(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
H02K 5/16 20060101AFI20240814BHJP
F16C 19/06 20060101ALI20240814BHJP
F16C 35/067 20060101ALI20240814BHJP
H02K 11/30 20160101ALI20240814BHJP
【FI】
H02K5/16
F16C19/06
F16C35/067
H02K11/30
(21)【出願番号】P 2020218173
(22)【出願日】2020-12-28
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】ニデックパワートレインシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【氏名又は名称】梶原 慶
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】本間 和博
(72)【発明者】
【氏名】村田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】梶田 国博
【審査官】池田 貴俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-074858(JP,A)
【文献】特開2020-167920(JP,A)
【文献】特開2020-076387(JP,A)
【文献】特開2020-165410(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/16
F16C 19/06
F16C 35/067
H02K 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸線を中心として回転するシャフトを有するモータ部と、
前記モータ部を収容するモータ部収容空間が設けられる筒状のハウジング本体と、
前記シャフトの軸方向一方側の端部を支持するベアリングと、
ベアリングホルダと、
前記モータの軸方向一方側に位置する制御基板と、
前記モータの回転を検出する回転センサを有し、前記モータの軸方向一方側且つ前記制御基板の他方側に位置するセンサ基板と、を備え、
前記シャフトは、軸方向一方側の端部にセンサマグネットを有し、
前記回転センサは、前記センサマグネットに対向して設けられ、
前記ベアリングホルダは、
前記ベアリングを保持する筒状部と、
前記筒状部から径方向外側に延びる複数の脚部と、
前記センサ基板を保持するセンサ保持部と、
前記脚部の先端に設けられ、軸方向から見て前記ハウジング本体の収容筒部と重なる固定部と、を有し、
前記固定部には、固定ネジを通過させる貫通孔が設けられ、
前記センサ保持部は、前記脚部に設けられ、
前記貫通孔は前記センサ保持部よりも軸方向一方側に位置し、
前記脚部は、前記ベアリングよりも軸方向一方側に配置され、
前記脚部同士の間に設けられる隙間は、軸方向から見て、前記モータ部収容空間に重なるモータ。
【請求項2】
前記制御基板の軸方向他方側の面に実装された実装部品の一部は、前記隙間に配置される、
請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記脚部は、折曲部を有する、
請求項1
または2に記載のモータ。
【請求項4】
前記筒状部は、
前記ベアリングを径方向外側から囲む保持筒部と、
前記保持筒部に繋がり径方向外側に向かうに従い軸方向一方側に傾斜するテーパ筒部と、を有する、
請求項1から
3のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項5】
前記ベアリングホルダは、周方向に並ぶ4つの前記脚部を有する、
請求項1から
4のいずれか一項に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の電動モータは、ロータの一方を支持する軸受を配置した保持部材と、制御基板と、制御回路部と、を備える。特許文献1においては、保持部材と、制御基板と、制御回路部と、は、軸方向に積層されるように配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のベアリングホルダは、ベアリングを保持する筒状部と、筒状部から径方向外側に向かって板状に広がる、例えば円板状部と、を有する形状であった。しかしながら、このようなベアリングホルダを備えるモータにおいては、基板に配置される電子部品と、ベアリングホルダと、の干渉を防ぐために、電子部品は、基板の両面のうちベアリングホルダとは反対の面上に配置されていた。あるいは別の形態では、電子部品は、基板の両面のうちベアリングホルダと対向する面上に配置され、かつ基板とベアリングホルダとは、離間して配置されていた。そのため、モータを軸方向に小型化することが困難であった。
【0005】
本発明の一つの態様は、上記問題点に鑑みて、モータを軸方向に小型化することが可能なベアリングホルダを備えるモータの提供を目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のモータの一つの態様は、中心軸線を中心として回転するシャフトを有するモータ部と、前記モータ部を収容するモータ部収容空間が設けられる筒状のハウジング本体と、前記シャフトの軸方向一方側の端部を支持するベアリングと、ベアリングホルダと、を備える。前記ベアリングホルダは、前記ベアリングを保持する筒状部と、前記筒状部から径方向外側に延びる複数の脚部と、を有する。前記脚部同士の間に設けられる隙間は、軸方向から見て、前記モータ部収容空間に重なる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、モータを軸方向に小型化することが可能なベアリングホルダを備えるモータが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態のポンプ装置の断面図である。
【
図2】
図2は、一実施形態のポンプ装置の部分分解上面図である。
【
図3】
図3は、一実施形態のベアリングホルダの斜視図である。
【
図4】
図4は、一実施形態のベアリングホルダの配置状態を示す部分透視斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るモータ10について説明する。
図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、後段に説明する中心軸線Jの軸方向と平行な方向とする。X軸方向は、Z軸方向と直交する方向とする。Y軸方向は、X軸方向とZ軸方向との両方と直交する方向とする。
【0010】
以下の説明においては、Z軸方向の正の側(+Z側)を「上側」又は「軸方向一方側」と呼び、Z軸方向の負の側(-Z側)を「下側」又は「軸方向他方側」と呼ぶ。なお、上側および下側とは、単に説明のために用いられる方向であって、モータ10およびポンプ装置1の使用時の姿勢を限定するものではない。また、特に断りのない限り、中心軸線Jに平行な方向(Z軸方向)を単に「軸方向」と呼び、中心軸線Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸線Jを中心とする周方向、すなわち、中心軸線Jの軸周りを単に「周方向」と呼ぶ。さらに、以下の説明において、「平面視」とは、軸方向から見た状態を意味する。
【0011】
<ポンプ装置>
図1は、ポンプ装置1の、
図2中のI-I線による断面図である。本実施形態のポンプ装置1は、水、オイルなどの流体を吸入して、吐出する。ポンプ装置1は、例えば、流体を流路に循環させる機能を有する。ポンプ装置1は、例えば車両の駆動装置に搭載される。
【0012】
図1に示すように、ポンプ装置1は、モータ10と、モータ10に接続されモータ10によって駆動されるポンプ機構90と、を備える。
【0013】
<モータ>
モータ10は、ハウジング11と、モータ部20と、制御基板40と、センサ基板15と、ベアリングホルダ85と、コネクタ80と、を備える。
【0014】
<ハウジング>
ハウジング11は、ハウジング本体12と、カバー13と、を有する。すなわち、モータ10は、ハウジング本体12と、カバー13と、を備える。ハウジング本体12は、モータ部20を収容する。カバー13は、ハウジング本体12の上側の端部に締結される。カバー13は、ハウジング本体12の上側の開口を塞ぐ。ハウジング11は、モータ部20、制御基板40、センサ基板15、およびベアリングホルダ85を収容する。
【0015】
ハウジング本体12は、収容筒部12aと、底壁部12eと、を有する。収容筒部12aは、軸方向に延びる筒状である。本実施形態の収容筒部12aは、中心軸線Jを中心とする円筒状である。収容筒部12aの内部には、モータ部20を収容するモータ部収容空間Cと、センサ基板15および制御基板40を収容する制御部収容空間Dと、が設けられる。すなわち、筒状のハウジング本体12に、モータ部20を収容するモータ部収容空間Cが設けられている。収容筒部12aは、上側に開口する。収容筒部12aの上側の開口は、カバー13に覆われる。底壁部12eは、収容筒部12aの下端部に位置する。底壁部12eは、モータ部収容空間Cを下側から覆う。底壁部12eには、ベアリング保持部12dが設けられる。ベアリング保持部12dは、モータ部20の第2ベアリング37を保持する。
【0016】
カバー13は、主に、中心軸線Jと直交する方向に沿って延びる板状である。カバー13は、ハウジング本体12の上側の開口を塞ぐ。また、カバー13は、制御基板40を上側から覆う。カバー13には、上下方向に貫通する開口部13aが設けられる。開口部13aには、コネクタ80が配置される。
【0017】
<モータ部>
モータ部20は、中心軸線Jを中心として回転するロータ21と、ロータ21に径方向に対向するステータ26と、第1ベアリング36と、第2ベアリング37と、を有する。すなわち、モータ10は、第1ベアリング36を備える。モータ部20は、例えば三相交流モータである。
【0018】
ロータ21は、シャフト22と、ロータコア23と、マグネット24とを有する。すなわち、モータ部20は、中心軸線Jを中心として回転するシャフト22を有する。ロータ21は、シャフト22の下端部において、ポンプ機構90に接続され、ポンプ機構90に動力を伝える。
【0019】
シャフト22は、中心軸線Jを中心として上下方向に延びる。シャフト22は、第1ベアリング36および第2ベアリング37によって回転可能に支持される。第1ベアリング36は、ロータコア23の上側に位置し、第2ベアリング37は、ロータコア23の下側に位置する。すなわち、第1ベアリング36はシャフト22の軸方向一方側の端部を支持し、第2ベアリング37はシャフト22の軸方向他方側の端部を支持する。
【0020】
シャフト22の下端部には、シール軸部22dと連結軸部22eとが設けられる。シール軸部22dは、第2ベアリング37の下側に位置する。シール軸部22dの外周面には、シール部材32が配置される。シール部材32は、ポンプ機構90側とモータ部収容空間Cとの間を封止する。連結軸部22eは、シール軸部22dの下側に位置する。連結軸部22eは、ポンプ機構90の駆動部90aに連結される。
【0021】
シャフト22の上端部には、固定部材22hを介してセンサマグネット21mが取り付けられる。すなわち、シャフト22は、軸方向一方側の端部にセンサマグネット21mを有する。センサマグネット21mは、円環状である。センサマグネット21mは、周方向に交互に着磁された永久磁石である。センサマグネット21mは、ロータ21とともに中心軸線J周りを回転する。
【0022】
ロータコア23は、シャフト22の外周面に固定される。ロータコア23は、中心軸線Jを中心として周方向に延びる環状である。マグネット24は、ロータコア23に固定される。マグネット24は、複数設けられる。複数のマグネット24は、中心軸線J周りに等間隔に並ぶ。
【0023】
ステータ26は、ロータ21の径方向外側に配置される。ステータ26は、ステータコア27と、複数のインシュレータ28と、複数のコイル29と、を有する。
【0024】
ステータコア27は、中心軸線Jを中心とする円環状のコアバック部27aと、コアバック部27aの内周端から径方向内側へ延びる複数のティース部27bとを有する。複数のティース部27bは、周方向に互いに間隔をあけて配置される。ティース部27bの径方向内側面は、マグネット24の径方向外側面に、径方向外側から隙間をあけて対向する。
【0025】
コイル29は、多層に巻き回されたコイル線からなる。複数のコイル29は、それぞれインシュレータ28を介してティース部27bに装着される。コイル線の端部は、引出線29aとして、ステータ26の上側に引き出される。引出線29aは、制御基板40に接続される。コイル29には、制御基板40から交流電流が供給される。
【0026】
<センサ基板>
センサ基板15は、ベアリングホルダ85の上側に位置する。本実施形態においては、センサ基板15は、センサ基板保持具19を介してベアリングホルダ85に、固定される。センサ基板15は、センサ基板本体15aと、回転センサ15bと、を有する。センサ基板保持具19は、例えば樹脂からなる部材である。センサ基板保持具19は、固定ピン19aを有する。また、
図4に示すように、センサ基板保持具19には、外縁から径方向外側に延びる切欠部19bが設けられる。センサ基板15は、センサ基板保持具19を介さずに、別の手段によりベアリングホルダ85に固定されてもよい。
【0027】
センサ基板本体15aは、中心軸線Jと直交する平面に沿って延びる。回転センサ15bは、センサ基板本体15aの下面に実装される。回転センサ15bは、中心軸線J上に配置される。すなわち、回転センサ15bは、センサマグネット21mの直上に対向するように配置される。回転センサ15bは、ロータ21の回転角を検出する。すなわち、回転センサ15bは、モータ10の回転を検出する。センサ基板15は、図示略の接続線を介して、制御基板40に接続される。
【0028】
<制御基板>
制御基板40は、モータ部20、ベアリングホルダ85、およびセンサ基板15の上側に配置される。すなわち、モータ10は、モータ10の軸方向一方側に制御基板を備える。制御基板40は、固定ネジ89によってハウジング本体12に固定される。
【0029】
制御基板40には、ステータ26のコイル29から延び出る引出線29aが接続される。これにより、制御基板40は、モータ部20に電気的に接続される。制御基板40は、外部電源から供給される電力を、モータ部20のステータ26に供給する。制御基板40は、センサ基板15から受信したロータ21の回転角の情報を基に、モータ部20に供給する電流を制御する。
【0030】
制御基板40は、基板本体41と、基板本体41に実装される複数の素子42と、を有する。基板本体41は、平面視で多角形状である。基板本体41は、中心軸線Jと直交する平面に沿って延びる。複数の素子42は、例えば、電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor,FET)、プリドライバおよび低損失型リニアレギュレータ(Low Drop-Out regulator,LDO)、コンデンサなどである。
【0031】
<ベアリングホルダ>
ベアリングホルダ85は、モータ部20の上側に位置する。ベアリングホルダ85は、モータ部収容空間Cを上側から覆う。
図1に示すように、ベアリングホルダ85は、ハウジング11の内部において、モータ部収容空間Cと制御部収容空間Dとの境界部に配置される。ベアリングホルダ85は、第1ベアリング36を保持する。本実施形態では、ベアリングホルダ85は、金属製の部材であり、好ましくは板金加工により製造される。
【0032】
図2は、一実施形態のポンプ装置1の部分分解上面図である。より詳細には、
図2は、ポンプ装置1のうち、ベアリングホルダ85よりも上方にある部材が取り外された状態で図示されている。
図3は、一実施形態のベアリングホルダの斜視図である。
図4は、一実施形態のベアリングホルダ85の配置状態を示す部分透視斜視図である。より詳細には、
図4は、ポンプ装置1のうち、ベアリングホルダ85よりも下方にある部材が透過した状態で図示されている。
【0033】
図3に示すように、ベアリングホルダ85は、筒状部86と、フランジ部87と、複数の脚部88と、を有する。筒状部86は、中心軸線Jを中心として配置される。複数の脚部88は、筒状部86から径方向外側に延びる。フランジ部87は、複数の脚部88同士の間に設けられる。フランジ部87は、筒状部86から径方向外側に延びる。
【0034】
筒状部86は、第1ベアリング36を保持する。筒状部86は、保持筒部86aと、保持筒部から径方向外側に延びるテーパ筒部86dと、を有する。保持筒部86aは、第1ベアリング36を径方向外側から囲む。
【0035】
保持筒部86aは、第1ベアリング36の径方向外側を囲む円筒壁部86bと、第1ベアリング36に軸方向一方側から接触する円環底部86cと、を有する。円筒壁部86bは、中心軸線Jを中心とする円筒形である。本実施形態では、ベアリングホルダ85は、板金加工により製造され、円筒壁部86bは、径方向に折り重なり、下端部でつながる二層構造を有する。このような構造は、安価な板金で製造することができ、十分な剛性を確保して、ベアリングの振動を抑制できる。
【0036】
ベアリングホルダ85には、上下方向に貫通する中央孔85hが設けられる。中央孔85hは、中心軸線Jを中心とする円形である。円環底部86cは、中心軸線Jを中心とする円環状かつ板状の部分であり、中央孔85hを囲むように設けられる。中央孔85hには、シャフト22の上端部が通される。これにより、センサマグネット21mは、第1ベアリング36の上側であって、テーパ筒部86dの径方向内側に配置される。
【0037】
テーパ筒部86dは、上側に向かうに従い径方向外側に傾斜する。テーパ筒部86dは、保持筒部86aと脚部88とを繋ぐ。また、脚部88同士の間の領域においては、テーパ筒部86dは、保持筒部86aとフランジ部87とを繋ぐ。したがって、脚部88は、第1ベアリング36よりも軸方向一方側に配置される。テーパ筒部86dは、テーパ状であることで、剛性が高められている。また、シャフトの上側の空間である制御部収容空間Dをより広く確保できる。これにより、センサマグネット21mと回転センサ15bとをより容易に配置することができる。
【0038】
フランジ部87は、テーパ筒部86dの外縁から径方向外側に延びる。フランジ部87は、後述するセンサ保持部88aと同一平面上に配置されており、センサ基板保持具19が載置される。また、フランジ部87には、センサ基板保持具19の切欠部19bと、周方向の同じ位置に、同じ形状の切欠部87aが、軸方向に見て重なるように設けられる。切欠部19bおよび87aは、組み立て工程において、周方向の位置決めを容易にすることができる。
【0039】
脚部88は、テーパ筒部86dの外縁から径方向外側に延びる。本実施形態においては、ベアリングホルダ85は、周方向に並ぶ4つの脚部88を有する。
図2に示すように、脚部88同士の間に設けられる隙間Sは、フランジ部87よりも径方向外側の空間である。脚部88同士の間に設けられる隙間Sは、軸方向から見て、モータ部収容空間Cに重なる。
図4に示すように、基板本体41に実装される複数の素子42のうち、制御基板40の軸方向他方側の面に実装された実装部品の一部は、隙間Sに配置される。本実施形態においては、実装部品の一部とは、コンデンサ等の軸方向に背の高い部品42aである。
【0040】
脚部88は、センサ保持部88aと、折曲部88bと、固定部88cと、を有する。すなわち、ベアリングホルダ85は、センサ保持部88aを有する。センサ保持部88aと、折曲部88bと、固定部88cと、は、径方向内側から外側に向かってこの順で並ぶ。
【0041】
図1に示すように、センサ保持部88aは、センサ基板15を保持する。より詳細には、センサ基板15を保持するセンサ基板保持具19が、センサ保持部88a上に載置される。本実施形態においては、センサ保持部88aにはそれぞれ1つの貫通孔88iが設けられる。一方で、センサ基板15を保持するセンサ基板保持部19には、下側に延びる固定ピン19aが設けられる。固定ピン19aは、貫通孔88iに挿入されて先端を熱カシメされる。センサ基板保持部19は、ベアリングホルダ85に固定されている。これにより、センサ基板15は、センサ保持部88aの上方に固定される。また、センサ基板15の下面に実装された回転センサ15bは、テーパ筒部86dの径方向内側において、センサマグネット21mと対向して配置される。
【0042】
脚部88は、折曲部88bにおいて段差状に折り曲げて成形される。折曲部88bは、周方向に沿って延びる。このため、センサ保持部88aと固定部88cとは、配置される高さが互いに異なる。固定部88cは、センサ保持部88aより上側に配置される。
【0043】
固定部88cは、脚部88の先端に設けられる。すなわち、ベアリングホルダ85は、固定部88cを有する。脚部88は、固定部88cにおいてハウジング本体12にネジ固定される。固定部88cには、固定ネジ89を通過させる貫通孔88hが設けられる。固定部88cは、軸方向から見てハウジング本体12の収容筒部12aと重なる。
【0044】
本実施形態によれば、ベアリングホルダ85の脚部88同士の間に設けられる隙間Sは、軸方向から見て、モータ部収容空間Cに重なる。
図2に示すように、ステータ26は、軸方向一方側から見て、隙間Sを介して制御部収容空間Dに露出する。このため、ステータ26から引き出された引出線29aを、隙間Sを通して制御部収容空間D側に容易に配策できる。結果的に、引出線29aを制御基板40に接続する際の引出線29aの配策工程を簡素化できる。
【0045】
本実施形態によれば、制御基板40の軸方向他方側の面に実装された実装部品の一部は、隙間Sに配置される。この構成により、コンデンサ等の軸方向に背の高い部品42aとベアリングホルダ85との干渉を回避したまま、制御基板40とベアリングホルダ85との軸方向距離をより近づけることができる。
【0046】
本実施形態によれば、ベアリングホルダ85は、固定部88cを有する。固定部88cは、脚部88の先端に設けられる。また、固定部88cは、軸方向から見てハウジング本体12の収容筒部12aと重なる。固定部88cには、固定ネジ89を通過させる貫通孔88hが設けられる。この構成により、固定ネジ89は固定部88cを収容筒部12aに対して固定される。収容筒部12aは軸方向に十分な厚さを有するため、固定ネジ89のかかり代を十分に確保することができる。
【0047】
本実施形態によれば、ベアリングホルダ85は、センサ基板15を保持するセンサ保持部88aを有する。この構成により、センサ基板15を制御基板40に直接固定する構成と比較して、より容易にセンサマグネット21mと回転センサ15bとを所望の相対位置に配置することができ、かつより安定的に固定することができる。
【0048】
本実施形態によれば、センサ保持部88aは、脚部88に設けられる。脚部88は、第1ベアリング36よりも軸方向一方側に配置される。この構成により、ベアリングホルダ85の筒状部86よりも上方にセンサ基板15および固定部88cを配置することができる。したがって、第1ベアリング36とモータ部20とをより軸方向に近づけた場合においても、引出線29aを容易にステータ26から制御基板40へと通すことができる。
【0049】
本実施形態によれば、脚部88は、折曲部88bを有する。この構成により、脚部88は、折曲部88bと直交する方向を軸とするねじれに対する合成が高まる。
【0050】
本実施形態によれば、筒状部86は、第1ベアリング36を径方向外側から囲む保持筒部86aと、保持筒部86aに繋がり径方向外側に向かうに従い軸方向一方側に傾斜するテーパ筒部86dと、を有する。この構成により、ベアリングホルダ85の剛性を大きくすることができる。さらに、テーパ筒部86dの傾斜を設定することで、ベアリングホルダ85と、引出線29a、センサ基板15および軸方向に背の高い部品42aと、を干渉しないようにかつモータ10を軸方向に小型化するように設計することができる。
【0051】
本実施形態によれば、ベアリングホルダ85は、周方向に並ぶ4つの脚部88を有する。この構成により、ベアリングホルダ85を安定してハウジング本体12に固定することができる。
【0052】
<コネクタ>
コネクタ80は、制御基板40の上側に配置され、制御基板40に接続される。軸方向から見て、コネクタ80の少なくとも一部は、制御基板40と重なる。コネクタ80は、カバー13の開口部13aを介してハウジング11の内外に配置される。すなわち、コネクタ80の一部は、ハウジング11の外部に露出する。コネクタ80には、外部装置から延びる複数の電源線および複数の信号線が接続される。
【0053】
<ポンプ機構>
ポンプ機構90は、駆動部90aと、ポンプカバー95と、を備える。駆動部90aは、モータ部20の下側に配置される。駆動部90aは、シャフト22の連結軸部22eに連結される。駆動部90aは、モータ部20の動力により駆動され、流体を吸引および吐出する。駆動部90aの構造としては、トロコイドポンプ構造、ベーンポンプ構造等が例示される。ポンプカバー95は、ハウジング本体12の下側に固定される。ポンプカバー95は、駆動部90aを下側から覆う。
【0054】
以上に、本発明の実施形態および変形例を説明したが、実施形態および変形例における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
例えば、本実施形態では、モータ10がポンプ機構90に接続されたポンプ装置1が記載されているが、本発明の形態はポンプ装置に限られない。
【符号の説明】
【0055】
10…モータ、12…ハウジング本体、12a…収容筒部、15…センサ基板、15b…回転センサ、20…モータ部、21m…センサマグネット、22…シャフト、36…第1ベアリング、40…制御基板、42a…軸方向に背の高い部品(実装部品の一部)、85…ベアリングホルダ、86…筒状部、86a…保持筒部、86d…テーパ筒部、88…脚部、88a…センサ保持部、88b…折曲部、88c…固定部、88h…貫通孔、89…固定ネジ、C…モータ部収容空間、J…中心軸線、S…隙間