(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/04 20120101AFI20240814BHJP
G06F 30/10 20200101ALI20240814BHJP
G06Q 30/015 20230101ALI20240814BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
G06Q50/04
G06F30/10
G06F30/10 100
G06Q30/015
G05B19/418 Z
(21)【出願番号】P 2020151529
(22)【出願日】2020-09-09
【審査請求日】2023-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高畑 翔
(72)【発明者】
【氏名】九之池 昭紀
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 光広
【審査官】星野 裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-351929(JP,A)
【文献】特開平10-301999(JP,A)
【文献】特開2001-084018(JP,A)
【文献】特開2016-062403(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0270479(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0127480(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G06F 30/10
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
取得した見積り対象となる部品の3次元形状データから、前記部品の寸法の認識、及び前記部品の製造に要する費用の増加に影響を及ぼす特定形状の認識を行い、
認識した前記寸法及び前記特定形状を基に前記費用の見積りを行
い、
前記部品に含まれる前記特定形状が複数種類ある場合、複数の前記特定形状の各々による前記費用の増加度合いに応じて、表示部に表示される前記部品の3次元画像に含まれる複数の前記特定形状を異なる態様で表示させる、
情報処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
取得した前記部品の3次元形状データから判断できない見積り条件を加味して前記費用の見積りを行う請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
認識した前記寸法及び前記特定形状を基に前記部品の製造条件を判断し、
判断した前記製造条件を加味して前記費用の見積りを行う請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記費用の見積りと共に、前記部品に含まれる前記特定形状が特定可能な態様で前記部品の3次元画像を表示させる請求項1から3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記3次元画像として、前記部品に含まれる前記特定形状以外の他の部分の態様を統一して表示させる請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記3次元画像を複数色により表現し、
前記3次元画像のうち、前記他の部分の色に対してコントラストの高い色で前記特定形状を表現する請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記費用の見積りと共に、前記部品に含まれる前記特定形状による前記費用の増加度合いを表示させる請求項1から
6の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、
複数の前記特定形状の各々による前記費用の増加度合いが異なる場合に、前記3次元画像に含まれる複数の前記特定形状を異なる態様で表示させ、
複数の前記特定形状の各々による前記費用の増加度合いが同じ場合に、前記3次元画像に含まれる複数の前記特定形状を同じ態様で表示させる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータに、
取得した見積り対象となる部品の3次元形状データから、前記部品の寸法の認識、及び前記部品の製造に要する費用の増加に影響を及ぼす特定形状の認識を行い、
認識した前記寸法及び前記特定形状を基に前記費用の見積りを行
い、
前記部品に含まれる前記特定形状が複数種類ある場合、複数の前記特定形状の各々による前記費用の増加度合いに応じて、表示部に表示される前記部品の3次元画像に含まれる複数の前記特定形状を異なる態様で表示させる、
処理を実行させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、価格及び納期を考慮しつつ、アイテムの仕様をユーザが容易に決定することができる自動見積り方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、部品の製造に要する費用の見積りを人の手で行う構成に比べて、見積り精度の向上及び見積り工数の短縮を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様の情報処理装置は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、取得した見積り対象となる部品の3次元形状データから、前記部品の寸法の認識、及び前記部品の製造に要する費用の増加に影響を及ぼす特定形状の認識を行い、認識した前記寸法及び前記特定形状を基に前記費用の見積りを行う。
【0006】
第2の態様の情報処理装置は、第1の態様の情報処理装置であって、前記プロセッサは、取得した前記部品の3次元形状データから判断できない見積り条件を加味して前記費用の見積りを行う。
【0007】
第3の態様の情報処理装置は、第1又は第2の態様の情報処理装置であって、前記プロセッサは、認識した前記寸法及び前記特定形状を基に前記部品の製造条件を判断し、判断した前記製造条件を加味して前記費用の見積りを行う。
【0008】
第4の態様の情報処理装置は、第1から第3の何れかの態様の情報処理装置であって、前記プロセッサは、前記費用の見積りと共に、前記部品に含まれる前記特定形状が特定可能な態様で前記部品の3次元画像を表示させる。
【0009】
第5の態様の情報処理装置は、第4の態様の情報処理装置であって、前記プロセッサは、前記3次元画像として、前記部品に含まれる前記特定形状以外の他の部分の態様を統一して表示させる。
【0010】
第6の態様の情報処理装置は、第5の態様の情報処理装置であって、前記プロセッサは、前記3次元画像を複数色により表現し、前記3次元画像のうち、前記他の部分の色に対してコントラストの高い色で前記特定形状を表現する。
【0011】
第7の態様の情報処理装置は、第4から第6の何れかの態様の情報処理装置であって、前記プロセッサは、前記部品に含まれる前記特定形状が複数種類ある場合には、種類毎に前記特定形状が特定可能な態様で前記3次元画像を表示させる。
【0012】
第8の態様の情報処理装置は、第1から第7の何れかの態様の情報処理装置であって、前記プロセッサは、前記費用の見積りと共に、前記部品に含まれる前記特定形状による前記費用の増加度合いを表示させる。
【0013】
第9の態様の情報処理プログラムは、コンピュータに、取得した見積り対象となる部品の3次元形状データから、前記部品の寸法の認識、及び前記部品の製造に要する費用の増加に影響を及ぼす特定形状の認識を行い、認識した前記寸法及び前記特定形状を基に前記費用の見積りを行う、処理を実行させる。
【発明の効果】
【0014】
第1の態様によれば、部品の製造に要する費用の見積りを人の手で行う構成に比べて、見積り精度の向上及び見積り工数の短縮を図れる。
【0015】
第2の態様によれば、部品の3次元形状データから判断できる条件のみを考慮して見積りを行う構成に比べて、見積り精度及び品質の向上を図れる。
【0016】
第3の態様によれば、部品の製造条件を判断せずに見積りを行う構成に比べて、見積り工数の短縮を図れる。
【0017】
第4の態様によれば、部品の3次元画像の全体の態様を統一して表示させる構成に比べて、特定形状の特定が容易となる。
【0018】
第5の態様によれば、部品に含まれる特定形状以外の他の部分を種々の態様で表示させる構成に比べて、特定形状の特定が容易となる。
【0019】
第6の態様によれば、3次元画像のうち、部品に含まれる特定形状以外の他の部分の色に対してコントラストの低い色で特定形状を表現する構成に比べて、特定形状の特定が容易となる。
【0020】
第7の態様によれば、複数種類の特定形状の態様を統一して表示させる構成に比べて、種類毎の特定形状の特定が容易となる。
【0021】
第8の態様によれば、費用の見積りのみを表示させる構成に比べて、費用の増加原因の把握が容易となる。
【0022】
第9の態様によれば、部品の製造に要する費用の見積りを人の手で行う構成に比べて、見積り精度の向上及び見積り工数の短縮を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図2】情報処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】ユーザ端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図4】見積り処理の流れを示したフローチャートである。
【
図5】対象部品の画像データの指定及び見積り条件の入力を行う操作画面の表示例である。
【
図6】対象部品の見積り結果の表示画面の表示例である。
【
図7】特定形状の形状パターンを決定する処理の流れを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1の実施形態)
以下、本実施の形態に係る見積りシステムについて説明する。
【0025】
図1は、本実施の形態に係る見積りシステムの概略構成を示す図である。
図1に示すように、見積りシステムは、情報処理装置10と、ユーザ端末40とを含む。情報処理装置10及びユーザ端末40は、ネットワークNを介して接続されている。このネットワークNには、例えば、インターネット、LAN(=Local Area Network)、WAN(=Wide Area Network)等が適用される。
【0026】
情報処理装置10は、見積り対象となる部品(以下、「対象部品」とする)の製造に要する費用(以下、「部品製造費」とする)の見積りを行い、見積り結果をユーザ端末40に送信する。情報処理装置10の詳細については、後述する。また、第1の実施形態における部品製造費には、対象部品1つあたりの販売費用(以下、「部品費」とする)及び対象部品の製造に用いる金型の費用(以下、「金型費」とする)が含まれる。
【0027】
ユーザ端末40は、対象部品の画像データを情報処理装置10に送信する。また、ユーザ端末40は、情報処理装置10から送信された見積り結果を表示する。ユーザ端末40の詳細については、後述する。
【0028】
図2は、情報処理装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。情報処理装置10には、一例として、サーバコンピュータ、又はパーソナルコンピュータ(=PC:Personal Computer)等の汎用的なコンピュータ装置が適用される。
【0029】
図2に示すように、情報処理装置10は、CPU20(=Central Processing Unit)、ROM22(=Read Only Memory)、RAM24(=Random Access Memory)、記憶部26、入力部28、表示部30、及び通信部32を備えている。各構成は、バス34を介して相互に通信可能に接続されている。
【0030】
CPU20は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU20は、ROM22又は記憶部26からプログラムを読み出し、RAM24を作業領域としてプログラムを実行する。CPU20は、ROM22又は記憶部26に記録されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御及び各種の演算処理を行う。第1の実施形態では、ROM22又は記憶部26には、対象部品の部品製造費の見積りを行うための情報処理プログラムが格納されている。なお、情報処理プログラムは、情報処理装置10に予めインストールされていてもよいし、不揮発性の記憶媒体に記憶したり、又は、ネットワークNを介して配布したりして、情報処理装置10に適宜インストールしてもよい。不揮発性の記憶媒体の例としては、CD-ROM、光磁気ディスク、HDD(=Hard Disk Drive)、DVD-ROM、フラッシュメモリ、メモリカード等が想定される。
【0031】
ROM22は、各種プログラム及び各種データを格納する。RAM24は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。記憶部26は、HDD、SSD(=Solid State Drive)又はフラッシュメモリ等の記憶装置により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データを格納する。
【0032】
入力部28は、マウス等のポインティングデバイス、及びキーボードを含み、各種の入力を行うために使用される。
【0033】
表示部30は、例えば、液晶ディスプレイであり、各種の情報を表示する。表示部30は、タッチパネル方式を採用して、入力部28として機能してもよい。
【0034】
通信部32は、ユーザ端末40等の他の機器と通信するためのインタフェースである。当該通信には、たとえば、イーサネット(登録商標)若しくはFDDI等の有線通信の規格、又は、4G、5G、若しくはWi-Fi(登録商標)等の無線通信の規格が用いられる。
【0035】
上記の情報処理プログラムを実行する際に、情報処理装置10は、上記のハードウェア資源を用いて、当該情報処理プログラムに基づく処理を実行する。
【0036】
図3は、ユーザ端末40のハードウェア構成を示すブロック図である。ユーザ端末40には、一例として、サーバコンピュータ、又はパーソナルコンピュータ等の汎用的なコンピュータ装置が適用される。
【0037】
図3に示すように、ユーザ端末40は、CPU50、ROM52、RAM54、記憶部56、入力部58、表示部60、及び通信部62を備えている。各構成は、バス64を介して相互に通信可能に接続されている。
【0038】
CPU50は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU50は、ROM52又は記憶部56からプログラムを読み出し、RAM54を作業領域としてプログラムを実行する。CPU50は、ROM52又は記憶部56に記録されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御及び各種の演算処理を行う。
【0039】
ROM52は、各種プログラム及び各種データを格納する。RAM54は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。記憶部56は、HDD、SSD又はフラッシュメモリ等の記憶装置により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データを格納する。
【0040】
入力部58は、マウス等のポインティングデバイス、及びキーボードを含み、各種の入力を行うために使用される。
【0041】
表示部60は、例えば、液晶ディスプレイであり、各種の情報を表示する。表示部60は、タッチパネル方式を採用して、入力部58として機能してもよい。
【0042】
通信部62は、情報処理装置10等の他の機器と通信するためのインタフェースである。当該通信には、たとえば、イーサネット(登録商標)若しくはFDDI等の有線通信の規格、又は、4G、5G、若しくはWi-Fi(登録商標)等の無線通信の規格が用いられる。
【0043】
図4は、情報処理装置10による見積り処理の流れを示すフローチャートである。CPU20がROM22又は記憶部26から情報処理プログラムを読み出して、RAM24に展開して実行することにより、見積り処理が行われる。第1の実施形態では、見積り処理により部品製造費の見積りが行われる対象部品を、金型を使用して製造されるプラスチック部品としている。
【0044】
図4に示すステップS10において、CPU20は、対象部品の画像データ及び見積り条件を取得する。そして、ステップS11に進む。
【0045】
画像データは、対象部品の3次元形状を認識可能なデータであり、一例として、対象部品の寸法データを含む3次元CAD(=Computer aided design)データである。画像データは「3次元形状データ」の一例である。
【0046】
見積り条件は、対象部品の画像データから判断できない条件であり、一例として、対象部品の「材料」、「難燃グレード」、及び「生産地域」等が含まれる。
【0047】
例えば、CPU20は、ユーザ端末40側で、
図5に示す操作画面に従って操作が行われることで対象部品の画像データ及び見積り条件を取得する。
【0048】
図5は、対象部品の画像データの指定及び見積り条件の入力を行う操作画面の表示例である。
【0049】
図5に示すように、ユーザ端末40の表示部60に表示された操作画面には、画像データ指定部70、見積り条件入力部72、及び完了ボタン74が設けられている。
【0050】
画像データ指定部70は、情報処理装置10に送信する画像データの指定を受付ける部分である。例えば、ユーザが画像データ指定部70に対象部品の画像データが格納されたファイルをドラッグ&ドロップすることで、情報処理装置10に送信する画像データが指定される。
【0051】
見積り条件入力部72は、見積り条件の入力を受付ける部分である。例えば、ユーザが見積り条件入力部72の各項目(例:材料)の入力欄を入力部58としてのマウスで左クリックすると、プルダウンメニューが表示され、プルダウンメニューに表示された任意の条件を左クリックで選択することにより、各項目に対応する見積り条件が入力される。
【0052】
完了ボタン74は、情報処理装置10に送信する画像データの指定、及び見積り条件の入力が完了した後にクリック可能となる。そして、完了ボタン74が入力部58としてのマウスで左クリックされると、操作画面で指定又は入力された対象部品の画像データ及び見積り条件が情報処理装置10に送信される。
【0053】
図4に戻って、ステップS11において、CPU20は、取得した画像データから、対象部品の寸法及び形状の認識を行う。そして、ステップS12に進む。
【0054】
ステップS11において、CPU20は、画像データに含まれる寸法データから、対象部品の幅方向、奥行き方向、及び高さ方向等の各方向における寸法を認識する。また、CPU20は、取得した画像データに対して公知の画像認識処理を実行することで対象部品の形状を認識する。さらに、CPU20は、対象部品の形状を認識する際に、当該形状内に対象部品の部品製造費の増加に影響を及ぼす特定形状が含まれるか否かを認識する。
【0055】
例えば、CPU20は、以下のようにして対象部品の形状内に特定形状が含まれるか否かを認識する。
【0056】
第1の実施形態における特定形状には、「スライド」、「ルーバー」、「押切形状」、「リブ」、「穴」、「曲面」、及び「斜面」が含まれる。そして、ROM22又は記憶部26には、上記の各特定形状に対応する概形パターンが格納されている。概形パターンとは、特定形状の一般的な形状パターンであり、例えば、リブの場合には、対象部品における形成位置や幅などといった、どういった形状をリブと判断するか又はしないかを決定するための定義が予め規定されている。
【0057】
まず、CPU20は、ユーザ端末40から画像データを受信すると、各特定形状に対応する概形パターンをROM22又は記憶部26から取得する。
【0058】
次に、CPU20は、公知の画像認識処理を実行することで形状を認識した対象部品の中に各特定形状に対応する概形パターンが含まれるか否かを検索する。そして、CPU20は、検索結果に基づき対象部品の形状内に特定形状が含まれるか否かを認識する。
【0059】
ステップS12において、CPU20は、ステップS11で認識した対象部品の寸法及び形状を基に対象部品の製造条件を判断する。そして、ステップS13に進む。
【0060】
例えば、CPU20は、以下のようにして対象部品の製造条件を判断する。
第1の実施形態における製造条件には、「金型寸法」、「金型種類」、「生産設備」、及び「個取り」が含まれる。そして、ROM22又は記憶部26には、部品の寸法及び形状に応じて選択し得る製造条件が格納されている。なお、「個取り」とは、一度の成形で製造できる対象部品の数を表す。例えば6個取りの場合、一度の成形で6個の対象部品が製造されることを意味する。
【0061】
CPU20は、ステップS11で認識した対象部品の寸法及び形状を基に、その寸法及び形状で選択し得る製造条件をROM22又は記憶部26から検索する。その結果、CPU20は、対象部品の寸法及び形状に応じた製造条件を、例えば、「金型寸法:A」、「金型種類:B」、「生産設備:C施設」、及び「個取り:1個」と判断する。第1の実施形態では、一例として、製造条件のうち、ステップS11で認識した対象部品の寸法及び形状を基に「金型寸法」、「金型種類」、及び「個取り」が判断され、先に判断された事項を基に「生産設備」が判断される。つまり、第1の実施形態では、製造条件のうち、「金型寸法」が判断された後に、その「金型寸法」の金型が使用できる「生産設備」が判断される。
【0062】
ステップS13において、CPU20は、対象部品の部品製造費を算出する。そして、ステップS14に進む。
【0063】
例えば、CPU20は、以下のようにして対象部品の部品製造費を算出する。
ここで、ROM22又は記憶部26には、対象部品の部品製造費、具体的には、部品費及び金型費の各々を算出するための予め定めた計算式が格納されている。
【0064】
CPU20は、取得した対象部品の寸法、形状、見積り条件、及び製造条件の各々から、部品製造費を算出するための評価値を導出する。評価値は、上記の各々に応じて複数設けられており、例えば、CPU20は、取得した対象部品の寸法が第1の範囲内であれば「1」、第2の範囲内であれば「2」といったように、取得した対象部品の寸法を対応する評価値に置換する。CPU20は、全ての評価値を導出した後、ROM22又は記憶部26から予め定めた計算式を読み出す。そして、CPU20は、読み出した部品費に対応する計算式、及び金型費に対応する計算式にそれぞれ導出した評価値を代入することで、部品費及び金型費を含む部品製造費を算出する。
【0065】
ステップS14において、CPU20は、対象部品の部品製造費を含む見積り結果をユーザ端末40に送信する。そして、当該処理を終了する。
【0066】
図6は、対象部品の見積り結果の表示画面の表示例である。
図6に示すように、ユーザ端末40の表示部60に表示された表示画面には、費用表示部80、条件表示部82、特定形状表示部84、及び画像表示部86が設けられている。
【0067】
費用表示部80は、対象部品の部品費及び金型費を含む部品製造費を表示する部分である。
図6に示すように、費用表示部80には、対象部品の部品費及び金型費の各々に対応する金額が表示されている。
【0068】
条件表示部82は、対象部品の見積り条件を表示する部分である。例えば、
図6に示す条件表示部82には、「材料」、「難燃グレード」、及び「生産地域」に対応する見積り条件が表示されている。なお、
図6では図示を省略しているが、条件表示部82には、「材料」、「難燃グレード」、及び「生産地域」以外の見積り条件も表示可能である。
【0069】
特定形状表示部84は、「特定形状の種類」、「対象部品における特定形状の有無」、及び「評価値」を表示する部分である。
【0070】
特定形状表示部84のうち、「種類」と記載された列には、特定形状として定義された種々の形状が表示される。
図6では、「スライド」、「ルーバー」、「押切形状」、「リブ」、「穴」、「曲面」、及び「斜面」が特定形状の種類として表示されているが、これに限らず、他の種類の特定形状も表示可能である。
【0071】
特定形状表示部84のうち、「有無」と記載された列には、対象部品における特定形状の有無が表示される。
図6では、「穴」及び「曲面」が「有」、それ以外が「無」と表示されている。
【0072】
特定形状表示部84のうち、「評価値」と記載された列には、対象部品における特定形状の評価値が表示される。第1の実施形態では、評価値を表示することにより特定形状による部品製造費の増加度合いを示している。第1の実施形態では、評価値の数値が大きくなるほど、部品製造費の増加度合いが高くなること、すなわち、部品製造費の金額が高くなることを示している。
図6では、「穴」が「2」、「曲面」が「1」と表示され、それ以外が「-」と表示されている。なお、「-」は、「有無」と記載された列の対応部分の表示が「無」である場合に表示され、評価値が「0」であることを示している。
【0073】
画像表示部86は、対象部品の3次元画像を表示する部分である。例えば、
図6に示す画像表示部86には、円柱の軸方向に貫通した貫通穴が形成された対象部品が表示されている。また、第1の実施形態では、画像表示部86に表示されている対象部品に対して入力部58としてのマウスで左クリックを行い、その状態を維持したままマウスの位置を移動させることで表示中の対象部品を回転させることができる。
【0074】
ここで、画像表示部86には、対象部品に含まれる特定形状が特定可能な態様で対象部品の3次元画像が表示される。また、対象部品に含まれる特定形状が複数種類ある場合、画像表示部86には、種類毎の特定形状が特定可能な態様で当該3次元画像が表示される。第1の実施形態では、対象部品の画像データに色を設定することで、対象部品に含まれる特定形状を特定可能にしている。
【0075】
図6に示す対象部品には、上記のように、特定形状として「穴」及び「曲面」が含まれているため、「穴」及び「曲面」の部分が特定可能に表現される。第1の実施形態では、「穴」及び「曲面」を同系色で表現しており、一例として、「穴」を「橙色」、「曲面」を「黄色」で表現している。なお、
図6では、「穴」及び「曲面」の部分に斜線を施すことで特定形状に色が設定されていることを表現している。また、
図6では、「穴」及び「曲面」の部分に施す斜線の種類をそれぞれ異ならせることで種類毎の特定形状を特定可能な態様で表現している。
【0076】
また、画像表示部86には、対象部品に含まれる特定形状以外の他の部分の態様を統一して対象部品の3次元画像が表示される。第1の実施形態では、当該他の部分に設定する色を統一している。なお、
図6では、「穴」及び「曲面」の特定形状とは異なり、当該他の部分に斜線を施さないことで、当該他の部分に設定する色が統一されていることを表現している。
【0077】
さらに、画像表示部86には、特定形状以外の他の部分の色に対してコントラストの高い色で特定形状が表現された対象部品の3次元画像が表示される。第1の実施形態では、コントラストの高い色として、当該他の部分の色と特定形状の色とが補色又は補色と類似する関係になる配色で表現している。「補色と類似する関係」とは、補色同士ではないが、補色にあたる色と同系色の関係にあることである。第1の実施形態では、一例として、当該他の部分の色を、特定形状である「曲面」の「黄色」に対する補色にあたる「紫色」で表現している。
【0078】
従来、部品の製造に要する費用の見積りは、部品の設計者自身が経験を駆使して手作業で行っていた。しかし、手作業での見積りは、個々人による見積り方法のばらつきが発生する結果、見積り結果にもばらつきが発生することで十分な見積り精度を確保することが困難であった。また、手作業での見積りは、個々人による見積り方法のばらつきの発生により想定している費用と見積り結果とが乖離することで、費用削減のために設計行為の手戻りが発生することもあった。そして、設計行為の手戻りが発生した場合に、再度の部品の費用の見積りが行われると、設計行為の手戻りが発生しない場合に比べて、全体の見積り工数が増加して部品の市場導入が遅れるおそれがある。
【0079】
これに対し、第1の実施形態では、上述したように情報処理装置10が対象部品の部品製造費の見積りを行っている。具体的には、第1の実施形態では、CPU20が、取得した対象部品の画像データから、対象部品の寸法及び特定形状の認識を行い、認識した寸法及び特定形状を基に部品製造費の見積りを行う。
【0080】
そのため、第1の実施形態では、個々人の経験を駆使して行われる手作業での見積りと異なり、見積り方法のばらつきが発生しない。これにより、第1の実施形態では、見積り結果のばらつきの発生が抑制され、安定した見積り精度が確保される。また、第1の実施形態では、見積り結果のばらつきの発生が抑制されることで、想定している費用と見積り結果とが乖離することも抑制され、設計行為の手戻りが発生する確率が低くなる。
【0081】
以上のように、第1の実施形態によれば、部品の製造に要する費用の見積りを人の手で行う構成に比べて、見積り精度の向上及び見積り工数の短縮を図れる。
【0082】
また、対象部品の画像データから判断できる条件として、例えば、対象部品の寸法と、特定形状を含む形状とだけを考慮して部品製造費の見積りを行うと、想定している費用と見積り結果とが乖離したり、対象部品の品質にばらつきが発生したりするおそれがある。これは、例えば、使用する材料の種類に応じて見積り結果が変動することや、生産地域に応じて対象部品の品質が変動することが想定されるためである。
【0083】
これに対し、第1の実施形態では、CPU20が、取得した対象部品の画像データから判断できない見積り条件を加味して部品製造費の見積りを行う。そのため、第1の実施形態によれば、対象部品の画像データから判断できる条件のみを考慮して見積りを行う構成に比べて、見積り精度及び品質の向上を図れる。
【0084】
また、対象部品の製造条件を判断せずに部品製造費の見積りを行うと、設計行為の手戻りが発生し、結果として全体の見積り工数が増加するおそれがある。これは、例えば、使用する金型寸法に応じて選択し得る生産設備が定まる場合に、当該製造条件を判断せずに部品製造費の見積りを行うと、決定した金型寸法の金型が使用できる生産設備がなく、これによる設計行為の手戻りの発生が想定されるためである。
【0085】
これに対し、第1の実施形態では、CPU20が、認識した対象部品の寸法及び特定形状を基に対象部品の製造条件を判断し、判断した製造条件を加味して部品製造費の見積りを行う。そのため、第1の実施形態によれば、対象部品の製造条件を判断せずに見積りを行う構成に比べて、見積り工数の短縮を図れる。
【0086】
また、第1の実施形態では、CPU20が、部品製造費の見積りと共に、対象部品に含まれる特定形状が特定可能な態様で対象部品の3次元画像を表示させる。第1の実施形態では、CPU20により対象部品の画像データに色が設定されることで、対象部品に含まれる特定形状を特定可能にしている。そして、CPU20は、部品製造費の見積りと共に、色が設定された画像データを見積り結果に含めてユーザ端末40に送信する。その結果、ユーザ端末40の表示部60に表示された見積り結果では、対象部品に含まれる特定形状がCPU20により設定された色により特定可能となっている(
図6参照)。
【0087】
そのため、第1の実施形態によれば、対象部品の3次元画像の全体の態様を統一して表示させる構成に比べて、特定形状の特定が容易となる。
【0088】
また、第1の実施形態では、CPU20が、対象部品に含まれる特定形状以外の他の部分の態様を統一して対象部品の3次元画像を表示させる。第1の実施形態では、CPU20により当該他の部分の画像データに統一した色が設定されることで、当該他の部分の態様を統一している。そして、CPU20は、当該他の部分に統一した色が設定された画像データを見積り結果に含めてユーザ端末40に送信する。その結果、ユーザ端末40の表示部60に表示された見積り結果では、当該他の部分の態様が統一された対象部品の3次元画像が表示される(
図6参照)。これにより、見積り結果として表示された当該3次元画像では、当該他の部分の態様と異なる態様の部分が特定形状であることを特定できる。
【0089】
そのため、第1の実施形態によれば、対象部品に含まれる特定形状以外の他の部分を種々の態様で表示させる構成に比べて、特定形状の特定が容易となる。
【0090】
また、第1の実施形態では、CPU20が、対象部品の3次元画像を複数色により表現し、当該3次元画像のうち、対象部品に含まれる特定形状以外の他の部分の色に対してコントラストの高い色で特定形状を表現する。第1の実施形態では、CPU20により当該他の部分の色と特定形状の色とが補色又は補色と類似する関係になる配色に設定されることで、コントラストの高い色を表現している。
【0091】
そのため、第1の実施形態によれば、対象部品の3次元画像のうち、対象部品に含まれる特定形状以外の他の部分の色に対してコントラストの低い色で特定形状を表現する構成に比べて、特定形状の特定が容易となる。
【0092】
また、第1の実施形態では、対象部品に含まれる特定形状が複数種類ある場合には、CPU20が、種類毎に特定形状が特定可能な態様で対象部品の3次元画像を表示させる。第1の実施形態では、対象部品に含まれる特定形状が複数種類ある場合、CPU20により対象部品の画像データにおいて複数種類の特定形状に同系色が設定されることで、複数種類の特定形状を特定可能にしている。そして、CPU20は、複数種類の特定形状に同系色が設定された画像データを見積り結果に含めてユーザ端末40に送信する。その結果、ユーザ端末40の表示部60に表示された見積り結果では、対象部品に含まれる複数種類の特定形状がCPU20に設定された色により特定可能となっている(
図6参照)。
【0093】
そのため、第1の実施形態によれば、複数種類の特定形状の態様を統一して表示させる構成に比べて、種類毎の特定形状の特定が容易となる。
【0094】
また、第1の実施形態では、CPU20が、部品製造費の見積りと共に、対象部品に含まれる特定形状による部品製造費の増加度合いを表示させる。第1の実施形態では、評価値を表示することにより特定形状による部品製造費の増加度合いを示している。この評価値は、数値が大きくなるほど、部品製造費の増加度合いが高くなること、すなわち、部品製造費の金額が高くなることを示している。そして、CPU20は、各特定形状に対応する評価値を見積り結果に含めてユーザ端末40に送信する。その結果、ユーザ端末40の表示部60に表示された見積り結果では、部品製造費の見積りと共に、各特定形状に対応する評価値が表示される(
図6参照)。
【0095】
そのため、第1の実施形態によれば、部品製造費の見積りのみを表示させる構成に比べて、部品製造費の増加原因の把握が容易となる。
【0096】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、対象部品が金型を使用して製造される点で第1の実施形態と共通するが、プレス部品である点で第1の実施形態と異なる。
【0097】
以下、第2の実施形態について他の実施形態との重複部分を省略又は簡略しつつ説明する。
【0098】
第2の実施形態における特定形状は、第1の実施形態と共通する形状及び異なる形状が含まれており、具体的には、「展開外形」、「穴」、「ルーバー」、「絞り形状」、「曲げ形状」、「エンボス」、及び「バーリング」が含まれる。
【0099】
第2の実施形態における製造条件は、第1の実施形態と共通する条件及び異なる条件が含まれており、具体的には、「工程」、「金型寸法」、「工法」、及び「生産設備」が含まれる。
【0100】
第2の実施形態では、
図4に示すステップS11において、CPU20が、画像データに対して公知の画像認識処理を実行して対象部品の形状を認識する際に、特定形状毎に予め定めた条件の成否を判断し、判断した条件の成否を基に、当該特定形状の形状パターンを決定する。この形状パターンは、少なくとも2種類以上設けられている。なお、特定形状によっては、予め定めた条件が複数設けられており、この場合は、複数の条件の成否の組合せを基に当該特定形状の形状パターンが決定されることもある。
【0101】
一例として、
図7に示すフローチャートを用いて、上記の処理の流れを各特定形状のうち「穴」を例に説明する。第2の実施形態では、「穴」に対応する予め定めた条件として、第1条件、第2条件、及び第3条件の3種類が設けられている。
【0102】
ステップS20において、CPU20は、第1条件として対象部品の画像データ中に「穴」に対応する概形パターンが含まれるか否かを判断し、「穴」に対応する概形パターンが含まれると判断した場合(ステップS20:YES)はステップS21に進む。一方、CPU20が「穴」に対応する概形パターンが含まれないと判断した場合(ステップS20:NO)はステップS23に進む。
【0103】
ステップS21において、CPU20は、第2条件として対象部品の画像データ中に含まれる「穴の数」が予め定めた閾値以上であるか否かを判断し、「穴の数」が予め定めた閾値以上であると判断した場合(ステップS21:YES)はステップS22に進む。一方、CPU20が「穴の数」が予め定めた閾値未満であると判断した場合(ステップS21:NO)はステップS24に進む。
【0104】
ステップS22において、CPU20は、第3条件として対象部品の画像データ中に含まれる「穴の寸法」が予め定めた閾値以上であるか否かを判断し、「穴の寸法」が予め定めた閾値以上であると判断した場合(ステップS22:YES)はステップS25に進む。一方、CPU20が「穴の寸法」が予め定めた閾値未満であると判断した場合(ステップS22:NO)はステップS24に進む。
【0105】
ステップS23において、CPU20は、対象部品における「穴」の形状パターンを「パターンA」に決定する。そして、当該処理を終了する。
【0106】
ステップS24において、CPU20は、対象部品における「穴」の形状パターンを「パターンB」に決定する。そして、当該処理を終了する。
【0107】
ステップS25において、CPU20は、対象部品における「穴」の形状パターンを「パターンC」に決定する。そして、当該処理を終了する。
【0108】
また、第2の実施形態では、ROM22又は記憶部26に、ステップS11で決定し得る各特定形状の形状パターンの組合せに応じた「工程」が格納されている。この「工程」には、工程数と、各工程で行う作業と、が含まれる。
【0109】
そして、CPU20は、
図4に示すステップS12において、ステップS11で決定した各特定形状の形状パターンの組合せを基に、その組合せに応じた「工程」をROM22又は記憶部26から検索する。CPU20は、例えば、ステップS11で決定した「展開外形」、「穴」、「ルーバー」、「絞り形状」、「曲げ形状」、「エンボス」、及び「バーリング」の形状パターンが全て「パターンA」である場合、対象部品の製造条件のうち「工程」を、工程数が「1」の「工程A」であると判断する。続いて、CPU20は、上記で判断した「工程」と対象部品の寸法及び形状とを基に、対象部品の製造条件のうち「金型寸法」及び「工法」を判断する。その後、CPU20は、対象部品の製造条件のうち、当該「金型寸法」の金型が使用できる「生産設備」を判断する。
【0110】
(第3の実施形態)
第3の実施形態は、対象部品が金型を使用しない機械加工、具体的には、切削加工で製造される点で他の実施形態と異なる。そのため、第3の実施形態における部品製造費には金型費を含まず、部品費のみで構成される。
【0111】
以下、第3の実施形態について他の実施形態との重複部分を省略又は簡略しつつ説明する。
【0112】
第3の実施形態における特定形状は、他の実施形態と共通する形状及び異なる形状が含まれており、具体的には、「穴」、「テーパー」、所謂「Dカット形状」、及び「段落ち」が含まれる。
【0113】
第3の実施形態における製造条件は、他の実施形態と異なり、具体的には、「加工方法」、「加工径」、「加工長」、及び「加工工程の順序」が含まれる。
【0114】
第3の実施形態では、
図4に示すステップS11において、CPU20が、画像データに対して公知の画像認識処理を実行して対象部品の形状を認識する際に、加工方向を判断し、その加工方向の上流側から下流側を見た視点で、対象部品の形状内に特定形状が含まれるか否かを判断する。
【0115】
(その他)
上記の実施形態では、見積りシステムを情報処理装置10及びユーザ端末40の2台のコンピュータ装置で構成したが、これに限らず、1台又は3台以上のコンピュータ装置で見積りシステムを構成してもよい。
【0116】
上記の実施形態では、見積り条件の一例として、「材料」、「難燃グレード」、及び「生産地域」を例示したが、対象部品の画像データから判断できない条件に該当すれば、上記のものに限定されない。
【0117】
上記の実施形態では、実施形態毎の特定形状を例示したが、各実施形態の特定形状を他の実施形態の特定形状に適宜含めてもよい。また、特定形状の一例は、対象部品の部品製造費の増加に影響を及ぼす形状に該当すれば、上記の実施形態で例示したものに限定されない。
【0118】
上記の実施形態では、実施形態毎の製造条件を例示したが、各実施形態の製造条件を他の実施形態の製造条件に適宜含めてもよい。また、製造条件の一例は、上記の実施形態で例示したものに限定されない。
【0119】
上記の実施形態では、対象部品の画像データに色を設定することで、対象部品に含まれる特定形状を特定可能にしていたが、特定可能な態様の一例はこれに限定されない。例えば、対象部品の画像データに模様を設定したり、特定形状を指し示す矢印を表示したりすることで、対象部品の3次元画像において特定形状を特定可能な態様で表現してもよい。
【0120】
上記の実施形態では、
図6に示す表示画面の画像表示部86において、特定形状を示す部分を常時色付けして表示していた。しかし、これに限らず、特定形状が指定された場合に画像表示部86の当該特定形状を示す部分が色付けされてもよい。例えば、入力部58としてのマウスで特定形状表示部84に表示されている特定形状(例:「穴」)を左クリックした場合に、画像表示部86の当該特定形状(例:「穴」)を示す部分が色付けされてもよい。
【0121】
上記の実施形態では、対象部品に含まれる特定形状が複数種類ある場合、各々の特定形状を同系色で表現していたが、これに限定されない。例えば、各々の特定形状を補色で表現するなど、色相の組合せは特に限定されない。
【0122】
上記の実施形態では、特定形状以外の他の部分の色と特定形状の色とを、補色又は補色と類似する関係になる配色に設定することで、コントラストの高い色を表現していた。しかし、これに限らず、特定形状以外の他の部分の色と特定形状の色との明度又は彩度を調整することで、コントラストの高さを表現してもよい。
【0123】
上記の実施形態では、対象部品の画像データに設定する色として、「橙色」、「黄色」、及び「紫色」の組合せを例示したが、これらの色相の組合せは特に限定されない。
【0124】
ここで、
図6に示す表示画面において、対象部品に含まれる特定形状が複数種類ある場合、特定形状による部品製造費の増加度合い、すなわち、評価値に応じて、対象部品の3次元画像に含まれる複数の特定形状を異なる態様で表示してもよい。つまり、
図6では、「穴」及び「曲面」の評価値が異なるためにそれぞれの色を異ならせているが、評価値が同じ特定形状が複数ある場合には、当該複数の特定形状を同色で表示してもよい。
【0125】
また、
図6に示す表示画面において、対象部品の製造条件を追加で表示してもよい。さらに、画像表示部86において特定形状を示している色が、特定形状表示部84の当該特定形状に対応する部分に設定されてもよい。例えば、
図6に示す例では、特定形状表示部84の「穴」及び「曲面」を示す行に、画像表示部86において前記の特定形状を示している色と同じ色を設定してもよい。
【0126】
上記の各実施形態において、情報処理装置10が備えるCPU20は、プロセッサの一例である。そして、このプロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:=Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:=Graphics Processing Unit、ASIC:=Application Specific Integrated Circuit、FPGA:=Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
【0127】
また、上記のプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。さらに、上記のプロセッサの各動作の順序は上記の実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0128】
10 情報処理装置
20 CPU(プロセッサの一例)