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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】産業車両の運転室ドア及び産業車両
(51)【国際特許分類】
   B60J 5/04 20060101AFI20240814BHJP
【FI】
B60J5/04 R
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021040380
(22)【出願日】2021-03-12
(65)【公開番号】P2022139832
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2023-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 誠
【審査官】久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第09279234(US,B1)
【文献】特開2001-206061(JP,A)
【文献】特開2004-332229(JP,A)
【文献】特開2014-045297(JP,A)
【文献】特開2008-100656(JP,A)
【文献】特開2010-105429(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2005-0027650(KR,A)
【文献】独国特許出願公開第102012020707(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業車両における運転室の乗降口を開閉する産業車両の運転室ドアであって、
樹脂製のドアパネルと、
前記乗降口が閉じられたとき、前記乗降口を囲むサイドフレームに押し当てられるドアシールと、
前記ドアパネルの周縁部を補強する金属製の補強フレームと、
前記補強フレームと一体であって、前記ドアパネルの前記周縁部に沿う部位を有する金属製の取付フレームと、を有し、
前記補強フレームは、前記ドアパネルの前記周縁部に沿う枠状の補強フレーム本体を有し、
前記補強フレーム本体には、鉛直方向に直交するように補強バーが架け渡されており、
前記取付フレームに前記ドアシールが装着されており、
前記補強フレームは、前記補強フレーム本体に一体であって前記ドアパネルを前記補強フレームに取り付けるための複数の取付ボスを有し、
前記取付ボスは、前記ドアパネルの板厚方向に沿って突出し、
前記ドアパネルは、ゴムワッシャを介して前記取付ボスの端面に取り付けられ、
前記取付フレームは前記取付ボスの外周面に接合されていることを特徴とする産業車両の運転室ドア。
【請求項2】
前記ドアパネルは透明又は半透明の樹脂製である請求項1に記載の産業車両の運転室ドア。
【請求項3】
前記取付フレームは、前記補強フレーム本体に沿った枠状の取付フレーム本体を有し、
前記ドアシールは、当該ドアシールを前記取付フレーム本体に取り付ける取付基部と、前記サイドフレームに押し当てられることによってシールする中空シール部とを有している請求項1又は請求項2に記載の産業車両の運転室ドア。
【請求項4】
産業車両の運転室の乗降口を開閉する運転室ドアを有する産業車両であって、
前記運転室ドアは、
樹脂製のドアパネルと、
前記乗降口が閉じられたとき、前記乗降口を囲むサイドフレームに押し当てられるドアシールと、
前記ドアパネルの周縁部を補強する金属製の補強フレームと、
前記補強フレームと一体であって、前記ドアパネルの前記周縁部に沿う部位を有する金属製の取付フレームと、を有し、
前記補強フレームは、前記ドアパネルの前記周縁部に沿う枠状の補強フレーム本体を有し、
前記補強フレーム本体には、鉛直方向に直交するように補強バーが架け渡されており、
前記取付フレームに前記ドアシールが装着されており、
前記補強フレームは、前記補強フレーム本体に一体であって前記ドアパネルを前記補強フレームに取り付けるための複数の取付ボスを有し、
前記取付ボスは、前記ドアパネルの板厚方向に沿って突出し、
前記ドアパネルは、ゴムワッシャを介して前記取付ボスの端面に取り付けられ、
前記取付フレームは前記取付ボスの外周面に接合されていることを特徴とする産業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業車両の運転室ドア及び産業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に開示されるように、産業車両の一例であるトーイングトラクタは、ボディフレーム上に搭載されたフルキャビンと、そのフルキャビンの両側に配置された運転室ドアとしてのスライドドアと、を備える。運転室ドアは、トーイングトラクタの運転席の乗降口を開閉する。
【0003】
また、トーイングトラクタでは、乗降口を囲む周縁部と、運転室ドアの周縁部との間をシールするため、運転室ドアの周縁部には、当該周縁部を板厚方向から挟み込むようにドアシールが装着される。乗降口を運転室ドアで閉じたとき、ドアシールは、乗降口の周縁部に押し当てられる。この押し当てによって、乗降口と運転室ドアとの間がシールされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-334350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
運転室ドアを樹脂製とすることがある。乗降口を運転室ドアで閉じたとき、ドアシールが、乗降口の周縁部に押し当てられると、押し当ての反力によって運転室ドアが、乗降口の周縁部から離れるように撓んでしまう。すると、乗降口の周縁部に対するドアシールの押し当て力が低下してしまい、乗降口と運転室ドアとの間のシール性が低下してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するための産業車両の運転室ドアは、産業車両における運転室の乗降口を開閉する産業車両の運転室ドアであって、樹脂製のドアパネルと、前記乗降口が閉じられたとき、前記乗降口を囲むサイドフレームに押し当てられるドアシールと、前記ドアパネルの周縁部を補強する金属製の補強フレームと、前記補強フレームと一体であって、前記ドアパネルの前記周縁部に沿う部位を有する金属製の取付フレームと、を有し、前記取付フレームに前記ドアシールが装着されていることを要旨とする。
【0007】
これによれば、ドアパネルを補強する補強フレームに取付フレームが一体化される。この取付フレームにドアシールが装着されている。運転室ドアによって乗降口が閉じられているとき、ドアシールはサイドフレームに押し当てられている。この押し当てに伴い、ドアシールには、サイドフレームから離れる方向に反力が作用する。この反力は取付フレームによって支承されるため、反力は樹脂製のドアパネルには作用しない。このため、ドアパネルが反力によって撓むことはなく、ドアシールをサイドフレームに押し当てた状態に維持される。その結果として、運転室の乗降口をシールできる。
【0008】
産業車両の運転室ドアについて、前記補強フレームは、前記ドアパネルの前記周縁部に沿う枠状の補強フレーム本体と、前記補強フレーム本体に一体であって前記ドアパネルを前記補強フレームに取り付けるための複数の取付ボスと、有し、前記取付フレームは前記取付ボスに接合されていてもよい。
【0009】
これによれば、補強フレームと取付フレームを別部材として製造できる。このため、ドアパネルの形状及び乗降口の形状に合わせて補強フレーム及び取付フレームを製造でき、ドアパネルのバリエーションに容易に対応できる。
【0010】
また、取付ボスに取付フレームを接合することにより、取付フレームと補強フレームは一体化されている。このため、ドアパネルを補強フレームに取り付けるための部位を、取付フレームを補強フレームに取り付けるための部位に有効利用できる。よって、運転室ドアの部品点数を増やすこと無く、取付フレームを補強フレームに一体化できる。
【0011】
産業車両の運転室ドアについて、前記ドアパネルは透明又は半透明の樹脂製であってもよい。
これによれば、運転室内を産業車両の車外から視認できる。
【0012】
上記問題点を解決するための産業車両は、産業車両の運転室の乗降口を開閉する運転室ドアを有する産業車両であって、前記運転室ドアは、樹脂製のドアパネルと、前記乗降口が閉じられたとき、前記乗降口を囲むサイドフレームに押し当てられるドアシールと、前記ドアパネルの周縁部を補強する金属製の補強フレームと、前記補強フレームと一体であって、前記ドアパネルの前記周縁部に沿う部位を有する金属製の取付フレームと、を有し、前記取付フレームに前記ドアシールが装着されていることを要旨とする。
【0013】
これによれば、ドアパネルを補強する補強フレームに取付フレームが一体化される。この取付フレームにドアシールが装着されている。運転室ドアによって乗降口が閉じられているとき、ドアシールはサイドフレームに押し当てられている。この押し当てに伴い、ドアシールには、サイドフレームから離れる方向に反力が作用する。この反力は取付フレームによって支承されるため、反力は樹脂製のドアパネルには作用しない。このため、ドアパネルが反力によって撓むことはなく、ドアシールをサイドフレームに押し当てた状態に維持される。その結果として、運転室の乗降口をシールできる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、乗降口と運転室ドアとの間のシール性の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】トーイングトラクタを示す斜視図。
図2】乗降口を開いた状態を示す側面図。
図3】運転室ドアの構成を示す分解斜視図。
図4】運転室ドアを示す斜視図。
図5】運転室ドアの取付ボスを示す拡大断面図。
図6】補強フレームと取付フレームを示す図。
図7】運転室ドアを部分的に示す分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、産業車両の運転室ドア、及び当該運転室ドアを備える産業車両を、トーイングトラクタの運転室ドア、及びトーイングトラクタに具体化した一実施形態を図1図7にしたがって説明する。
【0017】
<構成>
図1及び図2に示すように、トーイングトラクタ10は、ボディフレーム11と、ボディフレーム11の後部に設けられた連結装置12と、ボディフレーム11上に搭載されたキャビン13と、キャビン13の左右両側に設けられた運転室ドア20と、を有する。また、トーイングトラクタ10は、キャビン13の内側に運転室14を有する。
【0018】
トーイングトラクタ10は、キャビン13の左右両側に乗降口15を有する。運転室ドア20は、運転室14の乗降口15を開閉する。キャビン13は、乗降口15の周縁部に沿って乗降口15を囲むサイドフレーム16を有する。言い換えると、サイドフレーム16の内側に乗降口15が開口している。
【0019】
サイドフレーム16は、キャビン13の外面よりも運転室14寄りに凹んだ位置にある。サイドフレーム16は、運転室ドア20によって乗降口15を開いたとき車外に露出するシール面16aを有する。サイドフレーム16のシール面16aは、運転室ドア20との間で乗降口15をシールする面である。
【0020】
図3及び図4に示すように、運転室ドア20は、樹脂製のドアパネル21と、補強フレーム31と、取付フレーム41と、ドアシール51と、を有する。
ドアパネル21は、透明な樹脂製である。ドアパネル21の板厚方向Xに直交する全方向を、運転室ドア20の面方向とする。また、ドアパネル21を板厚方向Xから見ることを正面視とする。ドアパネル21を正面視したときにドアパネル21の外形を形成する部位を縁21aとする。ドアパネル21は、板厚方向Xの第1面に外面21bを有し、板厚方向の第2面に内面21cを有する。運転室ドア20によって乗降口15を閉じたとき、内面21cは運転室14に面する。
【0021】
ドアパネル21は、縁21aに沿う部位に周縁部22を有する。周縁部22は、縁21aを含んでドアパネル21の全体に亘って延びる部位である。ドアパネル21は、複数の取付孔23を有する。各取付孔23は、ドアパネル21を板厚方向Xに貫通する。複数の取付孔23は、ドアパネル21の周縁部22に間隔を空けて配置されている。
【0022】
図5に示すように、ドアパネル21の取付孔23には、ブッシュ24が装着されている。ブッシュ24はゴム製である。ブッシュ24は、取付孔23に挿通された筒部24aと、筒部24aの軸線方向の一端部に一体のフランジ24bと、を有する。フランジ24bは、ドアパネル21の外面21bにて取付孔23の周囲に接触している。
【0023】
ブッシュ24の筒部24aには、金属製のカラー25が挿入されている。カラー25は円筒状である。カラー25の軸線方向の寸法は、ブッシュ24の軸線方向の寸法より大きい。
【0024】
図3図6に示すように、補強フレーム31は、補強フレーム本体32と、補強フレーム本体32に一体の複数の取付ボス34と、補強フレーム本体32に一体の金属パイプ製の補強バー33と、を有する。補強フレーム31は金属製である。
【0025】
補強フレーム本体32は、円筒パイプによって形成されている。補強フレーム本体32は、板厚方向Xにドアパネル21の周縁部22に重なる。補強フレーム本体32は一繋がりの枠状である。補強フレーム本体32は、ドアパネル21の内面21cの周縁部22に沿って設けられることにより、ドアパネル21の周縁部22を内面21c側から補強している。
【0026】
複数の取付ボス34の各々は、円筒状である。取付ボス34は、ドアパネル21を補強フレーム31に取り付けるための部位である。複数の取付ボス34の各々は、ドアパネル21の板厚方向Xに沿ってドアパネル21の内面21cに向けて飛び出している。取付ボス34の内周面には螺子が設けられている。複数の取付ボス34は、補強フレーム本体32の延びる方向に間隔を空けて配置されている。複数の取付ボス34は、ドアパネル21の複数の取付孔23に重なる位置にある。
【0027】
ドアパネル21は、取付ボルト35によって補強フレーム31に取り付けられている。取付ボルト35は、軸部35aと、頭部35bを有する。軸部35aは、筒部24a内のカラー25を貫通している。軸部35aは、取付ボス34に螺子止めされている。頭部35bとフランジ24bとの間にはワッシャ36が挟まれている。また、取付ボス34の端面と筒部24aの先端面との間には、ゴムワッシャ37が挟まれている。取付ボルト35の軸力は、カラー25によって支承されている。また、取付ボルト35の軸力により、ブッシュ24の軸線方向にフランジ24b及びゴムワッシャ37が加圧されている。
【0028】
補強バー33は、鉛直方向に直交するように補強フレーム本体32に架け渡されている。補強バー33は、鉛直方向に直交する方向に補強フレーム本体32を補強する。
取付フレーム41は、取付フレーム本体42と、取付フレーム本体42に一体の複数の取付片43と、を有する。取付フレーム41は金属製である。
【0029】
取付フレーム本体42は、金属の薄板によって一繋がりの枠状に形成されている。取付フレーム本体42の板厚方向は、運転室ドア20の板厚方向Xに一致する。取付フレーム本体42は、運転室ドア20の板厚方向Xに沿って周縁部22と重なるように内面21c側に配置されている。取付フレーム本体42は、補強フレーム本体32よりも一回り大きい枠状である。なお、取付フレーム本体42は、運転室ドア20の面方向に沿って補強フレーム本体32よりもドアパネル21の縁21a寄りに配置されている。つまり、取付フレーム本体42は、運転室ドア20の面方向に沿った補強フレーム本体32の外側に配置されている。
【0030】
複数の取付片43の各々は、舌片状である。取付片43は、取付フレーム本体42を補強フレーム31に取り付けるための部位である。複数の取付片43の各々は、取付フレーム本体42の内周縁から取付フレーム本体42の枠内に向けて飛び出している。各取付片43の先端は、取付フレーム本体42から飛び出した先に位置する取付ボス34の外周面に溶接によって接合されている。
【0031】
図5に示すように、取付フレーム41は、取付片43が取付ボス34に接合されることによって補強フレーム31に一体化されている。取付片43によって、取付フレーム本体42は、運転室ドア20の面方向に沿って補強フレーム本体32の外側に配置されている。このため、取付フレーム本体42は、補強フレーム本体32を外側から囲んでいる。そして、取付フレーム41は、補強フレーム31と一体であって、ドアパネル21の周縁部22に沿う部位を有するといえる。
【0032】
図5及び図7に示すように、ドアシール51は、所謂ウェザストリップである。ドアシール51は、取付フレーム41に装着されている。ドアシール51は、取付基部52と、中空シール部53と、を有している。取付基部52には図示しない芯金が埋設されている。なお、中空シール部53は、芯金を有していなくてもよい。
【0033】
取付基部52は、取付フレーム本体42に沿う一繋がりの枠状である。取付基部52は、取付フレーム本体42を板厚方向の両側から挟んでいる。取付基部52による取付フレーム本体42の挟み込みにより、ドアシール51は取付フレーム本体42に装着されている。なお、取付基部52は、ドアパネル21の内面21cに接触している。
【0034】
中空シール部53は、運転室ドア20の板厚方向Xに沿って、ドアパネル21から離れるように取付基部52から飛び出している。中空シール部53は、運転室ドア20の面方向に沿って補強フレーム本体32の外側に配置されている。このため、中空シール部53は、補強フレーム本体32を外側から囲んでいる。
【0035】
ドアシール51は、ドアパネル21の内面21c側に配置されている。そして、ドアシール51におけるドアパネル21寄りの面は、ドアパネル21の内面21cに接触している。取付フレーム本体42は、運転室ドア20の面方向に沿って補強フレーム本体32の外側に配置されている。このため、取付フレーム本体42に取り付けられたドアシール51も、運転室ドア20の面方向に沿って補強フレーム本体32の外側に配置されている。
【0036】
なお、ドアシール51の取付基部52は、取付フレーム本体42に取り付けることができれば、その形状は変更してもよい。また、中空シール部53も、サイドフレーム16のシール面16aに押し当ててシールすることができれば、その形状は変更してもよい。
【0037】
図1及び図5に示すように、運転室ドア20によって乗降口15を閉じたとき、補強フレーム31、取付フレーム41及びドアシール51は、ドアパネル21の内面21c側に配置されている。つまり、運転室ドア20によって乗降口15を閉じたとき、補強フレーム31、取付フレーム41及びドアシール51は、ドアパネル21よりも車内に配置されている。そして、運転室ドア20によって乗降口15を閉じたとき、ドアパネル21の外面21bが車外に露出している。
【0038】
ドアパネル21の周縁部22は、補強フレーム本体32によって内面21c側から補強されている。ドアパネル21の内面21c側において、周縁部22の全体にわたってドアシール51が配置されている。
【0039】
<作用>
運転室ドア20によって乗降口15を閉じたとき、ドアシール51の中空シール部53は、サイドフレーム16のシール面16aに押し当てられる。この押し当てにより、中空シール部53とサイドフレーム16の間がシールされる。その結果、乗降口15のシール面16aと、運転室ドア20の周縁部22との間がシールされる。
【0040】
また、中空シール部53がサイドフレーム16のシール面16aに押し当てられると、ドアシール51には、運転室14から離れる方向への反力が作用するが、この反力は金属製の取付フレーム本体42に支承される。取付フレーム本体42は、取付片43によって補強フレーム31の取付ボス34に接合されている。このため、反力は、樹脂製のドアパネル21には作用しない。
【0041】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)運転室ドア20において、樹脂製のドアパネル21を補強フレーム31によって補強した。この補強フレーム31に金属製の取付フレーム41を一体に設けた。そして、取付フレーム41にドアシール51を装着した。このため、運転室ドア20によって乗降口15が閉じられているときに発生する反力がドアシール51に作用しても、この反力を取付フレーム41によって支承でき、樹脂製のドアパネル21には反力が直接作用しない。このため、反力によってドアパネル21が撓むことがなく、ドアシール51を、サイドフレーム16に押し当てた状態に維持できる。その結果として、乗降口15と運転室ドア20との間のシール性の低下を抑制できる。
【0042】
(2)補強フレーム31と取付フレーム41とは接合によって一体化されている。このため、ドアパネル21の形状及び乗降口15の形状に合わせて補強フレーム31及び取付フレーム41を製造でき、ドアパネル21のバリエーションに容易に対応できる。
【0043】
(3)取付フレーム41は、ドアパネル21を補強フレーム31に取り付けるための取付ボス34に接合されている。このため、ドアパネル21を補強フレーム31に取り付けるための取付ボス34を、取付フレーム41を補強フレーム31に取り付けるために有効利用できる。よって、運転室ドア20の部品点数を増やすこと無く、取付フレーム41を補強フレーム31に一体化できる。
【0044】
(4)補強フレーム31は、補強フレーム本体32に取付ボス34を一体に有する。取付フレーム41は、取付フレーム本体42に取付片43を一体に有する。そして、取付ボス34に取付片43を接合することにより、取付フレーム41は補強フレーム31に接合されている。取付ボス34及び取付片43を設ける位置を調節することにより、補強フレーム本体32及び取付フレーム本体42の剛性を確保できる。
【0045】
(5)ドアパネル21は透明な樹脂製である。このため、車外から運転室14内を視認できる。
(6)取付フレーム本体42は、ドアパネル21の周縁部22の全体に沿うように配置される。このため、ドアシール51の全体を取付フレーム本体42で支持できる。よって、ドアシール51に作用する反力を、ドアシール51のいずれの場所であっても取付フレーム本体42で支承できる。
【0046】
(7)取付片43は、取付フレーム本体42の枠内に向けて突出する。このため、取付片43を取付ボス34に接合することにより、補強フレーム本体32よりも面方向の外側に取付フレーム本体42を配置できる。よって、取付フレーム本体42に装着されるドアシール51を、面方向における補強フレーム31の外側に配置できる。したがって、補強フレーム本体32をドアパネル21の縁21aより内側に配置した状態で、ドアシール51を縁21aより内側にて周縁部22に沿うように配置できる。
【0047】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
○ ドアパネル21は、半透明な合成樹脂製でもよいし、透明でなくてもよい。
【0048】
○ 補強フレーム31と取付フレーム41は一体成形されていてもよい。
○ 取付フレーム41の取付片43は、取付ボス34ではなく、補強フレーム本体32に直接接合されていてもよい。
【0049】
○ 補強フレーム31の取付ボス34に取付片を一体成形し、補強フレーム31から延びる取付片に取付フレーム41を接合してもよい。この場合、取付フレーム41の取付片43は無くてもよい。
【0050】
○ 取付フレーム41の取付片43の先端に透孔を形成する。そして、取付ボルト35によってドアパネル21を補強フレーム31に取り付けるのに合わせて取付片43を取付ボス34に取り付けて取付フレーム41を補強フレーム31に取り付けてもよい。
【0051】
○ 取付フレーム本体42は、一繋がりの枠状ではなく、部分的に途切れていてもよい。
○ 補強フレーム本体32は、円筒パイプ製でなくてもよく、四角パイプ製、三角パイプ製及び六角パイプ製でもよい。
【0052】
○ 補強フレーム本体32に架け渡す補強バー33を更に追加してもよいし、補強バー33は無くてもよい。
○ 運転室ドア20を有する産業車両は、トーイングトラクタ以外でもよく、フォークリフトであってもよい。
【0053】
前記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
(イ)前記取付フレームは、前記ドアパネルの周縁部の全体に沿うように配置される。
【符号の説明】
【0054】
10…産業車両としてのトーイングトラクタ、14…運転室、15…乗降口、16…サイドフレーム、20…運転室ドア、21…ドアパネル、22…周縁部、31…補強フレーム、32…補強フレーム本体、34…取付ボス、41…取付フレーム、51…ドアシール。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7