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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】検査装置、及び、画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/12 20060101AFI20240814BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
B65H7/12
G03G15/00 481
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020199324
(22)【出願日】2020-12-01
(65)【公開番号】P2022087405
(43)【公開日】2022-06-13
【審査請求日】2023-06-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢後 裕章
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-183605(JP,A)
【文献】特開2012-119797(JP,A)
【文献】特開平02-243443(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/12
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送経路上を搬送されている記録材を読み取って前記記録材の読取画像データを生成する読取部と、
前記読取画像データを基に、前記記録材の搬送状態を検出する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記読取部で読み取った前記読取画像データを取得する画像取得部と、
前記画像取得部で取得した前記読取画像データを解析し、前記記録材の画像情報を取得する解析部と、
前記解析部で解析された前記画像情報から所定のパラメータを取得して、前記所定のパラメータに基づいて前記記録材の搬送状態を検出する検出部と、を有し、
前記解析部は、前記画像情報として、搬送される前記記録材の一方の面に形成された第1の模様と、前記記録材の他方の面に形成された第2の模様とを取得し、
前記検出部は、前記所定のパラメータとして前記第1の模様と前記第2の模様との特徴を取得し、前記第1の模様と前記第2の模様との特徴を比較することにより、前記記録材の搬送状態を検出する
検査装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記搬送状態の異常を検出する基準となる基準パラメータを記憶する記憶部を有し、
前記検出部は、前記画像情報から取得した前記所定のパラメータと、前記基準パラメータと比較して前記搬送状態の異常を検出する
請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記検出部は、前記所定のパラメータとして前記画像情報から検出された前記記録材の寸法を取得し、前記基準パラメータとして予め設定された前記記録材の寸法を取得する
請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記検出部は、前記記録材の寸法として前記記録材の搬送送向の長さを取得する
請求項3に記載の検査装置。
【請求項5】
前記検出部は、前記記録材の寸法として前記記録材の搬送送向と直交する方向の長さを取得する
請求項3又は4に記載の検査装置。
【請求項6】
前記検出部は、前記搬送状態の異常として、前記記録材の重送を検出する
請求項1から5のいずれかに記載の検査装置。
【請求項7】
前記検出部が前記記録材の重送を検出した場合に、
前記検出部は、前記記録材同士が重なる部分で前記記録材の端部を検出した場合に、前記記録材同士がずれた状態で重送されていると判定する
請求項6に記載の検査装置。
【請求項8】
記録材に画像を形成する画像形成装置と、前記画像形成装置に搬送される記録材の搬送状態を検出する検査装置とを備える画像形成システムであって、
前記検査装置は、
搬送経路上を搬送されている記録材を読み取って前記記録材の読取画像データを生成する読取部と、
前記読取画像データを基に、前記記録材の搬送状態を検出する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記読取部で読み取った前記読取画像データを取得する画像取得部と、
前記画像取得部で取得した前記読取画像データを解析し、前記記録材の画像情報を取得する解析部と、
前記解析部で解析された前記画像情報から所定のパラメータを取得して、前記所定のパラメータに基づいて前記記録材の搬送状態を検出する検出部と、を有し、
前記解析部は、前記画像情報として、搬送される前記記録材の一方の面に形成された第1の模様と、前記記録材の他方の面に形成された第2の模様とを取得し、
前記検出部は、前記所定のパラメータとして前記第1の模様と前記第2の模様との特徴を取得し、前記第1の模様と前記第2の模様との特徴を比較することにより、前記記録材の搬送状態を検出する
画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録材の搬送状態を検出する検査装置、及び、この検査装置を備える画像形成システムに係わる。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置では、給紙部から搬送路に沿って記録材が画像形成部に搬送される。記録材を自動給紙する給紙部を持つ画像形成装置においては、記録材を一枚ずつ分離して画像形成部に搬送する必要があるが、給紙部での分離機構の性能を向上させても、一度に複数枚の記録材を重ねて搬送する重送が発生する。
記録材の搬送において、重送が発する場合、記録材が搬送中に詰まる、いわゆるジャムが発生する可能性がある。また、ジャムを起こさずに搬送できた場合にも、重送状態の記録材に対してそのまま画像形成を行うと、ユーザーの意図と異なる出力物になってしまう。そこで、給紙部と画像形成部との間の搬送経路上に重送を検知するための光学素子や超音波素子等の検知センサーを設ける構成の画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-142699号公報
【文献】特開平6-183605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記構成の画像形成装置では、検知センサーを用いて記録材の重送を検知できるが、重送されている記録材同士が重なる量や、どちらの記録材が搬送方向の前方に位置するか等の記録材の搬送状態を把握することができない。
【0005】
上述した問題の解決のため、本発明においては、重送されている記録材の搬送状態を検出することが可能な検査装置、及び、画像形成システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の検査装置は、搬送経路上を搬送されている記録材を読み取って記録材の読取画像データを生成する読取部と、読取画像データを基に記録材の搬送状態を検出する制御部とを備える。制御部は、読取部で読み取った読取画像データを取得する画像取得部と、画像取得部で取得した読取画像データを解析し、記録材の画像情報を取得する解析部と、解析部で解析された画像情報から所定のパラメータを取得して、記録材の搬送状態を検出する検出部とを有する。
また、本発明の画像形成システムは、記録材に画像を形成する画像形成装置と、画像形成装置に搬送される記録材の搬送状態を検出する検査装置とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、重送されている記録材の搬送状態を検出することが可能な検査装置、及び、画像形成システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】画像形成システムの概略構成を示す図である。
図2】画像形成システムに含まれる各装置の構成を示すブロック図である。
図3】第1検査装置の制御部の機能構成のブロック図である。
図4】第1検査装置で実行される記録材の検査方法のフローチャートである。
図5】重送する記録材と、記録材の端部との位置関係を表す図である。
図6】重送する記録材と、記録材の端部との位置関係を表す図である。
図7】第1検査装置で実行される記録材の検査方法のフローチャートである。
図8】検出部が所定のパラメータとして取得する記録材の模様の例を示す図である。
図9】検出部が所定のパラメータとして取得する記録材の模様の例を示す図である。
図10】検出部が所定のパラメータとして取得する記録材の模様の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態の例を説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.画像形成システム
2.検査装置
【0010】
〈1.画像形成システム〉
以下、本発明の画像形成システムの具体的な実施の形態について説明する。図1に、本実施の形態の画像形成システムの概略構成図を示す。また、図2に、画像形成システムを構成する各装置のブロック図を示す。なお、図1図2に示す画像形成システムの構成は一例であり、更に多くの装置が連結されていてもよい。
【0011】
図1及び図2に示す画像形成システムは、給紙装置300、第1検査装置200、画像形成装置100、第2検査装置400、及び、後処理装置500が、記録材の搬送方向に沿って配置されている。
【0012】
図1及び図2に示すように、給紙装置300は、画像形成装置100の記録材搬送方向の上流側に連結されている。給紙装置300は、給紙装置300内の各部を制御する制御部301と、接続されている他の装置と通信するための通信部302と、記録材を収容する複数段の給紙トレイ等からなる給紙部303と、記録材を搬送する搬送部304とを備える。給紙装置300は、給紙部303を筐体の内部に有する。給紙部303には、同一サイズや異なるサイズの記録材が収容される。給紙装置300の搬送部304は、図示しない送風部や吸着搬送部、搬送ローラー、搬送路等からなる。印刷ジョブが開始されると、印刷ジョブで指定された記録材は、送風部や吸着搬送部等によって給紙部303から取り出され、搬送部304を介して下流側の画像形成装置100に搬送される。
【0013】
第1検査装置200は、給紙装置300と画像形成装置100との間に配置されている。第1検査装置200は、給紙装置300から搬送される記録材を検査する。第1検査装置200は、第1検査装置200内の各部を制御する制御部201、他の装置と通信する通信部202、搬送される記録材の読取画像データを生成する読取部203、記録材の通過を検知する記録材検知部204、読取部203が生成した読取画像データを記憶する画像データ記憶部205、及び、重送されている記録材を排紙する排紙トレイ206を備える。なお、第1検査装置200の構成の詳細については後述する。
【0014】
画像形成装置100は、画像形成装置100内の各部を制御する制御部101、及び、接続されている他の装置と通信するための通信部102とを備える。また、記録材を搬送する搬送部107、各種画像処理を実行する画像処理部140、記録材上にトナー像を形成する画像形成部150、及び、記録材上に形成されたトナー像を定着させる定着部160を備える。また、画像形成装置100は、ユーザーによる操作入力及び情報表示を行う操作表示部103、及び、画像形成する際の画像データ等の各種データや各種設定を記憶する記憶部104、原稿を読み取る原稿読取部110を備える。操作表示部103は、入力装置と表示装置とを備える。
【0015】
画像形成部150は、制御部101からの画像形成命令に従い、画像処理部140が処理した画像データに基づいて、トナー像を形成する。なお、図2に示す画像形成装置は、帯電した像担持体上の静電潜像を現像して各色のトナー像を作製し、このトナー像を中間転写体上で重ね合わせて記録材に転写する、いわゆる電子写真方式の画像形成部150を備える。画像形成装置100において、画像形成部150の構成は、上記の電子写真方式に限られず、インクジェット印刷等の他の画像形成方式であってもよい。
【0016】
第2検査装置400は、第2検査装置400内の各部を制御する制御部401、他の装置と通信する通信部402、搬送中の記録材の画像を読み取る画像読取部410、及び、基準画像データと読取画像データとを一時保存する画像データ記憶部430を備える。第2検査装置400は、画像形成装置100において記録材に形成された画像を読み取り、読み取った画像を検査する。
【0017】
画像読取部410は、撮像素子等のイメージセンサーや分光測色計等の測色計を備える。画像読取部410は、例えば、記録材の表面に光を投射し、記録材からの反射光を画像データとして読取る。このように画像読取部410が記録材Sの画像データを読取ることにより、読取画像データを取得する。そして、取得した読取画像データを、画像データ記憶部430に格納する。さらに、制御部401は、読取画像データに対して画像検査を行い、異常画像を検出する。
【0018】
後処理装置500は、後処理装置500内の各部を制御する制御部501、他の装置と通信する通信部502、記録材に断裁やパンチやステイプル等の各種後処理を施す後処理部530、及び、記録材を排出する排紙部590とを備える。後処理部330の処理内容は特に限定されず、例えば、記録材の断裁や、ステイプルやパンチや折り等の各種後処理を、記録材1枚単位、又は、複数枚の単位で実行する。また、排紙部590は、一例として、排紙トレイ590a,590b,590cを備えて構成される。
【0019】
(制御部の構成)
上記画像形成システムにおいて、給紙装置300、第1検査装置200、画像形成装置100、第2検査装置400、及び、後処理装置500の各制御部101,201,301,401,501は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及び、RAM(Random Access Memory)、及び、不揮発ストレージ等を有する。CPUは、ROM又は不揮発ストレージに記憶されている制御用プログラムを読み出して実行し、各種演算処理を行う。RAMは、CPUに作業用のメモリー空間を提供し、一時データを記憶する。ROMは、CPUにより実行される各種制御用のプログラムや設定データ等を格納する。なお、ROMに代えてEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)やフラッシュメモリー等の書き換え可能な不揮発ストレージが用いられてもよい。これらのCPU、RAM、ROM及び不揮発ストレージを備える各制御部101,201,301,401,501は、各種制御用プログラムに従って画像形成システムを構成する各装置を統括制御する。
【0020】
〈2.検査装置〉
次に、上述の画像形成システムにおける第1検査装置200の構成について説明する。上述のように、第1検査装置200は、制御部201、通信部202、読取部203、記録材検知部204、画像データ記憶部205、及び、排紙トレイ206を備える。
【0021】
読取部203は、CCDセンサやCMOSセンサ等のイメージセンサーから構成される。読取部203は、搬送される記録材を、搬送方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)全体に亘って読み取ることができる。読取部203は、通過する記録材を撮像することにより、記録材の読取画像データを生成する。また、読取部203は、搬送される記録材の上面(画像形成面、一方の面)側の読み取りを行うイメージセンサーと、記録材の下面(他方の面)側の読み取りを行うイメージセンサーとが備える。読取部203は、記録材の両面を読み取ることにより、記録材の両面について読取画像データを生成する。読取部203で取得した記録材の読取画像データは、画像データ記憶部205に格納される。
【0022】
記録材検知部204は、超音波センサー、接触変位センサー等のメディアセンサーによって構成される。記録材検知部204は、検知領域内の記録材の通過や、通過する記録材の厚さ等を取得する。
【0023】
制御部201は、記録材検知部204及び読取部203の情報を基に、記録材の重送を検知する。また、制御部201は、読取部203で取得した記録材の読取画像データから、重送する記録材の状態を検出する。記録材の重送を検知した場合には、画像形成装置100側から排紙トレイ206側に記録材の搬送経路を切り替えて、重送する記録材を排紙トレイ206から排紙する。
【0024】
第1検査装置200は、読取部203で取得した読取画像データを制御部201が解析することにより、記録材の重送の検知や、重送されている記録材の状態を検出することができる。また、第1検査装置200は、記録材検知部204で検知した記録材の厚さによって、記録材の重送を検知し、読取部203で取得した読取画像データを制御部201が解析することによって重送されている記録材の状態を検出することもできる。
【0025】
なお、第1検査装置200は、記録材検知部204を備えていなくてもよい。第1検査装置200が記録材検知部204を備えていない場合は、読取部203のみで記録材の重送を検知と、重送されている記録材の状態の検出とを行う。第1検査装置200は、予め記録材検知部204において記録材の重送を検知した後、重送された記録材に対してのみ読取部203が読取画像データを生成することが好ましい。
【0026】
[制御部]
次に、制御部201における、記録材の重送の検知、及び、重送する記録材の状態の検出について説明する。図3に、第1検査装置200の制御部201の機能構成のブロック図を示す。図3に示すように、第1検査装置200の制御部201は、画像取得部210、画像解析部220、検出部230、記憶部240、搬送制御部250、及び、表示制御部260を有する。
【0027】
画像取得部210は、第1検査装置200の読取部203が生成し、画像データ記憶部205に記憶された記録材の読取画像データを取得する。
画像解析部220は、画像取得部210が取得した読取画像データを解析し、記録材の搬送状態、記録材の情報、記録材の端部の位置、及び、記録材の寸法(主走査方向及び副走査方向の長さ)等の記録材の画像情報を取得する。
また、画像解析部220は、記録材が、エンボス加工やシボ加工のような凹凸による模様が形成されている特殊紙の場合や、柄や地模様を有する模様紙の場合には、読取画像データを解析して、記録材の両面の模様や、模様の特徴点を検出する。
【0028】
検出部230は、画像解析部220が取得した記録材の画像情報から所定のパラメータを取得する。そして、記憶部240に記憶されている記録材の基準パラメータと比較することにより、記録材の搬送状態を検出する。例えば、検出部230は、記録材の搬送状態として、記録材の重送の発生等の搬送異常、及び、記録材の重送の状態等の搬送状態を検出する。
【0029】
また、検出部230は、所定のパラメータとして、画像解析部220が取得した画像情報から搬送されている記録材の寸法を取得し、基準パラメータとして予め設定された記録材の寸法を取得する。取得する記録材の寸法としては、記録材の主走査方向の長さ、及び、副走査方向の長さの少なくとも一方であることが好ましい。そして、検出部230は、記憶部240に記憶されている基準パラメータとして記録材の寸法(主走査方向の長さ、及び、副走査方向の長さ)を取得し、上記所定のパラメータと比較することにより、記録材の重送を検出する。例えば、検出部230は、所定のパラメータと基準パラメータとが一致すれば、記録材の搬送が正常であると判定する。また、検出部230は、所定のパラメータと基準パラメータとが異なる場合に、記録材の重送を検出する。
【0030】
また、検出部230は、記録材が特殊紙や模様紙の場合には、画像解析部220で取得した画像情報から所定のパラメータとして、記録材の両面の模様を検出する。例えば、記録材は、表面(画像形成面)と裏面(画像形成面の反対面)とで模様が表裏対称となる。このため、記録材の搬送が正常な場合には、記録材の表面側の模様と裏面側の模様とが、表裏対称となる。一方、記録材の重送が発生した場合には、先行する記録材と後続の記録材との重なる領域において、表面側の模様と裏面側の模様とが一致しない。このため、検出部230は、所定のパラメータとして、記録材の両面の模様を検出することにより、記録材の重送を検出することができる。
【0031】
検出部230は、記録材の模様の検出として、例えば、模様の特徴点を複数検出する。特徴点とは、画像中で検出が容易な点(位置)のことであり、検出部230は、例えば、模様の端部や、模様同士の交差部、角部、模様の強度が極大・極小の点、曲線の終点、曲率が極大である曲線上の点等を模様の特徴点として検出する。
【0032】
記録材の搬送が正常な場合には、記録材の表面と裏面とにおいて、すべての特徴点が表裏対称となる位置に検出される。一方、記録材の重送が発生した場合には、先行する記録材と後続の記録材との重なる領域において、一部の特徴点が表裏対称とならない位置に検出される。このため、検出部230は、所定のパラメータとして、記録材の両面の特徴点の位置を検出することにより、記録材の重送を検出することができる。
【0033】
さらに、検出部230は、上記重送が検出された場合に、画像解析部220が取得した記録材の画像情報から、搬送方向で重なった記録材のうち、先行する記録材と後続の記録材とのどちらが撮像面側に位置しているかを検出する。
【0034】
例えば、重送する記録材の副走査方向の全体の長さと、重送する記録材の端部の位置とを検出する。記録材がずれた状態で重なっている場合には、重送する記録材のうち、先行する記録材の前端部と、後続の記録材の後端部との間において、記録材同士が重なる境界部分に、先行する記録材の後端部、又は、後続の記録材の前端部のいずれかの端部が検出される。このため、検出部230は、先行する記録材の前端部から、境界部分の端部までの距離が、基準パラメータとして登録されている記録材の副走査方向の長さであれば、先行する記録材が撮像面側に位置すると判断できる。また、検出部230は、境界部分の端部までの距離が、基準パラメータとして登録されている記録材の副走査方向の長さ未満であれば、後続の記録材が撮像面側に位置すると判断できる。
【0035】
また、検出部230は、記録材が特殊紙や模様紙の場合には、特徴点の位置を検出することにより、搬送方向で重なった記録材のうち、先行する記録材と後続の記録材とのどちらが撮像面側に位置しているかを検出することができる。上述のように、記録材は、両面の模様が表裏対称となる。このため、記録材の重送が発生した場合には、先行する記録材の模様(特徴点)と、後続の記録材の模様(特徴点)の位置とが、裏面、表面で搬送方向でずれた位置で検出される。このため、先行する記録材と後続の記録材との重なる領域において、模様(特徴点)のずれ方を検出することにより、先行する記録材と後続の記録材とのどちらが撮像面側に位置しているかを検出することができる。
【0036】
記憶部240は、搬送状態を検出する際の基準となるパラメータ(基準パラメータ)を記憶する。また、画像解析部220が取得した各種情報、検出部が検出した各種情報を記憶装置に格納、及び、読み出しを行う。記憶部240は、制御部201を構成する記憶装置(ストレージ等)に記憶させる他、第1検査装置200の画像データ記憶部205であってもよい。
【0037】
搬送制御部250は、検出部230で検出した記録材の搬送状態を基に、記録材の搬送を制御する。重送の場合に、画像形成を行わずに記録材を装置から排出する。
表示制御部260は、第1検査装置200における各種情報を表示部に表示させる。例えば、画像形成装置100の操作表示部103に対して、記録材の重送の発生を報知する情報や、重送の発生した記録材を排紙する等の情報を表示する。なお、表示制御部260は、第1検査装置200の制御部201が有するだけではなく、画像形成システムの他の装置の制御部、例えば、画像形成装置100の制御部101等が有していてもよい。
【0038】
[検査方法]
次に、第1検査装置200での記録材の搬送状態の検査方法について説明する。第1検査装置200では、記録材の搬送状態として、重送の発生、及び、重送されている記録材の状態を検出する。
【0039】
(検査方法のフローチャート-1)
図4に、第1検査装置200で実行される記録材の検査方法のフローチャートを示す。
まず、画像形成システムにおいて、給紙装置300から第1検査装置200に記録材を給紙する(ステップS101)。給紙装置300の制御部301が給紙部303及び搬送部304を駆動する。そして、給紙部303に収容された記録材を搬送部304を介して、給紙装置300の下流に配置された第1検査装置200に搬送する。
【0040】
次に、給紙装置300から第1検査装置200に搬送された記録材を、第1検査装置200の記録材検知部204で検知し、さらに、読取部203で読み取って読取画像データを生成し、画像データ記憶部205に保存する(ステップS102)。記録材検知部204では、記録材の到達とともに、記録材の厚さを検知してもよい。記録材の厚さを検知した場合には、記録材の厚さも読取画像データと合わせて画像データ記憶部205に保存する。
【0041】
次に、画像データ記憶部205に保存した読取画像データを画像取得部210が取得し、取得した読取画像データを画像解析部220が解析する(ステップS103)。このとき、画像解析部220が読取画像データを解析することにより、記録材の搬送状態、記録材の情報、記録材の端部の位置、及び、記録材の寸法(主走査方向及び副走査方向の長さ)等の記録材の画像情報を取得する。
【0042】
次に、検出部230は、画像解析部220によって解析された読取画像データの画像情報から所定のパラメータを抽出する(ステップS104)。検出部230が抽出する所定のパラメータとしては、例えば、記録材の主走査方向の長さや、副走査方向の長さが挙げられる。
【0043】
次に、検出部230は、記憶部240に記憶されている記録材の基準パラメータを読み出し、抽出した記録材の所定のパラメータと基準パラメータとが一致するかどうかを判定する(ステップS105)。例えば、検出部230は、読取画像データの画像情報から副走査方向の長さを所定のパラメータとして抽出する。そして、検出部230は、記憶部240からあらかじめ設定されている記録材の副走査方向の長さを基準パラメータとして読み出す。そして、検出部230は、所定のパラメータとして抽出した記録材の副走査方向の長さと、基準パラメータとして読み出した記録材の副走査方向の長さとを比較する。これにより、検出部230は、所定のパラメータと、基準パラメータとが一致するかどうかを判定する。
【0044】
所定のパラメータと基準パラメータとが一致する場合(ステップS105のYES)、検出部230は、記録材の搬送が正常であると判定する(ステップS106)。
そして、搬送制御部250は、搬送路を切り替えずに記録材を搬送し、記録材を第1検査装置200から画像形成装置100に搬送する(ステップS107)。
【0045】
所定のパラメータと基準パラメータとが異なる場合(ステップS105のNO)、検出部230は、記録材の搬送異常を検出する(ステップS108)。例えば、検出部230は、記録材の搬送異常として、記録材の重送の発生を検出する。
【0046】
次に、検出部230は、異常搬送が検出された記録材の所定のパラメータとして、重送する記録材の端部の位置を検出する(ステップS109)。検出部230は、画像解析部220が解析した画像情報から、重送する記録材について、先行する記録材の前端部、及び、後続の記録材の後端部とを検出する。さらに、記録材同士が重なる領域内において、記録材の端部を検出する。この記録材同士が重なる領域内の記録材の端部は、先行する記録材の後端部、又は、後続の記録材の前端部のいずれかである。
【0047】
次に、検出部230は、記録材同士が重なる領域内の端部が、重送する記録材の搬送方向の後方側で検出されたかどうかを判定する(ステップS110)。
ここで、重送する記録材と、記録材の端部との位置関係を表す図を、図5、及び、図6に示す。図5及び図6は、重送する記録材700が矢印方向に搬送される様子を示している。重送する記録材700は、先行する記録材701と後続の記録材702とが部分的に重なった状態で搬送されている。
図5に示す重送する記録材700では、検出部230によって、先行する記録材701の前端部701aと後端部701b、及び、後続の記録材702の後端部702bが検出される。一方、図6に示す重送する記録材700では、検出部230によって、先行する記録材701の前端部701a、及び、後続の記録材702の前端部702aと後端部702bとが検出される。
【0048】
図5に示すように、先行する記録材701の後端部701bが検出される場合は、記録材同士が重なる領域内の端部(後端部701b)が、搬送方向の後方側(後半部分)で検出される。また、図6に示すように、後続の記録材702の前端部702aが検出される場合は、記録材同士が重なる領域内の端部(前端部702a)が、搬送方向の後方側(後半部分)で検出される。このため、検出部230は、記録材同士が重なる領域内において検出される端部の位置によって、重送する記録材700の状態を検出することができる。
【0049】
記録材同士が重なる領域内の端部が、重送する記録材の搬送方向の後方側で検出された場合(ステップS110のYES)、検出部230は、重送する記録材において、先行する記録材が上側(画像形成面)に配置された状態として、重送されている記録材の状態を検出する(ステップS111)。
【0050】
記録材同士が重なる領域内の端部が、重送する記録材の搬送方向の後方側で検出されない場合(ステップS110のNO)、検出部230は、重送する記録材において、後続する記録材が上側(画像形成面)に配置された状態として、重送されている記録材の状態を検出する(ステップS112)。
【0051】
次に、検出部230が検出した重送されている記録材の状態を、記憶部240に記録する(ステップS113)。
次に、表示制御部260は、画像形成システムの操作表示部103に対して、記録材の重送の発生や、記録材を排紙する等の情報を表示する(ステップS114)。これにより、ユーザーに対して、重送の発生、及び、重送されている記録材の状態を報知する。
次に、搬送制御部250は、搬送路を切り替えて、重送の発生した記録材を排紙トレイ206から排紙する(ステップS115)。
記録材を画像形成装置100に搬送後、又は、重送して記録材を排紙した後、本フローチャートによる処理を終了する。
【0052】
(検査方法のフローチャート-2)
次に、記録材の検査方法の別形態について説明する。図7に第1検査装置で実行される記録材の検査方法のフローチャートを示す。なお、本形態の検査方法は、記録材が特殊紙や模様紙の場合の検査方法であり、一部を除き上記の検査方法と同様の処理を行う。このため、上記の検査方法と同じ処理については、詳細な説明を省略する。
【0053】
まず、画像形成システムにおいて、給紙装置300から第1検査装置200に記録材を給紙する(ステップS201)。次に、給紙装置300から第1検査装置200に搬送された記録材を、第1検査装置200の記録材検知部204で検知し、さらに、読取部203で読み取って読取画像データを生成し、画像データ記憶部205に保存する(ステップS202)。
次に、画像データ記憶部205に保存した読取画像データを画像取得部210が取得し、画像解析部220が取得した読取画像データを解析する(ステップS203)。このとき、画像解析部220が読取画像データを解析することにより、記録材の両面に対して、例えば、記録材の表面のエンボス加工やシボ加工のような凹凸による模様、柄や地模様等の各種模様や、これらの模様によって形成される特徴点等の記録材の画像情報を取得する。
【0054】
次に、検出部230は、画像解析部220によって解析された読取画像データの画像情報から所定のパラメータを抽出する(ステップS204)。検出部230が抽出する所定のパラメータとしては、例えば、記録材の模様や、模様の特徴点を検出する。また、検出部230は、記録材の両面に対して、それぞれ上記の所定のパラメータを抽出する。
【0055】
次に、検出部230は、所定のパラメータとして抽出した記録材の模様や模様の特徴点を、記録材の両面で比較し、両面で所定のパラメータが一致するかどうかを判定する(ステップS205)。例えば、検出部230は、読取画像データの画像情報から記録材の表面の模様を所定のパラメータとして取得する。さらに、検出部230は、読取画像データの画像情報から記録材の裏面の模様を所定のパラメータとして取得する。そして、検出部230は、記録材の表面の模様と、裏面の模様とを比較する。
【0056】
記録材の表面の所定のパラメータと裏面の所定のパラメータとが一致する場合(ステップS205のYES)、検出部230は、記録材の搬送が正常であると判定する(ステップS206)。そして、搬送制御部250は、搬送路を切り替えずに記録材を搬送し、記録材を第1検査装置200から画像形成装置100に搬送する(ステップS207)。
【0057】
記録材の表面の所定のパラメータと裏面の所定のパラメータとが一致しない場合(ステップS205のNO)、検出部230は、記録材の搬送異常を検出する(ステップS208)。例えば、検出部230は、記録材の搬送異常として、記録材の重送の発生を検出する。
【0058】
検出部230が所定のパラメータとして取得する記録材の模様の例を図8図9、及び、図10に示す。図8は、表面の所定のパラメータと裏面の所定のパラメータとが一致する場合を示す。また、図9は、表面の所定のパラメータと裏面の所定のパラメータとが一致しない場合を示す。さらに、図10は、記録材同士が一部ずれた状態で重送されている状態を示している。
【0059】
検出部230は、図8に示すような、記録材の表面601の模様を表面側の所定のパラメータとして抽出し、裏面602の模様を裏面側の所定のパラメータとして取得する。
記録材に重送等が発生していない場合には、検出部230が所定のパラメータとして抽出する表面601の模様と裏面602の模様とは、主走査方向、又は、副走査方向において鏡映対称の模様となる。このように、表面と裏面とで模様が対称となる場合、検出部230は、表面の所定のパラメータと裏面の所定のパラメータとが一致すると判定できる。なお、表面601の模様と裏面602の模様とは、撮像方法や読取画像データの処理によっては、鏡映対称以外の対称模様であったり、又は、そのまま一致する模様となる。
【0060】
また、検出部230は、図9に示すような、記録材の表面603の模様を表面側の所定のパラメータとして抽出し、裏面604の模様を裏面側の所定のパラメータとして取得する場合もある。図9では、検出部230が所定のパラメータとして抽出する表面603の模様と裏面604の模様とは、主走査方向、又は、副走査方向において対称の模様とはならない。このように、表面と裏面とで全体の模様が対称とならない場合、検出部230は、表面の所定のパラメータと裏面の所定のパラメータとが一致しないと判定できる。さらに、この場合、検出部230は、記録材同士がずれずに重なって搬送された状態の重送と判定できる。
【0061】
また、図10は、重送する記録材610として、記録材611と記録材612とが重なって搬送されている状態を示している。
検出部230が所定のパラメータとして抽出する重送する記録材610の表面605の模様と裏面606の模様とは、一部だけ鏡映対称の模様となる部分があるが、全体では鏡映対称の模様とならない。例えば、記録材611が表面605から検出されている領域は、裏面606の領域611aと部分的に鏡映対称になる。また、記録材612が裏面606から検出されている領域では、裏面606の領域612aと部分的に鏡映対称になる。このように、読取画像データにおいて検出される記録材全体の模様が対称又は一致せず、部分的に鏡映対称又は一致する領域を有する場合、検出部230は、表面の所定のパラメータと裏面の所定のパラメータとが一致しないと判定できる。さらに、この場合、検出部230は、記録材同士が一部ずれた状態で重なって搬送された重送と判定できる。
【0062】
次に、検出部230は、異常搬送が検出された記録材の所定のパラメータとして、重送する記録材の表面と裏面とで一部の所定パラメータが一致するかどうかを判定する(ステップS209)。検出部230は、画像解析部220が解析した画像情報から、重送する記録材610について、上述の図10に示すように、表面605の模様と裏面606の模様とで部分的に鏡映対称又は一致する領域を有するか、又は、上述図9に示すように表面と裏面とで全体の模様が対称とならないかを判定する。
【0063】
重送する記録材の表面と裏面とで一部の所定パラメータが一致する場合(ステップS209のYES)、検出部230は、重送する記録材において、記録材同士がずれた状態で搬送されていることを検出する(ステップS210)。
【0064】
次に、検出部230は、異常搬送が検出された記録材の所定のパラメータとして、重送する記録材の端部の位置を抽出する(ステップS211)。そして、検出部230は、記録材同士が重なる領域内の端部が、重送する記録材の搬送方向の後方側で検出されたかどうかを判定する(ステップS212)。
【0065】
記録材同士が重なる領域内の端部が、重送する記録材の搬送方向の後方側で検出された場合(ステップS212のYES)、検出部230は、重送する記録材において、先行する記録材が、上側(画像形成面)に配置された状態として、重送されている記録材の状態を検出する(ステップS213)。
【0066】
記録材同士が重なる領域内の端部が、重送する記録材の搬送方向の後方側で検出されない場合(ステップS212のNO)、検出部230は、重送する記録材において、後続する記録材が上側(画像形成面)に配置された状態として、重送されている記録材の状態を検出する(ステップS214)。
【0067】
重送する記録材の表面と裏面とで一部の所定パラメータが一致しない場合(ステップS209のNO)、検出部230は、重送する記録材において、記録材同士がずれずに重なった状態で搬送されていることを検出する(ステップS215)。
【0068】
次に、検出部230が検出した重送されている記録材の状態を、記憶部240に記録する(ステップS216)。
次に、表示制御部260は、画像形成システムの操作表示部103に対して、記録材の重送の発生や、記録材を排紙する等の情報を表示する(ステップS217)。これにより、ユーザーに対して、重送の発生、及び、重送されている記録材の状態を報知する。
次に、搬送制御部250は、搬送路を切り替えて、重送の発生した記録材を排紙トレイ206から排紙する(ステップS218)。
記録材を画像形成装置100に搬送後、又は、重送して記録材を排紙した後、以上の処理により、本フローチャートによる処理を終了する。
【0069】
なお、本発明は上述の実施形態例において説明した構成に限定されるものではなく、その他本発明の構成を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0070】
100 画像形成装置、101,201,301,401,501 制御部、102,202,302,402 通信部、103 操作表示部、104,240 記憶部、107,304 搬送部、110 原稿読取部、140 画像処理部、150 画像形成部、160 定着部、200 第1検査装置、203 読取部、204 記録材検知部、205,430 画像データ記憶部、206,590a,590b,590c 排紙トレイ、210 画像取得部、220 画像解析部、230 検出部、250 搬送制御部、260 表示制御部、300 給紙装置、303 給紙部、330,530 後処理部、400 第2検査装置、410 画像読取部、500 後処理装置、502 通信部、590 排紙部、601,603,605,602 表面、604,606 裏面、610,611,612,700,701,702 記録材、611a,612a 領域、701a,702a 前端部、701b,702b 後端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10