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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】レーザ加工システム
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/00 20140101AFI20240814BHJP
   B23K 26/03 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
B23K26/00 B
B23K26/03
B23K26/00 M
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021038269
(22)【出願日】2021-03-10
(65)【公開番号】P2022013650
(43)【公開日】2022-01-18
【審査請求日】2024-01-16
(31)【優先権主張番号】P 2020112597
(32)【優先日】2020-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阪本 達典
(72)【発明者】
【氏名】芦原 克充
(72)【発明者】
【氏名】土道 和美
(72)【発明者】
【氏名】横井 忠正
(72)【発明者】
【氏名】吉武 直毅
【審査官】柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-148309(JP,A)
【文献】特開2015-027681(JP,A)
【文献】特開2017-131931(JP,A)
【文献】特開2006-098104(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00
B23K 26/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工パターンに従い加工対象物を加工するレーザ加工装置と、当該レーザ加工装置での加工を検証する検証装置とを備える、レーザ加工システムであって、
前記加工パターンは、複数のセルを含み、
前記レーザ加工装置は、
前記加工パターンを受け付ける受付部と、
前記受付部で受け付けた前記加工パターンの前記セル毎にレーザ光の照射条件を設定する設定部と、
前記設定部で設定した前記照射条件を、当該照射条件を設定した前記セル毎に記憶する第1記憶部と、
前記設定部で設定した前記照射条件に基づいて、前記加工対象物に前記レーザ光を照射する照射部と、を含み、
前記設定部は、テスト加工の際に受け付けた前記加工パターンの一部をテストセルとし、前記テストセルに含まれる前記セル毎に異なる前記照射条件を設定し、
前記検証装置は、
前記加工対象物に形成された前記加工パターンを撮像する撮像部と、
前記撮像部による撮像画像を基に、前記セル毎の輝度値を算出する算出部と、を含み、
前記設定部は、前記セル毎の前記輝度値から抽出された前記テストセルの前記輝度値に関する情報と、前記テストセルに設定されている前記照射条件とに基づいて本加工の際の前記照射条件を少なくとも1つ設定する、レーザ加工システム。
【請求項2】
前記検証装置は、前記算出部で算出した前記セル毎の前記輝度値を前記レーザ加工装置へ送信する送信部をさらに含み、
前記設定部は、前記テストセルの配置情報と、前記検証装置から受信した前記セル毎の前記輝度値とを基に、前記テストセルの前記輝度値に関する情報をさらに抽出する、請求項1に記載のレーザ加工システム。
【請求項3】
前記検証装置は、前記レーザ加工装置との間で通信を行う通信部をさらに含み、
前記算出部は、前記テストセルの配置情報と、算出した前記セル毎の前記輝度値とを基に、前記テストセルの前記輝度値に関する情報をさらに抽出し、
前記通信部は、前記算出部で抽出した前記テストセルの前記輝度値に関する情報を前記レーザ加工装置へ送信し、
前記設定部は、前記検証装置から前記テストセルの前記輝度値に関する情報を受信する、請求項1に記載のレーザ加工システム。
【請求項4】
前記検証装置は、前記テストセルの前記配置情報を前記レーザ加工装置から取得する、請求項3に記載のレーザ加工システム。
【請求項5】
前記検証装置は、第2記憶部をさらに含み、
前記テストセルの前記配置情報は、前記第2記憶部にあらかじめ記憶されている、請求項3に記載のレーザ加工システム。
【請求項6】
前記テストセルの前記輝度値に関する情報は、前記テストセルの中で輝度が最も高い前記セルを示す情報と、前記テストセルの中で輝度が最も低い前記セルを示す情報との少なくとも一方を含み、
前記設定部は、前記テストセルの前記輝度値に関する情報により特定される前記セルに設定されている前記照射条件に基づいて本加工の際の前記照射条件を設定する、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のレーザ加工システム。
【請求項7】
前記テストセルの前記輝度値に関する情報は、前記テストセルの中で輝度が高い方から順に選択された2つ以上の前記セルを示す情報と、前記テストセルの中で輝度が低い方から順に選択された2つ以上の前記セルを示す情報との少なくとも一方を含み、
前記設定部は、前記テストセルの前記輝度値に関する情報により特定される前記セルのうち、輝度が高い2つ以上の前記セルに設定されている前記照射条件の平均値と、前記テストセルの前記輝度値に関する情報により特定される前記セルのうち、輝度が低い2つ以上の前記セルに設定されている前記照射条件の平均値との少なくとも一方に基づいて本加工の際の前記照射条件を設定する、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のレーザ加工システム。
【請求項8】
前記受付部は、前記加工対象物の材質を受け付け、
前記設定部は、テスト加工の際に、前記テストセルに対して、前記受付部で受け付けた前記加工対象物の材質に基づいて、前記セル毎に異なる前記照射条件を設定する、請求項1~請求項7のいずれか1項に記載のレーザ加工システム。
【請求項9】
前記レーザ加工装置は、テスト加工の際に同一の前記照射条件が設定された領域における前記輝度値のバラツキを前記算出部により算出された前記セル毎の前記輝度値を基に判定し、
前記設定部は、当該領域における前記輝度値のバラツキが閾値を超える場合に、前記テストセルの前記輝度値に関する情報と、前記テストセルに設定されている前記照射条件とに基づいて下地処理の前記照射条件を設定する、請求項1~請求項8のいずれか1項に記載のレーザ加工システム。
【請求項10】
前記加工パターンは、2次元コードである、請求項1~請求項9のいずれか1項に記載のレーザ加工システム。
【請求項11】
前記テストセルは、前記加工パターンの情報単位に基づいて設定される、請求項10に記載のレーザ加工システム。
【請求項12】
前記テストセルは、前記加工パターンのうち、前記2次元コードの位置を検出するために用いられる領域を除く領域に設定される、請求項10または請求項11に記載のレーザ加工システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザ加工システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザ光を用いて加工対象物(ワーク)を加工するレーザ加工装置が知られている。レーザ加工装置の一つに、機械(読取装置)で判読可能なコードの印字に用いられるレーザマーカがある。レーザマーカは、レーザ光を用いてマーキング対象物(ワーク)の表面に文字や図形等のマーキング(以下、「印字」または「加工」とも称す)を行う。読取装置で判読可能なコードを印字するためには、適切な照射条件(印字条件)の下で加工が行われる必要があるが、照射条件の設定には経験とノウハウが必要となる。
【0003】
特開2012-148309号公報(特許文献1)は、ガイダンスに従って設定およびサンプル印字を繰り返すことで、詳細な知識が無くとも適切な印字条件を設定できるレーザマーカを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-148309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特開2012-148309号公報に記載の技術によれば、詳細な知識が無くともガイダンスに従ってサンプル印字を繰り返すことで、適切な照射条件を設定することができる。しかしながら、繰り返しの試行が必要であり、ユーザにとっては手間であることから、手間をかけずに適切な照射条件を設定できるレーザ加工システムが求められている。
【0006】
本開示の目的は、手間をかけずに適切な照射条件を設定できるレーザ加工システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この開示に係るレーザ加工システムは、加工パターンに従い加工対象物を加工するレーザ加工装置と、当該レーザ加工装置での加工を検証する検証装置とを備える。加工パターンは、複数のセルを含む。レーザ加工装置は、加工パターンを受け付ける受付部と、受付部で受け付けた加工パターンのセル毎にレーザ光の照射条件を設定する設定部と、設定部で設定した照射条件を、当該照射条件を設定したセル毎に記憶する第1記憶部と、設定部で設定した照射条件に基づいて、加工対象物にレーザ光を照射する照射部と、を含む。設定部は、テスト加工の際に受け付けた加工パターンの一部をテストセルとし、テストセルに含まれるセル毎に異なる照射条件を設定する。検証装置は、加工対象物に形成された加工パターンを撮像する撮像部と、撮像部による撮像画像を基に、セル毎の輝度値を算出する算出部と、を含む。設定部は、セル毎の輝度値から抽出されたテストセルの輝度値に関する情報と、テストセルに設定されている照射条件とに基づいて本加工の際の照射条件を少なくとも1つ設定する。
【0008】
上述の開示によれば、手間をかけずに適切な照射条件を設定することができる。
【0009】
上述の開示において、検証装置は、算出部で算出したセル毎の輝度値をレーザ加工装置へ送信する送信部をさらに含む。設定部は、テストセルの配置情報と、検証装置から受信したセル毎の輝度値とを基に、テストセルの輝度値に関する情報をさらに抽出する。
【0010】
上述の開示によれば、手間をかけずに適切な照射条件を設定することができる。
【0011】
上述の開示において、検証装置は、レーザ加工装置との間で通信を行う通信部をさらに含む。算出部は、テストセルの配置情報と、算出したセル毎の輝度値とを基に、テストセルの輝度値に関する情報をさらに抽出する。通信部は、算出部で抽出したテストセルの輝度値に関する情報をレーザ加工装置へ送信する。設定部は、検証装置からテストセルの輝度値に関する情報を受信する。
【0012】
上述の開示によれば、手間をかけずに適切な照射条件を設定することができる。
【0013】
上述の開示において、検証装置は、テストセルの配置情報をレーザ加工装置から取得する。
【0014】
上述の開示によれば、ユーザがテストセルの配置情報を検証装置に入力する手間を省くことができる。
【0015】
上述の開示において、検証装置は、第2記憶部をさらに含む。テストセルの配置情報は、第2記憶部にあらかじめ記憶されている。
【0016】
上述の開示によれば、ユーザがテストセルの配置情報を検証装置に入力する手間を省くことができる。
【0017】
上述の開示において、テストセルの輝度値に関する情報は、テストセルの中で輝度が最も高いセルを示す情報と、テストセルの中で輝度が最も低いセルを示す情報との少なくとも一方を含む。設定部は、テストセルの輝度値に関する情報により特定されるセルに設定されている照射条件に基づいて本加工の際の照射条件を設定する。
【0018】
上述の開示によれば、手間をかけずに適切な照射条件を設定することができる。
【0019】
上述の開示において、テストセルの輝度値に関する情報は、テストセルの中で輝度が高い方から順に選択された2つ以上のセルを示す情報と、テストセルの中で輝度が低い方から順に選択された2つ以上のセルを示す情報との少なくとも一方を含む。設定部は、テストセルの輝度値に関する情報により特定されるセルのうち、輝度が高い2つ以上のセルに設定されている照射条件の平均値と、テストセルの輝度値に関する情報により特定されるセルのうち、輝度が低い2つ以上のセルに設定されている照射条件の平均値との少なくとも一方に基づいて本加工の際の照射条件を設定する。
【0020】
上述の開示によれば、手間をかけずに適切な照射条件を設定することができる。
【0021】
上述の開示において、受付部は、加工対象物の材質を受け付ける。設定部は、テスト加工の際に、テストセルに対して、受付部で受け付けた加工対象物の材質に基づいて、セル毎に異なる照射条件を設定する。
【0022】
上述の開示によれば、手間をかけずに加工対象物の材質に適した照射条件を設定することができる。
【0023】
上述の開示において、レーザ加工装置は、テスト加工の際に同一の照射条件が設定された領域における輝度値のバラツキを算出部により算出されたセル毎の輝度値を基に判定する。設定部は、当該領域における輝度値のバラツキが閾値を超える場合に、テストセルの輝度値に関する情報と、テストセルに設定されている照射条件とに基づいて下地処理の照射条件を設定する。
【0024】
上述の開示によれば、手間をかけずに下地処理の適切な照射条件を設定することができる。
【0025】
上述の開示において、加工パターンは、2次元コードである。
【0026】
上述の開示によれば、2次元コードの印字に際し、手間をかけずに適切な照射条件を設定することができる。
【0027】
上述の開示において、テストセルは、加工パターンの情報単位に基づいて設定される。
【0028】
上述の開示によれば、読取装置で情報を判読できなくなる虞を回避することができる。
【0029】
上述の開示において、加工パターンのうち、2次元コードの位置を検出するために用いられる領域を除く領域に設定される。
【0030】
上述の開示によれば、コードの位置検出が行われなくなる虞を回避することができる。
【発明の効果】
【0031】
本開示によれば、手間をかけずに適切な照射条件を設定できるレーザ加工システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】実施の形態1に従うレーザ加工システムの概略構成を示す構成図である。
図2】実施の形態1に従うレーザ加工システムの構成をより詳細に示す構成図である。
図3】実施の形態1に従う制御基板に含まれるハードウェアを示した構成図である。
図4】実施の形態1に従う検証装置に含まれるハードウェアを示した構成図である。
図5】実施の形態1に従うユーザインターフェイスの一例を示す図である。
図6】実施の形態1に従うコントローラの処理の一例を示すフローチャートである。
図7】実施の形態1に従うコントローラの処理の一例を示すフローチャートである。
図8】描画領域に入力された加工パターンを示す図である。
図9】描画領域に入力された加工パターンが複数のセルを含むことを示す図である。
図10】テストセルを説明するための図である。
図11】加工対象物がアルミニウムの場合のテストセル用の照射条件を示す図である。
図12】加工対象物が鉄の場合のテストセル用の照射条件を示す図である。
図13】加工対象物がプラスチックの場合のテストセル用の照射条件を示す図である。
図14】実施の形態1に従う検証装置の処理の一例を示すフローチャートである。
図15】実施の形態1に従うコントローラの処理の第1の変形例を示すフローチャートである。
図16】実施の形態1に従うコントローラの処理の第2の変形例を示すフローチャートである。
図17】実施の形態2に従う検証装置の処理の一例を説明するための図である。
図18】実施の形態3に従うレーザマーカによって形成される位置決めマークの一例を示す図である。
図19】実施の形態3に従うレーザマーカの処理の一例を説明するための図である。
図20】実施の形態3に従う検証装置の処理の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の各実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0034】
[適用例]
まず、図1図8、および図10を主に参照して、本発明が適用される場面の一例について説明する。本発明が適用される場面は、レーザマーカ2の照射条件を設定する場面である。このような場面において、まず、ユーザは、加工対象物8に印字したいコード(図8における加工パターンN)をレーザマーカ2に登録する。なお、ユーザは予め登録されているコードを使用することもでき、その場合には、ユーザは登録されているコードの中から印字したいコードを選択する。レーザマーカ2は、受け付けた加工パターンNに含まれるセル(たとえば、図10における「1」~「18」のセル)をテストセルとして設定する。レーザマーカ2は、テストセルに含まれるセル毎に異なる照射条件を設定して、テスト加工を行う。検証装置3は、テスト加工によって形成された加工パターンNのセルS毎の輝度値を算出する。
【0035】
テスト加工は本加工の前に行う試し加工のことであり、テスト用の下地処理とテスト用の加工処理とを含む。また、本加工は、印字したいコードを加工対象物8に形成する加工処理と、加工処理の前に印字対象領域の全面に対しレーザ光を照射する下地処理とを含む。一般に、輝度値が高いセルSほど白く、輝度値が低いセルSほど黒い。また、白黒のコントラストが明確であるほど、読取装置でコードを判読しやすい。そこで、レーザ加工システム1は、算出したセルS毎の輝度値を基にテストセルの輝度値に関する情報を抽出し、抽出した情報に基づいて白いセル(以下、「白セル」とも称す)に適した照射条件と黒いセル(以下、「黒セル」とも称す)に適した照射条件との少なくとも一方を特定する。レーザ加工システム1は、特定した照射条件を本加工の際のレーザ光Wの照射条件として設定する。本加工の際のレーザ光Wの照射条件は、本番用の加工処理の照射条件のみを含むのでもよいし、本番用の加工処理の照射条件、および、本番用の下地処理の照射条件を含むのでもよい。これにより、1度のテスト加工によって読取装置で判読可能なコードの印字に適した照射条件を設定することができる。ゆえに、レーザ加工システム1によれば、手間をかけずに適切な照射条件を設定することが可能となる。
【0036】
レーザ加工システム1は、レーザマーカ2と、検証装置3とを備える。セルS毎の輝度値は、検証装置3によって算出される。テストセルの輝度値に関する情報は、検証装置3によって算出されたセルS毎の輝度値を基に、レーザマーカ2または検証装置3によって抽出される。実施の形態1は、テストセルの輝度値に関する情報をレーザマーカ2が抽出する場合の一例であり、実施の形態2および実施の形態3は、テストセルの輝度値に関する情報を検証装置3が抽出する場合の一例である。
【0037】
以下では、レーザ加工装置として、レーザマーカを例に挙げて説明する。なお、各実施の形態に係るレーザマーカは、文字や記号のマーキングを行なう機能の他に、穴開け、剥離、切断等のマーキング以外の加工を行う機能を有していてもよい。
【0038】
[実施の形態1]
<レーザ加工システムの概略構成>
図1は、実施の形態1に従うレーザ加工システムの概略構成を示す構成図である。図1を参照して、レーザ加工システム1は、レーザマーカ2と、検証装置3とを備える。レーザマーカ2は、コントローラ21と、マーキングヘッド26(「照射部」に相当)とを有する。
【0039】
コントローラ21は、マーキングヘッド26の動作を制御する。詳細については後述するが、コントローラ21は、レーザ光Wを発振するレーザ発振器を有する。
【0040】
マーキングヘッド26は、コントローラ21の制御に基づき、加工対象物8に対してレーザ光Wを照射する。マーキングヘッド26は、光ファイバ28によって、コントローラ21内の発振器と接続されている。さらに、マーキングヘッド26は、通信ケーブル29によって、コントローラ21と接続されている。詳しくは、マーキングヘッド26は、通信ケーブル29によって、コントローラ21内の制御基板に接続されている。なお、コントローラ21とマーキングヘッド26との接続態様は、従来の構成と同じであるため、ここでは詳しく説明しない。
【0041】
検証装置3は、レーザマーカ2での加工を検証する。検証装置3は、撮像部330と、制御部310(「算出部」に相当)とを有する。撮像部330および制御部310は、通信ケーブル11aによって接続されている。撮像部330は、加工対象物8に形成された加工パターンN(図8参照)を撮像し、撮像画像を制御部310へ送信する。制御部310は、撮像部330による撮像画像を基に、加工パターンNのセルS(図9参照)毎の輝度値を算出する。算出したセルS毎の輝度値はレーザマーカ2(具体的には、コントローラ21)へ送信される。検証装置3は、通信ケーブル11bによって、レーザマーカ2(具体的には、コントローラ21)と接続されている。レーザマーカ2(具体的には、コントローラ21)は、受信したセルS毎の輝度値を基にテストセル(図10における「1」~「18」のセル)の輝度値に関する情報を抽出し、抽出したテストセルの輝度値に関する情報とテストセルに設定されている照射条件とに基づいて、本加工の際のレーザ光Wの照射条件を設定する。
【0042】
なお、レーザマーカ2がカメラユニットを有する場合には、撮像部330はレーザマーカ2が有するカメラユニットで代用されてもよい。このような場合には、カメラユニットが加工対象物8に形成された加工パターンNを撮像し、撮像画像を制御部310へ送信する。カメラユニットおよび制御部310は、通信ケーブルによって接続されている。制御部310は、撮像画像を基に加工パターンNのセルS毎の輝度値を算出し、算出したセルS毎の輝度値をコントローラ21へ送信する。制御部310は、通信ケーブル11bによって、コントローラ21と接続されている。コントローラ21は、受信したセルS毎の輝度値を基にテストセルの輝度値に関する情報を抽出し、抽出したテストセルの輝度値に関する情報とテストセルに設定されている照射条件とに基づいて、本加工の際のレーザ光Wの照射条件を設定する。
【0043】
また、制御部310は撮像部330(もしくはカメラユニット)と一体であってもよい。制御部310が撮像部330(もしくはカメラユニット)と一体である場合には、撮像部330(もしくはカメラユニット)は、加工対象物8に形成された加工パターンNを撮像し、撮像画像を基に加工パターンNのセルS毎の輝度値を算出し、算出したセルS毎の輝度値をコントローラ21へ送信する。撮像部330(もしくはカメラユニット)は、通信ケーブルによって、コントローラ21と接続されている。コントローラ21は、受信したセルS毎の輝度値を基にテストセルの輝度値に関する情報を抽出し、抽出したテストセルの輝度値に関する情報とテストセルに設定されている照射条件とに基づいて、本加工の際のレーザ光Wの照射条件を設定する。
【0044】
また、制御部310は、コントローラ21で代用されてもよい。制御部310がコントローラ21で代用される場合には、撮像部330(もしくはカメラユニット)が加工対象物8に形成された加工パターンNを撮像し、撮像画像をコントローラ21へ送信する。撮像部330(もしくはカメラユニット)は、通信ケーブルによって、コントローラ21と接続されている。コントローラ21は撮像部330(もしくはカメラユニット)による撮像画像を受信して、撮像画像を基に加工パターンNのセルS毎の輝度値を算出する。コントローラ21は、算出したセルS毎の輝度値を基にテストセルの輝度値に関する情報を抽出し、抽出したテストセルの輝度値に関する情報とテストセルに設定されている照射条件とに基づいて、本加工の際のレーザ光Wの照射条件を設定する。
【0045】
<レーザ加工システム1の詳細構成>
図2は、実施の形態1に従うレーザ加工システムの構成をより詳細に示す構成図である。図1および図2を参照して、レーザ加工システム1は、上述したように、コントローラ21、マーキングヘッド26、および検証装置3を備えている。
【0046】
コントローラ21は、レーザ発振器240と、制御基板210と、ドライバ220と、ドライバ用電源230とを含む。コントローラ21には、表示装置6および入力装置7を含む設定装置4を接続することができる。表示装置6および入力装置7は、コントローラ21における設定内容をユーザが変更する局面等において用いられる。
【0047】
(コントローラ21)
(1)レーザ発振器240
レーザ発振器240について説明すると、以下のとおりである。レーザ発振器240は、光ファイバ241と、半導体レーザ242,243,249A~249Dと、アイソレータ244,246と、結合器245,248と、バンドパスフィルタ247とを備える。
【0048】
半導体レーザ242は、種光を発する種光源である。半導体レーザ242は、ドライバ220により駆動されて、パルス状の種光を発する。
【0049】
アイソレータ244は一方向の光のみを透過し、その光と逆方向に入射する光を遮断する。具体的には、アイソレータ244は、半導体レーザ242から発せられる種光を通過させるとともに、光ファイバ241からの戻り光を遮断する。これによって半導体レーザ242の損傷を防ぐことができる。
【0050】
半導体レーザ243は、光ファイバ241のコアに添加された希土類元素を励起するための励起光を発する励起光源である。
【0051】
結合器245は、半導体レーザ242からの種光および半導体レーザ243からの励起光を結合させて、光ファイバ241に入射させる。
【0052】
半導体レーザ243から結合器245を介して光ファイバ241に入射した励起光は、光ファイバ241のコアに含まれる希土類元素に吸収される。これにより希土類元素が励起され、反転分布状態が得られる。この状態において、半導体レーザ242からの種光が光ファイバ241のコアに入射すると、誘導放出が生じる。この誘導放出によって種光(パルス光)が増幅される。すなわち光ファイバ241によって構成されたファイバ増幅器に種光および励起光が入射されることによって、種光が増幅される。
【0053】
アイソレータ246は、光ファイバ241から出力されたパルス光を通過させるとともに光ファイバ241に戻る光を遮断する。
【0054】
バンドパスフィルタ247は、所定の波長帯の光を通過させるよう構成される。「所定の波長帯」とは、具体的には、光ファイバ241から出力されるパルス光のピーク波長を含む波長帯である。光ファイバ241から自然放出光が放出された場合、その自然放出光はバンドパスフィルタ247により除去される。
【0055】
バンドパスフィルタ247を通過したレーザ光は、結合器248を介して、レーザ光を伝送するために設けられた光ファイバ28に入射する。半導体レーザ249A~249Dは、バンドパスフィルタ247を通過したレーザ光を光ファイバ28において増幅するために、励起光を発する。つまり、光ファイバ28は、結合器245と光ファイバ241とアイソレータ246とで構成されたファイバ増幅器と同じように、結合器248と後述のアイソレータ262とを組み合わせることでファイバ増幅器を構成する。
【0056】
結合器248は、バンドパスフィルタ247を通過したパルス光と、半導体レーザ249A~249Dからの光とを結合して光ファイバ28に入射させる。
【0057】
なお、図2に示したレーザ発振器240の構成は、一例であって、これに限定されるものではない。たとえば、レーザ発振器240は、所定の波長帯のレーザ光を得られるのであればバンドパスフィルタ247を備えていなくてもよい。
【0058】
(2)制御基板210
制御基板210は、制御部211(「設定部」に相当)と、パルス発生部212と、記憶部213(「第1記憶部」に相当)と、通信処理部214,215,216,217とを含む。
【0059】
制御部211は、パルス発生部212およびドライバ220を制御することによって、コントローラ21の全体の動作を制御する。詳しくは、制御部211は、記憶部213に記憶されているオペレーティングシステムとアプリケーションプログラムとを実行することにより、コントローラ21の全体の動作を制御する。これにより、レーザ光Wがマーキングヘッド26から加工対象物8へ照射される。
【0060】
パルス発生部212は、所定の繰り返し周波数、および、所定のパルス幅を有する電気信号を発生させる。パルス発生部212は、制御部211の制御により、電気信号を出力したり、電気信号の出力を停止したりする。パルス発生部212からの電気信号は半導体レーザ242に供給される。
【0061】
記憶部213は、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムの他に、各種のデータを記憶している。
【0062】
通信処理部214は、マーキングヘッド26との通信を行うためのインターフェイスである。制御部211は、通信処理部214および通信ケーブル29を介して、制御信号をマーキングヘッド26に送信する。
【0063】
通信処理部215は、検証装置3との通信を行うためのインターフェイスである。制御部211は、通信ケーブル11bおよび通信処理部340(「送信部」に相当)を介して、検証装置3から送られてくるセルS(図9参照)毎の輝度値を受信する。
【0064】
通信処理部216(「受付部」に相当)は、入力装置7からの入力を受け付ける。入力装置7は、各種ポインティングデバイス(たとえば、マウス、タッチパッド等)やキーボード等である。通信処理部216は、受け付けた入力を制御部211に通知する。
【0065】
通信処理部217は、制御部211によって生成された画像データを表示装置6に送信する。なお、この場合、表示装置6は、当該画像データに基づいた画像(ユーザインターフェイス)を表示する。表示装置6に表示されるユーザインターフェイスの例については、図5を参照して後述する。
【0066】
(3)ドライバ220およびドライバ用電源230
ドライバ用電源230は、ドライバ220に電力を供給する。これによりドライバ220は半導体レーザ242,243,249A~249Dに駆動電流を供給する。半導体レーザ242,243,249A~249Dの各々は駆動電流が供給されることによってレーザ発振する。半導体レーザ242に供給される駆動電流は、パルス発生部212からの電気信号により変調される。これにより半導体レーザ242はパルス発振して、所定の繰り返し周波数および所定のパルス幅を有するパルス光を種光として出力する。一方、半導体レーザ243,249A~249Dの各々にはドライバ220により連続的な駆動電流が供給される。これにより半導体レーザ243,249A~249Dの各々は連続発振して、連続光を励起光として出力する。
【0067】
(マーキングヘッド26)
マーキングヘッド26は、アイソレータ262と、コリメータレンズ263と、ガルバノミラー部264(X方向のガルバノミラー264a,Y方向のガルバノミラー264b)と、集光レンズ265とを含む。アイソレータ262は、光ファイバ28から出力されるパルス光を通過させるとともに、光ファイバ28に戻る光を遮断する。アイソレータ262を通過したパルス光は、アイソレータ262に付随するコリメータレンズ263から大気中に出力されてガルバノミラー部264に入射する。集光レンズ265は、ガルバノミラー部264に入射したレーザ光Wを集光する。ガルバノミラー部264は、第1の軸(具体的には、図1の矢印と平行な軸)方向および第1の軸と直交する第2の軸方向の少なくとも一方の方向にレーザ光Wを走査する。
【0068】
(検証装置3)
検証装置3は、制御部310と、記憶部320(「第2記憶部」に相当)と、撮像部330と、通信処理部340とを備えている。
【0069】
制御部310は、記憶部320に記憶されているオペレーティングシステムとアプリケーションプログラムとを実行することにより、検証装置3の全体の動作を制御する。
【0070】
記憶部320は、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムの他に、各種のデータを記憶している。
【0071】
撮像部330は、照明部331と、受光部332とを備えている。照明部331は、制御部310からの撮像指示に従って点灯する。照明部331からの光が加工対象物8に照射され、反射光が受光部332によって受け取られる。撮像部330は、受光部332で受け取った反射光を基に像を形成する。これにより、加工対象物8に形成されている加工パターンN(図8参照)の像が形成される。撮像部330は、撮像画像を制御部310へ送信する。
【0072】
制御部310は、撮像部330より受信した撮像画像を基に加工パターンNのセルS(図9参照)毎の輝度値を算出する。
【0073】
通信処理部340は、コントローラ21との間で通信を行うためのインターフェイスである。通信処理部340は、制御部310によって算出されたセルS毎の輝度値を通信ケーブル11bを介して、レーザマーカ2(具体的には、コントローラ21)へ送信する。レーザマーカ2(具体的には、コントローラ21)へ送信されたセルS毎の輝度値は、コントローラ21(具体的には、制御部211)で本加工の際のレーザ光Wの照射条件を設定する際に参照される。
【0074】
なお、検証装置3は、ダイレクトパーツマーク品質ガイドライン(ISO29158)などに準じてコードを検証するコード検証機であっても、製造現場の工程に採用されている画像処理システムのカメラであってもよい。検証装置3がコード検証機であれば、1回の印字と1回の検証で最適な照射条件の設定が可能となるとともに、ISO29158などに準じた品質の担保も可能となる。また、検証装置3が画像処理システムのカメラであれば、特別にコード検証機を用意しなくとも、画像処理システムのカメラで、輝度の高いセルと輝度の低いセルとを撮像するだけで白色の印字、黒色の印字それぞれに適した照射条件を取得することができる。
【0075】
(制御基板210および検証装置3のハードウェア構成)
図3は、実施の形態1に従う制御基板に含まれるハードウェアを示した構成図である。図3を参照して、制御基板210は、プロセッサ110と、メモリ120と、通信インターフェイス130と、パルス発生回路140とを備える。
【0076】
メモリ120は、たとえば、ROM(Read Only Memory)121と、RAM(Random Access Memory)122と、フラッシュメモリ123とを含んで構成される。なお、フラッシュメモリ123には、上述したオペレーティングシステム、アプリケーションプログラム、各種のデータが記憶される。メモリ120は、図2に示した記憶部213に対応する。
【0077】
プロセッサ110は、コントローラ21の全体の動作を制御する。なお、図2に示した制御部211は、プロセッサ110がメモリ120に記憶されたオペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムを実行することにより実現される。なお、アプリケーションプログラムの実行の際には、メモリ120に記憶されている各種のデータが参照される。
【0078】
通信インターフェイス130は、外部装置(たとえば、検証装置3、マーキングヘッド26、表示装置6、入力装置7)との通信を行なうためのものである。通信インターフェイス130は、図2の通信処理部214,215,216,217に対応する。
【0079】
パルス発生回路140は、図2のパルス発生部212に対応する。すなわち、パルス発生回路140は、プロセッサ110からの指令に基づき、所定の繰り返し周波数、および、所定のパルス幅を有する電気信号を発生させる。
【0080】
図4は、実施の形態1に従う検証装置に含まれるハードウェアを示した構成図である。図4を参照して、検証装置3は、演算処理回路150と、メモリ160と、通信インターフェイス170と、撮像部330とを備える。
【0081】
メモリ160は、たとえば、ROM161と、RAM162と、フラッシュメモリ163とを含んで構成される。なお、フラッシュメモリ163には、上述したオペレーティングシステム、アプリケーションプログラム、各種のデータが記憶される。メモリ160は、図2に示した記憶部320に対応する。なお、メモリ160は、HDD(Hard Disk Drive)を備えて構成されていてもよい。
【0082】
演算処理回路150は、メインプロセッサ151と、画像処理専用プロセッサ152とを有す。図2に示した制御部310は、演算処理回路150がメモリ160に記憶されたオペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムを実行することにより実現される。なお、アプリケーションプログラムの実行の際には、メモリ160に記憶されている各種のデータが参照される。
【0083】
メインプロセッサ151は、検証装置3の全体の動作を制御する。画像処理専用プロセッサ152は、撮像部330による撮像画像に対し前処理を行い、セルS(図9参照)毎の輝度値を算出する。なお、画像処理専用プロセッサ152の代わりに、画像処理を行うためのASIC(Application Specific Integrated Circuit)を備えていてもよい。
【0084】
通信インターフェイス170は、コントローラ21との通信を行なうためのものである。通信インターフェイスは、図2の通信処理部340に対応する。
【0085】
なお、図3および図4に示したハードウェア構成は、一例であって、これらに限定されるものではない。
【0086】
<事前登録>
図2および図5を参照して、表示装置6に表示されるユーザインターフェイスについて説明する。図5は、実施の形態1に従うユーザインターフェイスの一例を示す図である。ユーザインターフェイス700は、制御部211が記憶部213に記憶されているアプリケーションプログラムを実行することにより、表示装置6に表示される。ユーザインターフェイス700上で行われたユーザによる入力装置7での入力操作は通信処理部216によって受け付けられ、受け付けられた操作の内容が制御部211に通知される。
【0087】
制御部211は、ユーザの操作に合わせて画面モードを切り替えることができる。図5には、マーキングデータの作成および編集に用いられる編集モードの画面が示されている。制御部211は、ボタン703をクリックするユーザ操作を受け付けると、画面を、編集モードの画面から、実際にマーキング(加工)を行う際に用いられる運用モードの画面に切り替える。なお、制御部211は、運用モードの画面において表示されるボタンをクリックするユーザ操作を受け付けることにより、運用モードの画面を編集モードの画面へと切り替える。
【0088】
制御部211は、ボタン702をクリックするユーザ操作を受け付けると、テストマーキング画面を表示装置6に表示させる。これにより、ユーザは、作成および編集したマーキングデータを表示装置6上で確認することができる。
【0089】
制御部211は、マーキングする文字、図形、記号等、マーキングするパターン(たとえば、図8に示す加工パターンN)の入力を受け付ける。すなわち、制御部211は、加工パターンNを受け付ける受付部の一部として動作する。実施の形態1において、加工パターンは、たとえば、読取装置により判読可能なパターンである。加工パターンは、描画領域701を用いて、ユーザによって描画される。描画領域701には、X軸とY軸とからなる座標系が設定されている。制御部211はユーザが入力した加工パターンを座標系で特定する。すなわち、制御部211は、ユーザが入力した加工パターンを位置情報として受け付ける。
【0090】
制御部211は、レーザ/走査タブ710が選択された状態において、レーザ光の照射条件および加工対象物8の材質の設定を受け付ける。レーザ/走査タブ710は、レーザ光の出力パワー、レーザ光の周波数、加工速度、および加工対象物8の材質を入力するための欄を含む。制御部211は、「パワー」、「周波数」、および「加工速度」の各欄に数値が入力されると、入力された数値をレーザ光の出力パワー、レーザ光の周波数、および加工速度として設定する。また、制御部211は、「材質」の欄で材質が選択されると、選択された材質を加工対象物8の材質として設定する。なお、レーザ光の照射条件は、レーザ光の出力パワー、レーザ光の周波数、および加工速度以外に他の要素(たとえば、パルス形状、走査回数、レーザ光の照射間隔等)を含んでいてもよい。
【0091】
制御部211は、ボタン750をクリックするユーザ操作を受け付けると、ユーザが入力した内容(設定内容)をデフォルト値として保存する。制御部211は、ボタン760をクリックするユーザ操作を受け付けると、ユーザが入力した内容(設定内容)をデフォルト値に戻す。
【0092】
なお、図5に示したユーザインターフェイス700は、一例であって、これに限定されるものではない。たとえば、加工対象物8の材質を入力するための欄がレーザ/走査タブ710以外に設けられてもよい。また、ユーザインターフェイス700に、コードの種類(たとえば、QRコード(登録商標)、DataMatrix(登録商標)等)を入力するための欄が設けられていてもよい。また、制御部211は、ユーザが入力した内容(設定内容)を、たとえば、ファイル形式で、外部メモリに書き込み、または、外部の機器に送信することも可能である。これによれば、レーザマーカ2(図1参照)以外の他のレーザマーカに、これらの設定内容を移行させることができる。
【0093】
レーザマーカ2は、ユーザインターフェイス700を用いてユーザが入力した加工パターンNおよびレーザ光の照射条件に基づいてレーザ光を照射して、加工対象物8を加工する。読取装置で判読可能なコードを印字するためには、適切な照射条件の下で加工が行われる必要があるが、照射条件の設定には経験とノウハウが必要となる。また、経験とノウハウを有するユーザであっても照射条件の設定には繰り返しの試行が必要であり、手間である。そこで、レーザマーカ2は、受け付けた加工パターンNに含まれるセルをテストセルとして設定する。レーザマーカ2は、テストセルに含まれるセル毎に異なる照射条件を設定して、テスト加工を行う。検証装置3は、テスト加工によって形成された加工パターンNのセルS毎の輝度値を算出する。一般に、輝度値が高いセルSほど白く、輝度値が低いセルSほど黒い。また、白黒のコントラストが明確であるほど、読取装置でコードを判読しやすい。そこで、レーザマーカ2は、検証装置3によって算出されたセルS毎の輝度値を基にテストセルの輝度値に関する情報を抽出し、抽出した情報に基づいて本加工の際のレーザ光Wの照射条件を設定する。これにより、1度のテスト加工で最適な照射条件を設定することができる。ゆえに、レーザ加工システム1によれば、手間をかけずに適切な照射条件を設定することが可能となる。以下、レーザ加工システム1によるレーザ光の照射条件の設定について詳しく説明する。
【0094】
<レーザ光の照射条件の設定>
図1図2、および図6図14を参照して、レーザ加工システム1によるレーザ光の照射条件の設定方法について説明する。以下では、白い下地に黒の印字を施す場合を例にレーザ光の照射条件の設定方法について説明する。図6および図7は、実施の形態1に従うコントローラの処理の一例を示すフローチャートである。図6および図7に示す処理は、制御部211が記憶部213に記憶されているアプリケーションプログラムを実行することによって実現される。
【0095】
まず、制御部211は、通信処理部216を介して、加工パターンNを受け付ける(ステップS605)。
【0096】
ここで、図2図5図8、および図9を参照して、ステップS605の処理を具体的に説明する。図8は、描画領域に入力された加工パターンを示す図である。図9は、描画領域に入力された加工パターンが複数のセルを含むことを示す図である。加工パターンNはユーザによって描画領域701に入力され、通信処理部216によって受け付けられる。なお、予め登録されているコードを使用する場合には、登録されているコードの中から印字したいコードがユーザによって選択され、通信処理部216によって受け付けられる。通信処理部216は、受け付けた加工パターンNを制御部211に送信する。制御部211は、通信処理部216から加工パターンNを受信すると、受信した加工パターンNを図9に示すような複数のセルSの集まりとして受け付けるとともに、各セルSに対し、あらかじめ定められた規則に従ってセル番号を割り当てる。これにより、各セルSの加工パターンN内での位置が、セル番号により特定される。実施の形態1では、加工パターンNは2次元コードである。2次元コードには、たとえば、QRコードや、DataMatrixがある。図8および図9には、2次元コードの一例として、DataMatrixが示されている。
【0097】
再び図6を参照して、制御部211は、テスト用の下地処理の照射条件を設定する(ステップS610)。テスト用の下地処理の照射条件は、加工対象物8の材質別に1種類ずつあらかじめ定められており、記憶部213に記憶されている。なお、下地処理の照射条件は、下地処理を行わないという条件を含んでもよい。
【0098】
次いで、制御部211は、テスト用の下地処理を行う(ステップS615)。制御部211は、ステップS610で設定した照射条件で、少なくともテスト印字対象領域の全面に対し、レーザ光を照射する。なお、ステップS610で、下地処理の照射条件として下地処理を行わないという条件が設定された場合には、制御部211は、ステップS615の処理を行わない。
【0099】
次いで、制御部211は、テストセルを設定する(ステップS620)。具体的には、制御部211は、受け付けた加工パターンNにおいて、分けられた複数のセルSの一部をテストセルとして設定する。
【0100】
ここで、図10を参照して、テストセルについて説明する。図10は、テストセルを説明するための図である。図10では、テストセルとテストセル以外のセルSとを区別するために、テストセルには、「1」~「18」の番号を割り振っている。
【0101】
図10に示すように、加工パターンNは、黒いセルSと白いセルSとで構成される。加工パターンNが2次元コードである場合には、8個のセルSで1つの情報が構成されている。以下では、1つの情報を構成する8個のセルSの塊を「情報単位」とも称す。たとえば、情報単位R1、情報単位R2、情報単位R3等である。なお、図10では、情報単位は3つしか描かれていないが、実際には加工パターンNを構成する全てのセルSが情報単位に分けられる。
【0102】
2次元コードでは、情報単位毎の黒いセルSと白いセルSとの配列から情報の内容が特定される。すなわち、情報単位毎の黒いセルSと白いセルSとの配列を変えてしまうと、読取装置で情報を判読できなくなる虞がある。テストセルに選定されたセルSには、後述のステップS635においてレーザ光が照射される。そこで、読取装置で情報を判読できるように、テストセルは、加工パターンの情報単位に基づいて選定され、設定される。より具体的には、テストセルは、情報単位毎の黒いセルSと白いセルSとの配列がステップS605で受け付けた加工パターンNのものから変化しないように設定される。
【0103】
また、2次元コードには、コードの位置を検出するために用いられる領域R10等が設けられている。この領域の黒いセルSと白いセルSとの配列を変えてしまうと、コードの位置検出を行えなくなる虞がある。そこで、テストセルは、加工パターンのうち2次元コードの位置を検出するために用いられる領域を除く領域から選定され、設定される。
【0104】
再び図6を参照して、制御部211は、ステップS620でテストセルに設定したセルS毎に照射条件を設定し、設定した照射条件を、照射条件を設定したセルS毎に記憶部213に記憶する(ステップS625)。一例として、制御部211は、テストセルに選定したセルSのセル番号と、当該セル番号により特定されるセルSに設定した照射条件とを対応付けて記憶部213に記憶する。テストセルに選定されたセルSのセル番号は、「テストセルの配置情報」の一例である。
【0105】
ここで、図2図5図10、および図11図13を参照して、ステップS625における照射条件の設定について説明する。図11は、加工対象物がアルミニウムの場合のテストセル用の照射条件を示す図である。図12は、加工対象物が鉄の場合のテストセル用の照射条件を示す図である。図13は、加工対象物がプラスチックの場合のテストセル用の照射条件を示す図である。
【0106】
図11図13に示す照射条件は、記憶部213に記憶されている。同じ照射条件でレーザ光を照射した場合であっても、加工対象物8の材質によって加工具合(たとえば、加工対象物8の色合い)が変わることから、レーザ加工システム1では、テストセル用の照射条件が加工対象物8の材質別に記憶されている。図11図13に示すように、1つの材質に対し、テストセル用の照射条件が18種類用意されている。各照射条件(照射条件1~照射条件18)は、「パワー」、「周波数」、および「加工速度」で構成される。加工具合(たとえば、加工対象物8の色合い)は、レーザ光の照射条件によっても変わる。すなわち、加工対象物8の材質とレーザ光の照射条件との組合せにより、加工対象物8の色合いが決まる。なお、レーザ光の照射条件は、「パワー」、「周波数」、および「加工速度」以外に他の要素(たとえば、パルス形状、走査回数、レーザ光の照射間隔等)を含んでいてもよい。
【0107】
加工対象物8の材質がユーザによってユーザインターフェイス700上で選択されると、選択された加工対象物8の材質が通信処理部216で受け付けられて制御部211へ送信される。制御部211は、記憶部213に記憶されているテストセル用の照射条件の中から、通信処理部216から受信した材質に対応するテストセル用の照射条件を特定し、特定した照射条件(照射条件1~照射条件18)をステップS620(図6参照)で設定したテストセル(図10における「1」~「18」の番号が割り振られているセルS)の各セルSに割り振る。たとえば、加工対象物8の材質がアルミニウムの場合には、制御部211は、図11に示す照射条件1を図10において「1」の番号が割り振られているセルSへ設定する。同様に、制御部211は、図11に示す照射条件2~18の各々を図10において「2」~「18」の番号が割り振られているセルSの各々へ設定する。これにより、テストセルに対して、セルS毎に異なる照射条件が設定される。
【0108】
本実施の形態においては、テストセル用の材質別の照射条件の種類数とテストセルのセル数とはいずれも18個であったが、これに限られない。テストセル用の材質別の照射条件の種類数は、レーザマーカ2(図1参照)で設定しうる照射条件の範囲(たとえば、パワーを設定しうる範囲、周波数を設定しうる範囲、加工速度を設定しうる範囲)を基に任意に定められ、テストセルのセル数は、テストセル用の材質別の照射条件の種類数と一致していればよい。また、アルミニウム、鉄、およびプラスチックは、加工対象物8の材質の一例であり、テストセル用の照射条件として、図11図13に示す照射条件に加え、アルミニウム、鉄、およびプラスチック以外の材質に適した照射条件が記憶部213に記憶されていてもよい。
【0109】
本実施の形態においては、18種類の照射条件が18個のテストセルの各々に1つずつ割り当てられているが、同一の照射条件が割り当てられるテストセルが複数個あってもよい。たとえば、同一の照射条件が割り当てられるテストセルが2つずつあってもよい。その場合には、18個のテストセルに対し9種類の照射条件が割り当てられる。
【0110】
また、テストセルに設定される照射条件は、レーザ光の照射を行わないという条件を含んでもよい。レーザ光の照射を行わないという条件が設定されるテストセルは白セル用のテストセルである。すなわち、白セル用の照射条件には、レーザ光の照射を行わないという条件が含まれていてもよいということである。白セル用の照射条件がレーザ光の照射を行わないという条件である場合には、下地処理後の色(下地処理をしない場合には加工対象物8の素材の色)がそのまま残る。
【0111】
再び図6を参照して、制御部211は、共通印字セルの照射条件を設定し、設定した照射条件を記憶部213に記憶する(ステップS630)。一例として、制御部211は、共通印字セルに分類されるセルSのセル番号と、当該セル番号により特定されるセルSに設定した照射条件とを対応付けて記憶部213に記憶する。共通印字セルは、テストセル以外の印字対象セルである。共通印字セルに分類されるセルSのセル番号は、共通印字セルの配置情報の一例である。共通印字セルの照射条件として、白セル用の照射条件と黒セル用の照射条件とが1種類ずつあらかじめ定められている。加工対象物8の素材の色をそのまま利用することが多いため、共通印字セルの照射条件として設定される照射条件は白セル用の照射条件と黒セル用の照射条件とのうちいずれか一方である場合が多い。なお、共通印字セルの照射条件として白セル用の照射条件と黒セル用の照射条件との両方が設定されてもよい。
【0112】
次いで、制御部211は、ステップS625およびステップS630で設定した照射条件に基づいて、テスト用の加工処理を行う(ステップS635)。具体的には、制御部211がステップS625およびステップS630で設定した照射条件に基づいて、マーキングヘッド26が加工対象物8に対しレーザ光を照射する。これにより、加工対象物8に加工パターンNが形成される。検証装置3は、加工対象物8に形成された加工パターンNを撮像し、撮像画像を基に、加工パターンNに対応するコードを読み取るとともに、加工パターンNのセルS毎の輝度値を算出する。検証装置3は、算出したセルS毎の輝度値をコントローラ21へ送信する。ここで、図2および図14を参照して、検証装置3の処理について説明する。
【0113】
図14は、実施の形態1に従う検証装置の処理の一例を示すフローチャートである。図14に示す処理は、制御部310が記憶部320に記憶されているアプリケーションプログラムを実行することにより実現される。図14に示す処理は、たとえば、検証装置3に設けられているボタン等がユーザにより操作されたことを契機に開始される。
【0114】
ステップS1401において、制御部310は、撮像部330に加工対象物8に形成された加工パターンを撮像させ、撮像画像に対し前処理を行うことでコードの画像を作成する。
【0115】
ステップS1402において、制御部310は、作成したコードの画像の中から位置検出パターンを検出する。加工パターンが図8に示すようなDataMatrixである場合には、制御部310は、コードの左側と下側に配置されるL字(図10に示す領域R10)を検出する。これにより、コードの位置と姿勢とが推定される。
【0116】
なお、加工パターンがQRコードである場合には、ステップS1402において、制御部310は、コードの3つの頂点に配置されているファインダパターンF(図17参照)を検出し、検出したファインダパターンFを基にQRコードの位置と姿勢とを推定する。
【0117】
ステップS1403において、制御部310は、グリッドを推定する。グリッドとは、各セルの中心位置である。すなわち、ステップS1403における処理により、各セルの位置が特定される。加工パターンが図8に示すようなDataMatrixである場合には、制御部310は、検出したL字からクロックトラックを求めることにより、グリッドを推定する。
【0118】
ステップS1404において、制御部310は、各セルの中心位置における輝度値を算出し、それらが暗セル(「1」)か明セル(「0」)かを判定することにより、各セルを2値化する。
【0119】
ステップS1405において、制御部310は、2値化された0/1情報を文字列に変換する。変換の際には、誤り訂正も考慮される。
【0120】
ステップS1406において、制御部310は、読み取り成否を判定する。読み取りに成功した場合には(ステップS1406においてYES)、制御部310は、図14に示す一連の処理を終了する。一方、読み取りに失敗した場合には(ステップS1406においてNO)、制御部310は、処理をステップS1407に移行する。
【0121】
ステップS1407において、制御部310は、セルの2値化に対するリトライが完了したか否かを判定する。リトライとは、読み取りに失敗した際に設定を変更して処理をやり直すことである。セルの2値化に対するリトライが完了した場合には(ステップS1407においてYES)、制御部310は、処理をステップS1408に移行する。一方、セルの2値化に対するリトライが完了していない場合には(ステップS1407においてNO)、制御部310は、処理をステップS1404に戻す。
【0122】
ステップS1408において、制御部310は、グリッドの推定に対するリトライが完了したか否かを判定する。グリッドの推定に対するリトライが完了した場合には(ステップS1408においてYES)、制御部310は、処理をステップS1409に移行する。一方、グリッドの推定に対するリトライが完了していない場合には(ステップS1408においてNO)、制御部310は、処理をステップS1403に戻す。
【0123】
ステップS1409において、制御部310は、位置検出パターンの検出に対するリトライが完了したか否かを判定する。位置検出パターンの検出に対するリトライが完了した場合には(ステップS1409においてYES)、制御部310は、処理をステップS1410に移行する。一方、位置検出パターンの検出に対するリトライが完了していない場合には(ステップS1409においてNO)、制御部310は、処理をステップS1402に戻す。
【0124】
ステップS1410において、制御部310は、画像作成に対するリトライが完了したか否かを判定する。画像作成に対するリトライが完了した場合には(ステップS1410においてYES)、制御部310は、図14に示す一連の処理を終了する。一方、画像作成に対するリトライが完了していない場合には(ステップS1410においてNO)、制御部310は、処理をステップS1401に戻す。
【0125】
制御部310は、図14に示すような方法でコードの読み取りを行う。制御部310は、読み取りに成功した際の輝度値をセル毎に記憶部320に記憶する。一例として、制御部310は、各セルの輝度値と、各セルのコード内での位置情報とを対応付けて記憶部320に記憶する。制御部310は、読み取りに成功した際のセル毎の輝度値(各セルの輝度値と、各セルのコード内での位置情報とを含む)をレーザマーカ2へ送信する。これにより、図6に示すステップS640において、制御部211はYESと判定する。
【0126】
再び図6を参照して、制御部211は、検証装置3からセルS毎の輝度値を受信したか否かを判定する(ステップS640)。検証装置3からセルS毎の輝度値を受信した場合には(ステップS640においてYES)、制御部211は、処理をステップS645に移行する。
【0127】
ステップS645において、制御部211は、共通印字セルの白黒のコントラストが閾値を下回っていること、共通印字セルの白のバラツキが閾値を超えていること、および、共通印字セルの黒のバラツキが閾値を超えていることのうち少なくとも1つに該当するか否かを、制御部310により算出されたセル毎の輝度値を基に判定する。ステップS645では、共通印字セルに設定されている照射条件が品質基準を満たしているか否かを判定している。共通印字セルの白黒のコントラストが閾値を下回っていること、共通印字セルの白のバラツキが閾値を超えていること、および、共通印字セルの黒のバラツキが閾値を超えていることのうち少なくとも1つに該当する場合というのは、テスト加工の際に同一の照射条件が設定された領域における輝度値のバラツキが閾値を超える場合の一例である。
【0128】
共通印字セルの白黒のコントラストが閾値を下回っていること、共通印字セルの白のバラツキが閾値を超えていること、および、共通印字セルの黒のバラツキが閾値を超えていることのうち少なくとも1つに該当する場合には(ステップS645においてYES)、制御部211は、処理をステップS650に移行する。一方、共通印字セルの白黒のコントラストが閾値を下回っていること、共通印字セルの白のバラツキが閾値を超えていること、および、共通印字セルの黒のバラツキが閾値を超えていることのうちいずれにも該当しない場合には(ステップS645においてNO)、制御部211は、処理をステップS680に移行する。
【0129】
ステップS650において、制御部211は、記憶部213に記憶しているセルSの配置情報と、検証装置3から受信したセルS毎の輝度値とに基づいて、共通印字セルよりも輝度が低いテストセルがあるか否かを判定する。セルSの配置情報は、上述の、テストセルの配置情報および共通印字セルの配置情報を含む。詳細には、ステップS650において、制御部211は、セルSの配置情報と、検証装置3から受信したセルS毎の輝度値とを基に、テストセルの中で輝度が最も低いセルSのセル番号を抽出する。テストセルの中で輝度が最も低いセルSのセル番号は、「テストセルの輝度値に関する情報」の一例である。制御部211は、抽出したセル番号により特定されるセルSの輝度値と、共通印字セルの輝度値とを比較することにより、共通印字セルよりも輝度が低いテストセルがあるか否かを判定する。共通印字セルよりも輝度が低いテストセルがある場合には(ステップS650においてYES)、制御部211は、処理をステップS655に移行する。一方、共通印字セルよりも輝度が低いテストセルがない場合には(ステップS650においてNO)、制御部211は、処理をステップS660に移行する。
【0130】
ステップS655において、制御部211は、輝度が最も低いテストセルの照射条件を本番用の加工処理の照射条件として設定する。詳細には、ステップS655において、制御部211は、記憶部213に記憶されている照射条件のうち、ステップS650で抽出したセル番号に対応付けられている照射条件を本番用の加工処理の照射条件として設定する。
【0131】
ステップS660において、制御部211は、共通印字セルの照射条件を本番用の加工処理の照射条件として設定する。詳細には、ステップS660において、制御部211は、記憶部213に記憶されている共通印字セルの照射条件のうち、黒セル用の照射条件を本番用の加工処理の照射条件として設定する。
【0132】
ステップS665において、制御部211は、記憶部213に記憶しているセルSの配置情報と、検証装置3から受信したセルS毎の輝度値とに基づいて、共通印字セルよりも輝度が高いテストセルがあるか否かを判定する。詳細には、制御部211は、セルSの配置情報と、検証装置3から受信したセルS毎の輝度値とを基に、テストセルの中で輝度が最も高いセルSのセル番号を抽出する。テストセルの中で輝度が最も高いセルSのセル番号は、「テストセルの輝度値に関する情報」の一例である。制御部211は、抽出したセル番号により特定されるセルSの輝度値と、共通印字セルの輝度値とを比較することにより、共通印字セルよりも輝度が高いテストセルがあるか否かを判定する。共通印字セルよりも輝度が高いテストセルがある場合には(ステップS665においてYES)、制御部211は、処理をステップS670に移行する。一方、共通印字セルよりも輝度が高いテストセルがない場合には(ステップS665においてNO)、制御部211は、処理をステップS675に移行する。
【0133】
ステップS670において、制御部211は、輝度が最も高いテストセルの照射条件を本番用の下地処理の照射条件として設定する。詳細には、ステップS670において、制御部211は、記憶部213に記憶されている照射条件のうち、ステップS665で抽出したセル番号に対応付けられている照射条件を本番用の下地処理の照射条件として設定する。なお、ステップS670において、制御部211は、輝度が最も高いテストセルの照射条件だけでなく、テスト用の下地処理の照射条件も考慮した上で、本番用の下地処理の照射条件を設定してもよい。
【0134】
ステップS675において、制御部211は、記憶部213に記憶されているテスト用の下地処理の照射条件を本番用の下地処理の照射条件として設定する。
【0135】
ステップS680において、制御部211は、共通印字セルの照射条件を本番用の加工処理の照射条件として設定する。なお、ステップS680における処理はステップS660における処理と同様である。
【0136】
ステップS685において、制御部211は、テスト用の下地処理の照射条件を本番用の下地処理の照射条件として設定する。なお、ステップS685における処理はステップS675における処理と同様である。
【0137】
ステップS670、ステップS675、またはステップS685の後、制御部211は、図6および図7に示す一連の処理を終了する。
【0138】
なお、上述の通り、テストセルの照射条件にはレーザ光の照射を行わないという条件が含まれてもよく、テスト用の下地処理の照射条件には下地処理を行わないという条件が含まれてもよいことから、ステップS670、ステップS675、およびステップS685において、下地処理が行われないことに決定される場合がある。
【0139】
また、上記では、制御部211は、テスト用の下地処理(ステップS615の処理)を行った後に、テストセルおよび共通印字セルの照射条件を設定してテスト用の加工処理(ステップS635の処理)を行った。しかしながら、制御部211は、テスト用の下地処理の照射条件と、テストセルの照射条件と、共通印字セルの照射条件とを設定した後に、テスト用の下地処理およびテスト用の加工処理を行ってもよい。
【0140】
このように、実施の形態1に従うレーザ加工システム1は、受け付けた加工パターンNに含まれるセルSのうち少なくとも2以上のセルSをテストセルとして設定する。レーザ加工システム1は、テストセルに含まれるセルS毎に異なる照射条件を設定し、共通印字セルに対しては白セル用の照射条件と黒セル用の照射条件とのうち少なくとも一方を設定してテスト加工を行う。検証装置3は、テスト加工によって形成された加工パターンNのセルS毎の輝度値を算出する。レーザマーカ2は、検証装置3によって算出されたセルS毎の輝度値を基にテストセルの輝度値に関する情報を抽出し、抽出した情報に基づいて本加工の照射条件を設定する。これにより、1度のテスト加工で最適な照射条件を設定することができるので、レーザ加工システム1では、手間をかけずに適切な照射条件を設定することが可能となる。
【0141】
なお、レーザ加工システム1では、共通印字セルに設定されている照射条件が品質基準を満たさない場合にのみ照射条件が改善されるが、共通印字セルに設定されている照射条件が品質基準を満たすか否かに関わらず、常に照射条件が改善されるようにしてもよく、そのような場合には、図7に示すステップS645の判定処理は行わないものとする。
【0142】
また、レーザマーカ2はあらかじめ定められた規則に従ってテストセルを設定してもよいし、ユーザの指定に従ってテストセルを設定してもよい。
【0143】
また、検証装置3によって算出されるセル毎の輝度値は、各セルにおける平均濃度でもよい。
【0144】
また、上述の設定方法は黒い下地に白の印字を施す場合にも適用することができる。黒い下地に白の印字を施す場合には、ステップS650~ステップS670、および、ステップS680の処理は以下のように読み替えるものとする。ステップS650は、「制御部211は、記憶部213に記憶しているセルSの配置情報と、検証装置3から受信したセルS毎の輝度値とに基づいて、共通印字セルよりも輝度が高いテストセルがあるか否かを判定する。」と読み替える。ステップS655は、「制御部211は、輝度が最も高いテストセルの照射条件を本番用の加工処理の照射条件として設定する。」と読み替える。ステップS660およびステップS680は、「制御部211は、共通印字セルの照射条件を本番用の加工処理の照射条件として設定する。詳細には、ステップS660において、制御部211は、記憶部213に記憶されている共通印字セルの照射条件のうち、白セル用の照射条件を本番用の加工処理の照射条件として設定する。」と読み替える。ステップS665は、「制御部211は、記憶部213に記憶しているセルSの配置情報と、検証装置3から受信したセルS毎の輝度値とに基づいて、共通印字セルよりも輝度が低いテストセルがあるか否かを判定する。」と読み替える。ステップS670は、「制御部211は、輝度が最も低いテストセルの照射条件を本番用の下地処理の照射条件として設定する。なお、制御部211は、輝度が最も低いテストセルの照射条件だけでなく、テスト用の下地処理の照射条件も考慮した上で、本番用の下地処理の照射条件を設定してもよい。」と読み替える。
【0145】
また、制御部211は、本番用の加工処理の照射条件のみを設定し、本番用の下地処理の照射条件を設定しなくてもよい。その場合には、制御部211は、テストセルの輝度値に関する情報として、テストセルの中で輝度が最も低いセルSのセル番号と、テストセルの中で輝度が最も高いセルSのセル番号との少なくとも一方を抽出すればよい。
【0146】
[実施の形態1における第1の変形例]
図1図2図7、および図15を参照して、コントローラ21による処理の第1の変形例について説明する。第1の変形例では、制御部211は、テストセルの輝度値に関する情報として、テストセルの中で輝度が2番目に低いセルSのセル番号と、テストセルの中で輝度が2番目に高いセルSのセル番号とを抽出する。
【0147】
図15は、実施の形態1に従うコントローラの処理の第1の変形例を示すフローチャートである。図15に示す処理は、制御部211が記憶部213に記憶されているアプリケーションプログラムを実行することにより実現される。制御部211は、図6に示すステップS605~ステップS640の処理の後、図15に示す処理を行う。図15に示す処理はステップS650A、ステップS655A、ステップS665A、およびステップS670Aを除き、図7に示す処理と同様であることから、以下では、ステップS650A、ステップS655A、ステップS665A、およびステップS670Aについてのみ説明する。
【0148】
ステップS650Aにおいて、制御部211は、記憶部213に記憶しているセルSの配置情報と、検証装置3から受信したセルS毎の輝度値とに基づいて、輝度が2番目に低いテストセルの輝度が共通印字セルの輝度よりも低いか否かを判定する。詳細には、ステップS650Aにおいて、制御部211は、セルSの配置情報と、検証装置3から受信したセルS毎の輝度値とを基に、テストセルの中で輝度が2番目に低いセルSのセル番号を抽出する。テストセルの中で輝度が2番目に低いセルSのセル番号は、「テストセルの輝度値に関する情報」の一例である。制御部211は、抽出したセル番号により特定されるセルSの輝度値と、共通印字セルの輝度値とを比較することにより、輝度が2番目に低いテストセルの輝度が共通印字セルの輝度よりも低いか否かを判定する。輝度が2番目に低いテストセルの輝度が共通印字セルの輝度よりも低い場合には(ステップS650AにおいてYES)、制御部211は、処理をステップS655Aに移行する。一方、輝度が2番目に低いテストセルの輝度が共通印字セルの輝度よりも低くない場合には(ステップS650AにおいてNO)、制御部211は、処理をステップS660に移行する。
【0149】
ステップS655Aにおいて、制御部211は、輝度が2番目に低いテストセルの照射条件を本番用の加工処理の照射条件として設定する。詳細には、ステップS655Aにおいて、制御部211は、記憶部213に記憶されている照射条件のうち、ステップS650Aで抽出したセル番号に対応付けられている照射条件を本番用の加工処理の照射条件として設定する。
【0150】
ステップS665Aにおいて、制御部211は、記憶部213に記憶しているセルSの配置情報と、検証装置3から受信したセルS毎の輝度値とに基づいて、輝度が2番目に高いテストセルの輝度が共通印字セルの輝度よりも高いか否かを判定する。詳細には、ステップS665Aにおいて、制御部211は、セルSの配置情報と、検証装置3から受信したセルS毎の輝度値とを基に、テストセルの中で輝度が2番目に高いセルSのセル番号を抽出する。テストセルの中で輝度が2番目に高いセルSのセル番号は、「テストセルの輝度値に関する情報」の一例である。制御部211は、抽出したセル番号により特定されるセルSの輝度値と、共通印字セルの輝度値とを比較することにより、輝度が2番目に高いテストセルの輝度が共通印字セルの輝度よりも高いか否かを判定する。輝度が2番目に高いテストセルの輝度が共通印字セルの輝度よりも高い場合には(ステップS665AにおいてYES)、制御部211は、処理をステップS670Aに移行する。一方、輝度が2番目に高いテストセルの輝度が共通印字セルの輝度よりも高くない場合には(ステップS665AにおいてNO)、制御部211は、処理をステップS675に移行する。
【0151】
ステップS670Aにおいて、制御部211は、輝度が2番目に高いテストセルの照射条件を本番用の下地処理の照射条件として設定する。詳細には、ステップS670Aにおいて、制御部211は、記憶部213に記憶されている照射条件のうち、ステップS665Aで抽出したセル番号に対応付けられている照射条件を本番用の下地処理の照射条件として設定する。なお、ステップS670Aにおいて、制御部211は、輝度が2番目に高いテストセルの照射条件だけでなく、テスト用の下地処理の照射条件も考慮した上で、本番用の下地処理の照射条件を設定してもよい。
【0152】
図6および図15に示す処理により、テストセルの中で輝度が異常に高いセルS、または、輝度が異常に低いセルSがあった場合でも、テストセルの中で輝度が最も高いセルSと、輝度が最も低いセルSとを除いて、本加工の際のレーザ光Wの照射条件が設定される。その結果、本加工の際の照射条件の正確性が増す。
【0153】
なお、図6および図15に示す設定方法は黒い下地に白の印字を施す場合にも適用することができる。黒い下地に白の印字を施す場合には、ステップS650A~ステップS670A、および、ステップS680の処理は以下のように読み替えるものとする。ステップS650Aは、「制御部211は、記憶部213に記憶しているセルSの配置情報と、検証装置3から受信したセルS毎の輝度値とに基づいて、輝度が2番目に高いテストセルの輝度が共通印字セルの輝度よりも高いか否かを判定する。」と読み替える。ステップS655Aは、「制御部211は、輝度が2番目に高いテストセルの照射条件を本番用の加工処理の照射条件として設定する。」と読み替える。ステップS660およびステップS680は、「制御部211は、共通印字セルの照射条件を本番用の加工処理の照射条件として設定する。詳細には、制御部211は、共通印字セルの照射条件のうち白セル用の照射条件を本番用の加工処理の照射条件として設定する。」と読み替える。ステップS665Aは、「制御部211は、記憶部213に記憶しているセルSの配置情報と、検証装置3から受信したセルS毎の輝度値とに基づいて、輝度が2番目に低いテストセルの輝度が共通印字セルの輝度よりも低いか否かを判定する。」と読み替える。ステップS670Aは、「制御部211は、輝度が2番目に低いテストセルの照射条件を本番用の下地処理の照射条件として設定する。なお、制御部211は、輝度が2番目に低いテストセルの照射条件だけでなく、テスト用の下地処理の照射条件も考慮した上で、本番用の下地処理の照射条件を設定してもよい。」と読み替える。
【0154】
また、第1の変形例においても、本番用の加工処理の照射条件のみを設定し、本番用の下地処理の照射条件を設定しなくてもよい。その場合には、制御部211は、テストセルの中で輝度が2番目に低いセルSのセル番号と、テストセルの中で輝度が2番目に高いセルSのセル番号との少なくとも一方を抽出すればよい。
【0155】
[実施の形態1における第2の変形例]
図1図2図7、および図16を参照して、コントローラ21による処理の第2の変形例について説明する。第2の変形例では、制御部211は、テストセルの輝度値に関する情報として、テストセルの中で輝度が低いn(nは2以上の整数)個のテストセルのセル番号と、テストセルの中で輝度が低いn個のテストセルのセル番号とを抽出する。
【0156】
図16は、実施の形態1に従うコントローラの処理の第2の変形例を示すフローチャートである。図16に示す処理は、制御部211が記憶部213に記憶されているアプリケーションプログラムを実行することにより実現される。制御部211は、図6に示すステップS605~ステップS640の処理の後、図16に示す処理を行う。図16に示す処理はステップS650B、ステップS655B、ステップS665B、およびステップS670Bを除き、図7に示す処理と同様であることから、以下では、ステップS650B、ステップS655B、ステップS665B、およびステップS670Bについてのみ説明する。
【0157】
ステップS650Bにおいて、制御部211は、記憶部213に記憶しているセルSの配置情報と、検証装置3から受信したセルS毎の輝度値とに基づいて、輝度が低いn個のテストセルの輝度の平均値が共通印字セルの輝度値よりも低いか否かを判定する。詳細には、制御部211は、セルSの配置情報と、検証装置3から受信したセルS毎の輝度値とを基に、テストセルの中で輝度が低い方から順にn個のセルSを選択し、選択したセルSのセル番号を抽出する。テストセルの中で輝度が低い方から順に選択されたn個のセルSのセル番号は、「テストセルの輝度値に関する情報」の一例である。制御部211は、抽出したセル番号により特定されるセルSの輝度の平均値を算出する。制御部211は、算出した輝度値と、共通印字セルの輝度値とを比較することにより、輝度が低いn個のテストセルの輝度の平均値が共通印字セルの輝度値よりも低いか否かを判定する。輝度が低いn個のテストセルの輝度の平均値が共通印字セルの輝度値よりも低い場合には(ステップS650BにおいてYES)、制御部211は、処理をステップS655Bに移行する。一方、輝度が低いn個のテストセルの輝度の平均値が共通印字セルの輝度値よりも低くない場合には(ステップS650BにおいてNO)、制御部211は、処理をステップS660に移行する。
【0158】
ステップS655Bにおいて、制御部211は、輝度が低いn個のテストセルに設定されている照射条件の平均値を本番用の加工処理の照射条件として設定する。詳細には、ステップS655Bにおいて、制御部211は、記憶部213に記憶されている照射条件のうち、ステップS650Bで抽出したセル番号に対応付けられている照射条件の平均値を算出し、算出した平均値を本番用の加工処理の照射条件として設定する。
【0159】
ステップS665Bにおいて、制御部211は、記憶部213に記憶しているセルSの配置情報と、検証装置3から受信したセルS毎の輝度値とに基づいて、輝度が高いn個のテストセルの輝度の平均値が共通印字セルの輝度値よりも高いか否かを判定する。詳細には、制御部211は、セルSの配置情報と、検証装置3から受信したセルS毎の輝度値とを基に、テストセルの中で輝度が高い方から順にn個のセルSを選択し、選択したセルSのセル番号を抽出する。テストセルの中で輝度が高い方から順に選択されたn個のセルSのセル番号は、「テストセルの輝度値に関する情報」の一例である。制御部211は、抽出したセル番号により特定されるセルSの輝度の平均値を算出する。制御部211は、算出した輝度値と、共通印字セルの輝度値とを比較することにより、輝度が高いn個のテストセルの輝度の平均値が共通印字セルの輝度値よりも高いか否かを判定する。輝度が高いn個のテストセルの輝度の平均値が共通印字セルの輝度値よりも高い場合には(ステップS665BにおいてYES)、制御部211は、処理をステップS670Bに移行する。一方、輝度が高いn個のテストセルの輝度の平均値が共通印字セルの輝度値よりも高くない場合には(ステップS665BにおいてNO)、制御部211は、処理をステップS675に移行する。
【0160】
ステップS670Bにおいて、制御部211は、輝度が高いn個のテストセルに設定されている照射条件の平均値を本番用の下地処理の照射条件として設定する。詳細には、ステップS670Bにおいて、制御部211は、記憶部213に記憶されている照射条件のうち、ステップS665Bで抽出したセル番号に対応付けられている照射条件の平均値を算出し、算出した平均値を本番用の下地処理の照射条件として設定する。なお、ステップS670Bにおいて、制御部211は、輝度が高いn個のテストセルに設定されている照射条件の平均値だけでなく、テスト用の下地処理の照射条件も考慮した上で、本番用の下地処理の照射条件を設定してもよい。
【0161】
図6および図16に示す処理により、テストセルの中で輝度が異常に高いセルS、または、輝度が異常に低いセルSがあった場合でも、本番用の下地処理の照射条件としてテストセルの中で比較的輝度が高いテストセルに設定されている照射条件の平均値が設定され、本番用の加工処理の照射条件として、テストセルの中で比較的輝度が低いテストセルに設定されている照射条件の平均値が設定される。その結果、本加工の際の照射条件の正確性が増す。
【0162】
なお、ステップS655Bにおいて、制御部211は、輝度が低いn個のテストセルの各々に設定されている照射条件の中央値を本番用の加工処理の照射条件として設定してもよい。また、ステップS670Bにおいて、制御部211は、輝度が高いn個のテストセルの各々に設定されている照射条件の中央値を本番用の下地処理の照射条件として設定してもよい。
【0163】
また、ステップS650Bにおいて、制御部211は、検証装置3から受信したセルS毎の輝度値を基にテストセルをランキング付けし、ランキングの下位k番目~k+m番目(k、mは1以上の整数)のセルSを選択し、選択したセルSのセル番号を抽出してもよい。その場合には、制御部211は、抽出したセル番号により特定されるセルSの輝度の平均値を算出し、算出した輝度値と、共通印字セルの輝度値とを比較する。算出した輝度値が共通印字セルの輝度値よりも低い場合には(ステップS650BにおいてYES)、制御部211は、ランキングの下位k番目~k+m番目のテストセルに設定されている照射条件の平均値を本番用の加工処理の照射条件として設定する(ステップS655B)。また、ステップS665Bにおいて、制御部211は、検証装置3から受信したセルS毎の輝度値を基にテストセルをランキング付けし、ランキングの上位k番目~k+m番目のセルSを選択し、選択したセルSのセル番号を抽出してもよい。その場合には、制御部211は、抽出したセル番号により特定されるセルSの輝度の平均値を算出し、算出した輝度値と、共通印字セルの輝度値とを比較する。算出した輝度値が共通印字セルの輝度値よりも高い場合には(ステップS665BにおいてYES)、制御部211は、ランキングの上位k番目~k+m番目のテストセルに設定されている照射条件の平均値を本番用の下地処理の照射条件として設定する(ステップS670B)。
【0164】
なお、図6および図16に示す設定方法は黒い下地に白の印字を施す場合にも適用することができる。黒い下地に白の印字を施す場合には、ステップS650B~ステップS670B、および、ステップS680の処理は以下のように読み替えるものとする。ステップS650Bは、「制御部211は、記憶部213に記憶しているセルSの配置情報と、検証装置3から受信したセルS毎の輝度値とに基づいて、輝度が高いn個のテストセルの輝度の平均値が共通印字セルの輝度値よりも高いか否かを判定する。」と読み替える。ステップS655Bは、「制御部211は、輝度が高いn個のテストセルに設定されている照射条件の平均値を本番用の加工処理の照射条件として設定する。」と読み替える。ステップS660およびステップS680は、「制御部211は、共通印字セルの照射条件を本番用の加工処理の照射条件として設定する。具体的には、制御部211は、共通印字セルの照射条件のうち白セル用の照射条件を本番用の加工処理の照射条件として設定する。」と読み替える。ステップS665Bは、「制御部211は、記憶部213に記憶しているセルSの配置情報と、検証装置3から受信したセルS毎の輝度値とに基づいて、輝度が低いn個のテストセルの輝度の平均値が共通印字セルの輝度値よりも低いか否かを判定する。」と読み替える。ステップS670Bは、「制御部211は、輝度が低いn個のテストセルに設定されている照射条件の平均値を本番用の下地処理の照射条件として設定する。なお、制御部211は、輝度が低いn個のテストセルに設定されている照射条件の平均値だけでなく、テスト用の下地処理の照射条件も考慮した上で、本番用の下地処理の照射条件を設定してもよい。」と読み替える。
【0165】
また、第2の変形例においても、本番用の加工処理の照射条件のみを設定し、本番用の下地処理の照射条件を設定しなくてもよい。その場合には、制御部211は、テストセルの中で輝度が低い方から順に選択されたn個のテストセルのセル番号と、テストセルの中で輝度が高い方から順に選択されたn個のテストセルのセル番号との少なくとも一方を抽出すればよい。
【0166】
[実施の形態2]
実施の形態1では、レーザマーカ2がテストセルの輝度値に関する情報を抽出した。これに対し、実施の形態2では、検証装置がテストセルの輝度値に関する情報を抽出する。実施の形態2では、実施の形態1と同様に、テスト加工時の加工パターンは2次元コードである。実施の形態2に従うレーザ加工システムの構成は、実施の形態1に従うレーザ加工システム1の構成と同様であることから、実施の形態1と同一の符号を付して、その説明は繰り返さない。以下、主に実施の形態1と異なる点について説明する。
【0167】
図2および図6を参照して、検証装置3がテストセルの輝度値に関する情報を抽出するためには、テスト加工によって加工対象物8に形成された加工パターンを撮像した際に、撮像画像の中からテストセルに対応する位置(以下、「テストセルの位置」とも称する)を特定できる必要がある。そこで、実施の形態2に従うレーザ加工システム1では、レーザマーカ2がテストセルの配置情報を検証装置3へ送信する。
【0168】
テストセルの配置情報とは、ステップS620で設定されたテストセルの配置を示す情報である。詳細には、テストセルの配置情報は、位置検出パターン(上述のL字やファインダパターン等)と各テストセルとの相対的な位置関係を示す情報であり、たとえば、各セルにどのようなルールで数字が割り当てられ、何番のセルがテストセルに設定されているのかという情報である。レーザマーカ2は、ステップS620の後、テストセルの配置情報を検証装置3へ送信する。
【0169】
図2図14、および図17を参照して、実施の形態2に従う検証装置3の処理について説明する。図17は、実施の形態2に従う検証装置の処理の一例を説明するための図である。図17では、コードCがQRコードである場合を例に説明する。
【0170】
検証装置3(詳細には、制御部310)は、図14に示す処理の冒頭で、テストセルtの配置情報をレーザマーカ2から受信する。制御部310は、図14に示す処理を実行し、読み取りに成功した際の輝度値をセル毎に記憶部320に記憶する。
【0171】
図17に示す画像Iは、ステップS1401で作成されたコードCの画像である。なお、図17では、テストセルtとそれ以外のセルとを区別するために、テストセルtに対応するセルにはドットハッチングを付しているが、実際には、検証装置3によって撮像された画像I内に写し出されるテストセルtの領域(テストセル領域T)は、濃淡があるものの、テストセル領域T以外と同様に、白セル、または、黒セルの集合体として写し出される。
【0172】
制御部310は、レーザマーカ2から受信したテストセルtの配置情報を基に、各テストセルtの位置を特定する。制御部310は、記憶部320に記憶している、読み取りに成功した際のセル毎の輝度値を参照し、各テストセルtの輝度値を特定する。制御部310は、テストセルtの配置情報と、特定したテストセルtの輝度値とを基に、テストセルtの輝度値に関する情報、すなわち、所定条件を満たすテストセルtのセル番号を抽出する。通信処理部340(「通信部」に相当)は、制御部310が抽出したテストセルtの輝度値に関する情報をレーザマーカ2へ送信する。
【0173】
レーザマーカ2(詳細には、制御部211)は、検証装置3からテストセルtの輝度値に関する情報を受信し、受信した情報と、受信した情報によって示されるセルに設定されている照射条件とに基づいて、本加工の際の照射条件を設定する。一例として、レーザマーカ2は、検証装置3から受信したテストセルtの輝度値に関する情報によって示されるセルに設定されている照射条件を本加工の際の照射条件として設定する。
【0174】
なお、テストセルtの配置情報がレーザマーカ2の記憶部213と検証装置3の記憶部320とにあらかじめ記憶されていてもよい。この場合には、レーザマーカ2と検証装置3との間でテストセルtの配置情報の送受信は行われない。この場合には、レーザマーカ2は、記憶部213に記憶されているテストセルtの配置情報に基づいてテストセルtの設定を行う。
【0175】
このように、実施の形態2に従えば、検証装置3は、テストセルtの位置を特定することができる。ゆえに、検証装置3は、テストセルtの輝度値に関する情報を抽出して、抽出した情報をレーザマーカ2へ送信することができる。これにより、レーザマーカ2は、検証装置3から受信したテストセルtの輝度値に関する情報と、テストセルtに設定されている照射条件とに基づいて、本加工の際の照射条件を設定すればよいので、レーザマーカ2の処理負担が軽減される。
【0176】
また、実施の形態2に従えば、実施の形態1と同様に、1度のテスト加工で最適な照射条件を設定することができる。ゆえに、手間をかけずに適切な照射条件を設定することが可能となる。
【0177】
また、テストセルtの配置情報はレーザマーカ2から検証装置3へ送信されるか、もしくは、記憶部320にあらかじめ記憶されていることから、ユーザがテストセルtの配置情報を検証装置3に入力する手間を省くことができる。
【0178】
また、検証装置3からレーザマーカ2へ送信される情報には、所定条件を満たすテストセルtのセル番号に加え、所定条件を満たすテストセルtの輝度値、および、共通印字セルのセル毎の輝度値が含まれてもよい。この場合には、レーザマーカ2は、検証装置3から受信した情報を基に、図7に示すフロー、図15に示すフロー、および図16に示すフローのうちいずれかのフローを用いて、本加工の際の照射条件を設定してもよい。
【0179】
[実施の形態3]
実施の形態1,2では、テスト加工時の加工パターンは2次元コードであった。これに対し、実施の形態3では、テスト加工時の加工パターンが2次元コード以外である。実施の形態3では、実施の形態2と同様に、検証装置がテストセルの輝度値に関する情報を抽出する。実施の形態3に従うレーザ加工システムの構成は、実施の形態2に従うレーザ加工システム1の構成と同様であることから、実施の形態2と同一の符号を付して、その説明は繰り返さない。以下、主に実施の形態2と異なる点について説明する。
【0180】
制御部211(図2参照)は、テストセルが配置される領域(テストセル領域)に位置決めマークが付加された加工パターンを受け付ける。図2および図18を参照して、位置決めマークについて説明する。図18は、実施の形態3に従うレーザマーカによって形成される位置決めマークの一例を示す図である。なお、図18では、理解を容易とするため、テストセルtに対応するセルにはドットハッチングを付している。
【0181】
位置決めマークMは、テストセルtの位置の特定に供されるマークである。位置決めマークMのパターンは、テストセル領域Tを一意に決めることができるようなパターンであればよく、たとえば、図18(A)に示すような3つのマークを組み合わせたパターンでもよいし、図18(B)に示すような1つのL字のマークからなるパターンでもよいし、図18(C)に示すような1つのT字のマークからなるパターンでもよいし、図18(D)に示すようなファインダパターンを模したマークからなるパターンでもよい。
【0182】
なお、位置決めマークMのパターンは、図18に示すものに限られない。また、位置決めマークMが図18(A)に示すような複数のマークの組み合わせである場合には、含まれるマークの数は3つに限られず、また、各マークの種類が異なっていてもよい。
【0183】
図2図6、および図19を参照して、実施の形態3に従うレーザマーカ2の処理について説明する。図19は、実施の形態3に従うレーザマーカの処理の一例を説明するための図である。図19では、テストセルtとテストセルt以外のセルSとを区別するために、テストセルtに対応するセルにはドットハッチングを付している。
【0184】
制御部211は、テストセルtの配置情報を生成する。図19に示す例では、テストセルtの配置情報は以下の通りである。すなわち、位置決めマークMのパターンの情報は、3つの十字マークからなるとの情報である。位置決めマークMとテストセル領域Tとの相対位置を示す情報は、位置決めマークMはテストセル領域Tの4つの頂点のうちの3つの頂点に配置されているとの情報である。テストセル領域T内でのテストセルtの配置を示す情報は、テストセル領域Tが4×4のテストセルtに分割されており、左上のテストセルtから右下のテストセルtにかけて順にセル番号が1~16まで割り当てられているとの情報である。
【0185】
制御部211は、生成したテストセルtの配置情報を検証装置3へ送信する。検証装置3は、テストセルtの配置情報に基づいて、各テストセルtの位置を特定する。
【0186】
図2図14、および図20を参照して、実施の形態3に従う検証装置3の処理について説明する。図20は、実施の形態3に従う検証装置の処理の一例を説明するための図である。
【0187】
検証装置3(詳細には、制御部310)は、図14に示す処理の冒頭で、テストセルtの配置情報をレーザマーカ2から受信する。その後、制御部310は、図14に示す処理のステップS1401~ステップS1403を実行することにより、各テストセルtの中心位置を推定する。
【0188】
ステップS1401において、制御部310は、撮像部330に加工対象物8に形成された加工パターンを撮像させ、撮像画像に対し前処理を行うことで画像Iを作成する。画像Iは、テストセル領域T、および、位置決めマークMを含む。加工対象物8の加工面と撮像光軸とが垂直ではない場合には、図20に示すように、画像I内でテストセル領域T、および、位置決めマークMが歪んで写し出される。
【0189】
ステップS1402において、制御部310は、レーザマーカ2から受信したテストセルtの配置情報に含まれる、位置決めマークMのパターンの情報に基づいて、撮像した画像Iの中から位置決めマークMを検出する。
【0190】
ステップS1403において、制御部310は、グリッドを推定する。詳細には、まず、制御部310は、レーザマーカ2から受信したテストセルtの配置情報に含まれる、位置決めマークMとテストセル領域Tとの相対位置を示す情報に基づいて、画像Iの中からテストセル領域Tを特定する。次いで、制御部310は、レーザマーカ2から受信したテストセルtの配置情報に含まれる、テストセル領域T内でのテストセルtの配置を示す情報に基づいて、画像Iの中から各テストセルtの中心位置を推定する。
【0191】
一例として、まず、制御部310は、3つの位置決めマークMを3頂点とする平行四辺形を作成し、作成した平行四辺形の領域をテストセル領域Tと特定する。次いで、制御部310は、特定したテストセル領域Tを4×4に等分し、各領域の中心位置を各テストセルtの中心位置と推定する。
【0192】
ステップS1403の後、制御部310は、各テストセルtの中心位置における輝度値を算出する。次いで、制御部310は、テストセルtの配置情報に含まれる、テストセル領域T内でのテストセルtの配置を示す情報と、算出した各テストセルtの輝度値とを基に、テストセルtの輝度値に関する情報、すなわち、所定条件を満たすテストセルtのセル番号を抽出する。通信処理部340(「通信部」に相当)は、制御部310が抽出したテストセルtの輝度値に関する情報をレーザマーカ2へ送信する。
【0193】
なお、レーザマーカ2はあらかじめ定められた規則に従って位置決めマークを設定してもよいし、ユーザの指定に従って位置決めマークを設定してもよい。
【0194】
また、テストセルtの配置情報がレーザマーカ2の記憶部213と検証装置3の記憶部320とにあらかじめ記憶されていてもよい。この場合には、レーザマーカ2は記憶部213に記憶されているテストセルtの配置情報に基づいて、テストセルtの設定、および、位置決めマークの設定を行う。
【0195】
また、実施の形態3に従えば、実施の形態2と同様の効果を奏することができる。
【0196】
[付記]
上述した各実施の形態および変形例は、適宜、選択的に組み合わされてもよい。上述した本実施の形態は、以下のような技術思想を含む。
【0197】
[構成1]
加工パターン(N)に従い加工対象物(8)を加工するレーザ加工装置(2)と、当該レーザ加工装置(2)での加工を検証する検証装置(3)とを備える、レーザ加工システム(1)であって、
前記加工パターン(N)は、複数のセル(S)を含み、
前記レーザ加工装置(2)は、
前記加工パターン(N)を受け付ける受付部(216)と、
前記受付部(216)で受け付けた前記加工パターン(N)の前記セル(S)毎にレーザ光(W)の照射条件を設定する設定部(211)と、
前記設定部(211)で設定した前記照射条件を、当該照射条件を設定した前記セル(S)毎に記憶する第1記憶部(213)と、
前記設定部(211)で設定した前記照射条件に基づいて、前記加工対象物(8)に前記レーザ光(W)を照射する照射部(26)と、を含み、
前記設定部(211)は、テスト加工の際に受け付けた前記加工パターン(N)の一部をテストセルとし、前記テストセル(t)に含まれる前記セル(S)毎に異なる前記照射条件を設定し、
前記検証装置(3)は、
前記加工対象物(8)に形成された前記加工パターン(N)を撮像する撮像部(330)と、
前記撮像部(330)による撮像画像を基に、前記セル(S)毎の輝度値を算出する算出部(310)と、を含み、
前記設定部(211)は、前記セル(S)毎の前記輝度値から抽出された前記テストセル(t)の前記輝度値に関する情報と、前記テストセル(t)に設定されている前記照射条件とに基づいて本加工の際の前記照射条件を少なくとも1つ設定する、レーザ加工システム。
【0198】
[構成2]
前記検証装置(3)は、前記算出部(310)で算出した前記セル(S)毎の前記輝度値を前記レーザ加工装置(2)へ送信する送信部(340)をさらに含み、
前記設定部(211)は、前記テストセル(t)の配置情報と、前記検証装置(3)から受信した前記セル(S)毎の前記輝度値とを基に、前記テストセル(t)の前記輝度値に関する情報をさらに抽出する、構成1に記載のレーザ加工システム。
【0199】
[構成3]
前記検証装置(3)は、前記レーザ加工装置(2)との間で通信を行う通信部(340)をさらに含み、
前記算出部(310)は、前記テストセル(t)の配置情報と、算出した前記セル(S)毎の前記輝度値とを基に、前記テストセル(t)の前記輝度値に関する情報をさらに抽出し、
前記通信部(340)は、前記算出部(310)で抽出した前記テストセル(t)の前記輝度値に関する情報を前記レーザ加工装置(2)へ送信し、
前記設定部(211)は、前記検証装置(3)から前記テストセル(t)の前記輝度値に関する情報を受信する、構成1に記載のレーザ加工システム。
【0200】
[構成4]
前記検証装置(3)は、前記テストセル(t)の前記配置情報を前記レーザ加工装置(2)から取得する、構成3に記載のレーザ加工システム。
【0201】
[構成5]
前記検証装置(3)は、第2記憶部(320)をさらに含み、
前記テストセル(t)の前記配置情報は、前記第2記憶部(320)にあらかじめ記憶されている、構成3に記載のレーザ加工システム。
【0202】
[構成6]
前記テストセル(t)の前記輝度値に関する情報は、前記テストセル(t)の中で輝度が最も高い前記セル(S)を示す情報と、前記テストセル(t)の中で輝度が最も低い前記セル(S)を示す情報との少なくとも一方を含み、
前記設定部(211)は、前記テストセル(t)の前記輝度値に関する情報により特定される前記セル(S)に設定されている前記照射条件に基づいて本加工の際の前記照射条件を設定する、構成1~構成5のいずれか1項に記載のレーザ加工システム。
【0203】
[構成7]
前記テストセル(t)の前記輝度値に関する情報は、前記テストセル(t)の中で輝度が高い方から順に選択された2つ以上の前記セル(S)を示す情報と、前記テストセル(t)の中で輝度が低い方から順に選択された2つ以上の前記セル(S)を示す情報との少なくとも一方を含み、
前記設定部(211)は、前記テストセル(t)の前記輝度値に関する情報により特定される前記セル(S)のうち、輝度が高い2つ以上の前記セル(S)に設定されている前記照射条件の平均値と、前記テストセル(t)の前記輝度値に関する情報により特定される前記セル(S)のうち、輝度が低い2つ以上の前記セル(S)に設定されている前記照射条件の平均値との少なくとも一方に基づいて本加工の際の前記照射条件を設定する、構成1~構成5のいずれか1項に記載のレーザ加工システム。
【0204】
[構成8]
前記受付部(216)は、前記加工対象物(8)の材質を受け付け、
前記設定部(211)は、テスト加工の際に、前記テストセル(t)に対して、前記受付部(216)で受け付けた前記加工対象物(8)の材質に基づいて、前記セル(S)毎に異なる前記照射条件を設定する、構成1~構成7のいずれか1項に記載のレーザ加工システム。
【0205】
[構成9]
前記レーザ加工装置(2)は、テスト加工の際に同一の前記照射条件が設定された領域における前記輝度値のバラツキを前記算出部(310)により算出された前記セル(S)毎の前記輝度値を基に判定し、
前記設定部(211)は、当該領域における前記輝度値のバラツキが閾値を超える場合に、前記テストセル(t)の前記輝度値に関する情報と、前記テストセル(t)に設定されている前記照射条件とに基づいて下地処理の前記照射条件を設定する、構成1~構成8のいずれか1項に記載のレーザ加工システム。
【0206】
[構成10]
前記加工パターン(N)は、2次元コードである、構成1~構成9のいずれか1項に記載のレーザ加工システム。
【0207】
[構成11]
前記テストセル(t)は、前記加工パターン(N)の情報単位に基づいて設定される、構成10に記載のレーザ加工システム。
【0208】
[構成12]
前記テストセル(t)は、前記加工パターン(N)のうち、前記2次元コードの位置を検出するために用いられる領域を除く領域に設定される、構成10または構成11に記載のレーザ加工システム。
【0209】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0210】
1 レーザ加工システム、2 レーザマーカ、3 検証装置、4 設定装置、6 表示装置、7 入力装置、8 加工対象物、11a,11b,29 通信ケーブル、21 コントローラ、26 マーキングヘッド、28,241 光ファイバ、110 プロセッサ、120,160 メモリ、121,161 ROM、122,162 RAM、123,163 フラッシュメモリ、130,170 通信インターフェイス、140 パルス発生回路、150 演算処理回路、151 メインプロセッサ、152 画像処理専用プロセッサ、210 制御基板、211,310 制御部、212 パルス発生部、213,320 記憶部、214,215,216,217,340 通信処理部、220 ドライバ、230 ドライバ用電源、240 レーザ発振器、242,243,249A,249B,249C,249D 半導体レーザ、244,246,262 アイソレータ、245,248 結合器、247 バンドパスフィルタ、263 コリメータレンズ、264 ガルバノミラー部、264a,264b ガルバノミラー、265 集光レンズ、330 撮像部、331 照明部、332 受光部、700 ユーザインターフェイス、701 描画領域、702,703,750,760 ボタン、710 レーザ/走査タブ、N 加工パターン、S セル、t テストセル、T テストセル領域、W レーザ光。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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