IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電産トーソク株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-電動アクチュエータ 図1
  • 特許-電動アクチュエータ 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】電動アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 11/33 20160101AFI20240814BHJP
   H02K 7/116 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
H02K11/33
H02K7/116
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020160764
(22)【出願日】2020-09-25
(65)【公開番号】P2022053884
(43)【公開日】2022-04-06
【審査請求日】2023-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】ニデックパワートレインシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 慶
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】加藤 瞬
(72)【発明者】
【氏名】戸川 隆
【審査官】津久井 道夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-136590(JP,A)
【文献】特開2009-102013(JP,A)
【文献】特開2019-122081(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 11/33
H02K 7/116
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の中心軸を中心として回転する駆動シャフトを有するモータと、
前記第1の中心軸が延びる方向に平行な方向である軸方向を板厚方向とする回路基板と、
前記回路基板に実装される複数の電子部品と、を備え、
複数の前記電子部品には、
前記回路基板において、前記モータに面する向きとは逆の向きである板厚方向一方側を向く第1実装面に実装される第1素子と、
前記回路基板において、前記モータに面する向きである板厚方向他方側を向く第2実装面に実装され前記第1素子より前記板厚方向に沿う寸法が大きい第2素子と、を含み、
前記軸方向に対して垂直な方向から見て、前記第2素子の少なくとも一部が、前記モータの駆動シャフトと重なる、
電動アクチュエータ。
【請求項2】
少なくとも2つの前記第2素子は、前記第1の中心軸の周方向において異なる位置に配置される
請求項1に記載の電動アクチュエータ。
【請求項3】
前記第1の中心軸と平行に延びる第2の中心軸周りに回転する従動シャフトと、
前記駆動シャフトから前記従動シャフトに動力を伝達する動力伝達部と、を備え、
少なくとも2つの前記第2素子は、前記第2の中心軸の周方向において異なる位置に配置される
請求項1又は2に記載の電動アクチュエータ。
【請求項4】
前記従動シャフトを回転可能に支持する軸受を備え、
前記第2素子の少なくとも一部は、前記軸方向から見て、前記モータの外形、前記軸受の外形、およびこれらの共通接線で囲まれる領域の内側に配置される、
請求項3に記載の電動アクチュエータ。
【請求項5】
前記従動シャフトに固定され前記モータ側からの動力が伝えられる従動ギアを備え、
前記軸方向から見て、前記第2素子の少なくとも一部は、前記従動ギアのピッチ円の内側に配置される、
請求項3又は4に記載の電動アクチュエータ。
【請求項6】
前記従動ギアは、扇型歯車であり、
前記軸方向から見て、前記第2素子の少なくとも一部は、前記従動ギアの駆動軌跡と重なる、
請求項5に記載の電動アクチュエータ。
【請求項7】
前記第2素子は、コンデンサ又はチョークコイルである、
請求項1~6の何れか一項に記載の電動アクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
ハウジングの内部に電子部品が収容された電動アクチュエータが知られている。特許文献1には、モータと、一方の面に電子部品が実装される回路基板と、これらが収容されるケース体と、を有するアクチュエータが開示されている。このアクチュエータでは、電子部品をモータの径方向外側に配置することで薄型化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-145168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
回路基板には、大小様々な電子部品が多数実装される。このため、全ての電子部品をモータの径方向外側に配置する場合、アクチュエータの径方向寸法が大型化する虞がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、軸方向および径方向寸法を小型化できる電動アクチュエータを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電動アクチュエータの一つの態様は、第1の中心軸を中心として回転する駆動シャフトを有するモータと、前記第1の中心軸が延びる方向に平行な方向である軸方向を板厚方向とする回路基板と、前記回路基板に実装される複数の電子部品と、を備える。複数の前記電子部品には、前記回路基板において、前記モータに面する向きとは逆の向きである板厚方向一方側を向く第1実装面に実装される第1素子と、前記回路基板において、前記モータに面する向きである板厚方向他方側を向く第2実装面に実装され前記第1素子より前記板厚方向に沿う寸法が大きい第2素子と、を含む。前記軸方向に対して垂直な方向から見て、前記第2素子の軸方向位置の少なくとも一部が、前記モータの駆動シャフトの軸方向位置と重なる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、軸方向および径方向寸法を小型化できる電動アクチュエータを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態の電動アクチュエータの断面図である。
図2図2は、一実施形態の電動アクチュエータの下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を基に本発明の実施形態について説明する。なお、各図には、適宜XYZ座標系を示す。以下の説明において、Z軸方向は、正の側を上側とし、負の側を下側とする上下方向である。各図に適宜示す仮想軸である中心軸(第1の中心軸)J1の軸方向は、Z軸方向、すなわち上下方向と平行である。以下の説明においては、中心軸J1の軸方向と平行な方向を単に「軸方向」と呼ぶ。また、特に断りのない限り、中心軸J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸J1を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。
【0010】
本実施形態において、平面視とは、軸方向に沿って上側または下側から観察することを意味する。なお、上下方向、上側、および下側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0011】
図1は、本実施形態の電動アクチュエータ10の断面図である。
電動アクチュエータ10は、車両に取り付けられる。より詳細には、電動アクチュエータ10は、車両の運転者のシフト操作に基づいて駆動されるシフト・バイ・ワイヤ方式のアクチュエータ装置に搭載される。
【0012】
電動アクチュエータ10は、モータ40と、減速機構(動力伝達部)50と、出力部60と、ハウジング11と、バスバーユニット90と、回路基板70と、複数の電子部品73と、を備える。
【0013】
図1に示すように、モータ40は、モータシャフト(駆動シャフト)41と、第1ベアリング44aと、第2ベアリング44bと、第3ベアリング44cと、第4ベアリング44dと、ロータ本体42と、ステータ43と、モータ用センサマグネット45と、を有する。モータシャフト41は、軸方向に延びる。
【0014】
第1ベアリング44aと第2ベアリング44bと第3ベアリング44cと第4ベアリング44dとは、モータシャフト41を中心軸J1回りに回転可能に支持する。本実施形態において、第1ベアリング44a、第2ベアリング44b、第3ベアリング44c、および第4ベアリング44dは、例えば、ボールベアリングである。
【0015】
モータシャフト41のうち第3ベアリング44cに支持される部分である偏心軸部41aは、中心軸J1と平行で中心軸J1に対して偏心した偏心軸J2を中心として延びる円柱状である。モータシャフト41のうち偏心軸部41a以外の部分は、中心軸J1を中心として延びる円柱状である。
【0016】
ロータ本体42は、モータシャフト41に固定される。ロータ本体42は、モータシャフト41に固定されるロータコアと、ロータコアの外周部に固定されるロータマグネットとを含む。
【0017】
ステータ43は、ロータ本体42の径方向外側に隙間を介して配置される。ステータ43は、ロータ本体42の径方向外側を囲む環状である。ステータ43は、例えば、ステータコアと、複数のインシュレータと、複数のコイルとを含む。各々のコイルは、インシュレータを介してステータコアのティースに装着される。
【0018】
モータシャフト41の上端面には、モータ用センサマグネット45を保持する保持凹部46が設けられる。保持凹部46は、下側に向かって凹み上側に開口する。保持凹部46は、平面視において、中心軸J1を中心とする円形である。保持凹部46が設けられるモータシャフト41の上端面は、回路基板70よりも下側に配置される。
モータ用センサマグネット45は、中心軸J1を中心とする円柱状である。モータ用センサマグネット45は、保持凹部46に嵌め込まれる。これにより、モータ用センサマグネット45は、モータシャフト41の上端部に固定される。モータ用センサマグネット45は、回路基板70の下側の面(後述する第2の実装面70b)と隙間を介して対向する。
【0019】
減速機構50は、モータ40に連結される。本実施形態において減速機構50は、モータシャフト41の下側に連結される。減速機構50は、ロータ本体42およびステータ43の下側に配置される。減速機構50は、外歯ギア51と、内歯ギア52と、出力ギア53と、を有する。なお、減速機構50は、モータシャフト41の上側に連結されてもよい。
【0020】
外歯ギア51は、偏心軸部41aの偏心軸J2を中心として、偏心軸J2の径方向に広がる円環板状である。外歯ギア51の径方向外側面には、歯車部が設けられる。外歯ギア51は、モータシャフト41に第3ベアリング44cを介して接続される。これにより、減速機構50は、モータシャフト41に連結される。外歯ギア51は、第3ベアリング44cの外輪に径方向外側から嵌め合わされる。これにより、第3ベアリング44cはモータシャフト41と外歯ギア51とを、偏心軸J2回りに相対的に回転可能に連結する。
【0021】
外歯ギア51は、外歯ギア51を軸方向に貫通する複数の孔51aを有する。図示は省略するが、複数の孔51aは、偏心軸J2を中心とする周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。孔51aの軸方向に沿って見た形状は、円形状である。
【0022】
内歯ギア52は、外歯ギア51の径方向外側を囲む。内歯ギア52の歯車部は、外歯ギア51の歯車部と噛み合う。内歯ギア52は、中心軸J1を中心とする円環状である。内歯ギア52の外周部は、例えば正十二角形などの多角形状とされ、後述するキャップ14に回転止めされた状態で固定される。
【0023】
出力ギア53は、出力ギア本体53aと、複数のピン53bと、を有する。出力ギア本体53aは、外歯ギア51および内歯ギア52の上側に配置される。出力ギア本体53aは、中心軸J1を中心として径方向に広がる円環板状である。出力ギア本体53aの径方向外側面には、歯車部が設けられる。出力ギア本体53aは、モータシャフト41に第4ベアリング44dを介して接続される。
【0024】
複数のピン53bは、出力ギア本体53aの下面から下側に突出する円筒状である。図示は省略するが、複数のピン53bは、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。ピン53bの外径は、孔51aの内径よりも小さい。複数のピン53bは、複数の孔51aのそれぞれに上側から通される。ピン53bの外周面は、孔51aの内周面と内接する。孔51aの内周面は、ピン53bを介して、外歯ギア51を中心軸J1回りに揺動可能に支持する。
【0025】
出力部60は、電動アクチュエータ10の駆動力を出力する部分である。出力部60は、モータ40の径方向外側に配置される。出力部60は、従動シャフト61と、従動ギア62と、出力部用センサマグネット63と、を有する。
【0026】
従動シャフト61は、軸方向に延びる筒状である。このように、従動シャフト61がモータシャフト41と同じ方向に延びるため、モータシャフト41の回転を従動シャフト61に伝達する減速機構50の構造を簡単化できる。従動シャフト61は、減速機構50を介してモータシャフト41に連結される。本実施形態において従動シャフト61は、出力中心軸(第2の中心軸)J3を中心とする円筒状である。出力中心軸J3は、中心軸J1と平行に延びる。出力中心軸J3は、中心軸J1から径方向に離れて配置される。すなわち、モータシャフト41と従動シャフト61とは、モータシャフト41の径方向に離れて配置される。そのため、モータシャフト41と従動シャフト61とが軸方向に並んで配置される場合に比べて、電動アクチュエータ10を軸方向に小型化できる。なお、モータシャフト41と従動シャフト61とは、軸方向に並んで配置されてもよい。
【0027】
従動シャフト61は、減速機構50を介してモータ40のモータシャフト41に接続される。従動シャフト61は、モータ40の回転に伴い出力中心軸J3周りに回転する。すなわち、電動アクチュエータ10は、モータシャフト41を有するモータ40と、モータシャフト41と、モータシャフト41から前記従動シャフトに動力を伝達する減速機構50と、を備える。
【0028】
従動シャフト61は、下側に開口する。従動シャフト61は、内周面に、スプライン溝を有する。従動シャフト61は、モータシャフト41の径方向においてロータ本体42と重なる位置に配置される。従動シャフト61には、下側から被駆動シャフト(図示略)が挿入されて連結される。より詳細には、被駆動シャフトの外周面に設けられたスプライン部が、従動シャフト61の内周面に設けられたスプライン溝に嵌め合わされることで、従動シャフト61と被駆動シャフトとが連結される。被駆動シャフトには、従動シャフト61を介して電動アクチュエータ10の駆動力が伝達される。これにより、電動アクチュエータ10は、被駆動シャフトを出力中心軸J3回りに回転させる。
【0029】
従動シャフト61の上端面には、出力部用センサマグネット63を保持する保持凹部64が設けられる。保持凹部64は、下側に向かって凹み上側に開口する。保持凹部64は、平面視において、出力中心軸J3を中心とする円形である。保持凹部64が設けられる従動シャフト61の上端面は、回路基板70よりも下側に配置される。
【0030】
従動ギア62は、従動シャフト61に固定され出力ギア53と噛み合う。本実施形態において従動ギア62は、従動シャフト61の外周面に固定される。従動ギア62は、従動シャフト61から出力ギア53に向かって延びる。従動ギア62は、平面視で扇形のギアである。従動ギア62は、出力ギア53側の端部に歯車部を有する。従動ギア62の歯車部は、出力ギア53の歯車部と噛み合う。すなわち、電動アクチュエータ10は、従動シャフト61に固定されモータ40側からの動力が伝えられる従動ギア62を備える。
【0031】
出力部用センサマグネット63は、出力中心軸J3を中心とする円柱状である。出力部用センサマグネット63は、保持凹部64に嵌め込まれる。これにより、出力部用センサマグネット63は、従動シャフト61の上端部に固定される。出力部用センサマグネット63は、回路基板70の下側の面(後述する第2の実装面70b)と隙間を介して対向する。
【0032】
モータシャフト41が中心軸J1回りに回転されると、偏心軸部41aは、中心軸J1を中心として周方向に公転する。偏心軸部41aの公転は第3ベアリング44cを介して外歯ギア51に伝達され、外歯ギア51は、孔51aの内周面とピン53bの外周面との内接する位置が変化しつつ、揺動する。これにより、外歯ギア51の歯車部と内歯ギア52の歯車部との噛み合う位置が、周方向に変化する。したがって、内歯ギア52に、外歯ギア51を介してモータシャフト41の回転力が伝達される。
【0033】
ここで、本実施形態では、内歯ギア52は固定されているため回転しない。そのため、内歯ギア52に伝達される回転力の反力によって、外歯ギア51が偏心軸J2回りに回転する。このとき外歯ギア51の回転する向きは、モータシャフト41の回転する向きと反対向きとなる。外歯ギア51の偏心軸J2回りの回転は、孔51aとピン53bとを介して、出力ギア53に伝達される。これにより、出力ギア53が中心軸J1回りに回転する。出力ギア53には、モータシャフト41の回転が減速されて伝達される。
【0034】
出力ギア53が回転すると、出力ギア53に噛み合う従動ギア62が出力中心軸J3回りに回転する。これにより、従動ギア62に固定された従動シャフト61が出力中心軸J3回りに回転する。このようにして、出力部60には、減速機構50を介してモータ40の回転が伝達される。
【0035】
バスバーユニット90は、ロータ本体42の上側に位置する。バスバーユニット90は、ハウジング11における後述する区画壁32aの下面に配置される。バスバーユニット90は、平面視で中心軸J1を中心とする円弧状のバスバーホルダ91と、バスバーホルダ91に保持される複数のバスバー92と、を有する。バスバー92は、例えば、6本設けられる。本実施形態の場合、バスバーホルダ91は、バスバー92をインサート部材とするインサート成形によって作られる。
【0036】
バスバー92の一方側の端部92aは、バスバーホルダ91の上面から上側へ突出する。本実施形態では、バスバー92の一方側の端部92aは軸方向に延びる真っ直ぐな帯状であり、回路基板70を下側から上側に貫通する。端部92aは、回路基板70を貫通する位置で、はんだ付け、溶接、圧入などの接続方法によって回路基板70と電気的に接続される。図示は省略するが、バスバー92の他方側の端部は、ステータ43のコイルから引き出されるコイル引出線を把持し、半田付けまたは溶接によりコイルと接続される。これにより、ステータ43と回路基板70とが、バスバー92を介して電気的に接続される。
【0037】
回路基板70は、モータ40、バスバーユニット90および出力部60の上側に配置される。回路基板70は、モータシャフト41および従動シャフト61の上側に位置する。回路基板70は、板面が軸方向を向く板状である。回路基板70は、バスバーユニット90を介して、ステータ43のコイルと接続される。また、回路基板70は、図示略のコネクタ部を介して電源に接続される。すなわち、回路基板70は、モータ40および電源と電気的に接続される。
【0038】
回路基板70の板面は、軸方向と直交する。回路基板70は、XY平面に沿って延びる。すなわち、回路基板70は、軸方向を板厚方向とする。回路基板70の板厚方向は、Z軸方向である。以下の説明において、「板厚方向」とは、回路基板70の板厚方向を意味する。また、板厚方向一方側とは、上側を意味し、板厚方向他方側とは下側を意味する。
【0039】
回路基板70は、板厚方向の互いに反対側を向く第1の実装面(実装面)70aと第2の実装面70bとを有する。第1の実装面70aは、上側を向く面であり、第2の実装面70bは、下側を向く面である。第1の実装面70aおよび第2の実装面70bには、それぞれ複数の電子部品73が実装される。回路基板70と電子部品73とは、モータ40を制御するインバータ装置として機能する。本実施形態のインバータ装置は、コンバータ回路とインバータ回路とを含む。
【0040】
複数の電子部品73は、複数の第1素子75と、複数の第2素子76と、モータ用センサ71と、出力部センサ72と、を含む。第1素子75は、第1の実装面70aに実装される。第2素子76、モータ用センサ71および出力部センサ72は、第2の実装面70bに実装される。第2素子76は、第1素子75より、高さ寸法が大きい。
なお、ここで、それぞれの電子部品73の高さ寸法とは、回路基板70の板厚方向に沿う寸法を意味する。
【0041】
モータ用センサ71は、回路基板70の第2の実装面70bのうちモータ用センサマグネット45と隙間を介して回路基板70の板厚方向に対向する部分に固定される。本実施形態において、モータ用センサ71は、中心軸J1上に配置される。モータ用センサ71は、モータ用センサマグネット45の磁界を検出する磁気センサである。モータ用センサ71は、モータ用センサマグネット45の磁界を検出することでモータ用センサマグネット45の回転位置を検出してモータシャフト41の回転を検出する。
【0042】
出力部センサ72は、回路基板70の第2の実装面70bのうち出力部用センサマグネット63と隙間を介して回路基板70の板厚方向に対向する部分に固定される。本実施形態において、出力部用センサマグネット63は、出力中心軸J3上に配置される。出力部センサ72は、出力部用センサマグネット63の磁界を検出する磁気センサである。出力部センサ72は、出力部用センサマグネット63の磁界を検出することで出力部用センサマグネット63の回転位置を検出して従動シャフト61の回転を検出する。
【0043】
複数の第1素子75は、コンバータ回路およびインバータ回路を構成するトランジスタなどを含む。一部のトランジスタは、電源から入力される交流電流を直流電流とするコンバータ回路の一部として機能する。また、一部のトランジスタは、直流電流を交流電流に変換してモータ40に供給するインバータ回路の一部として機能する。トランジスタは、他の電子部品73より発熱量が大きい。トランジスタとハウジング11との間には、放熱材5が配置される。これにより、トランジスタの熱は、ハウジング11に放熱される。
【0044】
複数の第2素子76は、チョークコイル78と、コンデンサ79と、を含む。第2素子76は、電源から入力される交流電流を直流電流とするコンバータ回路の一部として機能する。
【0045】
第2素子76の軸方向位置は、モータ40の軸方向位置と重なる。第2素子76は、モータ40に対して径方向外側に配置される。第2素子76としてのチョークコイル78およびコンデンサ79は、回路基板70に実装される電子部品のうち、最も高さ寸法が大きい。一方で、モータ40は、ハウジング11内に収容される各部材のうち、軸方向の寸法が最も大きい。このため、第2素子76の軸方向位置が、モータ40の軸方向位置と重なることで、ハウジング11の収容空間を軸方向に小さくすることができる。結果的に電動アクチュエータ10の軸方向寸法の小型化を図ることができる。
【0046】
さらに、本実施形態によれば、複数の電子部品73のうち比較的高さ寸法の小さい第1素子75は、回路基板70の第1の実装面70aに配置される。このため、第1素子75を、第2素子76とともに第2の実装面70bに実装される場合と比較して、回路基板70を小型化することができる。また、第1の実装面70aに配置される第1素子75の一部は、軸方向から見てモータ40に重なる。このため、電動アクチュエータ10の軸方向寸法が若干大きくなるものの、電動アクチュエータ10の径方向寸法を大幅に小型化できる。結果的に、電動アクチュエータ10の全体として小型化することができる。
【0047】
図2は、電動アクチュエータ10の下面図である。なお、図2において、ハウジング11の図示を省略する。
【0048】
電動アクチュエータ10は、第2素子76として、3つのコンデンサ79と1つのチョークコイル78とを有する。ここで、3つのコンデンサ79を、それぞれ第1のコンデンサ79A、第2のコンデンサ79Bおよび第3のコンデンサ79Cと呼ぶ。
【0049】
本実施形態において、第1のコンデンサ79Aと第2のコンデンサ79Bは、中心軸J1の周方向に沿って並ぶ。このように、少なくとも2つの第2素子76が、中心軸J1の周方向に沿って並ぶ構成とすることで、中心軸J1に対する電動アクチュエータ10の径方向寸法を小型化できる。
【0050】
本実施形態において、第1~第3のコンデンサ79A、79B、79C、およびチョークコイル78は、出力中心軸J3の周方向に沿って並ぶ。このように、少なくとも2つの第2素子76が出力中心軸J3の周方向に沿って並ぶ構成とすることで、出力中心軸J3に対する電動アクチュエータ10の径方向寸法を小型化できる。
【0051】
図2に示すように、軸方向から見て、モータ40の外形(すなわち本実施形態において、ステータ43の外形)と、従動シャフト61を回転可能に支持する軸受65の外形と、の一対の共通接線VLを想定する。本実施形態において、第1のコンデンサ79A、第2のコンデンサ79Bおよびチョークコイル78の一部は、軸方向から見て、モータ40の外形、軸受65の外形、およびこれらの共通接線VLで囲まれる領域Pの内側に配置される。領域Pは、電動アクチュエータ10の軸方向への投影面積において、削ることができない領域であるため小型化に寄与し得ない。第2素子76の少なくとも一部が領域Pの内側に配置されることで、領域Pの外側の領域の小型化を図ることができる。これにより、電動アクチュエータ10の軸方向への投影面積を小型化できる。
【0052】
図2には、従動ギア62のピッチ円Cを図示する。第1~第3のコンデンサ79Cおよびチョークコイル78は、従動ギア62のピッチ円Cの内側に配置される。従動ギア62のピッチ円Cは、従動ギア62の動作範囲を仮想的に示す。本実施形態によれば、第2素子76の少なくとも一部が、軸方向から見て、ピッチ円Cの内側に配置されるため、電動アクチュエータ10の軸方向への投影面積を小型化できる。また、本実施形態において、従動ギア62は、扇型歯車である。従動ギア62は、軸方向から見て、第2素子76の少なくとも一部は、前記従動ギアの駆動軌跡と重なる。このため、電動アクチュエータ10の軸方向への投影面積を小型化できる。
【0053】
図1に示すように、ハウジング11は、モータ40、減速機構50、出力部60、回路基板70、電子部品73、およびバスバーユニット90を収容する。ハウジング11は、ハウジング本体12と、カバー13と、キャップ14と、を有する。カバー13は、ハウジング本体12の上側の開口部12aに固定される。キャップ14は、ハウジング本体12の下側の開口部12bに固定される。
【0054】
ハウジング本体12は、電動アクチュエータ10の筐体を構成する角筒状の外壁部30と、外壁部30の下側の端部から径方向内側に広がる底壁部31と、底壁部31に設けられるモータケース部32および従動シャフト保持部33と、を有する。すなわち、ハウジング11は、外壁部30と、底壁部31と、モータケース部32と、従動シャフト保持部33と、を有する。
【0055】
外壁部30は、本実施形態では、軸方向に見て五角形の角筒状である。外壁部30は、モータケース部32を径方向外側から囲む。外壁部30の上側の開口部が、ハウジング本体12の上側の開口部12aである。開口部12aの内側には、回路基板70が収容される。
【0056】
底壁部31は、下側に開口する開口部を有する。底壁部31の開口部の周縁に、底壁部31から下側に突出する筒状の筒状壁31aが設けられる。筒状壁31aに囲まれる開口部が、ハウジング本体12の下側の開口部12bである。モータケース部32および従動シャフト保持部33は、底壁部31の上面に設けられる。
【0057】
モータケース部32は、モータ40を径方向外側から囲む筒状である。本実施形態においてモータケース部32は、中心軸J1を中心とし、下側に開口する円筒状である。モータケース部32は、モータ40を内側に保持する。より詳細には、モータケース部32の内周面に、モータ40のステータ43が固定される。モータケース部32は、底壁部31から上側に延びる筒状部32bと、筒状部32bの上側の端部から径方向内側に広がる円環板状の区画壁32aと、を有する。
【0058】
区画壁32aは、ステータ43とバスバーユニット90との軸方向の間に位置する。区画壁32aは、軸方向に見た中央に、ベアリング保持部32cを有する。ベアリング保持部32cは、軸方向に沿って延びる円筒状である。ベアリング保持部32cの内周面には、第2ベアリング44bが保持される。区画壁32aがベアリングホルダを兼ねることにより、電動アクチュエータ10が軸方向に大型化することを抑制できる。
【0059】
区画壁32aには、複数のボルト96により回路基板70が固定される。ボルト96は、回路基板70の上側から、回路基板70を板厚方向に貫通し、区画壁32aのネジ穴に締結される。これにより、ハウジング本体12は、回路基板70を支持する。
【0060】
従動シャフト保持部33は、底壁部31から上側に延びる円筒状である。従動シャフト保持部33の側面の一部は、モータケース部32の側面に繋がっている。従動シャフト保持部33は、従動シャフト保持部33を軸方向に貫通する孔部33aを有する。孔部33aの内側には、円筒状の軸受65が嵌め合わされる。軸受65は、滑り軸受である。軸受65の内側には、従動シャフト61が嵌め合わされる。軸受65は、従動シャフト61を出力中心軸J3回りに回転可能に支持する。すなわち、電動アクチュエータ10は、従動シャフト61を回転可能に支持する軸受65を備える。
【0061】
以上に、本発明の様々な実施形態を説明したが、各実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
【0062】
本発明が適用される電動アクチュエータの用途は、特に限定されず、車両以外に搭載されてもよい。また、本明細書において説明した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0063】
10…電動アクチュエータ、40…モータ、41…モータシャフト(駆動シャフト)、50…減速機構(動力伝達部)、61…従動シャフト、62…従動ギア、65…軸受、70…回路基板、70a…第1の実装面(実装面)、73…電子部品、75…第1素子、76…第2素子、78…チョークコイル、79…コンデンサ、C…ピッチ円、J1…中心軸(第1の中心軸)、J3…出力中心軸(第2の中心軸)、P…領域、VL…共通接線
図1
図2