(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】電力管理システム、電力管理サーバ、および、電力管理方法
(51)【国際特許分類】
H02J 13/00 20060101AFI20240814BHJP
H02J 3/14 20060101ALI20240814BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240814BHJP
B60L 55/00 20190101ALI20240814BHJP
【FI】
H02J13/00 311R
H02J13/00 301A
H02J13/00 301
H02J3/14
H02J7/00 P
B60L55/00
(21)【出願番号】P 2021118085
(22)【出願日】2021-07-16
【審査請求日】2023-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江原 雅人
(72)【発明者】
【氏名】黒木 錬太郎
(72)【発明者】
【氏名】小鮒 俊介
(72)【発明者】
【氏名】清原 達郎
(72)【発明者】
【氏名】瀬尾 直弘
(72)【発明者】
【氏名】立石 崇晴
【審査官】北村 智彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/035481(WO,A1)
【文献】特開2020-195208(JP,A)
【文献】特開2013-106504(JP,A)
【文献】特開2019-080403(JP,A)
【文献】特開2020-114158(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0283912(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 13/00
H02J 3/14
H02J 7/00
B60L 55/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力の取引先の電気システムとの間で電力を遣り取りする電力管理システムであって、
蓄電装置を搭載する複数の車両と、
複数の前記車両のそれぞれの前記蓄電装置と前記電気システムとの間の電力の遣り取りを管理するサーバとを備え、
前記サーバは、
前記車両の離脱により前記蓄電装置と前記電気システムとの間の電力の遣り取りが終了されることと相関があるユーザの所定動作を検知し、
前記所定動作が検知された場合、前記所定動作が検知された時刻から、
前記車両の離脱により前記蓄電装置と前記電気システムとの間の電力の遣り取りが終了する予想時刻を算出し、
算出された前記予想時刻に前記電気システムとの間の電力の遣り取りを終了する見込みの前記車両が
電力の遣り取りにおいて負担していた電力を、前記電気システムとの間で電力を遣り取りしている他の車両に振り分けるための処理を実行する、電力管理システム。
【請求項2】
前記所定動作は、前記車両に対する所定操作である、請求項1に記載の電力管理システム。
【請求項3】
前記所定動作は、前記車両にユーザが辿り着くまで
に行われる所定物に対する動作である、請求項1に記載の電力管理システム。
【請求項4】
前記車両の前記蓄電装置と前記取引先の前記電気システムとの電力の遣り取りは、前記蓄電装置から前記電気システムへ電力
の供給
を増やすことである、請求項1から請求項3のいずれかに記載の電力管理システム。
【請求項5】
前記車両の前記蓄電装置と前記取引先の前記電気システムとの電力の遣り取りは、前記電気システムから前記蓄電装置への電力の供給を減らすことである、請求項1から請求項3のいずれかに記載の電力管理システム。
【請求項6】
前記車両の前記蓄電装置と前記取引先の前記電気システムとの電力の遣り取りは、前記電気システムから前記蓄電装置への電力の供給を増やすことである、請求項1から請求項3のいずれかに記載の電力管理システム。
【請求項7】
電力の取引先の電気システムとの間で電力を遣り取りする電力管理システムに含まれ、複数の車両のそれぞれの蓄電装置と前記電気システムとの間の電力の遣り取りを管理する制御部を備える電力管理サーバであって、
前記制御部は、
前記車両の離脱により前記蓄電装置と前記電気システムとの間の電力の遣り取りが終了されることと相関があるユーザの所定動作を検知し、
前記所定動作が検知された場合、前記所定動作が検知された時刻から、
前記車両の離脱により前記蓄電装置と前記電気システムとの間の電力の遣り取りが終了する予想時刻を算出し、
算出された前記予想時刻に前記電気システムとの間の電力の遣り取りを終了する見込みの前記車両が
電力の遣り取りにおいて負担していた電力を、前記電気システムとの間で電力を遣り取りしている他の車両に振り分けるための処理を実行する、電力管理サーバ。
【請求項8】
電力の取引先の電気システムとの間で電力を遣り取りする電力管理システムに含まれ、複数の車両のそれぞれの蓄電装置と前記電気システムとの間の電力の遣り取りを管理する制御部を備えるサーバによる電力管理方法であって、
前記制御部が、
前記車両の離脱により前記蓄電装置と前記電気システムとの間の電力の遣り取りが終了されることと相関があるユーザの所定動作を検知するステップと、
前記制御部が、前記所定動作が検知された場合、前記所定動作が検知された時刻から、
前記車両の離脱により前記蓄電装置と前記電気システムとの間の電力の遣り取りが終了する予想時刻を算出するステップと、
前記制御部が、算出された前記予想時刻に前記電気システムとの間の電力の遣り取りを終了する見込みの前記車両が
電力の遣り取りにおいて負担していた電力を、前記電気システムとの間で電力を遣り取りしている他の車両に振り分けるための処理を実行するステップとを含む、電力管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、電力管理システム、電力管理サーバ、および、電力管理方法に関し、特に、電力の取引先の電気システムとの間で電力を遣り取りする電力管理システム、電力管理サーバ、および、電力管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電力需要に応えるために多数の車両を電力網に接続する送受電管理装置があった(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1の送受電管理装置においては、電力網における電力需要を示す情報を取得し、電力需要に応じて、蓄積されているエネルギ量が予め定められた蓄積量より大きく、かつ、蓄積可能なエネルギ量が予め定められた蓄積可能量より大きい駆動用電源を備える車両を、電力網との間で送受電させる車両として選択し、選択した車両のユーザへ通知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のようなシステムにおいては、車両と電力網との間の送受電の終了時間が不明であり、予定と異なる時刻に突然、車両が離脱することにより、車両と電力網との間の送受電が終了された場合、当該車両を含む複数の車両と電力網との間で送受電される電力の変動への追従が遅れる虞がある。
【0005】
この開示は、上述した課題を解決するためになされたものであって、その目的は、電力の取引先との間での電力の遣り取りにおける予定外の車両の離脱による遣り取りされる電力の変動を抑制することが可能な電力管理システム、電力管理サーバ、および、電力管理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この開示に係る電力管理システムは、電力の取引先の電気システムとの間で電力を遣り取りする電力管理システムであって、蓄電装置を搭載する複数の車両と、複数の車両のそれぞれの蓄電装置と電気システムとの間の電力の遣り取りを管理するサーバとを備える。サーバは、蓄電装置と電気システムとの間の電力の遣り取りが終了されることと相関があるユーザの所定動作を検知し、所定動作が検知された場合、所定動作が検知された時刻から、蓄電装置と電気システムとの間の電力の遣り取りが終了する予想時刻を算出し、算出された予想時刻に電気システムとの間の電力の遣り取りを終了する見込みの車両が負担していた電力を、電気システムとの間で電力を遣り取りしている他の車両に振り分けるための処理を実行する。
【0007】
このような構成によれば、電力の遣り取りが終了されることと相関があるユーザの所定動作が検知された時刻から算出された予想時刻に車両の蓄電装置と電力の取引先の電気システムとの間の電力の遣り取りを終了する見込みの車両が負担していた電力が、他の車両に振り分けられる。その結果、電力の取引先との間での電力の遣り取りにおける予定外の車両の離脱による遣り取りされる電力の変動を抑制することが可能な電力管理システムを提供することができる。
【0008】
所定動作は、車両に対する所定操作であるようにしてもよい。このような構成によれば、車両に対する所定操作を契機に、予定外の車両の離脱による遣り取りされる電力の変動を抑制することができる。
【0009】
所定動作は、車両にユーザが辿り着くまでの所定物に対する動作であるようにしてもよい。このような構成によれば、車両にユーザが辿り着くまでの所定物に対する動作を契機に、予定外の車両の離脱による遣り取りされる電力の変動を抑制することができる。
【0010】
車両の蓄電装置と取引先の電気システムとの電力の遣り取りは、蓄電装置から電気システムへ電力を供給することであるようにしてもよい。このような構成によれば、車両の蓄電装置から取引先の電気システムへ電力を供給している場合に、予定外の車両の離脱による遣り取りされる電力の変動を抑制することができる。
【0011】
車両の蓄電装置と取引先の電気システムとの電力の遣り取りは、電気システムから蓄電装置への電力の供給を減らすことであるようにしてもよい。このような構成によれば、取引先の電気システムから車両の蓄電装置への電力の供給を減らしている場合に、予定外の車両の離脱による遣り取りされる電力の変動を抑制することができる。
【0012】
車両の蓄電装置と取引先の電気システムとの電力の遣り取りは、電気システムから蓄電装置への電力の供給を増やすことであるようにしてもよい。このような構成によれば、取引先の電気システムから車両の蓄電装置への電力の供給を増やしている場合に、予定外の車両の離脱による遣り取りされる電力の変動を抑制することができる。
【0013】
この開示の他の局面によれば、電力管理サーバは、電力の取引先の電気システムとの間で電力を遣り取りする電力管理システムに含まれ、複数の車両のそれぞれの蓄電装置と電気システムとの間の電力の遣り取りを管理する制御部を備える電力管理サーバである。制御部は、蓄電装置と電気システムとの間の電力の遣り取りが終了されることと相関があるユーザの所定動作を検知し、所定動作が検知された場合、所定動作が検知された時刻から、蓄電装置と電気システムとの間の電力の遣り取りが終了する予想時刻を算出し、算出された予想時刻に電気システムとの間の電力の遣り取りを終了する見込みの車両が負担していた電力を、電気システムとの間で電力を遣り取りしている他の車両に振り分けるための処理を実行する。
【0014】
このような構成によれば、電力の取引先との間での電力の遣り取りにおける予定外の車両の離脱による遣り取りされる電力の変動を抑制することが可能な電力管理サーバを提供することができる。
【0015】
この開示のさらに他の局面によれば、電力管理方法は、電力の取引先の電気システムとの間で電力を遣り取りする電力管理システムに含まれ、複数の車両のそれぞれの蓄電装置と電気システムとの間の電力の遣り取りを管理する制御部を備えるサーバによる電力管理方法であって、制御部が、蓄電装置と電気システムとの間の電力の遣り取りが終了されることと相関があるユーザの所定動作を検知するステップと、制御部が、所定動作が検知された場合、所定動作が検知された時刻から、蓄電装置と電気システムとの間の電力の遣り取りが終了する予想時刻を算出するステップと、制御部が、算出された予想時刻に電気システムとの間の電力の遣り取りを終了する見込みの車両が負担していた電力を、電気システムとの間で電力を遣り取りしている他の車両に振り分けるための処理を実行するステップとを含む。
【0016】
このような構成によれば、電力の取引先との間での電力の遣り取りにおける予定外の車両の離脱による遣り取りされる電力の変動を抑制することが可能な電力管理方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0017】
この開示によれば、電力の取引先との間での電力の遣り取りにおける予定外の車両の離脱による遣り取りされる電力の変動を抑制することが可能な電力管理システム、電力管理サーバ、および、電力管理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】この実施の形態に係る車両の構成を示す図である。
【
図2】第1実施形態に係るサーバの通信態様を示す図である。
【
図3】この実施の形態に係る電力管理システムの概略的な構成を示す図である。
【
図4】この実施の形態におけるVPPのための処理の流れを示すフローチャートである。
【
図5】第2実施形態に係るサーバの通信態様を示す図である。
【
図6】第3実施形態に係るサーバの通信態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図中、同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。以下では、エネルギマネジメントシステム(Energy Management System)を、「EMS」と表記する。また、車両に搭載された電子制御ユニット(Electronic Control Unit)を、「ECU」と表記する。
【0020】
[第1実施形態]
図1は、この実施の形態に係る車両50の構成を示す図である。
図1を参照して、車両50は、走行用の電力を蓄電するバッテリ130を備える。車両50は、バッテリ130に蓄えられた電力を用いて走行可能に構成される。この実施の形態に係る車両50は、エンジン(内燃機関)を備えない電気自動車(BEV(Battery Electric Vehicle))である。
【0021】
バッテリ130は、たとえばリチウムイオン電池またはニッケル水素電池のような二次電池を含んで構成される。この実施の形態では、二次電池として、複数のリチウムイオン電池を含む組電池を採用する。組電池は、複数の二次電池(一般に「セル」とも称される)が互いに電気的に接続されて構成される。
【0022】
車両50は、ECU150を備える。ECU150は、バッテリ130の充電制御および放電制御を行なうように構成される。また、ECU150は、車両50の外部との通信を制御するように構成される。
【0023】
車両50は、バッテリ130の状態を監視する監視モジュール131をさらに備える。監視モジュール131は、バッテリ130の状態(たとえば、電圧、電流、および温度)を検出する各種センサを含み、検出結果をECU150へ出力する。監視モジュール131は、上記センサ機能に加えて、SOC(State Of Charge)推定機能、SOH(State of Health)推定機能、セル電圧の均等化機能、診断機能、および通信機能をさらに有するBMS(Battery Management System)であってもよい。ECU150は、監視モジュール131の出力に基づいてバッテリ130の状態(たとえば、温度、電流、電圧、SOC、および内部抵抗)を取得することができる。
【0024】
EVSE(Electric Vehicle Supply Equipment)40は、制御部41と電源回路44と充電ケーブル42とを備える。制御部41および電源回路44は、EVSE40の本体に内蔵される。充電ケーブル42は、EVSE40の本体に接続される。充電ケーブル42は、常にEVSE40の本体に接続されていてもよいし、EVSE40の本体に対して着脱可能であってもよい。充電ケーブル42は、先端にコネクタ43を有し、内部に電力線を含む。制御部41は、電源回路44を制御する。
【0025】
車両50は、接触充電のためのインレット110および充放電器120を備える。インレット110は、車両50の外部から供給される電力を受電するように構成される。インレット110は、充電ケーブル42のコネクタ43が接続可能に構成される。EVSE40の本体につながる充電ケーブル42のコネクタ43が車両50のインレット110に接続(プラグイン)されることによって、車両50が充電可能状態(すなわち、EVSE40から給電を受けられる状態)になる。なお、
図1には、EVSE40の給電方式に対応するインレット110および充放電器120のみを示しているが、車両50は、複数種の給電方式(たとえば、AC方式およびDC方式)に対応できるように複数のインレットを備えてもよい。
【0026】
充放電器120は、インレット110とバッテリ130との間に位置する。充放電器120は、インレット110からバッテリ130までの電力経路の接続/遮断を切り替えるリレーと、電力変換回路と(いずれも図示せず)を含んで構成される。電力変換回路は、双方向コンバータを含んでもよい。充放電器120に含まれるリレーおよび電力変換回路の各々は、ECU150によって制御される。車両50は、充放電器120の状態を監視する監視モジュール121をさらに備える。監視モジュール121は、充放電器120の状態を検出する各種センサを含み、検出結果をECU150へ出力する。この実施の形態では、監視モジュール121が、上記電力変換回路に入力される電圧および電流と、上記電力変換回路から出力される電圧および電流とを検出するように構成される。監視モジュール121は、バッテリ130の充電電力を検出可能に構成される。
【0027】
充電可能状態の車両50では、外部充電(すなわち、EVSE40から供給される電力によってバッテリ130を充電すること)と外部給電(すなわち、車両50からEVSE40へ給電を行なうこと)とが可能になる。外部充電のための電力は、たとえばEVSE40から充電ケーブル42を通じてインレット110に供給される。充放電器120は、インレット110が受電した電力をバッテリ130の充電に適した電力に変換し、変換された電力をバッテリ130へ出力するように構成される。外部給電のための電力は、バッテリ130から充放電器120に供給される。充放電器120は、バッテリ130から供給される電力を外部給電に適した電力に変換し、変換された電力をインレット110へ出力するように構成される。外部充電および外部給電のいずれかが実行されるときには充放電器120のリレーが閉状態(接続状態)にされ、外部充電および外部給電のいずれも実行されないときには充放電器120のリレーが開状態(遮断状態)にされる。
【0028】
ECU150は、プロセッサ151、RAM(Random Access Memory)152、記憶装置153、およびタイマ154を含んで構成される。ECU150はコンピュータであってもよい。プロセッサ151はCPU(Central Processing Unit)であってもよい。RAM152は、プロセッサ151によって処理されるデータを一時的に記憶する作業用メモリとして機能する。記憶装置153は、格納された情報を保存可能に構成される。記憶装置153は、たとえばROM(Read Only Memory)および書き換え可能な不揮発性メモリを含む。記憶装置153には、プログラムのほか、プログラムで使用される情報(たとえば、マップ、数式、および各種パラメータ)が記憶されている。この実施の形態では、記憶装置153に記憶されているプログラムをプロセッサ151が実行することで、ECU150における各種制御が実行される。ただし、ECU150における各種制御は、ソフトウェアによる実行に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で実行することも可能である。なお、ECU150が備えるプロセッサの数は任意であり、所定の制御ごとにプロセッサが用意されてもよい。
【0029】
タイマ154は、設定時刻の到来をプロセッサ151に知らせるように構成される。タイマ154に設定された時刻になると、タイマ154からプロセッサ151へその旨を知らせる信号が送信される。この実施の形態では、タイマ154としてタイマ回路を採用する。ただし、タイマ154は、ハードウェア(タイマ回路)ではなく、ソフトウェアによって実現されてもよい。また、ECU150は、ECU150に内蔵されるリアルタイムクロック(RTC)回路(図示せず)を利用して現在時刻を取得できる。
【0030】
車両50は、走行駆動部140と、入力装置161と、メータパネル162と、ナビゲーションシステム(以下、「NAVI」と称する)170と、通信機器180と、駆動輪Wとをさらに備える。なお、車両50の駆動方式は、
図1に示される前輪駆動に限られず、後輪駆動または4輪駆動であってもよい。
【0031】
走行駆動部140は、図示しないPCU(Power Control Unit)とMG(Motor Generator)とを含み、バッテリ130に蓄えられた電力を用いて車両50を走行させるように構成される。PCUは、たとえば、インバータと、コンバータと、リレー(以下、「SMR(System Main Relay)」と称する)と(いずれも図示せず)を含んで構成される。PCUは、ECU150によって制御される。MGは、たとえば三相交流モータジェネレータである。MGは、PCUによって駆動され、駆動輪Wを回転させるように構成される。PCUは、バッテリ130から供給される電力を用いてMGを駆動する。また、MGは、回生発電を行ない、発電した電力をバッテリ130に供給するように構成される。SMRは、バッテリ130からMGまでの電力経路の接続/遮断を切り替えるように構成される。SMRは、車両50の走行時に閉状態(接続状態)にされる。
【0032】
入力装置161は、ユーザからの入力を受け付ける装置である。入力装置161は、ユーザによって操作され、ユーザの操作に対応する信号をECU150へ出力する。入力装置161の例としては、各種スイッチ、各種ポインティングデバイス、キーボード、タッチパネルが挙げられる。入力装置161は、音声入力を受け付けるスマートスピーカを含んでもよい。
【0033】
メータパネル162は、車両50に関する情報を表示するように構成される。メータパネル162は、たとえば車両50に搭載された各種センサによって計測された車両50に関する各種情報を表示する。メータパネル162に表示される情報は、外気温、車両50の走行速度、バッテリ130のSOC、平均電費、および車両50の走行距離の少なくとも1つを含んでもよい。メータパネル162は、ECU150によって制御される。ECU150は、所定の条件が成立する場合に、ユーザに対するメッセージまたは警告灯をメータパネル162に表示させてもよい。
【0034】
NAVI170は、プロセッサと、記憶装置と、タッチパネルディスプレイと、GPS(Global Positioning System)モジュールと(いずれも図示せず)を含んで構成される。記憶装置は、地図情報を記憶している。タッチパネルディスプレイは、ユーザからの入力を受け付けたり、地図およびその他の情報を表示したりする。GPSモジュールは、GPS衛星からの信号(以下、「GPS信号」と称する)を受信するように構成される。NAVI170は、GPS信号を用いて車両50の位置を特定することができる。NAVI170は、ユーザからの入力に基づき、車両50の現在位置から目的地までの走行ルート(たとえば、最短ルート)を見つけるための経路探索を行ない、経路探索により見つかった走行ルートを地図上に表示するように構成される。
【0035】
通信機器180は、各種通信I/F(インターフェース)を含んで構成される。ECU150は、通信機器180を通じて、後述するEMS60(
図3)と通信を行なうように構成される。また、ECU150は、通信機器180を通じて、後述するサーバ30B(
図3)と無線通信を行なうように構成される。
【0036】
図2は、第1実施形態に係るサーバ30の通信態様を示す図である。
図2を参照して、電力管理システム1は、電力系統PGと、サーバ30Aと、EVSE40と、車両50と、携帯端末80とを含む。この実施の形態に係る電力系統PG、サーバ30Aは、それぞれ本開示に係る「電力網」、「サーバ」の一例に相当する。
【0037】
車両50は、
図1に示した構成を有する。この実施の形態では、EVSE40として、交流電力を提供するAC給電設備を採用する。充放電器120は、AC給電設備に対応する回路を有する。ただし、こうした形態に限られず、EVSE40は、直流電力を提供するDC給電設備であってもよい。充放電器120は、DC給電設備に対応する回路を有してもよい。
【0038】
携帯端末80は、車両50のユーザが携帯する端末に相当する。この実施の形態では、携帯端末80として、タッチパネルディスプレイを具備するスマートフォンを採用する。ただしこれに限られず、携帯端末80としては、任意の携帯端末を採用可能であり、タブレット端末、ウェアラブルデバイス(たとえば、スマートウォッチ)、電子キー、またはサービスツールなども採用可能である。
【0039】
電力系統PGは、電気事業者(たとえば、電力会社)によって提供される電力網である。電力系統PGは、複数のEVSE(EVSE40を含む)と電気的に接続されており、各EVSEに交流電力を供給する。EVSE40に内蔵される電源回路44は、制御部41に制御されて、電力系統PGから供給される電力を外部充電に適した電力に変換する。電源回路44は、充電電力を検出するためのセンサを含んでもよい。
【0040】
充電可能状態の車両50において、充放電器120のリレーが閉状態になることで、バッテリ130が電力系統PGと電気的に接続される。電力系統PGから電源回路44、充電ケーブル42、および充放電器120を経由してバッテリ130へ電力が供給されることで、バッテリ130の外部充電が行なわれる。
【0041】
サーバ30は、車両50と直接的には通信しない。すなわち、サーバ30は、車両50と無線通信しない。サーバ30は、EMS60を介して車両50と通信する。EMS60は、サーバ30からの指令に従い、EVSE40を介して車両50と通信を行なう。車両50に搭載された通信機器180は、充電ケーブル42を介してEVSE40と通信するように構成される。EVSE40と車両50との通信方式は任意であり、たとえば、CAN(Controller Area Network)であってもよいし、PLC(電力線通信)であってもよい。EVSE40と車両50との通信に関する規格は、ISO/IEC15118でもよいし、IEC61851でもよい。
【0042】
この実施の形態では、通信機器180と携帯端末80とが相互に無線通信するように構成される。通信機器180と携帯端末80との通信は、Bluetooth(登録商標)のような近距離通信(たとえば、車内および車両周辺の範囲での直接通信)であってもよい。
【0043】
サーバ30は、携帯端末80と通信可能に構成される。携帯端末80には所定のアプリケーションソフトウェア(以下、単に「アプリ」と称する)がインストールされている。携帯端末80は、車両50のユーザによって携帯され、上記アプリを通じてサーバ30と情報のやり取りを行なうことができる。ユーザは、たとえば携帯端末80のタッチパネルディスプレイを通じて、上記アプリを操作できる。ユーザは、上記アプリを操作することにより、たとえば車両50の出発予定時刻をサーバ30へ送信することができる。
【0044】
サーバ30は、制御装置31と記憶装置32と通信装置33と入力装置34とを含んで構成される。制御装置31は、プロセッサおよび記憶装置を含み、所定の情報処理を行なうとともに通信装置33を制御するように構成される。記憶装置32は、各種情報を保存可能に構成される。通信装置33は各種通信I/Fを含む。制御装置31は、通信装置33を通じて外部と通信するように構成される。入力装置34は、ユーザからの入力を受け付ける装置である。入力装置34は、ユーザからの入力を制御装置31へ出力する。
【0045】
図3は、この実施の形態に係る電力管理システム1の概略的な構成を示す図である。この実施の形態では、電力管理システム1がVPP(仮想発電所)として機能する。VPPは、IoT(モノのインターネット)を利用した高度なエネルギマネジメント技術により多数の分散型エネルギリソース(以下、「DER(Distributed Energy Resources)」とも称する)を束ね、これらDERを遠隔・統合制御することによってあたかも1つの発電所のように機能させる仕組みである。電力管理システム1では、電動車両(たとえば、
図1に示した車両50)を利用したエネルギマネジメントによってVPPが実現される。
【0046】
電力管理システム1は、VGI(Vehicle Grid Integration)システムである。電力管理システム1には複数の電動車両と複数のEVSEとが含まれる(
図3には、各々1つのみ図示)。電力管理システム1に含まれる電動車両およびEVSEの数は、各々独立して任意であり、10個以上であってもよいし、100個以上であってもよい。電力管理システム1は、POVとMaaS車両との少なくとも一方を含んでもよい。POVは、個人が所有する車両である。MaaS車両は、MaaS(Mobility as a Service)事業者が管理する車両である。電力管理システム1は、特定のユーザのみが使用可能な非公共のEVSE(たとえば、家庭用のEVSE)と、不特定多数のユーザが使用可能な公共のEVSEとの少なくとも一方を含んでもよい。
図2に示した携帯端末80は、車両50のユーザごとに携帯される。
【0047】
図2とともに
図3を参照して、電力管理システム1は、電力会社E1と、電力会社E1に連絡する上位アグリゲータE2と、需要家に連絡する下位アグリゲータE3とを含む。
【0048】
電力会社E1は、発電事業者および送配電事業者を兼ねる。電力会社E1は、発電所11および送配電設備12によって電力網(すなわち、
図2に示した電力系統PG)を構築するとともに、サーバ10によって電力系統PGを保守および管理する。発電所11は、電気を発生させるための発電装置を備え、発電装置によって生成された電力を送配電設備12に供給するように構成される。発電所11の発電方式は任意である。発電所11の発電方式は、火力発電、水力発電、風力発電、原子力発電、および太陽光発電のいずれであってもよい。送配電設備12は、送電線、変電所、および配電線を含み、発電所11から供給される電力の送電および配電を行なうように構成される。
【0049】
スマートメータ13は、所定時間経過ごと(たとえば、30分経過ごと)に電力使用量を計測し、計測した電力使用量を記憶するとともにサーバ10へ送信するように構成される。スマートメータ13は、電力を使用する需要家(たとえば、個人または会社)ごとに付与される。サーバ10は、各需要家のスマートメータ13から需要家ごとの電力使用量を取得する。電力会社E1は、電力使用量に応じた電気料金を各需要家から受け取ってもよい。この実施の形態では、電力会社が、電力系統PGの管理者に相当する。
【0050】
DERを束ねてエネルギマネジメントサービスを提供する電気事業者は、「アグリゲータ」と称される。電力会社E1は、たとえばアグリゲータと連携することにより、電力系統PGの電力調整を行なうことができる。上位アグリゲータE2は、複数のサーバ(たとえば、サーバ20A,20B)を含む。上位アグリゲータE2に含まれる各サーバは、異なる事業者に帰属する。下位アグリゲータE3は、複数のサーバ(たとえば、サーバ30A,30B)を含む。下位アグリゲータE3に含まれる各サーバは、異なる事業者に帰属する。以下、区別して説明する場合を除いて、上位アグリゲータE2に含まれる各サーバを「サーバ20」と称し、下位アグリゲータE3に含まれる各サーバを「サーバ30」と称する。サーバ20,30の数は、各々独立して任意であり、5個以上であってもよいし、30個以上であってもよい。
【0051】
この実施の形態では、1つのサーバ10が複数のサーバ20へエネルギマネジメントを要請し、サーバ10から要請を受けた各サーバ20が複数のサーバ30へエネルギマネジメントを要請する。さらに、サーバ20から要請を受けた各サーバ30が複数のDERユーザへエネルギマネジメントを要請する。電力会社E1は、こうした階層構造(ツリー構造)を利用して、多くの需要家(たとえば、車両50のユーザ)にエネルギマネジメントを要請することができる。要請は、DR(ディマンドリスポンス)によって行なわれてもよい。
【0052】
サーバ30は、サーバ20からエネルギマネジメントの要請を受けたときに、サーバ30に登録されたDERの中から、その要請に応えるためのDERを選定する。このように選定されたDERを、以下では「EMDER」とも称する。
【0053】
サーバ30は、管轄エリアのエネルギマネジメントを行なう。サーバ30が管轄するエリアは、1つの街(たとえば、スマートシティ)であってもよいし、工場であってもよいし、大学キャンパスであってもよい。アグリゲータは、サーバ30の管轄エリアに存在するDERのユーザと、エネルギマネジメントに関する契約を結ぶ。この契約を結んだユーザは、アグリゲータからの要請に従ってDERにエネルギマネジメントを行なわせることによって所定のインセンティブを受け取ることができる。また、要請に従うことを承認したにもかかわらず、要請に従わなかったユーザには、上記契約によって所定のペナルティが科される。契約でエネルギマネジメントが義務付けられたDERおよびそのユーザは、サーバ30に登録される。
【0054】
サーバ30は、上記EMDERの選定後、各EMDERへ指令を送信する。この指令により、サーバ20からの要請に従うエネルギマネジメント(たとえば、電力系統PGの需給調整)が行なわれる。
【0055】
サーバ30は、所定の電力量計によってEMDERごとの電力調整量(たとえば、所定期間における充電電力量および/または放電電力量)を計測する。電力調整量は、インセンティブの算定に用いられてもよい。所定の電力量計は、スマートメータ13であってもよいし、車両に搭載された電力量計(たとえば、
図1に示した監視モジュール121)であってもよい。電力量計の設置場所は任意である。EVSE40に電力量計が内蔵されてもよい。持運び可能な充電ケーブルに電力量計を付けてもよい。
【0056】
この実施の形態では、サーバ30が、サーバ10からスマートメータ13の検出値を受信するように構成される。ただしこれに限られず、サーバ30は、スマートメータ13の検出値を直接的に(サーバ10を介さずに)取得するように構成されてもよい。
【0057】
スマートメータ13は、
図2に示した電力系統PG(すなわち、発電所11および送配電設備12が構築する電力網)からEVSE40に供給される電力量を計測するように構成される。この実施の形態では、EVSE40およびEMS60が1つの住宅または事業所(たとえば、工場または商業施設)に設置される。EMS60は、たとえばHEMS(Home Energy Management System)、FEMS(Factory Energy Management System)またはBEMS(Building Energy Management System)である。スマートメータ13は、電力系統PGからその住宅または事業所に供給される電力量(すなわち、家庭または事業所で使用される電力量)を計測する。
【0058】
サーバ30Aは、サーバ20からエネルギマネジメントの要請を受けたときに、EMS60およびEVSE40を経由して車両50へ充電開始指令を送信することにより、バッテリ130の充電を通じてエネルギマネジメントを行なう。また、サーバ30Aは、車両50と無線通信を行なうように構成される。
【0059】
上述した電力管理システム1において、車両50のバッテリ130のSOCを上限値から下限値の範囲にするような充放電量の制御を、VPPに適用したとしても、VPPに対する貢献を高めるものではない。
【0060】
そこで、電力管理システム1は、電力の取引先の電力会社E1の電力系統PGとの間で電力を遣り取りするシステムであって、バッテリ130を搭載する複数の車両50と、複数の車両50のそれぞれのバッテリ130と電力系統PGとの間の電力の遣り取りを管理するサーバ10,20,30とを備える。サーバ10,20,30は、バッテリ130と電力系統PGとの間の電力の遣り取りが終了されることと相関があるユーザの所定動作を検知し、所定動作が検知された場合、所定動作が検知された時刻から、バッテリ130と電力系統PGとの間の電力の遣り取りが終了する予想時刻を算出し、算出された予想時刻に電力系統PGとの間の電力の遣り取りを終了する見込みの車両50が負担していた電力を、電力系統PGとの間で電力を遣り取りしている他の車両50に振り分けるための処理を実行する。
【0061】
これにより、電力の遣り取りが終了されることと相関があるユーザの所定動作が検知された時刻から算出された予想時刻に車両50のバッテリ130と電力会社E1の電力系統PGとの間の電力の遣り取りを終了する見込みの車両50が負担していた電力が、他の車両50に振り分けられる。その結果、電力会社E1との間での電力の遣り取りにおける予定外の車両50の離脱による遣り取りされる電力の変動を抑制することができる。
【0062】
図4は、この実施の形態におけるVPPのための処理の流れを示すフローチャートである。
図4を参照して、サーバ側処理は、サーバ30の制御装置31によって実行されている上位の処理から所定周期ごとに呼出されて実行される。サーバ側処理において、まず、サーバ30の制御装置31は、DRの要請を計画または再計画するタイミングであるか否かを判断する(ステップS311)。DRの要請を計画するタイミングは、たとえば、上位アグリゲータE2からDRの依頼を受けたタイミングである。DRの要請を再計画するタイミングは、計画されたDRの要請が計画通りに許諾されていないと判断したタイミングである。
【0063】
DRの要請を(再)計画するタイミングである(ステップS311でYES)と判断した場合、サーバ30の制御装置31は、上位アグリゲータE2などの上位からのDRの要求に応じてDRの要請をする車両の組合せを決定する(ステップS312)。DRの要求に含まれる情報には、たとえば、DRを実施する日時を示す情報、上げDR/下げDRの区別を示す情報、および、DRで要求される電力を示す情報が含まれる。
【0064】
上位からのDRの要求は、たとえば、7月から8月の月曜日から金曜日の13時から15時に下げDRで15(MW)の需要を抑制して欲しいとの第1の要求例、または、1月から2月の月曜日から金曜日の0時から5時に上げDRで9(MW)の需要を増加して欲しいとの第2の要求例である。
【0065】
たとえば、第1の要求例の場合、全車両のうちの平均10(%)がDRに参加可能であり、各車両が平均1.5(kW/台)の電力を供給可能であれば、15(MW)/1.5(kW/台)/10(%)=100000(台)の車両の組合せが決定される。これにより、100000台の車両50の10%によって、15(MW)の電力を供給することが可能となり、15(MW)の需要の抑制を見込むことができる。
【0066】
また、第2の要求例の場合、各車両が平均3.0(kW/台)の電力で充電可能であれば、9(MW)/3.0(kW/台)/10(%)=30000(台)の車両の組合せが決定される。これにより、30000台の車両50の10%によって、9(MW)の電力を消費することが可能となり、9(MW)の需要の増加を見込むことができる。
【0067】
次に、サーバ30の制御装置31は、ステップS312で決定された車両50のユーザの携帯端末80にDRの要請をするための情報を送信する(ステップS313)。DRの要請をするための情報には、たとえば、DRを実施する日時を示す情報、上げDR/下げDRの区別を示す情報、および、DRで要求される車両50の1台当りの電力を示す情報が含まれる。
【0068】
ユーザ端末処理は、VPP用のアプリにおいて、携帯端末80のCPUによって実行されている上位の処理から所定周期ごとに呼出されて実行される。携帯端末80において、バックグラウンドで実行されるVPP用のアプリによって、携帯端末80のCPUは、サーバ30からDRの要請をするための情報を受信したか否かを判断する(ステップS811)。DRの要請を受信した(ステップS811でYES)と判断した場合、携帯端末80のCPUは、DRの要請を許諾するかを確認するための画面をディスプレイに表示させる(ステップS812)。DRの要請を許諾するかを確認するための画面には、たとえば、許諾の意思を入力するためのボタン画像が表示される。
【0069】
DRの要請を受信していない(ステップS811でNO)と判断した場合、または、ステップS812の後、携帯端末80のCPUは、ディスプレイのタッチパネルで、DRの要請を許諾するかを確認するための画面において、許諾の意思を入力するためのボタン画像がタップされることで、許諾の入力がされたか否かを判断する(ステップS813)。
【0070】
許諾の入力がされた(ステップS813でYES)と判断した場合、携帯端末80のCPUは、DRの要請を許諾する旨の情報をサーバ30に送信する(ステップS814)。許諾の入力がされていない(ステップS813でNO)と判断した場合、または、ステップS814の後、携帯端末80のCPUは、実行する処理をこのユーザ端末処理の呼出元の上位の処理に戻す。
【0071】
サーバ30において、携帯端末80からDRの要請を許諾する旨の応答を受信したか否かを判断する(ステップS314)。DRの要請を許諾する旨の応答を受信した(ステップS314でYES)と判断した場合、サーバ30の制御装置31は、この応答を送信してきた携帯端末80のユーザに関する情報をDRの要請を許諾したユーザのリストに追加する(ステップS315)。
【0072】
もし、上位からのDRの要求で示されるDRを実施する日時の所定期間前になっても、DRで要求される電力を確保するために必要な数のユーザがDR要請リストに含まれていない場合、サーバ30の制御装置31は、ステップS311からステップS313の処理を、再度、実行する。
【0073】
DRの要請を許諾する旨の応答を受信していない(ステップS314でNO)と判断した場合、または、ステップS315の後、サーバ30の制御装置31は、現在がDRの要求で示されるDRの実行タイミングであるか否かを判断する(ステップS316)。
【0074】
DRの実行タイミングである(ステップS316でYES)と判断した場合、サーバ30の制御装置31は、DRの実行を開始させるためのDR信号を、DR要請リストに含まれるユーザの携帯端末80に送信する(ステップS317)。DR信号には、たとえば、当該車両50のVPPへの参加時のバッテリ130のSOCの制御範囲の上下限値、DRを開始する日時を示す情報、上げDR/下げDRの区別を示す情報、および、DRで要求される車両50の1台当りの電力を示す情報が含まれる。
【0075】
DR要請を許諾したユーザは、DRの実行タイミングになる前に、予め指定されたEVSE40のコネクタ43を車両50に接続して、充放電が可能な状態にしておく。
【0076】
EMS側処理は、EMS60のCPUによって実行されている上位の処理から所定周期ごとに呼出されて実行される。EMS側処理において、EMS60のCPUは、サーバ30からDR信号を受信したか否かを判断する(ステップS611)。DR信号を受信した(ステップS611でYES)と判断した場合、EMS60のCPUは、DR信号に応じて、車両50のバッテリ130の充放電を実行するよう、EVSE40および車両50を制御する(ステップS612)。サーバ30は、車両50のバッテリ130の充放電電力をスマートメータ13から取得する。
【0077】
たとえば、DR信号で示されるDRの区別が下げDRである場合、EMS60は、EVSE40および車両50に、DR信号で示される電力のワット数で車両50への充電を開始するための信号を送信する。これにより、EVSE40による車両50への指定された電力での充電が開始される。その結果、車両50への充電によって、指定された電力の分の下げDRを実行することができる。加えて、バッテリ130のSOCが、DR信号で示されるSOCの上限値に達した場合、充電が禁止されるよう制御される。
【0078】
また、DR信号で示されるDRの区別が上げDRである場合、EMS60は、EVSE40および車両50に、DR信号で示される電力のワット数で車両50からの放電を開始するための信号を送信する。これにより、EVSE40による車両50への指定された電力での放電が開始される。その結果、車両50からの放電によって、指定された電力の分の上げDRを実行することができる。加えて、バッテリ130のSOCが、DR信号で示されるSOCの下限値に達した場合、放電が禁止されるよう制御される。
【0079】
なお、DR信号で示されるDRの区別が上げDRである場合、DR実行タイミングの直前まで車両50に充電していた場合は、EMS60は、EVSE40および車両50に、DR信号で示される電力のワット数の分、車両50への充電電力を削減するための信号を送信するようにしてもよい。これにより、EVSE40による車両50への充電電力からDR信号で指定された電力を削減した電力での充電を継続することができる。その結果、車両50への充電電力の削減によって、指定された電力の分の上げDRを実行することができる。
【0080】
DR信号を受信していない(ステップS611でNO)と判断した場合、または、ステップS612の後、EMS60のCPUは、実行する処理をこのEMS側処理の呼出元の上位の処理に戻す。
【0081】
サーバ30において、DRの実行タイミングでない(ステップS316でNO)と判断した場合、サーバ30の制御装置31は、ユーザの所定動作を検知したか否かを判断する(ステップS331)。ユーザの所定動作は、この実施形態においては、車両50のドアのアンロック操作である。ドアのアンロック操作は、車両50のECU150によって当該車両50のスマートキーからのアンロックボタンの操作信号が受信されることで検知される。所定動作が複数種類の動作のいずれであるかを検知するようにしてもよい。
【0082】
ユーザの所定動作を検知した(ステップS331でYES)と判断した場合、サーバ30の制御装置31は、当該ユーザの車両50がVPPから離脱する予想時刻を算出し、記憶装置32に記憶させる(ステップS332)。ユーザが所定動作をしてから車両50がVPPを離脱するまでの離脱所要期間は、統計的またはAI(Artificial Intelligence)学習等によってサーバ30の記憶装置32に予め記憶させておくことができる。ユーザが所定動作をした時刻に当該所定動作に対応する離脱所要期間を加算することで、ユーザの車両50がVPPから離脱する予想時刻を算出できる。
【0083】
ユーザの所定動作を検知していない(ステップS331でNO)と判断した場合、または、ステップS332の後、サーバ30の制御装置31は、現在時刻がステップS332で記憶装置32に記憶された離脱予想時刻となったか否かを判断する(ステップS333)。
【0084】
離脱予想時刻となった(ステップS333でYES)と判断した場合、サーバ30の制御装置31は、離脱する車両50が負担していた電力を、他の車両50に振り分け、それらの他の車両50に、元々負担していた電力に、振り分けられた電力を加算した電力を示すDR信号を送信し、離脱する車両50には、負担する電力が0であることを示すDR信号を送信する(ステップS334)。これらの更新されたDR信号を受信したEMS60においては、前述したステップS611およびステップS612の処理が実行される。
【0085】
[第2実施形態]
第1実施形態では、
図2で示したように、サーバ30が、車両50が接続されたEVSE40を管理するEMS60へ充放電開始指令を送信するように構成された。第2実施形態では、サーバ30は、EMS60を介さずに充放電開始指令をEVSE40に送信するように構成する。
【0086】
図5は、第2実施形態に係るサーバ30の通信態様を示す図である。
図5を参照して、サーバ30は、充電開始指令をEVSE40に直接的に送信するように構成される。サーバ30の通信装置33は、EVSE40と通信可能に構成される。また、EVSE40が、サーバ30と通信するための通信装置(図示せず)を備える。EVSE40の通信装置は、EVSE40の本体に搭載されてもよいし、充電ケーブル42に設けられてもよい。サーバ30とEVSE40との通信方式は、有線でも無線でもよい。
【0087】
第1実施形態では、
図4のステップS317およびステップS334において、サーバ30の制御装置31は、EMS60にDR信号を送信し、EMS60のCPUは、DR信号に応じて車両50のバッテリ130の充放電を実行するよう、EVSE40および車両50を制御するようにした。
【0088】
第2実施形態においては、
図4のステップS317およびステップS334において、サーバ30の制御装置31は、EVSE40にDR信号を送信し、EVSE40の制御部41は、DR信号に応じて車両50のバッテリ130の充放電を実行するよう、EVSE40の電源回路44および車両50を制御するようにする。
【0089】
なお、EVSE40は、EVSE管理用クラウドと通信可能に構成されてもよい。EVSE40とEVSE管理用クラウドとの通信プロトコルは、OCPP(Open Charge Point Protocol)であってもよい。
【0090】
[第3実施形態]
第1実施形態では、
図2で示したように、サーバ30が、車両50が接続されたEVSE40を管理するEMS60へ充放電開始指令を送信するように構成された。第3実施形態では、サーバ30は、EMS60またはEVSE40を介さずに、充放電開始指令を直接的に車両50に送信するように構成する。
【0091】
図6は、第3実施形態に係るサーバ30の通信態様を示す図である。
図6を参照して、サーバ30は、充電開始指令を無線通信で直接的に車両50へ送信するように構成される。サーバ30は、車両50と無線通信するための通信装置33を備える。また、車両50の通信機器180は、サーバ30と通信するための通信I/Fを含む。通信機器180は、DCM(Data Communication Module)を含んでもよい。
【0092】
第1実施形態では、
図4のステップS317およびステップS334において、サーバ30の制御装置31は、EMS60にDR信号を送信し、EMS60のCPUは、DR信号に応じて車両50のバッテリ130の充放電を実行するよう、EVSE40および車両50を制御するようにした。
【0093】
第2実施形態においては、
図4のステップS317およびステップS334において、サーバ30の制御装置31は、車両50にDR信号を送信し、車両50のECU150は、DR信号に応じて車両50のバッテリ130の充放電を実行するよう、EVSE40および車両50の充放電器120を制御する。
【0094】
[その他の変形例]
(1) 前述した実施の形態においては、電力管理システム1の電力の取引先が、
図3で示したように、電力会社E1であることとした。しかし、これに限定されず、電力の取引先は、一般送配電事業者および小売電気事業者などの電力会社に限定されず、再生可能エネルギ発電事業者であってもよいし、工場、ビルまたは家庭などの需要家であってもよい。
【0095】
(2) 前述した実施の形態においては、電力の取引先の電気システムが、
図2および
図3で示したように、発電所11および送配電設備12によって構築される電力網である電力系統PGであることとした。しかし、これに限定されず、電力の取引先の電気システムは、風力発電機、太陽電池またはバイオマス発電所のような再生可能エネルギの発電システム、送電網、蓄電設備、または、送受電設備であってもよいし、工場、ビルまたは家庭などの電気機器、蓄電設備、または、送受電設備などの電気設備であってもよいし、定置式電池であってもよい。
【0096】
(3) 前述した実施の形態においては、複数の車両50のそれぞれのバッテリ130と電気システムとの間の電力の遣り取りを管理するサーバが、下位アグリゲータE3のサーバ30であることとしたが、これに限定されず、上位アグリゲータE2のサーバであってもよいし、電力会社E1のサーバ10であってもよいし、これらのサーバ10,20,30が、適宜、組合わせられて構成されてもよい。
【0097】
(4) 前述した実施の形態においては、サーバ10,20,30を備える主体が、電力会社E1、上位アグリゲータE2および下位アグリゲータE3であり、3者が別々の主体であることとした。しかし、これに限定されず、サーバ10,20,30のいずれかを同じ主体が備えるようにしてもよい。
【0098】
(5) 前述した実施の形態においては、蓄電装置を搭載し移動可能な機械が車両50であることとしたが、これに限定されず、ドローンなどの飛行可能な機械などの他の機械であってもよい。
【0099】
(6) 前述した実施の形態においては、車両50は、電気自動車(BEV(Battery Electric Vehicle))であることとした。しかし、これに限定されず、車両50は、外部との電力の遣り取りのためのインレット110と、バッテリ130のような蓄電装置とを備える車両であればよく、たとえば、プラグインハイブリッド車(PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle))であってもよい。
【0100】
(7) 前述した実施の形態においては、充放電設備がEVSE40であることとした。しかし、これに限定されず、充放電設備は、車両50等の充電または放電が可能な設備であれば、他の設備であってもよく、充電スタンドに設置されるような急速充電設備または普通充電設備であってもよいし、家庭に設置される充電設備であってもよいし、家庭用コンセントなどのコンセントに接続可能な充電ケーブルであってもよい。
【0101】
(8) 前述した実施の形態においては、
図4のステップS331で検知されるユーザの所定動作が、車両50のドアのアンロック操作であることとした。しかし、これに限定されず、車両50のバッテリ130などの蓄電装置と、電力会社E1のようなVPPにおける電力の取引先の、電力系統PGのような電気システムとの間の電力の遣り取りが終了されることと相関があるユーザの所定動作であれば、他の動作であってもよく、車両50に対する所定操作であってもよいし、車両50にユーザが辿り着くまでの所定物に対する動作であってもよい。
【0102】
車両50に対する所定操作は、車両50のドアのアンロック操作に限定されず、たとえば、EVSE40のコネクタ43を接続する車両50のインレット110のアンロック操作であってもよいし、車両50に対するユーザが所持するスマートキーの接近(車両50による接近する当該車両50のスマートキーの接近の検知動作)であってもよいし、車両50の走行を開始するための操作(たとえば、ドアミラーを開いた状態にする操作、車両50のスタートスイッチをオンにする操作、ドアを開ける操作)であってもよい。これらの操作は、ECU150によって、それぞれの車両の操作対象の動作を検出するセンサからの信号が受信されることで検知される。
【0103】
車両50にユーザが辿り着くまでの所定物に対する動作は、たとえば、ユーザの自宅の玄関のドアの施錠動作であってもよいし、ユーザの自宅の窓の施錠動作であってもよいし、ユーザが自宅を出る前の定常的な家電機器の操作(たとえば、シーリングライトの消灯操作,ドライヤのオン/オフ操作,コーヒーメーカのオン/オフ操作)であってもよいし、ユーザの自宅や職場などの建物内または車両50の近辺を撮影可能なカメラによる当該ユーザを検知する動作であってもよいし、スマートスピーカ等によるユーザが車両50を使って出発する旨の音声の検知動作であってもよいし、ユーザによるスマートフォン等の端末における車両50を使って出発する旨の入力の検知動作であってもよい。これらの動作は、HEMSやBEMSなどのEMS60またはユーザのスマートフォン等の端末によって検知可能なように構成できる。
【0104】
(9) 前述した実施の形態においては、
図4のステップS333,ステップS334,ステップS611,ステップS612で示したように、現在時刻が離脱予想時刻となったときに、電力系統PGとの間の電力の遣り取りを終了する見込みの車両50が負担していた電力を、電力系統PGとの間で電力を遣り取りしている他の車両50に振り分けるための振り分け処理を実行するようにした。しかし、これに限定されず、振り分け処理を実行するタイミングは、他のタイミングであってもよく、現在時刻が離脱予想時刻となる所定期間前であってもよいし、所定動作が検知されたタイミングであってもよい。
【0105】
(10) 前述した実施の形態において、
図4のステップS332で示したように、離脱所要期間は、統計的またはAI学習等によってサーバ30の記憶装置32に予め記憶させておくようにした。この離脱所要期間は、サーバ30に登録されている全ユーザで同じ値であってもよいし、ユーザごとに異なる値、たとえば、ユーザごとにAI学習された値であってもよい。
【0106】
(11) 前述した実施の形態においては、
図4のステップS331で示したように、検知される所定動作は、1つの所定動作であることとした。しかし、これに限定されず、検知される所定動作は、複数種類の所定動作であってもよい。この場合は、ユーザの車両50がVPPから離脱する予想時刻は、ユーザの所定動作が検知された時刻に、検知された種類の所定動作に対応する離脱所要期間を加算することで算出される。
【0107】
また、検知される所定動作は、複数種類の所定動作の組合わせであってもよく、たとえば、玄関のドアを施錠する動作とユーザが車両50に近付く動作との組合せであってもよい。この場合は、ユーザの車両50がVPPから離脱する予想時刻は、組合せに含まれる所定動作が検知された時刻のうち最も遅い所定動作が検知された時刻に、検知された組合せまたは最も遅い所定動作に対応する離脱所要期間を加算することで算出される。
【0108】
(12) 前述した実施の形態においては、
図4のステップS333,ステップS334,ステップS611,ステップS612で示したように、離脱予想時刻になると、EVSE40のコネクタ43が車両50のインレット110から実際に外されたか否かに関わらず、上述した電力の振り分け処理を実行するようにした。
【0109】
しかし、これに限定されず、離脱予想時刻の所定第1期間(たとえば、1分,5分)前から所定第2期間(たとえば、5分,10分)後までの期間に、コネクタ43がインレット110から外された場合に、電力の振り分け処理を実行するようにしてもよい。所定第1期間および所定第2期間は、所定動作に対応して予め定められた期間である。なお、この場合、離脱予想時刻の所定第2期間後になっても、コネクタ43がインレット110から外されなかった場合、振り分け処理を実行しないようにしてもよい。
【0110】
また、離脱予想時刻の所定第1期間前から、コネクタ43がインレット110から外されたことの監視を開始し、コネクタ43が外されたことが検知されたときに、すぐに、振り分け処理を実行するようにしてもよい。振り分け処理における各車両50の電力の振り分けの計算など、予め実行可能な処理は、コネクタ43が外される前に実行しておいてもよい。また、離脱予想時刻の所定第2期間後までに、コネクタ43が外されたことが検知されなければ、コネクタ43がインレット110から外されたことの監視をやめるようにしてもよい。
【0111】
また、離脱予想時刻の所定第1期間前から、ユーザによるコネクタ43のアンロック操作の監視を開始し、コネクタ43のアンロック操作が検知されたときに、振り分け処理を実行するようにしてもよい。また、離脱予想時刻の所定第1期間前から、ユーザによるコネクタ43のアンロック操作の監視を開始し、コネクタ43のアンロック操作が検知されたときに、ステップS332のように離脱予想時刻を再度、算出し、算出された離脱予想時刻に振り分け処理を実行するようにしてもよい。
【0112】
(13) 前述した実施の形態においては、
図4のステップS333,ステップS334,ステップS611,ステップS612で示したように、離脱予測時刻になると、EVSE40のコネクタ43が車両50のインレット110から実際に外されたか否かに関わらず、上述した電力の振り分け処理を実行するようにした。この場合に、振り分け処理を実行した所定期間(たとえば、10分)後になっても、コネクタ43がインレット110から外されていないことが検知された場合、各車両50の電力の負担を、振り分け処理を実行する前の状態に戻すようにしてもよい。
【0113】
(14) 前述した実施形態を電力管理システム1のような電力管理システムの開示と捉えることができるし、電力の遣り取りを管理するサーバ10,20,30のような電力管理サーバの開示と捉えることができるし、電力管理システム1に含まれる車両50の開示と捉えることができるし、電力管理システム1における電力管理方法または電力管理プログラムの開示と捉えることができる。
【0114】
[まとめ]
(1)
図1から
図3および
図6で示したように、電力管理システム1は、電力の取引先の電力会社E1の電力系統PGとの間で電力を遣り取りするシステムであって、バッテリ130を搭載する複数の車両50と、複数の車両50のそれぞれのバッテリ130と電力系統PGとの間の電力の遣り取りを管理するサーバ10,20,30とを備える。
図1から
図6で示したように、サーバ10,20,30は、バッテリ130と電力系統PGとの間の電力の遣り取りが終了されることと相関があるユーザの所定動作を検知し(たとえば、
図4のステップS331)、所定動作が検知された場合、所定動作が検知された時刻から、バッテリ130と電力系統PGとの間の電力の遣り取りが終了する予想時刻を算出し(たとえば、
図4のステップS332)、算出された予想時刻に電力系統PGとの間の電力の遣り取りを終了する見込みの車両50が負担していた電力を、電力系統PGとの間で電力を遣り取りしている他の車両50に振り分けるための処理を実行する(たとえば、ステップS333,ステップS334,ステップS611,ステップS612)。
【0115】
これにより、電力の遣り取りが終了されることと相関があるユーザの所定動作が検知された時刻から算出された予想時刻に車両50のバッテリ130と電力会社E1の電力系統PGとの間の電力の遣り取りを終了する見込みの車両50が負担していた電力が、他の車両50に振り分けられる。その結果、電力会社E1との間での電力の遣り取りにおける予定外の車両50の離脱による遣り取りされる電力の変動を抑制することができる。
【0116】
(2)
図4のステップS331およびその他の変形例の(8)で示したように、所定動作は、車両50に対する所定操作であるようにしてもよい。
【0117】
これにより、車両50に対する所定操作を契機に、予定外の車両50の離脱による遣り取りされる電力の変動を抑制することができる。
【0118】
(3)
図4のステップS331およびその他の変形例の(8)で示したように、所定動作は、車両50にユーザが辿り着くまでの所定物に対する動作であるようにしてもよい。
【0119】
これにより、車両50にユーザが辿り着くまでの所定物に対する動作を契機に、予定外の車両50の離脱による遣り取りされる電力の変動を抑制することができる。
【0120】
(4)
図4のステップS317およびステップS612で示したように、車両50のバッテリ130と電力会社E1の電力系統PGとの電力の遣り取りは、バッテリ130から電力系統PGへ電力を供給することであるようにしてもよい。
【0121】
これにより、車両50のバッテリ130から電力会社E1の電力系統PGへ電力を供給している場合に、予定外の車両50の離脱による遣り取りされる電力の変動を抑制することができる。
【0122】
(5)
図4のステップS317およびステップS612で示したように、車両50のバッテリ130と電力会社E1の電力系統PGとの電力の遣り取りは、電力系統PGからバッテリ130への電力の供給を減らすことであるようにしてもよい。
【0123】
これにより、電力会社E1の電力系統PGから車両50のバッテリ130への電力の供給を減らしている場合に、予定外の車両50の離脱による遣り取りされる電力の変動を抑制することができる。
【0124】
(6)
図4のステップS317およびステップS612で示したように、車両50のバッテリ130と電力会社E1の電力系統PGとの電力の遣り取りは、電力系統PGからバッテリ130への電力の供給を増やすことであるようにしてもよい。
【0125】
これにより、電力会社E1の電力系統PGから車両50のバッテリ130への電力の供給を増やしている場合に、予定外の車両50の離脱による遣り取りされる電力の変動を抑制することができる。
【0126】
今回開示された各実施の形態は、適宜組合わせて実施することも予定されている。そして、今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0127】
1 電力管理システム、10,20,20A,20B,30,30A,30B サーバ、11 発電所、12 送配電設備、13 スマートメータ、31 制御装置、32,153 記憶装置、33 通信装置、34,161 入力装置、40 EVSE、41 制御部、42 充電ケーブル、43 コネクタ、44 電源回路、50 車両、60 EMS、80 携帯端末、110 インレット、120 充放電器、121,131 監視モジュール、130 バッテリ、140 走行駆動部、150 ECU、151 プロセッサ、152 RAM、154 タイマ、162 メータパネル、170 NAVI、180 通信機器、E1 電力会社、E2 上位アグリゲータ、E3 下位アグリゲータ、PG 電力系統、W 駆動輪。