(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】テーブル装置
(51)【国際特許分類】
F16H 25/22 20060101AFI20240814BHJP
F16H 25/24 20060101ALI20240814BHJP
B23Q 5/40 20060101ALN20240814BHJP
【FI】
F16H25/22 Z
F16H25/24 G
B23Q5/40 Z
(21)【出願番号】P 2021062145
(22)【出願日】2021-03-31
【審査請求日】2023-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和田 賢一郎
【審査官】増岡 亘
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-106671(JP,A)
【文献】特開2009-127751(JP,A)
【文献】特開2016-196364(JP,A)
【文献】特開昭61-25742(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 25/22
F16H 25/24
B23Q 5/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びる雄ねじ部材と、前記雄ねじ部材に噛み合い前記雄ねじ部材の回転によって前記軸方向に移動可能な雌ねじ部材と、を含むボールねじと、
前記雌ねじ部材を移動可能に支持するスライド装置と、
前記スライド装置が設けられる固定部材と、を備え、
前記固定部材は、前記雄ねじ部材の軸心を含む断面において、
第1方向に延びる第1壁部と、
当該第1壁部における前記第1方向の一方側の端部から、前記第1方向に交差する第2方向
の一方側に延びる第2壁部と、を有
し、前記第1壁部と前記第2壁部とで断面L字状に形成され、
前記第1壁部は、第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面と、を有し、
前記第2壁部は、第3面と、前記第3面の反対側に位置する第4面と、を有し、
前記雄ねじ部材の軸心を含む断面において、前記第1面と前記第3面は、前記第1壁部と前記第2壁部とが交差する交差部を始点として前記第1方向及び前記第2方向に交差する第3方向に延びる半直線を挟んで対向して配置され、
前記第1面側には、前記雄ねじ部材を回転可能に支持する支持部材が設けられ、
前記第4面側には、前記スライド装置が設けられ、
前記スライド装置は、前記軸方向に延び且つ前記雌ねじ部材が固定される板状部材と、前記軸方向に延び且つ前記第4面に固定されるリニアガイドと、前記板状部材に固定され前記リニアガイドにスライド可能に支持されるスライダと、を有し、
前記リニアガイドは、前記第4面における前記第2方向の一方側の端部に固定される第1リニアガイドと、前記第4面における前記第2方向の他方側の端部に固定される第2リニアガイドと、を有し、
前記スライダは、前記第1リニアガイドにスライド可能に支持される第1スライダと、前記第2リニアガイドにスライド可能に支持される第2スライダと、を有し、
前記第1方向から見て、前記第1リニアガイドは前記雄ねじ部材と重なり、前記第2リニアガイドは前記第1壁部と重なる、
テーブル装置。
【請求項2】
更に、床面に固定される設置部材を備え、前記固定部材は、上下方向に沿う前記軸方向に延び、
前記設置部材には、前記固定部材の下端が固定され、
前記雄ねじ部材の軸心を含む断面において、
前記第1壁部における前記第1方向の他方側の端は、前記雌ねじ部材における前記第1方向の他方側の端に対して、前記第1方向の他方側に位置し、
前記第1壁部の前記第1方向に沿う第1長さは、前記第2壁部の前記第2方向に沿う第2長さよりも長い、
請求項1に記載のテーブル装置。
【請求項3】
更に、前記雄ねじ部材を回転駆動する駆動源を備
え、
前記板状部材における前記雌ねじ部材との固定位置は、前記板状部材の前記軸方向の中央よりも前記駆動源から離れた位置である、
請求項2に記載のテーブル装置。
【請求項4】
前記駆動源は、前記固定部材に固定され、
前記駆動源の前記軸方向の端部と、前記固定部材の前記軸方向の端部と、前記リニアガイドの前記軸方向の端部とは、前記第1方向に並んで位置している、
請求項3に記載のテーブル装置。
【請求項5】
前記雄ねじ部材の前記軸心を含む断面において、
前記第1面と、
前記第3面と、
前記第1壁部における前記第2壁部との交差部から最も離隔された第1端を通り、前記第3面に沿って延びる第1直線と、
前記第2壁部における前記交差部から最も離隔された第2端を通り、前記第1面に沿って延びる第2直線と、
によって囲まれる領域に、前記雄ねじ部材の前記軸心が配置される、
請求項2から4のいずれか1項に記載のテーブル装置。
【請求項6】
前記軸方向から見て、
前記設置部材の外周縁で囲まれた領域に、前記ボールねじと前記スライド装置と前記固定部材とが配置される、
請求項
2から5のいずれか1項に記載のテーブル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、テーブル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
測定装置及び工作機械等において、ボールねじとスライドテーブルとを備えたテーブル装置(スライド装置)が知られている。特許文献1においては、ボールねじのねじ軸に直交する断面において、略U字状の軌道レールと、軌道レール内にスライド可能に支持されたスライダと、を備えたテーブル装置(スライド装置)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の軌道レールは、断面形状が略U字状であるため、テーブル装置(スライド装置)の全体が大型化する可能性がある。
【0005】
本開示は、装置全体の大きさが、より小型化されたテーブル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本開示の一態様に係るテーブル装置は、軸方向に延びる雄ねじ部材と、前記雄ねじ部材に噛み合い前記雄ねじ部材の回転によって前記軸方向に移動可能な雌ねじ部材と、を含むボールねじと、前記雌ねじ部材を移動可能に支持するスライド装置と、前記スライド装置が固定される固定部材と、を備え、前記固定部材は、前記雄ねじ部材の軸心を含む断面において、第1方向に延びる第1壁部と、前記第1方向に交差する第2方向に延びる第2壁部と、を有する。
【0007】
このように、固定部材は、第1方向に延びる第1壁部と、第2方向に延びる第2壁部と、を有する。ここで、特許文献1のスライド装置は、ボールねじのねじ軸に直交する断面において、略U字状の軌道レールを有するため、装置全体として大型化する可能性があった。しかし、本態様の固定部材は、第1壁部及び第2壁部を有する形状のため、特許文献1のスライド装置よりも装置全体として小さくなるメリットを有する。
【0008】
テーブル装置の望ましい態様として、前記第1壁部は、第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面と、を有し、前記第2壁部は、第3面と、前記第3面の反対側に位置する第4面と、を有し、前記雄ねじ部材の軸心を含む断面において、前記第1面と前記第3面は、前記第1壁部と前記第2壁部とが交差する交差部を始点として前記第1方向及び前記第2方向に交差する第3方向に延びる半直線を挟んで対向して配置され、前記第1面側には、前記雄ねじ部材を回転可能に支持する支持部材が設けられ、前記第4面側には、前記スライド装置が設けられる。
【0009】
このように、第1壁部の第1面に雄ねじ部材の支持部材を固定し、第2壁部の第4面にスライド装置を設けた。従って、テーブル装置の構成部品を、第1壁部と第2壁部とに分散させて固定することにより、装置全体として小型化される。
【0010】
テーブル装置の望ましい態様として、更に、前記雄ねじ部材を回転駆動する駆動源を備え、前記スライド装置は、前記軸方向に延びると共に前記雌ねじ部材が固定された板状部材と、前記軸方向に延びると共に前記第2壁部に固定されたリニアガイドと、前記板状部材に固定され前記リニアガイドにスライド可能に支持されたスライダと、を有し、前記板状部材における前記雌ねじ部材との固定位置は、前記板状部材の前記軸方向の中央よりも前記駆動源から離れた位置である。
【0011】
これにより、雌ねじ部材が駆動源側に移動する際、駆動源と雌ねじ部材とが干渉することが抑制されるため、板状部材の駆動源側の端部の位置は、特許文献1よりも本態様の方が、より駆動源側に配置される。従って、本態様の方が、板状部材の軸方向に沿ったスライド範囲がより大きくなる。
【0012】
テーブル装置の望ましい態様として、前記駆動源は、前記固定部材に固定され、前記駆動源の前記軸方向の端部と、前記固定部材の前記軸方向の端部と、前記リニアガイドの前記軸方向の端部とは、前記第1方向に並んで位置している。
【0013】
このように、駆動源が固定部材に固定されているため、駆動源が作動する際の振動及び作動音等が抑制される。また、駆動源、固定部材及びリニアガイドの軸方向の端部が第1方向に並んで位置しているため、スライド装置の軸方向に沿った移動距離が特許文献1よりも長くなる。
【0014】
テーブル装置の望ましい態様として、前記雄ねじ部材の前記軸心を含む断面において、前記第1面と、前記第3面と、前記第1壁部における前記第2壁部との交差部から最も離隔された第1端を通り、前記第3面に沿って延びる第1直線と、前記第2壁部における前記交差部から最も離隔された第2端を通り、前記第1面に沿って延びる第2直線と、によって囲まれる領域に、前記雄ねじ部材の前記軸心が配置される。これにより、雄ねじ部材及び雌ねじ部材が固定部材に近接して配置されるため、テーブル装置が全体として、より小型化される。
【0015】
テーブル装置の望ましい態様として、更に、前記軸方向に交差して延びると共に前記固定部材を設置する設置部材を備え、前記軸方向から見て、設置部材の外周縁で囲まれた領域に、前記ボールねじと前記スライド装置と前記固定部材とが配置される。これにより、軸方向から見たテーブル装置全体の大きさが、より小型化する。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、装置全体の大きさが、より小型化されたテーブル装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、実施形態に係るテーブル装置の一例を示す正面図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るテーブル装置の一例を示す側面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るテーブル装置の一例を示す側面図である。
【
図5】
図5は、ボールナットとねじ軸の一部とを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する各実施形態の要件は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。本実施形態において、XY平面は、水平面と平行である。Z方向は、鉛直方向である。ただし、X方向、Y方向及びZ方向は、あくまでも一例であって、本発明はこれらの方向に限定されない。
【0019】
図1は、実施形態に係るテーブル装置の一例を示す正面図である。
図2は、実施形態に係るテーブル装置の一例を示す側面図である。
図3は、実施形態に係るテーブル装置の一例を示す側面図である。
図4は、
図1のIV-IV線による断面図である。
図5は、ボールナットとねじ軸の一部とを示す斜視図である。
【0020】
図1、
図2、
図3及び
図4に示すように、テーブル装置1は、ボールねじ60と、スライド装置30と、固定部材2と、モータM(駆動源)と、設置部材80と、を備える。
【0021】
ボールねじ60は、ねじ軸7(雄ねじ部材)と、ナットブラケット6(雌ねじ部材)と、を含む。
【0022】
図1及び
図3に示すように、ねじ軸7(雄ねじ部材)は、モータMから-Z方向(軸方向)に向けて延びる。ねじ軸7の外周面には、雄ねじが設けられている。ねじ軸7の軸方向における一端(+Z方向の端部)は、第1支持部材81(支持部材)を介して固定部材2に固定されている。ねじ軸7の軸方向における他端(-Z方向の端部)は、第2支持部材82(支持部材)を介して固定部材2の取付部(図示せず)に固定されている。第1支持部材81及び第2支持部材82は、ねじ軸7を回転可能な状態で固定部材2に支持する。
【0023】
ナットブラケット6(雌ねじ部材)は、ボールナット67と、ブラケット本体66と、を有する。ボールナット67は、
図5に示すように、円筒部61と、フランジ部62と、を有する。円筒部61の内周には、ねじ軸7の雄ねじに噛み合う雌ねじが設けられている。フランジ部62は、円筒部61の軸方向端部からねじ軸7の径方向に広がる。フランジ部62は、軸心AXを中心とする円弧状の外周縁を有する円弧部621と、円弧部621の外周端部を切除した外周縁を有する面取部622と、を有する。円弧部621は、軸心AXを挟んで一対に設けられる。面取部622は、軸心AXを挟んで一対に設けられる。周方向に沿って円弧部621と面取部622とが交互に配置される。フランジ部62には、板厚方向(軸方向)に貫通する貫通孔623が周方向に沿って複数設けられている。
【0024】
図4に示すように、ブラケット本体66は、+Z方向(軸方向)から見て、+X方向に突出する第1突出部64と、-Y方向に突出する第2突出部65と、を有する。即ち、軸方向から見て、ブラケット本体66は、第1突出部64と、第2突出部65と、からL字状の形状を有する。上述したボールナット67のフランジ部62に設けた貫通孔623には、ボルトが挿入され、当該ボルトを介してフランジ部62がブラケット本体66に締結される。円筒部61は、ねじ軸7の雄ねじに噛み合う雌ねじを有するため、ボールナット67は、ねじ軸7の回転によって軸方向に移動可能である。
【0025】
スライド装置30は、板状部材4と、リニアガイド3と、スライダ5と、を有する。
【0026】
板状部材4は、YZ平面に沿って延びる。より詳細には、
図2に示すように、板状部材4は、+Z方向に沿って延びる矩形状の板材である。
図4に示すように、第1突出部64の先端には、板状部材4における+Y方向の端部が固定されている。軸心AXに直交する断面において、板状部材4は、-X方向側の内側面41と、+X方向側の外側面42と、を有する。内側面41には、第1スライダ51及び第2スライダ52が固定されている。外側面42には、例えば、加工対象物等が搭載される。
【0027】
図1、
図3及び
図4に示すように、板状部材4における+Z方向の端部には、第1スライダ51と第2スライダ52とが固定されている。板状部材4における-Z方向の端部には、第3スライダ53と第4スライダとが固定されている。リニアガイド3は、
図2に示すように、+Z方向に延びる第1リニアガイド31及び第2リニアガイド32を有する。第1リニアガイド31と第2リニアガイド32とは、離隔して配置され、互いに平行に延びている。第1リニアガイド31は、+Z方向の一端部311から-Z方向の端部312まで延びる。第2リニアガイド32は、+Z方向の一端部321から-Z方向の端部323まで延びる。第1リニアガイド31は、第2リニアガイド32よりも+Y方向側に位置する。
【0028】
図4に示すように、スライダ5は、軸心AXに直交する断面において、略U字状の形状を有する。換言すれば、スライダ5は-X方向に向けて開口する略U字状の形状を有する。第1リニアガイド31と第2リニアガイド32とは、軸心AXに直交する断面において、それぞれ矩形状の形状を有する。第1スライダ51の開口に、第1リニアガイド31が挿入されている。これにより、第1スライダ51は、第1リニアガイド31にスライド可能に支持される。第2スライダ52の開口に、第2リニアガイド32が挿入されている。これにより、第2スライダ52は、第2リニアガイド32にスライド可能に支持される。
【0029】
図1、
図2及び
図3に示すように、固定部材2は、+Z方向の端部である第1端部23から-Z方向の端部である第2端部24まで軸方向に沿って延びる。固定部材2は、
図4に示すように、軸心AXに直交する断面において、+X方向(第1方向)に延びる第1壁部21と、+Y方向(第1方向に交差する第2方向)に延びる第2壁部22と、を有する。なお、固定部材2には、ナットブラケット6の移動を制止するストッパ85,86が設けられる。
【0030】
詳細には、
図4に示すように、第1壁部21と第2壁部22との交差部200が設けられている。第1壁部21は、-X方向側の端である第1端213から、+X方向に向けて交差部200まで延びる。第2壁部22は、-Y方向側の端である交差部200から、+Y方向の端である第2端223まで延びる。軸心AXに直交する断面において、第1壁部21と第2壁部22とでL字状の形状を有する。第1壁部21における+Y方向側の面は、第1面211であり、第1壁部21における-Y方向側の面は、第2面212である。第2面212は、第1面211の反対側に位置する。
【0031】
第1端213は、第1壁部21において、交差部200から最も離隔された部位である。第2壁部22における-X方向側の面は、第3面222であり、第2壁部22における+Y方向側の面は、第4面221である。第4面221は、第3面222の反対側に位置する。第2端223は、第2壁部22において、交差部200から最も離隔された部位である。図示しないが、第1面211には、第1支持部材81及び第2支持部材82が固定される取付部が設けられる。第4面221に、第1リニアガイド31及び第2リニアガイド32が固定される。
【0032】
図4に示すように、半直線L0は、交差部を始点として第1方向及び第2方向に交差する第3方向に延びる。半直線L0と第1面211との交差角は、おおよそ45°である。半直線L0と第3面222との交差角は、おおよそ45°である。ただし、半直線L0と第1面211との交差角及び半直線L0と第3面222との交差角は、45°に限定されない。第1面211と第3面222は、半直線L0を挟んで対向して配置される。
【0033】
図1、
図2及び
図3に示すように、モータM(駆動源)は、固定部材2における第1端部23の近傍にバンド87を介して固定されている。モータMの駆動軸は、カップリング83を介してねじ軸7に連結されている。従って、モータMの駆動軸の回転に連動してねじ軸7が軸心AXを中心に回転する。
図4に示すように、二点鎖線で示す第1直線L1は、第1端213を通り第3面222に沿って延びる。二点鎖線で示す第2直線L2は、第2端223を通り第1面211に沿って延びる。第1直線L1と、第2直線L2と、第3面222と、第1面211と、で囲まれる矩形状の領域の内部に、ねじ軸7の軸心AXが位置している。
【0034】
図2に示すように、第1リニアガイド31の一端部311(軸方向の端部)と、第2リニアガイド32の一端部321(軸方向の端部)と、モータMの+Z方向の端部Ma(軸方向の端部)と、固定部材2の第1端部23とは、+X方向及び+Y方向に並んで位置している。
【0035】
図1、
図2及び
図3に示すように、設置部材80は、固定部材2の第2端部24に固定され、XY平面に沿って広がる。設置部材80は、床面90の上に固定される。
図4に示すように、設置部材80は、矩形状の形状を有する板状の部材である。軸方向から見て、設置部材80の外周縁80aで囲まれた矩形状の領域88に、ボールねじ60とスライド装置30と固定部材2とが配置される。
【0036】
次に、スライド装置30が移動する手順を簡単に説明する。
まず、モータMが駆動するとモータMの駆動軸の回転に連動してねじ軸7が軸心AXを中心に回転する。ねじ軸7の回転により、ボールナット67を有するナットブラケット6(雌ねじ部材)が軸方向に移動する。ナットブラケット6のブラケット本体66が板状部材4に固定されているため、板状部材4及びスライダ5が+Z方向及び-Z方向(軸方向)に移動する。板状部材4には、加工対象物等が搭載されるため、板状部材4と一体に移動する加工対象物等を加工することができる。ここで、
図1の二点鎖線に示すように、板状部材4及びスライダ5は、最も+Z方向側の第1位置P1と、最も-Z方向側の第2位置P2との間の範囲で+Z方向に移動可能である。
【0037】
なお、
図1に示すように、板状部材4の軸方向の中央の位置を第3位置P3とし、ナットブラケット6の軸方向の中央の位置を第4位置P4とする。第4位置P4は、第3位置P3よりも-Z方向側(即ち、モータMから離れる側)に配置されている。
【0038】
以上説明したように、本実施形態に係るテーブル装置1は、ボールねじ60と、スライド装置30と、スライド装置30が固定される固定部材2と、を備える。固定部材2は、ねじ軸7(雄ねじ部材)の軸心AXを含む断面において、第1方向(+X方向)に延びる第1壁部21と、第1方向に交差する第2方向(+Y方向)に延びる第2壁部22と、を有する。なお、本実施形態では、第1方向と第2方向とが直交しているが、交差していればよい。
【0039】
このように、固定部材2は、第1方向(+X方向)に延びる第1壁部21と、第2方向(+Y方向)に延びる第2壁部22と、を有する。ここで、特許文献1のスライド装置は、ボールねじのねじ軸に直交する断面において、略U字状の軌道レールを有するため、装置全体として大型化する可能性があった。しかし、本実施形態の固定部材2は、第1壁部21及び第2壁部22を有するL字形状のため、特許文献1のスライド装置よりも装置全体として小さくなると共に重量が軽減される。また、
図4に示すように、ナットブラケット6の-X方向側が開放されるため、ナットブラケット6をメンテナンスする作業性が向上する。
【0040】
第1壁部21の第1面211は、ねじ軸7(雄ねじ部材)を回転可能に支持する第1支持部材81及び第2支持部材82(支持部材)が固定される取付部を有し、第2壁部22の第4面221には、スライド装置30が設けられる。
【0041】
このように、第1壁部21の第1面211にねじ軸7の支持部材を固定し、第2壁部22の第4面221にスライド装置30を設けた。従って、テーブル装置1の構成部品を、第1壁部21と第2壁部22とに分散させて固定することにより、装置全体として小型化される。
【0042】
スライド装置30は、ナットブラケット6(雌ねじ部材)が固定された板状部材4と、第4面221に固定されたリニアガイド3と、リニアガイド3にスライド可能に支持されたスライダ5と、を有する。板状部材4におけるナットブラケット6との固定位置(第4位置P4)は、板状部材4の軸方向の中央(第3位置P3)よりもモータMから離れた位置である。
【0043】
これにより、ナットブラケット6がモータMに近づく方向に移動する際、モータMとナットブラケット6とが干渉することが抑制されるため、板状部材4が移動する際における板状部材4のモータM側の端部の位置は、特許文献1よりも本実施形態の方が、よりモータM側に配置される。従って、本実施形態の方が、板状部材4の軸方向に沿ったスライド範囲がより大きくなる。
【0044】
モータMは固定部材2に固定され、モータMの軸方向の端部Maと、固定部材2の第1端部23(軸方向の端部)と、第1リニアガイド31の一端部311及び第2リニアガイド32の一端部321(リニアガイド3の軸方向の端部)とは、第1方向に並んで位置している。
【0045】
このように、モータMが固定部材2に固定されているため、モータMが駆動する際の振動及び作動音等が抑制される。また、モータM、固定部材2及びリニアガイド3の軸方向の端部が第1方向に並んで位置しているため、スライド装置30の軸方向に沿った移動範囲が特許文献1よりも長くなる。
【0046】
ねじ軸7(雄ねじ部材)の軸心AXを含む断面において、第1面211と、第3面222と、第1端213を通り、第3面222に沿って延びる第1直線L1と、第2端223を通り、第1面211に沿って延びる第2直線L2と、によって囲まれる領域に、ねじ軸7の軸心AXが配置される。これにより、ねじ軸7及びナットブラケット6が固定部材2に近接して配置されるため、テーブル装置1が全体として、より小型化される。なお、固定部材2の第1壁部21及び第2壁部22によって、ねじ軸7の外周面に塗布された潤滑用のグリースの飛散が抑制される。
【0047】
更に、固定部材2を設置する設置部材80を備え、軸方向から見て、設置部材80の外周縁80aで囲まれた領域88に、ボールねじ60とスライド装置30と固定部材2とが配置される。これにより、軸方向から見たテーブル装置1の全体の大きさが、より小型化する。
【0048】
以上、実施形態を説明したが、前述した内容により実施形態が限定されるものではない。例えば、実施形態のテーブル装置1は、+Z方向に延びる姿勢で設置したが、床面90の上に+X方向又は+Y方向に延びる姿勢で設置してもよい。また、構造物の壁面に掛けるように配置してもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 テーブル装置
2 固定部材
3 リニアガイド
4 板状部材
5 スライダ
6 ナットブラケット(雌ねじ部材)
7 ねじ軸(雄ねじ部材)
21 第1壁部
22 第2壁部
30 スライド装置
60 ボールねじ
80 設置部材
81 第1支持部材(支持部材)
82 第2支持部材(支持部材)
88 領域
211 第1面
212 第2面
222 第3面
221 第4面
213 第1端
223 第2端
AX 軸心
L1 第1直線
L2 第2直線
M モータ(駆動源)