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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】プログラムおよび情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20240814BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240814BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
G06F3/12 356
G06F3/12 305
G06F3/12 378
B41J29/38 401
H04N1/00 350
H04N1/00 127B
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020128818
(22)【出願日】2020-07-30
(65)【公開番号】P2022025757
(43)【公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】垣鍔 亮太
【審査官】松浦 かおり
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-329382(JP,A)
【文献】特開2001-195166(JP,A)
【文献】特開2002-202639(JP,A)
【文献】特開2019-204322(JP,A)
【文献】特開2020-013174(JP,A)
【文献】特開2016-000644(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09 - 3/12
H04N 1/00
B41J 2/01
B41J 2/165- 2/20
B41J 2/21 - 2/215
B41J 5/00 - 5/52
B41J 21/00 -21/18
B41J 29/00 -29/70
G03G 13/34
G03G 15/00
G03G 15/36
G03G 21/00 -21/02
G03G 21/14
G03G 21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置のコンピュータによって実行可能なプログラムであって、
前記コンピュータに、
プリンタでの印刷に用いる用紙サイズを取得する取得処理を実行させ、前記用紙サイズには、前記プリンタでの用紙の搬送方向のサイズである用紙長と前記搬送方向に直交する方向のサイズである用紙幅とが含まれ、前記プリンタは、複数の給紙トレイを備え、前記複数の給紙トレイには、用紙の搬送方向の長さが所定長よりも長い長さである長尺紙に対応する第1給紙トレイと、前記長尺紙に対応しない第2給紙トレイと、が含まれ、
さらに前記コンピュータに、
前記取得処理にて取得した前記用紙サイズに含まれる前記用紙長が前記所定長よりも長い場合であって、前記第1給紙トレイが選択されていない場合、前記第1給紙トレイを使用することを示すガイダンスを行うガイダンス処理を実行させ、前記取得処理にて取得した前記用紙サイズに含まれる前記用紙長が前記所定長よりも長くない場合、または、前記取得処理にて取得した前記用紙サイズに含まれる前記用紙長が前記所定長よりも長い場合であっても、前記第1給紙トレイが選択されている場合には、前記ガイダンス処理を実行させない、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項2】
請求項1に記載するプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記取得処理にて取得した前記用紙サイズに含まれる前記用紙長が前記所定長よりも長い場合、前記第1給紙トレイを使用することを示す前記ガイダンスを行う前記ガイダンス処理を実行させ、前記第1給紙トレイは、用紙の搬送路にUターンパスを含まない第1経路に給紙する給紙トレイであり、前記第2給紙トレイは、用紙の搬送路にUターンパスを含む第2経路に給紙する給紙トレイである、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載するプログラムにおいて、
前記取得処理では、
前記用紙サイズの設定を受け付ける設定画面を、前記情報処理装置のユーザインタフェースに表示させ、前記設定画面への操作によって前記用紙サイズの設定を受け付け、受け付けた前記用紙サイズを取得する、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項4】
請求項3に記載するプログラムにおいて、
前記取得処理では、
前記設定画面にて選択されている前記用紙サイズの変更を受け付けた際、変更後の前記用紙サイズを取得し、
前記コンピュータに、
前記設定画面にて選択されている前記用紙サイズの変更を受け付けた際、変更後の前記用紙サイズに含まれる前記用紙長が前記所定長よりも長い場合、前記ガイダンス処理を実行させ、変更後の前記用紙サイズに含まれる前記用紙長が前記所定長よりも長くない場合、前記ガイダンス処理を実行させない、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項5】
請求項3に記載するプログラムにおいて、
前記取得処理では、
前記設定画面を閉じる指示を受け付けた際、前記設定画面にて選択されている前記用紙サイズを取得し、
前記コンピュータに、
前記設定画面を閉じる指示を受け付けた際、前記設定画面にて選択されていた前記用紙サイズに含まれる前記用紙長が前記所定長よりも長い場合、前記ガイダンス処理を実行させ、前記設定画面にて選択されていた前記用紙サイズに含まれる前記用紙長が前記所定長よりも長くない場合、前記ガイダンス処理を実行させない、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項6】
請求項3に記載するプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記取得処理にて取得した前記用紙サイズを、前記情報処理装置のメモリに記憶する記憶処理を実行させ、
さらに前記コンピュータに、
外部プログラムから前記プリンタに印刷を行わせる印刷指示があった際、前記用紙サイズを前記メモリから読み出し、読み出した前記用紙サイズに含まれる前記用紙長が前記所定長よりも長い場合、前記ガイダンス処理を実行させ、読み出した前記用紙サイズに含まれる前記用紙長が前記所定長よりも長くない場合、前記ガイダンス処理を実行させない、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載するプログラムにおいて、
前記取得処理では、
外部プログラムから前記プリンタに印刷を行わせる印刷指示があった際、前記印刷指示に含まれる印刷設定から前記用紙サイズを取得し、
前記コンピュータに、
外部プログラムから前記プリンタに印刷を行わせる前記印刷指示があった際、前記印刷指示から取得した前記用紙サイズに含まれる前記用紙長が前記所定長よりも長い場合、前記ガイダンス処理を実行させ、前記印刷指示から取得した前記用紙サイズに含まれる前記用紙長が前記所定長よりも長くない場合、前記ガイダンス処理を実行させない、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1つに記載するプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記取得処理にて取得した前記用紙サイズに含まれる前記用紙長が前記所定長よりも長い場合、前記プリンタに印刷を行わせる際の給紙トレイの設定を前記第1給紙トレイにする設定処理を実行させる、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項9】
請求項8に記載するプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記設定処理にて給紙トレイの設定を前記第1給紙トレイにした場合、給紙トレイの設定を前記第1給紙トレイにしたことを報知する報知処理を実行させる、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項10】
請求項8に記載するプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記取得処理にて取得した前記用紙サイズに含まれる前記用紙長が前記所定長よりも長い場合、前記設定処理を実行させる前に、給紙トレイの設定を前記第1給紙トレイにするか否かの選択を受け付け、給紙トレイの設定を前記第1給紙トレイにすることが選択された場合に、前記設定処理を実行させ、給紙トレイの設定を前記第1給紙トレイにしないことが選択された場合に、前記設定処理を実行させない、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1つに記載するプログラムにおいて、
前記ガイダンス処理では、
前記第1給紙トレイを使用することを示すガイダンスに加え、前記第1給紙トレイの使用方法を示すガイダンスも行う、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項12】
コンピュータを備え、プリンタと通信可能な情報処理装置であって、
前記コンピュータは、
前記プリンタでの印刷に用いる用紙サイズを取得する取得処理を実行し、前記用紙サイズには、前記プリンタでの用紙の搬送方向のサイズである用紙長と前記搬送方向に直交する方向のサイズである用紙幅とが含まれ、前記プリンタは、複数の給紙トレイを備え、前記複数の給紙トレイには、用紙の搬送方向の長さが所定長よりも長い長さである長尺紙に対応する第1給紙トレイと、前記長尺紙に対応しない第2給紙トレイと、が含まれ、
さらに前記コンピュータは、
前記取得処理にて取得した前記用紙サイズに含まれる前記用紙長が前記所定長よりも長い場合であって、前記第1給紙トレイが選択されていない場合、前記第1給紙トレイを使用することを示すガイダンスを行うガイダンス処理を実行し、前記取得処理にて取得した前記用紙サイズに含まれる前記用紙長が前記所定長よりも長くない場合、または、前記取得処理にて取得した前記用紙サイズに含まれる前記用紙長が前記所定長よりも長い場合であっても、前記第1給紙トレイが選択されている場合には、前記ガイダンス処理を実行しない、
ことを特徴とする情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術分野は、印刷設定を受け付けるプログラムおよび情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ等の情報処理装置において、プリンタでの印刷に用いる印刷設定を受け付け、その印刷設定に基づいてそのプリンタに印刷を指示する技術が知られている。例えば特許文献1には、ロール紙などの連続紙に印刷可能なプリンタでの印刷に用いる印刷設定に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-115528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
定型サイズのカット紙に対応するプリンタにおいて、ロール紙などの連続紙や長尺のカット紙をサポートする場合、次のような問題がある。すなわち、ロール紙などの連続紙や長尺のカット紙を使用する場合、給紙トレイの物理的なサイズや用紙搬送用のローラの能力等、給紙機構の制約により、それらの用紙を搬送可能な給紙トレイが限定されることがある。特許文献1には、ロール紙などの連続紙に印刷する際の給紙トレイの利用については記載されておらず、改善の余地がある。
【0005】
本明細書は、ロール紙などの連続紙や長尺のカット紙に印刷可能なプリンタにおける印刷の利便性について改善する技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題の解決を目的としてなされたプログラムは、情報処理装置のコンピュータによって実行可能なプログラムであって、前記コンピュータに、プリンタでの印刷に用いる用紙サイズを取得する取得処理を実行させ、前記用紙サイズには、前記プリンタでの用紙の搬送方向のサイズである用紙長と前記搬送方向に直交する方向のサイズである用紙幅とが含まれ、前記プリンタは、複数の給紙トレイを備え、前記複数の給紙トレイには、用紙の搬送方向の長さが所定長よりも長い長さである長尺紙に対応する第1給紙トレイと、前記長尺紙に対応しない第2給紙トレイと、が含まれ、さらに前記コンピュータに、前記取得処理にて取得した前記用紙サイズに含まれる前記用紙長が前記所定長よりも長い場合、前記第1給紙トレイを使用することを示すガイダンスを行うガイダンス処理を実行させ、前記取得処理にて取得した前記用紙サイズに含まれる前記用紙長が前記所定長よりも長くない場合、前記ガイダンス処理を実行させない、ことを特徴としている。
【0007】
本明細書に開示されるプログラムによれば、情報処理装置は、用紙サイズに含まれる用紙長が所定長よりも長い場合、すなわちロール紙や長尺のカット紙といった長尺紙に印刷を行う場合、長尺紙に対応する給紙トレイである第1給紙トレイを使用することを示すガイダンスを行う。これにより、長尺紙に対応しない給紙トレイが使用されて、用紙の搬送不良が生じる可能性を低減でき、長尺紙に印刷する際の利便性が高まる。
【0008】
上記プログラムの機能を実現する情報処理装置、プログラムの機能を実現するための制御方法、プログラムを格納するコンピュータにて読取可能な記憶媒体も、新規で有用である。
【発明の効果】
【0009】
本明細書に開示される技術によれば、ロール紙などの連続紙や長尺のカット紙に印刷可能なプリンタにおける印刷の利便性について改善する技術が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態にかかるPCの概略構成図である。
図2】プリンタにおける用紙の搬送路の例を示す説明図である。
図3】印刷設定処理の手順を示すフローチャートである。
図4】印刷設定画面の例を示す説明図である。
図5】ユーザ定義サイズのサイズ入力画面の例を示す説明図である。
図6】ガイダンス画面の例を示す説明図である。
図7】印刷処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、プログラムを具体化した実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は、印刷機能を有する装置であるプリンタに接続可能なパーソナルコンピュータ(以下、「PC」とする)にて実行されるプログラムを開示するものである。
【0012】
本形態のPC1は、例えば、図1に示すように、プリンタ2と互いに通信可能に接続されている。PC1は、プリンタ2に各種の機能を行わせるための各種のアプリケーションプログラム(以下、「アプリ」とする)を実行可能な装置である。PC1は、情報処理装置の一例である。PC1に代えて、例えば、スマートフォン、タブレットコンピュータであっても良い。
【0013】
PC1は、図1に示すように、CPU11と、メモリ12と、を含むコントローラ10を備えている。さらに、PC1は、ユーザインタフェース(以下、「ユーザIF」とする)13と、通信インタフェース(以下、「通信IF」とする)14と、を備え、これらがコントローラ10に電気的に接続されている。なお、図1中のコントローラ10は、PC1の制御に利用されるハードウェアやソフトウェアを纏めた総称であって、実際にPC1に存在する単一のハードウェアを表すとは限らない。
【0014】
CPU11は、メモリ12から読み出したプログラムに従って、また、ユーザの操作に基づいて、各種の処理を実行する。CPU11は、コンピュータの一例である。メモリ12は、例えば、ROM、RAM、HDD、フラッシュメモリであり、各種のプログラム、画像データや文書データ、設定情報等のデータ、を記憶する領域として利用される。CPU11が備えるバッファも、メモリの一例である。
【0015】
メモリの一例は、コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体であってもよい。コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体とは、non-transitoryな媒体である。non-transitoryな媒体には、上記の例の他に、CD-ROM、DVD-ROM等の記録媒体も含まれる。また、non-transitoryな媒体は、tangibleな媒体でもある。一方、インターネット上のサーバなどからダウンロードされるプログラムを搬送する電気信号は、コンピュータが読み取り可能な媒体の一種であるコンピュータが読み取り可能な信号媒体であるが、non-transitoryなコンピュータが読み取り可能なストレージ媒体には含まれない。
【0016】
ユーザIF13は、情報を画面に表示するハードウェアと、ユーザによる入力操作を受け付けるハードウェアと、を含む。ユーザIF13は、表示用のディスプレイと、キーボード、マウス等との組み合わせであっても良いし、表示機能と入力受付機能とを備えるタッチパネルであっても良い。
【0017】
通信IF14は、プリンタ2等の外部装置との通信を行うためのハードウェアを含む。通信IF14の通信方式は、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、USB等、どのような規格の方式でもよい。また、通信IF14は、複数の通信方式に対応していても良い。
【0018】
本形態のPC1のメモリ12には、図1に示すように、オペレーティングシステム(以下、「OS」とする)21と、印刷アプリ22と、プリンタドライバ23と、が組み込まれている。OS21は、例えば、Windows(登録商標)、macOS(登録商標)、iOS(登録商標)、Android(登録商標)、Linux(登録商標)である。
【0019】
印刷アプリ22は、印刷に関するユーザの指示を受け付けるプログラムである。印刷アプリ22は、外部プログラムの一例である。印刷アプリ22は、ユーザの操作によって、例えば、印刷を行わせる装置の指定、印刷対象の画像の指定、印刷設定の編集指示、印刷実行の指示、を受け付ける。印刷アプリ22は、さらに、印刷対象の用紙の種類や用紙サイズの指定、印刷品質の指定、余白の設定指示等を受け付けてもよい。
【0020】
プリンタドライバ23は、プリンタ2のモデルに対応するプログラムであり、プリンタ2の動作を制御する機能を含むプログラムである。プリンタドライバ23は、プログラムの一例である。プリンタドライバ23は、例えば、印刷アプリ22等からプリンタ2での印刷実行の指示または詳細な印刷設定の編集指示を受け付けた場合、OS21からプリンタ2のプロパティ設定の指示を受け付けた場合、に起動される。また、プリンタドライバ23は、例えば、OS21から印刷ジョブを受け付けて、印刷ジョブにて指定されている画像データに基づく印刷データを生成する。
【0021】
プリンタドライバ23は、プリンタ2での印刷に関する印刷設定について、ユーザの選択を受け付ける。印刷設定には複数の項目が含まれ、項目ごとに設定可能なパラメータのうちから選択を受け付ける。印刷設定の項目には、例えば、用紙種、用紙サイズ、印刷品質、カラー設定、給紙方法、が含まれる。プリンタドライバ23は、用紙サイズの項目のパラメータとして、例えば、A4等の定型サイズ、ユーザ定義サイズ、ユーザ定義サイズの登録、の選択を受け付ける。なお、以下では、印刷設定に含まれる用紙サイズの情報のうち、プリンタ2での用紙の搬送方向のサイズを「用紙長」、用紙長に直交する方向のサイズを「用紙幅」とする。
【0022】
プリンタ2は、少なくとも、印刷機能と、PC1との通信を行う通信機能と、を有する装置である。プリンタ2は、PC1等から印刷コマンドを受信すると、受信した印刷コマンドに含まれる印刷設定に基づいて、印刷を実行する。例えば、プリンタ2は、印刷コマンドにて給紙方法として指定されている給紙トレイから用紙を給紙し、用紙の搬送と搬送中の用紙への印刷とを行う。
【0023】
本形態のプリンタ2は、例えば、図2に概略を示すように、内部に印刷エンジン40を備え、印刷エンジン40に向けて用紙を供給する複数の給紙トレイと、印刷済みの用紙を排紙する1つの排紙トレイ45と、を備える。本形態のプリンタ2は、給紙トレイとして、標準トレイ41と、増設トレイ42と、多目的給紙トレイ(以下、「MPトレイ」とする)43と、を備える。以下では、図2に矢印で示すように、排紙トレイ45が開口している側(図2中で左側)を前方、逆側を後方とする。なお、本形態のプリンタ2の操作パネルは、プリンタ2の前方側の面に設けられており、プリンタ2を使用するユーザは、プリンタ2の前方側から操作する可能性が高い。
【0024】
標準トレイ41は、プリンタ2が工場出荷時から備えるトレイである。増設トレイ42は、例えば、工場出荷後に標準トレイ41の下方に増設されたトレイである。標準トレイ41や増設トレイ42は、用紙束を収容可能な収容ボックスを備え、その収容ボックスがプリンタ2の前方から後方へ向かって挿入されることで使用可能となる。標準トレイ41や増設トレイ42は、図2に示すように、それぞれ給紙ローラ411、421を備えている。標準トレイ41や増設トレイ42は、それぞれの収容ボックスに収容されている用紙束を押し上げて、用紙束の上から1枚ずつの用紙を、給紙ローラ411、421によって印刷エンジン40に向けて給紙する。
【0025】
標準トレイ41や増設トレイ42は、収容ボックスに収容可能であって給紙ローラ411、421にて搬送可能なサイズのカット紙であれば各種の用紙を給紙可能である。標準トレイ41や増設トレイ42は、例えば、A4やB5等の定型サイズのカット紙、ハガキや往復ハガキ、L判等の写真用紙を給紙できる。本形態のプリンタ2では、標準トレイ41や増設トレイ42の有する収容ボックスは、例えば、Ledgerサイズまでの用紙を収容できる。一方、標準トレイ41や増設トレイ42は、収容ボックスに収容できない用紙サイズの用紙を給紙できない。つまり、本形態のプリンタ2は、Ledgerサイズの用紙長である431.8mmよりも用紙長が長い用紙は、標準トレイ41や増設トレイ42からは給紙できない。標準トレイ41や増設トレイ42は、第2給紙トレイの一例である。
【0026】
プリンタ2のMPトレイ43は、プリンタ2の後方に開閉可能な挿入口431を備え、挿入口431を開放状態とすることで使用可能になるトレイである。MPトレイ43は、セットされた用紙を1枚ずつ、開放された状態の挿入口431からプリンタ2の内部に引き込んで、印刷エンジン40に向けて給紙する。
【0027】
本形態のMPトレイ43は、標準トレイ41や増設トレイ42から給紙可能なサイズの用紙のみでなく、用紙長の長い長尺カット紙やロール状に巻かれた連続紙であるロール紙の給紙も可能な給紙トレイである。MPトレイ43は、用紙の搬送方向の長さがLedgerサイズよりも長い用紙である長尺紙に対応する給紙トレイである。Ledgerサイズの用紙長である431.8mmは、所定長の一例であり、MPトレイ43は、第1給紙トレイの一例である。
【0028】
長尺カット紙は、例えば、用紙幅が定型サイズと等しく、用紙長が定型サイズよりも長いカット紙である。長尺カット紙としては、例えば、用紙長が600mmや1200mmのものがある。長尺カット紙は、用紙の搬送方向の長さが所定長よりも長い用紙の一例である。ロール紙はロール状の連続紙であり、プリンタ2は、ロール紙への印刷を行う場合、用紙をロールから巻き出して搬送する。本形態のプリンタ2のMPトレイ43は、ロール紙をセット可能な給紙トレイである。ロール紙を使用する場合、用紙長はユーザによって定義されることから、所定長よりも長い用紙長が指定される可能性がある。従って、ロール紙は、用紙の搬送方向の長さが所定長よりも長い用紙の一例である。以下では、長尺カット紙とロール紙とを纏めて、「長尺紙」とする。
【0029】
プリンタ2は、図2に示すように、用紙の搬送方向について印刷エンジン40の上流側の位置にレジストローラ401を有し、印刷の実行時には、いずれかの給紙トレイから給紙された用紙を、レジストローラ401を介して印刷エンジン40へ搬送する。どの給紙トレイから給紙された用紙であっても、レジストローラ401から印刷エンジン40を経由して排紙トレイ45までの搬送路は同じである。本形態のプリンタ2では、レジストローラ401から排紙トレイ45までの搬送路は、プリンタ2の後方から前方に向かう概略ストレートの経路である。
【0030】
一方、給紙トレイからレジストローラ401までの用紙の搬送路は、給紙トレイごとに異なる。標準トレイ41や増設トレイ42から給紙される用紙の搬送路は、図2中に一点鎖線Aや一点鎖線Bで示すように、各給紙ローラ411、421からレジストローラ401までの間に、Uターンパスを含む。Uターンパスは、用紙の進行方向を、90度より大きい角度で変更させる経路である。具体的には、標準トレイ41から給紙される用紙は、給紙ローラ411による給紙開始直後は概略前方から後方へ向かう向きに搬送され、レジストローラ401より下流側では後方から前方に向かう向きに搬送される。標準トレイ41や増設トレイ42から給紙される用紙の搬送路は、第2経路の一例である。なお、Uターンパスは、例えば、1つのローラで構成されても良いし、2つ以上のローラで構成されても良い。また、Uターンパスには、Uターンを1回のみ行う経路の他、S字経路のようなUターンを複数回行う経路も含む。
【0031】
また、本形態のプリンタ2のMPトレイ43から給紙される用紙の搬送路は、図2中に一点鎖線Cで示すように、Uターンパスを含まない。MPトレイ43の挿入口431は、プリンタ2の後方に設けられていることから、MPトレイ43にセットされた用紙は、プリンタ2の後方から前方に向かって進行して、レジストローラ401に到達する。MPトレイ43から給紙される用紙は、給紙開始直後から排紙されるまで後方から前方に向かう向きに搬送され、前方から後方に向かう向きに搬送されることはない。MPトレイ43から給紙される用紙の搬送路は、第1経路の一例である。
【0032】
本形態のプリンタ2では、標準トレイ41や増設トレイ42から給紙可能な用紙サイズには、例えば、収容ボックスのサイズによる上限があり、標準トレイ41や増設トレイ42は長尺紙の搬送に適していない。また、標準トレイ41や増設トレイ42から給紙される用紙の搬送路にはUターンパスが含まれる。Uターンパスを含む経路に長尺紙を搬送させた場合、用紙の位置ずれやジャム等の不具合が発生する可能性がある。これらのことから、長尺紙への印刷指示に際して、給紙トレイとして標準トレイ41や増設トレイ42を選択することは好ましくない。しかしながら、このことを知らないユーザは、誤って、標準トレイ41や増設トレイ42を選択した印刷設定で、長尺紙への印刷を指示する可能性がある。本形態のプリンタドライバ23は、用紙サイズとして長尺紙が選択されている場合、MPトレイ43の使用が好ましいことをユーザに報知する。
【0033】
続いて、本形態のプリンタドライバ23による処理について説明する。なお、以下の処理およびフローチャートの各処理ステップは、基本的に、プリンタドライバ23に記述された命令に従ったCPU11の処理を示す。すなわち、以下の説明における「判断」、「抽出」、「選択」、「算出」、「決定」、「特定」、「取得」、「受付」、「制御」等の処理は、CPU11の処理を表している。CPU11による処理は、PC1のOS21のAPIを用いたハードウェア制御も含む。本明細書では、OS21の記載を省略して各プログラムの動作を説明する。すなわち、以下の説明において、「プログラムBがハードウェアCを制御する」という趣旨の記載は、「プログラムBがOS21のAPIを用いてハードウェアCを制御する」ことを指してもよい。また、プログラムに記述された命令に従ったCPU11の処理を、省略した文言で記載することがある。例えば、「CPU11が行う」、「プログラムが行う」のように記載することがある。
【0034】
なお、「取得」は要求を必須とはしない概念で用いる。すなわち、CPU11が要求することなくデータを受信するという処理も、「CPU11がデータを取得する」という概念に含まれる。また、本明細書中の「データ」とは、コンピュータに読取可能なビット列で表される。そして、実質的な意味内容が同じでフォーマットが異なるデータは、同一のデータとして扱われるものとする。本明細書中の「情報」についても同様である。また、「要求する」、「指示する」とは、要求していることを示す情報や、指示していることを示す情報を相手に出力することを示す概念である。また、要求していることを示す情報や指示していることを示す情報のことを、単に、「要求」、「指示」とも記載する。
【0035】
また、CPU11による、情報Aは事柄Bであることを示しているか否かを判断する処理を、「情報Aから、事柄Bであるか否かを判断する」のように概念的に記載することがある。CPU11による、情報Aが事柄Bであることを示しているか、事柄Cであることを示しているか、を判断する処理を、「情報Aから、事柄Bであるか事柄Cであるかを判断する」のように概念的に記載することがある。
【0036】
以下、本形態のプリンタドライバ23による印刷設定処理の手順について、図3のフローチャートを参照して説明する。印刷設定処理は、印刷アプリ22等のアプリにてプリンタ2が選択された状態で、印刷設定の編集指示または印刷の実行指示を受け付けたことを契機に、PC1のCPU11にて実行される。なお、プリンタドライバ23が予め起動されていれば、印刷アプリ22等は、起動中のプリンタドライバ23に印刷設定処理の実行開始を指示する。
【0037】
CPU11は、まず、選択中の印刷設定を取得する(S101)。プリンタドライバ23の起動時に、CPU11は、メモリ12のプリンタドライバ23用の記憶領域に記憶されている印刷設定を読み出し、所定のデータ構造体に記憶させる。このデータ構造体は、印刷アプリ22等のアプリとプリンタドライバ23とが共用する領域であり、アプリとプリンタドライバ23とのいずれからも編集されることがある。データ構造体は、印刷アプリ22等のアプリの実行中に限って一時的に利用される領域であり、アプリの終了時には破棄される。S101では、CPU11は、このデータ構造体に記憶されている印刷設定を読み出す。以後の処理では、CPU11は、読み出した印刷設定を参照し、編集する。
【0038】
一方、プリンタドライバ23用の記憶領域は、プリンタドライバ23がPC1にインストールされた際に設けられる領域であり、例えば、レジストリ、設定ファイルである。プリンタドライバ23用の記憶領域は、プリンタドライバ23や印刷アプリ22等のアプリの実行状況にかかわらず保持される領域であり、恒久的に使用される。プリンタドライバ23のインストール時には、プリンタドライバ23のインストーラ、OS21、インストール直後のプリンタドライバ23、などが、その記憶領域に各種の情報を記憶させる。プリンタドライバ23用の記憶領域に記憶される情報としては、例えば、印刷設定、モデル情報があり、インストール後に編集される情報もある。
【0039】
S101にて取得される印刷設定は、印刷をプリンタ2に指示するために用いられる情報であり、複数の項目と各項目に設定されるパラメータとを含む。印刷設定には、例えば、用紙種、用紙サイズ、印刷品質、カラー設定、給紙方法、の項目が含まれる。S101は、用紙サイズの情報を取得する処理の一例であり、取得処理の一例である。用紙サイズの項目のパラメータは、用紙長と用紙幅との組の情報である。
【0040】
そして、CPU11は、ユーザIF13に、S101にて取得した印刷設定を示す印刷設定画面を表示させる(S102)。つまり、S102にて表示させる印刷設定画面には、プリンタドライバ23のデフォルトの印刷設定、または、印刷アプリ22等のアプリにて受け付けた印刷設定が表示される。
【0041】
印刷設定画面の例を図4に示す。図4の例に示す印刷設定画面50には、用紙サイズの選択欄51と、給紙方法の選択欄52と、OKボタン53と、キャンセルボタン54と、が含まれる。印刷設定画面50には、用紙サイズの選択欄51や給紙方法の選択欄52以外にも、各種の印刷設定を受け付ける選択欄が含まれる。CPU11は、印刷設定画面50に表示させた各選択欄や各ボタンへの操作を受け付ける。印刷設定画面50は、設定画面の一例である。
【0042】
CPU11は、表示中の印刷設定画面50にて、用紙サイズの選択欄51への操作によって、用紙サイズの変更の指示を受け付けたか否かを判断する(S110)。用紙サイズの選択欄51への操作を受け付けたと判断した場合(S110:YES)、CPU11は、変更後の用紙サイズの用紙長が所定長よりも長いか否かを判断する(S111)。S111では、CPU11は、例えば、プリンタ2のモデル情報に基づいて、選択された用紙サイズの用紙長が、標準トレイ41に収容可能な最大の用紙長よりも長いか否かを判断する。本形態では、CPU11は、Ledgerサイズの用紙長である431.8mmよりも用紙長が長い用紙サイズが選択された場合、用紙長が長いと判断する。
【0043】
なお、用紙サイズの選択欄51にて選択された用紙サイズがユーザ定義サイズである場合、CPU11は、用紙長と用紙幅とのユーザ入力を受け付ける画面をユーザIF13に表示させ、用紙長と用紙幅との数値による指定を受け付ける。ユーザ定義サイズのサイズ入力画面の例を図5に示す。図5の例に示す入力画面60には、用紙幅の数値入力を受け付ける入力欄61と、用紙長の数値入力を受け付ける入力欄62と、OKボタン63と、キャンセルボタン64と、が含まれる。CPU11は、表示されている数値の範囲内で、入力欄61や入力欄62への数値の入力を受け付ける。そして、CPU11は、OKボタン63への操作を受け付けた場合に、入力画面60を閉じ、入力欄62に入力されている数値に基づいて、S111の判断を行う。入力画面60は、設定画面の一例である。OKボタン63への操作は、設定画面を閉じる指示の一例である。
【0044】
なお、入力画面60では、CPU11は、用紙幅のみの数値入力を受け付けた状態でOKボタン63への操作を受け付けても良い。つまり、CPU11は、入力欄61への数値入力を受け付けており、入力欄62への数値入力を受け付けていない状態で、OKボタン63への操作を受け付けても良い。その場合、CPU11は、例えば、用紙長を選択可能な最大のサイズに自動的に決定しても良い。
【0045】
選択された用紙サイズの用紙長が長いと判断した場合(S111:YES)、CPU11は、表示中の印刷設定画面50にて、給紙方法としてMPトレイ43が選択されているか否かを判断する(S112)。例えば、図4の例では、給紙方法の選択欄52に「自動選択」が表示されていることから、MPトレイ43が選択されているわけではない。なお、給紙方法として自動選択が設定されている印刷設定での印刷コマンドを受信した場合、プリンタ2は、給紙トレイを決定できないため、操作パネルにエラーを表示して、印刷を実行しない。
【0046】
給紙方法としてMPトレイ43が選択されていないと判断した場合(S112:NO)、CPU11は、ユーザIF13にガイダンス画面を表示させる(S113)。S113は、ガイダンス処理の一例である。
【0047】
ガイダンス画面の例を図6に示す。図6の例に示すガイダンス画面70には、プリンタ2のMPトレイ43の位置を示すイラストと共に、MPトレイ43に用紙をセットするよう促すメッセージおよびMPトレイ43の使用方法を示すメッセージが表示される。ガイダンス画面70にはさらに、OKボタン71と、キャンセルボタン72と、が含まれる。なお、MPトレイ43の使用方法を示すメッセージとしては、例えば、用紙をセットする際の向きを指示するメッセージ、用紙を1枚ずつセットするよう指示するメッセージ、が含まれる。なお、ガイダンスを行う方法は、ガイダンス画面70等のメッセージの表示に限らず、音声による報知であってもよいし、動画の再生であってもよいし、これらの組み合わせであっても良い。
【0048】
CPU11は、表示中のガイダンス画面70にて、OKボタン71またはキャンセルボタン72への操作を受け付けるまで待機する。OKボタン71は、給紙トレイをMPトレイ43にする選択を受け付けるボタンであり、キャンセルボタン72は、給紙トレイをMPトレイ43にしない、すなわち、用紙サイズの選択をキャンセルする指示を受け付けるボタンである。
【0049】
そして、CPU11は、OKボタン71への操作を受け付けたか否かを判断する(S114)。受け付けたと判断した場合(S114:YES)、CPU11は、給紙方法をMPトレイ43に変更する(S115)。S115は、設定処理の一例である。さらに、CPU11は、ガイダンス画面70を閉じ、給紙トレイを変更したことを報知する(S116)。S116は、報知処理の一例である。さらに、CPU11は、給紙方法の選択欄52にMPトレイ43が選択されている状態として、印刷設定画面50をユーザIF13に表示させる。
【0050】
OKボタン71ではなく、キャンセルボタン72への操作を受け付けたと判断した場合(S114:NO)、CPU11は、S110にて受け付けた用紙サイズの選択をキャンセルする(S117)。CPU11は、ガイダンス画面70を閉じ、用紙サイズの選択欄51への操作を受け付ける前の状態として、印刷設定画面50をユーザIF13に表示させる。S116やS117の後、CPU11は、S110に戻って、印刷設定画面50への操作を受け付ける。
【0051】
一方、用紙サイズの選択欄51への操作を受け付けていないと判断した場合(S110:NO)、CPU11は、用紙サイズの選択欄51以外の各種の選択欄への操作を受け付けたか否かを判断する(S120)。各選択欄への操作を受け付けたと判断した場合(S120:YES)、または、用紙サイズの選択欄51にて選択された用紙サイズの用紙長が長くないと判断した場合(S111:NO)、または、用紙長が長い用紙サイズが選択された場合であっても、給紙方法としてMPトレイ43が選択されていると判断した場合(S112:YES)、CPU11は、ユーザの操作に基づいて表示内容を変更した印刷設定画面50を、ユーザIF13に表示させる(S121)。そして、CPU11は、S110に戻って、印刷設定画面50への操作を受け付ける。
【0052】
用紙サイズの選択欄51以外の選択欄への操作を受け付けていないと判断した場合(S120:NO)、CPU11は、OKボタン53への操作を受け付けたか否かを判断する(S130)。OKボタン53への操作を受け付けていないと判断した場合(S130:NO)、CPU11は、キャンセルボタン54への操作を受け付けたか否かを判断する(S140)。キャンセルボタン54への操作を受け付けていないと判断した場合(S140:NO)、CPU11は、S110に戻り、各選択欄またはボタンへの操作を受け付けるまで待機する。
【0053】
OKボタン53への操作を受け付けたと判断した場合(S130:YES)、CPU11は、用紙サイズの選択欄51にて選択されている用紙サイズの用紙長が長いか否かを判断する(S131)。OKボタン53への操作は、設定画面を閉じる指示の一例である。用紙長が長いと判断した場合(S131:YES)、CPU11は、給紙方法としてMPトレイ43が選択されているか否かを判断する(S132)。MPトレイ43が選択されていないと判断した場合(S132:NO)、CPU11は、ユーザIF13にガイダンス画面70(図6参照)を表示させる(S133)。S133は、ガイダンス処理の一例である。S133は、S113と同様の処理である。
【0054】
CPU11は、表示中のガイダンス画面70にて、OKボタン71への操作を受け付けたか否かを判断する(S134)。受け付けたと判断した場合(S134:YES)、CPU11は、給紙方法をMPトレイ43に変更する(S135)。S135は、設定処理の一例である。さらに、CPU11は、ガイダンス画面70を閉じ、給紙トレイを変更したことを報知する(S136)。S136は、報知処理の一例である。
【0055】
S136の後、または、用紙長が長くないと判断した場合(S131:NO)、または、MPトレイ43が選択されていると判断した場合(S132:YES)、CPU11は、印刷設定を表示中の内容に決定し、決定した印刷設定をメモリ12のデータ構造体に記憶させる(S137)。S137は、記憶処理の一例である。なお、CPU11は、決定した印刷設定をプリンタドライバ23用の記憶領域に記憶させても良い。S137の後、CPU11は、印刷設定画面50を閉じて(S138)、印刷設定処理を終了する。
【0056】
一方、キャンセルボタン54への操作を受け付けたと判断した場合(S140:YES)、CPU11は、印刷設定画面50にて受け付けた編集を全て破棄する(S141)。すなわち、CPU11は、編集された印刷設定をデータ構造体やプリンタドライバ23用の記憶領域に書き込まず、編集結果の情報を破棄する。S141の後、CPU11は、印刷設定画面50を閉じて(S138)、印刷設定処理を終了する。
【0057】
なお、印刷アプリ22等のアプリからプリンタドライバ23が起動されたことにより、CPU11が印刷設定処理を実行した場合、S144の後に印刷設定処理を終了した後も、印刷アプリ22等が終了されるまで、データ構造体は保持される。印刷アプリ22等は、プリンタドライバ23による印刷設定処理の終了の通知を受け取った後、当該アプリにて受け付け可能な各種の指示を受け付ける。
【0058】
プリンタドライバ23は、印刷アプリ22等のアプリからの指示に限らず、例えば、OS21、プリンタドライバ23のメーカが提供する関連ツール、から印刷設定の編集指示を受け付けた場合にも、印刷設定処理を実行する。この場合、CPU11は、S137にて決定した印刷設定をプリンタドライバ23用の記憶領域に記憶させる。つまり、編集後の印刷設定は、恒久的なものとなる。また、OS21または各種の関連ツールやアプリが、プリンタドライバ23用の記憶領域に編集後の印刷設定を記憶させる場合もある。
【0059】
また、印刷アプリ22等には、用紙サイズの設定を受け付け可能なものもある。印刷アプリ22等は、用紙サイズの設定指示を受け付けた場合、選択可能な選択肢をプリンタドライバ23に問い合わせる。プリンタドライバ23は、選択された用紙サイズの情報を印刷アプリ22等から取得し、印刷設定処理のS111~S117を実行しても良い。
【0060】
次に、本形態のプリンタドライバ23による印刷処理の手順について、図7のフローチャートを参照して説明する。印刷処理は、印刷アプリ22等にてプリンタ2での印刷実行を指示する印刷指示を受け付け、OS21からプリンタドライバ23に印刷ジョブが入力されたことを契機に、PC1のCPU11にて実行される。
【0061】
印刷処理では、CPU11は、まず、印刷アプリ22等のアプリとプリンタドライバ23とで共用されるデータ構造体から印刷設定を取得する(S201)。なお、印刷アプリ22等のアプリでは、印刷設定の編集指示を受け付けることなく、つまり、前述した印刷設定処理を実行せずに印刷実行の指示を受け付ける場合がある。その場合でも、CPU11は、印刷設定処理の開始時と同様に、プリンタドライバ23用の記憶領域に記憶されている印刷設定を読み出してデータ構造体に記憶させ、S201では、そのデータ構造体から印刷設定を取得する。
【0062】
そして、CPU11は、印刷設定にて指定されている用紙サイズの用紙長が、所定長よりも長いか否かを判断する(S202)。S202は、S111と同様の判断である。指定されている用紙長が長いと判断した場合(S202:YES)、CPU11は、印刷設定にて指定されている給紙方法として、MPトレイ43が選択されているか否かを判断する(S203)。
【0063】
給紙方法としてMPトレイ43が指定されていないと判断した場合(S203:NO)、CPU11は、ユーザIF13にガイダンス画面70(図6参照)を表示させる(S204)。S204は、ガイダンス処理の一例である。なお、印刷処理では、既に印刷実行の指示を受け付け済みであることから、この場合のOKボタン71は、MPトレイ43から用紙を給紙して印刷を実行する指示を受け付けるボタンであり、キャンセルボタン72は、印刷を中止する指示を受け付けるボタンである。この場合のガイダンス画面は、OKボタンに代えて、印刷ボタンを含んでも良い。
【0064】
そして、CPU11は、OKボタン71への操作を受け付けたか否かを判断する(S205)。受け付けたと判断した場合(S205:YES)、CPU11は、給紙トレイの設定をMPトレイ43に変更する(S206)。S206は、設定処理の一例である。さらに、CPU11は、ガイダンス画面70を閉じ、給紙トレイを変更したことを報知する(S207)。S207は、報知処理の一例である。
【0065】
S207の後、または、用紙長が長くないと判断した場合(S202:NO)、または、MPトレイ43が選択されていると判断した場合(S203:YES)、CPU11は、印刷ジョブに含まれる画像データに基づいて印刷データを生成し、印刷設定の情報を加えて印刷コマンドを生成する(S210)。さらに、CPU11は、生成した印刷コマンドをプリンタ2に送信して(S211)、印刷処理を終了する。
【0066】
一方、表示させたガイダンス画面70にて、OKボタン71ではなく、キャンセルボタン72への操作を受け付けたと判断した場合(S205:NO)、CPU11は、印刷をキャンセルしたことを報知して(S212)、印刷処理を終了する。
【0067】
以上、詳細に説明したように、本形態のプリンタドライバ23は、印刷設定に含まれる用紙サイズの用紙長が所定長よりも長い場合、すなわちロール紙や長尺カット紙といった長尺紙に印刷を行う場合、MPトレイ43を使用するように促すガイダンスを行う。ガイダンスによって長尺紙への印刷時の給紙トレイについて、ユーザが適切な給紙トレイを選択する可能性が高まり、用紙の搬送不良が生じる可能性を低減でき、長尺紙に印刷する際の利便性が高まる。
【0068】
さらに、本形態では、プリンタドライバ23や印刷アプリ22が用紙サイズの設定を受け付けるので、長尺紙に印刷する際の利便性がさらに高まる。特に、印刷設定画面50での用紙サイズが変更されたタイミング、および、印刷設定画面50を閉じる指示を受け付けたタイミングで、直ぐにガイダンスを行うので、MPトレイ43を使用する必要があることをユーザが把握し易く、給紙トレイとしてMPトレイ43が選択されることが期待できる。また、本形態では、MPトレイ43の使用方法もガイダンスするので、長尺紙に印刷する際の利便性がさらに高まる。
【0069】
さらに、本形態では、印刷アプリ22等にて印刷指示を受け付けた場合、指定されている印刷設定に基づいてガイダンスを行うので、長尺紙の場合にはMPトレイ43を使用する必要があることをユーザが把握し易く、直ぐにMPトレイ43に用紙がセットされることが期待できる。
【0070】
さらに、本形態では、MPトレイ43から給紙された用紙の搬送路には、Uターンパスが含まれない。また、Uターンパスを含まない搬送路の方が、Uターンパスを含む搬送路よりも、安定して用紙を搬送できる可能性が高い。本形態では、長尺紙を給紙する場合にはUターンパスを含まない給紙トレイの使用をガイダンスするので、長尺紙に印刷する際の利便性がさらに高まる。
【0071】
さらに、本形態では、長尺紙の使用が設定されている場合に、給紙トレイをMPトレイ43に自動的に設定するので、長尺紙に印刷する際の利便性が高まる。さらに、給紙トレイを変更したことを報知するので、給紙トレイの設定をユーザが把握できる。さらに、給紙トレイを自動的に変更する前にユーザに確認するので、ユーザが希望する設定にすることができる。
【0072】
なお、本形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。従って、本発明は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能である。例えば、プリンタ2は、印刷単機能の装置に限らず、原稿読取機能やFAX送受信機能を備えている装置であっても良い。本形態は、プリンタ2に代えて、複合機、コピー機、FAX装置等に接続されるPC1にも適用可能である。また、PC1には、2台以上のプリンタが接続されていても良い。
【0073】
また、例えば、給紙トレイの数は、3つに限らない。例えば、増設トレイ42は、無くても良い。さらに、MPトレイ43以外にも長尺紙に対応可能な給紙トレイを有するプリンタの場合には、例えば、ガイダンス画面にて長尺紙に対応可能な全ての給紙トレイを表示して、ユーザの選択を受け付けても良い。
【0074】
また、本形態では、印刷設定画面50にて用紙サイズとして長尺紙の選択を受け付けた場合と、印刷設定画面50を閉じる際に長尺紙が選択されている場合と、長尺紙への印刷実行の指示を受け付けた場合と、にガイダンスを行うとしたが、これに限らない。例えば、これらのタイミングのうちのいずれか1つか2つのタイミングのみでガイダンスを行うとしても良いし、さらに印刷アプリ22やプリンタドライバ23の起動時にもガイダンスを行うとしても良い。また、本形態では、MPトレイが選択されている場合にはガイダンスを行わないとしたが、行っても良い。
【0075】
また、本形態では、ガイダンス画面にてOKボタンへの操作を受け付けた場合、給紙方法を自動的にMPトレイ43に変更するとしたが、しなくても良い。ただし、自動的に変更すれば、ユーザの変更の手間が省けるので好ましい。
【0076】
また、例えば、本形態では、MPトレイ43からの搬送路はUターンパスを含まない搬送路であるとしたが、これに限らない。また、Uターンパスを含む経路であっても、長尺紙の搬送に適している給紙トレイであれば、MPトレイ43に限らず、長尺紙への印刷時に適切に使用できる。つまり、ガイダンスでは、Uターンパスの有無に関わらず、長尺紙への印刷に適した給紙トレイを使用するように案内すれば良い。例えば、標準トレイ41が、長尺紙を搬送可能な構成、例えば、長尺紙を収容可能なサイズの収容ボックス、外部からの給紙が可能な開口を有する収容ボックス、を備えている場合、標準トレイ41の使用を案内しても良い。ただし、例えば、ロール紙への印刷の場合、印刷後に残りの用紙が巻き戻される可能性もあることから、Uターンパスを含まない搬送路の給紙トレイを使用する方が好ましい。
【0077】
また、本形態では、プリンタドライバ23の処理として説明したが、本発明のプログラムは、プリンタドライバに限らない。プリンタドライバに代えて汎用の印刷プログラムを備えるOSが搭載された、いわゆるドライバレスの構成を有するPCにも適用可能である。本発明は、例えば、汎用の印刷プログラムとは別にPCに組み込まれる印刷に関するプログラム、汎用の印刷プログラムと協働して印刷設定を受け付けるプログラム、にも適用可能である。
【0078】
また、本形態に開示されている任意のフローチャートにおいて、任意の複数のステップにおける複数の処理は、処理内容に矛盾が生じない範囲で、任意に実行順序を変更できる、または並列に実行できる。
【0079】
また、本形態に開示されている処理は、単一のCPU、複数のCPU、ASICなどのハードウェア、またはそれらの組合せで実行されてもよい。また、実施の形態に開示されている処理は、その処理を実行するためのプログラムを記録した記録媒体、または方法等の種々の態様で実現することができる。
【符号の説明】
【0080】
1 PC
2 プリンタ
11 CPU
12 メモリ
13 ユーザIF
41 標準トレイ
42 増設トレイ
43 MPトレイ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7