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特許7537380洗車装置、洗車システム、洗車方法及び洗車プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】洗車装置、洗車システム、洗車方法及び洗車プログラム
(51)【国際特許分類】
   B60S 3/04 20060101AFI20240814BHJP
【FI】
B60S3/04
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021107660
(22)【出願日】2021-06-29
(65)【公開番号】P2023005624
(43)【公開日】2023-01-18
【審査請求日】2023-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】羽原 輝晃
(72)【発明者】
【氏名】星 賢児
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正明
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-529202(JP,A)
【文献】特開2020-179709(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102018222649(DE,A1)
【文献】特開2004-210207(JP,A)
【文献】特開2019-219842(JP,A)
【文献】特開昭61-205535(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、前記プロセッサは、
車両から車種情報及び走行履歴を取得し、
取得した車種情報及び走行履歴に基づいて前記車両の汚れを推定し、
推定された汚れ度合に応じた洗車を実行するように構成されており、
前記プロセッサは、
推定された汚れ度合の高い部位から洗車を実行する、
洗車装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記車両の洗浄状態を洗車の実行後に取得し、
汚れ落ちが不十分な部位がある場合に再度の洗車を実行する請求項に記載の洗車装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記車両の洗浄状態を洗車の実行後に取得し、
汚れ落ちが不十分な部位がある場合に汚れ落ちが不十分である旨をユーザに通知する請求項1又は請求項2に記載の洗車装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
車種情報及び走行履歴に加えて前記車両の洗車履歴に基づいて前記車両の汚れを推定し、
推定された汚れ度合に応じた洗車を実行する請求項1~の何れか1項に記載の洗車装置。
【請求項5】
請求項1~の何れか1項に記載の洗車装置と、
前記車両に搭載され、前記洗車装置と通信により接続される車両制御装置と、
を含む洗車システム。
【請求項6】
車両から車種情報及び走行履歴を取得し、
取得した車種情報及び走行履歴に基づいて前記車両の汚れを推定し、
推定された汚れ度合に応じた洗車を実行し、
前記洗車を実行する際には、推定された汚れ度合の高い部位から洗車を実行する、
処理をコンピュータが実行する洗車方法。
【請求項7】
車両から車種情報及び走行履歴を取得し、
取得した車種情報及び走行履歴に基づいて前記車両の汚れを推定し、
推定された汚れ度合に応じた洗車を実行し、
前記洗車を実行する際には、推定された汚れ度合の高い部位から洗車を実行する、
処理をコンピュータに実行させる洗車プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の洗車を実行する洗車装置、洗車システム、洗車方法及び洗車プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、適切なタイミングで車両を洗車することができる洗車装置が開示されている。当該洗車装置は、プロセッサが、車両の洗車履歴を含む履歴データに基づいて車両の次回の洗車時期を算出し、車両に関連付けられた端末に対して、次回の洗車時期を通知する。また、洗車機から入力された車両の画像に基づいて、車両の汚れ具合を推定し、汚れ具合に応じた洗車メニューを決定し、洗車機を制御し、決定した洗車メニューに基づいて車両を洗車する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-179709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の洗車装置においては、同一の洗車メニューでも車種毎に汚れ落ちの程度が異なるため、改善の余地がある。汚れ落ちが悪い場合、何度も繰り返し洗車を行うことで洗車に要する時間、並びに洗浄水、洗浄剤及び電力等の資源が浪費される。
【0005】
本発明は、最小限の時間と資源で洗車を行うことを可能とする洗車装置、洗車システム、洗車方法及び洗車プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の洗車装置は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、車両から車種情報及び走行履歴を取得し、取得した車種情報及び走行履歴に基づいて前記車両の汚れを推定し、推定された汚れ度合に応じた洗車を実行するように構成されている。
【0007】
請求項1に記載の洗車装置は、プロセッサが車両から取得した車種情報及び走行履歴に基づいて車両の汚れを推定し、推定された汚れ度合に応じた洗車を実行する。ここで、車種情報は、車両の車種、グレード、及び装備品に係る情報を含む。また、走行履歴は、車両が過去に走行した履歴を含む情報であって、車両が走行した道路及び走行時の気象等の情報を含む。当該洗車装置によれば、車両の車種情報及び走行履歴に基づいて当該車両の洗車を行うことで、最小限の時間と資源で洗車を行うことができる。
【0008】
請求項2に記載の洗車装置は、請求項1に記載の洗車装置において、前記プロセッサは、推定された汚れ度合の高い部位から洗車を実行する。
【0009】
請求項2に記載の洗車装置によれば、汚れた部位から洗車を行うことで、効率的に洗車を行うことができる。
【0010】
請求項3に記載の洗車装置は、請求項1又は2に記載の洗車装置において、前記プロセッサは、前記車両の洗浄状態を洗車の実行後に取得し、汚れ落ちが不十分な部位がある場合に再度の洗車を実行する。
【0011】
請求項3に記載の洗車装置によれば、汚れの推定が不十分な場合であっても車両の汚れを除去することができる。
【0012】
請求項4に記載の洗車装置は、請求項1~3の何れか1項に記載の洗車装置において、前記プロセッサは、前記車両の洗浄状態を洗車の実行後に取得し、汚れ落ちが不十分な部位がある場合に汚れ落ちが不十分である旨をユーザに通知する。
【0013】
請求項4に記載の洗車装置によれば、汚れ落ちが不十分な場合に、追加の洗車をするか、洗車を終了するかの選択をユーザに求めることができる。
【0014】
請求項5に記載の洗車装置は、請求項1~4の何れか1項に記載の洗車装置において、前記プロセッサは、車種情報及び走行履歴に加えて前記車両の洗車履歴に基づいて前記車両の汚れを推定し、推定された汚れ度合に応じた洗車を実行する。
【0015】
請求項5に記載の洗車装置では、汚れの推定に際して車種情報及び走行履歴に加えて車両の過去の洗車履歴を加えることにより、汚れの推定精度を向上させることができる。
【0016】
請求項6に記載の洗車システムは、請求項1~5の何れか1項に記載の洗車装置と、前記車両に搭載され、前記洗車装置と通信により接続される車両制御装置と、を含んでいる。
【0017】
請求項6に記載の洗車システムによれば、車両の車種情報及び走行履歴に基づいて当該車両の洗車を行うことで、最小限の時間と資源で洗車を行うことができる。
【0018】
請求項7に記載の洗車方法は、車両から車種情報及び走行履歴を取得し、取得した車種情報及び走行履歴に基づいて前記車両の汚れを推定し、推定された汚れ度合に応じた洗車を実行する処理をコンピュータが実行する。
【0019】
請求項7に記載の洗車方法は、コンピュータが、車両から取得した車種情報及び走行履歴に基づいて車両の汚れを推定し、推定された汚れ度合に応じた洗車を実行する。ここで、車種情報及び走行履歴は上述のとおりである。当該洗車方法によれば、車両の車種情報及び走行履歴に基づいて当該車両の洗車を行うことで、最小限の時間と資源で洗車を行うことができる。
【0020】
請求項8に記載の洗車プログラムは、車両から車種情報及び走行履歴を取得し、取得した車種情報及び走行履歴に基づいて前記車両の汚れを推定し、推定された汚れ度合に応じた洗車を実行する処理をコンピュータに実行させる。
【0021】
請求項8に記載の洗車プログラムは、車両から取得した車種情報及び走行履歴に基づいて車両の汚れを推定し、推定された汚れ度合に応じた洗車を実行する処理をコンピュータに実行させる。ここで、車種情報及び走行履歴は上述のとおりである。当該洗車プログラムによれば、車両の車種情報及び走行履歴に基づいて当該車両の洗車を行うことで、最小限の時間と資源で洗車を行うことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、最小限の時間と資源で洗車を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施形態に係る洗車システムの概略構成を示す図である。
図2】実施形態の車両のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】実施形態の洗車機のハードウェア構成を示すブロック図である。
図4】実施形態に係る洗車機の制御装置における機能構成を示すブロック図である。
図5】実施形態の車両と洗車機との間の処理の流れを示すシーケンス図である。
図6】実施形態の制御装置において実行される洗車処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(全体構成)
図1に示されるように、本発明の実施形態の洗車システム10は、車両12と、洗車機14と、を少なくとも含んで構成されている。なお、洗車システム10は、端末16を含んでいてもよい。端末16は、車両12の運転者、所有者、管理者等が所持するスマートフォン、パーソナルコンピューター等が例示される。
【0025】
また、車両12には車両制御装置としての車載器20が搭載されている。さらに、洗車機14には洗車装置としての制御装置40が搭載されている。車載器20、制御装置40及び端末16は、ネットワークNを通じて相互に接続されている。なお、車載器20及び制御装置40は、近距離無線通信により直接接続されていてもよい。
【0026】
(車両)
図2に示されるように、本実施形態に係る車両12は、車載器20と、複数のECU(Electronic Control Unit)22と、車載機器24と、を含んで構成されている。
【0027】
車載器20は、CPU(Central Processing Unit)20A、ROM(Read Only Memory)20B、RAM(Random Access Memory)20C、車内通信I/F(Interface)20D、及び無線通信I/F20Eを含んで構成されている。CPU20A、ROM20B、RAM20C、車内通信I/F20D、及び無線通信I/F20Eは、内部バス20Gを介して相互に通信可能に接続されている。
【0028】
CPU20Aは、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU20Aは、ROM20Bからプログラムを読み出し、RAM20Cを作業領域としてプログラムを実行する。
【0029】
ROM20Bは、各種プログラム及び各種データを記憶している。本実施形態のROM20Bには、制御プログラム100、車種情報110、走行履歴120及び洗車履歴130が記憶されている。
【0030】
制御プログラム100は、ECU22から車両12の各部の情報を収集すると共に、洗車機14に対して、少なくとも車両12の車種情報110、走行履歴120及び洗車履歴130を提供する機能を有するプログラムである。
【0031】
車種情報110は、少なくとも車両12の車種、グレード、及び装備品に係る情報を含む。なお、車種情報110は、車両12の外観寸法、及び外観の画像を含んでいてもよい。
【0032】
走行履歴120は、車両12が過去に走行した履歴を含む情報であって、車両12が走行した道路及び走行時の気象等の情報を含む。走行履歴120は、後述するADAS(Advanced Driver Assistance System)-ECU22Bから収集した車両12の外部の画像、情報系ECU22Cから収集した車両12の位置情報などを基に生成又は更新される。また、走行履歴120は、後述する車外カメラ27に基づいて収集した、又は車両12の外部から取得した気象情報を含む。
【0033】
洗車履歴130は、車両12が過去に洗車を行った履歴を含む情報である。洗車履歴130は、洗車が実行された日時を少なくとも含んでおり、洗車が実行される都度、更新される。
【0034】
RAM20Cは、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。
【0035】
車内通信I/F20Dは、各ECU22と接続するためのインタフェースである。当該インタフェースは、CANプロトコルによる通信規格が用いられる。車内通信I/F20Dは外部バス20Hに対して接続されており、外部バス20Hには各ECU22が接続されている。
【0036】
無線通信I/F20Eは、洗車機14の制御装置40と通信するための無線通信モジュールである。当該無線通信モジュールは、例えば、5G、LTE、Wi-Fi(登録商標)等の通信規格が用いられる。無線通信I/F20Eは、ネットワークNに対して接続されている。
【0037】
ECU22は、ボデーECU22A、ADAS-ECU22B及び情報系ECU22Cを含む。
【0038】
ボデーECU22Aは、車両12のボデー各部の車載機器24を制御する。ボデーECU22Aには、車載機器24を構成するパワーウインドウ25及びドアミラー26が接続されている。
【0039】
ADAS-ECU22Bは、先進運転支援システムを統括制御する。ADAS-ECU22Bには、車載機器24を構成する外部センサとして、少なくとも車外カメラ27が接続されている。
【0040】
情報系ECU22Cは、カーナビゲーションシステム、及びオーディオ等を制御する。情報系ECU22Cには、車載機器24を構成するGPS装置28が接続されている。GPS装置28は車両12の現在位置を測定する装置である。GPS装置28は、GPS衛星からの信号を受信する図示しないアンテナを含んでいる。なお、GPS装置28は、車載器20に対して直接接続されていてもよい。
【0041】
(洗車機)
洗車機14は車両12の洗車を自動的に行う機械である。本実施形態の洗車機14は、車両12に対して洗車機14の本体が移動して洗車を行う門型、及び洗車機14の本体内部に車両12を通過させることで洗車を行うドライブスルー型が例示される。
【0042】
図3に示されるように、洗車機14は、制御装置40、洗浄装置42、センサ44及びカメラ46を含んで構成されている。なお、センサ44及びカメラ46は、洗浄装置42に含まれていてもよい。
【0043】
制御装置40は、洗浄装置42を制御する機能を有している。制御装置40は、CPU40A、ROM40B、RAM40C、入出力I/F40D、無線通信I/F40E及び
ストレージ40Fを含んで構成されている。CPU40A、ROM40B、RAM40C、入出力I/F40D、無線通信I/F40E及びストレージ40Fは、内部バス40Gを介して相互に通信可能に接続されている。CPU40A、ROM40B、RAM40C及び無線通信I/F40Eの機能は、上述した車載器20のCPU20A、ROM20B、RAM20C及び無線通信I/F20Eと同じである。
【0044】
入出力I/F40Dは、洗浄装置42、センサ44及びカメラ46と通信を行うためのインタフェースである。入出力I/F40Dは外部バス40Hに対して接続されており、外部バス40Hには洗浄装置42、センサ44及びカメラ46が接続されている。
【0045】
ストレージ40Fは、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)により構成され、各種プログラム及び各種データを記憶している。本実施形態のストレージ40Fには、処理プログラム150、設定情報160及び洗車履歴170が記憶されている。なお、ROM30Bが処理プログラム150、設定情報160及び洗車履歴170を記憶していてもよい。
【0046】
洗車プログラムとしての処理プログラム150は、制御装置40を制御するためのプログラムである。処理プログラム150の実行に伴い、制御装置40は、洗浄装置42を駆動させて車両12の洗車に係る洗車処理を実行する。
【0047】
設定情報160には、車両12の車種や装備品に対応した洗車メニューに係る情報が集約されている。
洗車履歴170は、洗車機14が洗車を実行した履歴を含む情報である。洗車履歴170は、洗車が実行された日時を少なくとも含んでおり、洗車が実行される都度、更新される。
【0048】
洗浄装置42は、少なくともブラシモータ42A、ブロアモータ42B、アクチュエータ42C及びポンプ42Dを含んでいる。
ブラシモータ42Aは、車両12の車体面を洗浄するブラシを回転させるモータであって、洗車機14の本体に複数あるブラシ毎に設けられている。
ブロアモータ42Bは、車両12の車体面に圧縮空気を吹き付けるためのブロアを駆動させるモータであって、洗車機14の本体に複数あるブロア毎に設けられている。
アクチュエータ42Cは、ブラシ及びブロアを車体面に沿って移動させるための駆動部として設けられている。
ポンプ42Dは、洗浄水、洗浄剤等を圧送するために設けられている。
【0049】
センサ44は、洗車機14の本体各部に設けられ、車両12の車体面を検知する。制御装置40は、センサ44が検知した情報を基にアクチュエータ42Cを駆動させて、ブラシ及びブロアを車体面に沿って移動させる。
【0050】
カメラ46は、車両12の車体面を撮像する撮像装置である。カメラ46は、洗浄水及び洗浄剤による影響を受け難いように、ブラシから離れた位置に設置されるか、又は開閉可能なシャッターを備えている。
【0051】
図4に示されるように、本実施形態の制御装置40では、CPU40Aが、処理プログラム150を実行することで、取得部200、推定部210、確認部220、実行部230及び通知部240として機能する。
【0052】
取得部200は、車両12の車載器20から、車両12の車種情報110、走行履歴120及び洗車履歴130を取得する機能を有している。取得部200は、車両12が洗車機14に接近し、制御装置40と車載器20との間で通信が確立されたことを契機に車載器20から車種情報110、走行履歴120及び洗車履歴130を取得する。
【0053】
推定部210は、取得部200が取得した車種情報110、走行履歴120及び洗車履歴130に基づいて、車両12の車体面の汚れの程度及び汚れた部位を推定する機能を有している。例えば、推定部210は、洗車履歴130により前回洗車時からの経過日数が多いと判定した場合は汚れ度合が高いと推定する。また、推定部210は、走行履歴120により車両12が前回洗車して以降、未舗装等の悪路を走行していた、雨天時に走行していた等と判定した場合、汚れ度合が高いと推定する。この場合、推定部210は、タイヤハウスの周りを汚れた部位として推定する。さらに、推定部210は、車種情報110から例えば、リアミラーやリアスポイラー等の装備品があると判定した場合、当該装備品の下部は車体面の他の部分と比べて汚れ度合が高い部位と推定する。
【0054】
確認部220は、車両12の車体面を撮像したカメラ46の撮像画像を基に車体面の汚れの状況を確認する機能を有している。特に、本実施形態の確認部220は、洗車メニューに基づく洗車が実行された後、推定部210が推定した汚れ部位を含む車体面の撮像画像を取得し、各部の洗浄状態を確認する。
【0055】
実行部230は、洗浄装置42を駆動させて車両12の洗車を実行する機能を有している。実行部230は、車両12の種類及び装備品、並びに推定部210により推定された汚れに対応した洗車メニューに基づいて洗車を実行する。
【0056】
通知部240は、車両12の車載器20及び車両12の運転者が所有する端末16に対して洗車に係る情報を通知する機能を有している。例えば、通知部240は、洗車が完了した旨の情報又はエラーにより洗車が中断した旨の情報を車載器20や端末16に通知する。また、通知部240は、洗車後における汚れ落ちの結果を車載器20や端末16に通知してもよい。
【0057】
(制御の流れ)
本実施形態において、車両12の洗車を実行する洗車方法としての処理の流れについて図5のシーケンス図及び図6のフローチャートを用いて説明する。制御装置40における処理は、CPU40Aが取得部200、推定部210、確認部220、実行部230及び通知部240として機能することにより実行される。
【0058】
図5のステップS10において、洗車機14ではCPU40Aが車両12を検知する。CPU40Aは例えば、センサ44又はカメラ46により車両12を検知してもよいし、車載器20との通信が確立したことを条件に車両12を検知してもよい。
【0059】
ステップS11において、洗車機14ではCPU40Aが車載器20に対して情報要求を行う。具体的に、CPU40Aは車載器20に対して情報を要求するコマンドを送信する。
【0060】
ステップS12において、車載器20ではCPU20Aが情報要求に応じて、制御装置40に向けて車種情報110、走行履歴120及び洗車履歴130を送信する。
【0061】
ステップS13において、洗車機14ではCPU40Aが車種情報110、走行履歴120及び洗車履歴130に基づいて車両12の車体面の汚れを推定する。
【0062】
ステップS14において、洗車機14ではCPU40Aが車載器20に対して洗車要求を行う。具体的に、CPU40Aは車載器20に対して洗車の実行を要求するコマンドを送信する。
【0063】
ステップS15において、車載器20ではCPU20Aが洗車要求に応じて、ウインドウ、ドアミラー26等の状態確認及び操作を実行する。例えば、CPU20Aは状態確認の結果、ウインドウが開いている場合には、ボデーECU22Aを介してパワーウインドウ25を操作し、開いているウインドウを閉じる。また、例えばCPU20Aは状態確認の結果、ドアミラー26が展開している場合には、ボデーECU22Aを介してドアミラー26を操作し、展開しているドアミラー26を車体側に畳む。
【0064】
ステップS16において、車載器20ではCPU20Aが制御装置40に向けて洗車許可通知を送信する。
【0065】
ステップS17において、洗車機14ではCPU40Aが洗車許可通知を受けて洗車処理を実行する。洗車処理の詳細については後述する。
【0066】
ステップS18において、洗車機14ではCPU40Aが車載器20に対して完了通知を行う。具体的に、CPU40Aは車載器20に対して洗車が完了した旨の情報を送信する。
【0067】
ステップS19において、車載器20ではCPU20Aが洗車履歴130を更新する。
【0068】
次に、制御装置40において実行されるステップS17の洗車処理について、図6のフローチャートを用いて説明する。
【0069】
図5のステップS100において、CPU40Aは車両12の車体面において、汚れ度合が高い部位があるか否かを判定する。CPU40Aは汚れ度合が高い部位があると判定した場合(ステップS100でYESの場合)、ステップS101に進む。一方、CPU40Aは汚れ度合が高い部位がないと判定した場合(ステップS100でNOの場合)、ステップS102に進む。
【0070】
ステップS101において、CPU40Aは事前洗車を実行する。事前洗車では、CPU40Aは洗浄装置42を作動させて、車体面に洗浄水を噴射して砂や埃を除去したり、水垢除去性能の高い洗浄剤を噴霧した上でブラッシングを行ったりする。なお、事前洗車は、汚れ度合の高い部位に対してのみ実行してもよい。
【0071】
ステップS102において、CPU40Aは汚れの推定結果に基づく洗車メニューによる洗車を実行する。この場合、CPU40Aは汚れ度合の高い部位から洗車を実行する。例えば、CPU40Aは、汚れ度合の高い部位においてブラシを複数回往復させたり、車体面に対するブラシの移動速度を下げたりする。ステップS102では車体面のすすぎ工程までが実行される。
【0072】
ステップS103において、CPU40Aは車両12の車体面を撮像する。
【0073】
ステップS104において、CPU40Aは車体面の汚れが落ちているか否かを判定する。CPU40Aは車体面の汚れが落ちていると判定した場合(ステップS104でYESの場合)、ステップS108に進む。一方、CPU40Aは車体面の汚れが落ちていないと判定した場合(ステップS104でNOの場合)、ステップS105に進む。
【0074】
ステップS105において、CPU40Aは車両12の追加洗車を通知する。追加洗車の通知は、車両12の車載器20及び車両12の運転者の端末16の少なくとも一方に対して行われる。
【0075】
ステップS106において、CPU40Aは追加洗車が許可されたか否かを判定する。具体的に、CPU40Aは追加洗車の通知を行った車載器20又は端末16から追加洗車の許可を示すコマンドを受信したか否かの判定を行う。CPU40Aは追加洗車が許可されたと判定した場合(ステップS106でYESの場合)、ステップS107に進む。一方、CPU40Aは追加洗車が許可されていないと判定した場合(ステップS106でNOの場合)、ステップS108に進む。
【0076】
ステップS107において、CPU40Aは追加洗車メニューを実行する。すなわち、CPU40Aは汚れが残っている車体面を中心に洗浄剤を噴霧すると共に、ブラッシングを行い、更なる汚れの除去を行う。
【0077】
ステップS108において、CPU40Aは仕上げ処理を実行する。すなわち、CPU40Aはブロアを作動させて車体面に残る洗浄水(水滴)を除去する。そして、洗車処理は終了する。
【0078】
(まとめ)
洗車装置としての制御装置40は、CPU40Aが、車両12から取得した車種情報110、走行履歴120及び洗車履歴130に基づいて車両12の車体面の汚れを推定し、推定された汚れ度合に応じた洗車を実行する。これにより、汚れ度合が高い場合は予め時間を掛けて洗車を行い、汚れ度合が低い場合は簡素な洗車を行うことができるため、最小限の時間と資源で車両12の洗車を行うことができる。
【0079】
なお、車両12の車体面の汚れを推定する場合、少なくとも車種情報110及び走行履歴120があれば足りるが、本実施形態では、さらに、車両12の洗車履歴130を加えて判定を行うことにより、汚れの推定精度を向上させることができる。
【0080】
また、本実施形態によれば、推定された汚れ度合の高い部位から洗車を実行することで、効率的に洗車を行うことができる。
【0081】
また、本実施形態の制御装置40は、洗車が実行された後、カメラ46の撮像画像に基づいて洗車前に推定された汚れ度合の高い部位の洗浄状態を確認し、汚れ落ちが不十分な場合に再度の洗車を実行する。そのため、本実施形態によれば、汚れの推定が不十分な場合であっても車両12の車体面の汚れを除去することができる。
【0082】
さらに、本実施形態の制御装置40は、洗車の実行後に車体面の洗浄状態をカメラ46の撮像画像に基づいて確認し、汚れ落ちが不十分な部位がある場合に汚れ落ちが不十分である旨を車載器20及び端末16の少なくとも一方に通知する。これにより、本実施形態によれば、車両12の車体面の汚れ落ちが不十分な場合に、追加の洗車をするか、洗車を終了するかの選択をユーザに求めることができる。
【0083】
なお、本実施形態は洗車前に推定された汚れの部位の汚れ落ちが不十分な場合に、追加の洗車が実行可能に形成されている。一方、推定結果に対する汚れ落ちに基づいて汚れを推定する推定ロジックを補正することにより、汚れの推定精度を向上させることができる。
【0084】
[備考]
なお、上記実施形態では、洗車が完了した際にカメラ46により撮像された洗車前及び洗車後の両方の撮像画像を車載器20及び端末16の少なくとも一方に対して送信することで、ユーザに対して洗車機14の洗浄効果及び有用性を伝えることができる。
【0085】
また例えば、汚れの推定結果及びカメラ46の撮像画像に基づいて、汚れ度合の高い部位がどこであるかを集計し、当該集計された情報を車載器20及び端末16の少なくとも一方に対して送信してもよい。さらに、例えば、汚れの推定結果及びカメラ46の撮像画像に基づいて、汚れの種類(例えば、鳥の糞、砂、泥、花粉、及び雨の跡等)を集計し、当該集計された情報を車載器20及び端末16の少なくとも一方に対して送信してもよい。
【0086】
また、上記実施形態でCPU20A及びCPU40Aがソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した各種処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、上述した各処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0087】
また、上記実施形態において、各プログラムはコンピュータが読み取り可能な非一時的記録媒体に予め記憶(インストール)されている態様で説明した。例えば、車載器20における制御プログラム100はROM20Bに予め記憶され、制御装置40における処理プログラム150はストレージ40Dに予め記憶されている。しかしこれに限らず、各プログラムは、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の非一時的記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【0088】
上記実施形態で説明した処理の流れは、一例であり、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【符号の説明】
【0089】
10 洗車システム
12 車両
20 車載器(車両制御装置)
40 制御装置(洗車装置)
40A CPU(プロセッサ)
110 車種情報
120 走行履歴
130 洗車履歴
150 処理プログラム(洗車プログラム)
図1
図2
図3
図4
図5
図6