(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】保護装置、電力変換システム及び保護方法
(51)【国際特許分類】
H02H 3/087 20060101AFI20240814BHJP
G01R 31/12 20200101ALI20240814BHJP
G01R 31/52 20200101ALI20240814BHJP
H02H 3/16 20060101ALI20240814BHJP
H02H 7/26 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
H02H3/087
G01R31/12 A
G01R31/52
H02H3/16 A
H02H7/26 A
H02H7/26 B
(21)【出願番号】P 2020191980
(22)【出願日】2020-11-18
【審査請求日】2023-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000003171
【氏名又は名称】株式会社戸上電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100171099
【氏名又は名称】松尾 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】篠田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】片渕 健
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0381111(US,A1)
【文献】米国特許第9995796(US,B1)
【文献】特表2014-509396(JP,A)
【文献】特開2017-143667(JP,A)
【文献】特開2018-028498(JP,A)
【文献】特表2015-524240(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R31/12-31/20
G01R31/50-31/74
H02H3/08-3/253
H02H7/22-7/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷に接続された太陽電池ストリングにおいて、アークを検出するアーク検出部と、
前記アーク検出部によりアークが検出された場合に、前記負荷を経て前記太陽電池ストリングに電流を流す直列電路を遮断する直列消弧制御と、前記負荷を経ずに前記太陽電池ストリングに電流を流す並列電路を導通させる並列消弧制御とを実行する消弧制御部と、
前記直列消弧制御及び前記並列消弧制御の後、前記直列電路が遮断され、前記並列電路が導通した状態にて、前記アーク検出部によりアークが検出された場合に前記太陽電池ストリングにおける直列アークを検出する直列アーク検出部と、
前記直列消弧制御及び前記並列消弧制御の後、前記直列電路及び前記並列電路の両方が遮断された状態にて、前記アーク検出部によりアークが検出された場合に前記太陽電池ストリングにおける並列アークを検出する並列アーク検出部と、
前記太陽電池ストリングにおける直列アークが検出された場合には前記並列電路を遮断し、前記太陽電池ストリングにおける並列アークが検出された場合には前記並列電路を導通させる保護制御部と、を備える保護装置。
【請求項2】
前記直列アーク検出部は、前記直列電路が遮断され、前記並列電路が導通した状態にて、所定長さの直列アーク待機期間が経過するまで前記アーク検出部によるアークの検出を待機し、
前記並列アーク検出部は、前記直列電路及び前記並列電路の両方が遮断された状態にて、所定長さの並列アーク待機期間が経過するまで前記アーク検出部によるアークの検出を待機する、請求項1記載の保護装置。
【請求項3】
前記消弧制御部は、前記直列消弧制御の後に前記並列消弧制御を実行し、
前記直列アーク検出部は、前記並列消弧制御の後、前記アーク検出部によるアークの検出を前記直列アーク待機期間が経過するまで待機し、
前記並列アーク検出部は、前記アーク検出部によりアークが検出されることなく前記直列アーク待機期間が経過した場合に、前記並列電路を遮断した後、前記アーク検出部によるアークの検出を前記並列アーク待機期間が経過するまで待機する、請求項2記載の保護装置。
【請求項4】
前記アーク検出部によりアークが検出されることなく前記直列アーク待機期間が経過し、前記アーク検出部によりアークが検出されることなく前記並列アーク待機期間が経過した場合に、前記直列電路を導通させる復帰制御部を更に備える、請求項3記載の保護装置。
【請求項5】
前記負荷に接続された第2太陽電池ストリングにおいて、アークを検出する第2アーク検出部を更に備え、
前記消弧制御部は、
前記第2アーク検出部によりアークが検出されず、前記アーク検出部によりアークが検出された場合に、前記直列消弧制御及び前記並列消弧制御を実行し、
前記アーク検出部によりアークが検出されず、前記第2アーク検出部によりアークが検出された場合に、前記負荷を経て前記第2太陽電池ストリングに電流を流す第2直列電路を遮断する第2直列消弧制御と、前記負荷を経ずに前記第2太陽電池ストリングに電流を流す第2並列電路を導通させる第2並列消弧制御とを実行し、
前記直列アーク検出部は、前記第2直列消弧制御及び前記第2並列消弧制御の後、前記第2直列電路が遮断され、前記第2並列電路が導通した状態にて、前記第2アーク検出部により前記アークが検出された場合に前記第2太陽電池ストリングにおける直列アークを検出し、
前記並列アーク検出部は、前記第2直列消弧制御及び前記第2並列消弧制御の後、前記第2直列電路及び前記第2並列電路の両方が遮断された状態にて、前記第2アーク検出部により前記アークが検出された場合に前記第2太陽電池ストリングにおける並列アークを検出し、
前記保護制御部は、前記第2太陽電池ストリングにおける直列アークが検出された場合には前記第2並列電路を遮断し、前記第2太陽電池ストリングにおける並列アークが検出された場合には前記第2並列電路を導通させる、請求項1~4のいずれか一項記載の保護装置。
【請求項6】
前記保護制御部は、前記アーク検出部によりアークが検出され、前記第2アーク検出部によりアークが検出された場合に、前記直列電路及び前記第2直列電路の両方を遮断する、請求項5記載の保護装置。
【請求項7】
前記アーク検出部は、前記太陽電池ストリングに流れた電流を検出する電流センサと、前記太陽電池ストリングが前記負荷に印加した電圧を検出する電圧センサと、を含み、前記直列電路が遮断され、前記並列電路が導通した状態では、前記電流センサによりアークを検出し、前記直列電路及び前記並列電路の両方が遮断された状態では、前記電圧センサによりアークを検出する、請求項1~6のいずれか一項記載の保護装置。
【請求項8】
前記アーク検出部は、前記電圧センサにより前記電圧のノイズレベルを検出する、請求項7記載の保護装置。
【請求項9】
前記アーク検出部は、前記電圧センサにより前記電圧の低下レベルを検出する、請求項7記載の保護装置。
【請求項10】
前記アーク検出部は、前記太陽電池ストリングに流れた電流を検出する電流センサと、前記直列電路及び前記並列電路の両方が遮断された状態においても前記電流センサを経て前記太陽電池ストリングに交流電流を流すバイパス回路と、を含む、請求項1~4のいずれか一項記載の保護装置。
【請求項11】
前記バイパス回路は、互いに直列に接続されたリアクトル、コンデンサ及び抵抗を含む、請求項10記載の保護装置。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項記載の保護装置と、
前記負荷であって、前記太陽電池ストリングが出力した電力を交流電力に変換する電力変換回路と、を備える電力変換システム。
【請求項13】
負荷に接続された太陽電池ストリングにおいて、アーク検出部によりアークが検出された場合に、前記負荷を経て前記太陽電池ストリングに電流を流す直列電路を遮断する直列消弧制御と、前記負荷を経ずに前記太陽電池ストリングに電流を流す並列電路を導通させる並列消弧制御とを実行することと、
前記直列消弧制御及び前記並列消弧制御の後、前記直列電路が遮断され、前記並列電路が導通した状態にて、前記アーク検出部によりアークが検出された場合に前記太陽電池ストリングにおける直列アークを検出することと、
前記直列消弧制御及び前記並列消弧制御の後、前記直列電路及び前記並列電路の両方が遮断された状態にて、前記アーク検出部によりアークが検出された場合に前記太陽電池ストリングにおける並列アークを検出することと、
前記太陽電池ストリングにおける直列アークが検出された場合には前記並列電路を遮断し、前記太陽電池ストリングにおける並列アークが検出された場合には前記並列電路を導通させることと、を含む保護方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、保護装置、電力変換システム及び保護方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、太陽電池の電力を出力する第1通電路に設けられ、第1通電路を開閉する第1リレーと、太陽電池の正負の出力を短絡状態とする第2通電路に設けられ、第2通電路を開閉する第2リレーと、太陽電池の正負の出力を短絡状態とする第3通電路に設けられ、第3通電路を開閉する第3リレーと、アークの発生を示すアーク信号を第1通電路から検出するアーク信号検出手段と、第1リレーが閉状態かつ第2および第3リレーが開状態であるアーク有無判定状態でのアーク信号に基づいてアークの発生の有無を判定するアーク有無判定手段と、第1および第2リレーが閉状態かつ第3リレーが開状態であるアーク識別状態でのアーク信号に基づいてアークが並列アークか直列アークかを判定するアーク識別手段と、アーク有無判定手段にてアーク発生と判定された場合に、第1から第3リレーをアーク識別状態とし、アーク識別手段にてアークが直列アークと判定された場合に、アーク識別状態から第1リレーを開状態とし、アーク識別手段にてアークが並列アークと判定された場合に、アーク識別状態から第3リレーを閉状態とする制御手段とを備える保護装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、太陽光発電システムをアークによる発熱から高い信頼性で保護するのに有効な保護装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係る保護装置は、負荷に接続された太陽電池ストリングにおいて、アークを検出するアーク検出部と、アーク検出部によりアークが検出された場合に、負荷を経て太陽電池ストリングに電流を流す直列電路を遮断する直列消弧制御と、負荷を経ずに太陽電池ストリングに電流を流す並列電路を導通させる並列消弧制御とを実行する消弧制御部と、直列消弧制御及び並列消弧制御の後、直列電路が遮断され、並列電路が導通した状態にて、アーク検出部によりアークが検出された場合に太陽電池ストリングにおける直列アークを検出する直列アーク検出部と、直列消弧制御及び並列消弧制御の後、直列電路及び並列電路の両方が遮断された状態にて、アーク検出部によりアークが検出された場合に太陽電池ストリングにおける並列アークを検出する並列アーク検出部と、太陽電池ストリングにおける直列アークが検出された場合には並列電路を遮断し、太陽電池ストリングにおける並列アークが検出された場合には並列電路を導通させる保護制御部と、を備える。
【0006】
直列アーク検出部は、直列電路が遮断され、並列電路が導通した状態にて、所定長さの直列アーク待機期間が経過するまでアーク検出部によるアークの検出を待機し、並列アーク検出部は、直列電路及び並列電路の両方が遮断された状態にて、所定長さの並列アーク待機期間が経過するまでアーク検出部によるアークの検出を待機してもよい。
【0007】
消弧制御部は、直列消弧制御の後に並列消弧制御を実行し、直列アーク検出部は、並列消弧制御の後、アーク検出部によるアークの検出を直列アーク待機期間が経過するまで待機し、並列アーク検出部は、アーク検出部によりアークが検出されることなく直列アーク待機期間が経過した場合に、並列電路を遮断した後、アーク検出部によるアークの検出を並列アーク待機期間が経過するまで待機してもよい。
【0008】
保護装置は、アーク検出部によりアークが検出されることなく直列アーク待機期間が経過し、アーク検出部によりアークが検出されることなく並列アーク待機期間が経過した場合に、直列電路を導通させる復帰制御部を更に備えていてもよい。
【0009】
保護装置は、負荷に接続された第2太陽電池ストリングにおいて、アークを検出する第2アーク検出部を更に備え、消弧制御部は、第2アーク検出部によりアークが検出されず、アーク検出部によりアークが検出された場合に、直列消弧制御及び並列消弧制御を実行し、アーク検出部によりアークが検出されず、第2アーク検出部によりアークが検出された場合に、負荷を経て第2太陽電池ストリングに電流を流す第2直列電路を遮断する第2直列消弧制御と、負荷を経ずに第2太陽電池ストリングに電流を流す第2並列電路を導通させる第2並列消弧制御とを実行し、直列アーク検出部は、第2直列消弧制御及び第2並列消弧制御の後、第2直列電路が遮断され、第2並列電路が導通した状態にて、第2アーク検出部によりアークが検出された場合に第2太陽電池ストリングにおける直列アークを検出し、並列アーク検出部は、第2直列消弧制御及び第2並列消弧制御の後、第2直列電路及び第2並列電路の両方が遮断された状態にて、第2アーク検出部によりアークが検出された場合に第2太陽電池ストリングにおける並列アークを検出し、保護制御部は、第2太陽電池ストリングにおける直列アークが検出された場合には第2並列電路を遮断し、第2太陽電池ストリングにおける並列アークが検出された場合には第2並列電路を導通させてもよい。
【0010】
保護制御部は、アーク検出部によりアークが検出され、第2アーク検出部によりアークが検出された場合に、直列電路及び第2直列電路の両方を遮断してもよい。
【0011】
アーク検出部は、太陽電池ストリングに流れた電流を検出する電流センサと、太陽電池ストリングが負荷に印加した電圧を検出する電圧センサと、を含み、直列電路が遮断され、並列電路が導通した状態では、電流センサによりアークを検出し、直列電路及び並列電路の両方が遮断された状態では、電圧センサによりアークを検出してもよい。
【0012】
アーク検出部は、電圧センサにより電圧のノイズレベルを検出してもよい。
【0013】
アーク検出部は、電圧センサにより電圧の低下レベルを検出してもよい。
【0014】
アーク検出部は、太陽電池ストリングに流れた電流を検出する電流センサと、直列電路及び並列電路の両方が遮断された状態においても電流センサを経て太陽電池ストリングに交流電流を流すバイパス回路と、を含んでいてもよい。
【0015】
バイパス回路は、互いに直列に接続されたリアクトル、コンデンサ及び抵抗を含んでいてもよい。
【0016】
本開示の他の側面に係る電力変換システムは、上記の保護装置と、上記の負荷であって、太陽電池ストリングが出力した電力を交流電力に変換する電力変換回路と、を備える。
【0017】
本開示の更に他の側面に係る保護方法は、負荷に接続された太陽電池ストリングにおいて、アーク検出部によりアークが検出された場合に、負荷を経て太陽電池ストリングに電流を流す直列電路を遮断する直列消弧制御と、負荷を経ずに太陽電池ストリングに電流を流す並列電路を導通させる並列消弧制御とを実行することと、直列消弧制御及び並列消弧制御の後、直列電路が遮断され、並列電路が導通した状態にて、アーク検出部によりアークが検出された場合に太陽電池ストリングにおける直列アークを検出することと、直列消弧制御及び並列消弧制御の後、直列電路及び並列電路の両方が遮断された状態にて、アーク検出部によりアークが検出された場合に太陽電池ストリングにおける並列アークを検出することと、太陽電池ストリングにおける直列アークが検出された場合には並列電路を遮断し、太陽電池ストリングにおける並列アークが検出された場合には並列電路を導通させることと、を含む。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、太陽電池モジュールの有効活用と、アーク抑制との両立に有効な保護装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】発電システムの構成を例示する模式図である。
【
図2】コントローラの機能的な構成を例示するブロック図である。
【
図3】コントローラのハードウェア構成を例示するブロック図である。
【
図5】バイパス回路の構成を例示する模式図である。
【
図6】発電システムの更なる変形例を示す模式図である。
【
図7】発電システムの更なる変形例を示す模式図である。
【
図8】発電システムの保護手順を例示するフローチャートである。
【
図9】発電システムの保護手順を例示するフローチャートである。
【
図10】発電システムの保護手順の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0021】
〔発電システム〕
図1に示す発電システム1は、太陽光発電を行い、その結果得られた直流電力を交流電力に変換して出力する太陽光発電システムである。発電システム1は、複数のストリング2,3と、電力変換システム4とを有する。
【0022】
ストリング2(太陽電池ストリング)は、1以上の太陽電池モジュール21と、正極ストリング線23pと、負極ストリング線23nとを有する。
図1は、ストリング2が複数の太陽電池モジュール21を有する場合を示しているが、ストリング2は少なくとも一つの太陽電池モジュール21を有していればよい。
【0023】
複数の太陽電池モジュール21のそれぞれは、正極21pと負極21nとを有する。各太陽電池モジュール21は、互いに直列に接続された複数の太陽電池セルを含み、複数の太陽電池セルが生成した直流電力を正極21pと負極21nとに出力する。複数の太陽電池モジュール21は、互いに直列に接続されている。例えば太陽電池モジュール21同士の接続部においては、一方の太陽電池モジュール21の正極21pと、他方の太陽電池モジュール21の負極21nとが接続されている。正極ストリング線23pは、正極21pと負荷とを接続する。負極ストリング線23nは、負極21nと負荷とを接続する。負荷は、例えば後述の電力変換回路43である。
【0024】
一例として、正極ストリング線23pは、複数の太陽電池モジュール21のうち最も正極側に位置する太陽電池モジュール21(以下、「正極端の太陽電池モジュール21」という。)の正極21pとパワーコンディショニングシステム40とを接続する。負極ストリング線23nは、複数の太陽電池モジュール21のうち最も負極側に位置する太陽電池モジュール21(以下、「負極端の太陽電池モジュール21」という。)の負極21nをパワーコンディショニングシステム40に接続する。
【0025】
なお、接続することは、直接的に接続することに加え、間接的に接続することも含む。後述のように、正極ストリング線23pは、保護装置50を介して間接的にパワーコンディショニングシステム40に接続される。同様に、負極ストリング線23nは、保護装置50を介して間接的にパワーコンディショニングシステム40に接続される。
【0026】
また、正極ストリング線23pは、正極端の太陽電池モジュール21を介して他の太陽電池モジュール21の正極21pに間接的に接続される。同様に、負極ストリング線23nは、負極端の太陽電池モジュール21を介して他の太陽電池モジュール21の負極21nに間接的に接続される。このため、正極ストリング線23pは各太陽電池モジュール21の正極21pとパワーコンディショニングシステム40とを接続し、負極ストリング線23nは各太陽電池モジュール21の負極21nとパワーコンディショニングシステム40とを接続する。
【0027】
ストリング3(第2太陽電池ストリング)は、ストリング2と同様に、1以上の太陽電池モジュール31(第2太陽電池モジュール)と、正極ストリング線33p(第2正極ストリング線)と、負極ストリング線33n(第2負極ストリング線)とを有する。
図1は、ストリング3が複数の太陽電池モジュール31を有する場合を示しているが、ストリング3は少なくとも一つの太陽電池モジュール31を有していればよい。
【0028】
複数の太陽電池モジュール31の構成及び機能は、複数の太陽電池モジュール21の構成及び機能と同じである。複数の太陽電池モジュール31のそれぞれは、複数の太陽電池モジュール21のそれぞれと同様に、正極31p(第2正極)及び負極31n(第2負極)を有する。正極ストリング線33pは正極31pと負荷とを接続し、負極ストリング線33nは負極31nと負荷とを接続する。例えば、正極ストリング線33pは正極端の太陽電池モジュール31の正極31pとパワーコンディショニングシステム40とを接続し、負極ストリング線33nは負極端の太陽電池モジュール31の負極31nとパワーコンディショニングシステム40とを接続する。
【0029】
例えば電力変換システム4は、パワーコンディショニングシステム40と、保護装置50とを有する。パワーコンディショニングシステム40は、ストリング2が正極ストリング線23p及び負極ストリング線23nに出力した直流電力と、ストリング3が正極ストリング線33p及び負極ストリング線33nに出力した直流電力とを交流電力に変換する。
【0030】
パワーコンディショニングシステム40は、正極入力端子41pと、負極入力端子41nと、正極入力端子42pと、負極入力端子42nと、電力変換回路43とを有する。正極入力端子41pは保護装置50を介して正極ストリング線23pに接続され、負極入力端子41nは保護装置50を介して負極ストリング線23nに接続される。正極入力端子42pは保護装置50を介して正極ストリング線33pに接続され、負極入力端子42nは保護装置50を介して負極ストリング線33nに接続される。
【0031】
電力変換回路43は、正極入力端子41p及び負極入力端子41nに入力された直流電力と、正極入力端子42p及び負極入力端子42nに入力された直流電力とを直流電力に変換する。電力変換回路43は、コンバータ回路44と、コンバータ回路45と、インバータ回路46とを有する。
【0032】
コンバータ回路44,45のそれぞれは、複数のスイッチング素子のオン・オフを切り替えることによって、一次側の直流電力と、二次側の直流電力との間の電力変換を行う。コンバータ回路44の一次側は正極入力端子41p及び負極入力端子41nに接続され、コンバータ回路45の一次側は正極入力端子42p及び負極入力端子42nに接続されている。コンバータ回路44の二次側とコンバータ回路45の二次側とは、インバータ回路46の一次側に対して並列に接続されている。
【0033】
インバータ回路46は、複数のスイッチング素子のオン・オフを切り替えることによって、一次側の直流電力と、二次側の交流電力との間の電力変換を行う。これにより、ストリング2が出力した直流電力と、ストリング3が出力した直流電力とが交流電力に変換される。
【0034】
保護装置50は、ストリング2,3とパワーコンディショニングシステム40との間に介在し、アーク発生に起因する過大な発熱から発電システム1を保護する。ストリング2において直列アークが生じた場合には、負荷(例えば電力変換回路43)を経てストリング2に電流を流す直列電路R01と、負荷を経ずにストリング2に電流を流す並列電路R02と、の両方を遮断する必要がある。一方、ストリング2において並列アークが生じた場合には、並列電路R02を形成する必要がある。なお、直列アークは不完全な断線箇所に生じるアークであり、並列アークは不完全な短絡箇所に生じるアークである。例えばストリング2における直列アークは、正極ストリング線23p又は負極ストリング線23nの不完全な断線箇所に発生し得る。ストリング2における並列アークは、正極ストリング線23p又は負極ストリング線23nの不完全な短絡箇所に発生し得る。
【0035】
上述のように、直列アークが発生したか、並列アークが発生したかによって、ストリング2をいかに保護すべきかが異なるので、ストリング2において生じたのが直列アークであるか、並列アークであるかを高い信頼性で識別することが重要である。
【0036】
これに対し、保護装置50は、ストリング2においてアーク検出部によりアークが検出された場合に、直列電路R01を遮断する直列消弧制御と、並列電路R02を形成する並列消弧制御とを実行することと、直列消弧制御及び並列消弧制御の後、直列電路R01が遮断され、並列電路R02が形成された状態にて、アーク検出部によりアークが検出された場合にストリング2における直列アークの発生を検出することと、直列消弧制御及び並列消弧制御の後、直列電路R01及び並列電路R02の両方が遮断された状態にて、アーク検出部によりアークが検出された場合にストリング2における並列アークの発生を検出することと、ストリング2における直列アークが検出された場合には並列電路R02を遮断し、ストリング2における並列アークが検出された場合には並列電路R02を導通させることと、を実行するように構成されている。
【0037】
直列電路が遮断され、並列電路が導通した状態において、並列アークは発生しない。このような状態でのアークの検出結果に基づくことで、直列アークを高い信頼性で検出することができる。また、直列電路及び並列電路の両方が遮断された状態において、直列アークは発生しない。このような状態でのアークの検出結果に基づくことで、並列アークを高い信頼性で検出することができる。直列アークが検出された場合には、直列電路及び並列電路の両方が遮断され、並列アークが検出された場合には、並列電路が導通させられる。直列アークであるか並列アークであるかの高い信頼性での識別結果に基づくことで、太陽電池ストリングをアークによる発熱から高い信頼性で保護することができる。従って、太陽光発電システムをアークによる発熱から高い信頼性で保護するのに有効である。
【0038】
一例として、保護装置50は、正極入力端子51pと、負極入力端子51nと、正極入力端子52pと、負極入力端子52nと、正極出力端子53pと、負極出力端子53nと、正極出力端子54pと、負極出力端子54nと、正極中継線55pと、負極中継線55nと、正極中継線56pと、負極中継線56nとを有する。
【0039】
正極入力端子51pはストリング2の正極ストリング線23pに接続され、負極入力端子51nはストリング2の負極ストリング線23nに接続される。正極入力端子52pはストリング3の正極ストリング線33pに接続され、負極入力端子52nはストリング3の負極ストリング線33nに接続される。
【0040】
正極出力端子53pは正極中継線81pによりパワーコンディショニングシステム40の正極入力端子41pに接続され、負極出力端子53nは負極中継線81nによりパワーコンディショニングシステム40の負極入力端子41nに接続される。正極出力端子54pは正極中継線82pによりパワーコンディショニングシステム40の正極入力端子42pに接続され、負極出力端子54nは負極中継線82nによりパワーコンディショニングシステム40の負極入力端子42nに接続される。
【0041】
正極中継線55pは保護装置50内において正極入力端子51pと正極出力端子53pとを接続し、負極中継線55nは保護装置50内において負極入力端子51nと負極出力端子53nとを接続する。正極中継線56pは保護装置50内において正極入力端子52pと正極出力端子54pとを接続し、負極中継線56nは保護装置50内において負極入力端子52nと負極出力端子54nとを接続する。
【0042】
これにより、上述したように、パワーコンディショニングシステム40の正極入力端子41p及び負極入力端子41nが、保護装置50を介してストリング2の正極ストリング線23p及び負極ストリング線23nにそれぞれ接続される。パワーコンディショニングシステム40の正極入力端子42p及び負極入力端子42nが、保護装置50を介してストリング3の正極ストリング線33p及び負極ストリング線33nにそれぞれ接続される。
【0043】
保護装置50は、直列スイッチ61及び並列スイッチ62と、直列スイッチ63及び並列スイッチ64と、アーク検出部AS1,AS2と、コントローラ70とを更に有する。
【0044】
直列スイッチ61は、上記直列電路R01を導通させるオン状態と、直列電路R01を遮断するオフ状態とを制御信号に応じて切り替える。例えば直列スイッチ61は正極中継線55pに設けられ、正極入力端子51pと正極出力端子53pとの間のオン・オフを制御信号に応じて切り替える。直列スイッチ61は負極中継線55nに設けられていてもよい。
【0045】
並列スイッチ62は、上記並列電路R02を導通させるオン状態と、並列電路R02を遮断するオフ状態とを制御信号に応じて切り替える。例えば並列スイッチ62は、正極入力端子51pと直列スイッチ61との間において、正極中継線55pと負極中継線55nとの間に設けられている。これにより、直列スイッチ61がオフ状態であっても、並列電路R02を導通させることが可能となっている。
【0046】
直列スイッチ63は、負荷(例えば電力変換回路43)を経てストリング3に電流を流す直列電路R11(第2直列電路)を導通させるオン状態と、直列電路R11を遮断するオフ状態とを制御信号に応じて切り替える。例えば直列スイッチ63は正極中継線56pに設けられ、正極入力端子52pと正極出力端子54pとの間のオン・オフを制御信号に応じて切り替える。直列スイッチ63は負極中継線56nに設けられていてもよい。なお、直列スイッチ61,63は、直列スイッチ63が直列スイッチ61に連動してオン・オフを切り替え、直列スイッチ61が直列スイッチ63に連動してオン・オフを切り替えるように構成されていてもよい。例えば一つのコイルで複数接点のオン・オフを切り替える電磁開閉器の1接点が直列スイッチ61として用いられ、他の1接点が直列スイッチ63として用いられていてもよい。
【0047】
並列スイッチ64は、負荷(例えば電力変換回路43)を経ずにストリング3に電流を流す並列電路R12(第2並列電路)を導通させる並列電路R12を導通させるオン状態と、並列電路R12を遮断するオフ状態とを制御信号に応じて切り替える。例えば並列スイッチ64は、正極入力端子52pと直列スイッチ63との間において、正極中継線56pと負極中継線56nとの間に設けられている。これにより、直列スイッチ63がオフ状態であっても、並列電路R12を導通させることが可能となっている。直列スイッチ61,63及び並列スイッチ62,64の具体例としては、電磁式のリレー等が挙げられる。なお、並列スイッチ62,64は、並列スイッチ64が並列スイッチ62に連動してオン・オフを切り替え、並列スイッチ62が並列スイッチ64に連動してオン・オフを切り替えるように構成されていてもよい。例えば一つのコイルで複数接点のオン・オフを切り替える電磁開閉器の1接点が並列スイッチ62として用いられ、他の1接点が並列スイッチ64として用いられていてもよい。
【0048】
アーク検出部AS1は、ストリング2においてアークを検出する。一例として、アーク検出部AS1は、電流センサ65と、電圧センサ67とを有する。電流センサ65は、ストリング2に流れた電流を検出する。一例として、電流センサ65は、並列スイッチ62と正極入力端子51pとの間において正極中継線55pに設けられている。これにより、ストリング2に流れた電流を電流センサ65により検出することが可能となっている。電流センサ65は、並列スイッチ62と負極入力端子51nとの間において負極中継線55nに設けられていてもよい。この場合も、ストリング2に流れた電流を電流センサ65により検出することが可能となる。
【0049】
電圧センサ67は、ストリング2が電力変換回路43に印加した電圧を検出する。一例として、電圧センサ67は、正極入力端子51pと直列スイッチ61との間において、正極中継線55pと負極中継線55nとの間に設けられている。これにより、直列スイッチ61がオフ状態であっても、正極ストリング線23pと負極ストリング線23nとの間の電圧を検出することが可能となっている。
【0050】
アーク検出部AS1は、直列電路R01が導通し、並列電路R02が遮断された状態では、電流センサ65によりアークを検出し、電圧センサ67によってもアークを検出する。アーク検出部AS1は、直列電路R01が遮断され、並列電路R02が導通した状態では、電流センサ65によりアークを検出し、直列電路R01及び並列電路R02の両方が遮断された状態では、電圧センサ67によりアークを検出する。以下、直列電路R01が導通し、並列電路R02が遮断された状態を「平常状態」といい、直列電路R01が遮断され、並列電路R02が導通した状態を「直列検証状態」といい、直列電路R01及び並列電路R02の両方が遮断された状態を「並列検証状態」という。
【0051】
平常状態において、アーク検出部AS1は、アークの発生を表す信号として、電流センサ65により電流のノイズレベルを検出してもよく、電圧センサ67により電圧のノイズレベルを検出してもよく、電圧センサ67により電圧の低下レベルを検出してもよい。直列検証状態において、アーク検出部AS1は、アークの発生を表す信号として、電流センサ65により電流のノイズレベルを検出してもよい。並列検証状態において、アーク検出部AS1は、電圧センサ67により電圧のノイズレベルを検出してもよく、電圧センサ67により電圧の低下レベルを検出してもよい。
【0052】
アーク検出部AS2(第2アーク検出部)は、ストリング3においてアークを検出する。一例として、アーク検出部AS2は、電流センサ66と、電圧センサ68とを有する。電流センサ66は、ストリング3に流れた電流を検出する。一例として、電流センサ66は、並列スイッチ64と正極入力端子52pとの間において正極中継線56pに設けられている。これにより、ストリング3に流れた電流を電流センサ66により検出することが可能となっている。電流センサ66は、並列スイッチ64と負極入力端子52nとの間において負極中継線56nに設けられていてもよい。この場合も、ストリング3に流れた電流を電流センサ66により検出することが可能となる。
【0053】
電圧センサ68は、ストリング3が電力変換回路43に印加した電圧を検出する。一例として、電圧センサ68は、正極入力端子52pと直列スイッチ63との間において、正極中継線56pと負極中継線56nとの間に設けられている。これにより、直列スイッチ63がオフ状態であっても、正極ストリング線33pと負極ストリング線33nとの間の電圧を検出することが可能となっている。
【0054】
アーク検出部AS2は、直列電路R11が導通し、並列電路R12が遮断された状態では、電流センサ66によりアークを検出し、電圧センサ68によってもアークを検出する。アーク検出部AS2は、直列電路R11が遮断され、並列電路R12が導通した状態では、電流センサ66によりアークを検出し、直列電路R11及び並列電路R12の両方が遮断された状態では、電圧センサ68によりアークを検出する。以下、直列電路R11が導通し、並列電路R12が遮断された状態を「平常状態」といい、直列電路R11が遮断され、並列電路R12が導通した状態を「第2直列検証状態」といい、直列電路R11及び並列電路R12の両方が遮断された状態を「第2並列検証状態」という。
【0055】
平常状態において、アーク検出部AS2は、アークの発生を表す信号として、電流センサ66により電流のノイズレベルを検出してもよく、電圧センサ68により電圧のノイズレベルを検出してもよく、電圧センサ68により電圧の低下レベルを検出してもよい。第2直列検証状態において、アーク検出部AS2は、アークの発生を表す信号として、電流センサ66により電流のノイズレベルを検出してもよい。第2並列検証状態において、アーク検出部AS2は、電圧センサ68により電圧のノイズレベルを検出してもよく、電圧センサ68により電圧の低下レベルを検出してもよい。
【0056】
コントローラ70は、アーク検出部AS1,AS2によるアークの検出結果に基づいて、直列スイッチ61、並列スイッチ62、直列スイッチ63及び並列スイッチ64のオン・オフを切り替える制御用コンピュータであり、アーク検出部AS1によりアークが検出された場合に、上記直列消弧制御及び上記並列消弧制御を実行することと、直列消弧制御及び並列消弧制御の後、上記直列検証状態にて、アーク検出部AS1によりアークが検出された場合にストリング2における直列アークの発生を検出することと、直列消弧制御及び並列消弧制御の後、上記並列検証状態にて、アーク検出部AS1によりアークが検出された場合にストリング2における並列アークの発生を検出することと、ストリング2における直列アークが検出された場合には並列電路R02を遮断し、ストリング2における並列アークが検出された場合には並列電路R02を導通させることと、を実行するように構成されている。例えばコントローラ70は、
図2に示すように、機能上の構成(以下、「機能ブロック」という。)として、消弧制御部71と、直列アーク検出部72と、保護制御部73と、並列アーク検出部75とを有する。
【0057】
消弧制御部71は、アーク検出部AS1によりアークが検出された場合に、上記直列消弧制御及び上記並列消弧制御を実行する。アーク検出部AS1によりアークが検出される場合の具体例としては、電流センサ65により検出された電流のノイズレベルが所定レベルを超える場合、電圧センサ67により検出された電圧のノイズレベルが所定レベルを超える場合、電圧センサ67により検出された電圧の低下レベルが所定レベルを超える場合等が挙げられる。
【0058】
消弧制御部71は、直列消弧制御の後に並列消弧制御を実行してもよく、並列消弧制御の後に直列消弧制御を実行してもよい。一例として、消弧制御部71は、直列消弧制御の後に並列消弧制御を実行する。この場合、並列消弧制御の実行後に保護装置50は上記直列検証状態となる。直列消弧制御において消弧制御部71は、例えば直列スイッチ61をオン状態からオフ状態に切り替える。並列消弧制御において、消弧制御部71は、例えば並列スイッチ62をオフ状態からオン状態に切り替える。
【0059】
アーク検出部AS1によりアークが検出された場合に、上記直列消弧制御及び上記並列消弧制御を実行するとは、アーク検出部AS1によりアークが検出された場合の少なくとも一部において、上記直列消弧制御及び上記並列消弧制御を実行することを意味する。このため、消弧制御部71は、アーク検出部AS1によりアークが検出された場合であっても、他の所定条件が満たされない場合には、上記直列消弧制御及び上記並列消弧制御を実行しなくてもよい。
【0060】
例えば消弧制御部71は、アーク検出部AS2によりアークが検出されず、且つアーク検出部AS1によりアークが検出された場合に、直列消弧制御及び並列消弧制御を実行し、アーク検出部AS1によりアークが検出されず、アーク検出部AS2によりアークが検出された場合には第2直列消弧制御及び第2並列消弧制御を実行してもよい。第2直列消弧制御は、上記直列電路R11を遮断する制御であり、第2並列消弧制御は、上記並列電路R12を導通させる制御である。アーク検出部AS2によりアークが検出された場合の具体例としては、電流センサ66により検出された電流のノイズレベルが所定レベルを超えた場合、電圧センサ68により検出された電圧のノイズレベルが所定レベルを超えた場合、電圧センサ68により検出された電圧の低下レベルが所定レベルを超えた場合等が挙げられる。
【0061】
消弧制御部71は、第2直列消弧制御の後に第2並列消弧制御を実行してもよく、第2並列消弧制御の後に第2直列消弧制御を実行してもよい。一例として、消弧制御部71は、第2直列消弧制御の後に第2並列消弧制御を実行する。第2直列消弧制御において消弧制御部71は、例えば直列スイッチ63をオン状態からオフ状態に切り替える。第2並列消弧制御において、消弧制御部71は、例えば並列スイッチ64をオフ状態からオン状態に切り替える。
【0062】
直列アーク検出部72は、直列消弧制御及び並列消弧制御の後、直列検証状態(直列電路R01が遮断され、並列電路R02が導通した状態)にて、アーク検出部AS1によりアークが検出された場合に、ストリング2における直列アークを検出する。直列アーク検出部72は、直列検証状態にて、所定長さの直列アーク待機期間が経過するまでアーク検出部AS1によるアークの検出を待機し、直列アーク待機期間内にアーク検出部AS1によりアークが検出された場合に、ストリング2における直列アークを検出してもよい。一例として、直列アーク検出部72は、直列消弧制御の後に並列消弧制御が実行されることで平常状態が直列検証状態となった後、アーク検出部AS1によるアークの検出を直列アーク待機期間が経過するまで待機し、直列アーク待機期間内にアーク検出部AS1によりアークが検出された場合に、ストリング2における直列アークを検出する。アーク検出部AS1によりアークが検出される場合の具体例としては、電流センサ65により検出された電流のノイズレベルが所定レベルを超える場合が挙げられる。
【0063】
直列アーク検出部72は、第2直列消弧制御及び第2並列消弧制御の後、第2直列検証状態(直列電路R11が遮断され、並列電路R12が導通した状態)にて、アーク検出部AS2によりアークが検出された場合に、ストリング3における直列アークを検出してもよい。直列アーク検出部72は、第2直列検証状態にて、所定長さの直列アーク待機期間が経過するまでアーク検出部AS2によるアークの検出を待機し、直列アーク待機期間内にアーク検出部AS2によりアークが検出された場合に、ストリング3における直列アークを検出してもよい。一例として、直列アーク検出部72は、第2直列消弧制御の後に第2並列消弧制御が実行されることで平常状態が第2直列検証状態となった後、アーク検出部AS2によるアークの検出を直列アーク待機期間が経過するまで待機し、直列アーク待機期間内にアーク検出部AS2によりアークが検出された場合に、ストリング3における直列アークを検出する。アーク検出部AS2によりアークが検出される場合の具体例としては、電流センサ66により検出された電流のノイズレベルが所定レベルを超える場合が挙げられる。
【0064】
並列アーク検出部75は、直列消弧制御及び並列消弧制御の後、並列検証状態(直列電路R01及び並列電路R02の両方が遮断された状態)にて、アーク検出部AS1によりアークが検出された場合にストリング2における並列アークを検出する。並列アーク検出部75は、並列検証状態にて、所定長さの並列アーク待機期間が経過するまでアーク検出部AS1によるアークの検出を待機し、並列アーク待機期間内にアーク検出部AS1によりアークが検出された場合に、ストリング2における並列アークを検出してもよい。一例として、並列アーク検出部75は、アーク検出部AS1によりアークが検出されることなく直列アーク待機期間が経過した場合に、並列スイッチ62をオン状態からオフ状態に切り替えて並列電路R02を遮断した後、アーク検出部AS1によるアークの検出を並列アーク待機期間が経過するまで待機し、並列アーク待機期間内にアーク検出部AS1によりアークが検出された場合に、ストリング2における並列アークを検出する。アーク検出部AS1によりアークが検出される場合の具体例としては、電圧センサ67により検出された電圧のノイズレベルが所定レベルを超える場合、電圧センサ67により検出された電圧の低下レベルが所定レベルを超える場合等が挙げられる。
【0065】
ストリング2において並列アークが生じている場合、ストリング2には電流が流れるが、直列電路R01及び並列電路R02の両方が遮断された並列検証状態においては、並列アークに起因する電流ノイズを電流センサ65で検出するのは困難である。一方、並列アークに起因する電圧ノイズは電圧センサ67により検出可能である。このため、電流センサ65及び電圧センサ67を含むアーク検出部AS1によれば、ストリング2における並列アークをより高い信頼性で検出することができる。
【0066】
並列アーク検出部75は、第2直列消弧制御及び第2並列消弧制御の後、第2並列検証状態(直列電路R11及び並列電路R12の両方が遮断された状態)にて、アーク検出部AS2によりアークが検出された場合にストリング3における並列アークを検出する。並列アーク検出部75は、第2並列検証状態にて、所定長さの並列アーク待機期間が経過するまでアーク検出部AS2によるアークの検出を待機し、並列アーク待機期間内にアーク検出部AS2によりアークが検出された場合に、ストリング3における並列アークを検出してもよい。一例として、並列アーク検出部75は、アーク検出部AS2によりアークが検出されることなく直列アーク待機期間が経過した場合に、並列スイッチ64をオン状態からオフ状態に切り替えて並列電路R12を遮断した後、アーク検出部AS2によるアークの検出を並列アーク待機期間が経過するまで待機し、並列アーク待機期間内にアーク検出部AS2によりアークが検出された場合に、ストリング3における並列アークを検出する。アーク検出部AS2によりアークが検出される場合の具体例としては、電圧センサ68により検出された電圧のノイズレベルが所定レベルを超える場合、電圧センサ68により検出された電圧の低下レベルが所定レベルを超える場合等が挙げられる。
【0067】
保護制御部73は、ストリング2における直列アークが検出された場合には並列スイッチ62をオン状態からオフ状態に切り替えて並列電路R02を遮断し、ストリング2における並列アークが検出された場合には並列スイッチ62をオフ状態からオン状態に切り替えて並列電路R02を導通させる。保護制御部73は、ストリング3における直列アークが検出された場合には並列スイッチ64をオン状態からオフ状態に切り替えて並列電路R12を遮断し、ストリング3における並列アークが検出された場合には並列スイッチ64をオフ状態からオン状態に切り替えて並列電路R12を導通させる。
【0068】
コントローラ70は、復帰制御部76を更に有してもよい。復帰制御部76は、直列検証状態にて、アーク検出部AS1によりアークが検出されることなく直列アーク待機期間が経過し、並列検証状態にて、アーク検出部AS1によりアークが検出されることなく並列アーク待機期間が経過した場合に、直列スイッチ61をオフ状態からオン状態に切り替えて直列電路R01を導通させる。復帰制御部76は、第2直列検証状態にて、アーク検出部AS2によりアークが検出されることなく直列アーク待機期間が経過し、第2並列検証状態にて、アーク検出部AS2によりアークが検出されることなく並列アーク待機期間が経過した場合に、直列スイッチ63をオフ状態からオン状態に切り替えて直列電路R11を導通させる。
【0069】
図3は、コントローラ70のハードウェア構成を例示するブロック図である。
図3に示すように、コントローラ70は、回路710を有する。回路710は、プロセッサ711と、メモリ712と、ストレージ713と、入出力ポート714とを含む。ストレージ713は、例えば不揮発性の半導体メモリ等、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を有する。ストレージ713は、アーク検出部AS1によりアークが検出された場合に、上記直列消弧制御及び上記並列消弧制御を実行することと、直列消弧制御及び並列消弧制御の後、上記直列検証状態にて、アーク検出部AS1によりアークが検出された場合にストリング2における直列アークの発生を検出することと、直列消弧制御及び並列消弧制御の後、上記並列検証状態にて、アーク検出部AS1によりアークが検出された場合にストリング2における並列アークの発生を検出することと、ストリング2における直列アークが検出された場合には並列電路R02を遮断し、ストリング2における並列アークが検出された場合には並列電路R02を導通させることと、を回路710に実行させるためのプログラムを記憶している。例えばストレージ713は、コントローラ70の各機能ブロックを回路710に構成させるためのプログラムを記憶していてもよい。
【0070】
メモリ712は、ストレージ713の記憶媒体からロードしたプログラム及びプロセッサ711による演算結果を一時的に記憶する。プロセッサ711は、メモリ712と協働して上記プログラムを実行することで、コントローラ70の各機能ブロックを構成する。入出力ポート714は、プロセッサ711からの指令に応じて、直列スイッチ61,63、並列スイッチ62,64、電流センサ65,66、電圧センサ67,68との間で電気信号の入出力を行う。
【0071】
なお、コントローラ70は、必ずしもプログラムにより各機能ブロックを構成するものに限られない。例えばコントローラ70の各機能ブロックは、専用の論理回路又はこれを集積したASIC(Application Specific Integrated Circuit)により構成されていてもよい。
【0072】
図4は、発電システム1の変形例を示す模式図である。この発電システム1は、アーク検出部AS1の電圧センサ67をバイパス回路67Aに置き換え、アーク検出部AS2の電圧センサ68をバイパス回路68Aに置き換えたものである。すなわち、
図4において、アーク検出部AS1は電流センサ65とバイパス回路67Aとを含み、アーク検出部AS2は電流センサ66とバイパス回路68Aとを含む。
【0073】
バイパス回路67Aは、直列電路R01及び並列電路R02の両方が遮断された状態においても電流センサ65を経てストリング2に交流電流を流す。このため、直列電路R01及び並列電路R02が遮断された並列検証状態においても、ストリング2における並列アークに起因する電流ノイズを電流センサ65において検出することが可能となる。例えばバイパス回路67Aは、電流センサ65と直列スイッチ61との間において、正極中継線55pと負極中継線55nとの間に設けられており、正極中継線55pと負極中継線55nとの間に交流電流を流す。
【0074】
同様に、バイパス回路68Aは、直列電路R11及び並列電路R12の両方が遮断された状態においても電流センサ66を経てストリング3に交流電流を流す。例えばバイパス回路68Aは、電流センサ66と直列スイッチ63との間において、正極中継線56pと負極中継線56nとの間に設けられており、正極中継線56pと負極中継線56nとの間に交流電流を流す。
【0075】
図5に示すように、バイパス回路67A,68Aのそれぞれは、互いに直列に接続されたリアクトル611と、コンデンサ612と、抵抗613とを含んでいてもよい。これにより、バイパス回路67A,68Aを経て電流センサ65,66に伝わる電流ノイズの周波数帯域を自在に調節することが可能となる。
【0076】
図6は、発電システム1の他の変形例を示す模式図である。
図6に示す発電システム1Aは、パワーコンディショニングシステム40Aが、一つのコンバータ回路44しか有しない点で発電システム1と異なる。以下、発電システム1Aの構成を例示する。
【0077】
発電システム1Aは、電力変換システム4に代えて電力変換システム4Aを備える。電力変換システム4Aは、パワーコンディショニングシステム40Aと、接続箱90と、保護装置50Aとを有する。
【0078】
パワーコンディショニングシステム40Aは、電力変換回路43Aを有する。電力変換回路43Aは、電力変換回路43と同様にコンバータ回路44とインバータ回路46とを有するが、コンバータ回路45を有しない。このためパワーコンディショニングシステム40Aは、コンバータ回路44に対応する正極入力端子41p及び負極入力端子41nを有するが、コンバータ回路45に対応する正極入力端子42p及び負極入力端子42nを有しない。
【0079】
接続箱90は、ストリング2が正極ストリング線23p及び負極ストリング線23nに出力した直流電力と、ストリング3が正極ストリング線33p及び負極ストリング線33nに出力した直流電力とを一まとめにしてパワーコンディショニングシステム40Aに入力する。
【0080】
例えば接続箱90は、正極入力端子91pと、負極入力端子91nと、正極入力端子92pと、負極入力端子92nと、正極出力端子93pと、負極出力端子93nとを有する。正極入力端子91pは保護装置50Aを介して正極ストリング線23pに接続され、負極入力端子91nは保護装置50Aを介して負極ストリング線23nに接続される。正極入力端子92pは保護装置50Aを介して正極ストリング線33pに接続され、負極入力端子92nは保護装置50Aを介して負極ストリング線33nに接続される。
【0081】
正極出力端子93pは正極幹線85pによりパワーコンディショニングシステム40Aの正極入力端子41pに接続され、負極出力端子93nは負極幹線85nによりパワーコンディショニングシステム40Aの負極入力端子41nに接続される。正極中継線94pは接続箱90内において正極入力端子91pと正極出力端子93pとを接続し、負極中継線94nは接続箱90内において負極入力端子91nと負極出力端子93nとを接続する。正極中継線95pは接続箱90内において正極入力端子92pと正極出力端子93pとを接続し、負極中継線95nは接続箱90内において負極入力端子92nと負極出力端子93nとを接続する。
【0082】
接続箱90は、第1ダイオード97と第2ダイオード98とを更に有する。第1ダイオード97は、ストリング3からストリング2への電流をブロックする。例えば第1ダイオード97は、正極中継線94pに設けられ、正極出力端子93pから正極入力端子91pへの電流をブロックする。第2ダイオード98は、ストリング2からストリング3への電流をブロックする。例えば第2ダイオード98は、正極中継線95pに設けられ、正極出力端子93pから正極入力端子92pへの電流の逆流をブロックする。
【0083】
このように、各ストリングが逆流防止用のダイオードを有する場合、平常状態においても、電流センサ65,66による並列アークの検出が困難となる場合がある。例えばストリング2において並列アークが生じると、正極ストリング線23pと負極ストリング線23nとの間の直流電圧が正極ストリング線33pと負極ストリング線33nとの間の直流電圧に比較して低くなるので、第1ダイオード97に、負極21nから正極21pへの逆バイアス電圧が作用することとなる。これにより、正極中継線94p及び正極中継線55pを電流が流れず、正極中継線55pに設けられた電流センサ65では並列アークを検出し難くなる。このような場合であっても、電圧センサ67,68によれば、並列アークを検出することができる。このため、アーク検出部AS1が電流センサ65と電圧センサ67とを含み、アーク検出部AS2が電流センサ66と電圧センサ68とを含むことがより有益である。また、電圧センサ67,68に代えてバイパス回路67A,68Aを含むアーク検出部AS1,AS2によっても、ダイオードの影響を受けることなく並列アークを検出することが可能となる。このため、
図6に示す発電システム1Aにおいても、電圧センサ67,68をバイパス回路67A,68Aに置き換えることが可能である。
【0084】
発電システム1Aにおいては、正極幹線85p及び負極幹線85nでアークが生じることも想定される。平常状態において、アーク検出部AS1によりアークが検出され、且つアーク検出部AS2によりアークが検出される場合、ストリング2又はストリング3ではなく、正極幹線85p及び負極幹線85nにおいてアークが生じていることが疑われる。この場合、ストリング2及びストリング3の両方から正極幹線85p及び負極幹線85nへの電力供給を遮断する必要がある。そこで保護制御部73は、平常状態において、アーク検出部AS1によりアークが検出され、且つアーク検出部AS2によりアークが検出された場合に、直列スイッチ61をオン状態からオフ状態に切り替え、直列スイッチ63をオン状態からオフ状態に切り替えて直列電路R01,R11の両方を遮断してもよい。
【0085】
なお、
図7に示すように、接続箱90の構成がパワーコンディショニングシステム40Aに組み込まれていてもよい。
【0086】
〔保護手順〕
続いて、太陽光発電システムの保護方法の一例として、コントローラ70が実行する保護手順を例示する。以下に示す手順は、平常状態(直列電路R01,R11が導通し、並列電路R02,R12が遮断された状態)で開始される。
【0087】
この手順は、アーク検出部AS1によりアークが検出された場合に、上記直列消弧制御及び上記並列消弧制御を実行することと、直列消弧制御及び並列消弧制御の後、上記直列検証状態にて、アーク検出部AS1によりアークが検出された場合にストリング2における直列アークの発生を検出することと、直列消弧制御及び並列消弧制御の後、上記並列検証状態にて、アーク検出部AS1によりアークが検出された場合にストリング2における並列アークの発生を検出することと、ストリング2における直列アークが検出された場合には並列電路R02を遮断し、ストリング2における並列アークが検出された場合には並列電路R02を導通させることと、を含む。
【0088】
例えば
図8に示すように、コントローラ70は、まずステップS01を実行する。ステップS01では、消弧制御部71が、アーク検出部AS1,AS2の少なくともいずれかによりアークが検出されるのを待機する。ステップS01において、アーク検出部AS1,AS2の少なくともいずれかによりアークは検出されていると判定した場合、コントローラ70はステップS03を実行する。ステップS03では、消弧制御部71が、アーク検出部AS1により検出されたアークのレベル(例えば電流のノイズレベル、電圧のノイズレベル又は電圧の低下レベル)が、アーク検出部AS2により検出されたアークのレベルよりも大きいか否かを確認する。
【0089】
ステップS03において、アーク検出部AS1により検出されたアークのレベルが、アーク検出部AS2により検出されたアークのレベルよりも大きいと判定した場合、コントローラ70はステップS05に示すストリング2の保護手順を実行する。ステップS05の具体的手順は後述する。
【0090】
ステップS01において、アーク検出部AS2により検出されたアークのレベルが、アーク検出部AS1により検出されたアークのレベルより大きいと判定した場合、コントローラ70はステップS07に示すストリング3の保護手順を実行する。ステップS07の具体的手順は後述する。
【0091】
図9は、ステップS05における保護手順を示すフローチャートである。ステップS05におけるアーク検出処理と、ステップS07におけるアーク検出処理とは、対象がストリング2であるかストリング3であるかが相違するのみで、手順は共通である。そこで、ステップS05の具体的手順を例示し、ステップS07の具体的手順の例示は省略する。
【0092】
図9に示すように、コントローラ70は、まずステップS11,S12,S14を実行する。ステップS11では、消弧制御部71が、直列スイッチ61及び並列スイッチ62の両方をオフ状態とする。ステップS12では、消弧制御部71が、並列スイッチ62をオフ状態からオン状態に切り替えることで並列電路R02を導通させる。
【0093】
ステップS14では、直列アーク検出部72が、アーク検出部AS1によりアークが検出されていないか否かを確認する。例えば直列アーク検出部72は、電流センサ65により検出された電流のノイズレベルが所定レベル以下であるか否かを確認する。
【0094】
ステップS14において、アーク検出部AS1によりアークは検出されていないと判定した場合、コントローラ70はステップS15を実行する。ステップS15では、ステップS12の実行後から上記直列アーク待機期間が経過したか否かを、直列アーク検出部72が確認する。
【0095】
ステップS15において直列アーク待機期間が経過していないと判定した場合、コントローラ70は処理をステップS14に戻す。以後、直列アーク待機期間が経過するか、アーク検出部AS1によりアークが検出されるまで、コントローラ70はステップS14,S15を繰り返す。
【0096】
ステップS14において、アーク検出部AS1によりアークが検出されていると判定した場合、コントローラ70はステップS16を実行する。ステップS16では、直列アーク検出部72が直列アークを検出し、保護制御部73が、並列スイッチ62をオン状態からオフ状態に切り替えて並列電路R02を遮断する。その後、コントローラ70は処理をステップS01に戻す。
【0097】
ステップS15において直列アーク待機期間が経過したと判定した場合、コントローラ70はステップS21,S23を実行する。ステップS21では、並列消弧制御部74が、並列スイッチ62をオン状態からオフ状態に切り替えて並列電路R02を遮断する。ステップS23では、並列アーク検出部75が、アーク検出部AS1によりアークが検出されていないか否かを確認する。例えば並列アーク検出部75は、電圧センサ67により検出された電圧のノイズレベル又は電圧センサ67により検出された電圧の低下レベルが所定レベル(図中の閾値)以下であるか否かを確認する。
【0098】
ステップS23において、アーク検出部AS1によりアークは検出されていないと判定した場合、コントローラ70はステップS24を実行する。ステップS24では、ステップS21の実行後から上記並列アーク待機期間が経過したか否かを、並列アーク検出部75が確認する。
【0099】
ステップS24において並列アーク待機期間が経過していないと判定した場合、コントローラ70は処理をステップS23に戻す。以後、並列アーク待機期間が経過するか、アーク検出部AS1によりアークが検出されるまで、コントローラ70はステップS23,S24を繰り返す。
【0100】
ステップS23において、アーク検出部AS1によりアークが検出されていると判定した場合、コントローラ70はステップS25を実行する。ステップS25では、並列アーク検出部75が並列アークを検出し、保護制御部73が、並列スイッチ62をオフ状態からオン状態に切り替えて並列電路R02を導通させる。その後、コントローラ70は処理をステップS01に戻す。
【0101】
ステップS24において並列アーク待機期間が経過したと判定した場合、コントローラ70はステップS26を実行する。ステップS26では、復帰制御部76が、直列スイッチ61をオフ状態からオン状態に切り替えて直列電路R01を導通させる。その後、コントローラ70は処理をステップS01に戻す。以上でストリング2の保護手順が完了する。コントローラ70は、ステップS16,S25,S26のいずれの後も、処理をステップS01に戻すので、直列アーク又は並列アークが検出された場合も、ストリング2におけるアークの監視は継続される。このため、直列アーク又は並列アークの検出結果に万一誤りが生じた場合であっても、その後の監視結果に基づいてストリング2に対する保護手順が適宜実行されることとなる。
【0102】
一例として、アーク検出部AS1が電圧センサ67における電圧の低下レベルに基づいてアークを検出する場合、正極ストリング線23p又は負極ストリング線23nの断線を、並列アークとして検出してしまう可能性がある。この場合、断線箇所で直列アークが発生する可能性がある。このような場合も、再度
図9の手順が実行されることによって、直列アークによる発熱からストリング2が保護される。
【0103】
コントローラ70は、直列アーク又は並列アークを検出し、ステップS16又はステップS25を実行した場合であっても、所定時間が経過した後にストリング2を平常状態に戻す強制復帰処理を更に実行するように構成されていてもよい。また、コントローラ70は、所定復帰状況監視期間(例えば24時間)以内に、強制復帰処理の実行回数が所定回数(例えば5回)に達した後は、強制復帰処理を行わないように構成されていてもよい。強制復帰処理を行うことにより、ストリング2,3を十分に活用することができる。
【0104】
上述したように、直列スイッチ61,63は、直列スイッチ63が直列スイッチ61に連動してオン・オフを切り替え、直列スイッチ61が直列スイッチ63に連動してオン・オフを切り替えるように構成されていてもよい。並列スイッチ62,64は、並列スイッチ64が並列スイッチ62に連動してオン・オフを切り替え、並列スイッチ62が並列スイッチ64に連動してオン・オフを切り替えるように構成されていてもよい。このように、ストリング2用のスイッチと、ストリング3用のスイッチとが連動する場合、ストリング2に対しステップS05の保護手順を実行すれば、ストリング3に対しても同じ手順が同時に実行されることとなる。ストリング3に対しステップS07の保護手順を実行すれば、ストリング2に対しても同じ手順が同時に実行されることとなる。
【0105】
上述したように、発電システム1Aにおいては、正極幹線85p及び負極幹線85nでアークが生じることも想定される。これも考慮した保護手順を例示する。
図10に示すように、コントローラ70は、まず上述のステップS01を実行し、次にステップS02を実行する。ステップS02では、アーク検出部AS1により検出されたアークのレベルと、アーク検出部AS2により検出されたアークのレベルとが同等であるか否かを消弧制御部71が確認する。例えば消弧制御部71は、アーク検出部AS1により検出されたアークのレベルと、アーク検出部AS2により検出されたアークのレベルとの差が、所定値以下であるか否かを確認する。
【0106】
ステップS02において、アーク検出部AS1により検出されたアークのレベルと、アーク検出部AS2により検出されたアークのレベルとが同等であると判定した場合、コントローラ70はステップS04を実行する。ステップS04では、保護制御部73が、直列スイッチ61をオン状態からオフ状態に切り替えて直列電路R01を遮断し、直列スイッチ63をオン状態からオフ状態に切り替えて直列電路R11を遮断する。その後、コントローラ70は処理をステップS01に戻す。ステップS02において、アーク検出部AS1により検出されたアークのレベルと、アーク検出部AS2により検出されたアークのレベルとが同等ではないと判定した場合、コントローラ70は、上述したストリング2,3の保護手順(ステップS03,S05,S07)を実行する。
【0107】
〔本実施形態の効果〕
以上に説明したように、保護装置50は、電力変換回路43(負荷)に接続されたストリング2において、アークを検出するアーク検出部AS1と、アーク検出部AS1によりアークが検出された場合に、電力変換回路43を経てストリング2に電流を流す直列電路R01を遮断する直列消弧制御と、電力変換回路43を経ずにストリング2に電流を流す並列電路R02を導通させる並列消弧制御とを実行する消弧制御部と、直列消弧制御及び並列消弧制御の後、直列電路R01が遮断され、並列電路R02が導通した状態にて、アーク検出部AS1によりアークが検出された場合にストリング2における直列アークを検出する直列アーク検出部72と、直列消弧制御及び並列消弧制御の後、直列電路R01及び並列電路R02の両方が遮断された状態にて、アーク検出部AS1によりアークが検出された場合にストリング2における並列アークを検出する並列アーク検出部75と、ストリング2における直列アークが検出された場合には並列電路R02を遮断し、ストリング2における並列アークが検出された場合には並列電路R02を導通させる保護制御部73と、を備える。
【0108】
ストリング2において直列アークが生じた場合には、直列電路R01及び並列電路R02の両方を遮断する必要がある。一方、ストリング2において並列アークが生じた場合には、並列電路R02を導通させる必要がある。このように、直列アークが発生したか、並列アークが発生したかによって、ストリング2をいかに保護すべきかが異なるので、ストリング2において生じたのが直列アークであるか、並列アークであるかを高い信頼性で識別することが重要である。
【0109】
これに対し、保護装置50によれば、直列消弧制御及び並列消弧制御の後、直列電路R01が遮断され、並列電路R02が導通した状態にて、アーク検出部AS1によりアークが検出された場合にストリング2における直列アークの発生が検出される。直列電路R01が遮断され、並列電路R02が導通した状態において、並列アークは発生しない。このような状態でのアークの検出結果に基づくことで、直列アークを高い信頼性で検出することができる。また、直列消弧制御及び並列消弧制御の後、直列電路R01及び並列電路R02の両方が遮断された状態にて、アーク検出部AS1によりアークが検出された場合にストリング2における並列アークの発生が検出される。直列電路R01及び並列電路R02の両方が遮断された状態において、直列アークは発生しない。このような状態でのアークの検出結果に基づくことで、並列アークを高い信頼性で検出することができる。
【0110】
直列アークが検出された場合には、直列電路R01及び並列電路R02の両方が遮断され、並列アークが検出された場合には、並列電路R02が導通させられる。直列アークであるか並列アークであるかの高い信頼性での識別結果に基づくことで、ストリング2をアークによる発熱から高い信頼性で保護することができる。従って、発電システム1をアークによる発熱から高い信頼性で保護するのに有効である。
【0111】
直列アーク検出部72は、直列電路R01が遮断され、並列電路R02が導通した状態にて、所定長さの直列アーク待機期間が経過するまでアーク検出部AS1によるアークの検出を待機し、並列アーク検出部75は、直列電路及び並列電路の両方が遮断された状態にて、所定長さの並列アーク待機期間が経過するまでアーク検出部AS1によるアークの検出を待機してもよい。この場合、アーク検出の待機時間に制限を設けることで、直列アークであるか、並列アークであるかの識別を迅速に行うことができる。
【0112】
消弧制御部71は、直列消弧制御の後に並列消弧制御を実行し、直列アーク検出部72は、並列消弧制御の後、アーク検出部AS1によるアークの検出を直列アーク待機期間が経過するまで待機し、並列アーク検出部75は、アーク検出部AS1によりアークが検出されることなく直列アーク待機期間が経過した場合に、並列電路R02を遮断した後、アーク検出部AS1によるアークの検出を並列アーク待機期間が経過するまで待機してもよい。この場合、並列電路R02の遮断及び形成との切り替え回数を削減し、直列アークであるか、並列アークであるかの識別をより効率的に行うことができる。
【0113】
保護装置50は、アーク検出部AS1によりアークが検出されることなく直列アーク待機期間が経過し、アーク検出部AS1によりアークが検出されることなく並列アーク待機期間が経過した場合に、直列電路R01を導通させる復帰制御部76を更に備えていてもよい。この場合、直列アーク待機期間内に直列アークが検出されず、並列アーク待機期間内に並列アークが検出されなかった場合にストリング2を電力変換回路43に再接続し、ストリング2を有効活用することができる。
【0114】
保護装置50は、電力変換回路43に接続されたストリング3において、アークを検出するアーク検出部AS2を更に備え、消弧制御部71は、アーク検出部AS2によりアークが検出されず、アーク検出部AS1によりアークが検出された場合に、直列消弧制御及び並列消弧制御を実行し、アーク検出部AS1によりアークが検出されず、アーク検出部AS2によりアークが検出された場合に、電力変換回路43を経てストリング3に電流を流す直列電路R11を遮断する第2直列消弧制御と、電力変換回路43を経ずにストリング3に電流を流す並列電路R12を導通させる第2並列消弧制御とを実行し、直列アーク検出部72は、第2直列消弧制御及び第2並列消弧制御の後、直列電路R11が遮断され、並列電路R12が導通した状態にて、アーク検出部AS2によりアークが検出された場合にストリング3における直列アークを検出し、並列アーク検出部75は、第2直列消弧制御及び第2並列消弧制御の後、第2直列電路及び第2並列電路の両方が遮断された状態にて、アーク検出部AS2によりアークが検出された場合にストリング3における並列アークを検出し、保護制御部73は、ストリング3における直列アークが検出された場合には並列電路R12を遮断し、ストリング3における並列アークが検出された場合には並列電路R12を導通させてもよい。この場合、ストリング2におけるアークと、ストリング3におけるアークとをより高い信頼性で識別し、発電システム1をアークによる発熱から適切に保護することができる。
【0115】
保護制御部73は、アーク検出部AS1によりアークが検出され、アーク検出部AS2によりアークが検出された場合に、直列電路R01及び直列電路R11の両方を遮断してもよい。この場合、ストリング2及びストリング3の両方に影響を及ぼす箇所におけるアークによる発熱からも、発電システム1を適切に保護することができる。
【0116】
アーク検出部AS1は、ストリング2に流れた電流を検出する電流センサ65と、ストリング2が電力変換回路43に印加した電圧を検出する電圧センサ67と、を含み、直列電路R01が遮断され、並列電路R02が導通した状態では、電流センサ65によりアークを検出し、直列電路R01及び並列電路R02の両方が遮断された状態では、電圧センサ67によりアークを検出してもよい。この場合、電流センサ65と電圧センサ67とを併用することで、より高い信頼性でアークを検出することができる。
【0117】
アーク検出部AS1は、電圧センサ67により電圧のノイズレベルを検出してもよい。この場合、並列アークを容易に検出することができる。
【0118】
アーク検出部AS1は、電圧センサ67により電圧の低下レベルを検出してもよい。この場合、並列アークを容易に検出することができる。
【0119】
アーク検出部AS1は、ストリング2に流れた電流を検出する電流センサ65と、直列電路R01及び並列電路R02の両方が遮断された状態においても電流センサ65を経てストリング2に交流電流を流すバイパス回路67Aと、を含んでいてもよい。ストリング2がダイオードを介して電力変換回路43に接続される場合、ダイオードの影響により、並列アークに起因するノイズ電流が電流センサ65に伝わり難くなる場合がある。これに対し、バイパス回路67Aを含むアーク検出部AS1によれば、並列アークに起因するノイズ電流を電流センサ65に伝わり易くし、並列アークをより高い信頼性で検出することができる。
【0120】
バイパス回路67Aは、互いに直列に接続されたリアクトル611、コンデンサ612及び抵抗613を含んでいてもよい。この場合、バイパス回路67Aを経て電流センサ65に伝わる電流ノイズの周波数帯域を、並列アークが生じた場合の周波数帯域に合わせることで、並列アークをより高い信頼性で検出することができる。
【0121】
以上、実施形態について説明したが、本開示は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。例えば、以上においては、発電システムが二つのストリングを備える場合を示し、ストリング2,3に対する直列アークの検出処理、ストリング2,3に対する並列アークの検出処理、及びストリング2,3で検出された直列アーク又は並列アークに対する保護処理を例示したが、ストリングの数は二つに限られない。発電システムは少なくとも一つのストリングを備えていればよく、三つ以上のストリングを備えていてもよい。三つ以上のストリングを備える発電システムにおいて、保護装置は、ストリング2,3に対する直列アークの検出処理、ストリング2,3に対する並列アークの検出処理、及びストリング2,3で検出された直列アーク又は並列アークに対する保護処理と同様の処理を三つ目以降のストリングに対しても実行するように構成される。
【符号の説明】
【0122】
2…ストリング(太陽電池ストリング)、3…ストリング(第2太陽電池ストリング)、4,4A…電力変換システム、43,43A…電力変換回路(負荷)、50,50A…保護装置、65,66…電流センサ、67,68…電圧センサ、67A,68A…バイパス回路、71…消弧制御部、72…直列アーク検出部、73…保護制御部、75…並列アーク検出部、76…復帰制御部、611…リアクトル、612…コンデンサ、613…抵抗、AS1…アーク検出部、AS2…アーク検出部(第2アーク検出部)、R01…直列電路、R02…並列電路、R11…直列電路(第2直列電路)、R12…並列電路(第2並列電路)。