(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
B60K 35/00 20240101AFI20240814BHJP
【FI】
B60K35/00
(21)【出願番号】P 2020112446
(22)【出願日】2020-06-30
【審査請求日】2023-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】原賀 孝治
(72)【発明者】
【氏名】大野 広大
【審査官】鈴木 貴晴
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-048178(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2017/0191856(US,A1)
【文献】特開2012-189458(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 35/00-37/06
G04B 01/00-99/00
G01D 11/00-13/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略凸状に突出する位置決め部を有する第1の部材と、
略凹状に開口し前記位置決め部と係止する切り欠き部を有する第2の部材と、を有し、
前記切り欠き部は、内部の奥の方の奥部は前記内部の入口側の手前部の幅よりも広くなるように形成され、前記手前部と前記奥部との成す部分は、一点から出る2つの直線で作る角に形成され、
前記位置決め部の外側側部は前記切り欠き部の前記手前部に当接し、前記位置決め部の先端部は前記奥部に配置されることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記奥部は、角部が曲面に形成されることを特徴とする請求項
1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第2の部材は、板状に形成されることを特徴とする請求項
1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記切り欠き部は前記第2の部材の外周端面に連なって形成され、
前記第1の部材は前記外周端面の側面を覆う覆い部を有し、
前記位置決め部は前記覆い部に形成されることを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を表示する表示ユニットを備え表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の表示装置として、例えば特許文献1に開示されたものがある。斯かる表示装置は、ホルダと、ホルダに収容されるパッキンと、を有する。パッキンには、外側に向かって凹状に開口し、表裏方向に貫通する切り欠き部が形成される。ホルダには、内側に向かって凸状に突出する位置決め部が形成される。パッキンは、位置決め部の外面に切り欠き部の内面が当接することでホルダに位置決めされると共に、ホルダに係止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2019/208425号(WO,A1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の表示装置では、切り欠き部は、内面の側面と内面の奥の突き当り面との間に曲面が形成されているので、奥の方は入口より幅が狭くなる。すると、位置決め部の外面の先端は、この曲面に引っ掛かりそれ以上奥へは入らない。そのため、切り欠き部の入口と突き当り面との距離が長く取れない場合は、切り欠き部の側面が短くなる。よって、位置決め部と切り欠き部との掛かり量が少なくなり、位置決め部が外れ易くなるといった問題点があった。
【0005】
そこで、切り欠き部の入口と突き当り面との距離が長く取れない場合でも、位置決め部と切り欠き部の掛かり量を確保することができる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため本発明は、略凸状に突出する位置決め部24を有する第1の部材2と、略凹状に開口し前記位置決め部24と係止する切り欠き部14を有する第2の部材1と、を有し、前記切り欠き部14は、内部の奥の方の奥部14aは前記内部の入口14g側の手前部14bの幅W2よりも広くなるように形成され、前記手前部14bと前記奥部14aとの成す部分は、一点から出る2つの直線で作る角14eに形成され、前記位置決め部24の外側側部24aは前記切り欠き部14の前記手前部14bに当接し、前記位置決め部24の先端部24bは前記奥部14aに配置されることを特徴とする。
また、略凸状に突出する位置決め部24を有する第1の部材2と、略凹状に開口し前記位置決め部24と係止する切り欠き部14を有する第2の部材1と、を有し、前記切り欠き部14は、内部の奥の方の奥部14aは前記内部の入口14g側の手前部14bの幅W2よりも広くなるように形成され、前記位置決め部24の外側側部24aは前記切り欠き部14の前記手前部14bに当接し、前記位置決め部24の先端部24bは前記奥部14aに配置され、前記切り欠き部14は前記第2の部材1の外周端面15に連なって形成され、前記第1の部材2は前記外周端面15の側面を覆う覆い部22を有し、前記位置決め部24は前記覆い部22に形成されることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の第1の実施形態に係る表示装置の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の実施形態に係る表示装置100を、
図1乃至3を参照して説明する。表示装置100は、自動車等の車両に搭載される車両の速度を表示する速度計等の表示装置として構成される。本開示はこれら実施形態に限定されるものではなく、例えば、オートバイ、あるいは農業機械や建設機械を備えた移動体に搭載される車両用の表示装置に適用することができる。
【0009】
尚、以下では、表示装置100の構成の理解を容易にするために、各部材に対して、表示装置100から車両運転席に着座した運転者を見る方向(
図1の手前方向及び
図2の文字板1側)を「前(図のFr.)」、その反対側(
図1の奥手方向及び
図2のケース3側)を「後(図のRe.)」とする。「上」、「下」、「右」、及び「左」は、
図1から
図3における定義「To.」、「Bo.」、「R」、及び「L」に従う。
【0010】
表示装置100は、車両の運転者の前方に搭載される計器装置の一部であって、車両の速度を表示する指針式(機械式)計器である。表示装置100は、文字板1と、リング2と、ケース3と、指針4と、を少なくとも有する。
【0011】
文字板1は、薄板状の略正円形状の部材であり、前後方向に面する面方向を有する。文字板1は、基材11と、遮光層12と、意匠部13と、切り欠き部14と、を有する。
【0012】
基材11は、例えば薄板状(シート状)の透明な可撓性の合成樹脂(例えばポリカーボネート)からなる。遮光層12は、基材11の表面(又は裏面)に形成された黒色の遮光性インキで印刷された印刷層である。意匠部13は、速度計の指標となる数字、記号、及び目盛の形に遮光層12が抜かれることにより形成される意匠である。意匠部13は、白色の透光性インキで印刷されてもよい。意匠部13は、以下図示しないが、文字板1及びケース3の背後に配置される回路基板に実装される光源の光を透過することにより、点灯表示される。
【0013】
切り欠き部14は、文字板1の文字板外縁(外周端面)15に連なって形成され、略凹状に外側に向かって開口する。切り欠き部14は、文字板外縁15の周方向における所要箇所に所要数配置される。切り欠き部14は、例えば、等間隔に3つ以上形成されると位置決めとして好ましい。切り欠き部14は、内部の奥の突き当り面14f側の奥部14aの幅W1が内部の入口14g側の手前部14bの幅W2よりも広くなるように形成される。奥部14aは、奥部角(角部)14cが加工上の理由により曲面に形成される。奥部14aと手前部14bとの成す切り欠き角14eは、略角(一点から出る2つの直線で作る図形)に形成される。
【0014】
リング2は、黒色等の合成樹脂(例えばポリプロピレン)からなり、所定の幅を有する円環状のリング状に形成される。リング2は、文字板1の文字板外縁15の前面と側面とを覆うように形成される。リング2は、前方部21と、外周部(覆い部)22と、突き当て部23と、位置決め部24と、を有する。
【0015】
前方部21は、文字板外縁15の前方に配置される部位である。前方部21は、文字板外縁15の前方を覆うように形成される。前方部21は、文字板外縁15の内側から文字板外縁15を超えて文字板外縁15の外側まで形成される。前方部21は、文字板1の前方への移動を規制する。
【0016】
外周部22は、前方部21の背後から後方に向かって突出形成される。外周部22は、文字板外縁15よりも外側に形成される。外周部22は、文字板1の背面を超えて延出する。外周部22の外周部内面22aから前方部21の前方部内面21aまでの距離L1は、切り欠き部14の入口14gから突き当り面14fまでの距離L2よりも大きく形成される。
【0017】
突き当て部23は、前方部21の背後から後方に向かって略凸状に突出形成される。突き当て部23は、文字板外縁15よりも内側に形成される。突き当て部23は、文字板1に突き当たるまで延出する。
【0018】
位置決め部24は、前方部21と外周部22との成す角の位置(前方部21の背後且つ外周部22の内側の位置)に形成される。位置決め部24は、外周部22の内側に略凸状に突出する。位置決め部24は、外周部22と突き当て部23の間に形成される。位置決め部24は、切り欠き部14に対応する位置に形成される。
【0019】
位置決め部24は、切り欠き部14に嵌合する。位置決め部24の位置決め部外側面(外側側部)24aは、切り欠き部14の手前部14bに当接する。位置決め部24の幅W3は、手前部14bの幅W2と略同程度の幅に形成される。位置決め部外側面24aは、切り欠き部14の手前部14bに当接する。位置決め部24の位置決め部先端面(先端部)24bは、奥部14aに対応する位置に配置される。
【0020】
ケース3は、白色等の合成樹脂(例えばポリプロピレン)からなり、正面視において略正円形状に形成される。ケース3は、ケース前面31で文字板1を載置する。ケース3は、ケース前面31の外周をリング2で覆われる。ケース3は、文字板1を背後から照明する光源の遮光壁としても作用する。ケース3は、ケース切り欠き部32を有する。
【0021】
ケース切り欠き部32は、ケース前面31の外周の端面に形成され、略凹状に外側に向かって開口する。ケース切り欠き部32は、位置決め部24に対応する位置に形成される。ケース切り欠き部32は、位置決め部24に嵌合する。
【0022】
指針4は、各種の合成樹脂からなる。指針4は、針状の指示部41と、円盤状の基部42と、からなる周知技術が適用できる。指針4は、基部42が図示しない指針駆動部に接続される。指針4は、文字板1の前面上を回転することにより、指示部41が意匠部13の目盛を指し示すことで車両の速度を表示する。
【0023】
指針駆動部は、ステッピングモータからなり、回路基板に配置され、入力された車両の走行速度に応じて指針軸を回転する。指針軸は、回路基板に対して垂直に前方に伸びる(伸長する)金属製の棒状部材からなる。指針軸は、先端において指針4の基部42と接続される。
【0024】
回路基板は、文字板1及びケース3に対して後方に配置される。回路基板は、指針駆動部と、光源と、指針駆動部や光源のドライバ等を含む制御部と、を主に有する。
【0025】
光源は、回路基板の前面に設けられ、例えばトップビュー型(上面発光型)のLED(Light Emitting Diode)である。光源は、文字板1の後方に所要数設けられる。
【0026】
制御部は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を有しており、例えば、ROMに書き込まれたプログラムに従って所定の演算処理を実行する。制御部は、例えば、車両のECU(Electronic Control Unit)から各種車両情報を取得する。制御部は、取得した情報に基づき、指針駆動部を駆動し、また、光源を点灯させる。
【0027】
このように形成されることにより、切り欠き部14の入口14gと突き当り面14fとの距離が長く取れない場合でも、位置決め部24と切り欠き部14の掛かり量を確保することができる。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0029】
1 文字板
11 基材
12 遮光層
13 意匠部
14 切り欠き部
14a 奥部
14b 手前部
14c 奥部角(角部)
14e 切り欠き角部
14f 突き当り面
14g 入口
15 文字板外縁(外周端面)
2 リング
21 前方部
21a 前方部内面
22 外周部(覆い部)
22a 外周部内面
23 突き当て部
24 位置決め部
24a 位置決め部外側面(外側側部)
24b 位置決め部先端面(先端部)
3 ケース
31 ケース前面
32 ケース切り欠き部
4 指針
41 指示部
42 基部
100 表示装置
L1 距離
L2 距離
W1 幅
W2 幅
W3 幅