(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】内装部材付ルーフモジュール及びルーフモジュール
(51)【国際特許分類】
B60R 13/02 20060101AFI20240814BHJP
【FI】
B60R13/02 A
(21)【出願番号】P 2021086230
(22)【出願日】2021-05-21
【審査請求日】2023-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【識別番号】100103229
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】曽根 康介
(72)【発明者】
【氏名】谷口 拓也
(72)【発明者】
【氏名】武久 愛
【審査官】久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-168654(JP,U)
【文献】実公昭50-007607(JP,Y1)
【文献】特開2015-104211(JP,A)
【文献】特開2002-240644(JP,A)
【文献】実開昭59-145456(JP,U)
【文献】特開2018-196174(JP,A)
【文献】国際公開第2020/203738(WO,A1)
【文献】特開2021-20544(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0024058(US,A1)
【文献】特開2019-25921(JP,A)
【文献】特開2001-158282(JP,A)
【文献】特開2001-130339(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のルーフパネルを車室側から覆うルーフ内装部材であって、複数の分割ルーフ内装部材を備え、前記複数の分割ルーフ内装部材は、前記ルーフパネルの異なる領域に広がった状態で、連続的に連なる連続体となって前記ルーフパネルを前記車室側から覆う形状に形成されている、ルーフ内装部材
と、
前記ルーフパネルに取付可能な中間支持部材と、
を備え、
前記複数の分割ルーフ内装部材のうちの少なくとも1つが前記中間支持部材に取付けられることによって前記ルーフパネルに取付状態で支持され、
前記ルーフパネルと前記ルーフ内装部材との間に配置されるルーフ側機器と伝送部材とのうちの少なくとも一方が前記中間支持部材に直接支持されている、内装部材付ルーフモジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の
内装部材
付ルーフモジュールであって、
前記複数の分割ルーフ内装部材の境界における縁同士が重なり合っている、
内装部材
付ルーフモジュール。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の内装部材付ルーフモジュールであって、
前記ルーフパネルと前記ルーフ内装部材との間に配置されるシート状部材が、平面的に広がるように、前記中間支持部材によって支持されている、内装部材付ルーフモジュール。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の内装部材付ルーフモジュールであって、
前記分割ルーフ内装部材を前記中間支持部材に固定する固定部を備え、
前記分割ルーフ内装部材と前記中間支持部材との少なくとも一方が、前記固定部を前記分割ルーフ内装部材が広がる方向において位置調整可能に支持する可動支持部を含む、内装部材付ルーフモジュール。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の内装部材付ルーフモジュールであって、
前記分割ルーフ内装部材及び前記中間支持部材の一方に位置決め凹部が形成され、他方に前記位置決め凹部に嵌る位置決め凸部が形成されている、内装部材付ルーフモジュール。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の内装部材付ルーフモジュールであって、
前記中間支持部材を複数備え、
前記複数の分割ルーフ内装部材の境界が、前記複数の中間支持部材の間に位置する、内装部材付ルーフモジュール。
【請求項7】
車両のルーフパネルの車室側に配置される中間支持部材と、
前記ルーフパネルとルーフ内装部材との間に配置されるルーフ部品と、
を備え、
前記ルーフ部品は、ルーフ側機器と伝送部材とのうちの少なくとも一方であり、
前記中間支持部材が、前記ルーフ部品を
直接支持し、
前記中間支持部材が、前記ルーフパネルに固定されるパネル側固定部と、前記ルーフ内装部材が固定される内装部材側固定部とを
含み、
前記中間支持部材は、前記内装部材側固定部に固定された前記ルーフ内装部材を、前記ルーフパネルに取付状態で支持する、ルーフモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ルーフ内装部材、内装部材付ルーフモジュール、ルーフモジュール及び内装部材付ルーフモジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、板状に形成されたワイヤハーネス組付体を、天井とルーフライナとの間に配置する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の技術では、天井とルーフライナとの間に配置された伝送部材又はルーフ側機器を交換するようなメンテナンス作業時には、ルーフライナを剥がす必要がある。ルーフライナは天井全体に広がっているため、ルーフライナを剥がす作業は困難であり、メンテナンス性が悪いという問題がある。
【0005】
そこで、本開示は、ルーフパネルとルーフ内装部材との間に配置される伝送部材又はルーフ側機器のメンテナンス性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のルーフ内装部材は、車両のルーフパネルを車室側から覆うルーフ内装部材であって、複数の分割ルーフ内装部材を備え、前記複数の分割ルーフ内装部材は、前記ルーフパネルの異なる領域に広がった状態で、連続的に連なる連続体となって前記ルーフパネルを前記車室側から覆う形状に形成されている、ルーフ内装部材である。
【0007】
本開示の内装部材付ルーフモジュールは、上記ルーフ内装部材と、前記ルーフパネルに取付可能な中間支持部材と、を備え、前記複数の分割ルーフ内装部材のうちの少なくとも1つが前記中間支持部材を介して前記ルーフパネルに支持される、内装部材付ルーフモジュールである。
【0008】
本開示のルーフモジュールは、車両のルーフパネルの車室側に配置される中間支持部材と、前記ルーフパネルと前記ルーフ内装部材との間に配置されるルーフ部品と、を備え、前記ルーフ部品は、ルーフ側機器と伝送部材とのうちの少なくとも一方であり、前記中間支持部材が、前記ルーフ部品を直接又は間接的に支持し、前記中間支持部材が、前記ルーフパネルに固定されるパネル側固定部と、前記ルーフ内装部材が固定される内装部材側固定部とを含む、ルーフモジュールである。
【0009】
本開示の内装部材付ルーフモジュールの製造方法は、(a)ルーフ部品の支持の有無及び支持されるルーフ部品の種類に応じて区別される複数種の中間支持部材を準備し、(b)ルーフパネルとルーフ内装部材との間に配置されるルーフ部品の有無、種類に応じて、前記複数種の中間支持部材から取付対象となる中間支持部材を選択し、(c)選択された前記中間支持部材を前記ルーフパネルに取付け、(d)ルーフ内装部材を前記中間支持部材に取付ける、内装部材付ルーフモジュールの製造方法である。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、ルーフパネルとルーフ内装部材との間に配置される伝送部材又はルーフ側機器のメンテナンス性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は実施形態1に係るルーフ内装部材が組込まれる車両の一例を示す概略斜視図である。
【
図2】
図2は内装部材付ルーフモジュールを示す斜視図である。
【
図3】
図3はルーフモジュールを示す分解斜視図である。
【
図4】
図4はルーフ内装部材を示す分解斜視図である。
【
図5】
図5は分割ルーフ内装部材の縁同士が重なり合った例を模式的に示す図である。
【
図6】
図6は分割ルーフ内装部材の縁同士が重なり合った他の例を模式的に示す図である。
【
図7】
図7はルーフパネルに対する中間支持部材及びルーフ内装部材の支持構造を示す概略断面図である。
【
図8】
図8は固定部に係る変形例を示す斜視図である。
【
図9】
図9は固定部に係る変形例を示す斜視図である。
【
図10】
図10は固定部に係る変形例を示す概略断面図である。
【
図11】
図11は固定部に係る他の変形例を示す斜視図である。
【
図12】
図12は固定部に係る他の変形例を示す概略断面図である。
【
図13】
図13は分割ルーフ内装部材を位置決めする変形例を示す概略断面図である。
【
図14】
図14は内装部材付ルーフモジュールを示す斜視図である。
【
図17】
図17は内装部材付ルーフモジュールの製造方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0013】
本開示のルーフ内装部材は、次の通りである。
【0014】
(1)車両のルーフパネルを車室側から覆うルーフ内装部材であって、複数の分割ルーフ内装部材を備え、前記複数の分割ルーフ内装部材は、前記ルーフパネルの異なる領域に広がった状態で、連続的に連なる連続体となって前記ルーフパネルを前記車室側から覆う形状に形成されている、ルーフ内装部材である。
【0015】
このルーフ内装部材によると、複数の分割ルーフ内装部材の一部を剥がして、ルーフパネルとルーフ内装部材との間に配置される伝送部材又はルーフ側機器のメンテナンスを行うことができる。このため、ルーフパネルとルーフ内装部材との間に配置される伝送部材又はルーフ側機器のメンテナンス性を向上させることができる。
【0016】
(2)(1)のルーフ内装部材であって、前記複数の分割ルーフ内装部材の境界における縁同士が重なり合っていてもよい。これにより、分割ルーフ内装部材の間の隙間を抑制できる。
【0017】
本開示の内装部材付ルーフモジュールは、次の通りである。
【0018】
(3)(1)又は(2)のルーフ内装部材と、前記ルーフパネルに取付可能な中間支持部材と、を備え、前記複数の分割ルーフ内装部材のうちの少なくとも1つが前記中間支持部材を介して前記ルーフパネルに支持される、内装部材付ルーフモジュールである。これにより、分割ルーフ内装部材の少なくとも1つが、中間支持部材を介して容易にルーフパネルに支持される。
【0019】
(4)(3)の内装部材付ルーフモジュールであって、前記ルーフパネルと前記ルーフ内装部材との間に配置されるルーフ側機器と伝送部材とのうちの少なくとも一方が前記中間支持部材に直接又は間接的に支持されていてもよい。これにより、中間支持部材によって、分割ルーフ内装部材の支持と、ルーフ側機器と伝送部材とのうち少なくとも一方の支持とが行われる。
【0020】
(5)(3)又は(4)の内装部材付ルーフモジュールであって、前記ルーフパネルと前記ルーフ内装部材との間に配置されるシート状部材が、平面的に広がるように、前記中間支持部材によって支持されていてもよい。この場合、中間支持部材によってシート状部材が平面的に広がるように支持されているため、シート状部材をルーフパネルの室内側に容易に組込まれる。
【0021】
(6)(3)から(5)のいずれか1つの内装部材付ルーフモジュールであって、前記分割ルーフ内装部材を前記中間支持部材に固定する固定部を備え、前記分割ルーフ内装部材と前記中間支持部材との少なくとも一方が、前記固定部を前記分割ルーフ内装部材が広がる方向において位置調整可能に支持する可動支持部を含んでもよい。これにより、固定部が、前記分割ルーフ内装部材と前記中間支持部材との少なくとも一方の可動支持部によって位置調整可能に支持されるため、分割ルーフ内装部材を中間支持部材に固定する作業が容易に行われ得る。
【0022】
(7)(3)から(6)のいずれか1つの内装部材付ルーフモジュールであって、前記分割ルーフ内装部材及び前記中間支持部材の一方に位置決め凹部が形成され、他方に前記位置決め凹部に嵌る位置決め凸部が形成されていてもよい。これにより、位置決め凸部に位置決め凹部が嵌ることによって、中間支持部材に対するルーフ内装部材の位置が補正される。
【0023】
(8)(3)から(7)のいずれか1つの内装部材付ルーフモジュールであって、前記中間支持部材を複数備え、前記複数の分割ルーフ内装部材の境界が、前記複数の中間支持部材の間に位置してもよい。これにより、分割ルーフ内装部材の中間部分を、中間支持部材でしっかりと支持できる。
【0024】
本開示のルーフモジュールは、次の通りである。
【0025】
(9)車両のルーフパネルの車室側に配置される中間支持部材と、前記ルーフパネルとルーフ内装部材との間に配置されるルーフ部品と、を備え、前記ルーフ部品は、ルーフ側機器と伝送部材とのうちの少なくとも一方であり、前記中間支持部材が、前記ルーフ部品を直接又は間接的に支持し、前記中間支持部材が、前記ルーフパネルに固定されるパネル側固定部と、前記ルーフ内装部材が固定される内装部材側固定部とを含む、ルーフモジュールである。
【0026】
これにより、ルーフ部品を直接又は間接的に支持する中間支持部材によって、ルーフ内装部材を支持することができる。これにより、分割ルーフ内装部材を支持するのに適した構成とすることもでき、ルーフパネルとルーフ内装部材との間に配置される伝送部材又はルーフ側機器のメンテナンス性の向上にも繋がる。
【0027】
本開示の内装部材付ルーフモジュールの製造方法は、次の通りである。
【0028】
(10)(a)ルーフ部品の支持の有無及び支持されるルーフ部品の種類に応じて区別される複数種の中間支持部材を準備し、(b)ルーフパネルとルーフ内装部材との間に配置されるルーフ部品の有無、種類に応じて、前記複数種の中間支持部材から取付対象となる中間支持部材を選択し、(c)選択された前記中間支持部材を前記ルーフパネルに取付け、(d)ルーフ内装部材を前記中間支持部材に取付ける、内装部材付ルーフモジュールの製造方法である。
【0029】
これにより、ルーフ部品の有無、種類に拘らず、ルーフ内装部材を中間支持部材で支持する構成とすることができる。また、中間支持部材によって、分割ルーフ内装部材を支持するのに適した構成とすることもでき、ルーフパネルとルーフ内装部材との間に配置される伝送部材又はルーフ側機器のメンテナンス性の向上にも繋がる。
【0030】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のルーフ内装部材、内装部材付ルーフモジュール、ルーフモジュール及び内装部材付ルーフモジュールの製造方法の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0031】
[実施形態1]
以下、実施形態1に係るルーフ内装部材、内装部材付ルーフモジュール、ルーフモジュールについて説明する。
【0032】
<ルーフ内装部材が組込まれる車両について>
図1はルーフ内装部材が組込まれる車両10の一例を示す概略斜視図である。この車両は、内装部材付ルーフモジュール及びルーフモジュールが組込まれる車両の一例でもある。
【0033】
車両10は、ボディ12を備える。ボディ12は、車両10の外形をなす部分である。ボディ12は、モノコックボディであってもよいし、ラダーフレーム上に搭載されるボディであってもよい。ここでは、ボディ12は、車室を囲む側方パネル、ルーフパネル13、さらには、乗員が乗り降りするための乗降用ドアパネル、荷物を出し入れするためのリアドアパネル等を含む。ボディ12は、金属によって形成されてもよいし、樹脂によって形成されてもよい。ボディ12は、金属と樹脂との組合せによって構成されていてもよい。ボディ12のうち車室の上方を覆う板状の部分がルーフパネル13である。つまり、ルーフパネル13は、車両10の屋根部分を形成する。ルーフパネル13は、ボディ12の外観形状を形作るべく一部又は全体的に湾曲していてもよい。ルーフパネル13は、金属で形成されてもよいし、樹脂で形成されてもよい.ルーフパネル13は、金属と樹脂との組合せによって構成されていてもよい。ここでは、ルーフパネル13には、アンテナ用の開口13hが形成されている(
図2参照)。
【0034】
図2は内装部材付ルーフモジュール20を示す斜視図である。
図2においては、ルーフパネル13が図示されている。
図2において示される伝送部材は、概略的な経路を示しており、1本の線として描かれていても、複数の伝送部材等を含む場合がある。
【0035】
ルーフパネル13は、ルーフ補強部材14を含む。すなわち、ルーフパネル13は、板状をなすパネル本体13aを有しており、ルーフ補強部材14は、パネル本体13aを下側から支えて補強する。ルーフ補強部材14は、ルーフリンホース又はルーフ用ステイ等と呼ばれる部材である。本実施形態では、ルーフ補強部材14は、細長い部材であり、ルーフパネル13の前後方向において間隔をあけて複数設けられる。ルーフ補強部材14は、パネル本体13aの幅方向に沿って配設される。パネル本体13aが金属である場合、金属で形成されたルーフ補強部材14がパネル本体13aの内面に溶接されていてもよい。ルーフ補強部材14には、内装部材付ルーフモジュール20が支持される。この点において、ルーフ補強部材14は、他の部品を支持するブラケットの一種でもある。
【0036】
本実施形態では、ルーフ補強部材14は、内装部材付ルーフモジュール20が取付けられる組付対象部分の一例である。本例では、組付対象部分に、内装部材付ルーフモジュール20の中間支持部材60が取付けられる。
【0037】
<内装部材付ルーフモジュールの全体構造について>
図2に示すように、内装部材付ルーフモジュール20は、ルーフ内装部材80と、中間支持部材60とを備える。
【0038】
ルーフ内装部材80は、ルーフパネル13の下側に設けられる。ルーフ内装部材80は、ルーフパネル13を車室側から覆っている。ルーフ内装部材80は、樹脂等で形成された板状部材である。ルーフ内装部材80は、一部又は全体的に湾曲していてもよい。ルーフ内装部材80は、ルーフパネル13に対して下側に取付けられる。ルーフ内装部材80は、車室側に露出しており、車室内から見た天井の意匠を構成する。ルーフ内装部材80は、ルーフライナ(roof liner)と呼ばれてもよい。
【0039】
ルーフパネル13とルーフ内装部材80との間に空間が設けられる。ルーフパネル13とルーフ内装部材80との中間支持部材60が配置される。中間支持部材60は、ルーフパネル13に取付可能な部材である。ルーフ内装部材80は、中間支持部材60を介してルーフパネル13に取付けられる。
【0040】
本実施形態では、中間支持部材60がルーフ部品(ルーフ側機器50及び伝送部材40等)と一体的に組合わせられることによって、ルーフモジュール21が構成されている。このルーフモジュール21がルーフパネル13とルーフ内装部材80との間に配置される。このルーフモジュール21とルーフ内装部材80との組合せによって、内装部材付ルーフモジュール20が構成される。
【0041】
<ルーフモジュールについて>
ルーフモジュール21についてより具体的に説明する。
図3はルーフモジュール21を示す分解斜視図である。
【0042】
ルーフモジュール21は、中間支持部材60と、ルーフ部品とを含む。中間支持部材60は、ルーフパネル13の車室側に配置される部材である。ルーフ部品は、ルーフパネル13とルーフ内装部材80との間に配置される部品である。ルーフ部品は、ルーフ側機器50と伝送部材40のとのうちの少なくとも一方であることが想定され得る。中間支持部材60が、ルーフ部品を直接又は間接的に支持する。本実施形態では、中間支持部材60は、ルーフ部品の例であるルーフ側機器及び伝送部材40を、シート状部材30を介して間接的に支持する例が示される。よって、本実施形態では、ルーフモジュール21は、シート状部材30を備える。ルーフ部品は、中間支持部材60に直接支持されていてもよく、その場合の例が後の実施形態2で説明される。
【0043】
シート状部材30は、ルーフパネル13とルーフ内装部材80との間で面状に広がるシート状の部材である。例えば、シート状部材30は、ルーフ内装部材80に対して8割以上の面積に広がって配設されてもよい。また、例えば、シート状部材30は、車室内の複数の乗員席のヘッドレストの上方全体に広がるように配設されてもよい。シート状部材30がルーフ内装部材80に対して広がって配設されることで、ルーフ内装部材80に対してなるべく広い領域で、伝送部材40の支持を行える。また、シート状部材30が持つ後述する機能を、ルーフ内装部材80に対してなるべく広い領域で、発揮することができる。
【0044】
シート状部材30は、断熱機能、防音機能及び電波遮蔽機能のうちの少なくとも1つを奏する層を含んでもよい。つまり、シート状部材30は、伝送部材40等を保持する機能以外に、断熱機能、防音機能、電波遮蔽機能の少なくとも1つを奏するシートであってもよい。
【0045】
例えば、シート状部材30は、不織層を含んでもよい。不織層は、複数の繊維が織られずに絡み合った層であり、シート状部材30の一方主面側及び他方主面側の間で、熱が伝わり難いようにする断熱性を奏する層の一例である。断熱層は、熱放射エネルギーを反射する層であってもよい。断熱層は、他の層よりも熱伝導率が低い層であってもよい。例えば、断熱層は、不織シートの他、発泡シート等のように、細かい隙間を含むシートが用いられてもよい。断熱層としては、断熱塗料、遮熱塗料が用いられてもよい。
【0046】
不織層は、シート状部材30の一方主面側及び他方主面側の間で、音が伝わり難いようにする防音性を奏する層の一例であるとも把握可能である。防音性を奏する層は、音を反射するものであってもよいし、音のエネルギーを熱エネルギーとして吸収するものであってもよい。例えば、防音層としては、不織シートの他、発泡シート等のように、細かい隙間を含むシートが用いられてもよい。防音層としては、吸音塗料が用いられてもよい。
【0047】
断熱層と防音層とは物理的に別の層として設けられてもよい。
【0048】
また、例えば、シート状部材30は、電波遮蔽層を含んでいてもよい。電波遮蔽層は、シート状部材30の一方主面側及び他方主面側の間で、電波が伝わり難いようにする層である。電波遮蔽層は、全ての周波数に対して電波遮蔽性を有していてもよい。電波遮蔽層は、一部の周波数帯に対して選択的な電波遮蔽性を有していてもよい。この場合、一部の周波数帯の電波は、電波遮蔽層において反射又は吸収の少なくとも一方がなされればよい。電波遮蔽層は、アルミニウム、鉄等の金属箔で形成された層であってもよい。選択的な電波遮蔽性を有する電波遮蔽層としては、周知の周波数選択膜(FSS: Frequency Selective Surface)が用いられてもよい。周波数選択膜は、例えば、樹脂等で形成されたベースフィルム上に金属箔等によってユニットセル(素子)を形成したものであってもよい。かかる周波数選択膜は、ユニットセル(素子)の周波数特性に応じて1つ又は複数の周波数帯の電波を選択的に遮蔽し、他の周波数帯の電波を通過させる性質を有する。選択的な電波遮蔽性を有する電波遮蔽層は、断熱層又は防音層に直接導電性ペースト等を印刷することによって形成されていてもよい。
【0049】
シート状部材30が電波遮蔽層を含む場合、外部通信用アンテナユニットが、電波遮蔽層に対して車外側に設けられていることが好ましい。また、シート状部材30が電波遮蔽層を含むことを前提とすると、室内側アンテナは、電波遮蔽層に対して車室内側に設けられていることが好ましい。室内側アンテナは、室内機器との間で無線通信を行うためのアンテナであってもよいし、室内機器に対して非接触給電を行うためのアンテナであってもよい。
【0050】
なお、シート状部材30が複数層を含む場合、各層は、単に重ね合されただけであってもよい。各層は、両面テープ、接着剤、溶着等によって固定されていてもよい。また、各層の重ね合せ順は、任意である。例えば、不織層の下側に電波遮蔽層が設けられてもよい。シート状部材が複数の機能層を有する場合において、複数の機能層がシート状部材の厚み方向において重なって配置されていることは必須ではない。複数の機能層は、シート状部材が広がる領域内において、異なる領域に設けられていてもよい。例えば、複数の機能層が、シート状部材が広がる領域内において横並びで設けられていてもよい。1つの機能層に対して他の機能層が部分的に設けられてもよい。
【0051】
伝送部材40は、電気又は光等を伝送する部材であり、少なくとも1端がルーフ側機器50に接続される配線経路に沿って設けられる部材である。例えば、伝送部材40は、芯線と芯線の周囲の被覆とを有する一般電線であってもよいし、裸導線、シールド線、電気ケーブル、エナメル線、ニクロム線、同軸線、光ファイバ等であってもよい。つまり、伝送部材40は、電気を伝送する線状の部材であってもよい。電気を伝送する線状の部材としては、各種信号線、各種電力線であってもよい。また、電気を伝送する線状の伝送部材は、単一の線状物であってもよいし、複数の線状物の複合物(ツイスト線、複数の線状物を集合させてこれをシースで覆ったケーブル等)であってもよい。伝送部材は、シート状部材に対する導電性塗料の塗布、銅箔に対するエッチング等によって形成されてもよい。ここで、伝送部材40が電線であることを想定した説明がなされる。
【0052】
伝送部材40はシート状部材30に設けられる。ここで、伝送部材40がシート状部材30に設けられるとは、電気又は光を伝送する媒体がシート状部材において電気又は光の経路をなすように形作られることをいう。このため、シート状部材に設けられた伝送部材40とは、当該シート状部材30に対して導電性塗料の塗布、銅箔に対するエッチング等によって直接形成される伝送部材の他、シート状部材30とは別に製造された線状の伝送部材40が、線状伝送部材のいずれか又は両方の主面等に沿って一定の経路をなすように形作った状態で取付けられた伝送部材を含む。伝送部材40の支持のための具体的構成は特に限定されない。
【0053】
例えば、伝送部材40は、シート状部材30の一主面に対して固定されていてもよい。例えば、伝送部材40は、シート状部材30の一主面に対して溶着されていてもよい。これにより形成された溶着部は、伝送部材40及びシート状部材30の少なくとも一方の一部が溶けて相互にくっついた状態となっている。伝送部材40とシート状部材30との溶着は、超音波溶着によってなされてもよいし、加熱溶着によってなされてもよい。また、伝送部材40とシート状部材30との少なくとも一方の表面が溶剤によって溶かされることで、伝送部材40とシート状部材30とが溶着されてもよい。また、例えば、伝送部材40は、シート状部材30に対して、接着剤、両面テープ等によって固定されていてもよい。また、例えば、伝送部材40は、縫糸等によって、シート状部材30に対して縫付けられていてもよい。また、例えば、伝送部材40がシート状部材30の一主面上に配設された状態で、シート状部材30の一主面の外側から伝送部材40を跨ぐように粘着テープが貼付けられることで、伝送部材40がシート状部材30の一主面に固定されていてもよい。伝送部材40は、シート状部材30の一主面のみに固定される必要は無い。伝送部材40は、シート状部材30の一方主面に固定される部分と、シート状部材30の他方主面に固定される部分とを併有していてもよい。この場合、伝送部材40は、シート状部材30の中間部又は端縁部において一方主面から他方主面に向けて通るように付設されてもよい。
【0054】
また、例えば、伝送部材40は、2つのシートの間に挟み込まれることで、シート状部材30に固定されていてもよい。例えば、シート状部材30が複数層を含む場合において、伝送部材40が各層を構成するシートの間に挟込まれていてもよい。この場合において、伝送部材40を挟込む2つのシート同士は、溶着によって固定されてもよいし、接着剤又は両面テープによって固定されてもよい。
【0055】
ここでは、伝送部材40は、シート状部材30に対して主にルーフ内装部材80側の面に設けられている。
【0056】
伝送部材40は、ルーフ側機器50に接続されている。ルーフ側機器50は、伝送部材40を介して電気信号又は光信号を送信し又は受信する。または、ルーフ側機器50は、伝送部材40を介して電力供給を受けたり、電力を分配したりする。伝送部材40とルーフ側機器50との接続は、コネクタを介して行われてもよい。伝送部材40がルーフ側機器50内に直接導入され、ルーフ側機器50内の電気要素に直接に接続されていてもよい。伝送部材40の一方の端部は、シート状部材30から引出されてもよい。伝送部材40のうち引出された端部は、ピラー等に引出され、車体においてルーフ内装部材80よりも下方の電子制御ユニット又は電源等に接続されてもよい。
【0057】
ルーフ側機器50は、ルーフパネル13とルーフ内装部材80との間に配設され、伝送部材40の接続先となる機器である。ルーフ側機器50としては、例えば、電子制御ユニット、ランプ(特にマップランプ、室内ランプ)、スピーカ、室内カメラ、モニタ、投影機器、外部通信用アンテナ、室内側アンテナ等が想定される。ルーフ側機器50の一部が室外又は室内に露出してもよい。
【0058】
ルーフ側機器50は、シート状部材30に保持されてもよいし、ルーフパネル13によって保持されてもよいし、ルーフ内装部材80によって保持されてもよい。本実施形態では、ルーフ側機器50がシート状部材30によって保持される例が示される。ルーフ側機器50がルーフパネル13又はルーフ内装部材80に設けられる場合、シート状部材30がルーフパネル13とルーフ内装部材80との間に配置された状態で、伝送部材40とルーフ側機器50とがコネクタ接続されてもよい。シート状部材30、ルーフパネル13又はルーフ内装部材80におけるルーフ側機器50の配置位置は任意である。好ましくは、ルーフ側機器50は、シート状部材30、ルーフパネル13又はルーフ内装部材80に対して、ルーフ側機器50が果す役割に適した位置に固定される。例えば、ルーフ側機器50がマップランプである場合を想定すると、当該ルーフ側機器50は、前席斜め上前方位置に配設されることになる部分に固定されてもよい。なお、ルーフ側機器50と伝送部材40とが、シート状部材30に対して互いに反対側の面に設けられる場合、伝送部材40がシート状部材を貫通してルーフ側機器50に接続されてもよい。
【0059】
ルーフ側機器50がシート状部材30に保持される場合であっても、最終的にはルーフパネル13又はルーフ内装部材80に固定されてもよい。このため、ルーフ側機器50は、シート状部材30において一定位置に保たれる程度の保持力でシート状部材30に保持されていればよい。例えば、ルーフ側機器50は、シート状部材30に対して接着剤、粘着剤、両面テープ等によって固定されてもよい。ルーフ側機器50は、ネジ止、ピン止等によってシート状部材30に固定されてもよい。ルーフ側機器50は、中間支持部材60を介してシート状部材30に固定されてもよい。この場合において、ルーフ側機器50は、中間支持部材60に対して、接着剤、粘着剤、両面テープ等によって固定されてもよいし、ネジ止、ピン止等によって固定されてもよい。
【0060】
中間支持部材60は、ルーフパネル13の車室側に配置される部材である。中間支持部材60は、ルーフパネル13に支持されることで、当該ルーフパネル13に対して一定位置に配置される。ルーフ内装部材80が、本中間支持部材60に支持される。よって、ルーフ内装部材80は、中間支持部材60を介してルーフパネル13に支持されることになる。中間支持部材60が、ルーフパネル13による支持と、ルーフ内装部材80の支持とを実現するため、中間支持部材60は、パネル側固定部70と、内装部材側固定部68とを含む。
【0061】
本実施形態では、中間支持部材60は、シート状部材30が平面的に広がるように、当該シート状部材30を支持する役割を有している。
【0062】
より具体的に説明すると、中間支持部材60は、シート状部材30よりも高剛性な長尺部材に形成されていてもよい。例えば、シート状部材30は、アルミニウム箔と不織布との積層体であり、中間支持部材60は、中身が埋った中実な樹脂(例えば、PP(ポリプロピレン)、PA(ポリアミド)等)製の板材又は棒材であってもよい。中間支持部材60は、ハニカム構造部材のように、強度を持たせつつ軽量化が図られた部材であってもよい。中間支持部材60は、鉄、アルミニウム等の金属によって形成されていてもよい。
【0063】
中間支持部材60は、シート状部材30に対して接着剤、粘着剤、両面テープ、溶着(超音波溶着、熱溶着等)等によって固定される。中間支持部材60は、ネジ止、ピン止等によってシート状部材30に固定されてもよい。ここで、中間支持部材60は、細長い長方形板状に形成されている。中間支持部材60の長さ寸法は、シート状部材30の幅寸法と同じに設定される。中間支持部材60の長さ寸法は、シート状部材30の縁が真下に垂下がらない程度で、シート状部材30の幅寸法より小さくてもよい(例えば、20cm以下の範囲で小さい)。中間支持部材60がシート状部材30のうちルーフパネル13側の面に配設される。
【0064】
本実施形態では、シート状部材30に複数(ここでは4つ)の中間支持部材60が固定される。各中間支持部材60の長手方向は、シート状部材30の幅方向に沿っている。このため、シート状部材30のうち中間支持部材60が設けられた部分は、幅方向において垂下がり難いように保たれる。
【0065】
複数の中間支持部材60は、シート状部材30に対して前後方向において間隔をあけて設けられている。このため、シート状部材30は、複数の中間支持部材60の間で折り曲げられ得る。本ルーフモジュール21を保管、運搬等する場合には、複数の中間支持部材60の間でシート状部材30を折畳むことで、ルーフモジュール21の保管スペース、運搬スペースを小さくすることができる。
【0066】
シート状部材30に対する中間支持部材60の配設領域は、例えば、中間支持部材60が取付けられる対象部分が設けられる領域である。本実施形態では、中間支持部材60は、ルーフ補強部材14の下側に設けられる。
【0067】
中間支持部材60は、ルーフパネル13に固定されるパネル側固定部70を含む。ここでは、中間支持部材60に上方に向けて突出するパネル側固定部70が設けられている。パネル側固定部70は、ルーフパネル13、ここでは、ルーフ補強部材14に固定される部分である。パネル側固定部70は、例えば、挿入によって抜け止固定されるクリップ形状部分であってもよい。例えば、パネル側固定部70は、棒状の支柱部に当該支柱部の先端部から基端部に向けて外向き傾斜する一対の羽根状の弾性片が形成された構成であってもよい。例えば、パネル側固定部70は、棒状の支柱部に傘状の弾性片が形成された、ツリー序のクリップであってもよい。パネル側固定部70は、ネジであってもよい。なお、ルーフパネル13側に突設された固定部が、中間支持部材60に形成された孔を含む固定部に固定される構成であってもよい。つまり、パネル側固定部は、孔形状であってもよい。
【0068】
中間支持部材60においてパネル側固定部70が設けられる数及び位置は任意である。パネル側固定部70は、中間支持部材60において3つ以上設けられることが好ましい。本実施形態では、4つのパネル側固定部70が、中間支持部材60の4つの角の内側に設けられる例が示される。
【0069】
シート状部材30のうち中間支持部材60が設けられる部分では、平面的な形態に保たれ易くなる。このため、シート状部材30及び当該シート状部材30に保持された伝送部材40を平面的な形態に保ちつつ、中間支持部材60をルーフパネル13に組付ける作業が容易となる。
【0070】
中間支持部材60は、ルーフ内装部材80が固定される内装部材側固定部68を含む。ここでは、中間支持部材60に下方に向けて突出する内装部材側固定部68が設けられている。なお、シート状部材30のうち内装部材側固定部68に対応する箇所には、当該内装部材側固定部68が貫通可能な開口30hが形成されている。これにより、内装部材側固定部68は、シート状部材30を貫通して下方に突出することができる。内装部材側固定部68は、パネル側固定部70と同様に、例えば、挿入によって抜け止固定されるクリップ形状部分であること、ネジであること等が想定される。なお、ルーフ内装部材80側から中間支持部材60側に向けて突出する固定部が、中間支持部材60に形成された孔に固定される構成であってもよい。つまり、内装部材側固定部68は、孔を含む形状であってもよい。
【0071】
中間支持部材60において内装部材側固定部68が設けられる数及び位置は任意である。内装部材側固定部68は、中間支持部材60において3つ以上設けられることが好ましい。内装部材側固定部68は、伝送部材40及びルーフ側機器50を避けた位置に設けられることが好ましい。本実施形態では、4つの内装部材側固定部68が、中間支持部材60の4つの角の内側(
図3ではパネル側固定部70よりも内側)に設けられる例が示される。
【0072】
<ルーフ内装部材について>
図4はルーフ内装部材80を示す分解斜視図である。
図2及び
図4に示すように、ルーフ内装部材80は、ルーフパネル13を車室側から覆う部材である。ルーフ内装部材80は、室内側に露出している。ルーフ内装部材80は、前席及び後席の上方に広がっている。車両10が3列目の座席を含む場合、ルーフ内装部材80は当該3列目の座席の上方にも広がる。車両10における座席上の空間と荷室空間とが連続している場合、ルーフ内装部材80は荷室の上方にも広がる。車両前後方向におけるルーフ内装部材80の長さは、例えば、2m以上であってもよいし、2.5mであってもよいし、3m以上であってもよい。また、車両前後方向におけるルーフ内装部材80の長さは、例えば、2m以下であってもよいし、3m以下であってもよいし、4m以下であってもよいし、5m以下であってもよい。
【0073】
ルーフ内装部材80は、複数の分割ルーフ内装部材82、84、86を備える。複数の分割ルーフ内装部材82、84、86は、ルーフパネル13の異なる領域の下方に広がった状態で、連続的に連なる連続体となってルーフパネル13を車室側から覆う形状に形成される。ルーフ内装部材80の分割数、分割ラインは任意である。本実施形態では、ルーフ内装部材80は、3つに分割されている。また、ルーフ内装部材80は、車両前後方向において複数に分割されている。このため、分割ルーフ内装部材82、84、86の境界線は、車幅方向に沿っている。分割ルーフ内装部材82が前席の上方を覆う領域に配置され、分割ルーフ内装部材84が前から2列目の座席上方を覆う領域に配置され、分割ルーフ内装部材86が2列目の座席より後方(例えば、3列目の座席、荷室)を覆う領域に配置されてもよい。これにより、前席領域、2列目座席領域、それよりも後方領域別に、ルーフ側機器50のメンテナンスを実施し易くなる。
【0074】
車両10の前後方向における分割ルーフ内装部材82、84、86の長さは、例えば、2m以下であってもよいし、1.5m以下であってもよいし、1m以下であってもよい。また、車両10の前後方向における分割ルーフ内装部材82、84、86の長さは、例えば、50cm以上であってもよいし、1m以上であってもよい。
【0075】
分割ルーフ内装部材82、84、86には、ルーフ側機器50を車室内に露出させるための開口80hが形成されてもよい。車室内に露出するルーフ側機器50としては、室内ランプ、カメラ等が想定される。
【0076】
分割ルーフ内装部材82、84、86は、中間支持部材60によって支持される。ここでは、車両前後方向において最も前側の分割ルーフ内装部材82は、最も前側の中間支持部材60により支持される。車両前後方向において前から2つ前の分割ルーフ内装部材84は、前から二つ目の中間支持部材60により支持される。車両前後方向において最も後の分割ルーフ内装部材86は、後から一つ目及び2つ目の中間支持部材60により支持される。
【0077】
複数の分割ルーフ内装部材82、84、86の境界は、複数の中間支持部材60の間に位置する。ここでは、分割ルーフ内装部材82、84の境界は、前から一つ目の中間支持部材60と前から2つ目の中間支持部材60との間に位置する。分割ルーフ内装部材84、86の境界は、前から2つ目の中間支持部材60と前から3つ目の中間支持部材60との間に位置する。このため、中間支持部材60は、分割ルーフ内装部材82、84、86の外縁よりも内寄りの位置で、分割ルーフ内装部材82、84、86を支持することができる。
【0078】
分割ルーフ内装部材82、84、86を中間支持部材60によって支持するため、分割ルーフ内装部材82、84、86には、支持ブラケット88が設けられる。支持ブラケット88は、例えば、樹脂又は金属等によって形成される。支持ブラケット88は、支持板部88aと、脚部88bとを含む。支持板部88aは、板状に形成されている。支持板部88aに、内装部材側固定部68が挿通固定される固定孔88ahが形成される。ここでは、支持板部88aに2つの固定孔88ahが形成される。支持板部88aから分割ルーフ内装部材82、84、86側に向けて脚部88bが延出している。脚部88bの下端部が分割ルーフ内装部材82、84、86の上向き面に固定される。分割ルーフ内装部材82、84、86に対する脚部88bの固定は、ねじ止、嵌込構造、溶着等によってなされ得る。ここでは、1つの支持板部88aの両端に一対の脚部88bが設けられるが、1つの支持板部88aに対して1つの脚部88bが設けられる構成であってもよい。
【0079】
2つの支持ブラケット88が、車幅方向において離れた位置で、分割ルーフ内装部材82に固定される。この固定状態で、支持ブラケット88における2つの固定孔88ahは、車両の前後方向に並ぶ。これにより、分割ルーフ内装部材82に固定された2つの支持ブラケット88によって、中間支持部材60側の4つの内装部材側固定部68を挿通固定可能な固定孔88ahが形成される。
【0080】
分割ルーフ内装部材84に対しても同様に2つの支持ブラケット88が固定される。分割ルーフ内装部材86に対しても同様に4つの支持ブラケット88が固定され、2つの中間支持部材60側の合計8つの内装部材側固定部68を挿通固定可能な固定孔88ahが形成される。支持ブラケット88によって、中間支持部材60とルーフ内装部材80との間にルーフ側機器50を配置可能な空間を確保し易い。
【0081】
分割ルーフ内装部材82、84、86における支持ブラケット88の数、位置は、中間支持部材60における内装部材側固定部68の数、位置に応じて適宜設定される。
【0082】
内装部材側固定部68が挿通される固定孔88ahが支持ブラケット88の追加によって設けられることは必須ではない。分割ルーフ内装部材82に直接固定孔が形成されてもよい。また、既に述べたように、分割ルーフ内装部材82に固定用の突出部が形成され、中間支持部材60に当該突出部を挿通するための孔が形成される場合もある。
【0083】
分割ルーフ内装部材82、84、86が中間支持部材60に固定された状態で、分割ルーフ内装部材82、84、86の縁が車室に露出する内装部材の上端によって押え付けられていてもよい。例えば、ピラーの内側の内装部材等によって、分割ルーフ内装部材82、84、86がルーフパネル13に向けて押付けられていてもよい。
【0084】
分割ルーフ内装部材82、84、86が中間支持部材60に固定された状態で、分割ルーフ内装部材82、84、86の境界における縁同士が、それらの厚み方向において重なり合っていてもよい。ここでは、車両の前後方向中間の分割ルーフ内装部材84の前縁が前側の分割ルーフ内装部材82の後縁の上に重なり、車両の前後方向中間の分割ルーフ内装部材84の後縁が後側の分割ルーフ内装部材86の前縁の上に重なる例が示される。重なりの上下関係は逆であってもよい。また、分割ルーフ内装部材82、84、86の縁同士が重なっていることは必須ではない。
【0085】
図5に、分割ルーフ内装部材82、84、86の縁同士が重なり合った例が模式的に示される。同図では、分割ルーフ内装部材82の後縁の下向き部分に、段部82sを介して凹む凹部82pが形成される。分割ルーフ内装部材86の前縁の下向き部分に、段部86sを介して凹む凹部86pが形成される。段部82s、86sの段差は同じに設定されており、分割ルーフ内装部材84は、段部82s、86sの段差と同じ程度の厚みに形成されている。これにより、分割ルーフ内装部材82、84、86の室内向き面がなるべく同一平面上に配置されるようになる。
【0086】
図5の(a)に示すように、分割ルーフ内装部材82、84、86が中間支持部材60に支持された結果、分割ルーフ内装部材82、84、86が比較的近い位置関係となる場合には、分割ルーフ内装部材84の前縁及び後縁が、凹部82p、86p内において段部82s、86sに近い位置に配置される。これに対して、
図5の(b)に示すように、分割ルーフ内装部材82、84、86が中間支持部材60に支持された結果、分割ルーフ内装部材82、84、86が(a)に示す場合よりも、比較的遠い位置関係となる場合には、分割ルーフ内装部材84の前縁及び後縁が、凹部82p、86p内において段部82s、86sから離れた位置に配置される。
【0087】
上記のような分割ルーフ内装部材82、84、86の相互間の位置ずれは、製造誤差、組付誤差等に起因する、ルーフパネル13に対する中間支持部材60の位置ずれ、中間支持部材60に対する分割ルーフ内装部材82、84、86の位置ずれによって生じ得る。いずれの場合において、分割ルーフ内装部材82、84、86の縁同士が上下に重なり合っており、平面視において分割ルーフ内装部材82、84、86の間に隙間が観察され難いようになる。
【0088】
図6に示すように、分割ルーフ内装部材82、84、86のいずれかの縁に斜面が形成されていてもよい。例えば、分割ルーフ内装部材82の後縁に斜面82gが形成され、分割ルーフ内装部材84の前縁に斜面84gが形成される。対向し合う斜面82g、84gは互いに平行な面とされている。
【0089】
この場合、
図6(b)に示すように、分割ルーフ内装部材82、84が設計上の理想的な位置関係で隣合うと、斜面82gと斜面84gとが全体的に接触し合うことができる。
図6(a)に示すように、分割ルーフ内装部材82、84が
図6(b)に示す位置関係よりも近づいていると、互いの斜面82gと斜面84gが相互に乗上げた状態となるが、分割ルーフ内装部材82、84の間に隙間が観察され難い。
図6(c)に示すように、分割ルーフ内装部材82、84が
図6(b)に示す位置関係よりも遠くなっても、斜面82gと斜面84gとは平面視において重なり合う位置関係に存在し得、従って、平面視において隙間は観察され難い。この場合において、分割ルーフ内装部材82、84のいずれかの上下位置を調整すれば、斜面82gと斜面84gとを接触させることができる。
【0090】
なお、分割ルーフ内装部材82、84、86が重なり合っている場合、分割ルーフ内装部材82、84、86のうち車室側に重なっているものを容易に車室側に取外すことができる。分割ルーフ内装部材82、84、86のうちルーフパネル13側に重なっているものについても、分割ルーフ内装部材82、84、86を弾性変形させたり、前後にずらしたりすることで、車室側に容易に取外すことができる。
【0091】
<ルーフパネルに対する中間支持部材及びルーフ内装部材の支持構造について>
図7はルーフパネル13に対する中間支持部材60及び分割ルーフ内装部材82の支持構造を示す概略断面図である。
図7では分割ルーフ内装部材84、86が中間支持部材60を介してルーフパネル13に支持される部分が示される。説明の便宜上、各部の寸法が誇張又は矮小化されている場合がある。また、ルーフ側機器50の一部が省略されている。
【0092】
図7において、ルーフパネル13のパネル本体13aを補強するルーフ補強部材14が示される。同図に示すように、中間支持部材60は、ルーフ補強部材14に対してパネル側固定部70を介して固定されている。中間支持部材60に対してルーフ内装部材80側にシート状部材30が位置している。パネル本体13aに開口13hが形成される場合、ルーフ補強部材14は、開口13hに至る途中部分までに形成されてもよいし、当該開口13hを迂回するように途中で曲っていてもよい。
【0093】
シート状部材30に対してルーフ内装部材80側の面に、ルーフ側機器50等が保持されている。ルーフ側機器50の一部は、シート状部材30の下面とルーフ内装部材80との間に配置される。ルーフ側機器50の他の一部は、ルーフ内装部材80に形成された開口80hに嵌め込まれ、車室内に露出している。シート状部材30に対してルーフパネル13側の面に、他のルーフ側機器50(例えば、外部通信用アンテナユニット)が設けられる。ルーフ側機器50とシート状部材30との間の中間支持部材60は、ルーフ側機器50の外側方でルーフ補強部材14にパネル側固定部70を介して固定されるとよい。シート状部材30の上側のルーフ側機器50は、ルーフパネル13に形成された開口13hを介して外部に露出する。
【0094】
シート状部材30は、ルーフ内装部材80とルーフパネル13との間に配設される。上記したようにシート状部材30は、断熱機能、防音機能及び電波遮蔽機能のうちの少なくとも1つを奏する層を含む。
図7では、シート状部材30は、不織層32及び電波遮蔽層34を含む。ここでは、シート状部材30は、下側から上側に向けて、不織層32及び電波遮蔽層34が重ね合された多層構造を有する。
【0095】
分割ルーフ内装部材82、84、86が中間支持部材60を介してルーフパネル13に支持される。例えば、上記したように、分割ルーフ内装部材82、84、86に支持ブラケット88が固定される。支持ブラケット88が、中間支持部材60の下側に配置された状態で、中間支持部材60の内装部材側固定部68が、支持ブラケット88に形成された固定孔88ahに挿入固定される。これにより、分割ルーフ内装部材82、84、86が中間支持部材60に固定される。
【0096】
なお、分割ルーフ内装部材82、84、86のうち車室側の面に、取っ手81が形成されていてもよい。取っ手81は、人の手が掴みやすいような形状、例えば、扁平なU字状、環状、L字状等に形成されている。作業者が、この取っ手81を掴んで車室側に引っ張ることで、内装部材側固定部68が固定孔88ahから容易に引抜かれ得る。これにより、分割ルーフ内装部材82、84、86の取外し作業が容易に行われ得る。
【0097】
なお、分割ルーフ内装部材82、84、86の全てが中間支持部材60を介してルーフパネル13に支持される必要は無い。
【0098】
<効果等>
本実施形態によると、複数の分割ルーフ内装部材82、84、86は、ルーフパネル13の異なる領域に広がった状態で、連続的に連なる連続体となって、ルーフパネル13を車室側から覆うことができる。このため、複数の分割ルーフ内装部材82、84、86の一部を剥がして、ルーフパネル13とルーフ内装部材80との間に配置される伝送部材40、ルーフ側機器50のメンテナンスを行うことができる。メンテナンスとしては、不具合のある伝送部材40、ルーフ側機器50の交換、修理等が想定される。これにより、ルーフパネル13とルーフ内装部材80との間に配置される伝送部材40、ルーフ側機器50のメンテナンス性の向上を図ることができる。また、ルーフパネル13とルーフ内装部材80との間において、伝送部材40、ルーフ側機器50の追加も容易に行われ得る。
【0099】
また、複数の分割ルーフ内装部材82、84、86の境界における縁同士が重なり合っている。このため、分割ルーフ内装部材82、84、86の組付位置誤差が生じたような場合においても、分割ルーフ内装部材82、84、86の境界で隙間が生じ難くなる。
【0100】
また、複数の分割ルーフ内装部材82、84、86を備えるルーフ内装部材80と、ルーフパネル13に取付可能な中間支持部材60とを備える内装部材付ルーフモジュール20において、複数の分割ルーフ内装部材82、84、86のうちの少なくとも1つが中間支持部材60を介してルーフパネル13に支持される。このため、分割ルーフ内装部材82、84、86のうちの少なくとも1つが中間支持部材60を介して容易に、また、しっかりとルーフパネル13に支持される。
【0101】
また、ルーフ側機器50及び伝送部材40のうちの少なくとも1つが中間支持部材60に支持される。このため、中間支持部材60によって、分割ルーフ内装部材82、84、86の支持と、ルーフ側機器50と伝送部材40とのうちの少なくとも1つの支持とが行われ、構成の簡易化が可能となる。中間支持部材60が、ルーフ内装部材80を支持する機能と、ルーフ側機器50と伝送部材40とのうちの少なくとも1つを支持する機能との両方を持つことによって構成の簡易化が図られることに着目すると、ルーフ内装部材80が複数の分割ルーフ内装部材82、84、86に分割されていることは必須ではない。
【0102】
中間支持部材60は、シート状部材30を平面的に広がるように支持しているため、シート状部材30がルーフパネル13の車室側に容易に組込まれる。
【0103】
また、複数の分割ルーフ内装部材82、84、86の境界が、複数の中間支持部材60の間に位置している。このため、分割ルーフ内装部材82、84、86の外縁よりも内側の中間部分を、中間支持部材60によってしっかりと支持できる。
【0104】
<変形例等>
実施形態1を前提として各種変形例について説明する。
【0105】
図8及び
図9は中間支持部材60に設けられた可動支持部164によって固定部170を位置調整可能に支持する変形例を示す図である。
図10は固定部170を示す断面図である。
【0106】
なお、固定部170は、パネル側固定部であってもよいし、ルーフ側固定部であってもよい。固定部170が中間支持部材60に対して上を向いていればパネル側固定部として利用できる。固定部170が下を向いていればルーフ側固定部として利用できる。
【0107】
本変形例では、中間支持部材60は、固定部170を、ルーフパネル13又はルーフ内装部材80が広がる方向において位置調整可能に支持する可動支持部164を含む。このため、固定部170は、中間支持部材60によって、ルーフパネル13又はルーフ内装部材80が広がる方向において位置調整可能に支持されている。
【0108】
より具体的には、中間支持部材60に形成された可動支持部164は、保持孔164hを含む。保持孔164hは、中間支持部材60のうち板状部分161に形成されている。すなわち、中間支持部材60にその主面方向に沿って広がる板状部分161が設けられる。板状部分161は、中間支持部材60のうちシート状部材30を保持する本体部分に一体形成された部分であってもよいし、当該本体部分に対して別途溶着、接着、ネジ止、嵌込構造等によって取付けられた部分であってもよい。
【0109】
板状部分161の縁から内側に向う位置に保持孔164hが形成されている。保持孔164hは円孔状に形成されている。保持孔164hから板状部分161の縁に向うようにスリット状の導入部165が形成されている。導入部165は、板状部分161の縁から保持孔164hに向けて徐々に狭まる一対のガイド縁165aを含む。一対のガイド縁165aから離れた部分に逃し用開口165hが形成されている。このため、一対のガイド縁165aは、逃し用開口165hを狭めて、一対のガイド縁165a間を広げるように、弾性変形することができる。
【0110】
板状部分161に対して間隔をあけて補助板状部分166が形成されている。補助板状部分166のうち保持孔164hと対向する部分に孔167が形成されている。板状部分161と補助板状部分166との間において、上記保持孔164hの周辺部には、後述する頭部174を配置可能な隙間が設けられている。補助板状部分166は省略されてもよい。
【0111】
固定部170は、嵌込本体部173と、嵌込状態保持ピン177とを備える。
【0112】
嵌込本体部173は、樹脂等で形成された部材であり、頭部174と、挿入部175とを備える。頭部174は、円板状に形成されている。挿入部175は、頭部174の一方主面から突出する形状に形成されている。より具体的には、挿入部175は、円筒状に形成されている。挿入部175には、その軸方向沿ったスリット175Sが複数形成されている。挿入部175の先端部175eは、内側に向う形状に形成されている。挿入部175は、その先端側を広げるように変形することができる。
【0113】
上記頭部174に開口174hが形成されている。嵌込状態保持ピン177は、開口174hから挿入部175内に嵌め込まれている。嵌込状態保持ピン177は、ピン頭部178と、柱状部179とを含む。ピン頭部178は開口174h内に配置可能な円板状に形成されている。柱状部179は、ピン頭部178から突出する長尺形状に形成されている。ピン頭部178の先端部は、先端側から基端側に向って徐々に太くなる第1ガイド面179aに形成されている。ピン頭部178の長手方向中間部は、その周方向に沿って内側に凹む溝部179bに形成されている。この溝部179bに上記挿入部175の先端部175eが嵌込まれる。また、ピン頭部178の基端部は、先端側から基端側に向って徐々に細くなる第2ガイド面179cに形成されている。
【0114】
上記補助板状部分166における孔167は、ピン頭部178の外径よりも大きい外径に形成されている。
【0115】
初期状態では、嵌込状態保持ピン177におけるピン頭部178は、嵌込本体部173における頭部174よりも外方に突出した状態となっている。この固定部170における挿入部175の基端部が上記保持孔164h内に保持されると共に、頭部174が板状部分161と補助板状部分166との間に配設されることで、固定部170が中間支持部材60に対して支持される。この状態で、挿入部175は、保持孔164hと導入部165との間の狭隘部によって保持孔164hから脱しないように保持される。この状態で、固定部170は、保持孔164h内で動ける範囲で、ルーフパネル13、ルーフ内装部材80の広がる方向において位置調整可能とされる。
【0116】
固定部170がパネル側固定部であるとして、中間支持部材60がルーフ補強部材14に固定される際には、挿入部175がルーフ補強部材14に形成された固定孔14hに嵌め込まれる。この後、嵌込状態保持ピン177が嵌込本体部173に向けて押込まれる。すると、挿入部175の先端部175eがピン頭部178の第1ガイド面179aによって外向きに押出される。これにより、挿入部175の先端部の外向き部分が、ルーフ補強部材14に形成された固定孔14hに抜け止するように引っかかり又は接触した状態となる。嵌込状態保持ピン177がさらに押込まれ、挿入部175の先端部175eがピン頭部178の溝部179b内に嵌り込むことで、固定部170がルーフ補強部材14に形成された固定孔14hに嵌め込まれた状態に保たれる。この状態で、ピン頭部178の外向き面は、頭部174の外向き面の延長上に位置していてもよい。これにより、ピン頭部178が不用意に押込まれ難くなる。
【0117】
上記状態からピン頭部178をさらに押込むと、挿入部175の先端部175eとピン頭部178の溝部179bとの嵌り込み状態が解除され、挿入部175の先端部175eがピン頭部178の第2ガイド面179cに対し内向きに退避可能な状態となる。これにより、挿入部175の先端部の外向き部分と、固定孔14hとの引っかかり又は接触状態が解消され、固定部17が固定孔14hから離脱可能となる。かかる構成によって、中間支持部材60を補強部材に容易に取付けることができ、また、容易に取外すことができる。なお、シート状部材30に孔を形成してピン頭部178を押すとよい。
【0118】
固定部170が内装部材側固定部68であるとしても、上記と同様に、固定部170を、分割ルーフ内装部材82、84、86側の支持ブラケット88に形成された固定孔88ahに挿入固定することができる。
【0119】
なお、実施形態1でも述べたように、ルーフ補強部材14と中間支持部材60との関係において、いずれに突出する固定部が設けられ、いずれに当該突出する固定部が嵌込固定される孔を含む固定部が設けられるかは任意である。中間支持部材60と分割ルーフ内装部材82、84、86との関係においても、いずれに突出する固定部が設けられ、いずれに当該突出する固定部が嵌込固定される孔を含む固定部が設けられるかは任意である。
【0120】
パネル側固定部又は内装部材側固定部が、孔を含む固定部である場合、
図11に示すように、孔としての固定部260が可動支持部164によって位置調整可能に支持されてもよい。
【0121】
図11に示す例では、固定部260は、頭部261と筒部262とを含む。固定部260に、固定孔260hとして、筒部262から頭部261に貫通する孔が形成される。頭部261は、筒部262の一端部から外周側に突出している。筒部262が可動支持部164における保持孔164h内に保持されると共に、頭部261が板状部分161と補助板状部分166との間に配設される。これにより、筒部262が保持孔164h内を動ける範囲で、固定孔260hを有する固定部260が位置調整可能に支持される。
【0122】
図11に示す固定部260が中間支持部材60に設けられている場合、
図12に示すように、分割ルーフ内装部材82、84、86の支持ブラケット88に上向きに突出する固定部270が設けられていてもよい。固定部270は、例えば、支柱部271に弾性変形可能な弾性片272が設けられた構成であってもよい。弾性片272は、支柱部271の外側に向うのに連れて先端側から基端部に向う方向に延在し、かつ、弾性変形可能な部分である。固定部270が固定孔260hに挿入されると、弾性片272が支柱部271側に弾性変形することができる。弾性片272が固定孔260hを抜けると、元の形状に弾性復帰して、固定孔260hに抜け止係止することができる。本例では、分割ルーフ内装部材82、84、86に、大きな抜け方向の力を加えることによって固定部270が固定孔260hから抜出ることができる。
【0123】
上記可動支持部164が分割ルーフ内装部材82、84、86に設けられ、当該分割ルーフ内装部材82、84、86において、突出する固定部又は孔を含む固定部が位置調整可能に支持されていてもよい。
【0124】
このように、分割ルーフ内装部材82、84、86と中間支持部材60との少なくとも一方が、固定部170、260を位置調整可能に支持していれば、突出する固定部又は当該固定部を抜け止係止する固定孔を有する固定部との相対的な位置関係に製造誤差等が生じたとしても、突出する固定部を、固定孔に容易に挿入固定することができる。このため、分割ルーフ内装部材82、84、86が中間支持部材60に容易に固定される。
【0125】
また、
図13に示す変形例のように、分割ルーフ内装部材82、84、86及び中間支持部材60の一方に位置決め凹部310が形成され、他方に位置決め凸部320が形成されてもよい。位置決め凹部310は、車両前後において対向する一対の内側面を有していてもよいし、車両幅方向において対向する一対の内側面を有していてもよいし、車両の前後方向の全体を囲む面を有していてもよい。位置決め凸部320は、位置決め凹部310の内面に接触することによって、ルーフ内装部材80が広がる少なくとも方向において、中間支持部材60に対して分割ルーフ内装部材82、84、86を位置決めする。
【0126】
図13では、中間支持部材60に位置決め凹部310が形成される。位置決め凹部310は、例えば、角穴に形成される。また、一例として分割ルーフ内装部材86に位置決め凸部320が形成される。本例では、支持ブラケット88に位置決め凸部320が突設される。位置決め凸部320は、位置決め凹部310に嵌ることができる角柱状に形成される。なお、シート状部材30のうち位置決め凹部310が形成された部分には孔が形成される。
【0127】
そして、位置決め凸部320が位置決め凹部310に嵌め込まれることで、ルーフ内装部材80が広がる方向において中間支持部材60に対して分割ルーフ内装部材86が位置決めされる。これにより、分割ルーフ内装部材82、84、86が中間支持部材60に対する位置が補正され、分割ルーフ内装部材82、84、86が設計上の予定位置に支持され易くなる。位置決め凸部320及び位置決め凹部310の組合せは複数設けられてもよい。
【0128】
なお、上記凹凸関係が逆である場合、即ち、中間支持部材60に位置決め凸部が形成され、分割ルーフ内装部材82、84、86側に位置決め凹部が形成される場合もある。
【0129】
[実施形態2]
実施形態2に係るルーフ内装部材、内装部材付ルーフモジュール、ルーフモジュールについて説明する。なお、本実施形態1の説明において、実施形態2で説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0130】
<全体構成について>
図14は内装部材付ルーフモジュール420を示す斜視図である。
図14においてルーフパネル13に対応するルーフパネル413が示される。ルーフ内装部材80が2点鎖線で示される。
図15はルーフパネル413に取付前のルーフモジュール421を示す斜視図である。
図14及び
図15はルーフパネル413を斜め下から見た図である。
図16はルーフモジュール421を示す斜視図である。
図16はルーフモジュール421を斜め上方から見た図である。
【0131】
ルーフパネル413の下向き面には、受部414及びパネル側配線保持部415が設けられる。受部414は、中間支持部材460を固定するための部材である。パネル側配線保持部415は、伝送部材40のうち中間支持部材460の外方に延びる部分を保持するための部材である。ルーフパネル413のパネル本体部413aが金属である場合、金属で形成された受部414及びパネル側配線保持部415がパネル本体部413aの下向き面に溶接されていてもよい。受部414及びパネル側配線保持部415は、車両において、ルーフを横断するように設けられる補強材(ルーフリンホース又はルーフ用ステイ等などとも呼ばれる)に設けられてもよい。
【0132】
本実施形態では、受部414は、ルーフパネル413の幅方向に沿って延びる細長い部材である。受部414は、ルーフリンホース又はルーフ用ステイ等などと呼ばれる補強材とは別に設けられたブラケットであってもよい。受部414の延在方向に沿った両端部414aは、ルーフパネル413の内面に溶接等によって固定されている。受部414の延在方向に沿った中間部414bは、ルーフパネル413と間隔をあけるように両端部414aよりも下方に位置する。受部414は、細長い板材が曲げ加工されるなどして形成される。当該中間部414bに中間支持部材460が固定される。例えば、中間部414bに貫通孔414cが形成される。当該貫通孔414cにパネル側固定部470が挿入されるなどして、中間支持部材460が受部414に固定される。中間支持部材460は、受部414を介してルーフパネル413に吊り下げ支持される。ここでは、ルーフパネル413の前後方向において間隔をあけた一対の受部414によって、1つの中間支持部材460が支持される。1つの受部414によって、1つの中間支持部材460が支持されてもよい。貫通孔414cは、受部414の延在方向において間隔をあけて複数設けられる。
【0133】
パネル側配線保持部415は、伝送部材40の経路上に設けられる。伝送部材40のうち中間支持部材460から延び出た部分は、例えば、車両の幅方向に沿って中間支持部材460よりも外側の縁を通りつつ、車両の前後方向に沿って車両の前方に向けて延びる。パネル側配線保持部415は、車両の幅方向に沿って受部414よりも外側の縁に近い位置に設けられる。伝送部材40の経路上において、例えば、パネル側配線保持部415は、中間支持部材460に対応する位置に設けられる。パネル側配線保持部415は、ルーフパネル413の前後方向において中間支持部材460と同じかそれよりも若干前方に設けられる。これにより、パネル側配線保持部415は、伝送部材40において中間支持部材460から延び出た部分のうち、中間支持部材460に近い部分を保持することができる。特に、パネル側配線保持部415は、伝送部材40において中間支持部材460から側方に延び出た後に前後方向に曲がる部分に近い部分を保持することができる。
【0134】
パネル側配線保持部415は、ルーフパネル413に固定される固定部415aと、伝送部材40を保持する保持部415bとを有する。本実施形態では、固定部415aは、ルーフパネル413に沿って広がる板状に形成されている。保持部415bは、固定部415aから下方に延びる板状に形成されている。保持部415bには、伝送部材40を収容する凹部415cが形成されている。凹部415cは、側方に開口する。当該開口部から伝送部材40が凹部415c内に収容される(
図14参照)。伝送部材40は凹部415cの底壁に支持されることによって、保持部415bに保持される。伝送部材40のうち中間支持部材460の外方を延びる部分は、パネル側配線保持部415を介してルーフパネル413に吊り下げ支持される。開口部は、凹部415cの高さ方向に沿って凹部415cよりも小さくされている。開口部は、高さ方向に沿って凹部415cの上方に設けられる。開口部の下方に凹部415cの側壁が設けられる。これにより、伝送部材40が開口部を通じて凹部415cから抜けるのが抑制される。凹部415cにおいて、幅方向の寸法が高さ方向の寸法よりも大きい。これにより、パネル側配線保持部415は、複数の伝送部材40を扁平な態様で保持することができる。
【0135】
本実施形態では、中間支持部材460、受部414及びパネル側配線保持部415の組合せによって構成されるルーフモジュール421が、ルーフパネル413に複数組(本実施形態では、3組)設けられている。3つの中間支持部材460を支持できるように、受部414が三対設けられている。3つの中間支持部材460は、車両の前後方向に分かれて配置される。三対の受部414は、車両の前後方向に分かれて配置される。パネル側配線保持部415は、ルーフパネル413の前後方向において間隔をあけて複数(ここでは、3つ)設けられる。3つのパネル側配線保持部415のうち少なくとも1つ(ここでは車両の前側のパネル側配線保持部415)には、3つの中間支持部材460からの伝送部材40がまとめて固定される。
【0136】
ルーフ内装部材80は、実施形態1で説明したものと同じであってもよい。
【0137】
<中間支持部材を含むルーフモジュールについて>
中間支持部材を含むルーフモジュール421について、より具体的に説明する。
図14から
図16に示すように、ルーフモジュール421は、ルーフ側機器50と伝送部材40と中間支持部材460とを備える。伝送部材40は、各ルーフ側機器50から延びる。ルーフ側機器50及び伝送部材40が中間支持部材460に固定される。中間支持部材460は、ルーフパネル413に固定される。ルーフ側機器50及び伝送部材40は、中間支持部材460を介してルーフパネル413に固定される。中間支持部材460は、ルーフ側機器50及び伝送部材40を支持しつつルーフパネル413に固定された状態で、所定の形状を保つことができる剛性を有しているとよい。ルーフ内装部材80は、上記実施形態1と同様に、中間支持部材460に固定される。
【0138】
中間支持部材460は、ルーフ側機器50の仕様、種類及び数等の設計変更に柔軟に対応可能とされる。1つの中間支持部材460に、ルーフ側機器50は、少なくとも1つ設けられることが想定される。ここでは1つの中間支持部材460に、複数(ここでは3つ)のルーフ側機器50が設けられる。中間支持部材460におけるルーフ側機器50の配置位置は任意である。またルーフモジュール421がルーフパネル413に組付けられた状態で、ルーフパネル413におけるルーフ側機器50の配置位置は任意である。
【0139】
伝送部材40の一端部はルーフ側機器50に接続されている。伝送部材40の他端部は、一端部のルーフ側機器50とは別の機器(例えば、他のルーフ側機器50、電子制御ユニット又は電源等)に向けて延びる。伝送部材40のうちルーフ側機器50から延び出た部分が中間支持部材460に保持される。伝送部材40のうち中間支持部材460から延び出た部分がルーフパネル413に保持される。伝送部材40のうちルーフパネル413に保持される部分よりも他端部側の部分は、ピラー等に引出され、車両においてルーフ内装部材80よりも下方の機器に接続されてもよい。
【0140】
中間支持部材460は、複数の機器固定部452と、パネル側固定部470と、内装部材側固定部468とを備える。各ルーフ側機器50は、複数の機器固定部452から選択されたいずれかの機器固定部452に固定されている。中間支持部材460、パネル側固定部470によってルーフパネル413に固定される。ここでは中間支持部材460は、配線保持部454をさらに含む。伝送部材40のうち各ルーフ側機器50から延び出た部分が配線保持部454に保持されている。ここでは、中間支持部材460は、細長い長方形板状に形成されている。中間支持部材460の長尺方向が車両の幅方向に沿うように、中間支持部材460が車両に配置される。中間支持部材460の長尺方向が車両の前後方向に沿うように、中間支持部材460が車両に配置されてもよい。
【0141】
複数の機器固定部452として、中間支持部材460の表面に複数の固定穴453が形成されている。各ルーフ側機器50が、複数の固定穴453から選択されたいずれかの固定穴453の組を用いて固定されている。ルーフ側機器50が中間支持部材460に固定された状態で、ルーフ側機器50の固定に用いられていない固定穴453(ルーフ側機器50の固定の際に選択されなかった固定穴453)が存在する。ここでは固定穴453を用いて、ルーフ側機器50と中間支持部材460とがネジ止めされている。固定穴453にクリップが挿し込まれるなどして、ルーフ側機器50と中間支持部材460とが固定されていてもよい。
【0142】
複数の固定穴453が規則的に形成された領域が3つ設けられている。各領域において、複数の固定穴453は第1方向と、第1方向に交差する第2方向とに並んでいる。第1方向及び第2方向は任意である。ここでは第1方向は中間支持部材460の長尺方向であり、第2方向は第1方向と直交する方向である。第1方向における固定穴453の間隔及び第2方向における固定穴453の間隔は任意である。ここでは第1方向における固定穴453の間隔は、等間隔である。第2方向における固定穴453の間隔は、等間隔である。第1方向における固定穴453の間隔と第2方向における固定穴453の間隔とは等しい。3つの領域は、第1方向に沿って並んでいる。第1方向における領域の間隔は、第1方向における固定穴453の間隔よりも大きい。
【0143】
上記3つの領域のそれぞれにルーフ側機器50が固定される。このため、1つの中間支持部材460に対して、3つのルーフ側機器50が中間支持部材460の長手方向に沿って分かれて配置されている。複数の領域に跨って配置される機器があってもよい。複数の領域の固定穴453が1つの機器の固定に用いられてもよい。中間支持部材460の長手方向が車両の幅方向に沿うように中間支持部材460が車両に配置される場合、1つの中間支持部材460に設けられる複数のルーフ側機器50が、車両の幅方向に分かれて配置される。
【0144】
図16には、ネジS及びナットを用いて、ルーフ側機器50が機器固定部452に固定されている例が示されている。ルーフ側機器50の筐体には、固定片432が設けられている。固定片432には、固定穴が形成されている。ネジSが固定穴を貫通した状態で、ネジSの先端部にナットが締結されることによって、ルーフ側機器50及び機器固定部452が固定される。固定穴のいずれかに雌ネジが形成されている場合、ナットは省略されてもよい。ルーフ側機器50及び機器固定部452の固定態様は、ネジS及びナットによるネジ締結以外の固定態様であってもよい。例えば、固定片432にクリップが下向きに突設されており、当該クリップが機器固定部452に形成された固定穴453に抜け止状態で係止する構成であってもよい。また例えば、機器固定部452に設けられた凸部が固定片432に形成された固定穴433に係止してもよい。その他、リベット止等によって、ルーフ側機器50が機器固定部452に固定されてもよい。
【0145】
上記したようにルーフ側機器50が固定される領域には、複数の固定穴453が第1方向及び第2方向に並んで形成されているため、固定対象となるルーフ側機器50の大きさに合わせた固定穴を利用して、当該ルーフ側機器50を固定することができる。これにより、種々の大きさのルーフ側機器50を中間支持部材460に固定することができる。
【0146】
パネル側固定部470として、中間支持部材460を厚み方向に貫通する貫通孔が形成されている。貫通孔は、受部414の貫通孔414cに対応する位置に形成される。そして、ネジSが貫通孔414c、パネル側固定部470を貫通した状態で、ネジSの先端部にナットが締結されることによって、受部414及びパネル側固定部470が固定される。ここではパネル側固定部470は、機器固定部452よりも中間支持部材460の側縁部に近い位置に設けられる。中間支持部材460の両側縁部において、複数(ここでは4つ)のパネル側固定部470が、中間支持部材460の長尺方向に沿って並んでいる。4つのパネル側固定部470のうち2つは、3つの領域の間に設けられる。4つのパネル側固定部470のうち残りの2つは、3つの領域の外側に設けられる。
【0147】
ここでは、配線保持部454は、中間支持部材460の表面に形成された溝である。配線保持部454には、伝送部材40が収容されている。配線保持部454の溝開口に突起を形成し、この突起が配線保持部454の上部開口からの伝送部材40の抜けを抑制するようにしてもよい。
【0148】
ここでは複数のルーフ側機器50のすべてが、中間支持部材460の上面に配置されている。複数のルーフ側機器50の一部又はすべてが、中間支持部材460の下面に配置されてもよい。
【0149】
複数のルーフ側機器50の伝送部材40は、配線保持部454を通って、まとまって中間支持部材460から延び出る。これにより、ルーフ側機器50の数によらず、複数のルーフ側機器50の伝送部材40を1つの配線群として扱うことができる。
【0150】
中間支持部材460は、上記中間支持部材60と同様に高剛性な部材であってもよい。
【0151】
中間支持部材460は、内装部材側固定部68と同様の内装部材側固定部468を備える。内装部材側固定部468は、分割ルーフ内装部材82、84、86における固定部(固定孔88ah参照)に対応する位置に形成される。
図14及び
図15では、4つの内装部材側固定部468が中間支持部材460の下面であって4つの角の内側に設けられる。そして、上記実施形態2と同様に、各内装部材側固定部468が分割ルーフ内装部材82、84、86側の固定孔88ahに挿入固定されることによって、分割ルーフ内装部材82、84、86が中間支持部材460によって支持される。
【0152】
<効果等>
本実施形態2によると、中間支持部材460が、ルーフ側機器50及び伝送部材40のうちの少なくとも一方を直接保持している。また、中間支持部材460が、パネル側固定部470と内装部材側固定部468とを含む。このため、分割ルーフ内装部材82、84、86が中間支持部材460を介して容易にルーフパネル413に支持される。その他、シート状部材30を備えることによる作用効果を除き、上記実施形態1と同様の作用効果を奏することができる。
【0153】
また、各ルーフ側機器50が複数の機器固定部452から選択されたいずれかの機器固定部452に固定されているため、ルーフ側機器50の取付位置の変更、ルーフ側機器50の仕様の変更、又はルーフ側機器50の増設などに容易に対応することができる。
【0154】
また、例えば、中間支持部材460には、種類を変えてルーフ側機器50を保持することが可能である。このため、車両に組付けられたルーフモジュール421を製造するにあたって次の方法を採用することができる。
【0155】
まず、
図17に示すように、支持されるルーフ部品(特にルーフ側機器50)の有無、支持されるルーフ部品(特にルーフ側機器50)の種類に応じて区別される複数種の中間支持部材460を準備する。
図17では、中間支持部材460の例として支持されるルーフ側機器50の種類又は個数が異なる中間支持部材460(1)、460(2)、460(3)が示される。また、中間支持部材460の例としてルーフ側機器50が無い中間支持部材460(4)が示される。また、中間支持部材460の例として、ルーフ側機器50が無く、さらに、ルーフ側機器50を固定するための固定穴453が無い中間支持部材560が示される。
【0156】
ルーフモジュール21の組付対象となる車種、グレード、オプションの有無等に応じて、ルーフパネル413とルーフ内装部材80との間に配置されるべきルーフ側機器50の有無、種類が決る。決められたルーフ側機器50の有無、種類に応じて、上記複数種の中間支持部材460(1)、460(2)、460(3)、460(4)、560から取付対象となる中間支持部材を選択する。なお、後にルーフ側機器50が追加される可能性がある場合には、中間支持部材460(4)が選択され、後にルーフ側機器50が追加される可能性が無い場合には、中間支持部材560が選択されるとよい。
【0157】
そして、中間支持部材460(1)、460(2)、460(3)、460(4)、560のうち選択された中間支持部材をルーフパネル413に取付ける。
【0158】
この後、中間支持部材460(1)、460(2)、460(3)、460(4)、560のうち選択された中間支持部材にルーフ内装部材80を取付ける。
【0159】
このように、中間支持部材460(1)、460(2)、460(3)、460(4)、560を選択することで、多様なルーフ側機器50の組合せに容易に対応することができる。また、ルーフ側機器50が無い中間支持部材460(4)又はルーフ側機器50を固定するための固定穴453が無い中間支持部材560を用いることで、ルーフ部品の支持の有無に拘らず、中間支持部材によって内装部材を支持する構成が実現され得る。
【0160】
[変形例]
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。例えば、実施形態2において、固定部を位置調整可能に支持する構成が採用されてもよい。
【符号の説明】
【0161】
S ネジ
10 車両
12 ボディ
13、413 ルーフパネル
13a パネル本体
13h,30h,80h,165h,174h 開口
14 ルーフ補強部材
14h,88ah,260h 固定孔
20,420 内装部材付ルーフモジュール
21,221,421 ルーフモジュール
30 シート状部材
32 不織層
34 電波遮蔽層
40,440 伝送部材
50,500 ルーフ側機器
60,460,560 中間支持部材
68,468 内装部材側固定部
70,470 パネル側固定部
80 ルーフ内装部材
81 取っ手
82,84,86 分割ルーフ内装部材
82g,84g 斜面
82p,86p,415c 凹部
82s,86s 段部
88 支持ブラケット
88a 支持板部
88b 脚部
161 板状部分
164 可動支持部
164h 保持孔
165 導入部
165a ガイド縁
166 補助板状部分
167 孔
170,260,270,415a 固定部
173 嵌込本体部
174,261 頭部
175 挿入部
175S スリット
175e 先端部
177 嵌込状態保持ピン
178 ピン頭部
179 柱状部
179a 第1ガイド面
179b 溝部
179c 第2ガイド面
262 筒部
271 支柱部
272 弾性片
310 位置決め凹部
320 位置決め凸部
413a パネル本体部
414 受部
414a 端部
414b 中間部
414c 貫通孔
415 パネル側配線保持部
415b 保持部
432,532 固定片
433,453 固定穴
450 中間
452 機器固定部
454 配線保持部