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特許7537364アクチュエータ及びアクチュエータの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】アクチュエータ及びアクチュエータの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/22 20060101AFI20240814BHJP
   H02K 15/14 20060101ALI20240814BHJP
   H02K 5/04 20060101ALI20240814BHJP
   H02K 7/116 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
H02K5/22
H02K15/14 Z
H02K5/04
H02K7/116
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021086374
(22)【出願日】2021-05-21
(65)【公開番号】P2022179114
(43)【公開日】2022-12-02
【審査請求日】2023-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西尾 大輔
(72)【発明者】
【氏名】木藤 和人
【審査官】池田 貴俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-176670(JP,A)
【文献】特開2020-145825(JP,A)
【文献】国際公開第2020/080548(WO,A1)
【文献】特開2019-115151(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/22
H02K 15/14
H02K 5/04
H02K 7/116
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通電されることで回転軸が回転するモータ(14)と、
コネクタが接続されるコネクタ接続部(92A)を有すると共に係合孔(92E、92F)が形成されたコネクタ体(92)と、
前記モータが内部に支持されていると共に前記コネクタ体が取付けられるハウジングであって、前記係合孔に挿入された状態で前記係合孔の縁部が係止されることで前記コネクタ体の前記ハウジングと離間する方向への移動を制限する移動制限部(80、82)を有する前記ハウジング(36)と、
を備え
前記移動制限部は、円筒状に形成されていると共に径方向に分割構造となっている円筒部(80A)と、前記円筒部の先端部から前記円筒部の径方向外側へ向けて突出する係止突起部(80B)と、を有すると共に、前記円筒部の径方向内側へ向けて撓み変形可能とされ、
前記係合孔の縁部が前記係止突起部に係止されることで前記コネクタ体の前記ハウジングと離間する方向への移動が制限されているアクチュエータ(10)。
【請求項2】
前記回転軸の回転を検出するセンサ(96)をさらに備え、
前記コネクタ体は、前記センサが固定されるセンサ固定部(92B)を有している請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
通電されることで回転軸が回転するモータ(14)と、
コネクタが接続されるコネクタ接続部(92A)を有すると共に係合孔(92E、92F)が形成されたコネクタ体(92)と、
前記モータが内部に支持されていると共に前記コネクタ体が取付けられるハウジングであって、前記係合孔に挿入された状態で前記係合孔の縁部が係止されることで前記コネクタ体の前記ハウジングと離間する方向への移動を制限する移動制限部(80、82)を有する前記ハウジング(36)と、
を備え、
前記回転軸の回転を検出するセンサ(96)をさらに備え、
前記コネクタ体は、前記センサが固定されるセンサ固定部(92B)を有しており、
前記ハウジングには、前記センサが挿入されると共に前記センサ固定部が嵌まり込むセンサ係合凹部(78)が形成され、
前記センサ係合凹部の開放方向と直交する方向への前記コネクタ体の移動が、前記センサ係合凹部の内面によって制限され、
前記センサ係合凹部の開放方向への前記コネクタ体の移動が、前記移動制限部によって制限されていアクチュエータ。
【請求項4】
前記移動制限部において前記係合孔の縁部が係止される部分(80D)の外径が、前記センサ係合凹部の開放方向側へ向かうにつれて次第に大きくなっている請求項3に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記ハウジングには、前記モータが挿入されるモータ収容凹部(58)が形成されていると共に、前記ハウジングにおいて前記モータ収容凹部とは反対側には、前記モータ収容凹部の開放方向とは反対側へ向けて突出するモータ収容凸部(72)が形成され、
前記ハウジングを前記モータ収容凸部の突出方向と直交する方向から見て、前記移動制限部の全体が、前記モータ収容凸部の突出方向側の面に対して前記モータ収容凹部側に配置されている請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記移動制限部は、前記ハウジングの外面の一部を構成する隣接面(72A、78C)と隣り合って配置され、
前記移動制限部は、前記隣接面と沿う方向に分割構造となっている請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
【請求項7】
通電されることで回転軸が回転するモータ(14)と、
コネクタが接続されるコネクタ接続部(92A)を有すると共に係合孔(92E、92F)が形成されたコネクタ体(92)と、
前記モータが内部に支持されていると共に前記コネクタ体が取付けられるハウジングであって、前記係合孔に挿入された状態で前記係合孔の縁部が係止されることで前記コネクタ体の前記ハウジングと離間する方向への移動を制限する移動制限部(80、82)を有する前記ハウジング(36)と、
を備えたアクチュエータ(10)の製造方法に適用され、
前記移動制限部を前記係合孔に挿入させて、前記係合孔の縁部を前記移動制限部に係止させることで、前記コネクタ体を前記ハウジングに取付けるコネクタ体取付工程を有するアクチュエータの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アクチュエータ及びアクチュエータの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、ケース内にモータが配置されたパワーシート用のアクチュエータが開示されている。また、この文献に記載されたパワーシート用のアクチュエータは、モータの回転を検出するセンサを備えたカバーを備えている。そして、このカバーがケースに取り付けられることで、センサ及びカバーがケースに同時に取り付けられるようになっている。これにより、パワーシート用のアクチュエータの部品点数及び組立て工数を削減することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5940373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に記載された構成は、パワーシート用のアクチュエータの部品点数及び組立て工数を削減するという観点では有用な構成ではあるが、センサ等を有するコネクタ体の周辺の体格の小型化を図るという観点では改善の余地がある。
【0005】
本開示は上記事実を考慮し、コネクタ体の周辺の体格の小型化を図ることができるアクチュエータ及びアクチュエータの製造方法を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するアクチュエータ(10)は、通電されることで回転軸が回転するモータ(14)と、コネクタが接続されるコネクタ接続部(92A)を有すると共に係合孔(92E、92F)が形成されたコネクタ体(92)と、前記モータが内部に支持されていると共に前記コネクタ体が取付けられ、前記係合孔に挿入された状態で前記係合孔の縁部が係止されることで前記コネクタ体の前記ハウジングと離間する方向への移動を制限する移動制限部(80、82)を有するハウジング(36)と、を備えている。
【0007】
この様に構成することで、コネクタ体の周辺の体格の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】アクチュエータを示す斜視図である。
図2】センサ体がハウジングに取付けられる前の状態のアクチュエータを示す斜視図である。
図3】アクチュエータを分解して示す分解斜視図である。
図4】ハウジングを示す側面図である。
図5】ハウジングを示す平面図である。
図6図5に示された6-6線に沿って切断したハウジングの断面を示す断面図である。
図7】ハウジングを形成する際の第1の工程を模式的に示す断面図である。
図8】ハウジングを形成する際の第2の工程を模式的に示す断面図である。
図9】ハウジングを形成する際の第3の工程の初期を模式的に示す断面図である。
図10】ハウジングを形成する際の第3の工程の終了時を模式的に示す断面図である。
図11】センサ体を示す側面図である。
図12】アクチュエータを示す平面図である。
図13図12示された13-13線に沿って切断したアクチュエータの断面を示す断面図である。
図14図12示された14-14線に沿って切断したアクチュエータの断面を示す断面図である。
図15図12示された15-15線に沿って切断したアクチュエータの断面を示す断面図である。
図16】他の形態の移動制限部を示す側面図である。
図17】他の形態の移動制限部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1図15を用いて、本開示の実施形態に係るアクチュエータ10について説明する。
【0010】
図1及び図2に示されるように、本実施形態のアクチュエータ10は、一例として車両用シートのシートクッションを上下方向へ移動させるアクチュエータとして用いられる。このアクチュエータ10は、アクチュエータ本体12と、センサ体16と、を含んで構成されている。ここで、本実施形態のアクチュエータ10では、センサ体16から得られた信号に基づいて、車両用シートのシートクッションの上下方向への位置を制御することが可能となっている。なお、車両用シートのシートクッションの上下方向への位置を制御することが不要な車両においては、アクチュエータ本体12のみで使用することが可能となっている。
【0011】
図3に示されるように、アクチュエータ本体12は、モータ14の回転軸18の回転を所定の減速比で減速して出力ギヤ32へ伝達する複数の中間ギヤを有する減速機付モータである。
【0012】
詳述すると、アクチュエータ本体12は、直流モータであるモータ14と、モータ14の回転軸18に固定される第1ギヤ22と、第1ギヤ22と噛合う第2ギヤ24と、第2ギヤ24と噛合う第3ギヤ28と、第3ギヤ28と噛合う第4ギヤ30と、第4ギヤ30と噛合う出力ギヤ32と、を備えている。また、アクチュエータ本体12は、モータ14、第1ギヤ22、第2ギヤ24、第3ギヤ28及び第4ギヤ30等が内部に収容されるハウジング36と、ハウジング36の開放端側に取付けられるカバー38と、を備えている。
【0013】
モータ14は、略筒状に形成されたモータハウジング40と、モータハウジング40内にその大部分が収容されていると共に回転軸18の軸方向一方側及び他方側がモータハウジング40から突出している回転子42と、を備えている。なお、回転軸18の軸方向一方側を矢印Z1で示す。モータハウジング40における回転軸18の軸方向の両側には、後述するハウジング36に図示しないOリングを介して支持される被支持部46が設けられている。なお、以上説明したモータ14には、給電ターミナル48を介して給電がなされるようになっている。また、本実施形態では、回転軸18の軸方向一方側の部分のモータハウジング40に対する軸方向一方側への突出量が、回転軸18の軸方向他方側の部分のモータハウジング40に対する軸方向他方側への突出量と比べて多くなっている。さらに、回転軸18の軸方向一方側の部分には、マグネットセンサが固定されている。また、このマグネットセンサは、ボンドマグネット等によって形成されていると共に、モータ14の回転軸18の周方向に沿ってS極とN極とが交互に配置された構成となっている。
【0014】
第1ギヤ22は、後述する第2ギヤ24の大径ギヤ部24Aと噛合うウォームギヤである。この第1ギヤ22は、モータ14の回転軸18の軸方向一方側の部分に固定されている。
【0015】
第2ギヤ24は、モータ14の回転軸18の軸方向と直行する方向を軸方向として回転可能に支持されている。なお、第2ギヤ24の軸方向一方側を矢印Z2で示す。また、矢印Z2方向は、モータ14の径方向外側の一方向となっている。第2ギヤ24の軸方向一方側は、第1ギヤ22と噛合う大径ギヤ部24Aとされている。また、第2ギヤ24の軸方向他方側は、大径ギヤ部24Aよりも小径となっていると共に大径ギヤ部24Aと一体に回転する小径ギヤ部24Bとされている。
【0016】
第3ギヤ28は、第2ギヤ24の軸方向と同じ方向を軸方向として回転可能に支持されている。第3ギヤ28の軸方向一方側は、後述する第4ギヤ30の大径ギヤ部30Bと噛合う小径ギヤ部28Aとされている。また、第3ギヤ28の軸方向他方側は、小径ギヤ部28Aよりも大径となっていると共に小径ギヤ部28Aと一体に回転する大径ギヤ部28Bとされている。この大径ギヤ部28Bは、第2ギヤ24の小径ギヤ部24Bと噛合っている。
【0017】
第4ギヤ30は、第2ギヤ24及び第3ギヤ28の軸方向と同じ方向を軸方向として回転可能に支持されている。第4ギヤ30の軸方向一方側は、後述する出力ギヤ32の大径ギヤ部32Bと噛合う小径ギヤ部30Aとされている。また、第4ギヤ30の軸方向他方側は、小径ギヤ部30Aよりも大径となっていると共に小径ギヤ部30Aと一体に回転する大径ギヤ部30Bとされている。この大径ギヤ部30Bは、第3ギヤ28の小径ギヤ部28Aと噛合っている。
【0018】
出力ギヤ32は、第2ギヤ24、第3ギヤ28及び第4ギヤ30の軸方向と同じ方向を軸方向として回転可能に支持されている。出力ギヤ32の軸方向一方側は、図示しないセクタギヤと噛合う出力ギヤ部32Aとされている。なお、セクタギヤは、シートクッションを上下方向に移動させるリフタ機構の一部を構成している。また、出力ギヤ32の軸方向他方側は、出力ギヤ部32Aよりも大径となっていると共に出力ギヤ部32Aと一体に回転する大径ギヤ部32Bとされている。この大径ギヤ部32Bは、第4ギヤ30の小径ギヤ部30Aと噛合っている。なお、出力ギヤ32の軸方向他方側の端部は、後述するハウジング36に係止される支持プレート50に支持されている。
【0019】
ハウジング36は、樹脂材料を用いて形成されており、一方側が開放された箱状に形成されている。ここで、ハウジング36の開放方向は、第2ギヤ24、第3ギヤ28、第4ギヤ30及び出力ギヤ32の軸方向一方側である矢印Z2方向側と同じ方向となっている。
【0020】
ハウジング36には、モータ14のモータハウジング40が内部に配置されるモータ収容凹部58が形成されている。このモータ収容凹部58は、矢印Z2方向側が開放された凹状となっている。また、ハウジング36には、第1ギヤ22、第2ギヤ24、第3ギヤ28及び第4ギヤ30における大径ギヤ部30Bが内部に配置される中間ギヤ収容凹部60が形成されている。この中間ギヤ収容凹部60は、矢印Z2方向側が開放された凹状となっている。また、中間ギヤ収容凹部60の底からは、3つの軸部材62が突出している。そして、第2ギヤ24、第3ギヤ28及び第4ギヤ30は、3つの軸部材62にそれぞれ回転可能に支持されている。
【0021】
図3及び図4に示されるように、ハウジング36においてモータ収容凹部58とは反対側には、モータ収容凹部58の開放方向とは反対側へ向けて突出するモータ収容凸部72が形成されている。また、ハウジング36において中間ギヤ収容凹部60とは反対側には、中間ギヤ収容凹部60の開放方向とは反対側へ向けて突出する中間ギヤ収容凸部74が形成されている。
【0022】
図3に示されるように、カバー38は、ハウジング36と同様に樹脂材料を用いて形成されている。このカバー38には、当該カバー38がハウジング36に固定された状態において出力ギヤ32の軸方向一方側が挿通される円形の開口38Aが形成されている。これにより、カバー38がハウジング36に固定された状態で、出力ギヤ32の出力ギヤ部32Aがハウジング36及びカバー38の外側に露出するようになっている。なお、カバー38は、スクリュ66等を介してハウジング36に固定される。
【0023】
図3及び図4に示されるように、ハウジング36及びカバー38は、図示しない給電コネクタが接続される給電コネクタ部76を備えている。この給電コネクタ部76に接続された給電コネクタ及び給電ターミナル48を介して、モータ14に給電がなされるようになっている。
【0024】
次に、ハウジング36においてセンサ体16が取付けられる部分の構成について説明する。
【0025】
図5に示されるように、ハウジング36において中間ギヤ収容凸部74及びモータ収容凸部72と隣接する部分には、中間ギヤ収容凸部74及びモータ収容凸部72の突出方向側が開放されたセンサ係合凹部78が形成されている。このセンサ係合凹部78は、当該センサ係合凹部78の開放方向から見て矩形状に形成された側壁部78Aと、センサ係合凹部78の底を形成する底壁部78Bと、を含んで構成されている。なお、側壁部78Aにおいてモータ収容凸部72側の部分を第1側壁部78A1と呼ぶ。また、側壁部78Aにおいてモータ収容凸部72とは反対側の部分を第2側壁部78A2と呼ぶ。さらに、側壁部78Aにおいて中間ギヤ収容凸部74側の部分を構成すると共に第1側壁部78A1と第2側壁部78A2とをつなぐ部分を第3側壁部78A3と呼ぶ。また、側壁部78Aにおいて中間ギヤ収容凸部74とは反対側の部分を構成すると共に第1側壁部78A1と第2側壁部78A2とをつなぐ部分を第4側壁部78A4と呼ぶ。
【0026】
ハウジング36において第2側壁部78A2と隣接する部分には、中間ギヤ収容凸部74及びモータ収容凸部72の突出方向と同じ方向側へ向けて突出する移動制限部としての第1移動制限部80が設けられている。図5及び図6に示されるように、第1移動制限部80は、略円筒状に形成されていると共に径方向に2分割構造となっている円筒部80Aを備えている。本実施形態では、第1移動制限部80を当該第1移動制限部80の突出方向側から見て、円筒部80Aが、第2側壁部78A2において第1移動制限部80と隣接する隣接面78Cと沿う方向に2分割構造となっている。
【0027】
また、第1移動制限部80は、円筒部80Aの先端部から当該円筒部80Aの径方向外側へ向けて突出する係止突起部80Bを備えている。この係止突起部80Bの突出方向側の面は、第1傾斜面80C及び第2傾斜面80Dを有している。第1傾斜面80Cと対応する範囲においては、第1移動制限部80の外径が、当該第1移動制限部80の突出方向先端側へ向かうにつれて次第に小さくなっている。また、第2傾斜面80Dと対応する範囲においては、第1移動制限部80の外径が、当該第1移動制限部80の突出方向先端側へ向かうにつれて次第に大きくなっている。さらに、第1傾斜面80Cと第2傾斜面80Dとの境界において、第1移動制限部80の外径が最も大きくなっている。
【0028】
図5に示されるように、ハウジング36においてモータ収容凸部72と隣接する部分かつ第1側壁部78A1と中間ギヤ収容凸部74及びモータ収容凸部72との間には、第1移動制限部80と同じ方向側へ向けて突出する移動制限部としての第2移動制限部82が設けられている。なお、第2移動制限部82の基本的な構成は、第1移動制限部80と同様に構成されている。そのため、第2移動制限部82において第1移動制限部80と対応する部分には、第1移動制限部80と対応する部分と同じ符号を付して、その説明を省略する。また、第2移動制限部82を当該第2移動制限部82の突出方向側から見て、円筒部80Aが、モータ収容凸部72において第2移動制限部82と隣接する隣接面72Aと沿う方向に2分割構造となっている。
【0029】
図4に示されるように、本実施形態では、ハウジング36の側面視で(ハウジング36をモータ収容凸部72の突出方向と直交する方向から見て)、第1移動制限部80及び第2移動制限部82が、モータ収容凸部72の突出方向側の面72Bに対して突出しない構成となっている。換言すると、ハウジング36の側面視で、第1移動制限部80及び第2移動制限部82の全体が、モータ収容凸部72の突出方向側の面72Bに対してモータ収容凹部58(図3参照)側に配置された構成となっている。
【0030】
次に、ハウジング36を形成する工程について説明する。ここでは、第1移動制限部80の周辺を形成する工程について詳述する。
【0031】
図7に示されるように、ハウジング36は、下型84と、上型86と、上型86に支持されたピン88と、を含んで構成された金型90を用いて形成される。上型86には、第1移動制限部80を形成するための移動制限部孔86Aが形成されている。この移動制限部孔86Aの内周部には、係止突起部80Bを形成するための係止突起部溝86Bが形成されている。ピン88は、移動制限部孔86Aに挿入されることで上型86に支持されている。また、ピン88は、移動制限部孔86Aに沿ってスライド可能となっている。
【0032】
そして、図7に示されるように、ハウジング36を形成する樹脂材料が、下型84と上型86及びピン88との間に形成された隙間内に射出される。この工程が、ハウジング36を形成する第1の工程である。
【0033】
次に、下型84と上型86及びピン88との間に射出された樹脂材料が冷却された後に、図8に示されるように、ピン88を下型84とは反対方向へスライドさせる。この工程が、ハウジング36を形成する第2の工程である。
【0034】
次に、図9及び図10に示されるように、上型86を下型84とは反対側へ移動させる。この工程が、ハウジング36を形成する第3の工程である。この工程では、第1移動制限部80が円筒部80Aの径方向内側へ撓み変形した状態で、当該第1移動制限部80が上型86の移動制限部孔86Aから抜け出すようになっている。ここで、本実施形態では、第1移動制限部80の係止突起部80Bの第2傾斜面80Dの外径が、当該第1移動制限部80の突出方向先端側へ向かうにつれて次第に大きくなっている。これにより、第3の工程で上型86を移動させる際に、第1移動制限部80の係止突起部80Bを上型86の係止突起部溝86Bからスムーズに抜け出させることができる。
【0035】
以上の工程を経てハウジング36が形成される。
【0036】
次に、センサ体16の構成について説明する。
【0037】
図11に示されるように、センサ体16は、図示しないコネクタが接続されるコネクタ接続部92Aを有するコネクタ体92と、コネクタ体92に基板94を介して支持されたセンサ96と、を含んで構成されている。
【0038】
コネクタ体92は、矩形ブロック状に形成されたセンサ固定部92Bを備えている。このセンサ固定部92Bには、センサ96が取付けられた基板94が熱かしめ等によって固定されている。なお、センサ固定部92Bからはコネクタ接続部92Aが突出している。
【0039】
また、コネクタ体92は、センサ固定部92Bから延出する舌片状の第1係止片部92Cと、コネクタ接続部92Aから延出する舌片状の第2係止片部92Dと、を備えている。第1係止片部92C及び第2係止片部92Dには、前述の第1移動制限部80及び第2移動制限部82がそれぞれ挿入される係合孔としての第1係合孔92E及び第2係合孔92Fがそれぞれ形成されている。
【0040】
図12図13図14及び図15に示されるように、第1移動制限部80及び第2移動制限部82を第1係合孔92E及び第2係合孔92Fにそれぞれ挿入させて、第1係合孔92E及び第2係合孔92Fの縁部を第1移動制限部80の係止突起部80B及び第2移動制限部82の係止突起部80Bに係止させる。なお、この工程がコネクタ体取付工程である。この工程を経て、以上説明したセンサ体16が、アクチュエータ本体12のハウジング36に取付けられる。
【0041】
(本実施形態の作用並びに効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0042】
図1図2及び図3に示されるように、以上説明した本実施形態のアクチュエータ10では、給電コネクタ部76に接続された給電コネクタ及び給電ターミナル48を介して、モータ14に給電がなされると、モータ14の回転軸18が回転する。この回転軸18の回転力は、第1ギヤ22、第2ギヤ24、第3ギヤ28及び第4ギヤ30を介して出力ギヤ32に伝達される。これにより、出力ギヤ32が回転して、車両用シートのシートクッションの上下方向への位置が変化する。
【0043】
ここで、本実施形態のアクチュエータ10では、センサ体16から得られた信号に基づいて、モータ14の回転軸18の回転を制御して、出力ギヤ32の回転角度を制御することができる。これにより、車両用シートのシートクッションの上下方向への位置を制御することができる。
【0044】
また、図12図13図14及び図15に示されるように、本実施形態のアクチュエータ10では、ハウジング36に設けられた第1移動制限部80及び第2移動制限部82を第1係合孔92E及び第2係合孔92Fにそれぞれ挿入させて、第1係合孔92E及び第2係合孔92Fの縁部を第1移動制限部80の係止突起部80B及び第2移動制限部82の係止突起部80Bに係止させる。これにより、センサ体16がハウジング36に取付けられる。この構成では、センサ体の一部がハウジング36の一部を挟むように係合されることにより、センサ体がハウジング36に取付けられる構成と比べて、アクチュエータ10においてセンサ体16の周辺の体格の小型化を図ることができる。
【0045】
また、センサ体16がハウジング36に取付けられた状態では、コネクタ体92のセンサ固定部92Bがハウジング36のセンサ係合凹部78に嵌まり込んでいる。これにより、基板94に支持されたセンサ96がハウジング36のセンサ係合凹部78内に挿入された状態となる。また、コネクタ体92のセンサ固定部92Bがハウジング36のセンサ係合凹部78に嵌まり込んでいる状態では、センサ係合凹部78の開放方向と直交する方向へのコネクタ体92の移動が、センサ係合凹部78の内面によって制限される。すなわち、コネクタ体92のセンサ固定部92Bがハウジング36のセンサ係合凹部78に嵌まり込んでいる状態では、センサ係合凹部78の開放方向と直交する方向へのコネクタ体92の移動が、センサ係合凹部78の一部を構成する第1側壁部78A1、第2側壁部78A2、第3側壁部78A3及び第4側壁部78A4によって制限される。また、センサ体16がハウジング36に取付けられた状態では、センサ係合凹部78の開放方向へのコネクタ体92の移動が、第1移動制限部80及び第2移動制限部82によって制限される。このように、本実施形態では、第1移動制限部80及び第2移動制限部82が、センサ係合凹部78の開放方向と直交する方向へのコネクタ体92の移動に伴う荷重を受け持たない構成となっている。これにより、第1移動制限部80及び第2移動制限部82における円筒部80Aの径方向への体格の大型化を抑制することができる。
【0046】
また、図6図14及び図15に示されるように、本実施形態では、第1移動制限部80においてコネクタ体92の第1係合孔92Eの縁部が係止される部分(第2傾斜面80D)の外径が、当該第1移動制限部80の突出方向先端側へ向かうにつれて次第に大きくなっている。また、第2移動制限部82においてコネクタ体92の第2係合孔92Fの縁部が係止される部分(第2傾斜面80D)の外径が、当該第2移動制限部82の突出方向先端側へ向かうにつれて次第に大きくなっている。これにより、センサ係合凹部78の開放方向へのコネクタ体92の移動を第2傾斜面80Dによって効果的に抑制することができる。
【0047】
また、図4に示されるように、本実施形態では、ハウジング36の側面視で、第1移動制限部80及び第2移動制限部82の全体が、モータ収容凸部72の突出方向側の面72Bに対してモータ収容凹部58(図3参照)側に配置された構成となっている。これにより、ハウジング36の側面視で、第1移動制限部80及び第2移動制限部82が、モータ収容凸部72の突出方向側の面72Bに対して突出ている構成と比べて、アクチュエータ10においてセンサ体16の周辺の体格の小型化を図ることができる。
【0048】
また、図5に示されるように、本実施形態では、第1移動制限部80を当該第1移動制限部80の突出方向側から見て、円筒部80Aが、第2側壁部78A2において第1移動制限部80と隣接する隣接面78Cと沿う方向に2分割構造となっている。さらに、第2移動制限部82を当該第2移動制限部82の突出方向側から見て、円筒部80Aが、モータ収容凸部72において第2移動制限部82と隣接する隣接面72Aと沿う方向に2分割構造となっている。これにより、ハウジング36を形成する上型86(図7参照)において第1移動制限部80及び第2移動制限部82を形成する部分の構成が複雑化することを抑制することができる。
【0049】
なお、以上説明した例では、第1移動制限部80及び第2移動制限部82の円筒部80Aを前述の方向に分割した例について説明したが、本開示はこれに限定されない。第1移動制限部80及び第2移動制限部82の円筒部80Aの分割数や分割方向は、第1移動制限部80及び第2移動制限部82の周辺の構成を考慮して適宜設定すればよい。また、図16及び図17に示された移動制限部98のように、円筒部80Aと対応する部分を角柱状に形成した構成としてもよい。ここで、図16及び図17に示された移動制限部98において、前述の第1移動制限部80と対応する部分には、第1移動制限部80と対応する部分と同じ符号を付している。
【0050】
また、以上説明した例では、ハウジング36の側面視で、第1移動制限部80及び第2移動制限部82の全体が、モータ収容凸部72の突出方向側の面72Bに対してモータ収容凹部58(図3参照)側に配置された構成となっている例について説明したが、本開示はこれに限定されない。第1移動制限部80及び第2移動制限部82の寸法や配置は、アクチュエータ10が取付けられる車両用シートの構成を考慮して適宜設定すればよい。
【0051】
さらに、以上説明した例では、第1移動制限部80及び第2移動制限部82の第2傾斜面80Dの外径が、当該第1移動制限部80及び第2移動制限部82の突出方向先端側へ向かうにつれて次第に大きくなっている例について説明したが、本開示はこれに限定されない。第2傾斜面80Dの外径を上記のように設定するか否かについては、コネクタ体92の構成を考慮して適宜設定すればよい。
【0052】
また、以上説明した例では、第1移動制限部80及び第2移動制限部82が、センサ係合凹部78の開放方向と直交する方向へのコネクタ体92の移動に伴う荷重を受け持たない構成となっている例について説明したが、本開示はこれに限定されない。第1移動制限部80及び第2移動制限部82が、センサ係合凹部78の開放方向と直交する方向へのコネクタ体92の移動に伴う荷重を受け持たない構成とするか否かは、当該方向へのコネクタ体92の移動に伴う荷重の大きさ等を考慮して適宜設定すればよい。
【0053】
さらに、以上説明した例では、ハウジング36におけるセンサ体16の周辺部に本開示の構成を適用した例について説明したが、本開示の構成は他の構成にも適用することができる。例えば、図3に示された給電コネクタ部76がハウジング36と別体のコネクタ部となっている構成では、ハウジング36における当該コネクタ部の周辺部に本開示の構成を適用してもよい。
【0054】
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0055】
10 アクチュエータ、14 モータ、36 ハウジング、58 モータ収容凹部、72 モータ収容凸部、72A 隣接面、78 センサ係合凹部、78C 隣接面、80 第1移動制限部(移動制限部)、80D 第2傾斜面(移動制限部において前記係合孔の縁部が係止される部分)、82 第2移動制限部(移動制限部)、92 コネクタ体、92A コネクタ接続部、92B センサ固定部、92E 第1係合孔(係合孔)、92F 第2係合孔(係合孔)、96 センサ、98 移動制限部
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