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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】積層造形物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 10/40 20210101AFI20240814BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20240814BHJP
   B29C 64/40 20170101ALI20240814BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240814BHJP
   B22F 10/28 20210101ALN20240814BHJP
【FI】
B22F10/40
B29C64/153
B29C64/40
B33Y10/00
B22F10/28
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021082277
(22)【出願日】2021-05-14
(65)【公開番号】P2022175662
(43)【公開日】2022-11-25
【審査請求日】2023-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 悠人
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 諒
(72)【発明者】
【氏名】安井 正貴
【審査官】坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-052177(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103302858(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0319077(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 10/28,10/40
B29C 64/10,64/153,64/171,64/182,
64/40
B33Y 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層造形物の製造方法であって、
第1積層造形物と、第2積層造形物と、前記第1積層造形物と前記第2積層造形物とを連結する第1サポート部と、を積層造形法によってベースプレート上の互いに異なる位置に造形する造形工程と、
前記第1積層造形物と前記第2積層造形物と前記ベースプレートから分離させる分離工程と、
を有し、
前記分離工程では、前記第1積層造形物と前記第2積層造形物とのうちの少なくとも一方を前記ベースプレートから分離させた後に、前記第1積層造形物と前記第2積層造形物とを互いに分離させる、
積層造形物の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の積層造形物の製造方法であって、
前記分離工程では、前記第1積層造形物と前記第2積層造形物とを前記ベースプレートから分離させた後に、前記第1積層造形物と前記第2積層造形物とを互いに分離させる、積層造形物の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の積層造形物の製造方法であって、
前記分離工程では、前記第1積層造形物を前記ベースプレートから分離させた後に、前記第1積層造形物前記第2積層造形物から分離させてから、前記第2積層造形物を前記ベースプレートから分離させる、積層造形物の製造方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の積層造形物の製造方法であって、
前記造形工程は、前記ベースプレート上に金属粉末を敷き詰めて粉末層を形成する粉末層形成工程と、前記粉末層のうちの予め定められた領域にビームを照射することによって前記粉末層を溶融させ、溶融した前記粉末層を凝固させる溶融凝固工程とを有し、前記粉末層形成工程と前記溶融凝固工程とを繰り返し実行することによって、前記第1積層造形物と前記第2積層造形物と前記第1サポート部とを前記ベースプレート上の互いに異なる位置に造形する、積層造形物の製造方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の積層造形物の製造方法であって、
前記造形工程において、前記第1積層造形物と前記ベースプレートとを連結する第2サポート部を造形する、積層造形物の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の積層造形物の製造方法であって、
前記第2サポート部の剛性は、前記第1サポート部の剛性よりも高い、積層造形物の製造方法。
【請求項7】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の積層造形物の製造方法であって、
前記第1サポート部は、互いに交差するように設けられた複数の第1板状部を有する、積層造形物の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の積層造形物の製造方法であって、
前記造形工程において、前記第1積層造形物と前記ベースプレートとを連結する第2サポート部を造形し、
前記第2サポート部は、複数の第2板状部を有し、
前記第2板状部の数は、前記第1板状部の数よりも多い、積層造形物の製造方法。
【請求項9】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の積層造形物の製造方法であって、
前記第1サポート部は、互いに異なる方向に沿って設けられた3つ以上の第1棒状部を有する、積層造形物の製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の積層造形物の製造方法であって、
前記造形工程において、前記第1積層造形物と前記ベースプレートとを連結する第2サポート部を造形し、
前記第2サポート部は、複数の第2棒状部を有し、
前記第2棒状部の数は、前記第1棒状部の数よりも多い、積層造形物の製造方法。
【請求項11】
請求項4に記載の積層造形物の製造方法であって、
前記造形工程において、前記第1積層造形物と前記ベースプレートとを連結する第2サポート部を造形し、
前記第2サポート部を造形するための前記ビームのエネルギ密度は、前記第1サポート部を造形するための前記ビームの前記エネルギ密度よりも高い、積層造形物の製造方法。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の積層造形物の製造方法であって、
前記第1積層造形物および前記第2積層造形物は、前記第1積層造形物および前記第2積層造形物の積層方向に視て互いに重なる部分を有し、
前記第1サポート部は、前記積層方向における前記第1積層造形物と前記第2積層造形物との間に設けられる、積層造形物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、積層造形物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、積層造形法によって、造形物をベースプレート上に造形する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-164890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一度に複数の造形物をベースプレート上に造形することによって、多くの造形物を効率良く製造できる。しかしながら、一度に複数の造形物をベースプレート上に造形した場合、造形物をベースプレートから分離させる際に造形物同士が接触して、造形物が損傷する可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
本開示の一形態によれば、積層造形物の製造方法が提供される。この積層造形物の製造方法は、第1積層造形物と、第2積層造形物と、前記第1積層造形物と前記第2積層造形物とを連結する第1サポート部と、を積層造形法によってベースプレート上の互いに異なる位置に造形する造形工程と、前記第1積層造形物と前記第2積層造形物とを前記ベースプレートから分離させる分離工程と、を有する。前記分離工程では、前記第1積層造形物と前記第2積層造形物とのうちの少なくとも一方を前記ベースプレートから分離させた後に、前記第1積層造形物と前記第2積層造形物とを互いに分離させる。
なお、本開示は以下の形態としても実現できる。
【0006】
(1)本開示の一形態によれば、積層造形物の製造方法が提供される。この積層造形物の製造方法は、第1積層造形物と、第2積層造形物と、前記第1積層造形物と前記第2積層造形物とを連結する第1サポート部と、を積層造形法によってベースプレート上の互いに異なる位置に造形する造形工程と、前記第1積層造形物と前記第2積層造形物と前記第1サポート部と前記ベースプレートとを互いに分離させる分離工程と、を有する。前記分離工程では、前記第1積層造形物と前記第2積層造形物とのうちの少なくとも一方を前記ベースプレートから分離させた後に、前記第1サポート部を分断することによって前記第1積層造形物と前記第2積層造形物とを互いに分離させる。
この形態の積層造形物の製造方法によれば、第1サポート部によって第1積層造形物と第2積層造形物との間隔を確保することができる。そのため、第1積層造形物や第2積層造形物をベースプレートから分離させる際に第1積層造形物と第2積層造形物とが互いに接触することに起因して第1積層造形物や第2積層造形物が損傷することを抑制できる。
(2)上記形態の積層造形物の製造方法において、前記分離工程では、前記第1積層造形物と前記第2積層造形物とを前記ベースプレートから分離させた後に、前記第1サポート部を分断することによって前記第1積層造形物と前記第2積層造形物とを互いに分離させてもよい。
この形態の積層造形物の製造方法によれば、第1積層造形物や第2積層造形物をベースプレートから分離させる際に第1積層造形物と第2積層造形物とが互いに接触することを抑制できる。
(3)上記形態の積層造形物の製造方法において、前記分離工程では、前記第1積層造形物を前記ベースプレートから分離させ、前記第1サポート部を分断することによって前記第1積層造形物と前記第2積層造形物とを分離させた後に、前記第2積層造形物を前記ベースプレートから分離させてもよい。
この形態の積層造形物の製造方法によれば、第1積層造形物や第2積層造形物をベースプレートから分離させる際に第1積層造形物と第2積層造形物とが互いに接触することを抑制できる。
(4)上記形態の積層造形物の製造方法において、前記造形工程は、前記ベースプレート上に金属粉末を敷き詰めて粉末層を形成する粉末層形成工程と、前記粉末層のうちの予め定められた領域にビームを照射することによって前記粉末層を溶融させ、溶融した前記粉末層を凝固させる溶融凝固工程とを有し、前記粉末層形成工程と前記溶融凝固工程とを繰り返し実行することによって、前記第1積層造形物と前記第2積層造形物と前記第1サポート部とを前記ベースプレート上の互いに異なる位置に造形してもよい。
この形態の積層造形物の製造方法によれば、金属の粉末で形成された粉末層にビームを照射することにより造形された第1積層造形物や第2積層造形物をベースプレートから分離させる際に第1積層造形物と第2積層造形物とが互いに接触することを抑制できる。
(5)上記形態の積層造形物の製造方法において、前記造形工程において、前記第1積層造形物と前記ベースプレートとを連結する第2サポート部を造形してもよい。
この形態の積層造形物の製造方法によれば、第2サポート部によって第1積層造形物を支持することができるので、第1積層造形物の造形中に第1積層造形物の形状が崩れることを抑制できる。
(6)上記形態の積層造形物の製造方法において、前記第2サポート部の剛性は、前記第1サポート部の剛性よりも高くてもよい。
この形態の積層造形物の製造方法によれば、第2サポート部を変形しにくくすることができるので、第1積層造形物の造形中に第2サポート部が変形して第1積層造形物の形状が崩れることを抑制できる。
(7)上記形態の積層造形物の製造方法において、前記第1サポート部は、互いに交差するように設けられた複数の第1板状部を有してもよい。
この形態の積層造形物の製造方法によれば、第1サポート部の剛性を確保しやすくできるので、第1積層造形物や第2積層造形物をベースプレートから分離させる際に第1積層造形物と第2積層造形物とが互いに接触することを効果的に抑制できる。
(8)上記形態の積層造形物の製造方法において、前記造形工程において、前記第1積層造形物と前記ベースプレートとを連結する第2サポート部を造形し、前記第2サポート部は、複数の第2板状部を有し、前記第2板状部の数は、前記第1板状部の数よりも多くてもよい。
この形態の積層造形物の製造方法によれば、第2板状部の数が第1板状部の数以下である形態に比べて第2サポート部を変形しにくくすることができるので、第1積層造形物の造形中に第2サポート部が変形して第1積層造形物の形状が崩れることを抑制できる。
(9)上記形態の積層造形物の製造方法において、前記第1サポート部は、互いに異なる方向に沿って設けられた3つ以上の第1棒状部を有してもよい。
この形態の積層造形物の製造方法によれば、第1サポート部の剛性を確保しやすくできるので、第1積層造形物や第2積層造形物をベースプレートから分離させる際に第1積層造形物と第2積層造形物とが互いに接触することを効果的に抑制できる。
(10)上記形態の積層造形物の製造方法において、前記造形工程において、前記第1積層造形物と前記ベースプレートとを連結する第2サポート部を造形し、前記第2サポート部は、複数の第2棒状部を有し、前記第2棒状部の数は、前記第1棒状部の数よりも多くてもよい。
この形態の積層造形物の製造方法によれば、第2棒状部の数が第1棒状部の数以下である形態に比べて第2サポート部を変形しにくくすることができるので、第1積層造形物の造形中に第2サポート部が変形して第1積層造形物の形状が崩れることを抑制できる。
(11)上記形態の積層造形物の製造方法において、前記造形工程において、前記第1積層造形物と前記ベースプレートとを連結する第2サポート部を造形し、前記第2サポート部を造形するための前記ビームのエネルギ密度は、前記第1サポート部を造形するための前記ビームの前記エネルギ密度よりも高くてもよい。
この形態の積層造形物の製造方法によれば、第2サポート部の密度を第1サポート部の密度よりも高くすることができるので、第2サポート部を変形しにくくすることができる。
(12)上記形態の積層造形物の製造方法において、前記第1積層造形物および前記第2積層造形物は、前記第1積層造形物および前記第2積層造形物の積層方向に視て互いに重なる部分を有し、前記第1サポート部は、前記積層方向における前記第1積層造形物と前記第2積層造形物との間に設けられてもよい。
この形態の積層造形物の製造方法によれば、第1積層造形物および第2積層造形物の積層方向に視て互いに重なる部分を有するように造形された第1積層造形物や第2積層造形物をベースプレートから分離させる際に第1積層造形物と第2積層造形物とが互いに接触することを抑制できる。
本開示は、積層造形物の製造方法以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、積層造形方法、積層造形装置、積層造形装置の制御方法などの形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態の積層造形装置の概略構成を模式的に示す断面図。
図2】第1実施形態の積層造形物の製造方法の内容を示すフローチャート。
図3】第1実施形態の造形工程の様子を示す説明図。
図4】第1実施形態の積層造形物およびサポート部の一例を示す斜視図。
図5】第1実施形態の分離工程の様子を示す第1の説明図。
図6】第1実施形態の分離工程の様子を示す第2の説明図。
図7】比較例の分離工程の様子を示す説明図。
図8】第2実施形態の積層造形物およびサポート部の一例を示す斜視図。
図9】第3実施形態の積層造形物およびサポート部の一例を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.第1実施形態:
図1は、第1実施形態における積層造形物100の製造方法に用いられる積層造形装置10の概略構成を模式的に示す断面図である。本実施形態では、積層造形装置10は、造形部20と、粉末層形成部30と、レーザ射出部40と、制御部50とを備えている。本実施形態では、積層造形装置10は、粉末床溶融結合(Powder Bed Fusion)方式の積層造形法、より具体的には、SLM(Selective Laser Melting)方式の積層造形法によって積層造形物100を造形する。以下の説明では、積層造形物100のことを単に造形物100と呼ぶことがある。
【0009】
造形部20は、造形容器21と、造形テーブル23と、造形テーブル昇降部25とを備えている。造形容器21は、上面に開口部を有している。造形テーブル23は、造形容器21内に配置されている。造形テーブル昇降部25は、造形テーブル23を上下に移動させる。本実施形態では、造形テーブル昇降部25は、制御部50の制御下で駆動される電動アクチュエータによって構成されている。
【0010】
造形テーブル23の上面にはベースプレート27が取り付けられて、ベースプレート27上に複数の造形物100、造形物100同士を連結する第1サポート部、および、各造形物100とベースプレート27とを連結する第2サポート部がベースプレート27上に造形される。ベースプレート27上に造形されるとは、ベースプレート27の上面に接するように造形されることの他に、ベースプレート27の上面から離れたベースプレート27の上方に造形されることをも意味する。ベースプレート27は、例えば、炭素鋼やステンレス鋼などの合金鋼などの鉄鋼材料で形成されている。ベースプレート27は、鉄鋼材料ではなく、例えば、チタン合金などの鉄鋼材料以外の金属材料で形成されてもよいし、金属材料ではなく、例えば、セラミック材料で形成されてもよい。
【0011】
粉末層形成部30は、粉末貯蔵容器31と、粉末押出テーブル33と、粉末押出テーブル昇降部35と、リコータ37とを備えている。粉末貯蔵容器31は、造形容器21に隣接するように配置されている。粉末貯蔵容器31は、上面に開口部を有している。粉末押出テーブル33は、粉末貯蔵容器31内に配置されている。粉末押出テーブル昇降部35は、粉末押出テーブル33を上下に移動させる。本実施形態では、粉末押出テーブル昇降部35は、制御部50の制御下で駆動される電動アクチュエータによって構成されている。
【0012】
粉末貯蔵容器31と粉末押出テーブル33とによって囲まれた空間には、造形物100の原材料として用いられる金属粉末PDが貯蔵されている。金属粉末PDの金属の種類は、例えば、アルミニウム合金である。金属粉末PDの金属の種類は、アルミニウム合金ではなく、例えば、チタン合金や、ニッケル合金や、ステンレス鋼や、マルエージング鋼などでもよい。粉末貯蔵容器31に貯蔵された金属粉末PDは、粉末押出テーブル33の上昇によって、粉末貯蔵容器31上に押し出される。
【0013】
リコータ37は、粉末貯蔵容器31上に押し出された金属粉末PDを造形容器21に搬送して、金属粉末PDをベースプレート27上に平坦に敷き詰めることによって、金属粉末PDからなる粉末層PLをベースプレート27上に形成する。本実施形態では、リコータ37は、スキージと、制御部50の制御下でスキージを移動させる電動アクチュエータとによって構成されている。なお、他の実施形態では、リコータ37は、ローラーと、ローラーを移動させる電動アクチュエータによって構成されてもよい。
【0014】
レーザ射出部40は、レーザ発振器41と、光ファイバ43と、レーザヘッド45とを備えている。レーザ発振器41は、レーザビームLSを発生させる。本実施形態では、レーザビームLSは、ファイバレーザである。なお、他の実施形態では、レーザビームLSは、例えば、ディスクレーザや半導体レーザやYAGレーザ等の、ファイバレーザ以外の固体レーザでもよいし、固体レーザではなく、例えば、炭酸ガスレーザ等の気体レーザでもよい。
【0015】
レーザヘッド45は、造形容器21の上方に配置されている。レーザヘッド45は、光ファイバ43によってレーザ発振器41に接続されている。レーザヘッド45は、光ファイバ43を介してレーザ発振器41から供給されたレーザビームLSを粉末層PLに向けて射出する。本実施形態では、レーザヘッド45にはガルバノスキャナが内蔵されており、レーザヘッド45は、水平面に平行な2つの軸方向に沿って、レーザビームLSの照射位置を移動させる。
【0016】
制御部50は、CPUと、メモリと、入出力インタフェースとを備えたコンピュータとして構成されている。本実施形態では、制御部50は、後述するように、造形テーブル昇降部25、粉末押出テーブル昇降部35、リコータ37、レーザ発振器41、および、レーザヘッド45を制御して、造形物100を造形する。なお、制御部50は、コンピュータではなく、複数の回路の組み合わせによって構成されてもよい。
【0017】
図2は、本実施形態における造形物100の製造方法の内容を示すフローチャートである。まず、ステップS110にて、ベースプレート27が造形テーブル23の上面に取り付けられる。次に、ステップS120にて、制御部50が積層造形装置10の各部を制御することによって、所望の形状の複数の造形物100と第1サポート部と第2サポート部とがベースプレート27上に造形される。以下の説明では、ステップS120の工程のことを造形工程と呼ぶ。造形工程の詳細については後述する。
【0018】
その後、ステップS130にて、ベースプレート27が造形テーブル23から取り外される。ステップS140にて、各造形物100がベースプレート27から分離される。ステップS150にて、造形物100同士が分離されて、各造形物100が完成する。ステップS140からステップS150までの工程のことを分離工程と呼ぶ。分離工程の詳細については後述する。
【0019】
図3は、本実施形態における造形工程の様子を示す説明図である。本実施形態では、造形工程は、粉末層形成工程と、溶融凝固工程と、下降工程とを有している。造形工程は、制御部50の制御下で実行される。
【0020】
まず、粉末層形成工程にて、制御部50は、粉末押出テーブル昇降部35を制御することによって、粉末押出テーブル33を上昇させて、粉末貯蔵容器31から所定量の金属粉末PDを押し出す。制御部50は、リコータ37を移動させることによって、粉末貯蔵容器31から押し出された金属粉末PDをベースプレート27上に平坦に敷き詰めて、粉末層PLをベースプレート27上に形成する。
【0021】
次に、溶融凝固工程にて、制御部50は、レーザ発振器41およびレーザヘッド45を制御することによって、粉末層PL上の所定の領域にレーザビームLSを照射して、上記領域の粉末層PLを溶融させる。溶融した粉末層PLは、例えば、数秒間で冷えて凝固して、造形層ZLになる。
【0022】
その後、下降工程にて、制御部50は、造形テーブル昇降部25を制御することによって、造形層ZLの厚みに相当する距離、造形テーブル23およびベースプレート27を下降させる。制御部50は、全ての造形層ZLの形成が終了するまで、粉末工程と、溶融凝固工程と、下降工程とを繰り返すことによって、造形層ZLの上に造形層ZLを積み重ねて、複数の造形物100と第1サポート部と第2サポート部とを造形する。
【0023】
図4は、ベースプレート27上に造形された複数の造形物100の一例を示す斜視図である。図4に示す例では、3つの造形物100A~100Cがベースプレート27上の互いに異なる位置に造形されている。各造形物100A~100Cは、互いに同じ形状を有している。以下の説明では、造形物100Aのことを第1積層造形物100Aあるいは第1造形物100Aと呼ぶことがあり、造形物100Bのことを第2積層造形物100Bあるいは第2造形物100Bと呼ぶことがあり、造形物100Cのことを第3積層造形物100Cあるいは第3造形物100Cと呼ぶことがある。各造形物100A~100Cを特に区別せずに説明する場合には、単に、積層造形物100あるいは造形物100と呼ぶことがある。なお、ベースプレート27上に造形される造形物100の数は、3つに限られず、2つでもよいし、4つ以上でもよい。各造形物100A~100Cは、互いに異なる形状を有してもよい。
【0024】
図4に示す例では、第1造形物100Aと第2造形物100Bと第3造形物100Cとの他に、第1造形物100Aと第2造形物100Bとを連結する第1サポート部110A、第2造形物100Bと第3造形物100Cとを連結する第1サポート部110B、第1造形物100Aとベースプレート27とを連結する第2サポート部120A、第2造形物100Bとベースプレート27とを連結する第2サポート部120B、および、第3造形物100Cとベースプレート27とを連結する第2サポート部120Cがベースプレート27上に造形されている。
【0025】
各造形物100A~100Cは、互いに間隔を空けて配置されている。第1サポート部110Aは、第1造形物100Aと第2造形物100Bとの間に配置されており、第1サポート部110Bは、第2造形物100Bと第3造形物100Cとの間に配置されている。本実施形態では、各第1サポート部110A,110Bは、互いに交差するように設けられた2つの第1板状部111を有している。各第1板状部111は、平板状に構成されている。各第1サポート部110A,110Bは、ベースプレート27の上面に平行な方向に視てX字状に構成されている。材料歩留まりの低下を抑制するために、各第1サポート部110A,110Bは、造形物100A~100C同士の間隔が狭い位置に配置されることが好ましい。なお、各第1サポート部110A,110Bは、ベースプレート27の上面に垂直な方向に視てX字状に構成されてもよい。
【0026】
各造形物100A~100Cは、ベースプレート27に対して間隔を空けて配置されている。第2サポート部120Aは、第1造形物100Aとベースプレート27との間に配置されており、第2サポート部120Bは、第2造形物100Bとベースプレート27との間に配置されており、第2サポート部120Cは、第3造形物100Cとベースプレート27との間に配置されている。各第2サポート部120A~120Cは、各造形物100A~100Cを支持している。本実施形態では、各第2サポート部120A~120Cは、互いに平行に設けられた5つの第2板状部121を有している。各第2板状部121は、平板状に構成されている。なお、第2板状部121の数は、5つに限られず、任意の数でよい。但し、第2板状部121の数は、第1板状部111の数よりも多いことが好ましい。
【0027】
各第1サポート部110A,110Bは、ベースプレート27を水平面に対して傾けたときに、各造形物100A~100Cの重みに耐えられる強度および剛性を有している。本実施形態では、各第2サポート部120A~120Cの強度および剛性は、各第1サポート部110A,110Bの強度および剛性よりも高い。本実施形態では、制御部50は、造形工程にて、レーザ射出部40を制御することによって、各造形物100A~100Cおよび各第2サポート部120A~120Cを造形するためのレーザビームLSのエネルギ密度を、第1サポート部110A,110Bを造形するためのレーザビームLSのエネルギ密度よりも高くする。例えば、制御部50は、各第1サポート部110A,110Bを造形するためのレーザビームLSのエネルギ密度を、各造形物100A~100Cおよび各第2サポート部120A~120Cを造形するためのレーザビームLSのエネルギ密度の80%にする。粉末層PLに照射されるレーザビームLSのエネルギ密度が高いほど、粉末層PLの溶融度合いは大きくなる。粉末層PLの溶融度合いが大きいほど、未溶融部分による空隙が形成されにくくなるので造形層ZLの密度は高くなる。
【0028】
図5は、本実施形態における分離工程の様子を示す第1の説明図である。図6は、本実施形態における分離工程の様子を示す第2の説明図である。図5および図6には、図4に示した3つの造形物100A~100Cを互いに分離させる様子が表されている。
【0029】
本実施形態では、まず、図5に示すように、各造形物100A~100Cとベースプレート27とを連結している各第2サポート部120A~120Cが分断される。各第2サポート部120A~120Cが分断されることによって、各造形物100A~100Cがベースプレート27から分離される。本実施形態では、コンタマシン(Band Saw)による切断によって、各第2サポート部120A~120Cが分断される。ベースプレート27が上向き、換言すれば、各造形物100A~100Cの積層方向と重力方向Gとが平行にされた状態で各造形物100A~100Cがベースプレート27から分離されると、第2サポート部120A~120Cによる支持を失った造形物100A~100Cが落下してコンタマシンの刃に接触する可能性がある。そこで、本実施形態では、各造形物100A~100Cがコンタマシンの刃に接触することを防止するために、ベースプレート27が横向きの状態、換言すれば、各造形物100A~100Cの積層方向と重力方向Gとが垂直にされた状態で、各造形物100A~100Cがベースプレート27から分離される。
【0030】
次に、図6に示すように、各造形物100A~100Cの積層方向と重力方向Gとが平行にされた状態で、造形物100A~100C同士を連結している第1サポート部110A~110Bが分断される。例えば、ニッパーによる切断によって、第1サポート部110~110Bが分断される。第1サポート部110A,110Bが分断されることによって、造形物100A~100C同士が分離される。
【0031】
図7は、比較例における分離工程の様子を示す説明図である。比較例では、第1サポート部110A,110Bが設けられていない。第1サポート部110A,110Bが設けられていない場合、ベースプレート27が横向きの状態で第2サポート部120A~120Cが切断されると、図7に示すように、第2サポート部120A~120Cによる支持を失った各造形物100A~100Cが落下して、造形物100A~100C同士が接触して破損する可能性がある。ベースプレート27が上向きの状態で第2サポート部120A~120Cが切断されたとしても、第2サポート部120A~120Cによる支持を失った造形物100A~100Cが転倒して、造形物100A~100C同士が接触して破損する可能性がある。造形物100A~100C同士の間に緩衝材を挿入することによって造形物100A~100C同士の接触を回避することができる。しかしながら、造形物100A~100C同士の間に緩衝材を挿入する場合、緩衝材を挿入する手間と時間がかかるので生産効率が低下する。また、造形物100A~100C同士の間隔が狭い場合には、造形物100A~100C同士の間に緩衝材を挿入することが困難である。
【0032】
これに対して、以上で説明した本実施形態における積層造形物100の製造方法によれば、造形工程において、第1造形物100Aと第2造形物100Bとを連結する第1サポート部110A、および第2造形物100Bと第3造形物100Cとを連結する第1サポート部110Bが造形される。その後、分離工程において、各造形物100A~100Cをベースプレート27から分離させた後に、各第1サポート部110A,110Bを切断して造形物100A~100C同士を分離させる。そのため、各造形物100A~100Cをベースプレート27から分離させる際に、第1サポート部110A,110Bによって造形物100A~100C同士の間隔を確保することができる。したがって、各造形物100A~100Cをベースプレート27から分離させる際に造形物100A~100C同士が互いに接触することに起因して各造形物100A~100Cが損傷することを抑制できる。特に、本実施形態では、金属粉末PDで形成された粉末層PLにレーザビームLSを照射するSLM方式の積層造形法によって造形された各造形物100A~100Cをベースプレート27から分離させる際に各造形物100A~100C同士が互いに接触することを抑制できる。
【0033】
また、本実施形態では、造形工程において、各造形物100A~100Cとベースプレート27とを連結する第2サポート部120A~120Cが造形されるので、各第2サポート部120A~120Cによって各造形物100A~100Cを支持することができる。そのため、各造形物100A~100Cの造形中に各造形物100A~100Cの形状が崩れることを抑制して、各造形物100A~100Cを寸法精度良く造形できる。
【0034】
また、本実施形態では、各第2サポート部120A~120Cの剛性は、各第1サポート部110A,110Bの剛性よりも高いので、各造形物100A~100Cの造形中に、各第2サポート部120A~120Cが変形することを抑制できる。特に、本実施形態では、溶融した粉末層PLが凝固するときの収縮によって造形物100A~100C同士が各第1サポート部110A,110Bを介して互いに引張り合って、各第2サポート部120A~120Cが変形することを抑制できる。
【0035】
また、本実施形態では、各第2サポート部120A~120Cを造形するためのレーザビームLSのエネルギ密度は、各第1サポート部110A,110Bを造形するためのレーザビームLSのエネルギ密度よりも高いので、各第2サポート部120A~120Cの密度を各第1サポート部110,110Bの密度よりも高くすることができる。そのため、各第2サポート部120A~120Cを変形しにくくすることができる。
【0036】
また、本実施形態では、各第1サポート部110A,110Bは、互いに交差するように設けられた2つの第1板状部111を有しているので、各第1サポート部110A,110Bの剛性を確保しやすくできる。そのため、各造形物100A~100Cをベースプレート27から分離させる際に、各第1サポート部110A,110Bが変形して造形物100A~100C同士が接触することを効果的に抑制できる。
【0037】
また、本実施形態では、各第2サポート部120A~120Cは、複数の第2板状部121によって構成されており、第2板状部121の数は、各第1サポート部110A,110Bの第1板状部111の数よりも多い。そのため、各第2サポート部120A~120の第2板状部121の数が各第1サポート部110A,110Bの第1板状部111の数以下の形態に比べて各第2サポート部120A~120Cを変形しにくくすることができる。
【0038】
B.第2実施形態:
図8は、第2実施形態における積層造形物100の製造方法によってベースプレート27上に造形された複数の造形物100の一例を示す斜視図である。第2実施形態では、各第1サポート部110A,110Bが第1板状部111ではなく第1棒状部112を有すること、および、各第2サポート部120A~120Cが第2板状部121ではなく第2棒状部122を有することが第1実施形態とは異なる。その他の構成については、特に説明しない限り、第1実施形態と同じである。
【0039】
本実施形態では、各第1サポート部110A,110Bは、互いに異なる方向に沿って設けられた3つの第1棒状部112を有している。各第1棒状部112は、直線の棒状に構成されている。各第1棒状部112は、互いにねじれの位置になるように配置されることが好ましい。なお、第1棒状部112の数は、3つではなく、4つ以上でもよい。各第1棒状部112は、互いに交差するように配置されてもよいし、互いに平行に配置されてもよい。
【0040】
本実施形態では、各第2サポート部120A~120Cは、ベースプレート27の上面に垂直に配置された20個の第2棒状部122を有している。各第2棒状部122は、ベースプレート27上に5行4列で並ぶように配置されている。各第2棒状部122は、直線の棒状に構成されている。第2棒状部122の数は、20個に限られず、任意の数でよい。但し、第2棒状部122の数は、第1棒状部112の数よりも多いことが好ましい。
【0041】
以上で説明した本実施形態における積層造形物100の製造方法によれば、各第1サポート部110A,110Bは、互いに異なる方向に沿って設けられた3つの第1棒状部112を有しているので、各第1サポート部110A,110Bの剛性を確保しやすくできる。
【0042】
また、本実施形態では、各第2サポート部120A~120は、複数の第2棒状部122によって構成されており、第2棒状部122の数は、各第1サポート部110A,110Bの第1棒状部112の数よりも多い。そのため、各第2サポート部120A~120の第2棒状部122の数が各第1サポート部110A,110Bの第1棒状部112の数以下の形態に比べて各第2サポート部120A~120Cを変形しにくくすることができる。
【0043】
C.第3実施形態:
図9は、第3実施形態における積層造形物100の製造方法によってベースプレート27上に造形された複数の造形物100の一例を示す側面図である。第3実施形態では、第1造形物100Aおよび第2造形物100Bは、第1造形物100Aおよび第2造形物100Bの積層方向に視て互いに重なる部分を有していること、および、積層方向における第1造形物100Aと第2造形物100Bとの間に第1造形物100Aと第2造形物100Bとを連結する第1サポート部110Cが設けられることが第1実施形態とは異なる。その他の構成については、特に説明しない限り、第1実施形態と同じである。
【0044】
本実施形態では、第1造形物100Aと第2造形物100Bとは、第1サポート部110Aと第1サポート部110Cとによって互いに連結されている。第1サポート部110Cは、第1サポート部110Aと同様に、互いに交差するように設けられた2つの第1板状部111を有している。なお、第1サポート部110Cは、互いに異なる方向に沿って設けられた3つ以上の第1棒状部112を有してもよい。
【0045】
本実施形態では、分離工程において、各造形物100~100Cをベースプレート27から分離させた後に、各第1サポート部110A~110Cを切断して造形物100A~100C同士を分離させる。
【0046】
以上で説明した本実施形態における積層造形物100の製造方法によれば、第1造形物100Aと第2造形物100Bとが積層方向に視て互いに重なる部分を有しても、第1サポート部110Cによって第1造形物100Aと第2造形物100Bとの積層方向における間隔を確保できる。
【0047】
D.他の実施形態:
(D1)上述した各実施形態の積層造形物100の製造方法では、各造形物100A~100C、各第1サポート部110A~110C、および、各第2サポート部120A~120Cは、粉末床溶融結合方式の積層造形法のうち、粉末層PLにレーザビームLSを照射することによって粉末層PLを溶融させるSLM方式の積層造形法によって造形される。これに対して、各造形物100A~100C、各第1サポート部110A~110C、および、各第2サポート部120A~120Cは、粉末床溶融結合方式の積層造形法のうち、粉末層PLにレーザビームLSを照射することによって粉末層PLを焼結させるSLS(Selective Laser Sintering)方式の積層造形法や、粉末層PLに電子ビームを照射することによって粉末層PLを溶融させるEBM(Electron Beam melting)方式の積層造形法によって造形されてもよい。各造形物100A~100C、各第1サポート部110A~110C、および、各第2サポート部120A~120Cは、粉末床溶融結合方式の積層造形法ではなく、例えば、FDM(Fused Deposition Modeling)方式(登録商標)や、光造形方式の積層造形法によって造形されてもよい。FDM方式や光造形方式の場合には、各造形物100A~100C、各第1サポート部110A~110C、および、各第2サポート部120A~120Cの原材料として、金属材料ではなく、樹脂材料が用いられてもよい。
【0048】
(D2)上述した各実施形態の積層造形物100の製造方法では、分離工程において、各造形物100A~100Cをベースプレート27から分離させた後に、各第1サポート部110A~110Cを切断して造形物100A~100C同士を分離させている。これに対して、分離工程において、第1造形物100Aをベースプレート27から分離させ、第1サポート部110A,110Cを切断して第1造形物100Aと第2造形物100Bとを分離させた後に、第2造形物100Bをベースプレート27から分離させてもよい。その後、第2造形物100Bをベースプレート27から分離させ、第1サポート部110Bを切断して第2造形物100Bと第3造形物100Cとを分離させた後に、第3造形物100Cをベースプレート27から分離させてもよい。この場合であっても、各造形物100A~100Cをベースプレート27から分離させる際に造形物100A~100C同士が互いに接触することを抑制できる。なお、各造形物100A~100Cをベースプレート27から分離させる順序は、上述した順に限られず、例えば、第3造形物100C、第2造形物100B、第1造形物100Aの順でもよいし、第1造形物100A、第3造形物100C、第2造形物100Bの順でもよい。
【0049】
(D3)上述した各実施形態の積層造形物100の製造方法では、各造形物100A~100Cとベースプレート27との間に、第2サポート部120A~120Cが造形されている。これに対して、各造形物100A~100Cとベースプレート27との間に、第2サポート部120A~120Cが造形されずに、各造形物100A~100Cに所定の削り代が設けられ、各造形物100A~100Cがベースプレート27に接するように造形されてもよい。
【0050】
(D4)上述した各実施形態の積層造形物100の製造方法では、各第2サポート部120A~120Cの剛性は、各第1サポート部110A~110Cの剛性よりも高い。これに対して、各第2サポート部120A~120Cの剛性は、各第1サポート部110A~110Cの剛性以下でもよい。この場合、各第2サポート部120A~120Cの剛性は、各第1サポート部110A~110Cの剛性と同じであることが好ましい。
【0051】
(D5)上述した各実施形態の積層造形物100の製造方法では、各第2サポート部120A~120Cを造形するためのレーザビームLSのエネルギ密度は、各第1サポート部110A~110Cを造形するためのレーザビームLSのエネルギ密度よりも高い。これに対して、各第2サポート部120A~120Cを造形するためのレーザビームLSのエネルギ密度は、各第1サポート部110A~110Cを造形するためのレーザビームLSのエネルギ密度以下でもよい。この場合、各第2サポート部120A~120Cを造形するためのレーザビームLSのエネルギ密度は、各第1サポート部110A~110Cを造形するためのレーザビームLSのエネルギ密度と同じであることが好ましい。
【0052】
(D6)上述した各実施形態の積層造形物100の製造方法では、造形工程の溶融凝固工程において、制御部50は、各第2サポート部120A~120Cを造形するためのレーザビームLSのエネルギ密度を、各第1サポート部110A~110Cを造形するためのレーザビームLSのエネルギ密度よりも高くしている。これに対して、制御部50は、溶融凝固工程において、レーザビームLSのエネルギ密度を変更しなくてもよい。この場合、制御部50は、例えば、第1サポート部110A~110Cを造形するために1層ごとにレーザビームLSを照射するのではなく、2層ごとにレーザビームLSを照射してもよい。この方法によって、各第1サポート部110A~110Cの密度を、各第2サポート部120A~120Cの密度よりも小さくすることができる。
【0053】
(D7)上述した第1実施形態および第3実施形態の積層造形物100の製造方法では、各第1サポート部110A~110Cは、複数の第1板状部111によって構成されており、各第2サポート部120A~120Cは、複数の第2板状部121によって構成されている。これに対して、各第1サポート部110A~110Cが複数の第1板状部111によって構成されて、各第2サポート部120A~120Cが複数の第2棒状部122によって構成されてもよい。あるいは、各第1サポート部110A~110Cが複数の第1棒状部112によって構成されて、各第2サポート部120A~120Cが複数の第2板状部121によって構成されてもよい。
【0054】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0055】
10…積層造形装置、20…造形部、21…造形容器、23…造形テーブル、25…造形テーブル昇降部、27…ベースプレート、30…粉末層形成部、31…粉末貯蔵容器、33…粉末押出テーブル、35…粉末押出テーブル昇降部、37…リコータ、40…レーザ射出部、41…レーザ発振器、43…光ファイバ、45…レーザヘッド、50…制御部、100…積層造形物、110…第1サポート部、111…第1板状部、112…第1棒状部、120…第2サポート部、121…第2板状部、122…第2棒状部、LS…レーザビーム、PD…金属粉末、PL…粉末層、ZL…造形層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9