(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】車両用ステップ装置
(51)【国際特許分類】
B60R 3/00 20060101AFI20240814BHJP
【FI】
B60R3/00
(21)【出願番号】P 2021177558
(22)【出願日】2021-10-29
【審査請求日】2023-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】三輪 政史
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-094038(JP,A)
【文献】特開2006-347509(JP,A)
【文献】特開2006-315459(JP,A)
【文献】特開2014-091510(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に設けられる車両用ステップ装置であって、
前記車体または前記車体に固定されるベースに取り付けられるアームと、
前記アームに取り付けられるステップと、
前記アームを駆動する駆動部と、を備え、
前記駆動部は、伸縮ユニットを有し、
前記伸縮ユニットは、本体部と、前記本体部に対して移動する移動部とを含み、
前記車両用ステップ装置が前記車体に取り付けられた状態において、前記伸縮ユニットが前記車体の前後方向に伸縮するように、前記移動部が前記アームに接続され
、
前記本体部は、モータによって回転するスピンドルと、前記スピンドルに係合するナットと、前記スピンドルの回転によって前記ナットが前記スピンドルに沿って移動するように前記ナットを案内する外筒とを有し、
前記移動部は、前記ナットとともに移動する、
車両用ステップ装置。
【請求項2】
前記伸縮ユニットの前記スピンドルは、前記車両用ステップ装置が前記車体または前記ベースに取り付けられた取付状態において、前記車体の前後方向に沿うように配置される、請求項
1に記載の車両用ステップ装置。
【請求項3】
前記伸縮ユニットの前記本体部は、前記車体または前記ベースにねじによって取り外し可能に取り付けられる、
請求項1
または2に記載の車両用ステップ装置。
【請求項4】
前記伸縮ユニットの前記本体部は、前記車体または前記ベースに回転可能に取り付けられる、
請求項1~
3のいずれか一項に記載の車両用ステップ装置。
【請求項5】
前記アームは、前記車体または前記ベースに支持される基部と、前記基部から前記ステップに向かって延びるアーム部と、前記基部において前記アーム部と反対方向に延びる延長部と、を備え、
前記伸縮ユニットの前記移動部の先端部は、回転可能に前記延長部に取り付けられる、
請求項1~
4のいずれか一項に記載の車両用ステップ装置。
【請求項6】
さらに、前記伸縮ユニットを受け止める受止部材を備え、
前記車両用ステップ装置が前記車体または前記ベースに取り付けられた取付状態において、前記受止部材は、前記伸縮ユニットの下に配置される、
請求項1~
5のいずれか一項に記載の車両用ステップ装置。
【請求項7】
前記伸縮ユニットの前記本体部は前記車体に直接または間接的に繋げられ、前記伸縮ユニットの前記移動部は前記アームに繋げられる、
請求項1~
6のいずれか一項に記載の車両用ステップ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ステップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両用ステップ装置が開示されている。車両用ステップ装置において、ステップは、車幅方向に移動する。ステップは、駆動部によって動かされる。駆動部は、セクターギアを有する。セクターギアは、モータの力をアームに伝達する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の車両用ステップ装置の場合、セクターギアが動く範囲の場所を確保する必要があるため、幅方向におけるステップ装置の幅を短くし難い。この点で、車幅方向の大きさについて改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する車両用ステップ装置は、車体に設けられる車両用ステップ装置であって、前記車体または前記車体に固定されるベースに取り付けられるアームと、前記アームに取り付けられるステップと、前記アームを駆動する駆動部と、を備え、前記駆動部は、伸縮ユニットを有し、前記伸縮ユニットは、本体部と、前記本体部に対して移動する移動部とを含み、前記車両用ステップ装置が前記車体に取り付けられた状態において、前記伸縮ユニットが前記車体の前後方向に伸縮するように、前記移動部が前記アームに接続される。
【0006】
この構成によれば、伸縮ユニットがアームを動かす。そして、伸縮ユニットが車体の前後方向に伸縮するように、伸縮ユニットの移動部がアームに接続される。このため、従来の車両用ステップ装置に比べて、車両用ステップ装置において幅方向に沿う幅を小さくできる。
【0007】
上記車両用ステップ装置において、前記本体部は、モータによって回転するスピンドルと、前記スピンドルに係合するナットと、前記スピンドルの回転によって前記ナットが前記スピンドルに沿って移動するように前記ナットを案内する外筒とを有し、前記移動部は、前記ナットとともに移動する。この構成によれば、伸縮ユニットとして油圧または空気圧のアクチュエータを使う場合に比べて、駆動部を簡潔な構造にできる。
【0008】
上記車両用ステップ装置において、前記伸縮ユニットの前記スピンドルは、前記車両用ステップ装置が前記車体または前記ベースに取り付けられた取付状態において、前記車体の前後方向に沿うように配置される。この構成によれば、従来の車両用ステップ装置に比べて、車両用ステップ装置において幅方向に沿う幅を小さくできる。
【0009】
上記車両用ステップ装置において、前記伸縮ユニットの前記本体部は、前記車体または前記ベースにねじによって取り外し可能に取り付けられる。この構成によれば、伸縮ユニットの本体部を車体またはベースから取り外すことによって、伸縮ユニットに基づく車体に対するアームの移動制限を簡単に解除できる。例えば、移動部の固着に起因して伸縮ユニットが伸縮しなくなり、ステップを動かせない場合に、伸縮ユニットの本体部を車体またはベースから取り外すことによって、ステップを動かせることができるようになる。
【0010】
上記車両用ステップ装置において、前記伸縮ユニットの前記本体部は、前記車体または前記ベースに回転可能に取り付けられる。この構成によれば、前記伸縮ユニットの本体部が車体またはベースに固定されている場合に比べて、スムーズにアームを動かせることができる。
【0011】
上記車両用ステップ装置において、前記アームは、前記車体または前記ベースに支持される基部と、前記基部から前記ステップに向かって延びるアーム部と、前記基部において前記アーム部と反対方向に延びる延長部と、を備え、前記伸縮ユニットの前記移動部の先端部は、回転可能に前記延長部に取り付けられる。この構成によれば、伸縮ユニットの移動部の先端部がアーム部に取り付けられる場合に比べて、アームの可動域を広くできる。
【0012】
上記車両用ステップ装置において、さらに、前記伸縮ユニットを受け止める受止部材を備え、前記車両用ステップ装置が前記車体または前記ベースに取り付けられた取付状態において、前記受止部材は、前記伸縮ユニットの下に配置される。この構成によれば、伸縮ユニットが地面に落下することを抑制できる。
【0013】
上記車両用ステップ装置において、前記伸縮ユニットの前記本体部は前記車体に直接または間接的に繋げられ、前記伸縮ユニットの前記移動部は前記アームに繋げられる。この構成によれば、前記本体部が車体の近くに配置されるため、アームに加わる荷重を小さくできる。
【発明の効果】
【0014】
車両用ステップ装置によれば、幅方向における幅を小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態に係る車両用ステップ装置を備える車両の平面図である。
【
図4】下からみた車両用ステップ装置の斜視図である。
【
図5】
図2の5-5線に沿う車両用ステップ装置の断面図である。
【
図7】
図2の7-7線に沿う車両用ステップ装置の断面図である。
【
図8】
図2の8-8線に沿う車両用ステップ装置の断面図である。
【
図11】ステップが展開位置に配置されるときの車両用ステップ装置の平面図である。
【
図12】ステップが格納位置に配置されるときの車両用ステップ装置の平面図である。
【
図13】車両用ステップ装置の変形例の斜視図である。
【
図14】下からみた
図13の車両用ステップ装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1~
図12を参照して、車両用ステップ装置1について説明する。車両用ステップ装置1が車体2に直接または間接的に取り付けられる。以下の説明では、車両用ステップ装置1が車体2に直接または間接的に取り付けられた状態のことを「車両用ステップ装置1の取付状態」と呼ぶ。
【0017】
車両用ステップ装置1の前後方向DYは、車両用ステップ装置1の取付状態において、車体2の前後方向DYAに一致する。車両用ステップ装置1の幅方向DXは、車両用ステップ装置1の取付状態において、車体2の幅方向DXAに一致する。車両用ステップ装置1の上下方向DZは、車両用ステップ装置1の取付状態において、車体2の上下方向DZAに一致する。
【0018】
<車両>
図1に示されるように、車両用ステップ装置1は、車体2に設けられる。車両用ステップ装置1は、車体2に直接に取り付けられてもよい。車両用ステップ装置1は、ベース3を介して車体2に取り付けられてもよい。車両用ステップ装置1は、支持部材9を介して車体2に取り付けられてもよい。
【0019】
車両用ステップ装置1は、車体2の底板の下面に取り付けられる。車両用ステップ装置1は、車体2の底板において、ドアによって閉鎖される車両乗降口の付近に取り付けられる。車両用ステップ装置1のステップ5は、乗降用の補助ステップとして使用される。このため、車両用ステップ装置1のステップ5は、車両乗降口の下端よりも下方に配置される。車両用ステップ装置1のステップ5は、モータ53の動力によって移動する。車両用ステップ装置1のステップ5は、乗降の際の所定操作指令によって、車体2の底板の下に収容された格納位置から展開位置まで移動する。展開位置(
図11参照)は、幅方向DXにおいて車体2に対して格納位置(
図12参照)から外方に離れた位置にある。ステップ5が展開位置まで移動すると、ステップ5は、平面視で、ステップ5の少なくとも一部が車体2から露出するように配置される。
【0020】
図2に示されるように、車両用ステップ装置1は、アーム4と、アーム4に取り付けられるステップ5と、アーム4を駆動する駆動部6と、を備える。本実施形態では、車両用ステップ装置1は、3個のアーム4を備える。車両用ステップ装置1において、3個のアーム4を、前から順に、第1アーム21、第2アーム22、第3アーム23と呼ぶ。第1アーム21~第3アーム23を区別しないとき、単に、アーム4と呼ぶ。
【0021】
アーム4は、車体2を含む車体構造体2Xに取り付けられる。車体構造体2Xは、車体2のみであってもよい。車体構造体2Xは、車体2と、アーム4を支持する支持部材9と、を備えてもよい。車体構造体2Xは、車体2と、車体2に取り付けられるベース3と、支持部材9と、を備えてもよい。
【0022】
例えば、アーム4は、車体2に直接に取り付けられる。アーム4は、ベース3を介して車体2に取り付けられてもよい。アーム4は、ベース3に固定される支持部材9に取り付けられてもよい。本実施形態では、アーム4は、ベース3および支持部材9を介して車体2に取り付けられる。
【0023】
<ベース>
図3に示されるように、ベース3は、第1ベース11と、第2ベース12とを含む。第1ベース11は、車体2において、第2ベース12よりも前に配置される。第1ベース11は、第1アーム21の基部25を支持する。第2ベース12は、第2アーム22の基部25および第3アーム23の基部25を支持する。
【0024】
第1ベース11は、第1締結部11Aと、第1締結部11Aよりも幅方向DXの内方に配置される第2締結部11Bと、第1締結部11Aと第2締結部11Bとの間にある第1中間部11Cと、を備える。
【0025】
第2締結部11Bは、上下方向DZにおいて第1中間部11Cよりも高い位置に設けられる。第2締結部11Bは、第1段差部11Dを介して第1中間部11Cに繋がる。第1締結部11Aおよび第2締結部11Bは、ねじまたはリベットで車体2に締結される。第1ベース11の第1中間部11Cには、板状の第1支持部材9Aが固定される。第1アーム21は、第1支持部材9Aに取り付けられる。
【0026】
図4に示されるように、第1ベース11は、さらに、伸縮ユニット支持部11Eを有する。伸縮ユニット支持部11Eは、第1中間部11Cから後方に突出するように設けられる。伸縮ユニット支持部11Eは、伸縮ユニット50の本体部51を支持する。
【0027】
図3に示されるように、第2ベース12は、第3締結部12Aと、第4締結部12Bと、第2中間部12Cと、第2中間部12Cから後方に延びる後方部12Eと、を備える。第4締結部12Bは、第3締結部12Aよりも幅方向DXの車体中心寄りに配置される部分である。第2中間部12Cは、第3締結部12Aと第4締結部12Bとの間にある部分である。
【0028】
第4締結部12Bは、上下方向DZにおいて第2中間部12Cよりも高い位置に設けられる。第4締結部12Bは、第2段差部12Dを介して第2中間部12Cに繋がる。第3締結部12Aおよび第4締結部12Bは、ねじまたはリベットで車体2に締結される。第3締結部12Aおよび第4締結部12Bは、溶接等で車体2に取り付けられてもよい。
【0029】
第2ベース12の第4締結部12Bは、1列に配列されるねじによって車体2に締結される。第2ベース12の第2中間部12Cには、板状の第2支持部材9Bが固定される。第2アーム22は、第2支持部材9Bに取り付けられる。第2ベース12の後方部12Eには、板状の第3支持部材9Cが固定される。第3アーム23は、第3支持部材9Cに取り付けられる。
【0030】
図4に示されるように、第2ベース12には、スイッチ14が設けられる。スイッチ14は、スイッチ14のオン動作によって、駆動部6の動作を停止させるための信号を出力する。スイッチ14は、第2アーム22の延長部30が接触可能である位置に配置される。具体的には、スイッチ14は、ステップ5が格納位置に配置されるときの第2アーム22の配置において、第2アーム22の延長部30がスイッチ14のレバーに接触するように配置される。
【0031】
図5および
図6に示されるように、第2ベース12は、車体2の下面に当てられる当て部15を有する。当て部15は、幅方向DXにおいて第3締結部12Aよりも車体中心寄りに配置される。当て部15は、少なくとも、第2ベース12の前側または後側に設けられる。
【0032】
当て部15は、ベース3における延長対応部分3Aに設けられる。延長対応部分3Aは、ベース3において、仮想延長部23Xと第2ベース12とが、重なるところである。仮想延長部23Xは、車両用ステップ装置1の取付状態でアーム4が展開位置に配置される場合において、第3アーム23の基部25に対してアーム部26が延びる方向と反対方向に第3アーム23を延長したときの延長部分を示す。
【0033】
さらに、当て部15は、延長対応部分3Aであって、かつ、ねじ延長部3Bに設けられてもよい。ねじ延長部3Bは、ベース3において、第4締結部12Bのねじの列に沿う方向DSに、第4締結部12Bを延長したときの延長部分を示す。
【0034】
図5に示されるように、車両用ステップ装置1は、緩衝材16を備えてもよい。
緩衝材16は、当て部15と、車体2において当て部15が当てられる当接部分2Aとの間に設けられる。緩衝材16は、シート状に構成される。緩衝材16は、車体2の当接部分2Aに接着されてもよい。緩衝材16は、当て部15に設けられてもよい。緩衝材16は、当て部15と車体2との直接の接触に起因する車体2の塗装の剥離を抑制するため、または、当て部15と車体2との直接の接触に起因する振動音を抑制するために、設けられる。緩衝材16は、ゴムシートまたは樹脂シートによって構成される。緩衝材16は、車体2の当接部分2Aおよび当て部15の両部分に設けられてもよい。
【0035】
<支持部材>
支持部材9は、車体2に直接または間接的に設けられる。一例では、支持部材9は、ベース3に取り付けられる。支持部材9は、金属によって構成される。支持部材9は、所定厚さを有する板部材として構成される。支持部材9の厚さは、ベース3の厚さよりも大きい。支持部材9は、溶接によってベース3に固定される。支持部材9は、第1支持部材9A~第3支持部材9Cを含む。
【0036】
第1支持部材9A~第3支持部材9Cのうちの少なくとも1つは次の構成を有してもよい。車両用ステップ装置1の取付状態において、幅方向DXに沿う支持部材9の第1幅DW1は、幅方向DXに直交する方向に沿う支持部材9の第2幅DW2よりも、大きい(
図3参照)。
【0037】
また、第1支持部材9A~第3支持部材9Cのうちの少なくとも1つは次の構成を有してもよい。車両用ステップ装置1の取付状態において、支持部材9における幅方向DXの両端部は、幅方向DXに交差する方向の両端部よりも車体2または車体2に固定されるベース3に強固に固定される。
【0038】
<アーム>
各アーム4は、基部25と、アーム部26と、を備える。アーム部26は、基部25からステップ5に向かって延びる。各アーム4の基部25は、ベース3に回転可能に取り付けられる。各アーム4の基部25の回転軸心は、互いに平行である。基部25は、軸部材10が挿通する貫通孔25Aを有する。貫通孔25Aには、軸部材10が挿通する。
【0039】
基部25は、支持部材9を介して車体2またはベース3に支持される。具体的には、アーム4は、支持部材9および軸部材10によって、回転可能に車体構造体2Xに取り付けられる。アーム4の先端部28は、ステップ軸部材41が挿通する貫通孔28Aを有する(
図8参照)。
【0040】
第3アーム23のアーム部26は、関節部29を有する(
図3参照)。第3アーム23のアーム部26は、関節部29に設けられる軸を中心に屈伸する。第3アーム23が関節部29を有することによって、ステップ5は円滑に移動する。
【0041】
第2アーム22は、基部25と、アーム部26と、延長部30とを備える(
図4参照)。延長部30は、基部25およびアーム部26と別部材に構成されてもよい。延長部30は、基部25においてアーム部26と反対方向に延びる。延長部30には、ボールジョイント60のボール部61が設けられる第1部分30Aと、第1部分30Aから延びる第2部分30Bとを有する(
図10参照)。第2部分30Bは、第2アーム22がアーム格納位置に配置されるときに、スイッチ14に当接するように、第1部分30Aに設けられる。アーム格納位置は、ステップ5が格納位置に配置されるときの第2アーム22の位置である。
【0042】
図7を参照して、アーム4の支持構造を説明する。
図7は、第2アーム22の基部25の断面図である。
図7において、第2ベース12の記載は省略されている。
図7に示されるように、軸部材10は、支持部材9に取り付けられる。軸部材10は、アーム4の貫通孔25Aを通って支持部材9に取り付けられる軸本体部10Aと、軸本体部10Aの端に設けられる頭部10Bと、を有する。アーム4の基部25は、頭部10Bと支持部材9とによって挟持される。
【0043】
軸部材10の端部は、軸本体部10Aがアーム4の貫通孔25Aに挿通した状態で、支持部材9に結合する。貫通孔25Aと軸部材10との間にはブッシュ32が配置される。軸部材10の頭部10Bは、アーム4の基部25の下面を支持する。軸部材10の頭部10Bとアーム4の基部25との間にはワッシャ33が配置される。支持部材9とアーム4の基部25との間には、ワッシャ33が配置される。
【0044】
アーム4の先端部28は、ステップ5に回転可能に取り付けられる。各アーム4の先端部28は、幅方向DXにおいてステップ5の車体寄りの部分に取り付けられる。各アーム4の先端部28の回転軸心は、互いに平行である。
【0045】
図8に示されるように、アーム4の先端部28には、貫通孔28Aが設けられる。貫通孔28Aには、ステップ軸部材41が挿通する。ステップ軸部材41の上端部は、ステップ軸部材41がアーム4の貫通孔28Aに挿通した状態で、ステップ5の上面部5Aに結合する。ステップ軸部材41の下端部は、ステップ軸部材41がアーム4の貫通孔28Aに挿通した状態で、ステップ5の下面部5Bに結合する。貫通孔28Aとステップ軸部材41との間にはブッシュ34が配置される。
【0046】
<ステップ>
ステップ5は、第1アーム21、第2アーム22および第3アーム23によって支持される。ステップ5は、車体2に対して移動するように第1アーム21~第3アーム23によって支持される。ステップ5は、ステップ本体部40を有する。例えば、ステップ本体部40は、アルミニウムまたはアルミニウム合金によって構成される。ステップ本体部40は、押出加工または引抜加工によって成形される。
【0047】
図8に示されるように、ステップ本体部40は、第1側面40Aと、幅方向DXにおいて第1側面40Aよりも車体寄りに配置される第2側面40Bと、を有する。第2側面40Bには、第1側面40Aに向かって凹む溝部42が設けられる。溝部42は、車両用ステップ装置1の取付状態において、車体2に向かって開口する。溝部42は、アーム4の先端部28が収容されるように構成される。
【0048】
<駆動部>
駆動部6は、伸縮ユニット50を有する。伸縮ユニット50は、本体部51と、本体部51に対して移動する移動部52とを含む。本体部51は、車体2に直接または間接的に繋げられる。移動部52は、アーム4に繋げられる。
【0049】
図9に示されるように、本体部51は、モータ53によって回転するスピンドル55と、スピンドル55に係合するナット56と、外筒57と、を有する。外筒57は、スピンドル55の回転によってナット56がスピンドル55に沿って移動するように、ナット56を案内する。
【0050】
一例では、本体部51は、モータ53を備える。モータ53は、外筒57の端に取り付けられる。スピンドル55およびナット56は、外筒57に内装される。移動部52は、筒部52Aを有する。移動部52の筒部52Aは、外筒57に挿通する。ナット56は、移動部52の筒部52Aの端部に取り付けられる。スピンドル55が回転すると、移動部52は、ナット56とともにスピンドル55に沿って移動する。
【0051】
本体部51は、車体2またはベース3に回転可能に取り付けられる。
例えば、本体部51は、ボールジョイント60を介して車体2またはベース3に取り付けられる。ボールジョイント60は、ボール部61と、ボール部61を受けるボール受部62とを備える。ボール部61は、車体2に直接または間接的に取り付けられる。ボール受部62は、本体部51の端部に設けられる。
【0052】
図10に示されるように、本体部51は、車体2またはベース3にねじによって取り外し可能に取り付けられる。具体的には、ボールジョイント60のボール部61は、取付部材63に固定される。取付部材63は、ねじによって、第1ベース11の伸縮ユニット支持部11Eに取り付けられる(
図4参照)。ねじを緩めることによって、第1ベース11の伸縮ユニット支持部11Eから取付部材63が取り外されるように、取付部材63は取り付けられる。
【0053】
移動部52の先端部は、第2アーム22の延長部30に回転可能に取り付けられる(
図4参照)。具体的には、スピンドル55の先端部は、ボールジョイント60を介して第2アーム22の延長部30に取り付けられる。ボールジョイント60は、ボール部61と、ボール部61を受けるボール受部62とを備える。ボール部61は、第2アーム22の延長部30に取り付けられる。ボール受部62は、移動部52の先端部に設けられる。
【0054】
図11および
図12に示されるように、伸縮ユニット50は、車両用ステップ装置1が車体2またはベース3に取り付けられた取付状態において、スピンドル55が車体2の前後方向DYAに沿うように配置される。また、車両用ステップ装置1が車体2に取り付けられた状態において、伸縮ユニット50が車体2の前後方向DYAに伸縮するように、移動部52がアーム4に接続される。
【0055】
車両用ステップ装置1は、さらに、受止部材65を備えてもよい。受止部材65は、伸縮ユニット50を受け止める。受止部材65は、伸縮ユニット50が地面まで落下することを防止するために、設けられる。受止部材65は、車両用ステップ装置1が車体2またはベース3に取り付けられた状態において、伸縮ユニット50の下に配置される。受止部材65は、吊下部材を介して、ベース3に固定される。
【0056】
駆動部6によって、ステップ5は次のように動作する。
ステップ5が格納位置に配置されている状態では、アーム4は、前後方向DYに沿うように配置される。このとき、伸縮ユニット50の移動部52は、本体部51から所定距離だけ離れた位置に配置されている(
図12参照)。モータ53の駆動によって、移動部52が本体部51に近づくように移動すると、第2アーム22の延長部30が伸縮ユニット50によって第1ベース11に向かって引かれる。第2アーム22の回転に連動して、第1アーム21および第3アーム23が移動して、ステップ5は展開位置(
図11参照)に向かって移動する。
【0057】
本実施形態の作用を説明する。
伸縮ユニット50は、移動部52の長手方向に沿う線が車体2の前後方向DYAに沿うように、配置される(
図11および
図12参照)。具体的には、スピンドル55が車体2の前後方向DYAに沿うように伸縮ユニット50が配置される。伸縮ユニット50は、車体2の前後方向DYAに伸縮する。このため、駆動部6が占める領域は、セクターギアを有する他の駆動部に比べて、車体2の幅方向DXAに小さくなる。車両用ステップ装置1によれば、車体2の幅方向DXAにおいて占める面積を小さくできるため、車体2の下面に、幅広の装置を設置できる。例えば、車両用ステップ装置1によれば、幅広のバッテリを車体2に搭載し易くできる。
【0058】
本実施形態の車両用ステップ装置1は、次の効果を有する。
(1)車両用ステップ装置1は、アーム4と、アーム4に取り付けられるステップ5と、アーム4を駆動する駆動部6と、を備える。駆動部6は、伸縮ユニット50を有する。伸縮ユニット50は、本体部51と、本体部51に対して移動する移動部52とを含む。伸縮ユニット50は、車両用ステップ装置1の取付状態において、伸縮ユニット50が車体2の前後方向DYAに伸縮するように、移動部52がアーム4に接続される。
【0059】
この構成によれば、伸縮ユニット50がアーム4を動かす。そして、伸縮ユニット50が車体2の前後方向DYAに伸縮するように、伸縮ユニット50の移動部52がアーム4に接続される。このため、従来の車両用ステップ装置1に比べて、車両用ステップ装置1において幅方向DXに沿う幅を小さくできる。
【0060】
(2)伸縮ユニット50の本体部51は、スピンドル55と、スピンドル55に係合するナット56と、ナット56を案内する外筒57とを有する。移動部52は、ナット56とともに移動する。この構成によれば、伸縮ユニット50として油圧または空気圧のアクチュエータを使う場合に比べて、駆動部6を簡潔な構造にできる。
【0061】
(3)伸縮ユニット50は、車両用ステップ装置1の取付状態において、スピンドル55が車体2の前後方向DYAに沿うように配置される。この構成によれば、従来の車両用ステップ装置1に比べて、車両用ステップ装置1において幅方向DXに沿う幅を小さくできる。
【0062】
(4)伸縮ユニット50の本体部51は、車体2またはベース3にねじによって取り外し可能に取り付けられる。この構成によれば、伸縮ユニット50の本体部51を車体2またはベース3から取り外すことによって、伸縮ユニット50に基づく車体2に対するアーム4の移動制限を簡単に解除できる。例えば、移動部52の固着に起因して伸縮ユニット50が伸縮しなくなり、ステップ5を動かせない場合に、伸縮ユニット50の本体部51を車体2またはベース3から取り外すことによって、ステップ5を動かせることができるようになる。
【0063】
(5)伸縮ユニット50の本体部51は、車体2またはベース3に回転可能に取り付けられる。この構成によれば、伸縮ユニット50の本体部51が車体2またはベース3に固定されている場合に比べて、スムーズにアーム4を動かせることができる。
【0064】
(6)伸縮ユニット50の移動部52の先端部は、回転可能に第2アーム22の延長部30に取り付けられる。この構成によれば、伸縮ユニット50の移動部52の先端部がアーム部26に取り付けられる場合に比べて、アーム4の可動域を広くできる。
【0065】
(7)車両用ステップ装置1は、伸縮ユニット50を受け止める受止部材65を備える。伸縮ユニット50は、車両用ステップ装置1の取付状態において、伸縮ユニット50の下に配置される。この構成によれば、伸縮ユニット50が地面に落下することを抑制できる。
【0066】
(8)伸縮ユニット50の本体部51は車体2に直接または間接的に繋げられる。伸縮ユニット50の移動部52はアーム4に繋げられる。この構成によれば、本体部51が車体2の近くに配置されるため、アーム4に加わる荷重を小さくできる。
【0067】
<その他の変更例>
上記実施形態は、上記構成の例に限定されない。上記実施形態は、以下のように変更され得る。なお、以下の変更例では、上記実施形態の構成と実質的に変更のない構成については、上記実施形態の構成と同一の符号をつけて説明する。
【0068】
・
図13および
図14に示されるように、ベース3は、各アーム4に対して設けられてもよい。ベース3は、個別に車体2に締結される。この例では、伸縮ユニット50の本体部51は、第1アーム21を支持するベース3に取り付けられる。伸縮ユニット50の移動部52は、第2アーム22の延長部30に取り付けられる。
【0069】
・
図14に示されるように、支持部材9は、複数のアーム4のうちの幾つかのアーム4に対応して設けられてもよい。
図14に示される例では、第1アーム21および第2アーム22それぞれに対して支持部材9が設けられる。第3アーム23は、支持部材9を介さずにベース3に取り付けられる。なお、
図14では、伸縮ユニット50の記載が省略されている。
【0070】
・伸縮ユニット50の他の例として、油圧アクチュエータ、および、空気圧アクチュエータが挙げられる。伸縮ユニット50は、本体部51の両端部に設けられる2個の移動部52を有してもよい。
【0071】
・本実施形態において、第1ベース11の第2締結部11Bは、省略されてもよい。この場合、第2締結部11Bにかえて、第2締結部11Bと同じところに当て部15が設けられる。第2ベース12の第4締結部12Bは、省略されてもよい。この場合、第4締結部12Bにかえて、第4締結部12Bと同じところに当て部15が設けられる。こうすることにより、ベース3において車体2に締結される締結部は、幅方向DXにおいて車体2の外側に配置される第1締結部11Aおよび第3締結部12Aのみになり、幅方向DXにおいて車体2の内側部分は締結されなくなる。このため、車両用ステップ装置1の取付対象の車体構造の自由度が増し、様々な車種に車両用ステップ装置1を搭載することができる。車両用ステップ装置1自体は、幅方向DXにおける内側部分に締結構造を有しないため、車両用ステップ装置1をコンパクトにすることができる。
【符号の説明】
【0072】
1…車両用ステップ装置
2…車体
3…ベース
4…アーム
5…ステップ
6…駆動部
25…基部
26…アーム部
28…先端部
30…延長部
50…伸縮ユニット
51…本体部
52…移動部
53…モータ
55…スピンドル
56…ナット
57…外筒
65…受止部材