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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】不活化装置および不活化方法
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/10 20060101AFI20240814BHJP
   A61L 9/20 20060101ALI20240814BHJP
   G02B 5/26 20060101ALI20240814BHJP
   G02B 5/28 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
A61L2/10
A61L9/20
G02B5/26
G02B5/28
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021038034
(22)【出願日】2021-03-10
(65)【公開番号】P2022138251
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100109036
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 重幸
(72)【発明者】
【氏名】大橋 広行
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 信二
【審査官】村山 睦
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-180956(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0216958(US,A1)
【文献】特表2014-52931(JP,A)
【文献】特開2019-115525(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/10
A61L 9/20
G02B 5/26
G02B 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人が存在する空間内において紫外線を放射して、当該空間内に存在する微生物および/またはウイルスを不活化する不活化装置であって、
前記空間内を移動可能な移動体と、
前記移動体を駆動する駆動部と、
前記移動体に搭載され、190nm以上240nm未満の波長範囲にある紫外線を含む光を放出するエキシマランプおよびLEDのいずれか一方の紫外線光源と、光放射窓に設けられて前記紫外線光源から放出される紫外線のうち前記波長範囲以外の紫外線の透過を阻止する多層膜フィルタと、を有する紫外線照射ユニットと、
前記紫外線照射ユニットの姿勢を調整して、当該紫外線照射ユニットから放出される紫外線の光軸の角度を調整する姿勢調整機構と、
予め定められた照射対象を検出し、前記紫外線照射ユニットと前記照射対象とが作る軸の角度を検出する角度検出部と、
前記角度検出部により検出された角度に基づいて、前記紫外線照射ユニットから放出される紫外線の光軸と、前記紫外線照射ユニットと前記照射対象とが作る軸とのなす角が所定角度以内となるように前記姿勢調整機構を制御する制御部と、を備えることを特徴とする不活化装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記なす角が前記所定角度以内となるように前記姿勢調整機構を制御できない場合、前記紫外線光源からの紫外線の放出を停止することを特徴とする請求項1に記載の不活化装置。
【請求項3】
前記紫外線照射ユニットは、前記紫外線光源から放出されて前記多層膜フィルタに入射した光のうち、前記多層膜フィルタへの入射角が前記所定角度を超える角度で入射した光を前記光放射窓から放出しないように遮蔽する遮蔽部材をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の不活化装置。
【請求項4】
前記紫外線光源は、
KrClエキシマランプ、KrBrエキシマランプ、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)系LEDおよび酸化マグネシウム亜鉛(MgZnO)系LEDのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の不活化装置。
【請求項5】
前記多層膜フィルタは、HfO層およびSiO層による誘電体多層膜を有し、前記紫外線光源からの放出光が入射角0°で入射したとき、190nm以上230nm以下にある紫外線の少なくとも一部、および230nm超240nm以下にある紫外線の少なくとも一部を透過させると共に、190nm以上240nm以下の波長域以外の紫外線の透過を阻止するものであって、
前記所定角度が25°であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の不活化装置。
【請求項6】
前記多層膜フィルタは、SiO層およびAl層による誘電体多層膜を有し、前記紫外線光源からの放出光が入射角0°で入射したとき、190nm以上230nm以下にある紫外線の少なくとも一部、および230nm超240nm以下にある紫外線の少なくとも一部を透過させると共に、190nm以上240nm以下の波長域以外の紫外線の透過を阻止するものであって、
前記所定角度が25°であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の不活化装置。
【請求項7】
人が存在する空間内において紫外線を放射して、当該空間内に存在する微生物および/またはウイルスを不活化する不活化方法であって、
190nm以上240nm未満の波長範囲にある紫外線を含む光を放出するエキシマランプおよびLEDのいずれか一方の紫外線光源と、光放射窓に設けられて前記紫外線光源から放出される紫外線のうち前記波長範囲以外の紫外線の透過を阻止する多層膜フィルタと、を有する紫外線照射ユニットを搭載した移動体を移動させるステップと、
予め定められた照射対象を検出し、前記紫外線照射ユニットと前記照射対象とが作る軸の角度を検出するステップと、
検出された前記軸の角度に基づいて、前記紫外線照射ユニットから放出される紫外線の光軸と、前記紫外線照射ユニットと前記照射対象とが作る軸とのなす角が所定角度以内となるように前記紫外線照射ユニットの姿勢を調整して、当該紫外線照射ユニットから放出される紫外線の光軸の角度を調整するステップと、
前記光軸の角度を調整した状態で前記紫外線照射ユニットから紫外線を照射するステップと、を含むことを特徴とする不活化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有害な微生物やウイルスを不活化する不活化装置および不活化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療施設、学校、役所、劇場、ホテル、飲食店等、頻繁に人が集まったり人が出入りしたりする施設は、バクテリアやカビ等の微生物が繁殖しやすく、またウイルスが蔓延しやすい環境にある。
例えば、有害で感染性の高い微生物やウイルスは、当該ウイルス等に感染した人が施設内の所定の空間を出入りすることにより、当該空間における床や壁等の表面上で増殖したり、当該空間内を浮遊したりする。そのため、その空間に入った次の人にウイルス等が感染し、場合によっては感染症が施設内で蔓延することもある。
【0003】
以上のような状況を改善するために、人(場合によっては動物)が集まったり出入りしたりする施設においては、上記したような有害な微生物(例えば、感染性微生物)を消毒したり、ウイルスを不活化したりする措置が求められる。
床や壁等の上記空間を取り囲む表面については、例えば、作業員によってアルコール等の消毒剤を散布する、消毒剤を染み込ませた布等で拭き取る、あるいは殺菌紫外線を照射する等の除染作業が行われる。また、空間内を浮遊する微生物やウイルス等については、例えば、紫外線照射による殺菌・不活化が行われる。
【0004】
特許文献1、2には、ヒト細胞を害することなく、殺菌対象生物であるバクテリアやウイルスを選択的に不活化する装置が開示されている。この装置においては、バクテリアやウイルスが典型的にはヒト細胞より物理的にはるかに小さいことを考慮して、照射する紫外線の波長が適切に選択される。具体的には、放出光の中心波長が207nmのKrBrエキシマランプや放出光の中心波長が222nmのKrClエキシマランプなどの光源と、好ましい波長範囲(波長190nm~230nm)外の波長の紫外線の透過を阻止する光学フィルタとを用いることにより、ヒト細胞に対する危害を実質的に回避しながら、身体における殺菌対象部位に存在する殺菌対象生物やウイルスを不活化可能な紫外線を人間の身体に照射している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6025756号公報
【文献】特表2018-517488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
所定の波長範囲以外の紫外線をカットする光学フィルタとしては、誘電体多層膜を有する干渉フィルタが用いられる。このような干渉フィルタにおいては、カットオフ/カットオン波長において急峻なカーブを有する分光透過特性が得られる。その一方で、干渉フィルタは、入射角によって光の透過率が異なるという入射角依存性を有する。
具体的に説明すると、干渉フィルタは、光の入射角が大きくなるに従って、光の透過率のピーク波長や透過帯の長波長側端の波長が、短波長側にシフトするという光学特性を有する。そのため、光源から放出される光を、干渉フィルタを介して照射すると、光源から放出される光のうち、干渉フィルタに大きい入射角で入射した光が、当該干渉フィルタによって遮断若しくは大きく減衰するため、光源から放出される光を高い効率で利用することが困難となる。
【0007】
つまり、紫外線照射ユニットと照射対象との位置関係が、上記干渉フィルタに大きい入射角で入射した光が照射対象に照射される関係となってしまうと、照射対象に所望の波長範囲の紫外線を効果的に照射することができず、当該照射対象に存在する有害な微生物やウイルスを適切に殺菌、不活化することができない。
【0008】
そこで、本発明は、人や動物に対して安全な紫外線を照射対象に対して適切に照射して、照射対象に存在する有害な微生物やウイルスを効果的に不活化することができる不活化装置および不活化方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る不活化装置の一態様は、人が存在する空間内において紫外線を放射して、当該空間内に存在する微生物および/またはウイルスを不活化する不活化装置であって、前記空間内を移動可能な移動体と、前記移動体を駆動する駆動部と、前記移動体に搭載され、190nm以上240nm未満の波長範囲にある紫外線を含む光を放出するエキシマランプおよびLEDのいずれか一方の紫外線光源と、光放射窓に設けられて前記紫外線光源から放出される紫外線のうち前記波長範囲以外の紫外線の透過を阻止する多層膜フィルタと、を有する紫外線照射ユニットと、前記紫外線照射ユニットの姿勢を調整して、当該紫外線照射ユニットから放出される紫外線の光軸の角度を調整する姿勢調整機構と、予め定められた照射対象を検出し、前記紫外線照射ユニットと前記照射対象とが作る軸の角度を検出する角度検出部と、前記角度検出部により検出された角度に基づいて、前記紫外線照射ユニットから放出される紫外線の光軸と、前記紫外線照射ユニットと前記照射対象とが作る軸とのなす角が所定角度以内となるように前記姿勢調整機構を制御する制御部と、を備える。
【0010】
このように、紫外線光源を有する紫外線照射ユニットを移動体に搭載することにより、空間内の任意の領域に紫外線を照射することができる。また、紫外線照射ユニットから放出される紫外線の光軸と、紫外線照射ユニットと照射対象とが作る軸とのなす角が所定角度以内となるように紫外線照射ユニットの姿勢を調整することができるので、入射角依存性を有する多層膜フィルタに対して所定角度以内の入射角で入射して紫外線照射ユニットから放出された光を照射対象に照射することができる。したがって、照射対象に対して不活化処理に有効な紫外線を適切に照射することができ、照射対象に存在する有害な微生物やウイルスを効果的に不活化することができる。また、190nm~240nmの波長範囲にある紫外線を照射するので、人が居る環境においても、人に害を及ぼすことなく紫外線を照射することができる。
【0011】
また、上記の不活化装置において、前記制御部は、前記なす角が前記所定角度以内となるように前記姿勢調整機構を制御できない場合、前記紫外線光源からの紫外線の放出を停止してもよい。
この場合、所望の波長範囲の紫外線について所望の照度が得られない、もしくは、所望の波長範囲外の紫外線が放出されるような状態で、紫外線照射処理が継続されることを防止することができる。
【0012】
さらに、上記の不活化装置において、前記紫外線照射ユニットは、前記紫外線光源から放出されて前記多層膜フィルタに入射した光のうち、前記多層膜フィルタへの入射角が前記所定角度を超える角度で入射した光を前記光放射窓から放出しないように遮蔽する遮蔽部材をさらに備えてもよい。
この場合、紫外線照射ユニットからは、不活化処理に有効な光だけを放出することができる。
【0013】
また、上記の不活化装置において、前記紫外線光源は、KrClエキシマランプ、KrBrエキシマランプ、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)系LEDおよび酸化マグネシウム亜鉛(MgZnO)系LEDのいずれかであってよい。
この場合、紫外線光源は、人体に悪影響の少ない190nm~240nmの波長範囲にある紫外線を適切に放射することができる。
【0014】
さらに、上記の不活化装置において、前記多層膜フィルタは、HfO層およびSiO層による誘電体多層膜を有し、前記紫外線光源からの放出光が入射角0°で入射したとき、190nm以上230nm以下にある紫外線の少なくとも一部、および230nm超240nm以下にある紫外線の少なくとも一部を透過させると共に、190nm以上240nm以下の波長域以外の紫外線の透過を阻止するものであって、前記所定角度が25°であってよい。
上記の多層膜フィルタへの入射角が25°以下である場合、波長222nmの紫外線の透過率は50%以上となる。紫外線照射ユニットから放出される紫外線の光軸と、紫外線照射ユニットと照射対象とが作る軸とのなす角が25°以内となるように制御することで、波長222nmの紫外線を有効に利用した適切な不活化処理が可能となる。
【0015】
また、上記の不活化装置において、前記多層膜フィルタは、SiO層およびAl3層による誘電体多層膜を有し、前記紫外線光源からの放出光が入射角0°で入射したとき、190nm以上230nm以下にある紫外線の少なくとも一部、および230nm超240nm以下にある紫外線の少なくとも一部を透過させると共に、190nm以上240nm以下の波長域以外の紫外線の透過を阻止するものであって、前記所定角度が25°であってよい。
上記の多層膜フィルタへの入射角が25°以下である場合、波長222nmの紫外線の透過率は50%以上となる。紫外線照射ユニットから放出される紫外線の光軸と、紫外線照射ユニットと照射対象とが作る軸とのなす角が25°以内となるように制御することで、波長222nmの紫外線を有効に利用した適切な不活化処理が可能となる。
【0016】
また、本発明に係る不活化方法の一態様は、人が存在する空間内において紫外線を放射して、当該空間内に存在する微生物および/またはウイルスを不活化する不活化方法であって、190nm以上240nm未満の波長範囲にある紫外線を含む光放出するエキシマランプおよびLEDのいずれか一方の紫外線光源と、光放射窓に設けられて前記紫外線光源から放出される紫外線のうち前記波長範囲以外の紫外線の透過を阻止する多層膜フィルタと、を有する紫外線照射ユニットを搭載した移動体を移動させるステップと、予め定められた照射対象を検出し、前記紫外線照射ユニットと前記照射対象とが作る軸の角度を検出するステップと、検出された前記軸の角度に基づいて、前記紫外線照射ユニットから放出される紫外線の光軸と、前記紫外線照射ユニットと前記照射対象とが作る軸とのなす角が所定角度以内となるように前記紫外線照射ユニットの姿勢を調整して、当該紫外線照射ユニットから放出される紫外線の光軸の角度を調整するステップと、前記光軸の角度を調整した状態で前記紫外線照射ユニットから紫外線を照射するステップと、を含む。
【0017】
これにより、移動体を移動させながら、照射対象に対して不活化処理に有効な紫外線を適切に照射することができ、照射対象に存在する有害な微生物やウイルスを効果的に不活化することができる。また、190nm~240nmの波長範囲にある紫外線を照射するので、人が居る環境においても、人に害を及ぼすことなく紫外線を照射することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、人や動物に対して安全な紫外線を照射対象に対して適切に照射して、照射対象に存在する有害な微生物やウイルスを効果的に不活化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】紫外線照射ユニットを飛翔体に搭載した不活化装置の構成例を示す模式図である。
図2】紫外線照射ユニットおよび角度調整機構の構成例を示す模式図である。
図3】光学フィルタの一例における光透過率の分光分布とKrClエキシマランプの分布スペクトルとを示す図である。
図4】光学フィルタの他の例における光透過率の分光分布とKrClエキシマランプの分布スペクトルとを示す図である。
図5】照射ターゲットへの紫外線照射を示す図である。
図6】紫外線照射ユニットを移動ロボットに搭載した不活化装置の構成例を示す模式図である。
図7】紫外線照射ユニットを移動ロボットに搭載した不活化装置の別の構成例を示す模式図である。
図8】エキシマランプの構成例を示す模式図である。
図9】エキシマランプの別の例を示す模式図である。
図10】エキシマランプの別の例を示す模式図である。
図11】たんぱく質の紫外線吸光スペクトルを示す図である。
図12】紫外線照射ユニットの別の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態では、人が存在する空間内において、人や動物の細胞への悪影響が少ない波長190nm~240nmの紫外線を照射して、物体表面や空間に存在する有害な微生物やウイルスを不活化する不活化装置について説明する。ここで、上記物体は、人体、動物、物を含む。
なお、「人が存在する空間」は、実際に人が居る空間に限定されず、人が出入りする空間であって人が居ない空間を含む。また、本実施形態における「不活化」とは、微生物やウイルスを死滅させる(又は感染力や毒性を失わせる)ことを指すものである。
【0021】
ここで、上記空間は、例えば、オフィス、商業施設、医療施設、駅施設、学校、役所、劇場、ホテル、飲食店等の施設内の空間や、自動車、電車、バス、タクシー、飛行機、船等の乗物内の空間を含む。なお、上記空間は、病室、会議室、トイレ、エレベータ内などの閉鎖された空間であってもよいし、閉鎖されていない空間であってもよい。また、上記空間は、屋外の空間であってもよい。
本実施形態における不活化装置は、上記波長範囲の紫外線を照射する紫外線照射ユニットを移動体に搭載した構成を有し、上記空間内を移動しながら紫外線を照射して、当該空間内の環境表面や空気中に存在する有害な微生物やウイルスを不活化する。
【0022】
図1は、紫外線照射ユニット10を移動体である飛翔体110に搭載した不活化装置100Aの構成例を示す模式図である。飛翔体110は、人が存在する空間内において任意の3次元方向に移動可能な移動体であり、例えばドローン(マルチコプター)である。
この不活化装置100Aは、紫外線照射ユニット10と、飛翔体110と、を備える。紫外線照射ユニット10は、殺菌・不活化用の紫外線として、所定の波長範囲(190nm~240nm)にある紫外線を含む光を放射する紫外線光源を備える。紫外線照射ユニット10は、後述する角度調整機構30を介して飛翔体110の本体部111により支持されている。
【0023】
飛翔体110は、本体部111と、本体部111から伸びる複数(本実施形態では、4本)のフレーム部112と、を備える。さらに、飛翔体110は、フレーム部112の先端部(本体部111側ではない方の端部)にそれぞれ設けられた駆動部113を備える。
駆動部113は、機体の飛行のための揚力および推力を発生させる推進駆動部であり、モータ114と、モータ114によって回転される回転翼(プロペラ、ロータともいう)115とを備える。ここで、モータ114は、可変速度または単一速度モータとすることができる。また、各モータ114は、それぞれ独立に駆動することが可能である。
【0024】
なお、本実施形態では、飛翔体110を駆動する駆動部としてモータ114によるプロペラ駆動を用いているが、これに限るものではなく、例えばガスジェットなどの駆動機構を用いることもできる。
【0025】
本体部111は、図示を省略した制御システムや給電部を備えており、制御システムは、モータ114を駆動してプロペラ115を回転させ、飛翔体110の揚力および推力を制御する機能を有する。
制御システムへの制御指令は、飛翔体110の動作を制御する外部制御システムより有線通信または無線通信にて行うことができる。例えば、作業者は、手元のコントローラ(外部制御システム)を操作して、無線通信により飛翔体110を所定空間の任意の3次元方向に移動させる。なお、飛翔体110は、予め設定されたコースを自動的に移動するように制御されてもよい。
【0026】
また、飛翔体110は、カメラ、センサ等を有することができる。
ここで、カメラは、例えば、飛翔体110の周囲を撮影するものであり、デジタルカメラ、ビデオカメラ等を用いることができる。カメラは、画像、ビデオ記録、および他のデータを取り込むために使用され得る。例えば、カメラによって撮影された画像を解析することで、予め定められた特定の照射ターゲット(照射対象)の有無を認識することもできる。
また、センサは、例えば、飛翔体110の周囲の障害物を検知するものであり、圧力センサ、加速度計、コンパス、運動センサ、近接センサ、またはそれらの任意の組み合わせであり得るか、またはそれらを含み得る。
この場合、制御システムは、カメラやセンサ等により取得されたデータをもとに飛翔体110の位置制御を行うこともできる。
【0027】
紫外線照射ユニット10は、飛翔体110の本体部111の下部に角度調整機構30を介して支持されており、飛翔体110とともに空間内を飛行しながら、紫外線を当該空間および当該空間を取り囲む表面に対して放射する。紫外線照射ユニット10による紫外線の照射および非照射や、紫外線照射ユニット10から放出される紫外線の光量等は、上記の制御システムによって制御される。
なお、紫外線照射ユニット10は、上記の外部制御システムによって直接制御されるように構成されていてもよい。
【0028】
角度調整機構30は、紫外線照射ユニット10の姿勢を調整して、当該紫外線照射ユニット10から放出される紫外線の光軸の角度(例えば水平方向に対する角度)を調整することができる。
具体的には、紫外線照射ユニット10は、例えば紫外線照射ユニット10の中心を通る水平方向の回転軸を中心として、角度調整機構30に対して回動可能に支持されており、紫外線照射ユニット10は、上下方向(チルト方向)に首振りを行うことが可能である。
【0029】
このように、不活化装置100Aは、人が存在する空間において、任意の3次元方向に移動しながら上記波長範囲にある紫外線を放射する。したがって、紫外線が照射された空間や当該空間を取り囲む表面上の有害な微生物やウイルスを適切に不活化することができる。
また、不活化装置100Aは、カメラの画像をもとに特定の照射ターゲットが認識された場合には、紫外線照射ユニット10の姿勢を調整して、紫外線照射ユニット10から放出される紫外線の光軸が照射ターゲットへ向くように角度調整機構30を制御する。
【0030】
図2は、不活化装置100Aが備える紫外線照射ユニット10および角度調整機構30の構成例を示す模式図である。
紫外線照射ユニット10は、導電性の金属からなる筐体11と、筐体11内部に収容された紫外線光源12と、を備える。
紫外線光源12は、例えば、中心波長222nmの紫外線を放出するKrClエキシマランプとすることができる。なお、紫外線光源12は、KrClエキシマランプに限定されるものではなく、190nm~240nmの波長範囲にある紫外線を含む光を放射する光源であればよい。例えば、紫外線光源12は、中心波長207nmの紫外線を放出するKrBrエキシマランプを用いることもできる。
【0031】
また、紫外線照射ユニット10は、エキシマランプ12に給電する給電部16と、エキシマランプ12の照射および非照射や、エキシマランプ12から放出される紫外線の光量等の制御、角度調整機構30の制御を行う制御部17と、を備える。エキシマランプ12は、筐体11内において、除振部材18によって支持されていてもよい。エキシマランプ12を除振部材18によって支持することで、エキシマランプ12が振動の影響を受けることを抑制し、安定して紫外線を照射することができる。
【0032】
筐体11には、光出射窓となる開口部11aが形成されている。この開口部11aには光学フィルタ11bを含む窓部材が設けられている。窓部材は、例えば石英ガラスからなる紫外線透過部材等を含むことができる。
なお、筐体11内には、複数本のエキシマランプ12を配置することもできる。エキシマランプ12の数は特に限定されない。
【0033】
また、角度調整機構30は、角度検出部31と、姿勢調整機構32と、を備える。
角度検出部31は、予め定められた照射ターゲットを検出し、紫外線照射ユニット10と照射ターゲットとが作る軸の角度、具体的には、紫外線照射ユニット10の中心と照射ターゲットの中心とを結ぶ軸の水平方向に対する角度を検出する。
【0034】
ここで、角度検出部31は、例えば、紫外線照射ユニット10の近傍に設けられたカメラにより撮影された画像に基づいて照射ターゲットの位置を検出し、紫外線照射ユニット10と照射ターゲットとが作る軸の角度を検出する構成とすることができる。
なお、カメラ位置と紫外線照射ユニット10の中心位置とのずれが許容範囲内である場合には、角度検出部31は、カメラ位置と照射ターゲットとを結ぶ軸を紫外線照射ユニット10と照射ターゲットとが作る軸として見做して角度を検出してもよい。ただし、カメラ位置と紫外線照射ユニット10の中心位置とのずれを考慮して、紫外線照射ユニット10と照射ターゲットとが作る軸を正確に検出し、角度を検出する方が好ましい。
また、角度検出部31における照射ターゲットの検出方法および上記角度の検出方法は上記に限定されるものではなく、任意の方法を採用することができる。
【0035】
姿勢調整機構32は、例えばステッピングモータやそれを駆動するモータドライバ等を有する不図示のチルト駆動部によって駆動され、紫外線照射ユニット10の筐体11を上下方向(チルト方向)に回動させる。上記チルト駆動部は、例えば制御部17により制御される。
なお、本実施形態では、制御部17が角度調整機構30の制御を行う場合について説明するが、紫外線照射ユニット10が備える制御部17とは別の制御ユニットにより角度調整機構30の制御を行ってもよい。
【0036】
以下、光学フィルタ11bについて具体的に説明する。
エキシマランプ12がKrClエキシマランプであってもKrBrエキシマランプであっても、エキシマランプ12からの放出光には、光量は小さいが波長範囲190nm~240nm以外の紫外線が含まれる。
そこで、光学フィルタ11bとしては、エキシマランプ12から放出される紫外線のうち上記の波長範囲(波長190nm~240nm)以外の紫外線の透過を阻止するものを用いる。
【0037】
具体的には、光学フィルタ11bとしては、光源からの放出光が入射角0°で入射したとき、190nm以上230nm以下にある紫外線の少なくとも一部、および230nm超240nm以下にある紫外線を透過させると共に、190nm以上240nm以下の波長域以外の紫外線の透過を阻止するものを用いる。ここで、「紫外線の透過を阻止する」とは、光源から放出される紫外線のうち、190nm以上240nm以下の波長領域におけるピーク波長の強度に対して、光学フィルタ透過後の紫外線の強度が1/1000以下になることを意味する。
【0038】
このような光学フィルタ11bとしては、SiO膜およびAl膜による誘電体多層膜を有するもの、または、HfO膜およびSiO膜による誘電体多層膜を有するものを用いることができる。
【0039】
図3は、光学フィルタ11bの一例における光透過率の分光分布を、KrClエキシマランプの分光スペクトルと共に示す図である。
図3において、曲線aは、光学フィルタに入射角0°で光が入射したときの光透過率の分光分布曲線、曲線bは、光学フィルタに入射角25°で光が入射したときの光透過率の分光分布曲線、曲線cは、光学フィルタに入射角30°で光が入射したときの光透過率の分光分布曲線、曲線dは、光学フィルタに入射角40°で光が入射したときの光透過率の分光分布曲線、曲線Lは、KrClエキシマランプの分光スペクトルである。
【0040】
この例の光学フィルタ11bは、合成石英ガラスよりなる基板の両面にSiO層およびAl層が交互に積層されてなる誘電体多層膜が形成されて構成されている。誘電体多層膜におけるSiO層およびAl層の層数は230層であり、総厚みは10μmを越えている。
【0041】
この光学フィルタ11bにおいては、図3に示すように、波長222nm(KrClエキシマランプの放出光のピーク波長)の紫外線の透過率が、入射角が0°のときには約75%であるが、入射角が25°のときには50%以上、入射角が30°のときであっても40%以上であり、入射角が40°のときには数%である。
また、この光学フィルタ11bにおいては、入射角が0°のときに、波長231nmの紫外線の透過率が約68.5%、波長235nmの紫外線の透過率が約4%である。
【0042】
図4は、光学フィルタ11bの他の例における光透過率の分光分布を、KrClエキシマランプの分光スペクトルと共に示す図である。
図4において、曲線aは、光学フィルタに入射角0°で光が入射したときの光透過率の分光分布曲線、曲線bは、光学フィルタに入射角25°で光が入射したときの光透過率の分光分布曲線、曲線cは、光学フィルタに入射角30°で光が入射したときの光透過率の分光分布曲線、曲線dは、光学フィルタに入射角40°で光が入射したときの光透過率の分光分布曲線、曲線Lは、KrClエキシマランプの分光スペクトルである。
【0043】
この例の光学フィルタ11bは、合成石英ガラスよりなる基板の一面にHfO層およびSiO層が交互に積層されてなる誘電体多層膜が形成されて構成されている。誘電体多層膜におけるHfO層の厚みは約240nm、SiO層の厚みは1460nmで、HfO層およびSiO層の層数は総数33層である。また、基板の他面には、HfO層およびSiO層によるARコーティングが施されている。
【0044】
この光学フィルタ11bにおいては、図4に示すように、波長222nm(KrClエキシマランプの放出光のピーク波長)の紫外線の透過率が、入射角が0°のときには約85%であるが、入射角が25°のときには50%以上、入射角が30°のときであっても約35%であり、入射角が40°のときに数%である。
また、この光学フィルタ11bにおいては、入射角が0°のときに、波長231nmの紫外線の透過率が約35.6%、波長235nmの紫外線の透過率が約2.5%である。
【0045】
このように、光学フィルタ11bとしては、上述したように誘電体多層膜を有する干渉フィルタが用いられる。このような干渉フィルタにおいては、カットオフ/カットオン波長において急峻なカーブを有する分光透過特性が得られる。その一方で、干渉フィルタは、入射角によって光の透過率が異なるという入射角依存性を有する。
具体的に説明すると、干渉フィルタは、光の入射角が大きくなるに従って、光の透過率のピーク波長や透過帯の長波長側端の波長が、短波長側にシフトするという光学特性を有する。そのため、光源から放出される光を、干渉フィルタを介して照射すると、光源から放出される光のうち、干渉フィルタに大きい入射角で入射した光が、当該干渉フィルタによって遮断若しくは大きく減衰するため、光源から放出される光を高い効率で利用することが困難となる。
【0046】
図1に示すように、ドローン等の飛翔体110に、KrClエキシマランプもしくはKrBrエキシマランプおよび干渉フィルタを備える紫外線照射ユニット10を搭載する場合、飛翔体110の飛行位置によっては、紫外線照射ユニット10と照射ターゲットとの位置関係が、上記干渉フィルタに大きい入射角で入射した光が照射ターゲットに照射される関係となってしまう場合がある。
この場合、波長222nmの紫外線を効率的に照射ターゲットに照射することができず、照射ターゲットに存在する有害な微生物やウイルスを十分に不活化することが困難となる。
【0047】
図3および図4に示す特性を有する光学フィルタ11bの場合、入射角が25°以下であれば、波長222nmの紫外線の透過率は50%以上となり、波長222nmの光を有効に利用することができるといえる。また、比較的広い有効照射範囲を得ることもできるため、効率的に不活化処理を行うことができる。
そこで、本実施形態では、紫外線照射ユニット10から放出される紫外線の光軸と、紫外線照射ユニット10と照射ターゲットとが作る軸とのなす角が所定角度以内、具体的には25°以下となるように、角度調整機構30を制御する。
【0048】
例えば、制御部17は、紫外線照射ユニット10から放出される紫外線の光軸の角度が、角度検出部31により検出された紫外線照射ユニット10と照射ターゲットとが作る軸の角度に一致するように姿勢調整機構32を制御する。このとき、制御部17は、姿勢調整機構32の現在の制御状態に基づいて、紫外線照射ユニット10から放出される紫外線の光軸の現在の角度を検出し、検出された現在の光軸の角度と角度検出部31により検出された角度とのずれ量に応じた姿勢調整機構32の制御量を算出し、当該制御量に基づいてチルト駆動部を制御する。
【0049】
これにより、図5に示すように、紫外線照射ユニット10から放出される紫外線の光軸Oを照射ターゲット200へ向けることができ、光学フィルタ11bに対して入射角0°で入射して紫外線照射ユニット10から放出された光を照射ターゲット200に照射することができる。したがって、照射ターゲット200表面に存在する微生物やウイルスに対して波長222nmの紫外線を十分な強度(照度)で照射することができ、殺菌、不活化を行うことができる。
【0050】
なお、制御部17は、紫外線照射ユニット10から放出される紫外線の光軸と、紫外線照射ユニット10と照射ターゲットとが作る軸とのなす角が所定角度以内(25°以内)となるように姿勢調整機構32を制御すればよく、必ずしも上記なす角が0°になるように制御する必要はない。
この場合にも、光学フィルタ11bに対して入射角25°以下で入射して紫外線照射ユニット10から放出された不活化処理に有効な光(図5の二点鎖線で示す光)を照射ターゲット200に照射することができる。つまり、照射ターゲット200を有効照射範囲に入るようにすることができるので、適切な不活化効果が得られる。
【0051】
ここで、照射ターゲット200は、人が頻繁に接触(または接近)する物体、人の手が届かない(届きにくい)場所にある物体、複雑な形状を有する物体などとすることができる。なお、照射ターゲット200は、上記に限定されるものではなく、任意の物体とすることができる。また、照射ターゲット200は、空間であってもよい。
例えば、照射ターゲット200は、ドアノブとすることができる。ドアノブは、人が頻繁に接触する物体であり、かつ、三次元的に複雑な形状を有する。このような物体に対しては、紫外線をあらゆる方向から陰の無いように照射し、物体表面全体の殺菌、不活化を行いたいという要望がある。
【0052】
しかしながら、例えばドローンの場合、水平を保って飛行しなければならないという制約がある。そのため、紫外線光源を搭載したドローンにおいて、放出される紫外線の光軸方向が固定である場合、ドアノブの周囲を移動しながらドアノブ表面全体に対して紫外線を照射しようとしても、紫外線が照射されない陰の部分ができてしまったり、有効照射範囲外で紫外線を照射してしまったりする。この場合、ドアノブ表面の一部については十分な不活化処理ができず、未処理で終わってしまう。
これに対して、本実施形態では、紫外線照射ユニット10の姿勢を調整可能に構成する。したがって、ドローンとドアノブとがどのような位置関係であっても、ドアノブに紫外線照射ユニット10の光出射窓を向けることができる。そのため、ドアノブ表面全体に対して適切に不活化処理に有効な紫外線を照射することができる。
【0053】
なお、飛翔体110の移動可能範囲や照射ターゲット200の設置場所によっては、紫外線照射ユニット10の姿勢を制御しても照射ターゲット200が有効照射範囲に入らない場合がある。このような場合には、紫外線照射ユニット10からの紫外線照射を停止してもよい。これにより、所望の波長範囲の紫外線について所望の照度が得られない、もしくは、所望の波長範囲外の紫外線が照射されてしまうような状態で、紫外線照射処理が継続されることを防止することができる。
また、この場合、制御部17は、紫外線照射が行われなかったことを示す異常信号を発するなどして、作業者に対して不活化処理が未処理であることを報知してもよい。これにより、作業者による殺菌、不活化作業を促すことができる。
【0054】
また、紫外線照射ユニット10は、有効照射範囲外の光が光放射窓から放出されないように物理的に遮蔽する遮蔽部材(フード)を備えていてもよい。この場合、不活化処理に有効な光だけを紫外線照射ユニット10から放出することができる。
【0055】
なお、本実施形態では、紫外線照射ユニット10を搭載する移動体が飛翔体110である場合について説明したが、移動体は飛翔体110に限定されない。
例えば図6(a)および図6(b)に示すように、紫外線照射ユニット10を移動ロボット120に搭載することもできる。移動ロボット120は、人が存在する空間内において任意の2次元方向に移動可能な移動体であり、例えば床面を移動可能な掃除ロボット等である。
図6(a)および図6(b)に示す不活化装置100Bは、紫外線照射ユニット10と、移動ロボット120と、を備える。紫外線照射ユニット10は、上述した図1の不活化装置100Aが備える紫外線照射ユニット10と同様の構成を有する。紫外線照射ユニット10は、角度調整機構30を介して移動ロボット120の支持体123により支持されている。
【0056】
移動ロボット120は、本体部121と、本体部121に回転可能に支持された車輪122と、を備える。本体部121には、特に図示しないが、移動ロボット120を駆動する駆動部として、車輪122を回転駆動するモータと、車輪122の向きを調整する車輪調整機構と、が搭載されている。さらに、本体部121は、図示を省略した制御システムや給電部を備えており、制御システムは、上記モータを駆動して車輪122を回転駆動したり、上記車輪調整機構を調整して車輪122の向きを調整制御したりする機能を有する。
【0057】
制御システムへの制御指令は、移動ロボット120の動作を制御する外部制御システムより有線通信または無線通信にて行うことができる。例えば、作業者は、手元のコントローラ(外部制御システム)を操作して、無線通信により移動ロボット120を所定空間の任意の2次元方向に移動させる。なお、移動ロボット120は、予め設定されたコースを自動的に移動するように制御されてもよい。
【0058】
また、移動ロボット120は、カメラ、センサ等を有することができる。
ここで、カメラは、例えば、移動ロボット120の周囲を撮影するものであり、デジタルカメラ、ビデオカメラ等を用いることができる。カメラは、画像、ビデオ記録、および他のデータを取り込むために使用され得る。例えば、カメラによって撮影された画像を解析することで、予め定められた特定の照射ターゲットの有無を認識することもできる。
また、センサは、例えば、移動ロボット120の周囲の障害物を検知するものであり、圧力センサ、加速度計、コンパス、運動センサ、近接センサ、またはそれらの任意の組み合わせであり得るか、またはそれらを含み得る。
この場合、制御システムは、カメラやセンサ等により取得されたデータをもとに移動ロボット120の位置制御を行うこともできる。
【0059】
紫外線照射ユニット10は、移動ロボット120の本体部121上に支持体123によって支持されており、移動ロボット120とともに空間内を移動しながら、紫外線を当該空間および当該空間を取り囲む表面に対して放射する。紫外線照射ユニット10による紫外線の照射および非照射や、紫外線照射ユニット10から放出される紫外線の光量等は、上記の制御システムによって制御される。
なお、紫外線照射ユニット10は、上記の外部制御システムによって直接制御されるように構成されていてもよい。
【0060】
角度調整機構30は、紫外線照射ユニット10の姿勢を調整して、当該紫外線照射ユニット10から放出される紫外線の光軸の角度(例えば水平方向に対する角度)を調整することができる。
具体的には、紫外線照射ユニット10は、例えば紫外線照射ユニット10の中心を通る水平方向(Y軸方向)の回転軸を中心として、角度調整機構30に対して回動可能に支持されており、紫外線照射ユニット10は、上下方向(チルト方向)に首振りを行うことが可能である。
【0061】
また、図7(a)および図7(b)に示すように、紫外線照射ユニット10を支持する支持体123が、本体部121上に、上下方向の軸(Z軸)を中心に回動可能に取り付けられていてもよい。この場合、紫外線照射ユニット10から放出される紫外線の光軸の方向を、上下左右に自由に調整することが可能である。
【0062】
このように、不活化装置100Bは、人が存在する空間において、任意の2次元方向に移動しながら上記波長範囲にある紫外線を放射する。したがって、紫外線が照射された空間や当該空間を取り囲む表面上の有害な微生物やウイルスを適切に不活化することができる。
また、不活化装置100Bは、上述した不活化装置100Aと同様に、カメラの画像をもとに特定の照射ターゲットが認識された場合には、紫外線照射ユニット10の姿勢を調整して、紫外線照射ユニット10から放出される紫外線の光軸が照射ターゲットへ向くように角度調整機構30を制御することができる。
【0063】
以下、紫外線照射ユニット10における紫外線光源として使用されるエキシマランプ12の構成例について具体的に説明する。
図8(a)は、エキシマランプ12の管軸方向における断面の模式図であり、図8(b)は、図8(a)のA-A断面図である。
この図8(a)および図8(b)に示すように、エキシマランプ12は、両端が気密に封止された長尺な直円管状の放電容器13を備える。放電容器13は、例えば、合成石英ガラスや溶融石英ガラスなどの紫外線を透過する光透過性を有する誘電体材料より構成されている。放電容器13の内部には放電空間が形成されており、この放電空間には、紫外線を発生するバリア放電用ガス(以下、「放電ガス」ともいう。)として希ガスとハロゲンガスとが封入されている。本実施形態では、希ガスとしてクリプトン(Kr)、ハロゲンガスとして塩素ガス(Cl)を用いる。
なお、放電ガスとしては、クリプトン(Kr)と臭素(Br)との混合ガスを用いることもできる。この場合、エキシマランプ(KrBrエキシマランプ)は、中心波長207nmの紫外線を放出する。
【0064】
また、放電容器13内部の放電空間には、第一電極(内部電極)14が配設されている。内部電極14は、例えばタングステンなどの電気導電性および耐熱性を有する金属よりなる金属素線が、放電容器13の内径よりも小さなコイル径によってコイル状に巻回されて形成されてなるコイル状の電極である。この内部電極14は、放電容器13の中心軸(管軸)に沿って伸び、放電容器13の内周面に接触することのないように配設されている。
また、内部電極14の両端の各々には、内部電極用リード部材14aの一端が電気的に接続されている。内部電極用リード部材14aの他端側部分は、各々、放電容器13の外端面から外方に突出している。
【0065】
放電容器13の外周面には、第二電極(外部電極)15が設けられている。外部電極15は、例えばタングステンなどの電気導電性および耐熱性を有する金属よりなる金属素線から構成される網状の電極である。この外部電極15は、放電容器13の外周面に沿って放電容器13の中心軸方向に伸びるように設けられている。図8(a)および図8(b)に示すエキシマランプ12においては、網状電極である外部電極15は、筒状の外形を有しており、放電容器13の外周面に密接した状態で設けられている。
このような構成により、放電空間内において、内部電極14と外部電極15とが放電容器13の管壁(誘電体材料壁)を介して対向する領域に、放電領域が形成される。
【0066】
さらに、外部電極15の一端および一方の内部電極用リード部材14aの他端には、各々、給電線16bを介して給電部16(図2参照)が備える高周波電源16aが接続されている。高周波電源16aは、内部電極14と外部電極15との間に高周波電圧を印加することのできる電源である。
また、外部電極15の他端には、リード線16cの一端が電気的に接続されており、このリード線16cの他端は、接地されている。すなわち、外部電極15は、リード線16cを介して接地されている。なお、この図8(a)および図8(b)に示すエキシマランプ12においては、一方の内部電極用リード部材14aは給電線16bと一体のものとされている。
【0067】
内部電極14と外部電極15との間に高周波電力を印加すると、放電空間において誘電体バリア放電が生じる。この誘電体バリア放電により、放電空間に封入されている放電ガス(バリア放電用ガス)の原子が励起され、励起二量体(エキシプレックス)が生成される。この励起二量体が元の状態(基底状態)に戻るときに、固有の発光(エキシマ発光)が生じる。すなわち、上記放電ガスはエキシマ発光用ガスである。
【0068】
なお、エキシマランプの構成は、図8(a)および図8(b)に示す構成に限定されるものではない。例えば、図9(a)および図9(b)に示すエキシマランプ12Aのように、二重管構造の放電容器13Aを備える構成であってもよい。
このエキシマランプ12Aが備える放電容器13Aは、円筒状の外側管と、外側管の内側において外側管と同軸上に配置され、当該外側管よりも内径が小さい円筒状の内側管と、を有する。外側管と内側管とは、図9(a)の左右方向の端部において封止されており、両者の間には円環状の内部空間が形成されている。そして、この内部空間内に放電ガスが封入されている。
【0069】
内側管の内壁面13aには膜状の第一電極(内側電極)14Aが設けられ、外側管の外壁面13bには網状またはメッシュ状の第二電極(外側電極)15Aが設けられている。そして、内側電極14Aおよび外側電極15Aは、それぞれ給電線16bを介して高周波電源16aと電気的に接続されている。
【0070】
高周波電源16aによって内側電極14Aと外側電極15Aとの間に高周波の交流電圧が印加されることにより、外側管と内側管の管体を介して放電ガスに対して電圧が印加され、放電ガスが封入されている放電空間内で誘電体バリア放電が生じる。これにより放電ガスの原子が励起されて励起二量体が生成され、この原子が基底状態に移行する際にエキシマ発光を生じる。
【0071】
また、エキシマランプの構成は、例えば、図10(a)および図10(b)に示すエキシマランプ12Bのように、放電容器13Bの一方の側面に一対の電極(第一電極14B、第二電極15B)を配置した構成であってもよい。ここでは、一例として、図10(a)のZ方向に2本の放電容器13Bが並べて配置されているものとする。
図10(a)に示すように、第一電極14Bおよび第二電極15Bは、放電容器13Bにおける光取出し面とは反対側の側面(-X方向の面)に、放電容器13Bの管軸方向(Y方向)に互いに離間して配置されている。
そして、放電容器13Bは、これら2つの電極14B、15Bに接触しながら跨るように配置されている。具体的には、2つの電極14B、15BにはそれぞれY方向に延伸する凹溝が形成されており、放電容器13Bは、電極14B、15Bの凹溝に嵌め込まれている。
【0072】
第一電極14Bおよび第二電極15Bは、それぞれ給電線16bを介して高周波電源16aと電気的に接続されている。第一電極14Bと第二電極15Bとの間に高周波の交流電圧が印加されることで、放電容器13Bの内部空間において励起二量体が生成され、エキシマ光がエキシマランプ12Bの光取出し面(+X方向の面)から放射される。
ここで、電極14B、15Bは、エキシマランプ12Bから放射される光に対して反射性を有する金属材料により構成されていてもよい。この場合、放電容器13Bから-X方向に放射された光を反射して+X方向に進行させることができる。電極14B、15Bは、例えばアルミニウム(Al)やステンレスなどから構成することができる。
【0073】
上記のように、本実施形態における不活化装置100A、100Bにおいては、紫外線光源であるエキシマランプとして、波長222nmにピークを有する紫外線を放出するKrClエキシマランプ、または、波長207nmにピークを有する紫外線を放出するKrBrエキシマランプを用いることが好ましい。
【0074】
図11は、たんぱく質の紫外線吸光スペクトルを示す図である。
この図11に示すように、たんぱく質は、波長200nmに吸光ピークを有し、波長240nm以上では紫外線が吸収されにくいことがわかる。つまり、波長240nm以上の紫外線は、人の皮膚を透過しやすく、皮膚内部まで浸透する。そのため、人の皮膚内部の細胞がダメージを受けやすい。これに対して、波長200nm付近の紫外線は、人の皮膚表面(例えば角質層)で吸収され、皮膚内部まで浸透しない。そのため、皮膚に対して安全である。
一方で、波長190nm未満の紫外線が存在すると、大気中に存在する酸素分子が光分解されて酸素原子を多く生成し、酸素分子と酸素原子との結合反応によってオゾンを多く生成させてしまう。そのため、波長190nm未満の紫外線を大気中に照射させることは望ましくない。さらに、大気中のオゾン発生をより効果的に抑制するため、200nm以上にピーク波長を有する紫外線を利用することが望ましい。
【0075】
したがって、波長190nm~240nmの波長範囲は、人や動物に安全な波長範囲であるといえる。なお、人や動物に安全な波長範囲は、好ましくは波長190nm~237nm、より好ましくは波長190nm~235nm、さらに好ましくは190nm~230nmである。またオゾンの発生をより効果的に抑制する観点からは、好ましくは波長200nm~237nm、より好ましくは波長200nm~235nm、さらに好ましくは200nm~230nmである。
つまり、KrClエキシマランプから放出される波長222nmの紫外線や、KrBrエキシマランプから放出される波長207nmの紫外線は、いずれも人や動物に安全であって、微生物の殺菌やウイルスの不活化を行うことができる光である。よって、空間内の殺菌・不活化領域に人や動物が存在していても、紫外線照射による殺菌・不活化作業を行うことができる。
【0076】
なお、ACGIH(American Conference of Governmental Industrial Hygienists:米国産業衛生専門家会議)やJIS Z 8812(有害紫外放射の測定方法)によれば、人体への1日(8時間)あたりの紫外線照射量には波長ごとに許容限界値(TLV:Threshold Limit Value)が定められている。
したがって、上述した不活化装置100A、100Bにおいては、1日の紫外線照射量(積算光量)が上記の許容限界値以下となるように紫外線の照度および照射時間を設定することが好ましい。
【0077】
以上説明したように、本実施形態における不活化装置は、空間内を移動可能な移動体(飛翔体110、移動ロボット120等)と、移動体を駆動する駆動部と、移動体に搭載された紫外線照射ユニット10と、を備える。紫外線照射ユニット10は、190nm以上240nm未満の波長範囲にある紫外線を含む光を放出する紫外線光源(エキシマランプ20)と、光放射窓に設けられて紫外線光源から放出される紫外線のうち上記波長範囲以外の紫外線の透過を阻止する多層膜フィルタ(光学フィルタ11b)と、を有する。
また、本実施形態における不活化装置は、紫外線照射ユニット10の姿勢を調整して、当該紫外線照射ユニット10から放出される紫外線の光軸Oの角度を調整する姿勢調整機構32と、予め定められた照射ターゲット200を検出し、紫外線照射ユニット10と照射ターゲット200とが作る軸の角度を検出する角度検出部31と、を有する角度調整機構30を備える。そして、制御部17は、角度検出部31により検出された角度に基づいて、紫外線照射ユニット10から放出される紫外線の光軸Oと、紫外線照射ユニット10と照射ターゲット200とが作る軸とのなす角が所定角度以内となるように姿勢調整機構32を制御する。
【0078】
これにより、入射角依存性を有する多層膜フィルタに対して所定角度以内の入射角で入射して紫外線照射ユニット10から放出された光を、移動体を移動させながら、照射ターゲット200に対して適切に照射することができる。つまり、照射ターゲット200に対して、不活化処理に有効な紫外線を三次元的に照射することができる。したがって、例えば、三次元的に複雑な構造を有する照射ターゲット200に対しても、陰が無いように紫外線を照射することができ、照射ターゲット200に存在する有害な微生物やウイルスを効果的に不活化することができる。また、190nm~240nmの波長範囲にある紫外線を照射するので、人が居る環境においても、人に害を及ぼすことなく紫外線を照射することができる。
【0079】
また、多層膜フィルタとして、図3または図4に示す入射角特性を有する光学フィルタを用いた場合、上記所定角度は25°とすることができる。つまり、紫外線照射ユニット10から放出される紫外線の光軸Oと、紫外線照射ユニット10と照射ターゲット200とが作る軸とのなす角が25°以内となるように姿勢調整機構32を制御して紫外線照射を行う。
上記の多層膜フィルタへの入射角が25°以下である場合、波長222nmの紫外線の透過率は50%以上となる。紫外線照射ユニット10から放出される紫外線の光軸Oと、紫外線照射ユニット10と照射ターゲット200とが作る軸とのなす角が25°以内となるように制御することで、波長222nmの紫外線を有効に利用した適切な不活化処理が可能となる。
【0080】
以上説明したように、本実施形態では、人や動物に対して安全であって、有害な微生物やウイルスを不活化することが可能な紫外線を放出する紫外線照射ユニットを搭載する移動体を空間内に展開して、所定の照射対象に対して紫外線を照射して当該照射対象に存在する微生物やウイルスを不活化するにあたり、移動体と照射対象との位置関係によらず、照射対象に対して所望の波長範囲かつ所望の強度(照度)の紫外線を照射して、当該照射対象に存在する有害な微生物やウイルスを効果的に不活化することができる。
【0081】
(変形例)
なお、上記実施形態においては、紫外線光源としてエキシマランプを用いる場合について説明したが、紫外線光源としてLEDを用いることもできる。
図12は、紫外線光源としてLED19を用いた紫外線照射ユニット10の一例である。この図12においては、紫外線照射ユニット10は、複数のLED19を備えている。
【0082】
上記したように、除染(殺菌)用途に使用される紫外線の波長域は、200~320nmであり、特に効果的な波長は、核酸(DNA、RNA)の吸収が大きい260nm付近である。
よって、紫外線照射ユニット10に搭載される紫外線光源としてのLED19も、波長200nm~320nmの紫外線を放出するものが採用される。具体的には、例えば窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)系LED等を採用することができる。AlGaN系LEDは、アルミニウム(Al)の組成を変化させることにより200~350nmの波長範囲の深紫外域(deepUV:DUV)で発光する。
【0083】
ここで、AlGaN系LEDとしては、中心波長が200~237nmの範囲内となるようにAlの組成を調整することが好ましい。上記したように、この波長範囲の紫外線であれば、人や動物に安全であって、微生物の殺菌やウイルスの不活化を適切に行うことが可能である。例えば、Alの組成を調整することで、放出する紫外線の中心波長が222nmであるAlGaN系LEDとすることも可能である。
【0084】
また、LEDとして酸化マグネシウム亜鉛(MgZnO)系LEDを採用することもできる。MgZnO系LEDは、マグネシウム(Mg)の組成を変化させることにより190~380nmの波長範囲の深紫外域(deepUV:DUV)で発光する。
【0085】
ここで、MgZnO系LEDとしては、中心波長が200nm~237nmの範囲内となるようにMgの組成を調整することが好ましい。
上記したように、この波長範囲の紫外線であれば、人や動物に安全であって、微生物の殺菌やウイルスの不活化を適切に行うことが可能である。例えば、Mgの組成を調整することで、放出する紫外線の中心波長が222nmであるMgZnO系LEDとすることも可能である。
【0086】
ここで、上記のような紫外線(特に深紫外域の紫外線)を放出するLEDは、発光効率が数%以下と低く、発熱が大きい。また、LEDの発熱が大きくなると、当該LEDから放出される光の強度が小さくなり、また放出光の波長シフトも発生する。そのため、LEDの熱上昇を抑制するために、図12に示すように、LED19を冷却部材(例えば、熱を放熱する放熱フィン)20に設置することが好ましい。
このとき、図12に示すように、冷却部材20の一部を紫外線照射ユニット10の筐体11から突出させてもよい。
【0087】
なお、上記の中心波長222nmの紫外線を放出するAlGaN系LEDおよびMgZnO系LEDは、中心波長222nmからある程度広がりを有する波長範囲の紫外線を放出し、当該LEDから放出される光には、僅かながら人や動物に安全ではない波長の紫外線も含まれる。そのため、紫外線光源がエキシマランプである場合と同様、波長範囲190~240nm以外の波長を有するUV-C波長域の光をカットする誘電体多層膜フィルタ(光学フィルタ)を用いる。
なお、上記光学フィルタとしては、好ましくは波長200nm~237nm以外の波長を有するUV-C波長域の光をカットするもの、より好ましくは波長200nm~235nm以外の波長を有するUV-C波長域の光をカットするもの、さらに好ましくは200nm~230nm以外の波長を有するUV-C波長域の光をカットするものであってもよい。これは光源がエキシマランプの場合でも同様である。
【0088】
本発明に係る不活化方法によれば、紫外線照射による人体への悪影響を及ぼすことなく、紫外線本来の殺菌、ウイルスの不活化能力を提供することができる。特に、従来の紫外線光源とは異なり、人が存在する空間においても、紫外線による効果的な不活化処理を行うことができる。このことは、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標3「あらゆる年齢の全ての人々が健康的な生活を確保し、福祉を促進する」に対応し、また、ターゲット3.3「2030年までに、エイズ、結核、マラリア及び顧みられない熱帯病といった伝染病を根絶するとともに、肝炎、水系感染症およびその他の感染症に対処する」に大きく貢献するものである。
【符号の説明】
【0089】
10…紫外線照射ユニット、11…筐体、12…エキシマランプ、13…放電容器、14…第一電極、15…第二電極、16…給電部、17…制御部、18…除振部材、19…LED、20…冷却部材、30…角度調整機構、31…角度検出部、32…姿勢調整機構、100A,100B…不活化装置、110…飛翔体(ドローン)、111…本体部、112…フレーム部、113…駆動部、114…モータ、115…回転翼、120…移動ロボット、121…本体部、122…車輪、123…支持体
図1
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図12