(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】クリーニング装置、画像形成装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G03G 15/16 20060101AFI20240814BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
G03G15/16
G03G21/00 310
G03G21/00 512
G03G21/00 386
(21)【出願番号】P 2021064502
(22)【出願日】2021-04-06
【審査請求日】2023-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】目黒 太一
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-128426(JP,A)
【文献】特開2013-083676(JP,A)
【文献】特開2017-090830(JP,A)
【文献】特開2010-002528(JP,A)
【文献】特開2016-057492(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0021198(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/16
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローラーに支持されて回転するベルト状部材の前記ローラーに対向しない位置において前記ローラーとの当接面と反対側の面に当接して前記ベルト状部材の表面を清掃する板状清掃部材と、
ベルトテンション状態が切り替わる前記ベルト状部材におけるベルトテンション状態ごとの前記板状清掃部材の使用量を取得する第1取得部と、
前記第1取得部により取得された前記板状清掃部材の使用量に基づいて、前記板状清掃部材の交換判定タイミングを設定する設定部と、
を備えるクリーニング装置。
【請求項2】
前記第1取得部により取得された前記板状清掃部材の使用量に基づいて、ベルトテンション状態ごとに予め設定された前記板状清掃部材の最大使用量に対する実際の使用量の比率である使用率を算出する算出部を備え、
前記設定部は、前記板状清掃部材の前記使用率に基づいて、前記板状清掃部材の交換判定タイミングを設定する請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項3】
前記板状清掃部材の交換タイミングが最も短くなるベルトテンション状態を第1状態、最も長くなるベルトテンション状態を第2状態とし、
前記設定部は、最短で前記第1状態での前記板状清掃部材の前記使用率が100%となるタイミングを、前記板状清掃部材の交換判定タイミングとして設定する請求項2に記載のクリーニング装置。
【請求項4】
前記設定部により設定された交換判定タイミングに達した場合、交換タイミングに達したか否かを判定する判定部と、
前記判定部により、交換タイミングに達したと判断された場合に、ユーザーに報知する報知部と、
を備える請求項3に記載のクリーニング装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記設定部により設定された交換判定タイミングに達した場合、前記第1状態での前記板状清掃部材の前記使用率が100%に達したか否かを判定し、
前記設定部は、前記第1状態での前記板状清掃部材の使用率が100%に達していない場合には、新たな交換判定タイミングを設定する請求項4に記載のクリーニング装置。
【請求項6】
前記報知部は、前記判定部により、前記交換判定タイミングにおいて、前記第1状態での前記板状清掃部材の使用率が100%に達したと判断された場合に、交換タイミングに達したことをユーザーに報知する請求項5に記載のクリーニング装置。
【請求項7】
前記第1状態でのみ前記板状清掃部材を使用した場合の交換タイミングを第1交換タイミングとし、
前記第2状態でのみ前記板状清掃部材を使用した場合の交換タイミングを第2交換タイミングとし、
前記設定部は、前記交換判定タイミングが前記第2交換タイミングを超える場合、前記第2交換タイミングを交換判定タイミングとして設定し、
前記判定部は、前記交換判定タイミングにおいて、当該交換判定タイミングが前記第2交換タイミングである場合に、交換タイミングに達したと判定する請求項4から6のいずれか一項に記載のクリーニング装置。
【請求項8】
前記第1状態は、モノクロモードでのベルトテンション状態であり、前記第2状態は、フルカラーモードでのベルトテンション状態であって、前記第1交換タイミングは、前記モノクロモードのみの使用で前記板状清掃部材の最大使用量に達した場合における前記板状清掃部材の交換タイミングであり、前記第2交換タイミングは、前記フルカラーモードでの前記板状清掃部材の最大使用量に達した場合における前記板状清掃部材の交換タイミングである請求項7に記載のクリーニング装置。
【請求項9】
前記第1取得部は、印字枚数または前記板状清掃部材と前記ベルト状部材との摺動距離に基づいて、前記板状清掃部材の使用量を取得する請求項1から8のいずれか一項に記載のクリーニング装置。
【請求項10】
前記ベルトテンション状態は、印字モード設定によって決まる請求項1から9のいずれか一項に記載のクリーニング装置。
【請求項11】
前記ベルト状部材の近傍の温湿度情報及び前記ベルト状部材の使用量のうち、少なくともいずれか一方を取得する第2取得部を備え、
前記設定部は、前記温湿度情報及び前記ベルト状部材の使用量のうち、少なくともいずれか一方に応じて前記交換判定タイミングを設定する請求項1から10のいずれか一項に記載のクリーニング装置。
【請求項12】
前記設定部は、前記温湿度情報及び前記ベルト状部材の使用量のうち、少なくともいずれか一方に対応する設定係数に基づいて、前記交換判定タイミングを設定する請求項11に記載のクリーニング装置。
【請求項13】
前記板状清掃部材は、金属製スクレーパーである請求項1から12のいずれか一項に記載のクリーニング装置。
【請求項14】
用紙に画像を形成する画像形成部を備え、
前記画像形成部は、
表面にトナー像が形成されるベルト状部材と、
前記ベルト状部材の表面に形成されたトナー像を前記用紙に転写する転写部と、
前記転写部による転写後に前記ベルト状部材の表面に残留した残留物を除去する請求項1から13のいずれか一項に記載のクリーニング装置と、
を備える画像形成装置。
【請求項15】
前記ベルト状部材は、中間転写ベルトであって、
前記中間転写ベルトにトナー像を一次転写する一次転写ローラーを備え、
前記一次転写ローラーは、前記中間転写ベルトの内面から圧離間可能な構成であって、
前記一次転写ローラーを前記中間転写ベルトに圧接する本数により印字モードを切り替える請求項14に記載の画像形成装置。
【請求項16】
ローラーに支持されて回転するベルト状部材の前記ローラーに対向しない位置において前記ローラーとの当接面と反対側の面に当接して前記ベルト状部材の表面を清掃する板状清掃部材を備えるクリーニング装置のコンピューターを、
ベルトテンション状態が切り替わる前記ベルト状部材におけるベルトテンション状態ごとの前記板状清掃部材の使用量を取得する第1取得部、
前記第1取得部により取得された前記板状清掃部材の使用量に基づいて、前記板状清掃部材の交換判定タイミングを設定する設定部、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーニング装置、画像形成装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、感光体上に形成された静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成し、形成されたトナー像を転写部にて用紙に転写し、転写されたトナー像を定着部にて定着することで、用紙上に画像を形成する電子写真方式の画像形成装置が知られている。
電子写真方式において、中間転写ベルトをクリーニングする方法として、板状清掃部材を用いた技術が知られている。具体的には、トナーに添加された外添剤にて、板状清掃部材のエッジに静止層を形成し、静止層によってトナーを堰き止めて清掃する技術である。
【0003】
かかる板状清掃部材は、使用により中間転写ベルトとの当接面において摩耗が進行し、摩耗によりクリーニング不良が発生する。
よって、板状清掃部材は、クリーニング不良が発生する前に適切なタイミングで交換される。
【0004】
板状清掃部材の交換タイミングに関して、特許文献1には、中間転写ベルトの表面を清掃するブレードと、中間転写ベルトに対するブレードの当接条件を変更する付勢バネと、中間転写ベルト上のトナー量により清掃不良の発生を検知するセンサーと、を備え、センサーの検知結果に基づいてブレード交換を行う画像形成装置が記載されている。
また、特許文献2には、板状で、周回する被清掃体の外周面に一端側が接触して外周面に付着した付着物を取り除き外周面を清掃する清掃部材と、清掃部材の他端側の端面に取り付けられ、清掃部材の振動を検出する検出機構と、を備え、検出機構による検出結果に基づいて清掃部材の交換を行う清掃装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-128426号公報
【文献】特開2016-57492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、クリーニング不良は、板状清掃部材の摩耗が進行した状態で、板状清掃部材の当接姿勢が変化すると生じる。これは、板状清掃部材の摩耗面の先端が浮き上がって生じた楔空間に、トナーが潜り込んでしまうことが要因である。このクリーニング不良をエッジ浮きと呼称する。
エッジ浮きは、印字モード(モノクロモード/フルカラーモード)切り替え時に生じ易い。これは、板状清掃部材は、対向ローラー上に付着した異物によるすり抜けを回避するために、対向ローラーと直接対向しない位置にずらして、中間転写ベルトに当接させているが、印字モードの切り替えに伴うベルトテンション変化によって板状清掃部材の当接姿勢が変化するためである。
図11Aに印字モードをモノクロモードからフルカラーモードに切り替えたときの板状清掃部材101の当接姿勢の例を示す。
図11Aに示す例において、中間転写ベルトTのベルトテンションがフルカラーモードより低いモノクロモードでのみ使用されたことにより、板状清掃部材101において、その当接姿勢での摩耗が進行したとする。その直後に印字モードがフルカラーモードに切り替わった場合、ベルトテンションが上がることにより、モノクロモード時において板状清掃部材101が中間転写ベルトTに当接している状態のベルト面の位置bが、フルカラーモード時において板状清掃部材101が中間転写ベルトTに当接している状態のベルト面の位置aに変化する。
これにより、摩耗した板状清掃部材101の当接姿勢は実効当接角が小さくなるように変化し、摩耗面先端に楔空間が形成され、トナーがその楔空間に潜り込んですり抜けが発生する。
一方、
図11Bに印字モードをフルカラーモードからモノクロモードに切り替えたときの板状清掃部材101の当接姿勢の例を示す。
図11Bに示す例において、中間転写ベルトTのベルトテンションがモノクロモードより高いフルカラーモードでのみ使用されたことにより、板状清掃部材101において、その当接姿勢での摩耗が進行したとする。その直後に印字モードがモノクロモードに切り替わった場合、ベルトテンションが下がることにより、フルカラーモード時において板状清掃部材101が中間転写ベルトTに当接している状態のベルト面の位置aが、モノクロモード時において板状清掃部材101が中間転写ベルトTに当接している状態のベルト面の位置bに変化する。
これにより、摩耗した板状清掃部材101の当接姿勢は実効当接角が大きくなるように変化するが、摩耗面の先端が新たなエッジとなり、摩耗面先端に楔空間は形成されないため、トナーのすり抜けが発生しない。
【0007】
エッジ浮きが発生しないようにするために板状清掃部材を適切なタイミングで交換することが必要になる。板状清掃部材の交換タイミングは、
図11Aで示す様な過剰な条件下においても確実にエッジ浮きによるトナーのすり抜けが発生しないようにモノクロモードで全て使用した場合の摩耗幅に設定されているが、ほとんど全てのジョブをモノクロモードで印字するユーザーは稀であり、過剰品質となっている。
図12に、板状清掃部材101の交換タイミング到達時の印字モードの比率がモノクロモード50%、フルカラーモード50%である場合の板状清掃部材101の例を示す。
印字モードの比率がモノクロモード50%、フルカラーモード50%である場合、
図12に示すように、2面の摩耗面が生じる。板状清掃部材101の交換タイミングは、当該2面の摩耗幅を合算した摩耗幅で決定される。しかし、モノクロモード時の摩耗面はエッジ浮きによるトナーのすり抜けが発生するレベルの摩耗幅まで到達しておらず、エッジ浮きによるトナーのすり抜けが発生しないにも関わらず、板状清掃部材101が交換されてしまう。そのため、印字モードの比率をモノクロモード50%、フルカラーモード50%で使用するような平均的なユーザーにとっては、板状清掃部材の交換頻度が無用に増えており、コストアップに繋がっていた。
特許文献1及び特許文献2には、板状清掃部材の交換において過剰品質となることを避けるために、板状清掃部材の使用状態を検知して、エッジ浮き起因のトナーのすり抜けに有利な条件で使用しているユーザーについては、板状清掃部材の交換タイミングを遅らせるという構成が提案されている。しかし、いずれも大掛かりな検知手段が必要であり、装置が大型化・複雑化してしまい、コストダウンには繋がらないという問題があった。
【0008】
本発明は、簡易な手段でより適正なタイミングで板状清掃部材を交換することができるクリーニング装置、画像形成装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載のクリーニング装置の発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、
ローラーに支持されて回転するベルト状部材の前記ローラーに対向しない位置において前記ローラーとの当接面と反対側の面に当接して前記ベルト状部材の表面を清掃する板状清掃部材と、
ベルトテンション状態が切り替わる前記ベルト状部材におけるベルトテンション状態ごとの前記板状清掃部材の使用量を取得する第1取得部と、
前記第1取得部により取得された前記板状清掃部材の使用量に基づいて、前記板状清掃部材の交換判定タイミングを設定する設定部と、
を備える。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のクリーニング装置において、
前記第1取得部により取得された前記板状清掃部材の使用量に基づいて、ベルトテンション状態ごとに予め設定された前記板状清掃部材の最大使用量に対する実際の使用量の比率である使用率を算出する算出部を備え、
前記設定部は、前記板状清掃部材の前記使用率に基づいて、前記板状清掃部材の交換判定タイミングを設定する。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のクリーニング装置において、
前記板状清掃部材の交換タイミングが最も短くなるベルトテンション状態を第1状態、最も長くなるベルトテンション状態を第2状態とし、
前記設定部は、最短で前記第1状態での前記板状清掃部材の前記使用率が100%となるタイミングを、前記板状清掃部材の交換判定タイミングとして設定する。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のクリーニング装置において、
前記設定部により設定された交換判定タイミングに達した場合、交換タイミングに達したか否かを判定する判定部と、
前記判定部により、交換タイミングに達したと判断された場合に、ユーザーに報知する報知部と、
を備える。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のクリーニング装置において、
前記判定部は、前記設定部により設定された交換判定タイミングに達した場合、前記第1状態での前記板状清掃部材の前記使用率が100%に達したか否かを判定し、
前記設定部は、前記第1状態での前記板状清掃部材の使用率が100%に達していない場合には、新たな交換判定タイミングを設定する。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のクリーニング装置において、
前記報知部は、前記判定部により、前記交換判定タイミングにおいて、前記第1状態での前記板状清掃部材の使用率が100%に達したと判断された場合に、交換タイミングに達したことをユーザーに報知する。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項4から6のいずれか一項に記載のクリーニング装置において、
前記第1状態でのみ前記板状清掃部材を使用した場合の交換タイミングを第1交換タイミングとし、
前記第2状態でのみ前記板状清掃部材を使用した場合の交換タイミングを第2交換タイミングとし、
前記設定部は、前記交換判定タイミングが前記第2交換タイミングを超える場合、前記第2交換タイミングを交換判定タイミングとして設定し、
前記判定部は、前記交換判定タイミングにおいて、当該交換判定タイミングが前記第2交換タイミングである場合に、交換タイミングに達したと判定する。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のクリーニング装置において、
前記第1状態は、モノクロモードでのベルトテンション状態であり、前記第2状態は、フルカラーモードでのベルトテンション状態であって、前記第1交換タイミングは、前記モノクロモードのみの使用で前記板状清掃部材の最大使用量に達した場合における前記板状清掃部材の交換タイミングであり、前記第2交換タイミングは、前記フルカラーモードでの前記板状清掃部材の最大使用量に達した場合における前記板状清掃部材の交換タイミングである。
【0017】
請求項9に記載の発明は、請求項1から8のいずれか一項に記載のクリーニング装置において、
前記第1取得部は、印字枚数または前記板状清掃部材と前記ベルト状部材との摺動距離に基づいて、前記板状清掃部材の使用量を取得する。
【0018】
請求項10に記載の発明は、請求項1から9のいずれか一項に記載のクリーニング装置において、
前記ベルトテンション状態は、印字モード設定によって決まる。
【0019】
請求項11に記載の発明は、請求項1から10のいずれか一項に記載のクリーニング装置において、
前記ベルト状部材の近傍の温湿度情報及び前記ベルト状部材の使用量のうち、少なくともいずれか一方を取得する第2取得部を備え、
前記設定部は、前記温湿度情報及び前記板状清掃部材の使用量のうち、少なくともいずれか一方に応じて前記交換判定タイミングを設定する。
【0020】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載のクリーニング装置において、
前記設定部は、前記温湿度情報及び前記ベルト状部材の使用量のうち、少なくともいずれか一方に対応する設定係数に基づいて、前記交換判定タイミングを設定する。
【0021】
請求項13に記載の発明は、請求項1から12のいずれか一項に記載のクリーニング装置において、
前記板状清掃部材は、金属製スクレーパーである。
【0022】
請求項14に記載の画像形成装置の発明は、
用紙に画像を形成する画像形成部を備え、
前記画像形成部は、
表面にトナー像が形成されるベルト状部材と、
前記ベルト状部材の表面に形成されたトナー像を前記用紙に転写する転写部と、
前記転写部による転写後に前記ベルト状部材の表面に残留した残留物を除去する請求項1から13のいずれか一項に記載のクリーニング装置と、
を備える。
【0023】
請求項15に記載の発明は、請求項14の画像形成装置において、
前記ベルト状部材は、中間転写ベルトであって、
前記中間転写ベルトにトナー像を一次転写する一次転写ローラーを備え、
前記一次転写ローラーは、前記中間転写ベルトの内面から圧離間可能な構成であって、
前記一次転写ローラーを前記中間転写ベルトに圧接する本数により印字モードを切り替える。
【0024】
請求項16に記載のプログラムの発明は、
ローラーに支持されて回転するベルト状部材の前記ローラーに対向しない位置において前記ローラーとの当接面と反対側の面に当接して前記ベルト状部材の表面を清掃する板状清掃部材を備えるクリーニング装置のコンピューターを、
ベルトテンション状態が切り替わる前記ベルト状部材におけるベルトテンション状態ごとの前記板状清掃部材の使用量を取得する第1取得部、
前記第1取得部により取得された前記板状清掃部材の使用量に基づいて、前記板状清掃部材の交換判定タイミングを設定する設定部、
として機能させる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、簡易な手段でより適正なタイミングで板状清掃部材を交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
【
図3】本実施形態に係る画像形成装置の制御構造を示す機能ブロック図である。
【
図4A】第1状態から第2状態に変化させた際のクリーニング性能を評価した例を示す図である。
【
図4B】第2状態のままでクリーニング性能を評価した例を示す図である。
【
図5】交換判定タイミング設定処理を示すフローチャートである。
【
図6】交換判定タイミング設定の例を示す図である。
【
図7】交換判定タイミングの再設定の例を示す図である。
【
図8】交換判定タイミング設定の例を示す図である。
【
図9】温湿度及び中間転写ベルトの使用量によってベルトテンションが低下する例を示す図である。
【
図10】湿度及び中間転写ベルトの使用量に対応する第1交換タイミングの設定係数の例を示す図である。
【
図11A】モノクロモードからフルカラーモードに切り替えたときの板状清掃部材の当接姿勢の例を示す図である。
【
図11B】フルカラーモードからモノクロモードに切り替えたときの板状清掃部材の当接姿勢の例を示す図である。
【
図12】板状清掃部材の交換タイミング到達時の印字モードの比率がモノクロモード50%、フルカラーモード50%である場合の板状清掃部材の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0028】
本実施形態に係る画像形成装置1は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置であり、印字モードとして、モノクロモードとフルカラーモードが設定可能である。
図1~
図3に示すように、画像形成装置1は、自動原稿搬送部2と、スキャナー部3と、画像形成部4と、給紙部5と、記憶部6と、操作表示部7と、温湿度センサー8と、制御部10と、を備えて構成されている。
図1は、画像形成装置1の概略構成を示す図である。
【0029】
自動原稿搬送部2は、原稿Dを載置する載置トレイ、原稿Dを搬送する機構及び搬送ローラー等を備えて構成され、原稿Dを所定の搬送路に搬送する。
スキャナー部3は、光源や反射鏡等の光学系を備えて構成され、所定の搬送路を搬送された原稿D又はプラテンガラスに載置された原稿Dに光源を照射し、反射光を受光する。また、スキャナー部3は、受光した反射光を電気信号に変換して制御部10に出力する。
【0030】
画像形成部4は、イエロー作像部Yと、マゼンタ作像部Mと、シアン作像部Cと、ブラック作像部Kと、中間転写ベルト(ベルト状部材)Tと、定着装置Fと、を備えて構成されている。
各作像部YMCKは、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像を感光体41に形成し、感光体41に形成されたYMCK各色のトナー像を中間転写ベルトTに一次転写する。各作像部YMCKは、
図1及び
図2に示すように、感光体41と、帯電装置42と、露光装置43と、現像装置44と、一次転写ローラー45と、二次転写ローラー46と、クリーニング部100と、を備えて構成されている。なお、各作像部YMCKの構成及び動作は何れも同様であるため、以下、イエロー作像部Yを例に挙げて、画像形成部4が行う一連の画像形成動作について説明する。
【0031】
感光体41は、ドラム状の金属基体の外周面に有機光導電体を含有させた樹脂からなる感光層が形成された有機感光体により構成され、回転駆動される。感光層を構成する樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。
【0032】
帯電装置42は、帯電チャージャーを用いて感光体41を一定の電位に帯電する。
露光装置43は、制御部10からの画像データDyに基づいて感光体41の非画像領域を露光して露光した部分の電荷を除去し、感光体41の画像領域に静電潜像を形成する。
現像装置44は、感光体41に形成された静電潜像上に現像剤であるトナーを供給し、感光体41にイエローのトナー像を形成する。
【0033】
一次転写ローラー45は、感光体41に形成されたイエローのトナー像を中間転写ベルトTに一次転写する。なお、他の作像部MCKも同様に、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像を中間転写ベルトTに一次転写する。これにより、中間転写ベルトT上にYMCK各色のカラーのトナー像が形成される。
【0034】
中間転写ベルトTは、複数のローラーに懸架され回転可能に支持された半導電性エンドレスベルトであり、ローラーの回転に伴って回転駆動される。この中間転写ベルトTは、一次転写ローラー45により、対向するそれぞれの感光体41に圧着される。一次転写ローラー45のそれぞれには、印加された電圧に応じた転写電流が流れる。これにより、各感光体41の表面に現像された各トナー像は、それぞれ各一次転写ローラー45により順次中間転写ベルトTに一次転写される。
中間転写ベルトTのベルトテンション状態は印字モードによって切り替わる。具体的には、
図11Aに示すように、モノクロモードでは、フルカラーモードよりもベルトテンションが低い。印字モードを切り替えると、中間転写ベルトTに圧接する一次転写ローラー45の本数が変化し、それによって中間転写ベルトTのベルトテンション状態が切り替わるからである。
【0035】
二次転写ローラー(転写部)46は、中間転写ベルトTに押圧されて従回転することで、当該中間転写ベルトTに転写されて形成されたYMCK各色のトナー像を給紙部5の給紙トレイ51~53から搬送されてきた用紙Pに二次転写する。二次転写ローラー46は、中間転写ベルトTを介して二次転写対向ローラー461に当接して配置され、二次転写ローラー46と二次転写対向ローラー461との間で形成される転写ニップを用紙Pが通過することにより、中間転写ベルトT上のトナー像が、用紙Pに二次転写される。
【0036】
画像形成部4は、YMCK各色のトナー像が二次転写された用紙Pを定着装置Fにより加熱及び加圧し、その後所定の搬送路に通して機外に排出する。
以上が画像形成部4による一連の画像形成動作である。
【0037】
図2に、クリーニング部100の概略構成を示す。
クリーニング部100は、二次転写ローラー46により用紙Pにトナー像が転写された後の中間転写ベルトTに対して、クリーニングブレード102及び板状清掃部材101の先端をカウンター当接させて、中間転写ベルトTから、用紙Pに転写されずに残った残留トナーや紙粉等の残留物を除去し、中間転写ベルトTをクリーニングするためのものである。
【0038】
クリーニングブレード102は、中間転写ベルトTにおけるトナー像が形成される形成面に当接し、二次転写後の中間転写ベルトTに残留する残留トナーや紙紛、外添剤等の残留物を除去して中間転写ベルトTを清掃する。
クリーニングブレード102は、
図2に示すように、中間転写ベルトTを支持するローラー48に対向する位置において中間転写ベルトTにおけるトナー像が形成される形成面に当接されている。
クリーニングブレード102の材質、当接条件(当接圧/当接角)は、突入トナー量に対して所定のクリーニング性能を確保することができれば、その範囲は限定されない。クリーニングブレード102の材質としては、例えばウレタンゴムが使用される。
【0039】
板状清掃部材101は、クリーニングブレード102よりも中間転写ベルトTの搬送方向の下流側において、中間転写ベルトTにおけるトナー像が形成される形成面に当接し、クリーニングブレード102で除去し切れなかった二次転写後の中間転写ベルトTに残留する残留トナーや紙紛、外添剤等の残留物を除去して中間転写ベルトTを清掃する。
板状清掃部材101は、
図2に示すように、中間転写ベルトTを支持するローラー47に対向しない位置において中間転写ベルトTにおけるトナー像が形成される形成面に当接されている。
板状清掃部材101の材質、当接条件(当接圧/当接角)は、突入トナー量に対して所定のクリーニング性能を確保することができれば、その範囲は限定されない。
板状清掃部材101の材質において、剛度が高いほどエッジ浮きによるトナーのすり抜けは発生し易い。ゴムブレードの様な柔らかい材質の場合、板状清掃部材101の当接姿勢の変化が生じても、先端の形状が変化するために楔空間が生じ難く、摩耗が進行していてもエッジ浮きによるトナーのすり抜けが発生することは少ない。一方で、金属製スクレーパーは、先端の形状変化が生じず、ゴムブレードと同等程度の摩耗幅でもエッジ浮きによるトナーのすり抜けが発生しやすい。したがって、本発明は、金属製スクレーパーに適用することが好ましい。
【0040】
給紙部5は、複数の給紙トレイ51~53を備えて構成され、各給紙トレイ51~53に種類の異なる複数の用紙Pを収容する。給紙部5は、所定の搬送路により収容される用紙Pを画像形成部4に給紙する。
【0041】
図3は、画像形成装置1の制御構造を示す機能ブロック図である。
記憶部6は、HDD(Hard Disk Drive)、半導体メモリなどにより構成され、プログラムデータや各種設定データ等のデータを制御部10から読み書き可能に記憶する。
また、記憶部6は、板状清掃部材101の交換タイミングについて、後述する第1交換タイミング、第2交換タイミングを記憶する。
また、記憶部6は、板状清掃部材101の交換判定タイミングを記憶する。
また、記憶部6は、ベルトテンション状態ごとの板状清掃部材101の使用量を記憶する。板状清掃部材101の使用量とは、例えば、画像形成装置1が印字した印字枚数、及び板状清掃部材101と中間転写ベルトTの摺動距離である。また、記憶部6は、ベルトテンション状態ごとの板状清掃部材101の使用量を足し合わせた全体使用量を記憶する。
【0042】
操作表示部7は、例えば、タッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD)で構成され、表示部71及び操作部72を備える。
表示部71は、制御部10から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、各機能の動作状況等の表示を行う。また、ユーザーによるタッチ操作を受け付けて、操作信号を制御部10に出力する。
操作部72は、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部10に出力する。ユーザーは、操作表示部7を操作して、画質設定、倍率設定、応用設定、出力設定及び用紙設定等の画像形成に関する設定、用紙搬送指示、並びに装置の停止操作などを行うことができる。
【0043】
温湿度センサー8は、中間転写ベルトT近傍の温度情報及び湿度情報を検知し、制御部10に出力する。
【0044】
制御部10は、CPU、RAM、ROM等を備えて構成され、CPUはROMに記憶されている各種プログラムをRAMに展開し、展開された各種プログラムと協働して、自動原稿搬送部2、スキャナー部3、画像形成部4、給紙部5、記憶部6、操作表示部7、温湿度センサー8等の画像形成装置1の各部の動作を統括的に制御する。例えば、制御部10は、スキャナー部3からの電気信号を入力して各種画像処理を行い、画像処理により生成されたYMCK各色の画像データDy、Dm、Dc、Dkを画像形成部4に出力する。また、制御部10は、画像形成部4の動作を制御して用紙Pに画像を形成する。
【0045】
また、制御部10は、ベルトテンション状態が切り替わるベルト状部材(中間転写ベルトT)におけるベルトテンション状態ごとの板状清掃部材101の使用量を取得する。このとき制御部10は、第1取得部として機能する。
また、制御部10は、第1取得部により取得された板状清掃部材101の使用量に基づいて、板状清掃部材101の交換判定タイミングを設定する。このとき制御部10は、設定部として機能する。
また、制御部10は、第1取得部により取得された板状清掃部材101の使用量に基づいて、ベルトテンション状態ごとに予め設定された板状清掃部材101の最大使用量に対する実際の使用量の比率である使用率を算出する。このとき制御部10は、算出部として機能する。
また、制御部10は、設定部により設定された交換判定タイミングに達した場合、交換タイミングに達したか否かを判定する。このとき制御部10は、判定部として機能する。
また、制御部10は、判定部により、交換タイミングに達したと判断された場合に、ユーザーに報知する。このとき制御部10は、報知部として機能する。
また、制御部10、記憶部6、及びクリーニング部100は、クリーニング装置1000として機能する。
【0046】
ここで、板状清掃部材101の交換タイミングである、第1交換タイミング、及び第2交換タイミングについて説明する。
第1交換タイミングは、板状清掃部材101の使用限界が最も短い交換タイミングであって、板状清掃部材101の所定の使用量のうち、中間転写ベルトTのベルトテンション状態が第1状態での使用率が100%である場合である。第1状態は、例えば、モノクロモードである。
第2交換タイミングは、板状清掃部材101の使用限界が最も長い交換タイミングであって、板状清掃部材101の所定の使用量のうち、中間転写ベルトTのベルトテンション状態における第2状態での使用率が100%である場合である。第2状態は、例えば、フルカラーモードである。
【0047】
次に、第1交換タイミング及び第2交換タイミングの設定方法について説明する。
第1交換タイミング及び第2交換タイミングは、板状清掃部材101の所定の使用量に対するクリーニング性を評価することにより設定する。
評価方法は、例えば、未転写のベタ画像をクリーニング部に搬送し、トナーのすり抜け発生の有無を評価した。また評価方法はこれに限らない。
図4Aは、中間転写ベルトTのベルトテンション状態を第1状態にして、所定の使用量に到達した板状清掃部材101に対して、ベルトテンション状態を第2状態に変化させた際のクリーニング性能を評価した例を示す図である。
図4Aに示す例において、板状清掃部材101の使用量が400kp(印字枚数)以下の場合にクリーニング性能が保たれている。このとき、第1交換タイミングを、板状清掃部材101の使用量が400kpであるときに第1状態での板状清掃部材101の使用率が100%である場合に設定する。さらに第1状態での最大使用量を400kpと設定する。
図4Bは、中間転写ベルトTのベルトテンション状態を第2状態にして、所定の使用量に到達した板状清掃部材101に対して、ベルトテンション状態を第2状態のままでのクリーニング性能を評価した例を示す図である。
図4Bに示す例において、板状清掃部材101の使用量が900kp以下の場合にクリーニング性能が保たれている。このとき、第2交換タイミングを、板状清掃部材101の使用量が900kpである場合に設定する。また、第2状態での最大使用量は、900kpである。
【0048】
次に、本実施の形態の動作を説明する。
図5は、板状清掃部材101の交換タイミングに達したか否かを判定するタイミングである交換判定タイミングを設定する、交換判定タイミング設定処理を示すフローチャートである。交換判定タイミング設定処理は、制御部10と記憶部6に記憶されているプログラムとの協働により実行される。また、交換判定タイミング設定処理は、まず、板状清掃部材101の全体使用量が第1状態での最大使用量に達したときに実行される。
図4Aに示す例において、第1状態での最大使用量は400kpである。
【0049】
交換判定タイミング設定処理において、制御部10は、中間転写ベルトTのベルトテンション状態ごとの板状清掃部材101の使用量を取得する(ステップS1)。具体的には、制御部10は、記憶部6より印字モードごとの画像形成装置1が印字した印字枚数、あるいは板状清掃部材101と中間転写ベルトTの摺動距離を取得する。ベルトテンション状態情報として印字モード設定情報を利用することにより、ベルトテンション状態情報を取得するための新たなセンサーや機構が要らず、構成を簡略化することが出来る。
次に、制御部10は、板状清掃部材101の第1状態での使用率を算出する(ステップS2)。具体的には、制御部10は、ステップS1で取得した板状清掃部材101の使用量から、第1状態での板状清掃部材101の最大使用量に対する実際の使用量の比率である使用率を算出する。
図6の状態2に示す例においては、モノクロモードでの使用量は100kpであるので、第1状態での最大使用量である400kpに対するモノクロモードでの使用率は25%である。
【0050】
次に、制御部10は、板状清掃部材101が第1交換タイミングに達したか否かを判断する(ステップS3)。つまり、制御部10は、ステップS2において算出した第1状態での最大使用量に対する板状清掃部材101の第1状態(モノクロモード)での使用率が100%に達しているか否かを判断する。
板状清掃部材101が第1交換タイミングに達していない場合(ステップS3;NO)、つまり、
図6の状態2に示すように、モノクロモードでの使用量は100kpであり、第1状態での最大使用量である400kpに対するモノクロモードでの使用率が25%であって、第1状態での最大使用量(400kp)に対して100%でない場合である。この場合、制御部10は、次回の交換判定タイミングを算出する(ステップS4)。
図6の状態2に示す例において、第1交換タイミングに達するまでさらに使用できる使用量は、モノクロモードでの使用量300kpである。この場合、
図6の状態2の全体使用量400kpにさらに使用できる使用量である300kpを足し合わせて、
図6の状態3に示すように次回の交換判定タイミングを700kpと算出する。つまり、交換判定タイミング設定処理後に、第1状態でのみ使用した場合、つまり最短で第1状態での板状清掃部材101の使用率が100%となるタイミングを、板状清掃部材101の次回の交換判定タイミングとして算出する。
【0051】
次に、制御部10は、ステップS4で算出した次回の交換判定タイミングは、第2交換タイミングより大きいか否かを判断する(ステップS5)。
算出した次回の交換判定タイミングが第2交換タイミングより大きくない場合(ステップS5;NO)、制御部10は、板状清掃部材101の次回の交換判定タイミングをステップS4で算出した交換判定タイミングに設定し(ステップS6)、処理を終了する。これは、算出した次回の交換判定タイミングが、
図6の状態3に示すように700kpであり、第2交換タイミングが、
図4Bに示すように900kpであるような場合である。
【0052】
また、算出した次回の交換判定タイミングが第2交換タイミングより大きい場合(ステップS5;YES)、制御部10は、交換判定タイミングを第2交換タイミングに設定し(ステップS7)、処理を終了する。
交換判定タイミングを第2交換タイミングに設定後に、板状清掃部材101の全体使用量が第2交換タイミングに達した場合、制御部10は、ユーザーに交換タイミングに達した旨のメッセージを、表示部71に表示させることで報知する。
また、板状清掃部材101が第1交換タイミングに達している場合(ステップS3;YES)、つまり、モノクロモードでの使用率が第1状態での最大使用量(400kp)において100%である場合である。この場合、制御部10は、ユーザーに交換タイミングに達した旨のメッセージを、表示部71に表示させることで報知する(ステップS8)。
【0053】
図5に示す交換判定タイミング設定処理後に、設定した交換判定タイミングに達した場合を説明する。
図7の状態3に示す例においては、交換判定タイミングは板状清掃部材101の全体使用量が700kpのときである。設定した交換判定タイミングに達すると、制御部10は、
図5に示す交換判定タイミング設定処理のステップS1及びS2を再度実施する。
次に、制御部10は、板状清掃部材101が第1交換タイミングに達したか否かを判断する(ステップS3)。
板状清掃部材101が第1交換タイミングに達していない場合(ステップS3;NO)、つまり、
図7の状態4に示すように、モノクロモードでの使用量は300kpであり、第1状態での最大使用量である400kpに対するモノクロモードでの使用率が75%であって、第1状態での最大使用量(400kp)において100%でない場合である。この場合、制御部10は、新たな次回の交換判定タイミングを算出する(ステップS4)。
図7の状態4において、第1交換タイミングに達するまでさらに使用できる使用量は、モノクロモードでの使用量100kpである。この場合、
図7の状態4の全体使用量700kpにさらに使用できる使用量である100kpを足し合わせて、
図7の状態5に示すように次回の交換判定タイミングを800kpと算出する。つまり、交換判定タイミング設定処理後に、第1状態でのみ使用した場合、つまり最短で第1状態での板状清掃部材101の使用率が100%となるタイミングを、板状清掃部材101の新たな次回の交換判定タイミングとして算出する。
【0054】
次に、上記と同様のステップS5~S7をステップS4で算出した新たな次回の交換判定タイミングについて実施し、制御部10は処理を終了する。
また、新たな次回の交換判定タイミングに達していて、且つ第1交換タイミングに達した場合の例を
図7の状態6に示す。
図7の状態6において、全体使用量は新たな次回の交換判定タイミングである800kpに達している。さらに、モノクロモードでの使用量は400kpであり、モノクロモードでの使用率が第1状態での最大使用量(400kp)において100%である。この場合、ステップS8の報知を行う。
【0055】
また、ステップS4において算出した次回の交換判定タイミングが第2交換タイミングより大きい場合の例を
図8に示す。
図8に示す例において、交換判定タイミングは、状態7に示すように、全体使用量が700kpのときである。
図8の状態8に交換判定タイミング到達時のベルトテンション状態(印字モード)ごとの使用量を示す。
図8の状態8に示す例において、モノクロモードでの使用量は100kpであり、第1状態での最大使用量である400kpに対するモノクロモードでの使用率が25%であって、第1状態での最大使用量(400kp)において100%でない。この場合、制御部10は、次回の交換判定タイミングを算出する。
図8の状態8において、第1交換タイミングに達するまでさらに使用できる使用量は、モノクロモードでの使用量300kpである。この場合、
図8の状態8の全体使用量700kpにさらに使用できる使用量である300kpを足し合わせて、
図8の状態9に示すように次回の交換判定タイミングを1000kpと算出する。しかし、算出した次回の交換判定タイミングである1000kpは、
図8の状態10に示すような第2交換タイミングである900kpより大きいため、制御部10は、交換判定タイミングを第2交換タイミングである900kpに設定する。
【0056】
(変形例)
以下では、上記実施形態との差異を中心に説明する。本変形例の画像形成装置1及びクリーニング装置1000の構成は、上記実施形態の画像形成装置1及びクリーニング装置1000と同一である。
【0057】
図9は、温湿度及び中間転写ベルトTの使用量によってベルトテンションが低下する例を示す図である。
図9の右図に、中間転写ベルトT近傍の温湿度が所定値より高く、また中間転写ベルトTの使用量が所定値より大きい場合を示す。この場合において、中間転写ベルトTが伸びてしまいベルトテンションが低くなることがある。
図9において、板状清掃部材101が中間転写ベルトTに当接していない状態のベルト面の位置をcとする。また、中間転写ベルトTが伸びた状態のベルト面の位置をdとする。
図9の右図のような場合では、第1交換タイミングにおける最大使用量が小さくなる。そこで、中間転写ベルトT近傍の温湿度、及び中間転写ベルトTの使用量に基づいて、より適正な第1交換タイミングを設定する。
【0058】
本変形例において、記憶部6は、中間転写ベルトTの使用量を記憶する。また、記憶部6は、中間転写ベルトT近傍の温湿度及び中間転写ベルトTの使用量に対応する設定係数を記憶する。
また、制御部10は、中間転写ベルトT近傍の温湿度情報及びベルト状部材(中間転写ベルトT)の使用量のうち、少なくともいずれか一方を取得する。このとき制御部10は、第2取得部として機能する。
図10は、中間転写ベルトT近傍の絶対湿度、及び中間転写ベルトTの使用量に対応する第1交換タイミングの設定係数の例を示す図である。
制御部10は、中間転写ベルトT近傍の温湿度情報、及び中間転写ベルトTの使用量に応じて第1交換タイミングを設定する。具体的には、制御部10は、中間転写ベルトT近傍の温湿度情報を温湿度センサー8から取得する。また、制御部10は、中間転写ベルトTの使用量を記憶部6から取得する。そして、制御部10は、中間転写ベルトT近傍の温湿度情報及び中間転写ベルトTの使用量に対応する設定係数を記憶部6から取得して、適正な係数を決定する。そして、制御部10は、その設定係数を、
図4Aに示した第1状態での最大使用量にかけ合わせることで、より適正な第1状態での最大使用量を設定することができる。そして、制御部10は、より適正な第1状態での最大使用量に基づいて、交換判定タイミングを設定する。
図10には、絶対湿度、及び中間転写ベルトTの使用量に対応する第1交換タイミングの設定係数の例を示したが、第1交換タイミングの設定係数は、温湿度情報あるいは中間転写ベルトTの使用量のどちらかに対応するものでもよい。この場合、制御部10は、第2取得部として、温湿度情報あるいは中間転写ベルトTの使用量のどちらかを取得する。
【0059】
以上のように、本実施形態に係る画像形成装置1のクリーニング装置1000は、ローラー48に支持されて回転するベルト状部材(中間転写ベルトT)のローラー48に対向しない位置においてローラー48との当接面と反対側の面に当接してベルト状部材の表面を清掃する板状清掃部材101と、ベルトテンション状態が切り替わるベルト状部材におけるベルトテンション状態ごとの板状清掃部材101の使用量を取得する第1取得部(制御部10)と、第1取得部により取得された板状清掃部材101の使用量に基づいて、板状清掃部材101の交換判定タイミングを設定する設定部(制御部10)と、を備える。
したがって、本実施形態に係るクリーニング装置1000によれば、簡易な手段でより適正な板状清掃部材の交換判定タイミングを設定することができるため、より適正なタイミングで板状清掃部材を交換することができる。
【0060】
また、本実施形態に係るクリーニング装置1000によれば、第1取得部により取得された板状清掃部材101の使用量に基づいて、ベルトテンション状態ごとに予め設定された板状清掃部材101の最大使用量に対する実際の使用量の比率である使用率を算出する算出部(制御部10)を備え、設定部は、板状清掃部材101の使用率に基づいて、板状清掃部材101の交換判定タイミングを設定する。
したがって、本実施形態に係るクリーニング装置1000によれば、板状清掃部材101の使用率に基づいて、簡易な手段でより適正なタイミングで板状清掃部材を交換することができる。
【0061】
また、本実施形態に係るクリーニング装置1000によれば、板状清掃部材101の交換タイミングが最も短くなるベルトテンション状態を第1状態、最も長くなるベルトテンション状態を第2状態とし、設定部は、最短で第1状態での板状清掃部材101の使用率が100%となるタイミングを、板状清掃部材101の交換判定タイミングとして設定する。
したがって、本実施形態に係るクリーニング装置1000によれば、第1状態での板状清掃部材101の使用率に基づいて、簡易な手段でより適正なタイミングで板状清掃部材を交換することができる。
【0062】
また、本実施形態に係るクリーニング装置1000によれば、設定部により設定された交換判定タイミングに達した場合、交換タイミングに達したか否かを判定する判定部(制御部10)と、判定部により、交換タイミングに達したと判断された場合に、ユーザーに報知する報知部(制御部10)と、
を備える。
したがって、本実施形態に係るクリーニング装置1000によれば、ユーザーは報知を受けることによって、適正な時期に板状清掃部材を交換することができる。
【0063】
また、本実施形態に係るクリーニング装置1000によれば、判定部は、設定部により設定された交換判定タイミングに達した場合、第1状態での板状清掃部材101の使用率が100%に達したか否かを判定し、設定部は、第1状態での板状清掃部材101の使用率が100%に達していない場合には、新たな交換判定タイミングを設定する。
したがって、交換タイミングに達していない板状清掃部材101についても、簡易な手段でより適正なタイミングで板状清掃部材を交換することができる。
【0064】
また、本実施形態に係るクリーニング装置1000によれば、報知部は、判定部により、交換判定タイミングにおいて、第1状態での板状清掃部材の使用率が100%に達したと判断された場合に、交換タイミングに達したことをユーザーに報知する。
したがって、本実施形態に係るクリーニング装置1000によれば、ユーザーは報知を受けることによって、適正な時期に板状清掃部材を交換することができる。
【0065】
また、本実施形態に係るクリーニング装置1000によれば、第1状態でのみ前記板状清掃部材を使用した場合の交換タイミングを第1交換タイミングとし、第2状態でのみ板状清掃部材101を使用した場合の交換タイミングを第2交換タイミングとし、設定部は、交換判定タイミングが第2交換タイミングを超える場合、第2交換タイミングを交換判定タイミングとして設定し、判定部は、交換判定タイミングにおいて、当該交換判定タイミングが第2交換タイミングである場合に、交換タイミングに達したと判定する。
したがって、クリーニング性能を保つ上で、板状清掃部材の交換タイミングが最も長い第2交換タイミングを超えて交換判定タイミングを設定する恐れがない。
【0066】
また、本実施形態に係るクリーニング装置1000によれば、第1状態は、モノクロモードでのベルトテンション状態であり、第2状態は、フルカラーモードでのベルトテンション状態であって、第1交換タイミングは、モノクロモードのみの使用で板状清掃部材101の最大使用量に達した場合における板状清掃部材101の交換タイミングであり、第2交換タイミングは、フルカラーモードでの板状清掃部材101の最大使用量に達した場合における板状清掃部材101の交換タイミングである。
したがって、モノクロモード及びフルカラーモードで使用される画像形成装置に設置されるクリーニング装置において、簡易な手段でより適正なタイミングで板状清掃部材を交換することができる。
【0067】
また、本実施形態に係るクリーニング装置1000によれば、第1取得部は、印字枚数または板状清掃部材101とベルト状部材との摺動距離に基づいて、板状清掃部材101の使用量を取得する。
したがって、本実施形態に係るクリーニング装置1000によれば、板状清掃部材の使用量を取得するための新たなセンサーや機構が要らず、簡易な手段でより適正なタイミングで板状清掃部材を交換することができる。
【0068】
また、本実施形態に係るクリーニング装置1000によれば、ベルトテンション状態は、印字モード設定によって決まる。
したがって、ベルトテンション状態を決定するための新たなセンサーや機構が要らず、簡易な手段でより適正なタイミングで板状清掃部材を交換することができる。
【0069】
また、本実施形態に係るクリーニング装置1000によれば、ベルト状部材の近傍の温湿度情報及びベルト状部材の使用量のうち、少なくともいずれか一方を取得する第2取得部(制御部10)を備え、設定部は、温湿度情報及びベルト状部材の使用量のうち、少なくともいずれか一方に応じて交換判定タイミングを設定する。
したがって、温湿度情報及びベルト状部材の使用量のうち、少なくともいずれか一方に基づいて、簡易な手段でより適正なタイミングで板状清掃部材を交換することができる。
【0070】
また、本実施形態に係るクリーニング装置1000によれば、設定部は、温湿度情報及びベルト状部材の使用量のうち、少なくともいずれか一方に対応する設定係数に基づいて、交換判定タイミングを設定する。
したがって、温湿度情報及びベルト状部材の使用量のうち、少なくともいずれか一方に対応する設定係数に基づいて、簡易な手段でより適正なタイミングで板状清掃部材を交換することができる。
【0071】
また、本実施形態に係るクリーニング装置1000によれば、板状清掃部材101は、金属製スクレーパーである。
したがって、本実施形態に係るクリーニング装置1000によれば、板状清掃部材がエッジ浮きによるトナーのすり抜けが発生しやすい金属スクレーパーである場合でも、交換判定タイミングを適正に設定することで、エッジ浮きによるトナーのすり抜け発生を防ぐことができる。
【0072】
また、本実施形態に係る画像形成装置1によれば、用紙Pに画像を形成する画像形成部4を備え、画像形成部4は、表面にトナー像が形成されるベルト状部材(中間転写ベルトT)と、ベルト状部材の表面に形成されたトナー像を用紙Pに転写する転写部46と、転写部46による転写後にベルト状部材の表面に残留した残留物を除去するクリーニング装置1000と、を備える。
したがって、クリーニング装置によってベルト状部材の表面に残留した残留物を除去することができるので、トナーのすり抜け発生を防ぐことができる。
【0073】
また、本実施形態に係る画像形成装置1によれば、ベルト状部材は、中間転写ベルトTであって、中間転写ベルトTにトナー像を一次転写する一次転写ローラー45を備え、一次転写ローラー45は、中間転写ベルトTの内面から圧離間可能な構成であって、一次転写ローラー45を中間転写ベルトTに圧接する本数により印字モードを切り替える。
したがって、印字モードにより中間転写ベルトTに圧接する一次転写ローラー45の本数が切り替わる構成においても、簡易な手段でより適正なタイミングで板状清掃部材を交換することができる。
【0074】
以上、本発明に係る実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0075】
例えば、上記実施形態及び変形例では、板状清掃部材101が当接するベルト状部材は中間転写ベルトTであるとしたがこれに限らない。ベルト状部材は、二次転写ベルトや定着ベルトであってもよい。
【0076】
また、上記実施形態及び変形例では、ベルト状部材のベルトテンション状態の切り替わりを印字モード設定におけるモノクロモードあるいはフルカラーモードとしたがこれに限らない。
ベルトテンション状態を切り替える手段として、ベルト状部材の内面から押圧してベルトテンションを付与するローラーを設け、ローラーの押圧有無・押圧力・ローラー本数によってベルトテンション状態を能動的に変化させる手段であってもよい。また、通紙に伴うベルト状部材の駆動負荷変動や、印字モード設定を切り替える時の転写設定(出力・押圧力・本数・ベルト状部材との速度差など)の切り替えによるベルト状部材と転写部間の静電吸着によって、受動的にベルトテンション状態が切り替わってもよい。
【0077】
また、上記実施形態及び変形例では、ベルトテンション状態情報は、印字モード設定情報を利用するとしたがこれに限らない。
ベルトテンション状態情報を取得する手段として、歪みゲージなどでベルト状部材の伸び量を検知することでベルトテンション状態を取得してもよい。また、ロードセルをベルト状部材に接触させて、ベルト状部材からの反力を検知することでベルトテンション状態情報を取得してもよい。
また、用紙Pの紙種からベルトテンション状態を推定することで、ベルトテンション状態情報を取得してもよい。
また、上記のベルトテンション状態情報を取得する手段を複数組み合わせて、ベルトテンション状態を取得してもよい。
【0078】
また、上記実施形態及び変形例では、板状清掃部材101の使用量は、制御部10が記憶部6より印字モードごとの画像形成装置1が印字した印字枚数、あるいは板状清掃部材101と中間転写ベルトTの摺動距離を取得するとしたがこれに限らない。
板状清掃部材101の使用量を取得する手段として、ベルト状部材の駆動モーターON時間を取得するとしてもよい。
【0079】
また、上記実施形態及び変形例では、クリーニング装置1000は、画像形成装置1内に設けられているとしたがこれに限らない。画像形成装置1外に設けられていてもよい。
【0080】
その他、画像形成装置を構成する各装置の細部構成及び各装置の細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0081】
1 画像形成装置
2 自動原稿搬送部
3 スキャナー部
4 画像形成部
41 感光体
42 帯電装置
43 露光装置
44 現像装置
45 一次転写ローラー
46 二次転写ローラー(転写部)
47、48 ローラー
100 クリーニング部
101 板状清掃部材
102 クリーニングブレード
1000 クリーニング装置
T 中間転写ベルト(ベルト状部材)
F 定着装置
5 給紙部
6 記憶部
7 操作表示部
8 温湿度センサー
10 制御部(第1取得部、設定部、算出部、判定部、報知部、第2取得部)