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特許7537429デジタルアセット譲渡方法、デジタルアセット譲渡装置、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】デジタルアセット譲渡方法、デジタルアセット譲渡装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/06 20120101AFI20240814BHJP
   G06Q 40/02 20230101ALI20240814BHJP
【FI】
G06Q20/06 300
G06Q40/02
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021519396
(86)(22)【出願日】2020-05-07
(86)【国際出願番号】 JP2020018545
(87)【国際公開番号】W WO2020230695
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2023-03-17
(31)【優先権主張番号】P 2019093090
(32)【優先日】2019-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【氏名又は名称】稲本 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100168686
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 勇介
(72)【発明者】
【氏名】福原 寛重
(72)【発明者】
【氏名】上野 英治
(72)【発明者】
【氏名】小池 允
【審査官】上田 智志
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-515048(JP,A)
【文献】特開2020-035106(JP,A)
【文献】特表2020-526069(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0303921(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ情報処理部と、
譲渡条件処理部と、
登録データ処理部と、
鍵処理部として機能するコンピュータにより実行されるデジタルアセット譲渡方法であって、
前記ユーザ情報処理部が、コールドウォレットを所有するユーザの死亡情報を取得する情報処理を実行することと、
前記譲渡条件処理部が、前記死亡情報に基づいて前記コールドウォレットに関連するアカウントに登録されたデジタルアセットの譲渡条件を特定する情報処理を実行することと、
前記登録データ処理部が、前記譲渡条件に基づいて前記デジタルアセットを譲渡するために、P2Pデータベースに登録される登録データに前記コールドウォレットに関連する秘密鍵を用いて署名を行う情報処理を実行することと、
前記鍵処理部が、前記署名に使用された前記秘密鍵を削除する情報処理を実行することと、を有する、
コンピュータにより実行されるデジタルアセット譲渡方法。
【請求項2】
前記署名済みの前記登録データを、前記P2Pデータベースに登録するために外部装置に送信する、
請求項1に記載のデジタルアセット譲渡方法。
【請求項3】
金融機関により管理される外部装置との通信連携により前記死亡情報を取得する、
請求項1に記載のデジタルアセット譲渡方法。
【請求項4】
前記コールドウォレットは、前記秘密鍵に関する情報が記録されたハードウェアウォレット、及び前記秘密鍵に関する情報が表面に記載されたウォレットのうちの少なくともいずれか一つである、
請求項1に記載のデジタルアセット譲渡方法。
【請求項5】
前記デジタルアセットの対象は、仮想通貨又は金融商品を含む動産、及び不動産のうちの少なくともいずれか一つである、
請求項1に記載のデジタルアセット譲渡方法。
【請求項6】
前記デジタルアセットの対象に応じて、前記デジタルアセットの譲渡に求められる法的手続きに関する情報処理を行う、
請求項5に記載のデジタルアセット譲渡方法。
【請求項7】
前記秘密鍵は、楕円曲線の計算式により別の鍵の生成に用いられる情報、及び前記楕円曲線の計算式により別の鍵から生成される情報のうちの少なくともいずれか一方である、
請求項1に記載のデジタルアセット譲渡方法。
【請求項8】
前記秘密鍵は、ニーモニックコードで表される、
請求項1に記載のデジタルアセット譲渡方法。
【請求項9】
前記秘密鍵は、前記登録データが前記P2Pデータベースに登録されるために行われる前記署名に用いられる二以上の秘密鍵のうちの少なくともいずれか一つである、
請求項1に記載のデジタルアセット譲渡方法。
【請求項10】
前記デジタルアセットは、前記P2Pデータベースに前記登録データが登録されることにより、あるアカウントへ移行された後に譲渡先のアカウントへ移行される、
請求項1に記載のデジタルアセット譲渡方法。
【請求項11】
前記ユーザ情報処理部、前記譲渡条件処理部、前記登録データ処理部、および前記鍵処理部のそれぞれにより実行される前記情報処理の少なくとも一部が、前記P2Pデータベースに設けられ前記P2Pデータベース上で実行される所定のプログラムにより実現される、
請求項1に記載のデジタルアセット譲渡方法。
【請求項12】
前記P2Pデータベースはブロックチェーンにより実現される、
請求項1に記載のデジタルアセット譲渡方法。
【請求項13】
コールドウォレットを所有するユーザの死亡情報を取得する情報処理を実行するユーザ情報処理部と、
前記死亡情報に基づいて前記コールドウォレットに関連するアカウントに登録されたデジタルアセットの譲渡条件を特定する情報処理を実行する譲渡条件処理部と、
前記譲渡条件に基づいて前記デジタルアセットを譲渡するために、P2Pデータベースに登録される登録データに前記コールドウォレットに関連する秘密鍵を用いて署名を行う情報処理を実行する登録データ処理部と、
前記署名に使用された前記秘密鍵を削除する情報処理を実行する鍵処理部と、を備える、
デジタルアセット譲渡装置。
【請求項14】
コールドウォレットを所有するユーザの死亡情報を取得する情報処理を実行することと、
前記死亡情報に基づいて前記コールドウォレットに関連するアカウントに登録されたデジタルアセットの譲渡条件を特定する情報処理を実行することと、
前記譲渡条件に基づいて前記デジタルアセットを譲渡するために、P2Pデータベースに登録される登録データに前記コールドウォレットに関連する秘密鍵を用いて署名を行う情報処理を実行することと、
前記署名に使用された前記秘密鍵を削除する情報処理を実行することと、
をコンピュータに実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、デジタルアセット譲渡方法、デジタルアセット譲渡装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、以下の非特許文献1に開示されているブロックチェーンをはじめとしたピアツーピアデータベースを使用するサービスが開発されている。例えば、仮想通貨のやり取りにブロックチェーンを使用する、以下の非特許文献2のBitcoin等が挙げられる。
【0003】
ブロックチェーンをはじめとしたピアツーピアデータベースを使用するサービスは、ピアツーピアデータベースに登録されているデータの改ざん等を防ぎ、データの真正性を担保することができる。この特長により、ピアツーピアデータベースを用いて資産を管理するサービスが開発されている。例えば、仮想通貨や金融商品等がトークン化されたデジタルアセットに関する情報をピアツーピアデータベースに登録することでこれらの資産を管理するサービスが開発されている。
【0004】
ピアツーピアデータベースを用いてデジタルアセットを取引する場合、当該取引に用いられる秘密鍵の管理が重要である。秘密鍵を安全に管理するためにハードウェアウォレットをはじめとしたコールドウォレットが開発されている。コールドウォレットは、ネットワークから隔離された状態で秘密鍵を安全に管理することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】Melanie Swan,“Blockchain”,(米),O’Reilly Media, 2015-01-22
【文献】Andreas M.Antonopoulos,“Mastering Bitcoin”,(米),O’Reilly Media, 2014-12-01
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、既存の技術によっては、ピアツーピアデータベースで管理されているデジタルアセットを適切に譲渡することができない場合がある。例えば、仮想通貨の管理に用いられる秘密鍵が記録されたコールドウォレットを所有するユーザが死亡した場合、当該秘密鍵が事前に他のユーザ(例えば、相続者等)に共有されていないことにより、当該他のユーザがデジタルアセットの譲渡を受けることができない場合がある。また、秘密鍵が他のユーザに共有されていたとしても、コールドウォレットに関する知識不足により、当該他のユーザが適切にデジタルアセットを移行させることができない場合がある。
【0007】
そこで、本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、ピアツーピアデータベースで管理されているデジタルアセットを、ユーザの死亡時において、より適切に譲渡することが可能な新規かつ改良されたデジタルアセット譲渡方法、デジタルアセット譲渡装置、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示によれば、ユーザ情報処理部が、コールドウォレットを所有するユーザの死亡情報を取得する情報処理を実行することと、譲渡条件処理部が、前記死亡情報に基づいて前記コールドウォレットに関連するアカウントに登録されたデジタルアセットの譲渡条件を特定する情報処理を実行することと、登録データ処理部が、前記譲渡条件に基づいて前記デジタルアセットを譲渡するために、P2Pデータベースに登録される登録データに前記コールドウォレットに関連する秘密鍵を用いて署名を行う情報処理を実行することと、前記鍵処理部が、前記署名に使用された前記秘密鍵を削除する情報処理を実行することと、を有する、コンピュータにより実行されるデジタルアセット譲渡方法が提供される。
【0009】
また、本開示によれば、コールドウォレットを所有するユーザの死亡情報を取得する情報処理を実行するユーザ情報処理部と、前記死亡情報に基づいて前記コールドウォレットに関連するアカウントに登録されたデジタルアセットの譲渡条件を特定する情報処理を実行する譲渡条件処理部と、前記譲渡条件に基づいて前記デジタルアセットを譲渡するために、P2Pデータベースに登録される登録データに前記コールドウォレットに関連する秘密鍵を用いて署名を行う情報処理を実行する登録データ処理部と、前記署名に使用された前記秘密鍵を削除する情報処理を実行する鍵処理部と、を備える、デジタルアセット譲渡装置が提供される。
【0010】
また、本開示によれば、コールドウォレットを所有するユーザの死亡情報を取得する情報処理を実行することと、前記死亡情報に基づいて前記コールドウォレットに関連するアカウントに登録されたデジタルアセットの譲渡条件を特定する情報処理を実行することと、前記譲渡条件に基づいて前記デジタルアセットを譲渡するために、P2Pデータベースに登録される登録データに前記コールドウォレットに関連する秘密鍵を用いて署名を行う情報処理を実行することと、前記署名に使用された前記秘密鍵を削除する情報処理を実行することと、をコンピュータに実現させるためのプログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】ピアツーピアデータベースの一種であるブロックチェーンの概要について説明する図である。
図2】ピアツーピアデータベースの一種であるブロックチェーンの概要について説明する図である。
図3】ピアツーピアデータベースの一種であるブロックチェーンの概要について説明する図である。
図4】情報処理システムの構成例について説明する図である。
図5】デジタルアセット譲渡装置の機能構成例を示すブロック図である。
図6】ノード装置の機能構成例を示すブロック図である。
図7】事前登録に関する処理フロー例を示すフローチャートである。
図8】デジタルアセットの譲渡に関する処理フロー例を示すシーケンス図である。
図9】階層的決定性ウォレットの規格であるBIP32における鍵の構造を示す図である。
図10】デジタルアセット譲渡装置又はノード装置を実現する情報処理装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0013】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.ピアツーピアデータベースの概要
2.実施形態
2.1.システム構成例
2.2.デジタルアセット譲渡装置の機能構成例
2.3.ノード装置の機能構成例
2.4.処理フロー例
2.5.備考
3.ハードウェア構成例
4.むすび
【0014】
<1.ピアツーピアデータベースの概要>
本開示の一実施形態について説明する前に、まず、ピアツーピアデータベースの概要について説明する。
【0015】
本実施形態に係る情報処理システムでは、ピアツーピアネットワークに含まれる分散型のピアツーピアデータベースが利用される。なお、ピアツーピアネットワークは、ピアツーピア型分散ファイルシステムと呼ばれる場合もある。以下では、ピアツーピアネットワークを「P2Pネットワーク」、ピアツーピアデータベースを「P2Pデータベース」と示す。P2Pデータベースの例として、ブロックチェーンが挙げられる。そこで最初に、P2Pデータベースの一例としてブロックチェーンの概要について説明する。
【0016】
図1に示すように、ブロックチェーンは、複数のブロックがあたかも鎖のように連なって含まれるデータである。それぞれのブロックには、1又は2以上の対象データが、トランザクションデータ(取引)として格納され得る。
【0017】
ブロックチェーンとしては、例えば、Bitcoin等の仮想通貨のデータのやり取りに用いられ不特定多数のノードが利用できるパブリックブロックチェーンが挙げられる。一方、特定の複数のノードのみが利用できるコンソーシアムブロックチェーンや、特定の組織内でのみ利用できるプライベートブロックチェーン等がある。仮想通貨のデータのやり取りに用いられるブロックチェーンの各ブロックには、例えば、直前のブロックのハッシュと、ナンスと呼ばれる値が含まれる。直前のブロックのハッシュは、直前のブロックから正しく連なる、「正しいブロック」であるか否かを判定するために用いられる情報である。ナンスは、ハッシュを用いた認証においてなりすましを防ぐために用いられる情報であり、ナンスを用いることによって改ざんが防止される。ナンスとしては、例えば、文字列、数字列、あるいは、これらの組み合わせを示すデータ等が挙げられる。
【0018】
また、ブロックチェーンにおける各トランザクションデータには、秘密鍵を用いて署名が行われる。また、各トランザクションデータは公開され、P2Pネットワーク全体で共有される。
【0019】
図2は、ブロックチェーンシステムにおいて、対象データがユーザAによって登録される様子を示す図である。ユーザAは、ブロックチェーンに登録するトランザクションデータに、ユーザAの秘密鍵を用いて電子署名を施す。そしてユーザAは、電子署名が施されたトランザクションデータをP2Pネットワーク上にブロードキャストする。これによって、トランザクションデータに含まれる対象データの保有者がユーザAであることが担保される。
【0020】
図3は、ブロックチェーンシステムにおいて、対象データがユーザAからユーザBに移行される様子を示す図である。ユーザAは、トランザクションデータにユーザAの秘密鍵を用いて電子署名を行い、またトランザクションデータにユーザBの公開鍵を含める。これにより、対象データがユーザAからユーザBに移行されたことが示される。また、ユーザBは、対象データの取引に際して、ユーザAからユーザAの公開鍵を取得し、電子署名されたトランザクションデータに含まれる対象データを取得してもよい。
【0021】
また、ブロックチェーンシステムでは、例えばサイドチェイン技術等を利用することによって、Bitcoinのブロックチェーン等の、既存の仮想通貨のデータのやり取りに用いられるブロックチェーンに、仮想通貨とは異なる他の対象データを含めることが可能である。
【0022】
<2.実施形態>
上記では、P2Pデータベースの概要について説明した。続いて、本開示の一実施形態について説明する。
【0023】
(2.1.システム構成例)
図4を参照して、本実施形態に係る情報処理システムの構成例について説明する。図4は、本実施形態に係る情報処理システムの構成例を示すブロック図である。図4に示すように、本実施形態に係る情報処理システムは、デジタルアセット譲渡装置100と、コールドウォレット200と、ノード装置300と、を備える。また、複数のノード装置300は、それぞれP2Pネットワーク400に接続している。
【0024】
(ノード装置300)
ノード装置300は、P2Pネットワーク400に接続しており、P2Pデータベースを保有している情報処理装置である。ノード装置300は、デジタルアセットに関するトランザクションデータ(登録データ)をP2Pデータベースにて管理している。
【0025】
「デジタルアセット」は、仮想通貨又は金融商品を含む動産、及び不動産等の資産のうちの少なくともいずれか一つがトークン化されたものである。「トークン化」とは、これら資産を何らかの情報に変換することを指しており、変換後の情報の内容や形式は問わない。ノード装置300は、ユーザ等の各アカウントが所有するデジタルアセットに関するトランザクションデータ(例えば、デジタルアセット自体、又はデジタルアセットを示す情報等)をP2Pデータベースにて管理することで、当該トランザクションデータの改ざん等を防ぎ、トランザクションデータの真正性を担保することができる。
【0026】
ノード装置300は、デジタルアセット譲渡装置100からの要求に基づいてデジタルアセットの譲渡に関する処理を行うことができる。具体的には、ノード装置300は、デジタルアセット譲渡装置100からの要求に基づいてデジタルアセットの譲渡のためのトランザクションデータを生成し、トランザクションデータに対して秘密鍵で署名を行い、他のノード装置300に対してブロードキャストする。これによって、Proof of Work等の所定のコンセンサスアルゴリズムに基づく処理を経てトランザクションデータが各ノード装置300のP2Pデータベースに登録される。
【0027】
なお、ノード装置300は、ノード装置300に含まれるP2Pデータベース上で実行される所定のプログラム(例えば、スマートコントラクト等)を用いることで、所定のデジタルアセットを受信した場合に、所定の処理を実行する等の所定のプログラムを実行することができる。当該プログラムが用いられることによって、例えば、デジタルアセットの取引等を含む様々な処理が所定のルールに従って実現される。以降、P2Pデータベースに設けられ、P2Pデータベース上で実行される所定のプログラムを「P2Pデータベースプログラム」と呼称する。なお、ノード装置300は、適宜P2Pデータベースプログラム以外のプログラムも用いて、各種処理を実現してもよい。
【0028】
(コールドウォレット200)
コールドウォレット200は、デジタルアセットの管理に用いられる秘密鍵をネットワークから隔離された状態で管理するものである。例えば、コールドウォレット200は、秘密鍵に関する情報が記録されたハードウェアウォレット(例えば、ICカード型ハードウェアウォレット、又は端末型ハードウェアウォレット等)、及び秘密鍵に関する情報が表面に記載されたウォレット(例えば、ペーパーウォレット等)のうちの少なくともいずれか一つであり得、かつ、必ずしもこれらに限定されない。例えば、コールドウォレット200は、ネットワークから隔離されたストレージ等によって実現されてもよい。ネットワークと接続された状態で秘密鍵を管理するホットウォレットが用いられる場合、ホットウォレットへの不正アクセスにより秘密鍵が漏洩する可能性があるが、コールドウォレット200は、不正アクセスの発生を防ぐことにより秘密鍵の漏洩を防ぐことができる。
【0029】
(デジタルアセット譲渡装置100)
デジタルアセット譲渡装置100は、ユーザの死亡時や財産の取り押さえ時等の所定の条件下において、P2Pデータベースで管理されているデジタルアセットの譲渡を制御する情報処理装置である。具体的には、まず、デジタルアセット譲渡装置100は、コールドウォレット200を所有するユーザの死亡情報を外部データベース等から取得し、当該死亡情報に基づいてコールドウォレット200に関連するアカウントに登録されたデジタルアセットの譲渡条件を特定する。
【0030】
「死亡情報」とは、ユーザが死亡したことを示す何らかの情報である。例えば、ユーザが死亡した場合に発生する各種手続きに伴い生成される情報は死亡情報に含まれる。具体的には、ユーザの死亡を理由に金融機関の口座が凍結された場合、当該口座の凍結を示す情報は死亡情報に含まれる。この場合、デジタルアセット譲渡装置100は、金融機関により管理される外部装置(例えば、サーバ等)との通信連携により死亡情報を取得する。
【0031】
「譲渡条件」とは、譲渡対象となるデジタルアセットに関する情報(例えば、仮想通貨の量、法定通貨での換算額、金融商品の内容、又は不動産の内容等)、譲渡の条件に関する情報(例えば、相続者の状態、又は譲渡後のデジタルアセットの用途等)、及び譲渡先に関する情報(例えば、相続者であるユーザや団体を示す情報)を含むものである。
【0032】
そして、デジタルアセット譲渡装置100は、譲渡条件に基づいてデジタルアセットを譲渡するために、P2Pデータベースに登録するトランザクションデータの生成をノード装置300に対して要求する。また、デジタルアセット譲渡装置100がトランザクションデータを生成しても良い。その後、デジタルアセット譲渡装置100は、ノード装置300により生成されたトランザクションデータを受信し、当該トランザクションデータに対してコールドウォレット200に関連する秘密鍵を用いて署名を行う。例えば、ハードウェアウォレットとデジタルアセット譲渡装置100とが一時的に通信連携したり(例えば、ICカード型ハードウェアウォレットがカードリーダにかざされることでデジタルアセット譲渡装置100との通信連携が行われる等)、ペーパーウォレットの表面に記載されている秘密鍵が手動入力されたりすることで、デジタルアセット譲渡装置100が秘密鍵を取得し、当該秘密鍵を用いて署名を行う。または、デジタルアセット譲渡装置100は生成されたトランザクションデータをコールドウォレット200に送信し、コールドウォレット200がトランザクションデータに対して秘密鍵を用いて署名を行っても良い。その場合、コールドウォレット200は署名したトランザクションデータをデジタルアセット譲渡装置100に送信する。
【0033】
デジタルアセット譲渡装置100は、署名済みのトランザクションデータを、P2Pデータベースに登録するためにノード装置300に送信する。これにより、所定のコンセンサスアルゴリズムに基づく処理を経て、署名済みトランザクションデータがP2Pデータベースに登録される。さらに、デジタルアセット譲渡装置100は、署名に使用された秘密鍵を削除する。これによって、デジタルアセット譲渡装置100は、当該秘密鍵の漏洩を防ぐことができる。また、デジタルアセット譲渡装置100は、ノード装置300の機能を含んでもよく、デジタルアセット譲渡装置100が、署名されたトランザクションデータをP2Pデータベースに記録しても良い。
【0034】
なお、本書ではデジタルアセット譲渡装置100がデジタルアセットの譲渡を実現することを具体的に説明するが、デジタルアセット譲渡装置100は、デジタルアセットを必ずしも譲渡しなくてもよい。例えば、デジタルアセット譲渡装置100は、秘密鍵を用いて既存のウォレットに含まれるアカウントを復元する等、秘密鍵を用いた各種処理を行えればよい。
【0035】
(P2Pネットワーク400)
P2Pネットワーク400は、P2Pデータベースに登録されたデータが流通しているネットワークである。上記のとおり、各ノード装置300は、P2Pネットワーク400に接続することで、他のノード装置300が保有するP2Pデータベースと整合性を保ちながら、P2Pデータベースを更新することができる。
【0036】
なお、P2Pネットワーク400の種類は特に限定されない。例えば、P2Pネットワーク400は、複数組織によって運営されるコンソーシアム型、単一組織によって運営されるプライベート型、又は、参加者を特に限定しないパブリック型のうちのいずれの種類であってもよい。
【0037】
なお、P2Pネットワーク400に用いられる通信方式及び回線の種類等は特に限定されない。例えば、P2Pネットワーク400は、IP-VPN(Internt Protocol-Virtual Private Network)等の専用回線網で実現されてもよい。また、P2Pネットワーク400は、インターネット、電話回線網、衛星通信網等の公衆回線網や、Ethernet(登録商標)を含む各種のLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等で実現されてもよい。さらに、P2Pネットワーク400は、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等の無線通信網で実現されてもよい。
【0038】
以上、本実施形態に係る情報処理システムの構成例について説明した。なお、図4を参照して説明した上記の構成はあくまで一例であり、本実施形態に係る情報処理システムの構成は係る例に限定されない。例えば、デジタルアセット譲渡装置100の機能の一部又は全部は、ノード装置300によって実現されてもよい。また、ノード装置300の機能の一部又は全部は、デジタルアセット譲渡装置100によって実現されてもよい。本実施形態に係る情報処理システムの構成は、仕様や運用に応じて柔軟に変形可能である。
【0039】
(2.2.デジタルアセット譲渡装置の機能構成例)
上記では、本実施形態に係る情報処理システムの構成例について説明した。続いて、図5を参照して、デジタルアセット譲渡装置100の機能構成例について説明する。図5は、デジタルアセット譲渡装置100の機能構成例を示すブロック図である。
【0040】
図5に示すように、デジタルアセット譲渡装置100は、制御部110と、記憶部120と、通信部130と、を備える。そして、制御部110は、ユーザ情報処理部111と、譲渡条件処理部112と、登録データ処理部113と、鍵処理部114と、を備える。また、記憶部120は、ユーザ情報記憶部121と、譲渡条件記憶部122と、を備える。
【0041】
制御部110は、デジタルアセット譲渡装置100が行う処理全般を統括的に制御する機能構成である。例えば、制御部110は、通信部130により受信される情報や、入力部(図示無し)を介して入力される情報等に基づいて各機能構成の起動や停止を制御したり、出力部(図示無し)による出力等を制御したりすることができる。なお、制御部110の制御内容はこれらに限定されない。例えば、制御部110は、各種サーバ、汎用コンピュータ、PC、又はタブレットPC等において一般的に行われる処理(例えば、OS(Operating System)等に関する処理)を制御してもよい。
【0042】
ユーザ情報処理部111は、ユーザ情報に関する処理を行う機能構成である。「ユーザ情報」は、ユーザに関する何らかの情報(例えば、ユーザの氏名、年齢、性別、住所、職業、金融機関の口座番号等)であればよく、少なくとも死亡情報を含む。例えば、ユーザの氏名、年齢、性別、住所、職業、金融機関の口座番号等が事前情報として外部装置(例えば、ユーザ所有のスマートフォン等)に入力された場合、ユーザ情報処理部111は、外部装置との通信連携によりこれらの情報を取得し、ユーザ情報記憶部121に格納する。また、ユーザの死亡を理由に金融機関の口座が凍結された場合、ユーザ情報処理部111は、金融機関により管理される外部装置(例えば、サーバ等)との通信連携により当該ユーザの死亡情報を取得し、当該死亡情報を譲渡条件処理部112に提供する。なお、ユーザ情報の内容は必ずしも上記に限定されない。
【0043】
譲渡条件処理部112は、譲渡条件に関する処理を行う機能構成である。譲渡条件の内容は上記のとおりである。譲渡条件が事前情報として外部装置(例えば、ユーザ所有のスマートフォン等)に入力された場合、譲渡条件処理部112は、外部装置との通信連携により譲渡条件を取得し、譲渡条件記憶部122に格納する。また、譲渡条件処理部112は、ユーザの死亡情報をユーザ情報処理部111から提供された場合、当該死亡情報に基づいて(ユーザの所有するコールドウォレット200に関連するアカウントに登録された)デジタルアセットの譲渡条件を特定し、当該譲渡条件を登録データ処理部113に提供する。
【0044】
登録データ処理部113は、トランザクションデータ(登録データ)に関する処理を行う機能構成である。具体的には、登録データ処理部113は、譲渡条件を譲渡条件処理部112から提供された場合、当該譲渡条件に基づいてトランザクションデータの生成を要求する情報(以降、生成要求)を生成し、通信部130を介して当該生成要求をノード装置300に提供する。これにより、ノード装置300がトランザクションデータを生成し、当該トランザクションデータをデジタルアセット譲渡装置100に提供する。
【0045】
そして、登録データ処理部113は、譲渡条件に基づいてデジタルアセットを譲渡するためにP2Pデータベースに登録されるトランザクションデータにコールドウォレット200に関連する秘密鍵を用いて署名を行う。例えば、ハードウェアウォレットとデジタルアセット譲渡装置100とが一時的に通信連携したり(例えば、ICカード型ハードウェアウォレットがカードリーダにかざされることで通信連携が行われる等)、ペーパーウォレットの表面に記載されている秘密鍵が手動入力されたりすることで、登録データ処理部113が秘密鍵を取得し、当該秘密鍵を用いて署名を行う。登録データ処理部113は、署名後のトランザクションデータを、通信部130を介してノード装置300に提供する。これにより、ノード装置300が所定のコンセンサスアルゴリズムに基づく処理を行った後に、署名済みトランザクションデータをP2Pデータベースに登録できる。
【0046】
鍵処理部114は、各種鍵に関する処理を行う機能構成である。具体的には、鍵処理部114は、秘密鍵に関する処理を行う。例えば、登録データ処理部113が秘密鍵を用いてトランザクションデータに署名行った後、鍵処理部114は、署名に使用された秘密鍵を削除する。これによって、鍵処理部114は、当該秘密鍵の漏洩を防ぐことができる。なお、秘密鍵は必ずしも削除されなくてもよい。
【0047】
記憶部120は、各種情報を記憶する機能構成である。例えば、記憶部120は、デジタルアセット譲渡装置100の各機能構成によって使用されるプログラム又はパラメータを記憶したり、ノード装置300から提供されたトランザクションデータを記憶したりする。なお、記憶部120が記憶する情報はこれらに限定されない。
【0048】
ユーザ情報記憶部121は、ユーザ情報を記憶する機能構成である。例えば、ユーザ情報記憶部121は、ユーザ情報処理部111から提供された、ユーザの氏名、年齢、性別、住所、職業、金融機関の口座番号等をユーザ情報として記憶する。
【0049】
譲渡条件記憶部122は、譲渡条件を記憶する機能構成である。例えば、譲渡条件記憶部122は、譲渡対象となるデジタルアセットに関する情報(例えば、仮想通貨の量、法定通貨での換算額、金融商品の内容、又は不動産の内容等)、譲渡の条件に関する情報(例えば、相続者の状態、又は譲渡後のデジタルアセットの用途等)、及び譲渡先を示す情報(例えば、相続者であるユーザや団体を示す情報)を譲渡条件として記憶する。
【0050】
通信部130は、ノード装置300との各種通信を行う機能構成である。例えば、通信部130は、トランザクションデータの生成要求をノード装置300へ送信し、トランザクションデータをノード装置300から受信する。また、通信部130は、トランザクションデータに署名が行われた後に、署名済みのトランザクションデータをノード装置300へ送信する。なお、通信部130の通信内容はこれらに限定されない。
【0051】
以上、デジタルアセット譲渡装置100の機能構成例について説明した。なお、図5を用いて説明した上記の機能構成はあくまで一例であり、デジタルアセット譲渡装置100の機能構成は係る例に限定されない。例えば、デジタルアセット譲渡装置100は、図5に示す機能構成の全てを必ずしも備えなくてもよいし、図5に示していない機能構成を備えていてもよい。また、デジタルアセット譲渡装置100の機能構成は、仕様や運用に応じて柔軟に変形可能である。
【0052】
(2.3.ノード装置の機能構成例)
上記では、デジタルアセット譲渡装置100の機能構成例について説明した。続いて、図6を参照して、ノード装置300の機能構成例について説明する。図6は、ノード装置300の機能構成例を示すブロック図である。
【0053】
図6に示すように、ノード装置300は、制御部310と、P2Pデータベース320と、通信部330と、を備える。そして、P2Pデータベース320は、P2Pデータベースプログラム321を備える。
【0054】
制御部310は、ノード装置300が行う処理全般を統括的に制御する機能構成である。例えば、制御部310は、デジタルアセット譲渡装置100から提供される、トランザクションデータの生成要求を所定のプログラム(例えば、メモリに記録されたプログラム等)に入力することで、トランザクションデータの生成処理を制御する。また、制御部310は、デジタルアセット譲渡装置100から提供される、署名済みトランザクションデータを所定のプログラム(例えば、メモリに記録されたプログラム等)に入力することで、署名済みトランザクションデータのP2Pデータベース320への登録処理を制御する(換言すると、デジタルアセットの譲渡処理を制御する)。なお、制御部310の制御内容はこれらに限定されない。例えば、制御部310は、各種サーバ、汎用コンピュータ、PC、又はタブレットPC等において一般的に行われる処理(例えば、OS等に関する処理)を制御してもよい。
【0055】
P2Pデータベース320は、ノード装置300に保持されるデータベースであり、例えばブロックチェーンの一部である。上記のとおり、P2Pデータベース320には、ユーザ等の各アカウントが所有するデジタルアセットに関するトランザクションデータ(例えば、デジタルアセット自体、又はデジタルアセットを示す情報等)が登録されている。なお、P2Pデータベース320に登録されるデータはこれらに限定されない。また、P2Pデータベース320に登録される各種データは、暗号鍵を用いて暗号化されていてもよい。
【0056】
P2Pデータベースプログラム321は、P2Pデータベース320に備えられ、P2Pデータベース320上で実行される所定のプログラムである。P2Pデータベースプログラム321が用いられることによって、デジタルアセットの譲渡に伴う各種処理が所定のルールに従って一貫性を保ちつつ実現される。また、P2Pデータベースプログラム321がP2Pデータベース320に設けられることによって当該プログラムが不正に改変されるリスクが低減される。P2Pデータベースプログラム321は、ハイパーレッジャー(Hyperledger)におけるチェーンコード等であり得るが、必ずしもこれに限定されない。例えば、P2Pデータベースプログラム321は、スマートコントラクトを指してもよい。
【0057】
なお、P2Pデータベースプログラム321によって実現される処理は特に限定されない。P2Pデータベースプログラム321の開発言語、又はP2Pデータベース320上に設けられるP2Pデータベースプログラム321の個数等は特に限定されない。
【0058】
通信部330は、外部装置との各種通信を制御する機能構成である。例えば、デジタルアセット譲渡装置100との通信について、通信部330は、トランザクションデータの生成要求をノード装置300から受信し、トランザクションデータをデジタルアセット譲渡装置100へ送信する。また、通信部330は、トランザクションデータに署名が行われた後に、署名済みのトランザクションデータをデジタルアセット譲渡装置100から受信する。また、他のノード装置300との通信について、通信部330は、P2Pデータベース320の更新に用いられる情報等(例えば、コンセンサスに用いられる情報等)を送受信する。なお、通信部330の通信内容はこれらに限定されない。
【0059】
以上、ノード装置300の機能構成例について説明した。ここで上記のとおり、デジタルアセット譲渡装置100の機能の一部又は全部は、ノード装置300によって実現されてもよい。例えば、デジタルアセット譲渡装置100のユーザ情報処理部111、譲渡条件処理部112、登録データ処理部113、及び鍵処理部114のうちの少なくともいずれか一つは、P2Pデータベース320に設けられP2Pデータベース320上で実行される所定のプログラム、すなわちP2Pデータベースプログラム321によって実現されてもよい。
【0060】
なお、図6を用いて説明した上記の機能構成はあくまで一例であり、ノード装置300の機能構成は係る例に限定されない。例えば、ノード装置300は、図6に示す機能構成の全てを必ずしも備えなくてもよいし、図6に示していない機能構成を備えていてもよい。また、ノード装置300の機能構成は、仕様や運用に応じて柔軟に変形可能である。
【0061】
(2.4.処理フロー例)
上記では、ノード装置300の機能構成例について説明した。続いて、情報処理システムにおける各装置の処理フロー例について説明する。
【0062】
(事前登録に関する処理フロー例)
図7は、ユーザの死亡等に伴うデジタルアセットの譲渡処理を行うための事前登録に関する処理フロー例を示すフローチャートである。
【0063】
ステップS1000では、デジタルアセット譲渡装置100のユーザ情報処理部111が、金融機関の口座情報を含むユーザ情報を登録する。例えば、コールドウォレット200を所有するユーザの氏名、年齢、性別、住所、職業、金融機関の口座番号等が事前情報として外部装置(例えば、ユーザ所有のスマートフォン等)に入力された場合、ユーザ情報処理部111は、外部装置との通信連携によりこれらの情報を取得し、ユーザ情報記憶部121に格納する。
【0064】
ステップS1004では、秘密鍵がネットワークから隔離された状態で管理される。例えば、コールドウォレット200自体が金融機関等に管理されてもよいし、ユーザ所有のコールドウォレット200と同一の秘密鍵、シャミアの秘密分散法等で秘密分散した秘密鍵の一部、またはマルチシグネチャに使われる秘密鍵の一部がネットワークから隔離されたストレージ等によって記憶されてもよい。ステップS1008では、譲渡条件処理部112が、デジタルアセットの譲渡条件を登録する。具体的には、譲渡条件が事前情報として外部装置(例えば、ユーザ所有のスマートフォン等)に入力された場合、譲渡条件処理部112は、外部装置との通信連携により譲渡条件を取得し、譲渡条件記憶部122に格納する。
【0065】
以上により、事前登録に関する一連の処理が終了する。なお、図7のフローチャートにおける各ステップは、必ずしも記載された順序に沿って時系列に処理される必要はない。すなわち、フローチャートにおける各ステップは、記載された順序と異なる順序で処理されても、並列的に処理されてもよい(以降で説明する図8のシーケンス図も同様)。
【0066】
(デジタルアセットの譲渡に関する処理フロー例)
図8は、デジタルアセットの譲渡に関する処理フロー例を示すシーケンス図である。
【0067】
ステップS1100では、デジタルアセット譲渡装置100のユーザ情報処理部111がユーザの死亡情報を取得する。例えば、ユーザの死亡を理由に金融機関の口座が凍結された場合、ユーザ情報処理部111は、金融機関により管理される外部装置(例えば、サーバ等)との通信連携により当該ユーザの死亡情報を取得する。
【0068】
ステップS1104では、譲渡条件処理部112が死亡情報に基づいて(ユーザの所有するコールドウォレット200に関連するアカウントに登録された)デジタルアセットの譲渡条件を特定する。ステップS1108では、登録データ処理部113が、当該譲渡条件に基づいてトランザクションデータの生成要求を生成し、通信部130を介して当該生成要求をノード装置300に提供する。
【0069】
ステップS1112では、ノード装置300の制御部310がトランザクションデータの生成要求に基づいてトランザクションデータを生成し、ステップS1116では、通信部330を介して当該トランザクションデータをデジタルアセット譲渡装置100に提供する。
【0070】
ステップS1120では、デジタルアセット譲渡装置100の登録データ処理部113がコールドウォレット200から秘密鍵を取得する。例えば、ハードウェアウォレットとデジタルアセット譲渡装置100とが一時的に通信連携したり(例えば、ICカード型ハードウェアウォレットがカードリーダにかざされることでデジタルアセット譲渡装置100との通信連携が行われる等)、ペーパーウォレットの表面に記載されている秘密鍵が手動入力されたりすることで、登録データ処理部113が秘密鍵を取得する。なお、登録データ処理部113が秘密鍵を取得するコールドウォレット200は、例えば図7のステップS1004で説明したとおり、金融機関等により管理されるものを想定している。すなわち、秘密鍵(または分散された秘密鍵の少なくとも一部)は、死亡したユーザ及び金融機関等により二重に管理されており、登録データ処理部113は、金融機関等から秘密鍵を取得する。
【0071】
ステップS1124では、登録データ処理部113が当該秘密鍵を用いてトランザクションデータに署名を行う。ステップS1128では、登録データ処理部113が、通信部130を介して署名済みトランザクションデータをノード装置300に提供する。
【0072】
ステップS1132では、ノード装置300の制御部310が、所定のコンセンサスアルゴリズムに基づく処理を行うことで署名済みトランザクションデータをP2Pデータベース320へ登録する。これによって、デジタルアセットが譲渡条件に基づいて適切に譲渡される。
【0073】
ステップS1136では、デジタルアセット譲渡装置100の鍵処理部114が、署名に使用された秘密鍵を削除する。これによって、鍵処理部114は、当該秘密鍵の漏洩を防ぐことができる。以上により、デジタルアセットの譲渡に関する一連の処理が終了する。
【0074】
(2.5.備考)
上記では、情報処理システムにおける各装置の処理フロー例について説明した。続いて、本実施形態に係るその他の事項について説明する。
【0075】
(秘密鍵について)
上記で説明してきた秘密鍵は、いわゆる階層的決定性(Hierarchy Deterministic)ウォレットにおける鍵であってもよい。
【0076】
図9は、階層的決定性ウォレットの規格であるBIP32における鍵の構造を示す図である。図9に示すように、BIP32では各鍵が階層状に構成されている。具体的には、BIP32では、Master Seed層におけるSeed(種)と呼ばれる鍵(図9では「S」と表記)を元に楕円曲線の計算式により下層の鍵が生成される。換言すると、Seedより下層の鍵は、Seedを元に生成される再現性のある派生鍵であると言える。図9に示すように、Seedを最上位とし、SeedからMaster Node層におけるマスター鍵(図9では「M」と表記)が生成される。さらに、マスター鍵からWallets/Accounts層における子鍵(図9では「M/0」~「M/i」と表記)が生成され、さらにこれらの子鍵からWallet Chains層における別の子鍵(図9では「M/0/0」~「M/i/1」と表記)が生成される、というように鍵の生成が繰り返されることでAddresses層における子鍵(図9では「M/0/0/0」~「M/i/1/k」と表記)まで生成され得る。
【0077】
上記で説明してきた秘密鍵は、図9に示したMaster Seed層におけるSeedからAddresses層における子鍵までの全ての鍵のうちのいずれかであればよい。すなわち、秘密鍵は、楕円曲線の計算式により別の鍵の生成に用いられる情報、及び楕円曲線の計算式により別の鍵から生成される情報のうちの少なくともいずれか一方である。階層的決定性ウォレットが用いられることで、ユーザは、デジタルアセットの対象又は用途等に応じて異なる鍵を使い分けることできる。例えば、ユーザは、仮想通貨の譲渡についてはある子鍵を用い、不動産の譲渡については別の子鍵を用いること等ができる。デジタルアセットの対象又は用途等に応じて異なる鍵が使い分けられることで、一部の鍵が漏洩した場合における被害が限定化される。
【0078】
ここで、階層的決定性ウォレットが用いられる場合、Seedが漏洩すると下層の鍵が復元され得るため、Seedの管理がより重要になると言える。Seedそのものはバイナリ値で表されるため、人がSeedを覚えたり、メモしたりすることは容易ではないため、Seedを管理することは容易ではない。そこで、本実施形態に係るSeedはニーモニックコード(表意コード)で表されてもよい。「ニーモニックコード」とは、何らかの情報(ここでは、Seedを含む秘密鍵)が、人が理解したり記述したりし易いように、簡略化した文字又は記号の組み合わせに置換されたものを指す。本実施形態に係るSeed等の秘密鍵がニーモニックコードで表されることによって、人が秘密鍵を容易に覚えたり、メモしたりすることができるため、秘密鍵を漏洩させることなく適切に管理し易い。
【0079】
また、本実施形態に係る秘密鍵は、トランザクションデータ(登録データ)がP2Pデータベース320に登録されるために行われる署名に用いられる二以上の秘密鍵のうちの少なくともいずれか一つであってもよい。例えば、P2Pデータベース320に登録されるためにトランザクションデータに複数の署名(いわゆる、マルチシグネチャ)が行われる場合、本実施形態に係る秘密鍵は、複数の署名に用いられる複数の秘密鍵のうちの少なくともいずれか一つであってもよい。これによって、署名に用いられる複数の秘密鍵のうちの一部が漏洩してもトランザクションデータの登録が成功しないため、セキュリティが強化される。また、本実施形態に係る秘密鍵は、シャミアの秘密分散法等で秘密分散した秘密鍵の一部であってもよい。
【0080】
(法的手続きについて)
本実施形態のように資産がデジタルアセットとしてP2Pデータベース320で管理される場合、デジタルアセットの対象に応じて法的手続きも考慮することが求められる場合がある。例えば、デジタルアセットの対象が不動産である場合、物権の得喪及び変更は、不動産の登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従い登記が行われなければ、第三者に対抗することができない。不動産に限らず、動産であっても所定の法律に従い所定の法的手続きが求められる場合があることは言うまでもない(例えば、自動車の名義変更手続き等)。
【0081】
この事情に鑑みて、デジタルアセット譲渡装置100は、デジタルアセットの対象に応じて、デジタルアセットの譲渡に求められる法的手続きに関する処理を行ってもよい。具体的には、デジタルアセット譲渡装置100は、デジタルアセットの譲渡に求められる法的手続きに関する情報(例えば、法的手続きに用いられるデータの内容、及び当該データの送信先等)を、デジタルアセットの対象毎に認識している。そして、デジタルアセット譲渡装置100は、署名済みトランザクションデータのP2Pデータベース320への登録を実現するだけでなく、デジタルアセットの対象に応じて、登記等の所定の法的手続きを要求する情報(以降、手続要求)を生成し、通信部130を介して当該手続要求を、法定手続きを行う所定の外部装置に提供する。当該外部装置が法定手続きを行うことによって、デジタルアセットの譲渡が法的に実現される。
【0082】
なお、デジタルアセットの譲渡に求められる法的手続き自体が、ブロックチェーンをはじめとするP2Pデータベースにより実現されてもよい。この場合、デジタルアセット譲渡装置100は、当該P2Pデータベースを保持する装置に対してトランザクションデータの生成要求等を行う。
【0083】
(デジタルアセットの移行ついて)
デジタルアセットは、P2Pデータベース320にトランザクションデータ(登録データ)が登録されることにより、あるアカウントへ移行された後に譲渡先のアカウントへ移行されてもよい。例えば、デジタルアセットは、譲渡処理を制御する金融機関等のアカウントへ一旦移行され、諸手続き(例えば、デジタルアセットの評価、税務処理、又は登記等)が完了した後に譲渡先のアカウントへ移行されてもよい。
【0084】
本実施形態においてはコールドウォレット200により秘密鍵が適切に管理されるため、秘密鍵が漏洩する可能性は低いが、仮に秘密鍵が第三者に漏洩した場合には、デジタルアセットが譲渡前に第三者に不正に取得される可能性がある。そこで、上記のように、デジタルアセットが譲渡前に金融機関等のアカウントへ一旦移行されることで、このようなリスクが防止され得る。なお、デジタルアセットが譲渡前に一旦移行されるアカウントの種類は特に限定されない。
【0085】
(個人情報の扱いについて)
上記では、デジタルアセットが、仮想通貨又は金融商品を含む動産、及び不動産のうちの少なくともいずれか一つがトークン化されたものである旨を説明した。ここで、デジタルアセットの内容は必ずしもこれらに限定されず、例えば個人情報等のように、ユーザに関する何らかの情報がトークン化されたものであってもよい。具体的には、個人情報自体、又は個人情報を示す情報は適宜暗号化されてP2Pデータベース320に登録されていてもよい。そして、これらの情報は、ユーザの死後にデジタルアセット譲渡装置100によって譲渡条件に基づいて1又は2以上の他のユーザ等に対して譲渡されてもよい。
【0086】
個人情報は、例えば行動履歴、購買履歴、又は検索履歴等をはじめとして各種事業への利用価値が高まっている。この事情に鑑みると、個人情報自体、又は個人情報を示す情報がP2Pデータベース320に登録され、ユーザの死後にデジタルアセット譲渡装置100が当該情報の譲渡を行うことで、ユーザは、当該個人情報を適切に管理したり、資産として活用したりすることができる。なお、譲渡後の個人情報は、ユーザが死亡する前に設定された譲渡条件通りに運用されるのか、又は譲渡先のユーザの意向に応じて運用されるのかは特に問われない。例えば、譲渡先のユーザ以外には個人情報を公開しないという譲渡条件が設定されている場合、譲渡後の個人情報は、この譲渡条件通りに、譲渡先のユーザ以外には公開されずに運用されるのか、又は譲渡先のユーザが許可すれば一般に公開されて運用されてもよいのかは特に問われない。
【0087】
<3.ハードウェア構成例>
上記では、本実施形態に係るその他の機能について説明した。続いて、図10を参照して、各装置のハードウェア構成について説明する。図10は、デジタルアセット譲渡装置100又はノード装置300を実現する情報処理装置900のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【0088】
情報処理装置900は、例えば、MPU901と、ROM902と、RAM903と、記録媒体904と、入出力インタフェース905と、操作入力デバイス906と、表示デバイス907と、通信インタフェース908とを備える。また、情報処理装置900は、例えば、データの伝送路としてのバス909で各構成要素間を接続する。
【0089】
MPU901は、例えば、MPU等の演算回路で構成される、1又は2以上のプロセッサや、各種処理回路等で構成され、デジタルアセット譲渡装置100の制御部110、又はノード装置300の制御部310として機能する。なお、これらの機能構成は、上記で説明した各種処理を実現可能な専用の(又は汎用の)回路(例えば、MPU901とは別体のプロセッサ等)で構成されていてもよい。
【0090】
ROM902は、MPU901が使用するプログラムや演算パラメータ等の制御用データ等を記憶する。RAM903は、例えば、MPU901により実行されるプログラム等を一時的に記憶する。
【0091】
記録媒体904は、デジタルアセット譲渡装置100の記憶部120、又はノード装置300のP2Pデータベース320として機能し、本実施形態に係る情報処理に関するデータや各種プログラム等様々なデータを記憶する。ここで、記録媒体904としては、例えば、ハードディスク等の磁気記録媒体や、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリが挙げられる。また、記録媒体904は、情報処理装置900から着脱可能であってもよい。
【0092】
入出力インタフェース905は、例えば、操作入力デバイス906や、表示デバイス907を接続する。ここで、入出力インタフェース905としては、例えば、USB(Universal Serial Bus)端子や、DVI(Digital Visual Interface)端子、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)(登録商標)端子、各種処理回路等が挙げられる。
【0093】
また、操作入力デバイス906は、例えば、情報処理装置900上に備えられ、情報処理装置900の内部で入出力インタフェース905と接続される。操作入力デバイス906としては、例えば、キーボード、マウス、キーパッド、タッチパネル、マイクロホン、操作ボタン、方向キー又はジョグダイヤル等の回転型セレクタ、あるいは、これらの組み合わせ等が挙げられる。
【0094】
また、表示デバイス907は、例えば、情報処理装置900上に備えられ、情報処理装置900の内部で入出力インタフェース905と接続される。表示デバイス907としては、例えば、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)や有機ELディスプレイ(Organic Electro-Luminescence Display)等が挙げられる。
【0095】
なお、入出力インタフェース905が、情報処理装置900の外部の操作入力デバイスや外部の表示デバイス等の外部デバイスと接続することも可能であることは、言うまでもない。また、表示デバイス907は、例えばタッチパネル等、表示とユーザ操作とが可能なデバイスであってもよい。
【0096】
通信インタフェース908は、情報処理装置900が備える通信手段であり、デジタルアセット譲渡装置100の通信部130、又はノード装置300の通信部330として機能する。また、通信インタフェース908は、任意のネットワークを介して(あるいは、直接的に)、例えば、サーバ等の任意の外部装置と、無線又は有線で通信を行う機能を有していてもよい。ここで、通信インタフェース908としては、例えば、通信アンテナ及びRF(Radio Frequency)回路(無線通信)や、IEEE802.15.1ポート及び送受信回路(無線通信)、IEEE802.11ポート及び送受信回路(無線通信)、あるいはLAN(Local Area Network)端子及び送受信回路(有線通信)等が挙げられる。
【0097】
なお、情報処理装置900のハードウェア構成は、図10に示す構成に限られない。例えば、情報処理装置900は、接続されている外部の通信デバイスを介して通信を行う場合には、通信インタフェース908を備えていなくてもよい。また、通信インタフェース908は、複数の通信方式によって通信を行うことが可能な構成であってもよい。また、情報処理装置900は、例えば、操作入力デバイス906又は表示デバイス907等を備えなくてもよい。また、例えば、図10に示す構成の一部又は全部は、1又は2以上のIC(Integrated Circuit)で実現されてもよい。
【0098】
<4.むすび>
以上で説明してきたように、デジタルアセット譲渡装置100は、コールドウォレット200を所有するユーザの死亡情報を取得し、当該死亡情報に基づいてコールドウォレット200に関連するアカウントに登録されたデジタルアセットの譲渡条件を特定する。また、デジタルアセット譲渡装置100は、譲渡条件に基づいてデジタルアセットを譲渡するために、P2Pデータベース320に登録されるトランザクションデータにコールドウォレット200に関連する秘密鍵を用いて署名を行う。そして、デジタルアセット譲渡装置100は、署名済みのトランザクションデータを、P2Pデータベース320に登録するためにノード装置300に送信する。これにより、デジタルアセット譲渡装置100は、デジタルアセットを適切に譲渡することができる。最後に、デジタルアセット譲渡装置100は、署名に使用された秘密鍵を削除する。これにより、デジタルアセット譲渡装置100は、当該秘密鍵の漏洩を防ぐことができる。
【0099】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0100】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的又は例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、又は上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0101】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
コールドウォレットを所有するユーザの死亡情報を取得することと、
前記死亡情報に基づいて前記コールドウォレットに関連するアカウントに登録されたデジタルアセットの譲渡条件を特定することと、
前記譲渡条件に基づいて前記デジタルアセットを譲渡するために、P2Pデータベースに登録される登録データに前記コールドウォレットに関連する秘密鍵を用いて署名を行うことと、
前記署名に使用された前記秘密鍵を削除することと、を有する、
コンピュータにより実行されるデジタルアセット譲渡方法。
(2)
前記署名済みの前記登録データを、前記P2Pデータベースに登録するために外部装置に送信する、
前記(1)に記載のデジタルアセット譲渡方法。
(3)
金融機関により管理される外部装置との通信連携により前記死亡情報を取得する、
前記(1)又は(2)に記載のデジタルアセット譲渡方法。
(4)
前記コールドウォレットは、前記秘密鍵に関する情報が記録されたハードウェアウォレット、及び前記秘密鍵に関する情報が表面に記載されたウォレットのうちの少なくともいずれか一つである、
前記(1)から(3)のいずれか1項に記載のデジタルアセット譲渡方法。
(5)
前記デジタルアセットの対象は、仮想通貨又は金融商品を含む動産、及び不動産のうちの少なくともいずれか一つである、
前記(1)から(4)のいずれか1項に記載のデジタルアセット譲渡方法。
(6)
前記デジタルアセットの対象に応じて、前記デジタルアセットの譲渡に求められる法的手続きに関する処理を行う、
前記(5)に記載のデジタルアセット譲渡方法。
(7)
前記秘密鍵は、楕円曲線の計算式により別の鍵の生成に用いられる情報、及び前記楕円曲線の計算式により別の鍵から生成される情報のうちの少なくともいずれか一方である、
前記(1)から(6)のいずれか1項に記載のデジタルアセット譲渡方法。
(8)
前記秘密鍵は、ニーモニックコードで表される、
前記(1)から(7)のいずれか1項に記載のデジタルアセット譲渡方法。
(9)
前記秘密鍵は、前記登録データが前記P2Pデータベースに登録されるために行われる前記署名に用いられる二以上の秘密鍵のうちの少なくともいずれか一つである、
前記(1)から(8)のいずれか1項に記載のデジタルアセット譲渡方法。
(10)
前記デジタルアセットは、前記P2Pデータベースに前記登録データが登録されることにより、あるアカウントへ移行された後に譲渡先のアカウントへ移行される、
前記(1)から(9)のいずれか1項に記載のデジタルアセット譲渡方法。
(11)
処理の少なくとも一部が、前記P2Pデータベースに設けられ前記P2Pデータベース上で実行される所定のプログラムにより実現される、
前記(1)から(10)のいずれか1項に記載のデジタルアセット譲渡方法。
(12)
前記P2Pデータベースはブロックチェーンにより実現される、
前記(1)から(11)のいずれか1項に記載のデジタルアセット譲渡方法。
(13)
コールドウォレットを所有するユーザの死亡情報を取得するユーザ情報処理部と、
前記死亡情報に基づいて前記コールドウォレットに関連するアカウントに登録されたデジタルアセットの譲渡条件を特定する譲渡条件処理部と、
前記譲渡条件に基づいて前記デジタルアセットを譲渡するために、P2Pデータベースに登録される登録データに前記コールドウォレットに関連する秘密鍵を用いて署名を行う登録データ処理部と、
前記署名に使用された前記秘密鍵を削除する鍵処理部と、を備える、
デジタルアセット譲渡装置。
(14)
コールドウォレットを所有するユーザの死亡情報を取得することと、
前記死亡情報に基づいて前記コールドウォレットに関連するアカウントに登録されたデジタルアセットの譲渡条件を特定することと、
前記譲渡条件に基づいて前記デジタルアセットを譲渡するために、P2Pデータベースに登録される登録データに前記コールドウォレットに関連する秘密鍵を用いて署名を行うことと、
前記署名に使用された前記秘密鍵を削除することと、
をコンピュータに実現させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0102】
100 デジタルアセット譲渡装置
110 制御部
111 ユーザ情報処理部
112 譲渡条件処理部
113 登録データ処理部
114 鍵処理部
120 記憶部
121 ユーザ情報記憶部
122 譲渡条件記憶部
130 通信部
200 コールドウォレット
300 ノード装置
310 制御部
320 P2Pデータベース
321 P2Pデータベースプログラム
330 通信部
400 P2Pネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10