(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】乗員撮像装置
(51)【国際特許分類】
B60R 11/04 20060101AFI20240814BHJP
H04N 23/50 20230101ALI20240814BHJP
H04N 23/56 20230101ALI20240814BHJP
【FI】
B60R11/04
H04N23/50
H04N23/56
(21)【出願番号】P 2021086938
(22)【出願日】2021-05-24
【審査請求日】2023-10-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】山下 智也
【審査官】菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-228284(JP,A)
【文献】特開2019-202726(JP,A)
【文献】特開2020-050090(JP,A)
【文献】特開2010-253987(JP,A)
【文献】特開2019-061112(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/04
H04N 23/50
H04N 23/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員を撮像する乗員撮像装置であって、
筐体内に設けられ、ドライバ及びパッセンジャの両方を同時に撮像可能なカメラ(3,23)と、
光軸が前記ドライバに向いて前記筐体内に設けられ、投じられた光の一部が前記パッセンジャに照射されるような半値角特性を有する第1照明部(4,24)と、
光軸が前記パッセンジャに向いて前記筐体内に設けられ、投じられた光の一部が前記ドライバに照射されるような半値角特性を有する第2照明部(5,25)と、
前記カメラの前方に設けられ、前記第1照明部及び前記第2照明部から投じられた光の波長を透過可能な第1フィルタ(9)と、
前記第1照明部の前方に設けられ、前記第1照明部から投じられた光の波長を透過可能な第2フィルタ(11)と、
前記第2照明部の前方に設けられ、前記第2照明部から投じられた光の波長を透過可能な第3フィルタ(13)と、
前記第1フィルタと前記第2フィルタとの間に設けられ、前記第1照明部から投じられた光の一部を反射させる第1遮蔽壁部(14)と、
前記第1フィルタと前記第3フィルタとの間に設けられ、前記第2照明部から投じられた光の一部を反射させる第2遮蔽壁部(15)と、を備える乗員撮像装置。
【請求項2】
前記第1照明部及び前記第2照明部は、前記カメラを挟むように配置されている請求項1に記載した乗員撮像装置。
【請求項3】
前記第1照明部及び前記第
2照明部の各々から投じられた光の外側の光線が前記カメラの画角に対して平行となる請求項1又は2に記載した乗員撮像装置。
【請求項4】
前記第1照明部及び前記第
2照明部の各々から投じられた光の内側の光線の交点がカメラ3の前面から近い位置である請求項1から3の何れか一項に記載した乗員撮像装置。
【請求項5】
前記カメラは、画角が180度を超えていない請求項1から4の何れか一項に記載した乗員撮像装置。
【請求項6】
前記カメラは、画角が180度を超えている請求項1から4の何れか一項に記載した乗員撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗員撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ドライバの状態を監視するシステムとしてドライバ監視モニタが供されている。ドライバ監視モニタは、カメラの撮像方向が運転席側に向けられた姿勢で例えばインスツルメントパネルの上面に配置される。ドライバ監視モニタは、光源により光が照射されたドライバの顔をカメラにより撮像し、その撮像した顔画像を解析してドライバの状態を監視する。ドライバ監視モニタは、顔画像から例えば脇見、閉眼、眠気、体位等を判定し、その判定結果を例えば自動運転を制御する電子制御装置(以下、ECU(Electronic Control Unit)と称する)等に逐次出力する(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ドライバだけを撮像するのではなく、ドライバ及びパッセンジャの両方を撮像する乗員撮像装置においては、ドライバ及びパッセンジャの両方を同時に撮像可能な広角なカメラが用いられる。その場合、ドライバ及びパッセンジャのそれぞれに十分な光を照射するには、照明部にリフレクターやディフューザ等の光を拡散させる機構を取り付けたり、照明灯数を増やしたり、照射範囲を拡大したりする等の対応が必要であった。しかしながら、そのような対応では、照明部のサイズが大型化したり、発熱量が増大したりする等の問題があり、装置全体を小型化することが困難である。
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、装置全体を小型化することができる乗員撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載した発明によれば、筐体内に設けられ、ドライバ及びパッセンジャの両方を同時に撮像可能なカメラ(3)と、光軸がドライバに向いて筐体内に設けられ、投じられた光の一部がパッセンジャに照射されるような半値角特性を有する第1照明部(4)と、光軸がパッセンジャに向いて筐体内に設けられ、投じられた光の一部がドライバに照射されるような半値角特性を有する第2照明部(5)と、を備える。前記カメラの前方に設けられ、前記第1照明部及び前記第2照明部から投じられた光の波長を透過可能な第1フィルタ(9)と、前記第1照明部の前方に設けられ、前記第1照明部から投じられた光の波長を透過可能な第2フィルタ(11)と、前記第2照明部の前方に設けられ、前記第2照明部から投じられた光の波長を透過可能な第3フィルタ(13)と、前記第1フィルタと前記第2フィルタとの間に設けられ、前記第1照明部から投じられた光の一部を反射させる第1遮蔽壁部(14)と、前記第1フィルタと前記第3フィルタとの間に設けられ、前記第2照明部から投じられた光の一部を反射させる第2遮蔽壁部(15)と、を備える。
【0006】
第1照明部から投じられた光の照射範囲がドライバだけでなくパッセンジャも網羅すると共に、第2照明部から投じられた光の照射範囲がパッセンジャだけでなくドライバも網羅することで、照明部のサイズの大型化及び発熱量の増大を回避しつつ、装置全体を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】パッセンジャの顔が照射されている態様を示す図
【
図4】ドライバ及びパッセンジャの両方の顔が照射されている態様を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、幾つかの実施形態について図面を参照して説明する。以下に示す各実施形態において、先行する実施形態で説明した内容に対応する部分には同一の参照符号を付し、重複する説明を省略することがある。尚、以下では、車両前進方向を向いてドライバ席が左側に設けられている自動車に乗員撮像装置が搭載されていることを前提として説明する。又、水平方向とは車両の左右方向を意味し、垂直方向とは車両の上下方向を意味する。
【0009】
(第1実施形態)
第1実施形態について
図1から
図4を参照して説明する。乗員撮像装置1は、ドライバの状態を監視するドライバステータスモニタ(登録商標)(以下、DSM(Driver Status Monitor)と称する)の構成要素の一つである。DSMは、光源により光が照射されたドライバの顔をカメラにより撮像し、その撮像した顔画像を解析してドライバの状態を監視する。DSMは、顔画像から例えば脇見、閉眼、眠気、体位等を判定し、その判定結果を例えば自動運転を制御するECU等に逐次出力する。
【0010】
乗員撮像装置1は、主にドライバ及びパッセンジャを撮像する装置であり、例えば車室内においてセンターディスプレイやダッシュボード上にドライバ席とパッセンジャ席との中心付近と対向する箇所に配置されている。乗員撮像装置1は、筐体の一部を構成する前面パネル2の裏側に、カメラ3と、ドライバ側LED4と、パッセンジャ側LED5とを備える。前面パネル2の裏側とは、ドライバ席及びパッセンジャ席が存在する方向とは反対側の方向である。ドライバ側LED4は第1照明部に相当し、パッセンジャ側LED5は第2照明部に相当する。乗員撮像装置1が横向きに配置されている状態ではドライバ側LED4及びパッセンジャ側LED5が水平方向に並ぶ態様となる。
【0011】
カメラ3は、カメラ基板6の表面側に実装されている。カメラ基板6の裏面側にはデータ通信線(図示せず)を接続可能なコネクタ7が実装されている。カメラ3により撮像された撮像データは、コネクタ7に接続されているデータ通信線を介して信号処理回路(図示せず)に入力される。尚、コネクタ7が省かれている構成でも良く、カメラ3により撮像された撮像データは、コネクタ7を介さずにカメラ基板6を介して信号処理回路に入力されても良い。カメラ3は、画角が180度を超えない広角レンズ8を有し、その広角レンズ8が前面パネル2の裏側となるように配置されている。前面パネル2にあって広角レンズ8の前方に対応する部位にはLED4,5から投じられた光の波長を透過可能なフィルタ9が設けられている。カメラ3の光軸は、
図1中A0にて示す軸であり、ドライバ席とパッセンジャ席との中心付近に向いている。カメラ3の画角は、フィルタ9の面方向のサイズに依存し、
図1中A1,A2にて示す範囲であり、ドライバ席のヘッドレスト周辺とパッセンジャ席のヘッドレスト周辺との両方を含むようになっている。即ち、カメラ3は、ドライバがドライバ席に着座し、パッセンジャがパッセンジャ席に着座している状態では、ドライバの顔とパッセンジャの顔との両方を同時に撮像可能であり、ドライバの顔画像とパッセンジャの顔画像顔との両方を含む撮像データをデータ通信線を介して信号処理回路に出力する。
【0012】
ドライバ側LED4は、ドライバ側LED基板10の表面側に実装され、電源が電源線(図示せず)を介して供給されることで駆動して近赤外光を投じる。前面パネル2にあってドライバ側LED4の前方に対応する部位には可視光を遮断し且つドライバ側LED4から投じられた光の波長を透過可能なフィルタ11が設けられており、ドライバ側LED4から投じられた光の一部はフィルタ11を透過して筐体の外部に照射される。ドライバ側LED4の光軸は、
図1中B0にて示す軸であり、垂直方向ではカメラ3の光軸と同じ角度であり、水平方向ではドライバ席に向いている。ドライバ側LED4の照射範囲は、フィルタ11の面方向のサイズに依存し、
図1中B1,B2にて示す範囲であり、ドライバ席のヘッドレスト周辺を含むようになっている。即ち、ドライバ側LED4から投じられた光のうちフィルタ11を通過した光の照射範囲が、ドライバ側LED4の照射範囲となる。ドライバ側LED4は、ドライバ席に着座しているドライバの顔を照射可能である。
【0013】
ドライバ側LED4の照射範囲の外端、即ち、ドライバ側LED4から投じられた光の外側の光線は、カメラ3の画角と略平行となっている。又、ドライバ側LED4は、光の一部がパッセンジ席に照射されるような半値角特性を有し、ドライバ側LED4の照射範囲の端部、即ち、視野角が最大の部位では光エネルギーの半分以上の明るさを保持するようになっている。前面パネル2の裏側であってフィルタ9とフィルタ11との間には遮蔽壁部14が設けられている。ドライバ側LED4から投じられた光の一部が遮蔽壁部14で反射することで、ドライバ側LED4から投じられた光の一部がフィルタ11以外の他のフィルタを透過しないようになっており、光漏れを防いでいる。
【0014】
パッセンジャ側LED5は、パッセンジャ側LED基板12の表面側に実装され、電源が電源線(図示せず)を介して供給されることで駆動して近赤外光を投じる。前面パネル2にあってパッセンジャ側LED5の前方に対応する部位には可視光を遮断し且つパッセンジャ側LED5から投じられた光の波長を透過可能なフィルタ13が設けられており、パッセンジャ側LED5から投じられた光の一部はフィルタ13を透過して筐体の外部に照射される。パッセンジャ側LED5の光軸は、
図1中C0にて示す軸であり、垂直方向ではカメラ3の光軸と同じ角度であり、水平方向ではパッセンジャ席に向いている。パッセンジャ側LED5の照射範囲は、フィルタ13の面方向のサイズに依存し、
図1中C1,C2にて示す範囲であり、パッセンジャ席のヘッドレスト周辺を含むようになっている。即ち、パッセンジャ側LED5から投じられた光のうちフィルタ13を通過した光の照射範囲が、パッセンジャ側LED5の照射範囲となる。パッセンジャ側LED5は、パッセンジャ席に着座しているパッセンジャの顔を照射可能である。
【0015】
パッセンジャ側LED5の照射範囲の外端、即ち、パッセンジャ側LED5から投じられた光の外側の光線は、カメラ3の画角と略平行となっている。又、パッセンジャ側LED5は、光の一部がドライバ席に照射されるような半値角特性を有し、パッセンジャ側LED5の照射範囲の端部、即ち、視野角が最大の部位では光エネルギーの半分以上の明るさを保持するようになっている。前面パネル2の裏側であってフィルタ9とフィルタ13との間には遮蔽壁部15が設けられている。パッセンジャ側LED5から投じられた光の一部が遮蔽壁部15で反射することで、パッセンジャ側LED5から投じられた光の一部がフィルタ13以外の他のフィルタを透過しないようになっており、光漏れを防いでいる。
【0016】
又、ドライバ側LED4から投じられた光のうち内側の光線とパッセンジャ側LED5から投じられた光のうち内側の光線との交点X0は、カメラ3の前面から近い位置となっている。
【0017】
上記した構成では、ドライバがドライバ席に着座している状態でドライバ側LED4が駆動した状態では、
図2に示すように、ドライバ側LED4から投じられた光がドライバの顔に照射され、ドライバの顔が明瞭となる。パッセンジャがパッセンジャ席に着座している状態でパッセンジャ側LED5が駆動した状態では、
図3に示すように、パッセンジャ側LED5から投じられた光がパッセンジャの顔に照射され、パッセンジャの顔が明瞭となる。ドライバがドライバ席に着座し且つパッセンジャがパッセンジャ席に着座している状態ドライバ側LED4及びパッセンジャ側LED5の両方が駆動した状態では、
図4に示すように、ドライバ側LED4から投じられた光がドライバの顔に照射され、ドライバの顔が明瞭となると同時に、パッセンジャ側LED5から投じられた光がパッセンジャの顔に照射され、パッセンジャの顔が明瞭となる。
【0018】
以上は、車両前進方向を向いてドライバ席が左側に設けられている自動車に乗員撮像装置が搭載されていることを前提として説明したが、車両前進方向を向いてドライバ席が右側に設けられている自動車に乗員撮像装置が搭載されている場合には、左右の関係が逆になる。又、乗員撮像装置1が横向きに配置されている状態でドライバ側LED4及びパッセンジャ側LED5が水平方向に並ぶ態様を説明したが、乗員撮像装置1が縦向きに配置されている状態ではドライバ側LED4及びパッセンジャ側LED5が垂直方向に並ぶ態様となり、例えばドライバ側LED4の光軸及びパッセンジャ側LED5の光軸のうち一方が上向きに傾くと共に他方が下向きに傾くように調整される。
【0019】
以上に説明したように第1実施形態によれば、次に示す作用効果を得ることができる。
ドライバ側LED4から投じられた光の照射範囲がドライバだけでなくパッセンジャも網羅すると共に、パッセンジャ側LED5から投じられた光の照射範囲がパッセンジャだけでなくドライバも網羅することで、光をドライバ及びパッセンジャに照射するための照明部のサイズの大型化及び発熱量の増大を回避しつつ、装置全体を小型化することができる。
【0020】
又、ドライバ側LED4及びパッセンジャ側LED5の各々から投じられた光のうち外側の光線がカメラ3の画角と略平行となることで、フィルタ11,13のサイズの増大を抑えることができ、装置全体を小型化することができる。
【0021】
又、ドライバ側LED4から投じられた光のうち内側の光線とパッセンジャ側LED5から投じられた光のうち内側の光線との交点X0がカメラ3の前面から近い位置となることで、光の隙間を極力小さくすることができ、カメラ3の前面から近い位置で行われるドライバやパッセンジャの挙動を適切に認識することができる。
【0022】
(第2実施形態)
第2実施形態について
図5を参照して説明する。第1実施形態は、カメラ3の画角が180度を超えない構成であるが、第2実施形態は、カメラの画角が180度を超える構成である。この場合、乗員撮像装置21は、ドライバ及びパッセンジャを撮像するだけでなく、リア席の乗員も撮像する装置であり、例えば車室内においてオーバーヘッドコンソールやルームミラーの裏側に配置されている。乗員撮像装置21は、筐体の一部を構成する前面パネル22に嵌合される態様でカメラ23を備え、前面パネル22の裏側に、ドライバ側LED24と、パッセンジャ側LED25とを備える。ドライバ側LED24は第1照明部に相当し、パッセンジャ側LED25は第2照明部に相当する。この場合も、乗員撮像装置21が横向きに配置されている状態ではドライバ側LED24及びパッセンジャ側LED25が水平方向に並ぶ態様となる。
【0023】
カメラ23は、カメラ基板26の表面側に実装されている。カメラ基板26の裏面側にはデータ通信線(図示せず)を接続可能なコネクタ27が実装されている。この場合も、コネクタ27が省かれている構成でも良い。カメラ23は、画角が180度を超える魚眼レンズ28を有し、第1実施形態で説明した広角レンズ8とは異なり、魚眼レンズ28が前面パネル2の表側となるように、即ち、魚眼レンズ28が前面パネル2の表側に突出するように配置されている。カメラ23の光軸は、
図5中A10にて示す軸であり、ドライバ席とパッセンジャ席との中心付近に向いている。カメラ23の画角は、
図5中A11,A12にて示す範囲であり、ドライバ席のヘッドレスト周辺とパッセンジャ席のヘッドレスト周辺との両方を含むようになっている。即ち、カメラ23は、第1実施形態で説明したカメラ3と同様に、ドライバ席に着座しているドライバの顔とパッセンジャ席に着座しているパッセンジャの顔との両方を同時に撮像可能である。
【0024】
ドライバ側LED24は、ドライバ側LED基板29の表面側に実装され、電源が電源線(図示せず)を介して供給されることで駆動して近赤外光を投じる。前面パネル22にあってドライバ側LED24の前方に対応する部位には可視光を遮断し且つドライバ側LED24から投じられた光の波長を透過可能なフィルタ30が設けられており、ドライバ側LED24から投じられた光の一部はフィルタ30を透過して筐体の外部に照射される。ドライバ側LED24の光軸は、
図5中B10にて示す軸であり、垂直方向ではカメラ3の光軸と同じ角度であり、水平方向ではドライバ席に向いている。ドライバ側LED24の照射範囲は、フィルタ30の面方向のサイズに依存し、
図5中B11,B12にて示す範囲であり、ドライバ席のヘッドレスト周辺を含むようになっている。即ち、ドライバ側LED24から投じられた光のうちフィルタ30を通過した光の照射範囲が、ドライバ側LED24の照射範囲となる。ドライバ側LED24は、ドライバ席に着座しているドライバの顔を照射可能である。
【0025】
ドライバ側LED24の照射範囲の外端、即ち、ドライバ側LED24から投じられた光の外側の光線は、カメラ23の画角と略平行となっている。又、ドライバ側LED24は、光の一部がパッセンジ席に照射されるような半値角特性を有し、ドライバ側LED24の照射範囲の端部、即ち、視野角が最大の部位では光エネルギーの半分以上の明るさを保持するようになっている。
【0026】
パッセンジャ側LED25は、パッセンジャ側LED基板31の表面側に実装され、電源が電源線(図示せず)を介して供給されることで駆動して近赤外光を投じる。前面パネル22にあってパッセンジャ側LED25の前方に対応する部位には可視光を遮断し且つパッセンジャ側LED25から投じられた光の波長を透過可能なフィルタ32が設けられており、パッセンジャ側LED25から投じられた光の一部はフィルタ32を透過して筐体の外部に照射される。パッセンジャ側LED25の光軸は、
図5中C10にて示す軸であり、垂直方向ではカメラ23の光軸と同じ角度であり、水平方向ではパッセンジャ席に向いている。パッセンジャ側LED25の照射範囲は、フィルタ32の面方向のサイズに依存し、
図5中C11,C12にて示す範囲であり、パッセンジャ席のヘッドレスト周辺を含むようになっている。即ち、パッセンジャ側LED25から投じられた光のうちフィルタ32を通過した光の照射範囲が、パッセンジャ側LED25の照射範囲となる。パッセンジャ側LED25は、パッセンジャ席に着座しているパッセンジャの顔を照射可能である。
【0027】
パッセンジャ側LED25の照射範囲の外端、即ち、パッセンジャ側LED25から投じられた光の外側の光線は、カメラ23の画角と略平行となっている。又、パッセンジャ側LED25は、光の一部がドライバ席に照射されるような半値角特性を有し、パッセンジャ側LED25の照射範囲の端部、即ち、視野角が最大の部位では光エネルギーの半分以上の明るさを保持するようになっている。
【0028】
第2実施形態では、上記したように魚眼レンズ28が前面パネル2の表側となるように配置されているので、第1実施形態で説明した遮蔽壁部14,15に相当する部材が省かれている。又、この場合も、ドライバ側LED24から投じられた光のうち内側の光線とパッセンジャ側LED25から投じられた光のうち内側の光線との交点X10は、カメラ23の前面から近い位置となっている。カメラ23から当該交点までの距離は例えば100[mm]以内である。
【0029】
以上に説明したように第2実施形態によれば、次に示す作用効果を得ることができる。
ドライバ側LED24から投じられた光の照射範囲がドライバだけでなくパッセンジャも網羅すると共に、パッセンジャ側LED25から投じられた光の照射範囲がパッセンジャだけでなくドライバも網羅することで、第1実施形態と同様に、光をドライバ及びパッセンジャに照射するための照明部のサイズの大型化及び発熱量の増大を回避しつつ、装置全体を小型化することができる。
【0030】
(その他の実施形態)
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、更には、それらに一要素のみ、それ以上、或いはそれ以下を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0031】
図面中、1,21は乗員撮像装置、3,23はカメラ、4,24はドライバ側LED(第1照明部)、5,25はパッセンジャ側LED(第2照明部)である。