(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】計算機、入力支援方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 15/02 20060101AFI20240814BHJP
【FI】
G06F15/02 315N
(21)【出願番号】P 2020210093
(22)【出願日】2020-12-18
【審査請求日】2023-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】吉川 裕紀
【審査官】田中 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-173763(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された数値及び数学記号が入力履歴として入力された順番に基づいて表示される入力履歴表示領域を有する表示部と、
所定の入力内容に続けて前記数学記号として加算記号又は減算記号が入力された後の最初の前記数学記号として乗算記号又は除算記号が所定の第1数値に続けて入力された場合に、前記入力履歴が前記乗算記号に基づく乗算又は前記除算記号に基づく除算よりも前記加算記号に基づく加算又は前記減算記号に基づく減算の方が先に実行されることを示す数学的表示形態となるように、前記入力履歴を前記入力履歴表示領域に表示させる制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記数学的表示形態として、前記第1数値までの入力内容を前記乗算記号又は前記除算記号が入力されたタイミングに基づいて前記数学記号としての共通の括弧でくくる、
前記数学的表示形態として、前記第1数値までの入力内容を前記数学記号としての共通の括弧でくくるとともに、前記括弧を点滅表示させる、
又は、前記数学的表示形態として、前記第1数値までの入力内容を前記数学記号としての共通の括弧でくくり、前記第1数値に続けて入力された前記乗算記号又は前記除算記号に続けて第2数値が入力された場合に、前記共通の括弧でくくられている部分の計算式を、当該計算式での計算結果に切り替えて表示させる、
ことを特徴とする計算機。
【請求項2】
入力された数値及び数学記号が入力履歴として入力された順番に基づいて表示される入力履歴表示領域を有する表示部を備えた計算機が実行する入力支援方法であって、
所定の入力内容に続けて前記数学記号として加算記号又は減算記号が入力された後の最初の前記数学記号として乗算記号又は除算記号が所定の第1数値に続けて入力された場合に、前記入力履歴が前記乗算記号に基づく乗算又は前記除算記号に基づく除算よりも前記加算記号に基づく加算又は前記減算記号に基づく減算の方が先に実行されることを示す数学的表示形態となるように、前記入力履歴を前記入力履歴表示領域に表示させる制御処理を含
み、
前記制御処理は、
前記数学的表示形態として、前記第1数値までの入力内容を前記乗算記号又は前記除算記号が入力されたタイミングに基づいて前記数学記号としての共通の括弧でくくる、
前記数学的表示形態として、前記第1数値までの入力内容を前記数学記号としての共通の括弧でくくるとともに、前記括弧を点滅表示させる、
又は、前記数学的表示形態として、前記第1数値までの入力内容を前記数学記号としての共通の括弧でくくるとともに、前記括弧を点滅表示させる、
ことを特徴とする入力支援方法。
【請求項3】
入力された数値及び数学記号が入力履歴として入力された順番に基づいて表示される入力履歴表示領域を有する表示部を備えた計算機のコンピュータを、
所定の入力内容に続けて前記数学記号として加算記号又は減算記号が入力された後の最初の前記数学記号として乗算記号又は除算記号が所定の第1数値に続けて入力された場合に、前記入力履歴が前記乗算記号に基づく乗算又は前記除算記号に基づく除算よりも前記加算記号に基づく加算又は前記減算記号に基づく減算の方が先に実行されることを示す数学的表示形態となるように、前記入力履歴を前記入力履歴表示領域に表示させる制御手段として機能さ
せ、
前記制御手段は、
前記数学的表示形態として、前記第1数値までの入力内容を前記乗算記号又は前記除算記号が入力されたタイミングに基づいて前記数学記号としての共通の括弧でくくる、
前記数学的表示形態として、前記第1数値までの入力内容を前記数学記号としての共通の括弧でくくるとともに、前記括弧を点滅表示させる、
又は、前記数学的表示形態として、前記第1数値までの入力内容を前記数学記号としての共通の括弧でくくり、前記第1数値に続けて入力された前記乗算記号又は前記除算記号に続けて第2数値が入力された場合に、前記共通の括弧でくくられている部分の計算式を、当該計算式での計算結果に切り替えて表示させる、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計算機、入力支援方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
卓上計算機等の計算機には、ユーザによって入力された数値及び演算記号の履歴を表示する機能を有しているものがある。このような機能により、ユーザは、自身の入力が正しいか否かを入力中においても確認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
卓上計算機等では、ユーザによって入力された順で計算が実施される。一方で、数式の規則では、加減算よりも乗除算のほうが先に行われることになっている。このため、ユーザが加減算と乗除算とを混合して入力した場合に、履歴に表示される数式からユーザが計算機を使用せずに自身で検算した結果と計算機において実際に計算される結果とが一致しないことがある。このような計算結果の不一致により、ユーザに誤解を与える可能性がある。
【0005】
本発明は、入力履歴に表示される数式から計算機において計算される順番をユーザが正しく認識できる計算機、入力支援方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る計算機は、入力された数値及び数学記号が入力履歴として入力された順番に基づいて表示される入力履歴表示領域を有する表示部と、所定の入力内容に続けて前記数学記号として加算記号又は減算記号が入力された後の最初の前記数学記号として乗算記号又は除算記号が所定の第1数値に続けて入力された場合に、前記入力履歴が前記乗算記号に基づく乗算又は前記除算記号に基づく除算よりも前記加算記号に基づく加算又は前記減算記号に基づく減算の方が先に実行されることを示す数学的表示形態となるように、前記入力履歴を前記入力履歴表示領域に表示させる制御部と、を備え、前記制御部は、前記数学的表示形態として、前記第1数値までの入力内容を前記乗算記号又は前記除算記号が入力されたタイミングに基づいて前記数学記号としての共通の括弧でくくる、前記数学的表示形態として、前記第1数値までの入力内容を前記数学記号としての共通の括弧でくくるとともに、前記括弧を点滅表示させる、又は、前記数学的表示形態として、前記第1数値までの入力内容を前記数学記号としての共通の括弧でくくり、前記第1数値に続けて入力された前記乗算記号又は前記除算記号に続けて第2数値が入力された場合に、前記共通の括弧でくくられている部分の計算式を、当該計算式での計算結果に切り替えて表示させる、ことを特徴とする。
【0007】
本発明に係る入力支援方法は、入力された数値及び数学記号が入力履歴として入力された順番に基づいて表示される入力履歴表示領域を有する表示部を備えた計算機が実行する入力支援方法であって、所定の入力内容に続けて前記数学記号として加算記号又は減算記号が入力された後の最初の前記数学記号として乗算記号又は除算記号が所定の第1数値に続けて入力された場合に、前記入力履歴が前記乗算記号に基づく乗算又は前記除算記号に基づく除算よりも前記加算記号に基づく加算又は前記減算記号に基づく減算の方が先に実行されることを示す数学的表示形態となるように、前記入力履歴を前記入力履歴表示領域に表示させる制御処理を含み、前記制御処理は、前記数学的表示形態として、前記第1数値までの入力内容を前記乗算記号又は前記除算記号が入力されたタイミングに基づいて前記数学記号としての共通の括弧でくくる、前記数学的表示形態として、前記第1数値までの入力内容を前記数学記号としての共通の括弧でくくるとともに、前記括弧を点滅表示させる、又は、前記数学的表示形態として、前記第1数値までの入力内容を前記数学記号としての共通の括弧でくくるとともに、前記括弧を点滅表示させる、ことを特徴とする。
本発明に係るプログラムは、入力された数値及び数学記号が入力履歴として入力された順番に基づいて表示される入力履歴表示領域を有する表示部を備えた計算機のコンピュータを、所定の入力内容に続けて前記数学記号として加算記号又は減算記号が入力された後の最初の前記数学記号として乗算記号又は除算記号が所定の第1数値に続けて入力された場合に、前記入力履歴が前記乗算記号に基づく乗算又は前記除算記号に基づく除算よりも前記加算記号に基づく加算又は前記減算記号に基づく減算の方が先に実行されることを示す数学的表示形態となるように、前記入力履歴を前記入力履歴表示領域に表示させる制御手段として機能させ、前記制御手段は、前記数学的表示形態として、前記第1数値までの入力内容を前記乗算記号又は前記除算記号が入力されたタイミングに基づいて前記数学記号としての共通の括弧でくくる、前記数学的表示形態として、前記第1数値までの入力内容を前記数学記号としての共通の括弧でくくるとともに、前記括弧を点滅表示させる、又は、前記数学的表示形態として、前記第1数値までの入力内容を前記数学記号としての共通の括弧でくくり、前記第1数値に続けて入力された前記乗算記号又は前記除算記号に続けて第2数値が入力された場合に、前記共通の括弧でくくられている部分の計算式を、当該計算式での計算結果に切り替えて表示させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、入力履歴に表示される数式から計算機において計算される順番をユーザが正しく認識できる計算機、入力支援方法及びプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、各実施形態に係る計算機の構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態における計算機の外観正面図である。
【
図3A】
図3Aは、第1の実施形態の計算機の計算の処理を示すフローチャートである。
【
図3B】
図3Bは、第1の実施形態の計算機の計算の処理を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、第1の実施形態におけるディスプレイの表示について示した図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態の変形例を示す図である。
【
図6】
図6は、第2の実施形態における計算機の外観正面図である。
【
図7】
図7は、第2の実施形態の計算機の計算の処理を示すフローチャートである。
【
図8A】
図8Aは、括弧処理について示すフローチャートである。
【
図8B】
図8Bは、括弧処理について示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、第2の実施形態におけるディスプレイの表示について示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
第1の実施形態を説明する。
図1は、各実施形態に係る計算機1の構成の一例を示す図である。計算機1は、プロセッサ11と、メモリ12と、操作キー13と、ディスプレイ14とを有している。計算機1は、卓上計算機、所謂電卓であってよい。計算機1は、電卓以外の数値の計算機能を有する各種の電子機器であってもよい。また、計算機1は、
図1で示した以外の構成を有していてもよい。
【0011】
プロセッサ11は、計算機1の各種動作を制御するプロセッサである。プロセッサ11は、CPU、ASIC、FPGA等であってよい。また、プロセッサ11は、2つ以上のプロセッサで構成されていてもよい。プロセッサ11は、入力内容に応じてディスプレイ14の入力履歴表示領域において括弧の自動挿入をする処理部として動作する。
【0012】
メモリ12は、RAM及びROMを含む。RAMは、揮発性のメモリである。RAMは、プロセッサ11における各種のデータを一時記憶するための作業メモリ等に用いられる。ROMは、不揮発性のメモリである。ROMには、各種の計算機能を実行するための計算プログラム等の各種プログラムが記憶されている。
【0013】
操作キー13は、ユーザの計算機1に対する入力を受け付けるための各種のキーである。操作キー13を用いた操作が受け付けられたとき、その操作に応じた入力信号がプロセッサ11に伝達される。
【0014】
ディスプレイ14は、液晶ディスプレイ等の表示部である。ディスプレイ14は、電卓機能に係る各種の表示をする。
【0015】
図2は、第1の実施形態における計算機1の外観正面図である。
図2に示すように、計算機1の筐体正面には、操作キー13とディスプレイ14とが設けられている。
【0016】
操作キー13は、数値キー131と、演算キー132と、機能キー133とを有している。数値キー131は、数値を入力するためのキーであって、例えば0から9のそれぞれの数値に対応したキーを含む。演算キー132は、四則演算の実施のためのキーであって、例えば+(加算)、-(減算)、×(乗算)、÷(除算)のそれぞれの演算記号に対応したキーと、=(演算実行)キーとを含む。機能キー133は、計算機1の各種機能の実施のためのキーであって、例えばオールクリアキー(ACキー)、クリアキー(Cキー)、デリートキー(Delキー)を含む。
【0017】
また、実施形態では、ディスプレイ14は、現在数値表示領域141と、入力履歴表示領域142とを有している。現在数値表示領域141は、ユーザによって入力された数値及び入力された数値に基づく計算結果を表示するための表示領域である。現在数値表示領域141の表示は、ユーザによって数値と演算記号との組が入力される毎に更新される。そして、演算実行キーが押されたときには、現在数値表示領域141の表示は、最終的な計算結果の表示に更新される。入力履歴表示領域142は、ユーザによって入力された数値及び演算記号の履歴を表示するための表示領域である。入力履歴表示領域142の表示は、ユーザによって操作キー13が操作される毎に更新される。さらに、詳しくは後で説明するが、入力履歴表示領域142では、必要に応じて括弧の自動挿入が行われる。
【0018】
図3A及び
図3Bは、第1の実施形態の計算機1の計算の処理を示すフローチャートである。
図3A及び
図3Bの処理は、メモリ12のROMに記憶された計算プログラムをプロセッサ11が実行することによって行われる。また、
図3A及び
図3Bでは、機能キーが押されたときの処理については省略されている。
【0019】
図3A及び
図3Bの処理は、例えばユーザによってACキーが押されたときに開始される。ステップS1において、プロセッサ11は、要括弧フラグをオフにする。要括弧フラグは、入力履歴表示領域142における括弧の自動挿入の要又は不要を管理するためのフラグである。ステップS1の処理は、要括弧フラグのリセットのための処理である。
【0020】
ステップS2において、プロセッサ11は、数値キーが押されたか否かを判定する。ステップS2において、数値キーが押されたと判定されたときには、処理はステップS3に移行する。ステップS2において、数値キーが押されていないと判定されたときには、処理はステップS5に移行する。
【0021】
ステップS3において、プロセッサ11は、押された数値キーに対応する数値の入力情報をメモリ12の例えばRAMに記憶させる。
【0022】
ステップS4において、プロセッサ11は、現在数値表示領域141及び入力履歴表示領域142のそれぞれの表示を更新する。その後、処理はステップS2に戻る。
【0023】
ステップS5において、プロセッサ11は、加算キー又は減算キーが押されたか否かを判定する。ステップS5において、加算キー又は減算キーが押されたと判定されたときには、処理はステップS6に移行する。ステップS5において、加算キー又は減算キーが押されていないと判定されたときには、処理はステップS10に移行する。
【0024】
ステップS6において、プロセッサ11は、押された演算キーに対応する演算記号の入力情報をメモリ12の例えばRAMに記憶させる。
【0025】
ステップS7において、プロセッサ11は、押された演算キーの前までの数値及び演算記号の入力情報に基づいて計算を実施する。そして、プロセッサ11は、計算結果をメモリ12の例えばRAMに記憶させる。
【0026】
ステップS8において、プロセッサ11は、要括弧フラグをオンにする。このように、実施形態では、加算キー又は減算キーが押されたときに要括弧フラグがオンになる。
【0027】
ステップS9において、プロセッサ11は、現在数値表示領域141及び入力履歴表示領域142のそれぞれの表示を更新する。その後、処理はステップS2に戻る。
【0028】
ステップS10において、プロセッサ11は、乗算キー又は除算キーが押されたか否かを判定する。ステップS10において、乗算キー又は除算キーが押されたと判定されたときには、処理はステップS11に移行する。ステップS10において、乗算キー又は除算キーが押されていないと判定されたときには、処理はステップS17に移行する。
【0029】
ステップS11において、プロセッサ11は、押された演算キーに対応する演算記号の入力情報をメモリ12の例えばRAMに記憶させる。
【0030】
ステップS12において、プロセッサ11は、押された演算キーの前までの数値及び演算記号の入力情報に基づいて計算を実施する。そして、プロセッサ11は、計算結果をメモリ12の例えばRAMに記憶させる。
【0031】
ステップS13において、プロセッサ11は、要括弧フラグがオンであるか否かを判定する。ステップS13において、要括弧フラグがオンであると判定されたときには、処理はステップS14に移行する。ステップS13において、要括弧フラグがオンでないと判定されたときには、処理はステップS16に移行する。
【0032】
ステップS14において、プロセッサ11は、現在数値表示領域141及び入力履歴表示領域142のそれぞれの表示を更新する。このとき、プロセッサ11は、入力履歴表示領域142において括弧を挿入する。括弧の挿入位置は、入力履歴として表示される数式の先頭の位置とユーザによって最後に押された演算キーの表す乗除算記号の手前の位置である。つまり、実施形態では、加算キー又は減算キーが押された後で乗算キー又は除算キーが押された場合には、その直前の数値までの一群の演算部分が括弧で括られる。したがって、例えば「2×2+3×」のように数値及び演算記号入力された場合は、入力履歴表示領域142には「(2×2+3)×」と表示され、「2×2+3×4-5÷」のように数値及び演算記号入力された場合は、入力履歴表示領域142には「((2×2+3)×4-5)÷」と表示される。
【0033】
ステップS15において、プロセッサ11は、要括弧フラグをオフにする。その後、処理はステップS2に戻る。このように、実施形態では、括弧が挿入されたときには要括弧フラグがオフになる。
【0034】
ステップS16において、プロセッサ11は、入力履歴表示領域142の表示を更新する。ステップS16では、括弧の挿入は行われない。つまり、実施形態では、加算キー又は減算キーが押された後であっても、乗算キー又は除算キーが押されていない場合には、加算キー又は減算キーが押される直前の数値までの一群の演算部分に括弧は挿入されない。
【0035】
ステップS17において、プロセッサ11は、演算実行キーが押されたか否かを判定する。ステップS17において、演算実行キーが押されたと判定されたときには、処理はステップS18に移行する。ステップS17において、演算実行キーが押されていないと判定されたときには、処理はステップS2に戻る。
【0036】
ステップS18において、プロセッサ11は、演算実行キーの前までの数値及び演算記号の入力情報に基づいて計算を実施する。そして、プロセッサ11は、計算結果をメモリ12の例えばRAMに記憶させる。
【0037】
ステップS19において、プロセッサ11は、入力履歴表示領域142の表示を更新する。その後、
図3A及び
図3Bの処理は終了する。
【0038】
図4は、第1の実施形態におけるディスプレイ14の表示について示した図である。ユーザは、数値キーと演算キーを操作することで自身の計算したい数式を入力する。そして、ユーザは、数式の入力が完了した際に、演算実行キーを押す。この一連の動作中、現在数値表示領域141及び入力履歴表示領域142が更新される。
【0039】
例えば、ユーザが数値キーの「2」を押したとする。このとき、
図4のaで示すようにして、現在数値表示領域141にはユーザによって入力された数値である「2」が表示される。同様に、入力履歴表示領域142にも「2」が表示される。
【0040】
続いて、ユーザが加算キーを押したとする。このとき、
図4のbで示すようにして、入力履歴表示領域142には「+」がさらに表示される。一方、現在数値表示領域141の表示は「2」のままで変化しない。これは、加算キーが押される前の数値が「2」だけのためである。また、プロセッサ11の処理としてこのとき要括弧フラグがオンされる。
【0041】
続いて、ユーザが数値キーの「3」を押したとする。このとき、
図4のcで示すようにして、現在数値表示領域141にはユーザによって入力された数値である「3」が表示される。また、入力履歴表示領域142には「3」がさらに表示される。
【0042】
続いて、ユーザが乗算キーを押したとする。このとき、
図4のdで示すようにして、現在数値表示領域141には直前の数値までの計算結果である「5」が表示される。また、入力履歴表示領域142には「×」がさらに表示される。さらに、乗算キーが押された時点で要括弧フラグがオンされているので、入力履歴表示領域142には、数式の先頭から乗算記号「×」の直前の数値までの一群の演算部分である「2+3」の先頭に開き括弧「(」が挿入され、末尾に閉じ括弧「)」が挿入される。ここで、自動で挿入される括弧は、点滅表示等されることにより、自動挿入されたことをユーザが認識しやすいような態様で表示されてよい。
【0043】
続いて、ユーザが数値キー「4」を押したとする。このとき、
図4のeで示すようにして、現在数値表示領域141にはユーザによって入力された数値である「4」が表示される。また、入力履歴表示領域142には「4」がさらに表示される。
【0044】
続いて、ユーザが加算キーを押したとする。このとき、
図4のfで示すようにして、現在数値表示領域141には直前の数値までの計算結果である「20」が表示される。また、入力履歴表示領域142には「+」がさらに表示される。また、このとき要括弧フラグがオンされる。
【0045】
続いて、ユーザが数値キー「5」を押したとする。このとき、
図4のgで示すようにして、現在数値表示領域141にはユーザによって入力された数値である「5」が表示される。また、入力履歴表示領域142には「5」がさらに表示される。
【0046】
最後に、ユーザが演算実行キーを押したとする。このとき、
図4のhで示すようにして、現在数値表示領域141には直前の数値までの計算結果である「25」が表示される。また、入力履歴表示領域142には「=」がさらに表示される。この時点で要括弧フラグはオンされているが、次回の計算の開始時に要括弧フラグはオフされる。
【0047】
ここで、
図4では、数式中に1つの括弧が挿入される例が示されている。実施形態では、括弧の挿入数は限定されない。数式によっては複数の括弧が挿入されてもよい。この場合において、挿入される括弧が、小括弧、中括弧、大括弧といったように区別されてもよい。
【0048】
以上説明したように第1の実施形態によれば、加算キー又は減算キーが押された後、次に押された演算キーが乗算キー又は除算キーであったときには、入力履歴表示領域142における数式の先頭から乗算記号の直前の数値までの一群の演算部分、すなわち乗算キー又は除算キーが押される前に入力が受け付けられた数値及び演算記号を含む演算部分の計算がその後の乗算記号に基づく乗算又は除算記号に基づく除算よりも先に行われることを示す括弧が挿入される。これにより、入力履歴表示領域142に表示される数式上での計算結果と計算機による計算結果とが一致する。したがって、ユーザが現在数値表示領域141に表示される計算結果と入力履歴表示領域142に表示される数式を見比べたときに生じる誤解は低減され得る。さらに、括弧の挿入は数式の入力中に行われるので、ユーザは数式の入力中においても現在数値表示領域141に表示される計算結果と入力履歴表示領域142に表示される数式上での計算結果との比較をすることができる。
【0049】
ここで、第1の実施形態では数式の先頭から乗除算記号の直前の数値までの一群の演算部分に括弧が挿入されている。しかしながら、正しい計算の順序をユーザに提示できるのであれば、その提示の手法は括弧の挿入に限らない。例えば、入力履歴表示領域142に表示される数式における乗除算記号の前の一群の演算部分にアンダーラインが表示されてもよいし、一群の演算部分が点滅表示されてもよい。
【0050】
また、ディスプレイ14には、表示領域の制約がある。したがって、入力される数式が長くなると、入力履歴表示領域142に数式を表示しきることが難しくなる。このため、例えば入力履歴表示領域142は、スクロール表示できるように構成されていてもよい。また、前述した演算部分については括弧内の計算結果が表示されることで表示領域の節約化が図られてもよい。例えば、前述した
図4のeの表示の代わりに、
図5に示すように(2+3)の計算結果である「5」が表示されてもよい。
【0051】
また、実施形態では物理的なキーの操作に応じて括弧が自動的に挿入されるものとしている。近年、ソフトウェアキーを用いて計算機と同様の計算が実施される計算プログラムも存在する。実施形態は、このようなソフトウェアキーを用いて操作される計算プログラムにおいても適用され得る。
【0052】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態を説明する。ここで、第2の実施形態において第1の実施形態と同様の部分については説明を省略又は簡略化する。例えば、計算機1の構成については
図1の構成が適用され得るため、説明を省略する。
【0053】
図6は、第2の実施形態における計算機1の外観正面図である。
図6に示すように、計算機1の筐体正面には、操作キー13とディスプレイ14とが設けられている。
操作キー13は、数値キー131と、演算キー132と、機能キー133とを有している。数値キー131及び演算キー132は、第1の実施形態と同様である。一方、第2の実施形態における機能キー133は、さらに、矢印キー1331と、括弧キー1332とを含む。矢印キー1331は、右キー(→)と左キー(←)とを含む。右キーは、第2の実施形態における入力履歴表示領域142において表示されるカーソルを右に移動させる際に用いられるキーである。左キーは、第2の実施形態における入力履歴表示領域142において表示されるカーソルを左に移動させる際に用いられるキーである。括弧キー1332は、開き括弧キーと閉じ括弧キーとを含む。開き括弧キーは、開き括弧を入力する際に用いられるキーである。閉じ括弧キーは、閉じ括弧を入力する際に用いられるキーである。つまり、第2の実施形態では、ユーザにより、能動的に括弧が入力され得る。
【0054】
図7は、第2の実施形態の計算機1の計算の処理を示すフローチャートである。
図7の処理は、メモリ12のROMに記憶された計算プログラムをプロセッサ11が実行することによって行われる。
【0055】
ステップS101において、プロセッサ11は、要括弧フラグをオフにする。ステップS101の処理は、要括弧フラグのリセットのための処理である。
【0056】
ステップS102において、プロセッサ11は、矢印キーが押されたか否かを判定する。ステップS101において、矢印キーが押されたと判定されたときには、処理はステップS102に移行する。ステップS101において、矢印キーが押されていないと判定されたときには、処理はステップS103に移行する。
【0057】
ステップS103において、プロセッサ11は、現在数値表示領域141及び入力履歴表示領域142のそれぞれの表示を更新する。プロセッサ11は、入力履歴表示領域142において表示されるカーソルを移動させる。また、プロセッサ11は、カーソルの位置に応じて現在数値表示領域141の表示を更新する。その後、処理はステップS101に戻る。
【0058】
ステップS104において、プロセッサ11は、開き括弧キーが押された否かを判定する。ステップS104において、開き括弧キーが押されたと判定されたときには、処理はステップS105に移行する。ステップS104において、開き括弧キーが押されていないと判定されたときには、処理はステップS106に移行する。
【0059】
ステップS105において、プロセッサ11は、括弧処理を行う。括弧処理の後、処理はステップS101に戻る。括弧処理については後で詳しく説明する。
【0060】
ステップS106において、プロセッサ11は、その他の処理をする。その他の処理は、基本的には
図3で示した処理と同じでよい。ただし、ステップS4、S9、S15及びS17において、処理がステップS2に戻る代わりにS101に戻る点が変更される。
【0061】
図8A及び
図8Bは、括弧処理について示すフローチャートである。ステップS201において、プロセッサ11は、現在数値表示領域141における括弧表示を開始する。括弧表示は、現在数値表示領域141に表示される数値及び演算記号が括弧内のものであることをユーザに認識させるための表示である。
【0062】
ステップS202において、プロセッサ11は、開き括弧キーに対応する入力情報をメモリ12の例えばRAMに記憶させる。
【0063】
ステップS203において、プロセッサ11は、入力履歴表示領域142に開き括弧を表示させる。
【0064】
ステップS204において、プロセッサ11は、数値キーが押されたか否かを判定する。ステップS204において、数値キーが押されたと判定されたときには、処理はステップS205に移行する。ステップS204において、数値キーが押されていないと判定されたときには、処理はステップS207に移行する。
【0065】
ステップS205において、プロセッサ11は、押された数値キーに対応する数値の入力情報をメモリ12の例えばRAMに記憶させる。
【0066】
ステップS206において、プロセッサ11は、現在数値表示領域141及び入力履歴表示領域142のそれぞれの表示を更新する。その後、処理はステップS204に戻る。
【0067】
ステップS207において、プロセッサ11は、演算キーが押されたか否かを判定する。ここでの演算キーは、加算キー、減算キー、乗算キー及び除算キーである。ステップS207において、演算キーが押されたと判定されたときには、処理はステップS208に移行する。ステップS207において、演算キーが押されていないと判定されたときには、処理はステップS211に移行する。
【0068】
ステップS208において、プロセッサ11は、押された演算キーに対応する演算記号の入力情報をメモリ12の例えばRAMに記憶させる。
【0069】
ステップS209において、プロセッサ11は、押された演算キーの直前の数値から直前の開き括弧までの数値及び演算記号の入力情報に基づいて計算を実施する。そして、プロセッサ11は、計算結果をメモリ12の例えばRAMに記憶させる。
【0070】
ステップS210において、プロセッサ11は、現在数値表示領域141及び入力履歴表示領域142のそれぞれの表示を更新する。その後、処理はステップS204に戻る。
【0071】
ステップS211において、プロセッサ11は、開き括弧キーが押されたか否かを判定する。ステップS211において、開き括弧キーが押されたと判定されたときには、処理はステップS212に移行する。ステップS211において、開き括弧キーが押されていないと判定されたときには、処理はステップS214に移行する。
【0072】
ステップS212において、プロセッサ11は、開き括弧キーに対応する入力情報をメモリ12の例えばRAMに記憶させる。
【0073】
ステップS213において、プロセッサ11は、入力履歴表示領域142に開き括弧を表示させる。その後、処理はステップS204に戻る。
【0074】
ステップS214において、プロセッサ11は、閉じ括弧キーが押されたか否かを判定する。ステップS214において、閉じ括弧キーが押されたと判定されたときには、処理はステップS215に移行する。ステップS214において、閉じ括弧キーが押されていないと判定されたときには、処理はステップS204に戻る。
【0075】
ステップS215において、プロセッサ11は、閉じ括弧キーに対応する入力情報をメモリ12の例えばRAMに記憶させる。
【0076】
ステップS216において、プロセッサ11は、入力履歴表示領域142に閉じ括弧を表示させる。
【0077】
ステップS217において、プロセッサ11は、閉じ括弧の直前の数値から直前の開き括弧までの数値及び演算記号の入力情報に基づいて計算を実施する。そして、プロセッサ11は、計算結果をメモリ12の例えばRAMに記憶させる。
【0078】
ステップS218において、プロセッサ11は、現在数値表示領域141及び入力履歴表示領域142のそれぞれの表示を更新する。
【0079】
ステップS219において、プロセッサ11は、開き括弧の入力情報と閉じ括弧の入力情報とを比較し、開き括弧と閉じ括弧が同数であるか否かを判定する。ステップS219において、開き括弧と閉じ括弧が同数であると判定されたときには、処理はステップS220に移行する。ステップS219において、開き括弧と閉じ括弧が同数でないと判定されたときには、まだ、括弧内での入力があることが想定されるので、処理はステップS204に戻る。
【0080】
ステップS220において、プロセッサ11は、現在数値表示領域141における括弧表示を終了する。
【0081】
ステップS221において、プロセッサ11は、要括弧フラグがオンになっていれば、要括弧フラグをオフにする。その後、
図8A及び
図8Bの処理は終了する。
【0082】
図9は、第2の実施形態におけるディスプレイ14の表示について示した図である。第2の実施形態においては、ユーザは、数値キーと、演算キーと、括弧キーとを操作することで自身の計算したい数式を入力する。そして、ユーザは、数式の入力が完了した際に、演算実行キーを押す。この一連の動作中、現在数値表示領域141及び入力履歴表示領域142が更新される。
【0083】
例えば、ユーザが数値キーの「2」を押したとする。このとき、
図9のaで示すようにして、現在数値表示領域141にはユーザによって入力された数値である「2」が表示される。同様に、入力履歴表示領域142にも「2」が表示される。
【0084】
続いて、ユーザが加算キーを押したとする。このとき、
図9のbで示すようにして、入力履歴表示領域142には「+」がさらに表示される。一方、現在数値表示領域141の表示は「2」のままで変化しない。これは、加算キーが押される前の数値が「2」だけのためである。また、このとき要括弧フラグがオンされる。
【0085】
続いて、ユーザが左矢印キーを押したとする。このとき、
図9のcで示すようにして、入力履歴表示領域142における加算記号の前の「2」の位置にカーソル143が表示される。一方、現在数値表示領域141の表示は「2」のままで変化しない。これは、加算キーが押される前の数値も「2」であるためである。なお、
図9のカーソル143が表示されているときには入力情報の編集がされてもよい。つまり、
図9のカーソル143が表示されているときに別の数値キーが押された場合には、メモリ12の例えばRAMに記憶される数値の入力情報「2」がこの押された数値に対応した入力情報に差し替えられてもよい。
【0086】
例えばユーザが再度左矢印キーを押す等して、カーソル143が戻された後で、ユーザが開き括弧キーを押したとする。このとき、
図9のdで示すようにして、現在数値表示領域141に括弧表示144がなされる。括弧表示144は、括弧中の計算がされている間、表示される。また、入力履歴表示領域142における加算記号の後に開き括弧が表示される。
【0087】
続いて、ユーザが数値キーの「3」を押したとする。このとき、
図9のeで示すようにして、入力履歴表示領域142には「3」がさらに表示される。この時点ではまだ、括弧中の数式の入力中であるので、括弧表示144は継続される。
【0088】
続いて、ユーザが乗算キーを押したとする。このとき、
図9のfで示すようにして、現在数値表示領域141にはユーザによって入力された数値である「3」が表示される。同様に、入力履歴表示領域142にも「3」が表示される。この時点ではまだ、括弧中の数式の入力中であるので、括弧表示144は継続される。ここで、括弧処理は、ユーザによって開き括弧キーが押されたときに移行する処理である。つまり、括弧処理では、要括弧フラグによる括弧の自動挿入は実施されなくてもよい。
【0089】
続いて、ユーザが数値キーの「4」を押したとする。このとき、
図9のgで示すようにして、入力履歴表示領域142には「4」がさらに表示される。この時点ではまだ、括弧中の数式の入力中であるので、括弧表示144は継続される。なお、表示領域の節約のため、入力履歴表示領域142には現時点での括弧内の計算結果である「12」が表示されてもよい。
【0090】
続いて、ユーザが閉じ括弧キーを押したとする。このとき、
図9のhで示すようにして、現在数値表示領域141には括弧内の計算結果である「12」が表示される。つまり、括弧内の計算結果が次の入力情報とされる。また、入力履歴表示領域142には閉じ括弧が表示される。さらに、閉じ括弧キーが押されたことで、開き括弧と閉じ括弧が同数となったので括弧表示144は終了される。また、括弧処理の終了に伴い、要括弧フラグはオフされる。
【0091】
続いて、ユーザが加算キーを押したとする。このとき、
図9のiで示すようにして、入力履歴表示領域142には「+」がさらに表示される。一方、現在数値表示領域141の表示には直前の数値までの計算結果である「14」が表示される。
【0092】
続いて、ユーザが数値キー「5」を押したとする。このとき、
図9のjで示すようにして、現在数値表示領域141にはユーザによって入力された数値である「5」が表示される。また、入力履歴表示領域142には「5」がさらに表示される。
【0093】
最後に、ユーザが演算実行キーを押したとする。このとき、
図9のkで示すようにして、現在数値表示領域141には直前の数値までの計算結果である「19」が表示される。また、入力履歴表示領域142には「=」がさらに表示される。
【0094】
以上説明したように第2の実施形態によれば、ユーザによって能動的に括弧が挿入され得る。また、括弧処理中は現在数値表示領域141に括弧表示144がなされる。これにより、ユーザは、現在数値表示領域141に表示されている数値が括弧処理中の数値であることを認識できる。
【0095】
ここで、第2の実施形態の括弧処理では要括弧フラグは無視されるものとしている。これに対し、括弧処理中だけで閉じる処理として要括弧フラグが利用されてもよい。つまり、括弧処理中に加減算キーが押された後、括弧キーが押されずに乗除算キーが押されたときには括弧が自動的に挿入されてもよい。
【0096】
上述した実施形態による各処理は、コンピュータであるプロセッサ11に実行させることができるプログラムとして記憶させておくこともできる。この他、磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等の外部記憶装置の記憶媒体に格納して配布することができる。そして、プロセッサ11は、この外部記憶装置の記憶媒体に記憶されたプログラムを読み込み、この読み込んだプログラムによって動作が制御されることにより、上述した処理を実行することができる。
【0097】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0098】
以下に、本願の発明の実施の形態から抽出され得る発明を付記する。
[1] 数値及び演算記号の入力を受け付ける操作部と、
入力された数値及び演算記号の入力履歴を表示する入力履歴表示領域を有する表示部と、
前記操作部によって前記演算記号のうちの加算記号又は減算記号の入力が受け付けられ、次に入力が受け付けられた前記演算記号が乗算記号又は除算記号だった場合に、前記乗算記号に基づく乗算又は除算記号に基づく除算よりも、前記乗算記号又は除算記号の入力が受け付けられる前に入力が受け付けられた数値及び演算記号に基づく演算の方が先に実行されることを示す表示形態となるように前記入力履歴表示領域の入力履歴を変更する処理部と、
を具備する計算機。
[2] 前記表示形態は、前記乗算記号又は除算記号の入力が受け付けられる前に入力が受け付けられた数値及び演算記号の先頭と末尾に括弧を挿入する表示を含む[1]に記載の計算機。
[3] 前記処理部は、
前記操作部によって加算記号又は減算記号の入力が受け付けられたときに、括弧の挿入が必要であるか否かを判定するための要括弧フラグをオンにし、
前記操作部によって乗算記号又は除算記号の入力が受け付けられたときに、前記要括弧フラグがオンであれば、前記入力履歴表示領域の入力履歴を変更する、
[1]又は[2]に記載の計算機。
[4] 前記処理部は、
前記入力履歴表示領域の入力履歴を変更した後で前記要括弧フラグをオフにする[3]に記載の計算機。
[5] 前記操作部は、さらに、括弧の入力を受け付けるように構成されている[1]-[4]の何れか1に記載の計算機。
[6] 前記表示部は、入力された数値及び演算記号に基づく現在の数値を表示する現在数値表示領域をさらに有し、
前記処理部は、前記操作部によって括弧の入力が受け付けられたときに前記現在数値表示領域に表示されている数値が括弧中の数値であることを認識させるための表示をさらに行う[5]に記載の計算機。
[7] 数値及び演算記号の入力を受け付けることと、
前記演算記号のうちの加算記号又は減算記号の入力が受け付けられ、次に入力が受け付けられた前記演算記号が乗算記号又は除算記号だった場合に、前記乗算記号に基づく乗算又は除算記号に基づく除算よりも、前記乗算記号又は除算記号の入力が受け付けられる前に入力が受け付けられた数値及び演算記号に基づく演算の方が先に実行されることを示す表示形態となるように、入力された数値及び演算記号の入力履歴を表示する入力履歴表示領域を有する表示部の前記入力履歴表示領域の入力履歴を変更することと、
をプロセッサに実行させるための計算プログラム。
【符号の説明】
【0099】
1 計算機、11 プロセッサ、12 メモリ、13 操作キー、14 ディスプレイ、131 数値キー、132 演算キー、133 機能キー、1331 矢印キー、1332 括弧キー、141 現在数値表示領域、142 入力履歴表示領域、143 カーソル、144 括弧表示。