(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】電動圧縮機
(51)【国際特許分類】
H02K 11/33 20160101AFI20240814BHJP
H02K 3/50 20060101ALI20240814BHJP
H02K 5/22 20060101ALI20240814BHJP
F04B 39/00 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
H02K11/33
H02K3/50 A
H02K5/22
F04B39/00 106Z
(21)【出願番号】P 2021060894
(22)【出願日】2021-03-31
【審査請求日】2023-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 宏晃
(72)【発明者】
【氏名】矢野 順也
(72)【発明者】
【氏名】木下 雄介
(72)【発明者】
【氏名】山蔭 駿平
【審査官】稲葉 礼子
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-159320(JP,A)
【文献】国際公開第2016/132474(WO,A1)
【文献】特開2016-146702(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 11/33
H02K 3/50
H02K 5/22
F04B 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を圧縮する圧縮部と、
回転軸を回転させることによって前記圧縮部を駆動する電動モータと、
前記電動モータを駆動するインバータ装置と、
前記圧縮部、前記電動モータ、及び前記インバータ装置の順序で前記回転軸の軸線方向に並んだ前記圧縮部、前記電動モータ、及び前記インバータ装置を収容するハウジングであって、底壁と、当該底壁の外周縁から延びる筒状の周壁とを有するとともに前記電動モータを収容するモータ収容室を区画するモータハウジングと、
前記モータハウジングの前記底壁に取り付けられ、前記インバータ装置を収容するインバータ収容室を
区画するインバータハウジングを有するとともに、前記モータ収容室と前記インバータ収容室とを区画する区画壁
が前記底壁によって形成された前記ハウジングと、
一端が前記区画壁から前記インバータ収容室の内部へ突出するとともに他端が前記電動モータに電気的に接続されるモータ側導電ピンと、
前記ハウジングに接続される外部コネクタと、前記外部コネクタと外部電源を電気的に接続する電線とを有するハーネスと、を備える電動圧縮機であって、
前記インバータハウジングは、前記周壁よりも突出する突出部を有するとともに、前記インバータ収容室は、前記突出部の内側に形成された部分を含み、
前記外部コネクタは、
前記周壁の外周側、かつ前記軸線方向における前記突出部よりも前記モータハウジング側で前記突出部に取り付けられる筐体と、一端が前記筐体から前記インバータ収容室の内部に突出するとともに他端が前記電線に電気的に接続されるハーネス側導電ピンを備え、
前記インバータ装置は、回路基板と、内部コネクタと、を備え、
前記内部コネクタは、複数の導電端子と、複数の前記導電端子と前記回路基板とを電気的に接続する複数のバスバーと、複数の前記導電端子及び複数の前記バスバーを保持するホルダと、を備え、
前記ホルダは、前記回路基板と前記底壁との間から、前記インバータ収容室における前記突出部の内側の部分に延在し、
複数の前記導電端子は、前記モータ側導電ピンの一端が挿入されて電気的に接続されるモータ側導電端子と、前記ハーネス側導電ピンの一端が挿入されて電気的に接続されるハーネス側導電端子と、を有し、
前記モータ側導電ピンの軸方向と前記ハーネス側導電ピンの軸方向とは同じ方向であり、前記ハーネス側導電端子は、前記ホルダにおいて、前記インバータ収容室における前記突出部の内側に延在した部分に保持されていることを特徴とする電動圧縮機。
【請求項2】
前記インバータ装置は、入力される電流に含まれるノイズを低減するフィルタ部品をさらに備え、
前記ホルダは、前記フィルタ部品を保持する請求項
1に記載の電動圧縮機。
【請求項3】
前記インバータ装置は、前記電動モータを駆動するためのスイッチング動作を行うスイッチング素子をさらに備え、
前記ホルダは、前記スイッチング素子を保持する請求項1
又は請求項2に記載の電動圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の電動圧縮機は、流体を圧縮する圧縮部と、圧縮部を駆動する電動モータと、電動モータを駆動するインバータ装置と、インバータ装置を収容するハウジングと、を備えている。インバータ装置としては、回路基板と、コネクタと、導電ピンと、を備えるものが知られている。コネクタは、導電端子と、導電端子と回路基板とを電気的に接続するバスバーと、導電端子及びバスバーを保持するホルダと、を備えている。導電ピンの第1端は、電動モータと電気的に接続される。導電ピンにおける第1端とは反対に位置する第2端は、導電端子に挿入される。これにより、電動モータと回路基板とが電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電動圧縮機及び外部電源のレイアウトの自由度を向上させる目的で、ハーネスを介してインバータ装置と外部電源とを電気的に接続させる場合がある。この場合、ハーネスが備える端子と接続させるために、ハウジング内に端子を設ける必要がある。こうしてハウジング内に端子を設けることにより、ハウジング内の構造が複雑化するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する電動圧縮機は、流体を圧縮する圧縮部と、前記圧縮部を駆動する電動モータと、前記電動モータを駆動するインバータ装置と、前記電動モータを収容するモータ収容室と、前記インバータ装置を収容するインバータ収容室と、を区画する区画壁を有するハウジングと、一端が前記区画壁から前記インバータ収容室の内部へ突出するとともに他端が前記電動モータに電気的に接続されるモータ側導電ピンと、前記ハウジングに接続される外部コネクタと、前記外部コネクタと外部電源を電気的に接続する電線とを有するハーネスと、を備える電動圧縮機であって、前記外部コネクタは、前記ハウジングに取り付けられる筐体と、一端が前記筐体から前記インバータ収容室の内部に突出するとともに他端が前記電線に電気的に接続されるハーネス側導電ピンを備え、前記インバータ装置は、回路基板と、内部コネクタと、を備え、前記内部コネクタは、複数の導電端子と、複数の前記導電端子と前記回路基板とを電気的に接続する複数のバスバーと、複数の前記導電端子及び複数の前記バスバーを保持するホルダと、を備え、複数の前記導電端子は、前記モータ側導電ピンの一端が挿入されて電気的に接続されるモータ側導電端子と、前記ハーネス側導電ピンの一端が挿入されて電気的に接続されるハーネス側導電端子と、を有することを特徴とする。
【0006】
上記構成によれば、モータ側導電ピンの一端が挿入されるモータ側導電端子と、ハーネス側導電ピンの一端が挿入されるハーネス側導電端子と、を共通のホルダによって保持できる。したがって、モータ側導電端子及びハーネス側導電端子が互いに異なるホルダによって保持される場合と比較して、ハウジング内の構造を簡略化できる。
【0007】
電動圧縮機において、前記モータ側導電ピンの軸方向と前記ハーネス側導電ピンの軸方向とは同じ方向であるとよい。
上記構成によれば、モータ側導電端子及びハーネス側導電端子は互いに同じ姿勢でホルダに保持される。したがって、モータ側導電端子及びハーネス側導電端子が互いに異なる姿勢でホルダに保持される場合と比較して、ホルダの大型化を抑制できる。
【0008】
電動圧縮機において、前記インバータ装置は、入力される電流に含まれるノイズを低減するフィルタ部品をさらに備え、前記ホルダは、前記フィルタ部品を保持するとよい。
上記構成によれば、モータ側導電端子及びハーネス側導電端子の保持と、フィルタ部品の保持と、を共通のホルダによって行うことができる。したがって、モータ側導電端子及びハーネス側導電端子の保持と、フィルタ部品の保持と、を互いに異なるホルダによって行う場合と比較して、ハウジング内の構造を簡略化できる。
【0009】
電動圧縮機において、前記インバータ装置は、前記電動モータを駆動するためのスイッチング動作を行うスイッチング素子をさらに備え、前記ホルダは、前記スイッチング素子を保持するとよい。
【0010】
上記構成によれば、モータ側導電端子及びハーネス側導電端子の保持と、スイッチング素子の保持と、を共通のホルダによって行うことができる。したがって、モータ側導電端子及びハーネス側導電端子の保持と、スイッチング素子の保持と、を互いに異なるホルダによって行う場合と比較して、ハウジング内の構造を簡略化できる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、ハウジング内の構造を簡略化できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】インバータハウジング周辺を拡大して示す断面図。
【
図3】第1ハウジング及びハーネスを示す分解斜視図。
【
図5】第1保持部及び第1コネクタ本体を示す断面図。
【
図6】第2保持部及び第2コネクタ本体を示す断面図。
【
図9】モータ側導電ピン及びハーネス側導電ピンを導電端子に挿入する様子を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、電動圧縮機を具体化した一実施形態を
図1~
図9にしたがって説明する。本実施形態の電動圧縮機は、例えば、車両空調装置に用いられる。図面では、説明の便宜上、互いに直交するX軸、Y軸、及びZ軸を図示している。
【0014】
[電動圧縮機の全体構成]
図1に示すように、電動圧縮機10は、ハウジング11を備える。ハウジング11は、有底筒状の吐出ハウジング12と、吐出ハウジング12に連結される有底筒状のモータハウジング13と、モータハウジング13に連結されるインバータハウジング14と、を備えている。吐出ハウジング12、モータハウジング13、及びインバータハウジング14は金属材料製である。モータハウジング13は、底壁13aと、底壁13aの外周縁から延びる筒状の周壁13bと、を有している。モータハウジング13内には、回転軸15が収容されている。
【0015】
電動圧縮機10は、流体を圧縮する圧縮部16と、圧縮部16を駆動する電動モータ17と、電動モータ17を駆動するインバータ装置40と、を備える。圧縮部16は、モータハウジング13の内部に収容されている。本実施形態において、圧縮部16が圧縮する流体は冷媒である。圧縮部16の駆動によって、冷媒は圧縮される。圧縮部16の具体的な構成は任意である。圧縮部16としては、例えば、スクロールタイプ、ピストンタイプ、及びベーンタイプ等が挙げられる。
【0016】
電動モータ17は、回転軸15を回転させることによって圧縮部16を駆動する。電動モータ17は、筒状のステータ19と、ステータ19の内側に配置されるロータ20と、を有している。ロータ20は、回転軸15と一体的に回転する。ロータ20は、円筒状のロータコア20aと、ロータコア20aに設けられた複数の永久磁石20bと、を有している。ロータコア20aは回転軸15に止着されている。複数の永久磁石20bは、ロータコア20aの周方向に等間隔おきに位置している。
【0017】
ステータ19は、環状のステータコア19aと、u相、v相、及びw相のコイル21と、を有する。ステータコア19aは、周壁13bの内周面に固定されている。コイル21は、ステータコア19aに巻回されている。本実施形態において、u相、v相、及びw相のコイル21は、Y結線されている。
【0018】
電動モータ17は、モータハウジング13の内部に収容されている。言い換えると、ハウジング11は、電動モータ17を収容するモータ収容室18を有している。電動モータ17は、回転軸15の軸線が延びる軸線方向において、圧縮部16と底壁13aとの間に位置する。軸線方向はX軸と平行な方向である。以下では、この軸線方向を軸線方向Xと表す。軸線方向Xであって、且つX軸と平行な一方向を第1軸線方向X1ともいう。軸線方向Xであって、且つ第1軸線方向X1とは反対の方向を第2軸線方向X2ともいう。
【0019】
モータ収容室18には、クラスタブロック29が配置されている。u相、v相、及びw相のコイル21に対応するように、コイル21の各々からは3つのモータ配線21aが引き出されている。
図1では3つのモータ配線21aのうちの1つのみを図示している。
【0020】
周壁13bには、吸入口13hが形成されている。吸入口13hは、モータ収容室18に連通している。吐出ハウジング12には、吐出口12hが形成されている。吸入口13hには、外部冷媒回路22の一端が接続されている。吐出口12hには、外部冷媒回路22の他端が接続されている。外部冷媒回路22は、蒸発器、凝縮器、及び膨張弁などを有している。
【0021】
冷媒は、外部冷媒回路22から吸入口13hを介してモータ収容室18に吸入される。モータ収容室18において、冷媒は圧縮部16によって圧縮される。冷媒は、モータ収容室18から吐出口12hを介して外部冷媒回路22へ流出する。
【0022】
図1及び
図2に示すように、インバータハウジング14は、モータハウジング13の底壁13aに取り付けられている。インバータ装置40は、インバータハウジング14内に収容されている。言い換えると、ハウジング11は、インバータ装置40を収容するインバータ収容室14aを有している。本実施形態では、圧縮部16、電動モータ17、及びインバータ装置40がこの順序で、軸線方向Xに並んで配置されている。インバータハウジング14は、第1ハウジング23と、第1ハウジング23に取り付けられる第2ハウジング31と、を有している。底壁13aには、不図示のねじ穴と、貫通孔13dが形成されている。
【0023】
図3に示すように、第1ハウジング23は、軸線方向Xに延びる円筒状の本体部24と、複数のボス部25と、突出部27と、を有する。本体部24の軸線が延びる方向は軸線方向Xと同じ方向である。ボス部25は、本体部24の内周面に位置している。
【0024】
複数のボス部25は、本体部24の周方向において、互いに間隔をなして位置している。本実施形態のボス部25は4つである。図面では4つのボス部25のうちの1つのみを図示している。モータハウジング13及び第1ハウジング23を軸線方向Xから見たときに、ボス部25は、軸線方向Xにおいて、底壁13aのねじ穴と重なっている。
【0025】
突出部27は、本体部24の外周面から突出している。突出部27は、軸線方向Xに延びる四角柱状である。突出部27には、コネクタ取付孔27b、及びハーネス取付孔27cが形成されている。
【0026】
コネクタ取付孔27bには低電圧用コネクタ28が挿入されている。低電圧用コネクタ28は、コネクタ取付孔27bに挿入された状態で突出部27に固定されている。低電圧用コネクタ28には、
図3に図示しない低電圧電源のコネクタが接続される。これにより、低電圧電源とインバータ装置40とが電気的に接続されている。低電圧電源は、例えば車両に搭載される低電圧バッテリである。低電圧バッテリとしては、鉛蓄電池などが挙げられる。
【0027】
図2及び
図3に示すように、インバータ装置40には、ハーネス取付孔27cを介して
図2及び
図3に図示しない高電圧電源が電気的に接続されている。高電圧電源は、例えば車両に搭載される高電圧バッテリである。高電圧バッテリの電圧は、低電圧バッテリの電圧よりも高い。高電圧バッテリとしては、例えば、リチウムイオン二次電池、及びニッケル水素二次電池などが挙げられる。本実施形態の高電圧電源が外部電源に相当する。
【0028】
図2に示すように、第2ハウジング31は、平板状の蓋部32と、蓋部32の外周縁から延びる側壁部33と、を有する。蓋部32は、軸線方向Xに直交するように延びている。第1軸線方向X1から第1ハウジング23及び第2ハウジング31を見たときに、蓋部32は第1ハウジング23を覆うように位置している。側壁部33には、図示しない第2ハウジングボルト孔が形成されている。
【0029】
図3に示すように、第2ハウジングボルト孔と、第1ハウジング23におけるボス部25の内部と、には、第1軸線方向X1から図示しないボルトが挿通されている。ボルトの先端部は、底壁13aにおける図示しないねじ穴に螺合されている。これにより、第1ハウジング23及び第2ハウジング31はモータハウジング13に取り付けられている。
【0030】
図1に示すように、インバータ収容室14aは、底壁13a、第1ハウジング23、及び第2ハウジング31によって区画形成される。底壁13aは、モータ収容室18とインバータ収容室14aとを区画する区画壁として機能する。言い換えると、ハウジング11は、モータ収容室18とインバータ収容室14aと、を区画する区画壁を有する。
【0031】
図2に示すように、電動圧縮機10は、導電部材35を備える。導電部材35は、円柱状の3つのモータ側導電ピン36と、モータ側導電ピン36を支持する支持板37と、を備える。図面では、3つのモータ側導電ピン36のうち、1つのみを図示している。モータ側導電ピン36の軸方向は軸線方向Xと同じ方向である。支持板37は、軸線方向Xに直交するように延びる平板状である。モータ側導電ピン36は、軸線方向Xにおいて支持板37を貫通している。モータ側導電ピン36の各々と支持板37との間には図示しないガラス製の絶縁部材が介在している。
【0032】
支持板37の両端2箇所には図示しないボルト孔が形成されている。ボルト孔に挿通された図示しないボルトが底壁13aにおける2つの図示しないねじ穴に螺合されている。これにより、導電部材35はモータハウジング13に固定されている。
【0033】
底壁13aの貫通孔13dは、第1軸線方向X1から支持板37によって塞がれている。モータ側導電ピン36の各々は、貫通孔13dに挿通されることにより、底壁13aを貫通している。
【0034】
モータ側導電ピン36の一端を第1端36bという。モータ側導電ピン36の他端を第2端36aという。第2端36aはモータ収容室18に位置している。第1端36bは、底壁13aからインバータ収容室14aの内部へ突出している。
【0035】
図1に示すように、モータ収容室18において、3つのモータ側導電ピン36の第2端36aと3つのモータ配線21aとは、クラスタブロック29を介して互いに電気的に接続されている。これにより、モータ側導電ピン36の各々において、第2端36aは電動モータ17に電気的に接続されている。
【0036】
[インバータ装置の構造]
図4に示すように、インバータ装置40は、複数のスイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2を備える。スイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2は、電動モータ17を駆動するためのスイッチング動作を行う。スイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2は、IGBT(パワースイッチング素子)である。スイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2には、ダイオードDu1,Du2,Dv1,Dv2,Dw1,Dw2がそれぞれ接続されている。ダイオードDu1,Du2,Dv1,Dv2,Dw1,Dw2は、スイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2に対して並列に接続されている。
【0037】
各スイッチング素子Qu1,Qv1,Qw1は、各相の上アームを構成している。各スイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2は、各相の下アームを構成している。各スイッチング素子Qu1,Qu2、各スイッチング素子Qv1,Qv2、及び各スイッチング素子Qw1,Qw2はそれぞれ直列に接続されている。各スイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2のゲートは、制御コンピュータ101に電気的に接続されている。
図4では、低電圧電源を低電圧電源91として図示する。制御コンピュータ101は、低電圧電源91からの電圧が印加されることにより動作する。
【0038】
図4では、高電圧電源を高電圧電源92として図示する。各スイッチング素子Qu1,Qv1,Qw1のコレクタは、第1接続ラインEL1を介して高電圧電源92の正極に電気的に接続されている。各スイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2のエミッタは、第2接続ラインEL2を介して高電圧電源92の負極に電気的に接続されている。u相のコイル21をu相コイル21uといい、v相のコイル21をv相コイル21vといい、w相のコイル21をw相コイル21wという。各スイッチング素子Qu1,Qv1,Qw1のエミッタ及び各スイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2のコレクタは、それぞれ直列に接続された中間点からu相コイル21u、v相コイル21v、及びw相コイル21wにそれぞれ電気的に接続されている。
【0039】
制御コンピュータ101は、電動モータ17の駆動電圧をパルス幅変調により制御する。具体的には、制御コンピュータ101は、搬送波信号と呼ばれる高周波の三角波信号と、電圧を指示するための電圧指令信号とによってPWM信号を生成する。そして、制御コンピュータ101は、生成したPWM信号を用いて各スイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2のスイッチング動作の制御(オンオフ制御)を行う。これにより、高電圧電源92からの直流電圧が交流電圧に変換される。そして、変換された交流電圧が駆動電圧として電動モータ17に印加されることにより、電動モータ17の駆動が制御される。
【0040】
制御コンピュータ101は、PWM信号を制御することにより、各スイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2のスイッチング動作のデューティ比を可変制御する。これにより、電動モータ17の回転数が制御される。制御コンピュータ101は、空調ECU102と電気的に接続されており、空調ECU102から電動モータ17の目標回転数に関する情報を受信すると、その目標回転数で電動モータ17を回転させる。
【0041】
インバータ装置40は、入力される電流に含まれるノイズを低減するフィルタ部品81を備える。本実施形態のフィルタ部品81は、コンデンサ82及びコモンモードチョークコイル83を含む。
【0042】
コンデンサ82は、各スイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2の入力側に設けられる。コンデンサ82は高電圧電源92に対して並列接続されている。コンデンサ82は、第1バイパスコンデンサ82a、第2バイパスコンデンサ82b、及び平滑コンデンサ82cを含む。第1バイパスコンデンサ82aの一端は、第1接続ラインEL1に電気的に接続されている。第1バイパスコンデンサ82aの他端は、第2バイパスコンデンサ82bの一端に電気的に接続されている。第2バイパスコンデンサ82bの他端は、第2接続ラインEL2に電気的に接続されている。第1バイパスコンデンサ82aと第2バイパスコンデンサ82bとの中間点は、例えば、車両のボデーに接地されている。第1バイパスコンデンサ82aと第2バイパスコンデンサ82bとは直列接続されている。
【0043】
平滑コンデンサ82cの一端は、第1接続ラインEL1に電気的に接続されている。平滑コンデンサ82cの他端は、第2接続ラインEL2に電気的に接続されている。第1バイパスコンデンサ82a及び第2バイパスコンデンサ82bと平滑コンデンサ82cとは並列接続されている。
【0044】
コモンモードチョークコイル83は、第1接続ラインEL1上に設けられる第1巻線831と、第2接続ラインEL2上に設けられる第2巻線832と、を有している。コモンモードチョークコイル83は、第1巻線831及び第2巻線832とは別に、仮想ノーマルモードコイルL1,L2を有している。すなわち、本実施形態のコモンモードチョークコイル83は、等価回路的には、第1巻線831、第2巻線832、及び仮想ノーマルモードコイルL1,L2を有している。第1巻線831は、仮想ノーマルモードコイルL1に直列接続されるとともに、第2巻線832は、仮想ノーマルモードコイルL2に直列接続されている。
【0045】
コモンモードチョークコイル83、第1バイパスコンデンサ82a、第2バイパスコンデンサ82b、及び平滑コンデンサ82cは、コモンモードノイズを低減する。コモンモードノイズとは、第1接続ラインEL1及び第2接続ラインEL2に同一方向の電流が流れるノイズである。コモンモードノイズは、電動圧縮機10と高電圧電源92とが、例えば、車両のボデーなど、第1接続ラインEL1及び第2接続ラインEL2以外の経路を介して電気的に接続された場合に生じ得る。
【0046】
スイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2は、図示しないインテリジェントパワーモジュールとしてモジュール化されている。コンデンサ82は、全体形状が四角ブロック状である。コンデンサ82からは、図示しないコンデンサリード線が突出している。コモンモードチョークコイル83からは、図示しない複数のコイルリード線が引き出されている。インテリジェントパワーモジュールからは、図示しない複数の素子リード線が突出している。
【0047】
図1に示すように、インバータ装置40は、回路基板41及びコネクタ45を備える。回路基板41及びコネクタ45は、インバータ収容室14aに収容されている。コネクタ45は本発明における内部コネクタに相当する。
【0048】
[回路基板の構造]
図2に示すように、回路基板41には、複数の挿通孔41aが形成されている。挿通孔41aの各々には、第1軸線方向X1からボルトBが挿通されている。回路基板41には、挿通孔41a以外に、不図示の複数の貫通孔が形成されている。
図2には、複数ある挿通孔41aとボルトBのうち、各々1つのみ図示してある。
【0049】
[コネクタの構造]
コネクタ45は、複数のコネクタ本体70と、複数のコネクタ本体70を保持するホルダ48と、を備える。コネクタ本体70は、複数の導電端子46と、複数の導電端子46と回路基板41とを電気的に接続する複数のバスバー47と、を備える。言い換えると、コネクタ45は、複数の導電端子46と、複数のバスバー47と、を備えるといえる。ホルダ48は、複数の導電端子46及び複数のバスバー47を保持するといえる。
【0050】
以下では、複数のコネクタ本体70のうち、一部のコネクタ本体70を第1コネクタ本体71ともいい、その他のコネクタ本体70を第2コネクタ本体72ともいう。本実施形態のコネクタ本体70は、3つの第1コネクタ本体71と、2つの第2コネクタ本体72とから構成されている。
【0051】
[コネクタ本体の構造]
図5及び
図6に示すように、導電端子46は、軸線方向Xに延びる四角筒状をなす。バスバー47は軸線方向Xに立設するように延びる平板状をなす。導電端子46とバスバー47との間は、連結部50によって連結されている。導電端子46、バスバー47、及び連結部50は金属製である。連結部50は、導電端子46と一体形成されていてもよい。連結部50は、溶接等の接合によってバスバー47と一体化されていてもよい。
【0052】
複数の導電端子46は、モータ側導電端子46aと、ハーネス側導電端子46bと、を有する。本実施形態の導電端子46は、3つのモータ側導電端子46aと2つのハーネス側導電端子46bとから構成されている。第1コネクタ本体71がモータ側導電端子46aを備える。第2コネクタ本体72がハーネス側導電端子46bを備える。
【0053】
図5に示すように、Y軸に平行な方向を第1方向Yという。Z軸に平行な方向を第2方向Zという。1つの第1コネクタ本体71を軸線方向Xから見たときに、バスバー47は第2方向Zとは反対方向に延びている。2つの第1コネクタ本体71を軸線方向Xから見たときに、バスバー47は連結部50から折れ曲がりつつ第2方向Zとは反対方向に延びるクランク形状である。具体的には、2つの第1コネクタ本体71におけるバスバー47は、第2方向Zとは反対方向に延びた後、第1方向Yとは反対方向に延びて、さらに第2方向Zとは反対方向に延びている。
【0054】
第1コネクタ本体71は第1コネクタリード部材71bを備える。第1コネクタリード部材71bは、第2方向Zとは反対方向におけるバスバー47の端部から第1軸線方向X1に向かって延びている。
【0055】
図6に示すように、2つの第2コネクタ本体72を軸線方向Xから見たときに、バスバー47は連結部50から折れ曲がりつつ第2方向Zに延びるクランク形状である。具体的には、2つの第2コネクタ本体72におけるバスバー47は、第2方向Zに延びた後、第1方向Yとは反対方向に延びて、さらに第2方向Zに延びている。
【0056】
第2コネクタ本体72は第2コネクタリード部材72bを備える。第2コネクタリード部材72bは、バスバー47の第2方向Zの端部から第1軸線方向X1に向かって延びている。
【0057】
[ホルダの構造]
図2に示すように、ホルダ48は樹脂製である。ホルダ48は、インバータ収容室14aに収容されている。ホルダ48は、ホルダボス部48aを有している。ホルダボス部48aの軸線方向は軸線方向Xと同じ方向である。ホルダボス部48aの内部には、回路基板41の挿通孔41aに挿通されたボルトBが挿通されている。ボルトBの先端は、第1ハウジング23におけるねじ穴23aに螺合されている。これにより、ホルダ48は、回路基板41と共にインバータハウジング14に取り付けられている。ホルダ48は、軸線方向Xにおいて、底壁13aと回路基板41との間に位置する。
【0058】
図5及び
図6に示すように、ホルダ48は、複数のコネクタ本体70を保持する保持部49を有する。本実施形態の保持部49は2つである。一方の保持部49を第1保持部51ともいい、他方の保持部49を第2保持部52ともいう。さらに、本実施形態のホルダ48は、コンデンサ82を保持する図示しないコンデンサ保持部と、コモンモードチョークコイル83を保持する図示しないコイル保持部と、インテリジェントパワーモジュールを保持する図示しない素子保持部と、を有する。言い換えると、ホルダ48は、フィルタ部品81を保持するといえる。ホルダ48は、スイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2を保持するといえる。各保持部は、ホルダ48において保持対象の外形に合わせて凹設されている。
【0059】
[保持部の構造]
第1保持部51には複数の第1ピン挿通孔51aが形成されている。本実施形態の第1ピン挿通孔51aは3つである。第2保持部52には複数の第2ピン挿通孔52aが形成されている。本実施形態の第2ピン挿通孔52aは2つである。第1ピン挿通孔51a及び第2ピン挿通孔52aの各々は、第2軸線方向X2におけるホルダ48の端面に開口している。
【0060】
第1保持部51及び第2保持部52の各々の内部には、複数の端子収容部53及び複数のバスバー収容部54が形成されている。端子収容部53及びバスバー収容部54は、第1保持部51及び第2保持部52の内部に形成される空間である。端子収容部53及びバスバー収容部54は互いに連通している。第1保持部51及び第2保持部52の各々において、複数の端子収容部53は、第1方向Yに互いに間隔を置いて位置している。第1保持部51及び第2保持部52の各々において、複数のバスバー収容部54は、第1方向Yに互いに間隔を置いて位置している。
【0061】
図5に示すように、第1保持部51において、端子収容部53は第1ピン挿通孔51aと連通している。第1保持部51は、端子収容部53及びバスバー収容部54を、第1ピン挿通孔51aに対応する数ずつ有する。本実施形態の第1保持部51は、端子収容部53及びバスバー収容部54を3つずつ有する。軸線方向Xに直交する第1保持部51の断面視において、1つのバスバー収容部54は、第2方向Zとは反対方向に延びている。軸線方向Xに直交する第1保持部51の断面視において、2つのバスバー収容部54は、端子収容部53から折れ曲がりつつ第2方向Zとは反対方向に延びるクランク形状である。バスバー収容部54の各々の第2方向Zとは反対方向における端部には第1リード部材挿入孔51bが形成されている。第1リード部材挿入孔51bは、第1軸線方向X1におけるホルダ48の端面に開口している。
【0062】
第1保持部51は第1コネクタ本体71を保持している。第1保持部51における端子収容部53には、モータ側導電端子46aが収容されている。第1保持部51におけるバスバー収容部54には、第1コネクタ本体71のバスバー47が収容されている。第1コネクタ本体71の連結部50は、第1保持部51における端子収容部53及びバスバー収容部54に跨って収容されている。
【0063】
第1リード部材挿入孔51bには、第1コネクタリード部材71bが挿通されている。挿通された第1コネクタリード部材71bの先端は、第1軸線方向X1における第1リード部材挿入孔51bの開口から第1保持部51の外部に突出している。第1コネクタリード部材71bの先端は、回路基板41における不図示の貫通孔に挿通されている。第1コネクタリード部材71bは、半田付け等によって回路基板41に電気的に接続されている。これにより、第1コネクタ本体71は回路基板41に電気的に接続されている。
【0064】
図2及び
図5に示すように、モータ側導電ピン36の第1端36bは、第2軸線方向X2から第1ピン挿通孔51aを介してモータ側導電端子46aに挿入される。モータ側導電ピン36の外周面はモータ側導電端子46aと接触する。すなわち、モータ側導電端子46aには、モータ側導電ピン36の第1端36bが挿入されて電気的に接続される。これにより、モータ側導電ピン36及び第1コネクタ本体71を介して、電動モータ17と回路基板41とが電気的に接続される。モータ側導電端子46aは、モータ側導電ピン36の第1端36bが挿入されることにより電動モータ17と回路基板41とを電気的に接続している。
【0065】
図6に示すように、第2保持部52において、端子収容部53は第2ピン挿通孔52aと連通している。第2保持部52は、端子収容部53及びバスバー収容部54を、第2ピン挿通孔52aに対応する数ずつ有する。本実施形態の第2保持部52は、端子収容部53及びバスバー収容部54を2つずつ有する。軸線方向Xに直交する第2保持部52の断面視において、2つのバスバー収容部54は、端子収容部53から折れ曲がりつつ第2方向Zに延びるクランク形状である。バスバー収容部54の各々の第2方向Zにおける端部には第2リード部材挿入孔52bが形成されている。第2リード部材挿入孔52bは、第1軸線方向X1におけるホルダ48の端面に開口している。
【0066】
第2保持部52は第2コネクタ本体72を保持している。第2保持部52における端子収容部53には、ハーネス側導電端子46bが収容されている。第2保持部52におけるバスバー収容部54には、第2コネクタ本体72のバスバー47が収容されている。第2コネクタ本体72の連結部50は、第2保持部52における端子収容部53及びバスバー収容部54に跨って収容されている。
【0067】
第2リード部材挿入孔52bには、第2コネクタリード部材72bが挿通されている。挿通された第2コネクタリード部材72bの先端は、第1軸線方向X1における第2リード部材挿入孔52bの開口から第2保持部52の外部に突出している。第2コネクタリード部材72bの先端は、回路基板41における不図示の貫通孔に挿通されている。第2コネクタリード部材72bは、半田付け等によって回路基板41に電気的に接続されている。これにより、第2コネクタ本体72は回路基板41に電気的に接続されている。
【0068】
[回路基板への各種部材の実装]
図2に示すように、コンデンサリード線、コイルリード線、及び素子リード線の各々は、半田付け等によって回路基板41に電気的に接続されている。これにより、コンデンサ82は、コンデンサリード線を介して回路基板41に実装されている。コモンモードチョークコイル83は、コイルリード線を介して回路基板41に実装されている。インテリジェントパワーモジュールは、素子リード線を介して回路基板41に実装されている。
【0069】
[ハーネスの構造]
図3に示すように、電動圧縮機10は、インバータ装置40を外部電源としての高電圧電源と電気的に接続するためのハーネス85を備える。ハーネス85は、ハウジング11に接続される外部コネクタ85aを有する。外部コネクタ85aは、ハーネスハウジング86とハーネス側導電ピン87とを備える。ハーネス側導電ピン87は円柱状である。ハーネス側導電ピン87の軸方向は軸線方向Xと同じ方向である。本実施形態の外部コネクタ85aは2つのハーネス側導電ピン87を有する。
【0070】
ハーネスハウジング86は、第2軸線方向X2から第1ハウジング23のハーネス取付孔27cに挿入されている。ハーネスハウジング86は、ボルト締結等によって第1ハウジング23に取り付けられる。言い換えると、ハーネスハウジング86がハウジング11に取り付けられるといえる。ハーネスハウジング86は本発明における筐体に相当し、ハーネスハウジング86とハーネス側導電ピン87は、本発明における外部コネクタ85aの一部をなす。
【0071】
図7及び
図8に示すように、ハーネス85は、外部コネクタ85aと高電圧電源を電気的に接続する電線88を有する。本実施形態のハーネス85は2本の電線88を有する。電線88は、導体からなる芯線88bと、芯線88bの外周を被覆する絶縁被覆88cと、から構成されている。電線88の一端は高電圧電源に電気的に接続されている。電線88の他端は、絶縁被覆88cが除去されることによって芯線88bが露出した露出端88aとなっている。
【0072】
ハーネス側導電ピン87の一端を突出端87aという。ハーネス側導電ピン87の他端を接続端87bという。ハーネス85は、収容部89と、電線88の周りを覆う第1弾性部材93と、電線88を支持する支持部材95と、金属板94と、を有する。収容部89は樹脂製である。収容部89の内部には空間が区画形成されている。この収容部89の空間に、電線88の露出端88aと、ハーネス側導電ピン87の接続端87bとが収容されている。接続端87bは、電線88の露出端88aに超音波溶接等の溶接によって電気的に接続されている。
【0073】
第1弾性部材93としては例えばグロメットが挙げられる。金属板94としては例えばアルミ製の板材が挙げられる。金属板94は、軸線方向Xにおいて支持部材95と第1弾性部材93との間に位置する。支持部材95は樹脂製である。支持部材95とハーネスハウジング86との間には環状の第2弾性部材96が介在している。
【0074】
図6及び
図9に示すように、ハーネス側導電ピン87の突出端87aは、ハーネスハウジング86からインバータ収容室14aの内部に突出する。ハーネス側導電ピン87の突出端87aは、第2軸線方向X2から第2ピン挿通孔52aを介してハーネス側導電端子46bに挿入される。ハーネス側導電ピン87の外周面はハーネス側導電端子46bと接触する。すなわち、ハーネス側導電端子46bには、ハーネス側導電ピン87の突出端87aが挿入されて電気的に接続される。これにより、ハーネス側導電ピン87及び第2コネクタ本体72を介して、高電圧電源と回路基板41とが電気的に接続される。ハーネス側導電端子46bは、ハーネス側導電ピン87の突出端87aが挿入されることにより、外部電源としての高電圧電源と回路基板41とを電気的に接続する。
【0075】
[作用]
本実施形態における作用について説明する。
図9に示すように、モータ側導電ピン36の外周面に対するモータ側導電端子46aの接触面積を確保するため、モータ側導電端子46aは、モータ側導電ピン36の軸方向に延びる立体形状となっている。ハーネス側導電ピン87の外周面に対するハーネス側導電端子46bの接触面積を確保するため、ハーネス側導電端子46bは、ハーネス側導電ピン87の軸方向に延びる立体形状となっている。
【0076】
ホルダ48は、モータ側導電端子46a及びハーネス側導電端子46bの両方を保持している。そのため、ホルダ48は、モータ側導電端子46aを収容する端子収容部53に、モータ側導電ピン36の軸方向での内部寸法を確保する必要がある。ホルダ48は、ハーネス側導電端子46bを収容する端子収容部53に、ハーネス側導電ピン87の軸方向での内部寸法を確保する必要がある。
【0077】
本実施形態では、モータ側導電ピン36及びハーネス側導電ピン87は軸線方向Xに延びている。そのため、モータ側導電ピン36の軸方向とハーネス側導電ピン87の軸方向とは同じ方向である。モータ側導電端子46aを収容する端子収容部53と、ハーネス側導電端子46bを収容する端子収容部53とで、同じ方向における内部寸法を確保すればよくなる。ホルダ48は、モータ側導電端子46a及びハーネス側導電端子46bを軸線方向Xに立設する姿勢で保持できる。
【0078】
[効果]
上記実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)モータ側導電ピン36が挿入されるモータ側導電端子46aと、ハーネス側導電ピン87が挿入されるハーネス側導電端子46bと、を共通のホルダ48によって保持できる。したがって、モータ側導電端子46a及びハーネス側導電端子46bが互いに異なるホルダ48によって保持される場合と比較して、ハウジング11内の構造を簡略化できる。
【0079】
(2)モータ側導電ピン36の軸方向とハーネス側導電ピン87の軸方向とは同じ方向である。そのため、モータ側導電端子46a及びハーネス側導電端子46bは互いに同じ姿勢でホルダ48に保持される。したがって、モータ側導電端子46a及びハーネス側導電端子46bが互いに異なる姿勢でホルダ48に保持される場合と比較して、ホルダ48の大型化を抑制できる。
【0080】
(3)モータ側導電端子46a及びハーネス側導電端子46bの保持と、フィルタ部品81の保持と、を共通のホルダ48によって行うことができる。したがって、モータ側導電端子46a及びハーネス側導電端子46bの保持と、フィルタ部品81の保持と、を互いに異なるホルダ48によって行う場合と比較して、ハウジング11内の構造を簡略化できる。
【0081】
(4)モータ側導電端子46a及びハーネス側導電端子46bの保持と、スイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2の保持と、を共通のホルダ48によって行うことができる。したがって、モータ側導電端子46a及びハーネス側導電端子46bの保持と、スイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2の保持と、を互いに異なるホルダ48によって行う場合と比較して、ハウジング11内の構造を簡略化できる。
【0082】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0083】
○ ホルダ48は、コンデンサ82及びコモンモードチョークコイル83のうち、一方のみを保持してもよいし、両方を保持しなくてもよい。
○ ホルダ48は、インテリジェントパワーモジュールを保持しなくてもよい。
【0084】
○ モータ側導電ピン36の軸方向とハーネス側導電ピン87の軸方向とは異なる方向であってもよい。この場合、モータ側導電端子46a及びハーネス側導電端子46bは、互いに異なる方向に延びる立体形状となる。モータ側導電端子46a及びハーネス側導電端子46bは、互いに異なる方向に立設するようにホルダ48によって保持される。
【0085】
○ モータ側導電ピン36及びハーネス側導電ピン87の少なくとも一方は、例えば四角柱等、円柱以外の形状の柱状であってもよい。
○ コネクタ本体70におけるバスバー47のうち、一部又は全てが同じクランク形状を有していてもよい。コネクタ本体70におけるバスバー47の全てが、屈曲しない形状であってもよい。この場合、バスバー47の形状に応じて、バスバー収容部54の形状が適宜変更される。
【0086】
○ インバータハウジング14は、内部にインバータ収容室14aが位置する一部材から構成されてもよい。
○ モータ収容室18とインバータ収容室14aとを区画する区画壁は、モータハウジング13とは別部材であってもよい。この場合の区画壁は、モータハウジング13及びインバータハウジング14の少なくとも一方に取り付けられることにより、モータ収容室18とインバータ収容室14aとを区画する。この場合の区画壁には、モータ側導電ピン36が挿通する貫通孔13dが形成される。モータハウジング13の底壁13aに加えて、モータハウジング13と別体の区画壁を電動圧縮機10に設けてもよい。
【0087】
○ 電動圧縮機10は、例えば、インバータ装置40が、第1方向Yにおけるモータハウジング13の外部に位置してもよいし、第2方向Zにおけるモータハウジング13の外部に位置してもよい。要するに、圧縮部16、電動モータ17、及びインバータ装置40が、この順で、回転軸15の軸線方向に並設されていなくてもよい。
【0088】
○ 電動圧縮機10は、車両空調装置に用いられる場合に限らない。例えば、電動圧縮機10は、燃料電池車に搭載され、且つ燃料電池に供給される流体としての空気を圧縮部16により圧縮するものであってもよい。
【符号の説明】
【0089】
Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2…スイッチング素子、10…電動圧縮機、11…ハウジング、13a…底壁、14a…インバータ収容室、16…圧縮部、17…電動モータ、18…モータ収容室、36…モータ側導電ピン、36a…第2端、36b…第1端、40…インバータ装置、41…回路基板、45…コネクタ、46…導電端子、46a…モータ側導電端子、46b…ハーネス側導電端子、47…バスバー、48…ホルダ、81…フィルタ部品、85…ハーネス、85a…外部コネクタ、86…ハーネスハウジング、87…ハーネス側導電ピン、87a…突出端、87b…接続端、88…電線、92…高電圧電源。