(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】制御盤及び工作機械
(51)【国際特許分類】
B23Q 1/00 20060101AFI20240814BHJP
【FI】
B23Q1/00 C
(21)【出願番号】P 2021059867
(22)【出願日】2021-03-31
【審査請求日】2023-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【氏名又は名称】山本 尚
(72)【発明者】
【氏名】森本 晃右
(72)【発明者】
【氏名】真田 寛士
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 宏彰
【審査官】増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/174333(WO,A1)
【文献】特開2020-116676(JP,A)
【文献】実開昭51-049827(JP,U)
【文献】実開平02-140886(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 1/00
H02B 1/20
H02G 3/22
H05K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械を制御する電装部品と、複数の壁部が囲む空間内に前記電装部品を収納する収納箱と、前記壁部の一部である所定壁を開口し、前記電装部品と電気的に接続する電線を挿通可能な挿通孔と、前記挿通孔に挿通した前記電線を挟持する挟持部材とを備えた制御盤において、
前記挟持部材は、
前記挿通孔に挿通した前記電線を挟持可能な第一挟持部、第二挟持部を有し、
前記第一挟持部は、
前記所定壁から離隔する方向に延びる第一延出板と、
前記第一延出板から前記第二挟持部に向けて突出し、前記第一延出板の延びる方向に互いに離隔して配列した第一弾性部、第二弾性部を備え、
前記第二挟持部は、
前記所定壁から離隔する方向に延びる第二延出板と、
弾性を有する弾性部材であって、前記第二延出板から前記第一挟持部に向けて突出し、弾性を有する対向弾性部と
を備え、前記第一弾性部、前記第二弾性部と前記対向弾性部とで前記電線を挟持
し、
前記第一延出板は、
前記所定壁と交差する第一延出方向に延びる基部と、
前記基部から前記第一延出方向と異なる第二延出方向に屈曲して延びる延伸部とを有し、
前記第一弾性部は前記基部に配置し、前記第二弾性部は前記延伸部に配置し、
前記第一弾性部の一端と前記第二弾性部の一端及び前記第一弾性部の他端と前記第二弾性部の他端を夫々接続し、弾性を有する弾性部材であって、前記第一延出板から前記第二挟持部に向けて突出する両端弾性部を備えることを特徴とする制御盤。
【請求項2】
前記第一弾性部は前記第一延出板の前記所定壁側の端部に配置し、前記第二弾性部は前記端部とは反対側の他端部に配置することを特徴とする請求項
1に記載の制御盤。
【請求項3】
前記第一挟持部は、
前記所定壁と固定する第一固定板と、
前記第一固定板と前記所定壁との間に弾性を有する第一固定弾性部とを備え、
前記第二挟持部は、
前記所定壁と固定する第二固定板と、
前記第二固定板と前記所定壁との間に弾性を有する第二固定弾性部とを備えることを特徴とする請求項1
又は2に記載の制御盤。
【請求項4】
請求項1~
3の何れかに記載の制御盤を備えたことを特徴とする工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御盤及び工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の工作機械用制御装置は筐体を備える。筐体の下壁は下壁を上下方向に貫通し、電線を挿通可能な挿通孔を有する。下壁は挿通孔の上側に固定部材と挟持部材とを配置する。固定部材は挿通孔の前側に配置し、下壁の上面に固定する。挟持部材は挿通孔の後側に配置し、下壁の上面に対して離脱可能に配置する。固定部材は後側に、挟持部材は前側に弾性部材を配置する。固定部材と挟持部材とは弾性部材を介して挿通孔を挿通する電線を挟持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記工作機械用制御装置において、固定部材と挟持部材とが複数の電線を挟持する時、固定部材、挟持部材、及び電線の間に隙間が生じる時がある。該時、工作機械による加工で生じた粉塵が該隙間を介して筐体の内側に侵入する時がある。
【0005】
本発明の目的は、粉塵の収納箱内側への侵入を抑制できる制御盤及び工作機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一態様に係る制御盤は、工作機械を制御する電装部品と、複数の壁部が囲む空間内に前記電装部品を収納する収納箱と、前記壁部の一部である所定壁を開口し、前記電装部品と電気的に接続する電線を挿通可能な挿通孔と、前記挿通孔に挿通した前記電線を挟持する挟持部材とを備えた制御盤において、前記挟持部材は、前記挿通孔に挿通した前記電線を挟持可能な第一挟持部、第二挟持部を有し、前記第一挟持部は、前記所定壁から離隔する方向に延びる第一延出板と、前記第一延出板の延びる方向に互いに離隔して配列した第一弾性部、第二弾性部を備え、前記第二挟持部は、前記所定壁から離隔する方向に延びる第二延出板と、弾性を有する弾性部材であって、前記第二延出板から前記第一挟持部に向けて突出し、弾性を有する対向弾性部とを備え、前記第一弾性部、前記第二弾性部と前記対向弾性部とで前記電線を挟持することを特徴とする。
【0007】
第一態様の制御盤は第一弾性部と対向弾性部、第二弾性部と対向弾性部との二箇所で挿通孔を挿通する電線を挟持する。第一弾性部と第二弾性部は第一延出板の延びる方向に互いに離隔して配列するので、電線と第一弾性部、対向弾性部で生じる隙間(以下第一隙間という。)と、電線と第二弾性部、対向弾性部で生じる隙間(以下第二隙間という。)とが空間を隔てて離隔する。故に制御盤は粉塵の収納箱内側への侵入を抑制できる。
【0008】
第一態様の制御盤において、前記第一延出板は、前記所定壁と交差する第一延出方向に延びる基部と、前記基部から前記第一延出方向と異なる第二延出方向に屈曲して延びる延伸部とを有し、前記第一弾性部は前記基部に配置し、前記第二弾性部は前記延伸部に配置してもよい。第一延出板は屈曲するので、粉塵の収納箱内側への侵入を更に抑制できる。
【0009】
第一態様の制御盤は、前記第一弾性部の端と前記第二弾性部の端を接続し、弾性を有する弾性部材であって、前記第一延出板から前記第二挟持部に向けて突出する両端弾性部を備えてもよい。制御盤は第一挟持部と第二挟持部における直交方向の両端側から第一挟持部と第二挟持部との内側への粉塵の侵入を抑制できる。
【0010】
第一態様の制御盤では、前記第一弾性部は前記第一延出板の所定壁側の端部に配置し、前記第二弾性部は前記端部とは反対側の他端部に配置してもよい。制御盤は第一弾性部と第二弾性部を第一延出板の両端に設けたので、両弾性部を第一延出板の中間部に設けた場合と比較して第一隙間と第二隙間とが離隔する距離が長くなるので、粉塵の収納箱内側への侵入を更に抑制できる。
【0011】
第一態様の制御盤において、前記第一挟持部は、前記所定壁と固定する第一固定板と、前記第一固定板と前記所定壁との間に弾性を有する第一固定弾性部とを備え、前記第二挟持部は、前記所定壁と固定する第二固定板と、前記第二固定板と前記所定壁との間に弾性を有する第二固定弾性部とを備えてもよい。制御盤は第一固定板と所定壁の隙間を第一固定弾性部が埋め、第二固定板と所定壁の隙間を第二固定弾性部が埋めるので、粉塵の収納箱内側への侵入を更に抑制できる。
【0012】
本発明の第二態様に係る工作機械は、請求項1~5の何れかに記載の制御盤を備えたことを特徴とする。第二態様の工作機械は第一態様と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図3】第一挟持部50と第二挟持部70とが当接した挟持部材40の斜視図。
【
図4】第一挟持部50と第二挟持部70とが離隔した挟持部材40の斜視図。
【
図7】下壁212に固定した挟持部材40の縦断面図。
【
図8】左壁215に固定した挟持部材40の縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を説明する。以下説明は図中に矢印で示す左右、前後、上下を使用する。工作機械1の左右方向、前後方向、上下方向は、夫々、工作機械1のX軸方向、Y軸方向、Z軸方向である。制御盤20の向きもこれに倣う。
【0015】
図1を参照し工作機械1の構造を説明する。工作機械1は主軸(図示略)がZ軸方向に延びる立型工作機械である。工作機械1は基台2、機械本体、カバー10、制御盤20を備える。基台2は鉄製土台である。機械本体は基台2上部後方に配置する。機械本体は主軸を回転可能に保持する。主軸は工具(図示略)を装着し、工作台(図示略)上面に固定する被削材(図示略)の切削加工等を行う。工作台は基台2上部前方に配置する。カバー10は基台2上部に固定し、機械本体、工作台の周囲を取り囲む。カバー10は前部に開口11と、開口11を開閉する扉12を備える。カバー10は後部外側に制御盤20を固定する。
【0016】
図2を参照し制御盤20の構造を説明する。制御盤20は略直方体状の収納箱21を備える。収納箱21は工作機械1を制御する電装部品30を収納する。電装部品30は、例えば入出力基板、制御基板、DCスイッチング電源、ブレーカ、インバータ、配線ダクト、サーボアンプ等である。電装部品30は工作機械1外部の電源から受電して駆動する。
【0017】
収納箱21は前壁211、下壁212、上壁213、右壁214、左壁215を備え、後端に開口22を有する。収納箱21は開口22を開閉する扉23を備える。作業者は例えば制御盤20の点検時、扉23を開き、制御盤20内に格納する各種電装部品の点検、交換、修理等を行う。扉23は左下部に扉23の施錠と解錠とを切替え、扉23を開く時に作業者が把持する把持部24を備える。
【0018】
下壁212は右前部に上下方向に貫通する挿通孔25を有する。左壁215は上部に左右方向に貫通する挿通孔26を有する。工作機械1外部の電源から延びる非図示の電線は挿通孔25、26を挿通して収納箱21内部の電装部品30と接続する。下壁212上面、左壁215左面は挿通孔25、26を挿通した電線を挟持する挟持部材40を配置する。
【0019】
図3~
図8を参照し本発明の一実施形態の挟持部材40の構造を説明する。説明を簡単にする為に
図3~
図7の挟持部材40は下壁212上面に位置するものとして説明する。挟持部材40は第一挟持部50、第二挟持部70を備える。第一挟持部50はボルト27、ナット271により挿通孔25後側の下壁212に固定する(
図7参照)。第二挟持部70はボルト28、ナット281により挿通孔25前側の下壁212と固定する(
図7参照)。第一挟持部50が電線を後側から当接し、第二挟持部70が電線を前側から当接することで、挟持部材40は電線を挟持する。
【0020】
図3~
図5を参照し第一挟持部50の構造を説明する。第一挟持部50は固定板51、第一延出板52、右板55、左板56、弾性部材58、60を備える。固定板51は前後方向、左右方向に延びる平板状である。弾性部材58は固定板51下面に接着剤で固定する。弾性部材58は平面視で固定板51と同形のシート状であり、弾性を有する。固定板51、弾性部材58は左右両端部を夫々上下方向に貫通する孔59を有する。ボルト27(
図7参照)は孔59と下壁212を貫通する非図示の孔を挿通して、下壁212下側のナット271(
図7参照)と締結する。
【0021】
第一延出板52は基部53、延伸部54を備える。基部53は固定板51前部から上方且つ左右方向に延びる平板状である。基部53の左右方向の長さは固定板51の左右方向の長さよりも短い。固定板51の各孔59は基部53の右側、左側に夫々在る。延伸部54は基部53上端から上前方且つ左右方向に延びる平板状である。右板55は第一延出板52右端から前方且つ上下方向に延びる平板状である。左板56は第一延出板52左端から前方且つ上下方向に延びる平板状である。
【0022】
弾性部材60は弾性を有し、第一延出板52前側に接着剤で固定する。
図5の如く、弾性部材60は第一弾性部61、第二弾性部62、右弾性部63、左弾性部64を備える。第一弾性部61は基部53下端部前側に位置する。第一弾性部61は第二挟持部70に向けて前方に突出し、上下方向且つ左右方向に延びる略直方体状である。第二弾性部62は延伸部54上端部前側に位置する。第二弾性部62は第二挟持部70に向けて下前方に突出し、上前方向且つ左右方向に延びる略直方体状である。
【0023】
右弾性部63は第一延出板52右端部前側に位置する。右弾性部63は第二挟持部70に向けて突出し、第一延出板52の延びる方向且つ左右方向に延びる略直方体状である。右弾性部63下端は第一弾性部61右端と接続し、右弾性部63上端は第二弾性部62右端と接続する。左弾性部64は第一延出板52左端部前側に位置する。左弾性部64は第二挟持部70に向けて突出し、第一延出板52の延びる方向且つ左右方向に延びる略直方体状である。左弾性部64下端は第一弾性部61左端と接続し、左弾性部64上端は第二弾性部62左端と接続する。
【0024】
図3、
図4、
図6を参照し第二挟持部70の構造を説明する。第二挟持部70は固定板71、第二延出板72、弾性部材78、80を備える。固定板71は前後方向、左右方向に延びる平板状である。弾性部材78は固定板71下面に接着剤で固定する。弾性部材78は平面視で固定板71と同形のシート状であり、弾性を有する。固定板71、弾性部材78は左右両端部、左右方向中央部に前端から後方に凹んだ溝79を有する。ボルト28(
図7参照)は溝79に嵌まり且つ下壁212を貫通する非図示の孔を挿通して、下壁212下側のナット281(
図7参照)と締結する。
【0025】
第二延出板72は基部73、延伸部74を備える。基部73は固定板71後端から上方且つ左右方向に延びる平板状である。挿通孔25を挿通した電線を挟持する時、基部73は第一挟持部50の右板55、左板56の間に配置する。延伸部74は基部73上端から第一挟持部50の延伸部54と平行に上前方且つ左右方向に延びる平板状である。
【0026】
弾性部材80は弾性を有し、第二延出板72後側に接着剤で固定する。
図6の如く、弾性部材80は第一弾性部81、第二弾性部82、右弾性部83、左弾性部84を備える。第一弾性部81は基部73下端部後側に位置する。第一弾性部81は第一挟持部50に向けて後方に突出し、上下方向且つ左右方向に延びる略直方体状である。第二弾性部82は延伸部74上端部後側に位置する。第二弾性部82は第一挟持部50に向けて上後方に突出し、上前方向且つ左右方向に延びる略直方体状である。
【0027】
右弾性部83は第二延出板72右端部後側に位置する。右弾性部83は第一挟持部50に向けて突出し、第二延出板72の延びる方向且つ左右方向に延びる略直方体状である。右弾性部83下端は第一弾性部81右端と接続し、右弾性部83上端は第二弾性部82右端と接続する。左弾性部84は第二延出板72左端部後側に位置する。左弾性部84は第一挟持部50に向けて突出し、第二延出板72の延びる方向且つ左右方向に延びる略直方体状である。左弾性部84下端は第一弾性部81左端と接続し、左弾性部84上端は第二弾性部82左端と接続する。
【0028】
図7の如く、第一挟持部50と第二挟持部70とが当接する時、挟持部材40は第一挟持部50の第一延出板52、弾性部材60、第二挟持部70の第二延出板72、弾性部材80が囲んで形成する空間90を有する。挟持部材40は第一弾性部61と第一弾性部81との間と、第二弾性部62と第二弾性部82との間の二箇所で挿通孔25を挿通する電線を挟持する。
【0029】
挟持部材40は左壁215左側に配置してもよい。
図8の如く、第一挟持部50はボルト27、ナット271により挿通孔26上側の左壁215と固定する。第二挟持部70はボルト28、ナット281により挿通孔26下側の左壁215と固定する。該時、挿通孔26を挿通する電線は外部電源から挟持部材40、挿通孔26を順に経由して収納箱21内部で配線する。
【0030】
以上の如く、制御盤20は工作機械1において機械本体を取り囲むカバー10後部外側に固定する。制御盤20は下壁212、左壁215を備える略直方体状の収納箱21を備え、内部に工作機械1を制御する電装部品30を収納する。下壁212は右前部に上下方向に貫通する挿通孔25を有する。下壁212上面は挿通孔25を挿通した電線を挟持する挟持部材40を配置する。挟持部材40は第一挟持部50、第二挟持部70を備える。第一挟持部50は第一延出板52、弾性部材60を備える。第一延出板52は下壁212から離隔する方向に延びる。弾性部材60は弾性を有し、第一延出板52から第二挟持部70に向けて突出するように第一延出板52前側に接着剤で固定する。弾性部材60は第一弾性部61、第二弾性部62を備える。第一弾性部61と第二弾性部62とは第一延出板52の延びる方向に互いに離隔して位置する。第二挟持部70は第二延出板72、弾性部材80を備える。第二延出板72は下壁212から離隔する方向に延び、第一延出板52と対向する。弾性部材80は弾性を有し、第二延出板72から第一挟持部50に向けて突出するように、第二延出板72後側に接着剤で固定する。挟持部材40は第一弾性部61と弾性部材80との間と、第二弾性部62と弾性部材80との間の二箇所で電線を挟持する。該時、電線と第一弾性部61、弾性部材80との間で第一隙間が生じる時がある。また電線と第二弾性部62、弾性部材80との間で第二隙間が生じる時がある。第一隙間と第二隙間とは空間90を隔てて離隔する。故に制御盤20は粉塵の収納箱21内側への侵入を抑制できる。
【0031】
第一延出板52は基部53、延伸部54を備える。基部53は上下方向且つ左右方向に延びる。延伸部54は基部53上端から上前方且つ左右方向に延びる。第一弾性部61は基部53から弾性部材80に向けて突出する。第二弾性部62は延伸部54から弾性部材80に向けて突出する。該時、第一隙間が延びる方向と第二隙間が延びる方向とが交差する。故に制御盤20は粉塵の収納箱21内側への侵入を抑制できる。
【0032】
弾性部材60は右弾性部63、左弾性部64を備える。右弾性部63は第一延出板52右端部前側に位置する。右弾性部63は第二挟持部70に向けて突出し、第一延出板52の延びる方向且つ左右方向に延びる略直方体状である。右弾性部63下端は第一弾性部61右端と接続し、右弾性部63上端は第二弾性部62右端と接続する。左弾性部64は第一延出板52左端部前側に位置する。左弾性部64は第二挟持部70に向けて突出し、第一延出板52の延びる方向且つ左右方向に延びる略直方体状である。左弾性部64下端は第一弾性部61左端と接続し、左弾性部64上端は第二弾性部62左端と接続する。挟持部材40は左右方向の両端部と挟持部材40内側との間の粉塵の移動を抑制する。故に制御盤20は粉塵の収納箱21内側への侵入を抑制できる。
【0033】
第一弾性部61は第一延出板52の延びる方向において下壁212側の端部である基部53下端部前側に配置する。第二弾性部62は第一延出板52の延びる方向において下壁212側と反対の端部となる延伸部54上端部に配置する。該時、第一隙間と第二隙間とが離隔する距離が長くなる。故に制御盤20は粉塵の収納箱21内側への侵入を抑制できる。
【0034】
第一挟持部50は下壁212と固定する固定板51と、固定板51下面に配置し、弾性を有するシート状の弾性部材58を備える。第二挟持部70は下壁212と固定する固定板71と、固定板71下面に配置し、弾性を有するシート状の弾性部材78を備える。該時、固定板51と下壁212の隙間を弾性部材58が埋め、固定板71と下壁212の隙間を弾性部材78が埋める。故に制御盤20は粉塵の収納箱21内側への侵入を抑制できる。
【0035】
上記実施形態において、下壁212、左壁215は本発明の所定壁の一例である。弾性部材80は本発明の対向弾性部の一例である。上下方向は本発明の第一延出方向の一例である。上前方向は本発明の第二延出方向の一例である。左右方向は本発明の直交方向の一例である。右弾性部63、左弾性部64は本発明の両端弾性部の一例である。左壁202は所定壁の一例である。固定板51は本発明の第一固定板の一例である。弾性部材58は本発明の第一固定弾性部の一例である。固定板71は本発明の第二固定板の一例である。弾性部材78は本発明の第二固定弾性部の一例である。
【0036】
本発明は上記実施形態から種々変更できる。以下説明する各種変形例は、矛盾が生じない限り夫々組合わせ可能である。例えば、本発明は上記実施形態の工作機械1は主軸がZ軸方向に延びる立型工作機械であるが、主軸が水平方向に延びる横型工作機械にも適用できる。
【0037】
挟持部材40は左壁215左側に配置してもよい。
図8の如く、第一挟持部50はボルト27、ナット271により挿通孔26上側の左壁215と固定する。第二挟持部70はボルト28、ナット281により挿通孔26下側の左壁215と固定する。該時、挿通孔26を挿通する電線は外部電源から挟持部材40、挿通孔26を順に経由して収納箱21内部で配線する。
【0038】
挟持部材40における第一挟持部50、第二挟持部70の構造は上記実施形態に限定しない。
図9~
図12を参照し挟持部材40の変形例である挟持部材140の構造を説明する。説明を簡単にする為に挟持部材140は下壁212上面に配置するものとして説明する。挟持部材140は第一挟持部150、第二挟持部170を備える。第一挟持部150が電線を後側から当接し、第二挟持部170が電線を前側から当接することで、挟持部材140は電線を挟持する。
【0039】
第一挟持部150は固定板151、第一延出板152、右板154、左板155、弾性部材158、160を備える。固定板151は前後方向、左右方向に延びる平板状である。弾性部材158は固定板151下面に配置する。弾性部材158は平面視で固定板151と同形のシート状であり、弾性を有する。固定板151、弾性部材158は左右両端部を夫々上下方向に貫通する孔159を有する。固定板151は弾性部材158を間にして下壁212と固定する。第一延出板152は上方且つ左右方向に延びる平板状である。固定板151の各孔159は第一延出板152の右側、左側に夫々在る。右板154は第一延出板152右端から前方且つ上下方向に延びる平板状である。左板155は第一延出板152右端から前方且つ上下方向に延びる平板状である。
【0040】
弾性部材160は弾性を有する。弾性部材160は第一弾性部161、第二弾性部162、右弾性部163、左弾性部164を備える。第一弾性部161、第二弾性部162、右弾性部163、左弾性部164は第一延出板152前側から第二挟持部170に向けて前方に突出する。第一弾性部161は第一延出板152下端部前側に配置し、上下方向且つ左右方向に延びる略直方体状である。第二弾性部162は第一延出板152上端部前側に配置し、上下方向且つ左右方向に延びる略直方体状である。右弾性部163は第一延出板152右端部前側に配置し、上下方向且つ左右方向に延びる略直方体状である。右弾性部163下端は第一弾性部161右端と接続し、右弾性部163上端は第二弾性部162右端と接続する。左弾性部164は第一延出板152左端部前側に配置し、上下方向且つ左右方向に延びる略直方体状である。左弾性部164下端は第一弾性部161左端と接続し、左弾性部164上端は第二弾性部162左端と接続する。
【0041】
第二挟持部170は固定板171、第二延出板172、弾性部材178、180を備える。固定板171は前後方向、左右方向に延びる平板状である。弾性部材178は固定板171下面に配置する。弾性部材178は平面視で固定板171と同形のシート状であり、弾性を有する。固定板171、弾性部材178は左右両端部、左右方向中央部に前端から後方に凹んだ溝179を有する。固定板171は弾性部材178を間にして下壁212と固定する。第二延出板172は固定板171後端から上方且つ左右方向に延びる平板状である。挿通孔25を挿通した電線を挟持する時、第二延出板172は第一挟持部150の右板154、左板155の間に配置する。
【0042】
弾性部材180は弾性を有する。弾性部材180は第一弾性部181、第二弾性部182、右弾性部183、左弾性部184を備える。第一弾性部181、第二弾性部182、右弾性部183、左弾性部184は、夫々第一弾性部161、第二弾性部162、右弾性部163、左弾性部164と対向し、第二延出板172後側から第一挟持部150に向けて後方に突出する。第一弾性部181は第二延出板172下端部後側に配置し、上下方向且つ左右方向に延びる略直方体状である。第二弾性部182は第二延出板172上端部前側に配置し、上下方向且つ左右方向に延びる略直方体状である。右弾性部183は第二延出板172右端部後側に配置し、上下方向且つ左右方向に延びる略直方体状である。右弾性部183下端は第一弾性部181右端と接続し、右弾性部183上端は第二弾性部182右端と接続する。左弾性部184は第二延出板172左端部後側に配置し、上下方向且つ左右方向に延びる略直方体状である。左弾性部184下端は第一弾性部181左端と接続し、左弾性部184上端は第二弾性部182左端と接続する。
【0043】
その他変形例として、弾性部材60、80の構造は上記実施形態に限定しない。例えば、弾性部材80は第二延出板72後面の全域から後方に突出し、且つ上下方向及び左右方向に延びる略直方体状でもよい。この場合でも、挟持部材40は第一挟持部50の第一延出板52、弾性部材60、弾性部材80が囲んで形成する空間を有する。故に制御盤20は粉塵の収納箱21内側への侵入を抑制できる。
【0044】
弾性部材60は第一延出板52が延びる方向において、第一弾性部61と第二弾性部62との間に第三弾性部を配置してもよい。第一弾性部61と第二弾性部62とは第一延出板52が延びる方向に互いに離隔して配置すればよく、第一弾性部61を基部53下端部に配置し、第二弾性部62を延伸部54上端部に配置することに限定しない。
【0045】
第一挟持部50の第一延出板52、第二挟持部70の第二延出板72の構造は上記実施形態に限定しない。例えば、第一延出板52は固定板51から後上方に突出し且つ左右方向に延びる板状で、第二延出板72は固定板71から前上方に突出し且つ左右方向に延びる板状であってもよい。第一延出板52は延伸部54の上端から屈曲して延びる第二延伸部を備えてもよい。
【0046】
挟持部材40は工作機械1外部の電源から延びる電線以外に、例えば電装部品30を制御する電気信号を送受信する信号線を挟持してもよい。
【0047】
弾性部材58、158、60、160、78、178、80、180は弾性を有する部材であればよく、例えば、ゴム、スポンジ、ウレタン等で形成すればよい。
【符号の説明】
【0048】
1 工作機械
20 制御盤
21 収納箱
30 電装部品
40、140 挟持部材
50、150 第一挟持部
51、151 固定板
52、152 第一延出板
53 基部
54 延伸部
58、158 弾性部材
60、160 弾性部材
61、161 第一弾性部
62、162 第二弾性部
63、163 右弾性部
64、164 左弾性部
70、170 第二挟持部
71、171 固定板
72、172 第二延出板
78、178 弾性部材
80、180 弾性部材