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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】内燃機関のエアクリーナ
(51)【国際特許分類】
   F02M 35/024 20060101AFI20240814BHJP
【FI】
F02M35/024 511B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021112308
(22)【出願日】2021-07-06
(65)【公開番号】P2023008616
(43)【公開日】2023-01-19
【審査請求日】2023-12-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】小嶌 恵介
【審査官】小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-061382(JP,A)
【文献】特開平09-264208(JP,A)
【文献】特開2014-092095(JP,A)
【文献】特開2011-007133(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 46/00-46/90
B60K 11/00-15/10
F02M 35/00-35/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多角形状の第1開口を区画する第1側壁、及びインレットを有するケースと、
前記第1開口と同一形状の第2開口を区画する第2側壁、及びアウトレットホースが接続されるアウトレットを有するキャップと、
前記ケースと前記キャップとの間に設けられるフィルタエレメントと、を備える内燃機関のエアクリーナにおいて、
前記キャップは、前記第2開口の周縁部の1つの辺から外周側に向かって突出する1つの突部を有しており、
前記ケースは、前記ケースと前記キャップとが対向する対向方向において前記キャップに向かって突出するとともに前記突部が前記突部の突出方向に嵌入される孔を有する1つの嵌入部を有しており、
前記突部と前記嵌入部とにより前記ケースに対して前記キャップを開閉可能に支持する支持機構が構成されており、
前記アウトレットは、前記第2側壁の外面から前記突部の前記突出方向に突出するとともに前記辺の延在方向において前記突部とは離れた位置に設けられており、
前記ケースは、前記キャップと前記ケースとを固定するクランプを有しており、
前記クランプは、前記第2開口の周縁部のうち前記辺とは異なる辺に掛け止めされる、
内燃機関のエアクリーナ。
【請求項2】
前記突部は、前記延在方向において前記アウトレット側に位置する第1側面と、前記第1側面とは反対側に位置する第2側面と、前記第1側面及び前記第2側面に連なるとともに前記ケースとは反対側を向く端面と、を有しており、
前記端面は、前記突部における前記第1側面に連なる第1傾斜面を有しており、
前記第1傾斜面は、前記対向方向において前記ケースから離れるほど前記延在方向において前記アウトレットから離れるように傾斜している、
請求項1に記載の内燃機関のエアクリーナ。
【請求項3】
前記突部は、前記延在方向において前記アウトレット側に位置する第1側面と、前記第1側面とは反対側に位置する第2側面と、前記第1側面及び前記第2側面に連なるとともに前記ケースとは反対側を向く端面と、を有しており、
前記第2側面は、前記突部の前記突出方向の先端に連なる第2傾斜面を有しており、
前記第2傾斜面は、前記突部の先端側ほど前記延在方向において前記アウトレットに近づくように傾斜している、
請求項1または請求項2に記載の内燃機関のエアクリーナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関のエアクリーナに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、内燃機関のエアクリーナが開示されている。このエアクリーナは、インレットを有するロアケースと、ロアケースに対して開閉可能であるとともに、アウトレットを有するアッパーケースと、両ケース間に保持されるフィルタエレメントとを備えている。
【0003】
ロアケースは、ロアケースの開口の周縁の一辺からアッパーケースに向かって突出する一対の門形の受け部材を有している。アッパーケースは、アッパーケースの開口の周縁の一辺から外周側に向かって突出する一対の突起を有している。一対の受け部材及び一対の突起は、ロアケースに対してアッパーケースを回動可能に支持するヒンジを構成している。
【0004】
こうしたエアクリーナによれば、ヒンジを支点としてアッパーケースをロアケースから離れるように回動させるとともに、突起の突出方向にアッパーケースをロアケースに対してスライドさせることにより、突起が受け部材から引き抜かれる。これにより、アッパーケースをロアケースから取り外すことができる。
【0005】
また、特許文献2には、エンジンの吸気側に連結されるアウトレットダクトが接続されたエアクリーナが開示されている。アウトレットダクトは、蛇腹構造を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-156291号公報
【文献】特開2013-50059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、アウトレットダクトは、アウトレットダクトの軸線方向と交差する方向に曲がりやすい一方、アウトレットダクトの軸線方向に対しては伸縮しにくい。そのため、アッパーケースの一対の突起の突出方向がアウトレットダクトの軸線方向と一致する場合、ロアケースに対してアッパーケースを突起の突出方向にスライドさせることがアウトレットダクトによって制限される。その結果、アッパーケースをロアケースから取り外すことが難しくなるおそれがある。この場合、作業者は、フィルタエレメントを交換する度にアウトレットダクトを外すことになることから、作業性が低下するおそれがある。
【0008】
本発明の目的は、ケースからキャップを容易に取り外すことができる内燃機関のエアクリーナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための内燃機関のエアクリーナは、多角形状の第1開口を区画する第1側壁、及びインレットを有するケースと、前記第1開口と同一形状の第2開口を区画する第2側壁、及びアウトレットホースが接続されるアウトレットを有するキャップと、前記ケースと前記キャップとの間に設けられるフィルタエレメントと、を備える。前記キャップは、前記第2開口の周縁部の1つの辺から外周側に向かって突出する1つの突部を有しており、前記ケースは、前記ケースと前記キャップとが対向する対向方向においてキャップに向かって突出するとともに前記突部が前記突部の突出方向に嵌入される孔を有する1つの嵌入部を有しており、前記突部と前記嵌入部とにより前記ケースに対して前記キャップを開閉可能に支持する支持機構が構成されており、前記アウトレットは、前記第2側壁の外面から前記突部の突出方向に突出するとともに前記辺の延在方向において前記突部とは離れた位置に設けられており、前記ケースは、前記キャップと前記ケースとを固定するクランプを有しており、前記クランプは、前記第2開口の周縁部のうち前記辺とは異なる辺に掛け止めされる。
【0010】
キャップのアウトレットにアウトレットホースが接続されている状態において、キャップをケースから取り外す際には、まず、作業者は、クランプによる固定を解除する。
ここで、上記構成によれば、ケース及びキャップには、支持機構を構成する嵌入部及び突部が1つずつ設けられている。また、アウトレットは、第2側壁の外面から突部の突出方向に突出するとともに上記辺の延在方向において突部とは離れた位置に設けられている。
【0011】
次に、作業者は、突部の突出方向においてケースに対してキャップをスライドさせつつ、第1開口の開口面に沿って、アウトレットホースを軸線方向に交差する方向に曲げる。これにより、アウトレットを中心にケースに対してキャップが回転されるとともに、ケースの嵌入部の孔からキャップの突部が引き抜かれる。このように、アウトレットホースがキャップのアウトレットに接続されている状態において、キャップをケースから取り外すことができる。したがって、アウトレットホースが軸線方向に伸縮しにくい場合であっても、ケースからキャップを容易に取り外すことができる。
【0012】
また、上記構成によれば、支持機構が2つの突部及び2つの嵌入部により構成される場合に比べて、エアクリーナの構造を簡単にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、内燃機関のエアクリーナの一実施形態について、キャップのアウトレットにアウトレットホースが接続された状態のエアクリーナを示す斜視図である。
図2図2は、図1のエアクリーナを示す平面図である。
図3図3は、図1のエアクリーナを分解して示す分解斜視図である。
図4図4は、図1のエアクリーナのキャップの突部を示す正面図である。
図5図5は、図1のエアクリーナのキャップの突部を示す平面図である。
図6図6は、図1のエアクリーナについて、キャップの突部がケースの嵌入部に嵌入した状態を示す正面図である。
図7図7は、図1のエアクリーナについて、突部が嵌入部から引き抜かれる過程を示す平面図である。
図8図8は、図1のエアクリーナについて、突部が嵌入部から引き抜かれる過程を示す平面図である。
図9図9は、図1のエアクリーナについて、突部が嵌入部から引き抜かれる過程を示す平面図である。
図10図10は、図1のエアクリーナについて、突部が嵌入部から引き抜かれた状態のエアクリーナを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図1図10を参照して、内燃機関のエアクリーナの一実施形態について説明する。なお、本実施形態では車載内燃機関用のエアクリーナとして本発明を具体化している。
【0015】
<エアクリーナの全体構成>
図1図3に示すように、内燃機関のエアクリーナは、筒状のインレット11を有するケース10と、筒状のアウトレット21を有するキャップ20と、ケース10とキャップ20との間に設けられるフィルタエレメント30とを備えている。
【0016】
アウトレット21には、アウトレットホース90が接続されている。アウトレットホース90の延在方向の先端は、図示しないエンジンのスロットルボディに接続されている。アウトレットホース90は、例えば、ゴムやエラストマーなどの弾性材料により形成されている。また、アウトレットホース90は、延在方向の途中に蛇腹構造91を有している。なお、図3では、アウトレットホース90の図示を省略している。
【0017】
エアクリーナは、全体として直方体状である。
なお、以降では、エアクリーナの長手方向を第1方向Xとして説明する。また、第1方向Xと直交するエアクリーナの幅方向を第2方向Yとして説明する。また、第1方向X及び第2方向Yの双方に直交するエアクリーナの高さ方向を第3方向Zとして説明する。
【0018】
<ケース10>
図1図3に示すように、ケース10は、平面視長方形状の底壁12と、底壁12の周縁から延びる第1側壁13とを有している。
【0019】
第1側壁13には、インレット11が設けられている。詳しくは、第1側壁13のうち、第1方向Xの一側(図2の左右方向における右側)に位置する部分13aの外面から第1方向Xに突出している。
【0020】
図3に示すように、第1側壁13の先端によって、長方形状の第1開口14が区画されている。第1開口14の開口面は、第1方向X及び第2方向Yの双方に沿う仮想平面Vに沿って延びている(図6参照)。第1開口14の一対の長辺は、第1方向Xに延びている。第1開口14の一対の短辺は、第2方向Yに延びている。
【0021】
第1開口14の周縁部には、第1側壁13から外周側に向かって突出するフランジ部15が全周にわたって設けられている。フランジ部15の外縁形状は、平面視長方形状である。
【0022】
図2及び図3に示すように、ケース10は、キャップ20とケース10とを固定するクランプ16を有している。クランプ16は、第1開口14の周縁部に3つ設けられている。各クランプ16は、第3方向Zにおいてフランジ部15よりも底壁12側に位置する支点を中心に回動可能に取り付けられている。3つのクランプ16のうちの1つは、第1開口14の周縁部のうち、第1方向Xの一側(図2の右側)に設けられている。残りの2つのクランプ16は、第1開口14の周縁部のうち、第2方向Yの一側(図2の上下方向における上側)に設けられるとともに、第1方向Xにおいて互いに間隔をあけて並んでいる。
【0023】
第1開口14の一対の短辺のうち第1方向Xの他側(図2の左側)に位置する短辺には、1つの嵌入部40が設けられている。詳しくは、嵌入部40は、フランジ部15における第1方向Xの他側(図2の左側)の端面15aに設けられている。嵌入部40は、端面15aから第1方向Xに突出する一対の基端部41と、基端部41の先端同士を連結する本体部42とを有している。本体部42は、第3方向Zの底壁12側が開放された門形である。本体部42は、基端部41の先端から立ち上がって第3方向Zに突出している。本体部42の内周面により、第1方向Xに延びる孔43が構成されている。
【0024】
<キャップ20>
図1図3に示すように、キャップ20は、平面視長方形状の頂壁22と、頂壁22の周縁から延びる第2側壁23とを有している。
【0025】
第2側壁23は、第1方向Xにおいて他側(図2の左側)に位置する部分23aと、第2方向Yにおいて他側(図2の下側)に位置する部分23bとの間に角部23dを有している。また、第2側壁23は、上記部分23aと、第2方向Yにおいて一側(図2の上側)に位置する部分23cとの間に角部23eを有している。
【0026】
第2側壁23の部分23a及び角部23eを含む部分には、アウトレット21が設けられている。アウトレット21は、上記部分の外面から第1方向Xの他側(図2の左側)に向かって突出している。詳しくは、アウトレット21は、第1方向Xの他側(図2の左側)ほど第2方向Yの一側(図2の上側)に向かうように傾斜している。また、アウトレット21は、第1方向Xにおいて第2側壁23から離れるほど第3方向Zにおいて頂壁22に近づくように傾斜している(図1参照)。
【0027】
図2図4に示すように、第2側壁23の先端によって、長方形状の第2開口24が区画されている。第2開口24の開口面は、仮想平面Vに沿って延びている(図4参照)。第2開口24は、第1開口14と同一形状を有している。第2開口24の一対の長辺は、第1方向Xに延びている。第2開口24の一対の短辺は、第2方向Yに延びている。第2開口24は、ケース10の第1開口14と第3方向Zにおいて互いに対向している(図3参照)。
【0028】
第2開口24の周縁部には、第2側壁23から外周側に向かって突出するフランジ部25が全周にわたって設けられている。フランジ部25の外縁形状は、平面視長方形状である。フランジ部25の外縁形状は、フランジ部15の外縁形状と同一形状を有している。フランジ部25は、第3方向Zにおいてフランジ部15と互いに対向している。
【0029】
図2に示すように、キャップ20は、クランプ16が掛け止めされる掛止部26を有している。掛止部26は、第2開口24の周縁部に3つ設けられている。各掛止部26は、各クランプ16と対応する位置に設けられている。各クランプ16が各掛止部26に掛け止めされることによってキャップ20がケース10に対して固定されている。
【0030】
図1図3に示すように、第2開口24の一対の短辺のうち第1方向Xの他側(図2の左側)に位置する短辺には、外周側に向かって突出する1つの突部50が設けられている。詳しくは、突部50は、フランジ部25における第1方向Xの他側(図2の左側)の端面25aに設けられている。突部50は、端面25aから第1方向Xに突出している。突部50は、第2方向Yにおいてアウトレット21とは離れた位置に設けられている。詳しくは、突部50は、第2方向Yにおいてキャップ20の角部23d側に位置している。
【0031】
図3図5に示すように、突部50は、頂壁部51と、頂壁部51の第2方向Yの両端縁から第3方向Zにおいてケース10に向かって延びる第1側壁部52及び第2側壁部53とを有している。両側壁部52,53のうち第1側壁部52が、第2方向Yにおいてアウトレット21側に位置している。なお、本実施形態では、第1側壁部52及び第2側壁部53の外面が、それぞれ本発明に係る第1側面及び第2側面に相当する。
【0032】
また、突部50は、頂壁部51の第1方向Xの先端から第3方向Zにおいてケース10に向かって延びる第3側壁部54を有している。
頂壁部51は、第1側壁部52の外面に連なる第1傾斜面51a、第2側壁部53の外面に連なる湾曲面51c、及び第1傾斜面51aと湾曲面51cとの間に位置する第1平坦面51bを有している。
【0033】
第1傾斜面51aは、第3方向Zの他側(図4の上下方向における上側)ほど第2方向Yの他側(図4の左右方向における右側)に向かうように傾斜している。すなわち、第1傾斜面51aは、第3方向Zにおいてケース10から離れるほど第2方向Yにおいてアウトレット21から離れるように傾斜している。
【0034】
第1平坦面51bは、第2方向Yに延びている。
湾曲面51cは、第2方向Yの他側(図4の右側)ほど第3方向Zの一側(図4の下側)に向かうように湾曲している。すなわち、湾曲面51cは、第2方向Yにおいてアウトレット21から離れるほど第3方向Zにおいてケース10に近づくように湾曲している。第1傾斜面51a、第1平坦面51b、及び湾曲面51cは、突部50の第3方向Zの両端面のうちケース10とは反対側、すなわち第3方向Zの他側(図4の上側)の端面を構成している。
【0035】
第1側壁部52は、第3方向Zに延びている。
第2側壁部53は、第1方向Xにおいて突部50の基端に位置する第2平坦面53aと、第2平坦面53aから延びて突部50の第1方向Xの先端に連なる第2傾斜面53bとを有している。
【0036】
第2平坦面53aは、第3方向Zに延びている。
第2傾斜面53bは、第2傾斜面53bは、第1方向Xの他側(図5の左右方向における左側)ほど第2方向Yの一側(図5の上下方向における上側)に向かうように傾斜している。すなわち、突部50の先端側ほど第2方向Yにおいてアウトレット21に近づくように傾斜している。
【0037】
第3側壁部54は、第2方向Y及び第3方向Zに延びている。第3側壁部54の外面は、第1傾斜面51a、第1平坦面51b、及び第2傾斜面53bに連なっている。
突部50と嵌入部40とによりケース10に対してキャップ20を開閉可能に支持する支持機構60が構成されている。
【0038】
<フィルタエレメント30>
図3に示すように、フィルタエレメント30は、平面視長方形状の濾過部31と、濾過部31の外周縁に設けられたシール部材32とを有している。フィルタエレメント30は、ケース10の内部に濾過部31が収容され、且つケース10のフランジ部15とキャップ20のフランジ部25とによってシール部材32が挟持された状態でケース10及びキャップ20の間に組み付けられている。
【0039】
次に、本実施形態の作用について説明する。
キャップ20のアウトレット21にアウトレットホース90が接続されている状態において、キャップ20をケース10から取り外す際には、まず、作業者は、クランプ16による固定を解除する。
【0040】
ここで、本実施形態の構成によれば、ケース10及びキャップ20には、支持機構60を構成する嵌入部40及び突部50が1つずつ設けられている。また、アウトレット21は、第2側壁23の部分23a及び角部23eを含む部分の外面から第1方向Xの一側(図2の左側)に向かって突出するとともに第2方向Yにおいて突部50とは離れた位置に設けられている。
【0041】
クランプ16を掛止部26から取り外すと、ケース10及びキャップ20には、フィルタエレメント30のシール部材32による第3方向Zの反力が作用する。これにより、突部50の第1平坦面51bは、上記反力によって嵌入部40の孔43の内周面に押し付けられる(図6参照)。
【0042】
次に、図7図10に示すように、作業者は、第1方向Xにおいてケース10に対してキャップ20をスライドさせつつ、第1開口14の開口面に沿って、アウトレットホース90の蛇腹構造91をアウトレットホース90の軸線方向に交差する方向に曲げる。これにより、アウトレット21を中心にケース10に対してキャップ20が回転されるとともに、ケース10の嵌入部40の孔43からキャップ20の突部50が引き抜かれる(図9参照)。こうして、アウトレットホース90がキャップ20のアウトレット21に接続されている状態において、キャップ20がケース10から取り外される(図10参照)。
【0043】
また、キャップ20をケース10に取り付ける際には、作業者は、キャップ20のアウトレット21にアウトレットホース90が接続されている状態において、アウトレット21を中心にケース10に対してキャップ20を逆回転させる。これにより、ケース10の嵌入部40の孔43にキャップ20の突部50が嵌入されるとともに、ケース10の第1開口14がキャップ20によって閉じられた状態となる。この状態において、ケース10のクランプ16をキャップ20の掛止部26に掛け止めすることにより、ケース10とキャップ20とが固定される。
【0044】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)キャップ20は、フランジ部25の第1方向Xの端面25aから突出する1つの突部50を有している。ケース10は、第3方向Zにおいてキャップ20に向かって突出するとともに突部50が第1方向Xに嵌入される孔43を有する1つの嵌入部40を有している。突部50と嵌入部40とによりケース10に対してキャップ20を開閉可能に支持する支持機構60が構成されている。アウトレット21は、第2側壁23の部分23a及び角部23eを含む部分の外面から第1方向Xの一側(図4の左側)に向かって突出するとともに第2方向Yにおいて突部50とは離れた位置に設けられている。
【0045】
こうした構成によれば、上述した作用を奏する。したがって、アウトレットホース90が軸線方向に伸縮しにくい場合であっても、ケース10からキャップ20を容易に取り外すことができる。
【0046】
また、上記構成によれば、支持機構60が2つの突部50及び2つの嵌入部40により構成される場合に比べて、エアクリーナの構造を簡単にすることができる。
(2)突部50は、第2方向Yにおいてアウトレット21側に位置する第1側壁部52と、第1側壁部52とは反対側に位置する第2側壁部53と、第1側壁部52及び第2側壁部53に連なる頂壁部51とを有している。頂壁部51は、第1側壁部52の外面に連なる第1傾斜面51aを有している。第1傾斜面51aは、第3方向Zにおいてキャップ20に近づくほど第2方向Yにおいてアウトレット21から離れるように傾斜している。
【0047】
フィルタエレメント30の濾過部31の周囲には、シール部材32が設けられている。このため、ケース10及びキャップ20には、シール部材32による第3方向Zの反力が作用する。これにより、突部50は、上記反力によって嵌入部40の孔43の内周面に押し付けられる。
【0048】
作業者は、ケース10からキャップ20を取り外す際、及びケース10に対してキャップ20を取り付ける際に、突部50が孔43の内周面に押し付けられた状態で、アウトレット21を中心にキャップ20をケース10に対して回転させることとなる。
【0049】
上記構成によれば、突部50の頂壁部51には、第1側壁部52の外面に連なる第1傾斜面51aが設けられているため、突部50と孔43の内周面との間には、第1傾斜面51aによって隙間Sが生じるようになる。これにより、突部50と孔43の内周面との干渉が抑制されることで、アウトレット21を中心にキャップ20をケース10に対して円滑に回転させることができる。
【0050】
(3)第2側壁部53は、突部50の第1方向Xの先端に連なる第2傾斜面53bを有している。第2傾斜面53bは、突部50の先端側ほど第2方向Yにおいてアウトレット21に近づくように傾斜している。
【0051】
作業者が、アウトレット21を中心にキャップ20をケース10に対して回転させる際に、突部50の第2側壁部53が嵌入部40の孔43の内周面に干渉する場合がある。これにより、孔43から突部50を引き抜きにくくなるとともに、孔43に対して突部50を嵌入させにくくなるおそれがある。
【0052】
この点、上記構成によれば、第2側壁部53に設けられた第2傾斜面53bにより突部50の第2側壁部53と孔43の内周面との干渉が抑制されるようになる(図8参照)。このため、孔43から突部50を容易に引き抜くことができるとともに、孔43に対して突部50を容易に嵌入させることができる。したがって、ケース10からキャップ20を一層容易に取り外すことができるとともに、ケース10に対してキャップ20を一層容易に取り付けることができる。
【0053】
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0054】
・クランプ16及び掛止部26の数及び配置は、本実施形態で例示したものに限定されない。すなわち、クランプ16及び掛止部26は、第1開口14及び第2開口24の周縁部のうち、嵌入部40が設けられた辺とは異なる辺に取り付けられるものであれば、その数及び配置を適宜変更してもよい。
【0055】
・突部50の第2側壁部53から第2傾斜面53bを省略してもよい。この場合、突部50の先端部は、基端部と同様な形状となる。
・突部50の頂壁部51から第1傾斜面51aを省略してもよい。この場合、頂壁部51において第1側壁部52に連なる部分の形状を以下のように変更することができる。すなわち、頂壁部51は、第2方向Yの一側(図4の左側)ほど第3方向Zの一側(図4の下側)に向かうように湾曲した湾曲面を有していてもよい。また、第1平坦面51bにおける第2方向Yの一側(図4の左側)の端部と、第1側壁部52における第3方向Zの他側(図4の上側)の端部とをそれぞれ延ばして直角に連結するようにしてもよい。
【0056】
・突部50の形状は、本実施形態で例示したように頂壁部51、第1側壁部52、第2側壁部53、及び第3側壁部54により構成されるものに限定されない。例えば、第2方向Yにおいてアウトレット21側に位置する第1側面と、第1側面とは反対側に位置する第2側面と、第1側面及び第2側面に連なるとともにケース10とは反対側を向く端面とを有するものであれば、その形状を適宜変更することができる。この場合、突部50は、断面が矩形状または長円形状のものとすることができる。また、この変更に伴って、嵌入部40の孔43の形状も突部50の形状に合わせて適宜変更すればよい。
【0057】
・突部50及びアウトレット21の配置は、本実施形態で例示したものに限定されない。すなわち、アウトレット21が、第1方向Xの一側(図2の左側)に向かって突出するとともに第2方向Yにおいて突部50とは離れた位置に設けられるものであれば、突部50及びアウトレット21の配置は適宜変更してもよい。例えば、アウトレット21を、第2側壁23の部分23a及び角部23dの外面から突出させるとともに、突部50を、フランジ部25の端面25aのうち、第2方向Yにおいてキャップ20の角部23e側に設けるようにすることもできる。
【0058】
・第1開口14の形状は、本実施形態で例示した長方形状に限定されない。すなわち、第1開口14の形状は、例えば五角形などの多角形状のものであれば、エアクリーナの搭載要件に合わせて適宜変更してもよい。この場合、キャップ20の第2開口24の形状及びフィルタエレメント30の外縁形状を第1開口14の形状に合わせて適宜変更すればよい。また、この場合、ケース10の底壁12及びキャップ20の頂壁22の形状をそれぞれ第1開口14及び第2開口24の形状に合わせて適宜変更すればよい。
【符号の説明】
【0059】
S…隙間
V…仮想平面
X…第1方向
Y…第2方向
Z…第3方向
10…ケース
11…インレット
12…底壁
13…第1側壁
13a…部分
14…第1開口
15…フランジ部
15a…端面
16…クランプ
20…キャップ
21…アウトレット
22…頂壁
23…第2側壁
23a,23b,23c…部分
23d,23e…角部
24…第2開口
25…フランジ部
25a…端面
26…掛止部
30…フィルタエレメント
31…濾過部
32…シール部材
40…嵌入部
41…基端部
42…本体部
43…孔
50…突部
51…頂壁部
51a…第1傾斜面
51b…第1平坦面
51c…湾曲面
52…第1側壁部
53…第2側壁部
53a…第2平坦面
53b…第2傾斜面
54…第3側壁部
60…支持機構
90…アウトレットホース
91…蛇腹構造
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10