による印刷方法を更に取得させ、前記第1作成ステップにおいて、前記コンピュータに、前記取得ステップにより第1印刷方法を取得した場合、前記印刷データを作成させ、前記取得ステップにより第2印刷方法を取得した場合、前記印刷画像を分割せずに前記印刷装置が印刷する印刷データ、又は、前記印刷画像を等分割した複数の分割画像の全てから前記印刷装置が印刷する印刷データを作成する第2作成ステップを、前記コンピュータに更に実行させてもよい。この場合、印刷装置は、記録媒体の特性に応じてユーザが指定した印刷方法に基づいて印刷を行うことができる。
【0020】
本発明の第2態様に係る印刷装置は、印刷画像を示す画像データを記憶部から取得する取得手段と、前記取得手段により取得した前記画像データにより示される前記印刷画像を、任意の解像度で複数の分割画像に分割し、前記複数の分割画像の少なくとも一部から、印刷データを作成する作成手段とを備えたことを特徴とする。第2態様によれば、第1態様と同様の効果を奏することができる。
【0021】
本発明の第3態様に係る印刷データ作成方法は、印刷画像を示す画像データを記憶部から取得する取得ステップと、前記取得ステップにより取得した前記画像データにより示される前記印刷画像を、任意の解像度で複数の分割画像に分割し、前記複数の分割画像の少なくとも一部から、印刷装置が印刷する印刷データを作成する作成ステップとを備えたことを特徴とする。第3態様によれば、第1態様と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】印刷装置600の概略構成を示す斜視図である。
図2】キャリッジ34の概略構成を示す底面図である。
図3】印刷装置600の電気的構成を示すブロック図である。
図4】下地画像W11を示す図、及び、印刷データD11の概念図である。
図5】制御処理のフローチャートである。
図6】下地画像W11を分割しない場合の説明図である。
図7】下地画像W11を分割した場合の説明図である。
図8】第1実施例の説明図である。
図9】第2実施例の説明図である。
図10】第3実施例の説明図である。
図11】第4実施例の説明図である。
図12】第4実施例の第1変形例の説明図である。
図13】第4実施例の第2変形例の説明図である。
図14】第4実施例の第3変形例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図面を参照して、本発明の一実施形態に係る印刷装置600を説明する。図1に示す印刷装置600はインクジェットプリンタであり、インクを布帛、紙等の記録媒体に吐出して印刷を行う。印刷装置600は、白(W)、黒(K)、イエロー(Y)、シアン(C)、及びマゼンタ(M)の5色のインクを用いて、記録媒体にカラー画像を印刷できる。なお、図1の左下側、右上側、右下側、左上側、上側、下側は、夫々、印刷装置600の前側、後側、右側、左側、上側、下側である。
【0024】
以下では、5色のインクのうち白色のインクを白インクといい、黒、シアン、イエロー、およびマゼンタの4色のインクを総称してカラーインクという。白インクとカラーインクとを総称する場合、またはいずれかを特定しない場合、単にインクという。白インクは、カラーインクの発色を向上させるための下地の印刷に用いられる。カラーインクは、白インクの上に吐出されてカラー画像の印刷に用いられる。
【0025】
<印刷装置600の概要>
印刷装置600は、左右方向略中央下部に、前後方向に延びる一対のガイドレール37を備える。一対のガイドレール37は、プラテン支持台38を支持する。プラテン支持台38の上面の左右方向略中央には、プラテン39が固定されている。プラテン39の上面には、例えば、記録媒体であるTシャツ等の記録媒体が載置される。プラテン支持台38は、副走査モータ及びベルトを含む副走査機構210(図3参照)によって、ガイドレール37に沿って副走査方向に搬送される。本実施形態において、副走査方向は、記録媒体がプラテン39によって搬送される前後方向である。
【0026】
印刷装置600は、前後方向略中央、且つプラテン39よりも上方に、左右方向に延びる一対のガイドレール33を備える。一対のガイドレール33は、キャリッジ34を支持する。キャリッジ34の下部に、8個の吐出ヘッド35が搭載されている。キャリッジ34は、主走査モータ及びベルトを含む主走査機構220(図3参照)によって、ガイドレール33に沿って主走査方向に搬送される。本実施形態において、主走査方向は、吐出ヘッド35がキャリッジ34によって移動する左右方向である。
【0027】
図2に示すように、キャリッジ34に搭載された8個の吐出ヘッド35は、4個の吐出ヘッド35Wと、吐出ヘッド35C,35M,35Y,35Kとを含む。8個の吐出ヘッド35の夫々の底面には、副走査方向に並んだ128個の吐出口36が設けられている。4個の吐出ヘッド35Wと、吐出ヘッド35C,35M,35Y,35Kとは、副走査方向に離隔する。なお、図2では、簡略化のため、実際の個数よりも少ない数の吐出口36が図示されている。吐出口36は、夫々、インクを吐出可能である。
【0028】
4個の吐出ヘッド35Wは主走査方向に並べられ、キャリッジ34に搭載される。4個の吐出ヘッド35Wの夫々の吐出口36は、白インクを吐出する。吐出ヘッド35C,35M,35Y,35Kも同様に、主走査方向に並べられ、キャリッジ34に搭載される。吐出ヘッド35C、35M、35Y、35Kの吐出口36は、それぞれシアンインク、マゼンタインク、イエローインク、黒インクを吐出する。
【0029】
印刷装置600は、キャリッジ34を主走査方向に走査させながら吐出ヘッド35からインクを吐出させることで、主走査方向に並んだインクのドット列PRを形成する。印刷装置600は、1回の走査によるドット列PRの印刷が終了すると、プラテン39を副走査方向に移動させて、再び1回の走査によるドット列PRの印刷を行う。印刷装置600は、以上の動作を印刷データに従って繰り返し実行することで、複数のドット列PRを記録媒体に形成させる。これにより、主走査方向と副走査方向の夫々にドットPが並んだ印刷画像が記録媒体に印刷される。吐出ヘッド35の吐出口36は、副走査方向におけるドットPの並びで4列分の間隔を有して配置される。なお後述のように、吐出ヘッド35からインクが吐出されるより形成されるドットの、副走査方向における1インチ当たりの密度は1200dpiである。このため、副走査方向における吐出口36間の間隔は、1/(1200/4)(inch)となる。
【0030】
なお、吐出ヘッド35を移動させずにプラテン39を主走査方向に移動させて印刷を実行する場合にも、本発明は適用できる。つまり、印刷装置600は、吐出ヘッド35とプラテン39とを相対的に移動させるものであればよい。又、本発明は、吐出ヘッド35が主走査方向に並ぶ複数の吐出口36を備え、キャリッジ34を主走査方向に移動させずに印刷を行う場合にも適用できる。
【0031】
<印刷装置600の電気的構成>
図3は、実施例における印刷装置600の構成を示すブロック図である。印刷装置600は、印刷装置600の全体を制御する制御装置100と、印刷実行部としての印刷機構200とを備えている。
【0032】
制御装置100は、コントローラーとしてのCPU110と、DRAM等の揮発性記憶装置120と、フラッシュメモリやハードディスクドライブ等の不揮発性記憶装置130と、液晶ディスプレイ等の表示部140と、液晶ディスプレイのパネルと重畳されたタッチパネルやボタン等を含む操作部150と、パーソナルコンピュータ(図示省略)等の外部装置との通信のための通信インタフェースを含む通信部160と、を備えている。
【0033】
揮発性記憶装置120には、CPU110が処理を行う際に生成される種々の中間データが一時的に記憶される。不揮発性記憶装置130には、印刷データ作成プログラム、印刷データ、画像データ、順番情報が記憶される。印刷データ作成プログラムは、CPU110により実行されることで、印刷データの作成及び印刷機構200の制御を行う。印刷データ作成プログラムは、印刷装置600の出荷時に予め不揮発性記憶装置130に記憶される。なお、印刷データ作成プログラムは、CD-ROM等に格納された形態や、サーバからダウンロードする形態で提供され得る。CPU110は、印刷データ作成プログラムを実行することによって、後述する制御処理(図5参照)を実現する。画像データは、印刷機構200により印刷される印刷画像を示す。順番情報は、印刷データを印刷するときの順番を規定する。
【0034】
印刷機構200は、制御装置100のCPU110の制御に従って、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、黒インク、白インクを吐出ヘッド35から吐出して印刷を行うことができる。印刷機構200は、副走査機構210と、主走査機構220と、ヘッド駆動回路230と、吐出ヘッド35とを備えている。ヘッド駆動回路230は、吐出ヘッド35を駆動する。
【0035】
<印刷画像及び印刷データ>
一例として、4個の吐出ヘッド35Wから白インクを吐出して白色の印刷画像である下地画像W11を印刷する印刷データD11について説明する。印刷データD11は、下地画像W11においてドットが形成される位置(以下、「ドット位置」という。)と、ドットが形成されない位置とを示す情報を含む。
【0036】
図4において、印刷データD11は概念的に示されている。印刷データD11のうち、格子状に区画された複数の領域Sの夫々は、吐出ヘッド35Wからのインクの吐出が可能な全ての位置を示す。又、複数の領域Sのうち、黒く塗り潰された四角形のマークBが配置される領域Sの位置は、ドット位置を示す。図4の印刷データD11では、複数の領域Sの全てにマークBが配置されている。この場合、実際の印刷データD11には、吐出ヘッド35Wからのインクの吐出が可能な全ての位置をドット位置とする情報が含まれる。
【0037】
なお、4個の吐出ヘッド35W、吐出ヘッド35C,35M,35Y,35Kを用いて印刷が行われる場合、4個の吐出ヘッド35Wに共通する印刷データと、吐出ヘッド35C,35M,35Y,35Kの夫々に対応する4個の印刷データとが作成される。印刷装置600は、4個の吐出ヘッド35Wの夫々に共通する印刷データに基づいて、4個の吐出ヘッド35Wからの白インクの吐出制御を行う。この場合、印刷データにより示されるドット位置に、4個の吐出ヘッド35Wの夫々の吐出口36から白インクが吐出される。これにより、白インクのドットが形成され、白インクの下地画像が記録媒体に印刷される。なお本発明は、1~3個、5個以上の吐出ヘッド35Wを有する印刷装置600にも適用可能である。
【0038】
又、印刷装置600は、吐出ヘッド35C,35M,35Y,35Kの夫々に対応する4個の印刷データに基づいて、吐出ヘッド35C,35M,35Y,35Kからのカラーインクの吐出制御を行う。この場合、印刷データにより示されるドット位置に、吐出ヘッド35C,35M,35Y,35Kの夫々の吐出口36からカラーインクが吐出される。これにより、白インクのドットに重ねてカラーインクのドットが形成され、カラーインクの印刷画像であるカラー画像が記録媒体に印刷される。つまり、白インクの下地画像は、カラーインクのカラー画像の下地として使用される。なお、カラーインクが吐出されない位置に下地画像を形成するために白インクは吐出されない。
【0039】
なお、図2に示すように、白インクが吐出される4個の吐出ヘッド35Wと、カラーインクが吐出される吐出ヘッド35C,35M,35Y,35Kとは、副走査方向に離隔する。ここで、4個の吐出ヘッド35Wから白インクが吐出されるタイミングと、吐出ヘッド35C,35M,35Y,35Kからカラーインクが吐出されるタイミングとを一致させた場合、白インクの吐出により印刷される下地画像と、カラーインクの吐出により印刷されるカラー画像との夫々の位置は、副走査方向にずれる。このため、印刷装置600は、4個の吐出ヘッド35Wと吐出ヘッド35C,35M,35Y,35Kとの間の副走査方向の間隔、吐出口36の個数、及び、吐出口36間の間隔に基づき、下地画像にカラー画像を重ねて印刷するために必要となるオフセット量を算出する。印刷装置600は、カラー画像の印刷データのドット位置にオフセット量を適用し、印刷データを補正する。印刷装置600は、補正した印刷データを参照し、吐出ヘッド35からカラーインクを吐出する。これにより、印刷装置600は、下地画像にカラー画像が重なるように印刷を行うことができる。
【0040】
<制御処理の概要>
制御装置100のCPU110は、ユーザが操作部150に対して印刷指示の入力操作を行った場合、操作部150から印刷指示を受け付ける。印刷指示は、印刷画像を示す画像データを指定する指示と、印刷方法を指定する指示と、待機時間を指定する指示とを少なくとも含む。印刷方法は、第1印刷方法又は第2印刷方法の何れかを示す。第1印刷方法は、インクが相対的に裏抜けし易い材料(例えば、ポリエステル等)の記録媒体に印刷が実行される場合の印刷方法である。第2印刷方法は、インクが相対的に裏抜けし難い材料(例えば、コットン等)の記録媒体に印刷が実行される場合の印刷方法である。待機時間は、下地画像の印刷が終了してからカラー画像の印刷が開始されるまでの時間を示す。
【0041】
CPU110は、操作部150から印刷指示を受け付けた場合、不揮発性記憶装置130に記憶された印刷データ作成プログラムを実行する。これによって、CPU110は、印刷データを作成して印刷機構200に印刷を実行させる制御処理を実行する。図5は、制御処理のフローチャートである。
【0042】
はじめにCPU110は、受け付けた印刷指示により指定された画像データを、不揮発性記憶装置130から取得する(S13)。次にCPU110は、受け付けた印刷指示により指定された印刷方法及び待機時間を取得する(S15)。
【0043】
CPU110は、受け付けた印刷指示により指定された印刷方法が第1印刷方法か判定する(S17)。CPU110は、指定された印刷方法が第1印刷方法であると判定した場合(S17:YES)、取得した画像データに基づいて、第1印刷方法で印刷データを作成する作成処理(第1作成処理)を実行する(S19)。一方、CPU110は、指定された印刷方法が第2印刷方法であると判定した場合(S17:NO)、取得した画像データに基づいて、第2印刷方法で印刷データを作成する作成処理(第2作成処理)を実行する(S21)。第1作成処理及び第2作成処理の詳細は後述する。CPU110は、第1作成処理又は第2作成処理により作成された印刷データに基づいて印刷機構200を制御し、印刷処理を実行する(S23)。CPU110は、印刷処理の終了後、制御処理を終了させる。
【0044】
以下、第1作成処理によって作成された印刷データに基づいて実行される印刷処理を、「第1印刷処理」という。第2作成処理によって作成された印刷データに基づいて実行される印刷処理を、「第2印刷処理」という。第1作成処理及び第1印刷処理を「第1処理」と総称し、第2作成処理及び第2印刷処理を「第2処理」と総称する。
【0045】
図6を参照し、第2処理(S21、S23、図5参照)の一例について説明する。なお、以下では、S13の処理によって取得された画像データにより表される印刷画像から、図4の下地画像W11が抜き出されて使用される場合を前提とする。又、説明の簡略化のため、実際の個数(128個)よりも少ない数である4個の吐出口36を有する吐出ヘッド35Wにより印刷処理が行われる場合を例に挙げる。更に、図6では、主走査方向に並ぶ4個の吐出ヘッド35Wが1つの吐出ヘッド35Wで示されている。
【0046】
はじめにCPU110は、第2作成処理(S21、図5参照)において、4個の吐出ヘッド35Wを用いて下地画像W11を印刷する印刷データとして図4に示す印刷データD11を作成する。次に、CPU110は、作成した印刷データD11に基づいて印刷機構200を次のように制御し、第2印刷処理(S23、図5参照)を実行する。
【0047】
図6(A)に示すように、CPU110は、キャリッジ34(図2参照)を搬送して4個の吐出ヘッド35Wをプラテン39に対して主走査方向に相対移動させ、所定のヘッド初期位置35iに配置させる。又、CPU110は、キャリッジ34に対してプラテン39を副走査方向に相対移動させ、所定のプラテン初期位置39iに配置させる。CPU110は、4個の吐出ヘッド35Wを主走査方向の一方側である往路方向に移動させながら、吐出口36から白インクを吐出させる。これにより、CPU110は、主走査方向にドットが並び且つ副走査方向に4ドットずつ離隔した4個の列(第1列、第5列、第9列、第13列)に、4個のドット列を形成する。このときCPU110は、印刷データD11(図4参照)のドット位置(第1列、第5列、第9列、第13列)を参照し、4個の吐出ヘッド35Wの夫々の4個の吐出口36から白インクを吐出させる。
【0048】
第1列、第5列、第9列、第13列の夫々にドット列を形成した後、図6(B)に示すように、CPU110は、プラテン39を副走査方向の一方向である搬送方向に1ドット分移動させる。CPU110は、4個の吐出ヘッド35Wを往路方向とは逆の復路方向に移動させながら、吐出口36から白インクを吐出させる。これにより、主走査方向にドットが並び且つ副走査方向に4ドットずつ離隔した4個の列(第2列、第6列、第10列、第14列)に、4個のドット列を形成する。このときCPU110は、印刷データD11のドット位置(第2列、第6列、第10列、第14列)を参照し、4個の吐出ヘッド35Wの夫々の4個の吐出口36から白インクを吐出させる。
【0049】
第2列、第6列、第10列、第14列の夫々にドット列を形成した後、図6(C)に示すように、CPU110は、プラテン39を搬送方向に1ドット分移動させる。CPU110は、4個の吐出ヘッド35Wを往路方向に移動させながら、吐出口36から白インクを吐出させる。これにより、主走査方向にドットが並び且つ副走査方向に4ドットずつ離隔した4個の列(第3列、第7列、第11列、第15列)に、4個のドット列を形成する。第3列、第7列、第11列、第15列の夫々にドット列を形成した後、図6(D)に示すように、CPU110は、プラテン39を搬送方向に1ドット分移動させる。CPU110は、4個の吐出ヘッド35Wを復路方向に移動させながら、吐出口36から白インクを吐出させる。これにより、主走査方向にドットが並び且つ副走査方向に4ドットずつ離隔した4個の列(第4列、第8列、第12列、第16列)に、4個のドット列を形成する。以上により、第1列~第16列は、16個のドット列によって埋められる。
【0050】
次に、CPU110は、図6(E)に示すように、プラテン39を搬送方向に吐出ヘッド35の長さ分移動させる。ここで吐出ヘッド35の長さとは、第1列~第16列の間の長さに対応する。なお、プラテン39は、図6(A)~(D)の間で搬送方向に3ドット分既に移動している。このため、上記のプラテン39の移動距離は、より詳細には、吐出ヘッド35の長さから3を減算した値と一致する。その後、CPU110は、第1列~第16列に16個のドット列を形成させるのと同じ方法で、第17列~第32列に16個のドット列を形成させる。以上の処理が、印刷データD11におけるドット位置の全てに白インクが吐出されるまで継続される。これによって、下地画像W11が記録媒体に印刷される。
【0051】
なお、詳細は省略するが、CPU110は、印刷画像からシアン画像、マゼンタ画像、イエロー画像、及び黒画像を抜き出し、夫々を印刷する印刷データを作成する。CPU110は、作成した印刷データに基づき、印刷機構200を制御する。これにより、CPU110は、下地画像W11の印刷が完了してから、印刷指示に含まれる待機時間の経過後、白インクのドットが形成された位置に吐出ヘッド35C,35M,35Y,35Kからカラーインクを吐出させ、カラー画像を記録媒体に印刷する。以上により、下地画像及びカラー画像が重ねて印刷される。
【0052】
以下、印刷画像の解像度を表すパラメータとして、インク量比率及びドット密度を用いる。インク量比率は、下地画像が印刷される場合において吐出されるインク量を比率(%)で示す。例えば、下地画像W11が印刷される場合、4個の吐出ヘッド35Wの夫々から吐出されるインクのインク量比率を100%であるとする。この場合、下地画像W11のインク量比率は400%(100%+100%+100%+100%)となる。ドット密度は、形成されるドットの1インチ当たりの数を表す。例えば、下地画像W11が印刷される場合、ドット密度は1200dpi(副走査方向)×1200dpi(主走査方向)となる。
【0053】
なお、印刷画像の解像度を示すパラメータは、インク量比率及びドット密度に限定されない、印刷画像の解像度を示すパラメータとして、印刷画像がどの程度のインクの密度で形成されているかを示す他のパラメータが用いられてもよい。例えば、印刷画像全体のドットの総数、ドット列の総数、総インク量(ドットの総数×1ドット当たりのインク量)等が解像度として用いられてもよい。
【0054】
図7を参照し、第2処理(S21、S23、図5参照)の別の一例について説明する。本例では、下地画像W11を副走査方向に等分に分割して印刷する印刷データが作成される場合について説明する。はじめにCPU110は、第2作成処理(S21、図5参照)において、下地画像W11をインク量比率100%の下地分割画像W21、W22、W23、W24に分割する。下地分割画像W21では、第4L+1列(Lは、0以上の整数)に白インクのドット列が形成される。下地分割画像W22では、第4L+2列に白インクのドット列が形成される。下地分割画像W23では、第4L+3列に白インクのドット列が形成される。下地分割画像W24では、第4L+4列に白インクのドット列が形成される。下地分割画像W21~W24の夫々のドット密度は、300dpi×1200dpiである。
【0055】
CPU110は、下地分割画像W21~W24から分割印刷データD21~D24を作成する。分割印刷データD21には、第4L+1列をドット位置とする情報が含まれるので、図7(A)に示す概念図では、第4L+1列に対応する領域SにマークBが配置されている。分割印刷データD22には、第4L+2列をドット位置とする情報が含まれるので、図7(B)に示す概念図では、第4L+2列に対応する領域SにマークBが配置されている。分割印刷データD23には、第4L+3列をドット位置とする情報が含まれるので、図7(C)に示す概念図では、第4L+3列に対応する領域SにマークBが配置されている。分割印刷データD24には、第4L+4列をドット位置とする情報が含まれるので、図7(D)に示す概念図では、第4L+4列に対応する領域SにマークBが配置されている。更に、CPU110は、カラー画像C21を印刷する印刷データD25を作成する。印刷データD25には、吐出ヘッド35C、35M、35Y、35Kからのインクの吐出が可能な全ての位置をドット位置とする情報が含まれるので、図7(E)に示す概念図では、全ての領域SにマークBが配置されている。カラー画像C21のドット密度は1200dpi×1200dpiである。
【0056】
又、CPU110は、作成した分割印刷データD21~D24、及び印刷データD25に基づいて印刷するときの順番を示す順番情報を、不揮発性記憶装置130から取得する。本例では、順番情報において、分割印刷データD21の印刷順として1番目が設定され、分割印刷データD22の印刷順として2番目が設定され、分割印刷データD23の印刷順として3番目が設定され、分割印刷データD24の印刷順として4番目が設定され、印刷データD25の印刷順として5番目が設定されているとする。CPU110は、分割印刷データD21~D24、及び印刷データD25に印刷順を設定する。更に、CPU110は、制御処理(図3参照)のS15の処理で取得した待機時間を、印刷データD25に設定する。
【0057】
次に、CPU110は、作成した分割印刷データD21~D24、及び印刷データD25に基づいて印刷機構200を次のように制御し、第2印刷処理(S23、図5参照)を実行する。
【0058】
はじめに、CPU110は、キャリッジ34をヘッド初期位置35iに配置させる。又、CPU110は、プラテン39をプラテン初期位置39iに配置させる。CPU110は、4個の吐出ヘッド35Wを主走査方向に移動させながら、印刷順が1番目の分割印刷データD21に基づいて4個の吐出ヘッド35Wから白インクを吐出する。次いで、CPU110は、プラテンを搬送方向に移動させる。CPU110が上記の処理を繰り返すことにより、図7(A)に示すように、第4L+1列にドット列が形成され、下地分割画像W21が記録媒体に印刷される。次に、CPU110は、吐出ヘッド35をヘッド初期位置35iまで戻し、且つ、プラテン39を副走査方向の他方側である逆方向に移動させて、プラテン初期位置39iに対して1ドット搬送方向にずれた位置まで戻す。
【0059】
次に、CPU110は、4個の吐出ヘッド35Wを主走査方向に移動させながら、印刷順が2番目の分割印刷データD22に基づいて4個の吐出ヘッド35Wから白インクを吐出する。これにより、図7(B)に示すように、第4L+2列にドット列が形成され、下地分割画像W22が記録媒体に印刷される。結果、下地分割画像W21、W22が記録媒体に印刷された状態となる。
【0060】
CPU110は、上記と同じ動作を、印刷順が3番目の分割印刷データD23、及び、印刷順が4番目の分割印刷データD24に基づいて実行する。これにより、図7(C)、(D)に示すように、第4L+3列及び第4L+4列にドット列が形成され、下地分割画像W23、W24が順番に記録媒体に印刷される。なお、CPU110は、分割印刷データD23に基づく印刷を開始する前に、プラテン39を、プラテン初期位置39iに対して2ドット搬送方向にずれた位置に配置させる。又、CPU110は、分割印刷データD24に基づく印刷を開始する前に、プラテン39を、プラテン初期位置39iに対して3ドット搬送方向にずれた位置に配置させる。結果、図7(D)に示すように、下地分割画像W21~W24が記録媒体に印刷された状態となる。
【0061】
なお、下地分割画像W21~W24の夫々のインク量比率は100%であるので、下地分割画像W21~W24が全て印刷された状態のインク量比率は400%(100%+100%+100%+100%)となり、分割前の下地画像W11(図4参照)のインク量比率と同一となる。又、下地分割画像W21~W24の夫々において形成されるドットの位置は互いに相違する。このため、下地分割画像W21~W24が全て印刷された状態のドット密度も、分割前の下地画像W11(図4参照)のドット密度と同一となる。
【0062】
次に、CPU110は、印刷データD25に基づく印刷を開始する前に、吐出ヘッド35をヘッド初期位置35iまで戻し、プラテン39をプラテン初期位置39iまで戻す。CPU110は、下地分割画像W24の印刷が終了してから、印刷順が5番目の印刷データD25に設定された待機時間分待機する。その後、CPU110は、吐出ヘッド35C、35M、35Y、35Kを主走査方向に移動させながら、印刷データD25に基づいて吐出ヘッド35C、35M、35Y、35Kからカラーインクを吐出する。これにより、図7(E)に示すように、下地分割画像W21~W24に重ねてカラー画像C21が記録媒体に印刷される。
【0063】
なお、第2処理において、下地画像W11を分割しないで印刷する場合(図6参照)と、分割して印刷する場合(図7参照)との何れかを指定する指示が、制御処理(図5参照)のS15の処理によって受け付けられた印刷方法に含められる。この場合、CPU110は、受け付けられた印刷指示に含まれる指示に基づき、第2処理として何れを実行するかを判定する。
【0064】
<第1実施例>
図8を参照し、第1処理(S19、S23、図5参照)の一例である第1実施例について説明する。第1実施例は、下地画像W11を等分に分割しないで印刷データが作成されるという点で、第2処理と相違する。以下、第2処理と同様の処理についての説明を簡略化する。
【0065】
はじめに、CPU110は、第1作成処理(S19、図5参照)において、図4に示す下地画像W11を、インク量比率100%の下地分割画像W31、W32と、インク量比率200%の下地分割画像W33に分割する。図8に示すように、下地分割画像W31では、第4L+1列に白インクのドット列が形成される。下地分割画像W32では、第4L+3列に白インクのドット列が形成される。下地分割画像W33では、第4L+2列及び第4L+4列に白インクのドット列が形成される。下地分割画像W31、W32の夫々のドット密度は300dpi×1200dpiである。下地分割画像W33のドット密度は600dpi×1200dpiである。
【0066】
CPU110は、下地分割画像W31~W33から分割印刷データD31~D33を作成する。分割印刷データD31には、第4L+1列をドット位置とする情報が含まれるので、図8(A)に示す概念図では、第4L+1列に対応する領域SにマークBが配置されている。分割印刷データD32には、第4L+3列をドット位置とする情報が含まれるので、図8(B)に示す概念図では、第4L+3列に対応する領域SにマークBが配置されている。分割印刷データD33には、第4L+2列及び第4L+4列をドット位置とする情報が含まれるので、図8(C)に示す概念図では、第4L+2列及び第4L+4列に対応する領域SにマークBが配置されている。なお、印刷に用いられる分割印刷データD31~D33は、本発明の「印刷データ」の一例である。又、CPU110は、カラー画像C21を印刷する印刷データD25(図8(D)参照)を作成する。カラー画像C21及び印刷データD25は、第2処理と同一である。更に、CPU110は、作成した分割印刷データD31~D33、及び印刷データD25に基づいて印刷するときの順番を示す順番情報を、不揮発性記憶装置130から取得する。第1実施例では、順番情報において、分割印刷データD31の印刷順として1番目が設定され、分割印刷データD32の印刷順として2番目が設定され、分割印刷データD33の印刷順として3番目が設定され、印刷データD25の印刷順として4番目が設定されているとする。CPU110は、分割印刷データD31~D33、及び印刷データD25に印刷順を設定する。更に、CPU110は、制御処理(図3参照)のS15の処理で取得した待機時間を、印刷データD25に設定する。
【0067】
次に、CPU110は、作成した分割印刷データD31~D33、及び印刷データD25に基づいて印刷機構200を次のように制御し、第1印刷処理(S23、図5参照)を実行する。
【0068】
はじめに、CPU110は、4個の吐出ヘッド35Wを主走査方向に移動させながら、印刷順が1番目の分割印刷データD31に基づいて4個の吐出ヘッド35Wから白インクを吐出する。次いで、CPU110は、プラテンを搬送方向に移動させる。CPU110が上記の処理を繰り返すことより、図8(A)に示すように、第4L+1列にドット列が形成される。次に、CPU110は、4個の吐出ヘッド35Wを主走査方向に移動させながら、印刷順が2番目の分割印刷データD32に基づいて4個の吐出ヘッド35から白インクを吐出する。次いで、CPU110は、プラテンを搬送方向に移動させる。CPU110が上記の処理を繰り返すことにより、図8(B)に示すように、第4L+3列にドット列が形成される。結果、下地分割画像W31、W32が記録媒体に印刷された状態となる。次に、CPU110は、4個の吐出ヘッド35Wを主走査方向に移動させながら、印刷順が3番目の分割印刷データD33に基づいて4個の吐出ヘッド35から白インクを吐出する。次いで、CPU110は、プラテンを搬送方向に移動させる。CPU110が上記の処理を繰り返すことにより、図8(C)に示すように、第4L+2列及び第4L+4列にドット列が形成される。結果、下地分割画像W31~W33が記録媒体に印刷された状態となる。
【0069】
なお、下地分割画像W31、W32の夫々のインク量比率は100%であり、下地分割画像W33のインク量比率は200%である。このため、下地分割画像W31~W33が印刷された状態のインク量比率は400%(=100%+100%+200%)となり、分割前の下地画像W11(図4参照)のインク量比率と同一となる。又、印刷された下地分割画像W31~W33の夫々のドットの位置は、互いに相違する。このため、下地分割画像W31~W33が印刷された状態のドット密度は、分割前の下地画像W11(図4参照)のドット密度と同じ1200dpi×1200dpiとなる。
【0070】
次に、CPU110は、下地分割画像W33の印刷が終了してから、印刷データD25に設定された待機時間分待機する。その後、CPU110は、吐出ヘッド35C、35M、35Y、35Kを主走査方向に移動させながら、印刷順が4番目の印刷データD25に基づいて吐出ヘッド35C、35M、35Y、35Kからカラーインクを吐出する。これにより、図8(D)に示すように、下地分割画像W31~W33に重ねてカラー画像C21が記録媒体に印刷される。
【0071】
<第1実施例の作用、効果>
CPU110は、下地画像W11を、下地分割画像W31、W32(インク量比率100%)と、下地分割画像W31、W32よりもインク量比率が高い下地分割画像W33(インク量比率200%)とに分割する。CPU110は、下地分割画像W31~W33から分割印刷データD31~D33を作成する。この場合、下地画像W11がインク量比率100%で等分に分割される第2処理(図7参照)の場合よりも、下地画像W11の分割数が少なくなる。従って、印刷装置600は、印刷される下地分割画像W31~W33の数を、第2処理における下地分割画像W21~W24(図7参照)の場合よりも少なくできるので、下地画像W11の印刷時間を短縮できる。
【0072】
CPU110は、下地画像W11を分割した下地分割画像W31~W33の全てから分割印刷データD31~D33を作成し、下地分割画像W31~W33を全て印刷する。このため、下地分割画像W31~W33を印刷した時のインク量比率は、下地画像W11を印刷した時のインク量比率と一致する。この場合、下地画像W11を印刷するために使用される白インクのインク量と、下地分割画像W31~W33を印刷するために使用される白インクのインク量とは等しくなる。従って、印刷装置600は、印刷時間を短縮しつつ、下地画像W11と等しい発色条件で下地分割画像W31~W33を印刷できる。
【0073】
CPU110は、下地画像W11のインク量比率400%を4等分したインク量比率100%を有する2個の下地分割画像W31、W32と、インク量比率100%を2倍したインク量比率200%を有する1個の下地分割画像W33とに下地画像W11を分割する。ここで、下地画像W11のインク量比率をD、下地分割画像W31、W32の数をn、下地分割画像W33の数をmと表記する。この場合、下地分割画像W31、W32のインク量比率100%は、DをN(N=4)で除算したD/Nと一般化できる。又、下地分割画像W33のインク量比率200%は、(D-(D×n/N))/mと一般化できる。ここで、下地分割画像W31~W33を合計した数であるn+mは、Nよりも小さくなる(n+m<N)。このため、インク量比率D/Nを有するn個の下地分割画像W31、W32と、インク量比率(D-(D×n/N))/mを有するm個の下地分割画像W33とを印刷する場合の方が、インク量比率D/Nを有するN個の下地分割画像を印刷する場合よりも、印刷される下地分割画像の総数を小さくできるので、印刷時間を短縮できる。又、印刷装置600は、インク量比率D/Nを有する下地分割画像が印刷された場合の画質と、インク量比率D/Nの2倍以上のインク量比率を有する下地分割画像が印刷された場合の画質との間の画質で、下地画像W11を印刷できる。
【0074】
CPU110は、操作部150から受け付けた印刷指示により指定された印刷方法に基づいて、第1処理を行う場合と第2処理を行う場合とを切り替える。例えばポリエステルを材料とする記録媒体に印刷が実行される場合、吐出されたインクが裏抜けし易く、発色性が低下する可能性が大きい。この場合、例えばユーザは、インクの発色性の低下を抑制しつつ印刷時間を短縮するために、第1処理を指定する。第1処理では、下地画像W11は分割して印刷されるので、先に印刷される下地分割画像の乾燥後、別の下地分割画像を印刷することができるので、インクの発色性の低下を抑制しつつ印刷時間を短縮できる。一方、例えばコットンを材料とする記録媒体に印刷が実行される場合、吐出されたインクの裏抜けの程度が、ポリエステルを材料とする記録媒体の場合よりも小さい。この場合、例えばユーザは、第2処理において下地画像W11が分割されない印刷処理を指定する。この場合、下地画像W11は分割されずにそのまま印刷されるので、白インクの吐出による下地画像W11の印刷に要する時間を短縮できる。以上のように、印刷装置600は、記録媒体の特性に応じてユーザが指定した印刷方法に基づいて印刷を行うことができる。
【0075】
第2処理において、CPU110は、下地分割画像W21~W24のうち一部から、分割印刷データを作成してもよい。第1実施例において、CPU110は、下地分割画像W31~W33のうち一部から、分割印刷データを作成してもよい。例えばCPU110は、下地分割画像W31,W33から分割印刷データD31,D33を作成し、下地分割画像W32から分割印刷データD32を作成しなくてもよい。又は、CPU110は、下地分割画像W31~W33から分割印刷データD31~D33を作成し、分割印刷データD31、D33のみ使用して印刷を行ってもよい。第1実施例における下地分割画像W31~W33の数、夫々のインク量比率、及び、インク量比率の組み合わせは、上記実施形態に限定されない。例えば、下地分割画像W31~W33の夫々のインク量比率は、互いに異なってもよい。
【0076】
例えばCPU110は、下地画像のインク量比率Dを、任意のNで分割してもよい。CPU110は、インク量比率D/Nを整数倍した3種類以上の異なるインク量比率を有する下地分割画像に分割してもよい。又、夫々のインク量比率の下地分割画像は1つでもよいし複数でもよい。例えばCPU110は、インク量比率D/Nをz(1)倍したn(1)個の下地分割画像と、インク量比率D/Nをz(2)倍したn(2)個の下地分割画像と、インク量比率D/Nをz(3)倍したn(3)個の下地分割画像とを有してもよい。但しこの場合、D/N×z(1)×n(1)+D/N×z(2)×n(2)+D/N×z(3)×n(3)=D、且つ、n(1)+n(2)+n(3)<Nの関係を満たす。
【0077】
更に、CPU110は、インク量比率Dを有する下地画像から、インク量比率Dよりも小さい任意のインク量比率を有する複数の下地画像を生成し、夫々から分割印刷データを作成してもよい。例えばCPU110は、インク量比率Dよりも小さいインク量比率D´を有するz(1)個の下地分割画像と、インク量比率Dよりも小さいインク量比率D´´を有するz(2)個の下地分割画像と、インク量比率Dよりも小さいインク量比率D´´´を有するz(3)個の下地分割画像とを有してもよい。但しこの場合、D´×z(1)+D´´×z(2)+D´´´×z(3)=D、の関係を満たす。更にCPU110は、作成した複数の分割印刷データの一部のみを使用して印刷を行ってもよい。
【0078】
印刷装置600は、記録媒体を撮影するカメラを有してもよい。CPU110は、カメラにより撮影された記録媒体の撮影画像に基づき、記録媒体の種別を特定してもよい。例えば記録媒体には、種別を示す種別情報(例えば、記録媒体に付されたタグ)が付加されてもよい。CPU110は、記録媒体の撮影画像に含まれる種別情報から、記録媒体の種別を特定してもよい。CPU110は、特定した記録媒体の種別に応じ、第1作成処理により印刷データを作成するか、又は、第2作成処理により印刷データを作成するかを判定してもよい。
【0079】
<第2実施例>
図9を参照し、第1処理(S19、S23、図5参照)の一例である第2実施例について説明する。第2実施例は、下地画像W11を分割した下地分割画像の一部のみ重ねて印刷する印刷データが作成されるという点で、第1実施例と相違する。以下、第1実施例と同様の処理についての説明を簡略化する。
【0080】
CPU110は、第1作成処理(S19、図5参照)において、第1実施例(図8参照)と同一の方法で分割した下地分割画像W31~W33のうち下地分割画像W31のみから、分割印刷データD31(図9(A)~(D)参照)を作成する。なお、印刷に用いられる分割印刷データD31は、本発明の「印刷データ」の一例である。なお、第2処理(図7参照)と同一の方法で分割した下地分割画像W21~W24のうち何れかのみから分割印刷データを作成してもよい。又、CPU110は、カラー画像C21を印刷する印刷データD25(図9(E)参照)を作成する。カラー画像C21及び印刷データD25は、第2処理(図6図7参照)及び第1実施例(図8参照)の場合と同一である。更に、CPU110は、作成した分割印刷データD31及び印刷データD25に基づいて印刷するときの順番を示す順番情報を、不揮発性記憶装置130から取得する。なお、第2実施例では、分割印刷データD31に基づいて下地分割画像W31が4回重ねて印刷される。このため、順番情報において、分割印刷データD31の印刷順として1~4番目が設定され、印刷データD25の印刷順として5番目が設定されているとする。CPU110は、分割印刷データD31及び印刷データD25に印刷順を設定する。更に、CPU110は、制御処理(図3参照)のS15の処理で取得した待機時間を、印刷データD25に設定する。
【0081】
次に、CPU110は、作成した分割印刷データD31、及び印刷データD25に基づいて印刷機構200を次のように制御し、第1印刷処理(S23、図5参照)を実行する。CPU110は、4個の吐出ヘッド35Wを主走査方向に移動させながら、印刷順が1番目の分割印刷データD31に基づいて4個の吐出ヘッド35Wから白インクを吐出する。次いで、CPU110は、プラテンを搬送方向に移動させる。CPU110が上記の処理を繰り返すことにより、図9(A)に示すように、第4L+1列にドット列が形成される。次に、CPU110は、吐出ヘッド35をヘッド初期位置35iまで戻し、且つ、プラテン39を逆方向に移動させる。CPU110は、上記と同じ動作を、印刷順が2~4番目の分割印刷データD31に基づいて3回繰り返し実行する。これにより、図9(B)~図9(D)示すように、第4L+1列にドット列が重ねて形成される。結果、図9(D)に示すように、下地分割画像W31が記録媒体に4回重ねて印刷された状態となる。次に、CPU110は、4回目の下地分割画像W31の印刷が終了してから、印刷データD25に設定された待機時間分待機する。その後、CPU110は、図9(E)に示すように、4回重ねて印刷された下地分割画像W31に更にカラー画像C21を重ねて印刷する。
【0082】
なお、下地分割画像W31のインク量比率は100%であり、下地分割画像W31は4回重ねて印刷される。この場合、インク量比率は400%(=100%+100%+100%+100%)となり、分割前の下地画像W11(図4参照)のインク量比率と同一となる。ここで、図9(A)~(D)では、4L+1列のみにドット列が形成され、4L+2列~4L+4列にドット列が形成されないように表記されている。しかし、実際に形成されるドットの大きさは、図示された大きさよりも大きい。このため、4L+2列~4L+4列は、4L+1列に形成されたドットにより埋まる。従って、4L+1列間には、白インクが吐出されない隙間は発生しない。一方、4回重ねて印刷された下地分割画像W31の夫々のドットの位置は、互いに一致する。このため、下地分割画像W31が4回重ねて印刷された状態のドット密度は、下地分割画像W31が1回印刷された場合のドット密度300dpi×1200dpiと一致し、分割前の下地画像W11(図4参照)のドット密度よりも小さくなる。
【0083】
<第2実施例の作用、効果>
CPU110は、下地画像W11を分割した下地分割画像W31~W33のうち、下地分割画像W31のみから分割印刷データD31を作成する。この場合、下地分割画像W32、W33から分割印刷データD32、D33を作成する時間が不要となる。従って、印刷装置600は、印刷に必要な印刷データの作成時間を短縮できるので、第1実施例よりも印刷時間を短縮できる。
【0084】
CPU110は、下地分割画像W31を4回重ねて印刷することで、分割前の下地画像W11と同じインク量比率400%で印刷できる。つまり、印刷に使用される白インクの量は、下地画像W11が印刷される場合と、下地分割画像W31が4回重ねて印刷される場合とで変化しない。従って、印刷装置600は、印刷時間を短縮しつつ、下地画像W11と等しい発色条件で下地分割画像W31を重ねて印刷できる。
【0085】
CPU110は、下地画像W11のみ分割して下地分割画像W31を印刷し、カラー画像C21を分割しない。ここで、印刷画像が分割されて一部が印刷された場合における画質の低下の度合いは、カラー画像が分割される場合よりも、下地画像が分割される場合の方が小さい。このため印刷装置600は、カラー画像C21を分割した分割画像の一部が印刷される場合と比べて、印刷画像の画質が低下する可能性を軽減できる。
【0086】
第2実施例において、CPU110は、下地分割画像W32、又は下地分割画像W33を重ねて印刷してもよい。CPU110は、下地分割画像W31~W33のうち何れか2つを重ねて印刷してもよい。CPU110は、印刷後のインク量比率を下地画像W11と一致させるため、下地分割画像W33を2回重ねて印刷してもよい。
【0087】
CPU110は、下地分割画像W31のインク量比率及びドット密度を、更に小さい値(例えば、インク量比率50%等)としてもよい。この場合、分割印刷データD31の作成を更に高速化できる。
【0088】
CPU110は、下地分割画像W31を2回重ねて印刷してもよい。この場合、印刷装置600は、重ねて印刷される下地分割画像W31の数をより小さくできるので、印刷時間を更に短縮できる。なお、下地分割画像W31のインク量比率は100%であるので、下地分割画像W31が2回重ねて印刷された状態のインク量比率は200%(=100%+100%)となり、分割前の下地画像W11(図4参照)のインク量比率よりも小さくなる。又、2回重ねて印刷された下地分割画像W31の夫々のドットの位置は、互いに一致する。このため、下地分割画像W31が2回重ねて印刷された状態のドット密度は、下地分割画像W31が1回印刷された場合のドット密度300dpi×1200dpiと一致し、分割前の下地画像W11(図4参照)のドット密度よりも小さくなる。
【0089】
なお、記録媒体の種類によっては、下地分割画像W31の印刷後のインク量比率が元の下地画像W11のインク量比率より小さくてもよい場合がある。例えば、レース地等の薄い生地からなる記録媒体として用いられる場合、Tシャツ用の綿を材料とする記録媒体として用いられる場合と比べて、少ないインク量の方が溢れず綺麗に発色する場合がある。このため下地分割画像W31を2回重ねて印刷する印刷処理は、薄い生地に対して印刷が行われる場合において特に有効である。
【0090】
CPU110は、下地分割画像W31を5回重ねて印刷してもよい。なお、下地分割画像W31のインク量比率は100%であるので、下地分割画像W31が5回重ねて印刷された状態のインク量比率は500%(=100%+100%+100%+100%+100%)となり、分割前の下地画像W11(図4参照)のインク量比率よりも大きくなる。つまり、印刷装置600は、下地分割画像W31を重ねる回数を大きくすることで、分割前の下地画像W11よりも大きいインク量比率で印刷できる。このため、印刷装置600は、下地画像W11よりも良好な発色条件で下地分割画像W31を重ねて印刷できる。なお、CPU110は、下地画像W11を分割したすべての下地分割画像のうち一部である下地分割画像W31から作成した分割印刷データD31のみを使用し、印刷を行うことができる。従って、印刷装置600は、下地画像W11を分割したすべての下地分割画像から分割印刷データを作成して印刷を行う場合に比べて、印刷データの作成に要する時間を短縮できるので、印刷時間を短縮できる。なお、上記の「インク量比率」を、上位概念の「解像度」と言い換えた場合、印刷装置600は、下地画像W11の解像度より大きな解像度を有する画像の印刷データを作成する場合でも、印刷データの作成時間を短くできることになる。なお、5回重ねて印刷された下地分割画像W31の夫々のドットの位置は、互いに一致する。このため、下地分割画像W31が5回重ねて印刷された状態のドット密度は、下地分割画像W31が1回印刷された場合のドット密度300dpi×1200dpiと一致し、分割前の下地画像W11(図4参照)のドット密度よりも小さくなる。
【0091】
なお、記録媒体の種類によっては、下地分割画像W31の印刷後のインク量比率が元の下地画像W11より大きいことを要する場合がある。例えば、パーカー等の厚い生地やポリエステル等が記録媒体の材料として用いられる場合、Tシャツ用の綿が記録媒体として用いられる場合と比べて、多いインク量の方が、インクが表面に残りキレイに発色する場合がある。このため下地分割画像W31を5回重ねて印刷する印刷処理は、厚い生地やポリエステルに対して印刷が行われる場合において特に有効である。
【0092】
<第3実施例>
図10を参照し、第1処理(S19、S23、図5参照)の一例である第3実施例について説明する。第3実施例は、下地画像W11が等分に分割された下地分割画像W21~W24の一部を重ねて印刷する印刷データが作成される点で、第2処理と相違する。又、第2処理と異なる順番で下地分割画像W21~W24を印刷する印刷データが作成されるという点で、第2処理と相違する。以下、第2処理、第1実施例、第2実施例と同様の処理についての説明を簡略化する。
【0093】
はじめにCPU110は、第1作成処理(S19、図5参照)において、第2処理(図7参照)と同様、下地画像W11をインク量比率100%の下地分割画像W21~W24に分割する。CPU110は、下地分割画像W21~W24を印刷する分割印刷データD21~D24(図7(A)~(D)参照)を作成する。なお、印刷に用いられる分割印刷データD21~D24は、本発明の「印刷データ」の一例である。又、CPU110は、カラー画像C21を印刷する印刷データD25(図7(E)参照)を作成する。更に、CPU110は、作成した分割印刷データD21~D24、及び印刷データD25に基づいて印刷するときの順番を示す順番情報を、不揮発性記憶装置130から取得する。第3実施例では、順番情報において、分割印刷データD21の印刷順として1、5、6番目が設定され、分割印刷データD22の印刷順として2番目が設定され、分割印刷データD23の印刷順として3番目が設定され、分割印刷データD24の印刷順として4番目が設定され、印刷データD25の印刷順として7番目が設定されているとする。CPU110は、分割印刷データD21~D24、及び印刷データD25に印刷順を設定する。更に、CPU110は、制御処理(図3参照)のS15の処理で取得した待機時間を、印刷データD25に設定する。
【0094】
次に、CPU110は、作成した分割印刷データD21~D24、及び印刷データD25に基づいて印刷機構200を次のように制御し、第1印刷処理(S23、図5参照)を実行する。はじめに、CPU110は、図10(A)に示すように、印刷順が1番目の分割印刷データD21に基づいて吐出ヘッド35から白インクを吐出し、第4L+1列にドット列を形成させることで下地分割画像W21を印刷する。次に、CPU110は、図10(B)に示すように、印刷順が2番目の分割印刷データD23に基づいて吐出ヘッド35から白インクを吐出し、第4L+3列にドット列を形成させることで下地分割画像W23を印刷する。なお、下地分割画像W21の印刷時に形成された第4L+3列のドット列と、下地分割画像W23の印刷時に形成された第4L+3列のドット列との間は、1ドット列分離隔しており、夫々は副走査方向において隣接しない。
【0095】
次に、CPU110は、図10(C)に示すように、印刷順が3番目の分割印刷データD22に基づいて吐出ヘッド35から白インクを吐出し、第4L+2列にドット列を形成させることで下地分割画像W22を印刷する。次に、CPU110は、図10(D)に示すように、印刷順が4番目の分割印刷データD24に基づいて吐出ヘッド35から白インクを吐出し、第4L+4列にドット列を形成させることで下地分割画像W24を印刷する。なお、下地分割画像W22の印刷時に形成された第4L+2列のドット列と、下地分割画像W24の印刷時に形成された第4L+4列のドット列との間は、1ドット列分離隔しており、夫々は副走査方向において隣接していない。
【0096】
更に、CPU110は、図10(E)(F)に示すように、印刷順が5、6番目の分割印刷データD21に基づいて吐出ヘッド35から白インクを吐出する動作を2回繰り返し、第4L+1列にドット列を2回重ねて形成させる。結果、下地分割画像W21、W23、W22、W24、W21、W21が順番に印刷される。下地分割画像W21は、合計3回重ねて記録媒体に印刷された状態となる。次に、CPU110は、最後の下地分割画像W21の印刷が終了してから、印刷データD25に設定された待機時間分待機する。その後、CPU110は、図10(G)に示すように、印刷された下地分割画像W21、W23、W22、W24、W21、W21に更にカラー画像C21を重ねて印刷する。
【0097】
なお、下地分割画像W21~W24の夫々のインク量比率は100%である。このため、下地分割画像W21、W23、W22、W24、W21、W21が印刷された状態のインク量比率は600%(=100%+100%+100%+100%+100%+100%)となり、分割前の下地画像W11(図4参照)のインク量比率よりも大きくなる。一方、印刷された下地分割画像W21~W24の夫々のドットの位置は、互いに相違する。このため、下地分割画像W21~W24が印刷された状態のドット密度は、分割前の下地画像W11(図4参照)のドット密度と同じ1200dpi×1200dpiとなる。
【0098】
<第3実施例の作用、効果>
CPU110は、1回目に下地分割画像W21を印刷した後、副走査方向において下地分割画像W21と隣接しない下地分割画像W23を2回目に印刷する。又、CPU110は、3回目に下地分割画像W22を印刷した後、副走査方向において下地分割画像W22と隣接しない下地分割画像W24を4回目に印刷する。つまり、印刷装置は、隣接する2つの下地分割画像W21、W22が連続して印刷されず、且つ、隣接する2つの下地分割画像W23、W24が連続して印刷されないように、下地分割画像W21~W24が印刷される順番が設定される。このため印刷装置600は、隣接する2つのドット列が連続して印刷された場合において、夫々のドット列を形成するインク同士が接触して滲むことを軽減できる。
【0099】
CPU110は、下地分割画像W21を重ねて印刷することで、分割前の下地画像W11よりも大きいインク量比率600%で印刷する。従って、印刷装置600は、下地画像W11をより高いインク量比率で印刷できる。このため、印刷装置600は、下地画像W11よりも良好な発色条件で下地分割画像W21~W24を印刷できる。なお、CPU110は、下地画像W11を分割したすべての下地分割画像W21~W24のうち一部である下地分割画像W21から作成した分割印刷データD21を繰り返し使用して印刷を行うことができ、分割印刷データD21を繰り返し作成する必要がない。このため、重ねて印刷を行うための分割印刷データを個別に作成する場合と比べて、印刷データの作成に要する時間を短縮できるので、印刷時間を短縮できる。
【0100】
第3実施例において、CPU110は、下地分割画像W21、W24、W22、W23、W21、W21の順番で印刷してもよい。この場合でも、連続して印刷される下地分割画像W21、W24は隣接せず、且つ、連続して印刷される下地分割画像W24、W22は隣接しない。下地分割画像W21~W24の印刷後に重ねて印刷される下地分割画像は、下地分割画像W21に限定されず、下地分割画像W22~W24の何れかであってもよい。下地分割画像W21~W24の印刷後、下地分割画像W21~W24のうち2つ以上の下地分割画像が1回ずつ重ねて印刷されてもよい。
【0101】
第3実施例において、CPU110は、下地画像W11をインク量比率の異なる複数の分割画像に分割し、それぞれから印刷データを作成してもよい。CPU110は、作成した印刷データに基づき、インク量比率の異なる複数の分割画像のうち隣接する2つの分割画像が連続して印刷されないように印刷処理を行ってもよい。
【0102】
<第4実施例>
図11を参照し、第1処理(S19、S23、図5参照)の一例である第4実施例について説明する。第4実施例は、下地分割画像W33が印刷されるときにカラー画像C21を同時に印刷する印刷データが作成されるという点で、第1実施例(図8参照)と相違する。以下、第1実施例と異なる部分について詳細に説明し、その他の説明を簡略化する。
【0103】
CPU110は、第1作成処理(S19、図5参照)において、下地分割画像W31~W33から分割印刷データD31~D33(図11(A)~(C)参照)を作成する。又、CPU110は、カラー画像C21を印刷する印刷データD25(図11(D)参照)を作成する。なお、印刷に用いられる分割印刷データD31~D33、及び印刷データD25は、本発明の「印刷データ」の一例である。更に、CPU110は、作成した分割印刷データD31~D33、及び印刷データD25に基づいて印刷するときの印刷順を示す順番情報を、不揮発性記憶装置130から取得する。なお、第4実施例では、下地分割画像W33とカラー画像C21とを同時に印刷するために、順番情報において、分割印刷データD31の印刷順として1番目が設定され、分割印刷データD32の印刷順として2番目が設定され、分割印刷データD33及び印刷データD25の印刷順として3番目が設定されているとする。CPU110は、分割印刷データD31~D33、及び印刷データD25に印刷順を設定する。
【0104】
次に、CPU110は、作成した分割印刷データD31~D33、及び印刷データD25に基づいて印刷機構200を制御し、第1印刷処理(S23、図5参照)を実行する。第1印刷処理において、CPU110は、印刷順が1番目の分割印刷データD31に基づいて吐出ヘッド35から白インクを吐出する。次に、CPU110は、印刷順が2番目の分割印刷データD32に基づいて吐出ヘッド35から白インクを吐出する。結果、図11(A)、(B)に示すように、下地分割画像W31、W32が記録媒体に順番に印刷される。
【0105】
次に、CPU110は、印刷順が3番目の分割印刷データD33に基づいて吐出ヘッド35から白インクを吐出し、同時に、印刷順が3番目の印刷データD25に基づいて吐出ヘッド35からカラーインクを吐出する。この時、CPU110は、下地画像にカラー画像を重ねて印刷するために必要となるオフセット量を適用した印刷データD25を用いる。これにより、CPU110は、下地分割画像W33とカラー画像C21とを重ねて記録媒体に印刷する。
【0106】
<第4実施例の作用、効果>
CPU110は、下地画像W11を分割した下地分割画像W31~W33の一部である下地分割画像W33とカラー画像C21とを同時に印刷する。この場合、印刷装置600は、第1実施例(図8参照)のように下地分割画像W33とカラー画像C21とが別々のタイミングで印刷される場合と比べて、下地分割画像W31~W33とカラー画像C21との印刷時間を短縮できる。
【0107】
第4実施例において、下地画像W11を等分に分割した複数の下地分割画像のそれぞれを印刷し、その後、複数の下地画像の一部とカラー画像C21とを同時に印刷してもよい。
【0108】
第4実施例において、CP110は、制御処理(図3参照)のS15の処理で取得した待機時間を、印刷データD25に設定してもよい。又、図12に示すように、CPU110は、下地分割画像W33の代わりに下地画像W11を印刷する印刷データD11を作成してもよい。なお、印刷に用いられる分割印刷データD31、D32、及び印刷データD11、D25は、本発明の「印刷データ」の一例である。以下、第4実施例の第1変形例について、図12を参照して説明する。
【0109】
図12に示すように、CPU110は、分割印刷データD31、D32に基づいて吐出ヘッド35から白インクを吐出し、図12(A)(B)に示すように、下地分割画像W31、W32を記録媒体に順番に印刷する。次に、CPU110は、印刷データD11に基づいて吐出ヘッド35から白インクを吐出し、図12(C)に示すように、下地分割画像W31、W32に重ねて下地画像W11を記録媒体に印刷する。次に、CPU110は、下地画像W11の印刷が終了してから待機時間の経過後、印刷データD25に基づいて吐出ヘッド35からカラーインクを吐出する。結果、図12(D)に示すように、下地分割画像W31~W33に重ねてカラー画像C21が記録媒体に印刷される。
【0110】
以上のように、第1変形例において、CPU110は、下地画像W11の印刷が終了してから待機時間の経過後に、カラー画像C21の印刷を開始する。この場合、印刷装置600は、下地画像W11の白インクを待機時間中に乾燥させた後、カラー画像C21のカラーインクを吐出できる。従って、印刷装置600は、下地画像W11に重ねて印刷されるカラー画像C21のカラーインクが、乾燥していない下地画像W11の白インクに重なって滲むことを抑制できる。
【0111】
下地分割画像W31の印刷が終了してから下地分割画像W32の印刷が開始されるまでの間、及び、下地分割画像W32の印刷が終了してから下地画像W11の印刷が開始されるまでの間に、待機時間が設定されてもよい。この場合、印刷装置600は、白インク同士が重なって滲む可能性を抑制できる。
【0112】
なお、図12において、待機時間は設定されなくてもよく、例えば第4実施例のように、下地画像W11とカラー画像C21とが同時に印刷されてもよい。つまり、分割しない下地画像W11と、分割しないカラー画像C21とが同時に印刷されてもよい。この場合、下地画像W11が分割された下地分割画像と、分割しないカラー画像C21とが同時に印刷される場合と比べて、高いインク量比率の下地画像及びカラー画像を短時間で印刷できる。従って、印刷装置600は、短時間で効率よく白インクを吐出して下地画像を印刷できる。
【0113】
第1変形例において、カラー画像C21が分割されて分割印刷データが作成されてもよい。以下、第4実施例の第2変形例について、図13を参照して説明する。
【0114】
図13に示すように、CPU110は、カラー画像C21を、インク量比率200%のカラー分割画像C22(図13(D)参照)と、インク量比率200%のカラー分割画像C23(図13(E)参照)とに分割する。カラー分割画像C22では、第4L+1列及び第4L+3列にカラーインクのドット列が形成される。カラー分割画像C23では、第4L+2列及び第4L+4列にカラーインクのドット列が形成される。カラー分割画像C22、C23の夫々のドット密度は600dpi×1200dpiである。
【0115】
CPU110は、図13(D)に示すように、カラー分割画像C22から分割印刷データD26を作成する。CPU110は、図13(E)に示すように、カラー分割画像C23から分割印刷データD27を作成する。なお、印刷に用いられる分割印刷データD31、D32、印刷データD11、分割印刷データD26、D27は、本発明の「印刷データ」の一例である。CPU110は、作成した分割印刷データD31、D32、印刷データD11、分割印刷データD26、D27に基づいて印刷する時の順番を示す順番情報を、不揮発性記憶装置130から取得する。第1変形例では、順番情報において、分割印刷データD31の印刷順として1番目が設定され、分割印刷データD32の印刷順として2番目が設定され、印刷データD11の印刷順として3番目が設定され、分割印刷データD26の印刷順として4番目が設定され、分割印刷データD27の印刷順として5番目が設定されているとする。CPU110は、分割印刷データD31、D32、印刷データD11、分割印刷データD26、D27に印刷順を設定する。更に、CPU110は、制御処理(図3参照)のS15の処理で取得した待機時間を、分割印刷データD26に設定する。
【0116】
次に、CPU110は、作成した分割印刷データD31、D32、印刷データD11、及び、分割印刷データD26、D27に基づいて印刷機構200を制御し、第1印刷処理(S23、図5参照)を実行する。第1印刷処理において、CPU110は、分割印刷データD31、D32に基づいて吐出ヘッド35から白インクを吐出し、図13(A)(B)に示すように、下地分割画像W31、W32を記録媒体に順番に印刷する。次に、CPU110は、印刷データD11に基づいて吐出ヘッド35から白インクを吐出し、図13(C)に示すように、下地分割画像W31、W32に重ねて下地画像W11を記録媒体に印刷する。次に、CPU110は、下地画像W11の印刷が終了してから、分割印刷データD26に設定された待機時間分待機する。その後、CPU110は、分割印刷データD26、D27に基づいて吐出ヘッド35からカラーインクを吐出し、図13(D)(E)に示すように、カラー分割画像C22、C23を記録媒体に印刷する。
【0117】
なお、カラー分割画像C22、C23の夫々のインク量比率は200%であるので、カラー分割画像C22、C23が印刷された状態のインク量比率は400%(=200%+200%)となり、分割前のカラー画像C21と一致する。又、印刷されたカラー分割画像C22、C23のドット密度は、分割前のカラー画像C21のドット密度と同じ1200dpi×1200dpiとなる。
【0118】
以上のように、第2変形例において、印刷装置600は、下地画像W11を下地分割画像W31、W32に分割して印刷し、且つ、カラー画像C21をカラー分割画像C22、C23に分割して印刷する。なお、印刷装置600は、カラー画像C21を分割したカラー分割画像C22、C23を全て印刷することによって、カラー画像C21のインク量比率及びドット密度を再現する。このため、印刷装置600は、カラー画像C21を分割して印刷した場合でも、画質の低下を抑制できる。
【0119】
なお、第2変形例において、CPU110は、下地分割画像W31、W32を印刷した後、下地画像W11を印刷せずに、カラー分割画像C22、C23を印刷する印刷データを作成してもよい。カラー画像C21を分割したカラー分割画像の夫々のインク量比率及びドット密度は、第2変形例に限定されない。例えばCPU110は、インク量比率及びドット密度が夫々異なる複数のカラー分割画像に分割し、分割印刷データを作成してもよい。又、例えばCPU110は、分割した複数のカラー分割画像を印刷した時のインク量比率及びドット密度が、カラー画像C21のインク量比率及びドット密度と相違する分割印刷データを作成してもよい。
【0120】
第2変形例において、下地画像W11の代わりに下地分割画像W33を印刷する印刷データが作成されてもよい。以下、第4実施例の第3変形例について、図14を参照して説明する。
【0121】
図14に示すように、CPU110は、下地分割画像W31~W33から分割印刷データD31~D33(図14(A)~(C)参照)を作成する。更にCPU110は、カラー分割画像C22、C23から分割印刷データD26、D27(図14(D)~(E)参照)を作成する。なお、印刷に用いられる分割印刷データD31~D33、D26、D27は、本発明の「印刷データ」の一例である。CPU110は、分割印刷データD31~D33、D26、D27に基づいて印刷するときの印刷順を示す順番情報を、不揮発性記憶装置130から取得する。第2変形例では、順番情報において、分割印刷データD31の印刷順として1番目が設定され、分割印刷データD32の印刷順として2番目が設定され、分割印刷データD33の印刷順として3番目が設定され、分割印刷データD26の印刷順として4番目が設定され、分割印刷データD27の印刷順として5番目が設定されているとする。CPU110は、分割印刷データD31~D33、D26、D27に印刷順を設定する。更に、CPU110は、制御処理(図3参照)のS15の処理で取得した待機時間を、分割印刷データD26に設定する。
【0122】
次に、CPU110は、作成した分割印刷データD31~D33、D26、D27に基づいて印刷機構200を制御し、第1印刷処理(S23、図5参照)を実行する。第1印刷処理において、CPU110は、分割印刷データD31~D33に基づいて吐出ヘッド35から白インクを吐出し、図14(A)~(C)に示すように、下地分割画像W31~W33を記録媒体に順番に印刷する。次に、CPU110は、下地分割画像W33の印刷が終了してから、分割印刷データD26に設定された待機時間分待機する。その後、CPU110は、分割印刷データD26、D27に基づいて吐出ヘッド35からカラーインクを吐出し、図14(D)(E)に示すように、カラー分割画像C22、C23を記録媒体に印刷する。
【0123】
上記のように、第3変形例において、下地画像W11を分割した下地分割画像W21~W23の数(3個)は、カラー画像C21を分割したカラー分割画像C22、C23の数(2個)よりも大きい。このように、印刷装置600は、下地画像W11の分割数を、カラー画像C21の分割数に対して相対的に大きくすることによって、特に下地分割画像W21~W23の夫々のドットが、印刷時において部分的に重なる可能性を軽減できる。このため、印刷装置600は、下地画像W11の滲みを抑制できる。
【0124】
第3変形例において、CPU110は、下地画像W11を4等分した下地分割画像のそれぞれを印刷した後、カラー分割画像C23を2等分したカラー分割画像を印刷してもよい。
【0125】
<その他の変形例>
本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変更が可能である。印刷データ作成プログラムは、印刷装置600のCPU110により実行される場合に限らない。例えば、印刷データ作成プログラムは、印刷装置600に接続するPCやサーバ等(以下、制御端末という。)のCPUにより実行されてもよい。この場合、印刷データ作成プログラムが実行されることにより作成された印刷データは、制御端末から印刷装置600に出力されてもよい。印刷装置600は、制御端末から出力された印刷データに基づいて印刷処理を実行してもよい。
【0126】
白インクの代わりに、記録媒体にインクが吐出される前に塗布される下地剤が吐出されてもよい。操作部150から受け付けた印刷指示に、第1実施例~第4実施例、第1変形例~第3変形例の何れかを指定する指示が含まれていてもよい。印刷装置600は、指定された第2処理、第1実施例~第4実施例、第1変形例~第3変形例の何れかに基づき、印刷データの作成及び印刷処理を実行してもよい。
【0127】
印刷装置600は、下地画像W11を分割した下地分割画像のインク量比率及びドット密度の上限を設定してもよい。印刷装置600は、設定された上限を超えない範囲で任意に決定されたインク量比率及びドット密度の下地分割画像を作成してもよい。この時に決定されるインク量比率及びドット密度は、例えば、不揮発性記憶装置130に予め記憶された乱数テーブルに基づいて決定されてもよい。
【0128】
ユーザは、記録媒体の種類に応じ、第2処理、第1実施例~第4実施例、第1変形例~第3変形例の何れを実行するかを指定した印刷指示を、操作部150を介して入力してもよい。印刷装置600は、第2処理、第1実施例~第4実施例、第1変形例~第3変形例の何れを実行するかを指定した印刷指示を取得し、対応する実施例に基づいて印刷データの作成処理及び印刷処理を実行してもよい。このとき、第2処理、第1実施例~第4実施例、第1変形例~第3変形例毎に設定された下地画像のインク量比率及びドット密度の下限を下回らないように、下地分割画像のインク量比率及びドット密度が決定されてもよい。これによって、印刷装置600は、記録媒体が洗濯された時において、印刷された白インクの割れや剥がれを抑制できる。
【0129】
<その他>
不揮発性記憶装置130は、本発明の「記憶部」の一例である。S13の処理は、本発明の「取得ステップ」の一例である。S19の処理は、本発明の「第1作成ステップ」「作成ステップ」の一例である。S23の処理は、本発明の「第2作成ステップ」の一例である。S13の処理を行うCPU110は、本発明の「取得手段」の一例である。S19及びS23の処理を行うCPU110は、本発明の「作成手段」の一例である。インク量比率は、本発明の「解像度」の一例である。
【符号の説明】
【0130】
100 :制御装置
110 :CPU
130 :不揮発性記憶装置
200 :印刷機構
210 :副走査機構
220 :主走査機構
230 :ヘッド駆動回路
600 :印刷装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14