(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】ヘッドアップディスプレイ
(51)【国際特許分類】
B60K 35/23 20240101AFI20240814BHJP
G02B 27/01 20060101ALI20240814BHJP
H04N 5/64 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
B60K35/23
G02B27/01
H04N5/64 521Z
(21)【出願番号】P 2021572812
(86)(22)【出願日】2021-01-22
(86)【国際出願番号】 JP2021002204
(87)【国際公開番号】W WO2021149792
(87)【国際公開日】2021-07-29
【審査請求日】2023-11-17
(31)【優先権主張番号】P 2020008796
(32)【優先日】2020-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【氏名又は名称】坂本 智弘
(72)【発明者】
【氏名】金子 文吉
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 達也
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 航
(72)【発明者】
【氏名】林 岳
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 舞
【審査官】鈴木 貴晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-171041(JP,A)
【文献】特開2017-137930(JP,A)
【文献】特開2010-163135(JP,A)
【文献】特開2002-118381(JP,A)
【文献】特開2006-029907(JP,A)
【文献】特開2010-199128(JP,A)
【文献】特開2016-218163(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 35/00-37/20
G02B 27/01
H04N 5/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体(2)と、
照明装置(6)と、
前記照明装置に照らされて表示光を出射する表示器(3)と、
前記表示光を反射する平面鏡(41)と、
前記平面鏡を保持するホルダ(42)と、を備えるヘッドアップディスプレイ(1)であって、
前記平面鏡の反射面に対して垂直な方向を第1方向(A)とし、前記第1方向に直交する一の方向であって、組み付け時の前記ホルダへの前記平面鏡の挿入方向を第2方向(B)とし、前記第1方向及び前記第2方向の双方に直交する方向を第3方向(C)とした場合、前記ホルダは、前記平面鏡に当接して弾性変形することで、該ホルダに対する前記平面鏡の前記第1方向の変位と、該ホルダに対する前記平面鏡の前記第2方向の変位と、該ホルダに対する前記平面鏡の前記第3方向の変位とを、拘束し、
前記ホルダは、
前記第1方向に視て前記平面鏡が重なるベース部(420)と、
前記ベース部における前記第3方向の第1側(C1)の位置に前記第1方向に立設され、前記平面鏡における前記第3方向の前記第1側の側面に対して、前記第3方向に当接する第3部位(423)と、
前記平面鏡における前記第3方向の前記第1側とは逆の第2側(C2)の側面に当接し、弾性変形することで前記平面鏡に前記第3方向の力を付与する第3付勢部(433)と、を有し、
前記第3付勢部は、前記平面鏡における前記第3方向の前記第2側の側面のうちの、前記挿入方向の奥側のみに当接する、ヘッドアップディスプレイ。
【請求項2】
前記ベース部は平面状である、請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項3】
前記ホルダは、
前記平面鏡の厚みよりもわずかに大きい距離だけ前記ベース部に対して前記第1方向に離間する第1部位(421)と、
前記ベース部における前記挿入方向の奥側の位置に前記第1方向に立設され、前記平面鏡における前記挿入方向の奥側の側面に対して、前記第2方向に当接する第2部位(422)と、
前記平面鏡に当接し、弾性変形することで前記平面鏡に前記第1方向の力を付与する第1付勢部(431)と、
前記平面鏡における前記挿入方向の手前側の側部に当接し、弾性変形することで前記平面鏡に前記第2方向の力を付与する第2付勢部(432)と、を有する、請求項1又は2に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項4】
前記第1部位は、前記平面鏡における前記第3方向の側部に対して前記第1方向に当接し、
前記第1付勢部は、前記第1方向に視て前記平面鏡が重なる領域内に配置され、前記平面鏡の裏面に当接する、請求項3に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項5】
前記第2付勢部は、爪状の形態であり、前記平面鏡における前記挿入方向の手前側の側部に係合する返し部(4322)を有する、請求項3又は4に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項6】
前記第2付勢部は、前記平面鏡の裏面に直角な第1平面(43222)と、前記第1平面に対して前記挿入方向の奥側から連続しかつ前記挿入方向の奥側に向かうにつれて前記第1方向で前記ベース部に近づく傾斜方向の第1傾斜面(43221)とを、前記第1方向で前記平面鏡に対向する側に、有し、
前記返し部は、前記第1平面及び前記第1傾斜面により形成される、請求項5に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項7】
前記第2付勢部は、前記第1平面に対して前記挿入方向の手前側から接続しかつ前記平面鏡の裏面に平行な第2平面(4328)と、前記第2平面に対して前記挿入方向の手前側から接続し前記第1傾斜面とは傾斜方向が逆である第2傾斜面(4329)とを、更に有し、
前記第2傾斜面と前記第2平面とは、曲面(44211)を介して連続する、請求項6に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項8】
前記ホルダは、前記第1部位に対して前記挿入方向の手前側に、第1案内部(441)と、前記ベース部に対して前記挿入方向の手前側に、第2案内部(442)と、前記第3部位に対して前記挿入方向の手前側に、第3案内部(443)とを更に有し、
前記第1案内部、前記第2案内部、及び前記第3案内部は、前記平面鏡の挿入の際の入口側の開口を形成し、
前記第1案内部、前記第2案内部、及び前記第3案内部のうちの少なくともいずれかは、前記挿入方向に視たときの前記開口が前記挿入方向の手前側に向かうにつれて広くなるような、テーパ部(4211、4422、4432)を有する、請求項3から7のうちのいずれか1項に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項9】
前記ベース部は、前記第1方向に視て前記平面鏡が重なる範囲内に、前記第1方向に貫通する窓部(4205)を有する、請求項1から
8のうちのいずれか1項に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項10】
前記ベース部は、前記第1方向で前記平面鏡に対向する側に、補強用のリブ(4201)を有する、請求項1から9のうちのいずれか1項に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項11】
前記平面鏡における前記第3方向の前記第1側の側面は、前記平面鏡における前記挿入方向の奥側の側面に対して直角をなし、
前記平面鏡における前記第3方向の前記第2側の側面は、前記平面鏡における前記挿入方向の奥側の側面に対して、90度よりも大きい角度をなす、請求項1から10のうちのいずれか1項に記載のヘッドアップディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヘッドアップディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示器の前方に平面鏡を設けたヘッドアップディスプレイが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来技術では、平面鏡を組み付け性が良好な態様でホルダに対して実質的にガタなく保持させることが難しい。
【0005】
そこで、本開示は、平面鏡を組み付け性が良好な態様でホルダに対して実質的にガタなく保持させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの側面では、筐体(2)と、
照明装置(6)と、
前記照明装置に照らされて表示光を出射する表示器(3)と、
前記表示光を反射する平面鏡(41)と、
前記平面鏡を保持するホルダ(42)と、を備えるヘッドアップディスプレイ(1)であって、
前記平面鏡の反射面に対して垂直な方向を第1方向(A)とし、前記第1方向に直交する一の方向であって、組み付け時の前記ホルダへの前記平面鏡の挿入方向を第2方向(B)とし、前記第1方向及び前記第2方向の双方に直交する方向を第3方向(C)とした場合、前記ホルダは、
前記平面鏡に当接して弾性変形することで、該ホルダに対する前記平面鏡の前記第1方向の変位と、該ホルダに対する前記平面鏡の前記第2方向の変位と、該ホルダに対する前記平面鏡の前記第3方向の変位とを、
拘束し、
前記ホルダは、
前記第1方向に視て前記平面鏡が重なるベース部(420)と、
前記ベース部における前記第3方向の第1側(C1)の位置に前記第1方向に立設され、前記平面鏡における前記第3方向の前記第1側の側面に対して、前記第3方向に当接する第3部位(423)と、
前記平面鏡における前記第3方向の前記第1側とは逆の第2側(C2)の側面に当接し、弾性変形することで前記平面鏡に前記第3方向の力を付与する第3付勢部(433)と、を有し、
前記第3付勢部は、前記平面鏡における前記第3方向の前記第2側の側面のうちの、前記挿入方向の奥側のみに当接する、ヘッドアップディスプレイが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、平面鏡を組み付け性が良好な態様でホルダに対して実質的にガタなく保持させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】一実施例によるヘッドアップディスプレイの内部構成を上側から示す斜視図である。
【
図1B】ヘッドアップディスプレイを下側から示す斜視図である。
【
図1C】TFTパネルユニットを示す斜視図である。
【
図1D】バックライトユニット及び放熱部材を示す斜視図である。
【
図2】ヘッドアップディスプレイの車両搭載状態を車両側方視で概略的に示す図である。
【
図5】挿入方向の手前側から視たホルダの単品状態の斜視図である。
【
図7】
図4のQ1部を拡大した異なる方向からの斜視図である。
【
図13】
図4のQ2部を拡大した反射層の角Rの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら各実施例について詳細に説明する。なお、
図1A等では、見易さのために、複数存在する同一属性の部位や部分には、一部のみしか参照符号が付されていない場合がある。
【0010】
[ヘッドアップディスプレイの構成]
図1Aは、一実施例によるヘッドアップディスプレイ1の内部構成を上側から示す斜視図である。
図1Bは、ヘッドアップディスプレイ1を下側から示す斜視図である。
図1Cは、TFTパネルユニット3を示す斜視図である。
図1Dは、バックライトユニット6及び放熱部材7を示す斜視図である。
図2は、ヘッドアップディスプレイ1の車両搭載状態を車両側方視で概略的に示す図である。なお、
図1A及び
図1Bでは、ヘッドアップディスプレイ1の一部の構成要素の図示は省略されている。
図1A等には、右手系で、互いに直交する3方向であるX方向、Y方向、及びZ方向が定義されている。以下では、形式上、Z方向を上下方向とし、正側を上側とし、負側を下側とする。
【0011】
ヘッドアップディスプレイ1は、車両のインストルメントパネル9内に搭載される。ヘッドアップディスプレイ1は、
図1AのY方向が車幅方向に略対応する向きで搭載されてよい。
【0012】
ヘッドアップディスプレイ1は、ケース2と、TFT(Thin Film Transistor)パネルユニット3(表示器の一例)と、反射鏡ユニット4と、凹面鏡5と、バックライトユニット6(照明装置の一例)と、放熱部材7とを含む。
【0013】
ケース2は、ヘッドアップディスプレイ1の筐体を形成する。ケース2は、ヘッドアップディスプレイ1の筐体の下部を形成するロアケースである。なお、ケース2は、
図1Aでは図示が省略されたアッパーケースと結合される。
【0014】
ケース2は、例えば樹脂により形成される。なお、ケース2は、2つ以上の部材により形成されてよい。
【0015】
TFTパネルユニット3は、ケース2に固定される。TFTパネルユニット3は、バックライトユニット6からの光をバックライトとして利用して、表示画像に応じた表示光を出射する表示器である。本実施例のTFTパネルユニット3は、ドットマトリクス型のTFT(Thin Film Transistor)パネルを備える。なお、表示画像は、任意であり、例えばナビゲーション情報や各種の車両情報等を表す画像であってよい。
【0016】
反射鏡ユニット4は、ケース2に固定される。反射鏡ユニット4は、平面鏡41を備え、TFTパネルユニット3から出射される表示光を凹面鏡5に向けて反射する。
【0017】
凹面鏡5は、ケース2に固定される。凹面鏡5は、ウインドシールドWSにおける表示光が当たる領域の上下位置が調整可能となるように、ケース2に対して回転可能に支持される。凹面鏡5は、反射鏡ユニット4で反射された表示光を反射して、アッパーケース(図示せず)に設けられた出射口から出射させ、車両VCのウインドシールドWSに向かわせる。
【0018】
バックライトユニット6は、TFTパネルユニット3の背後(Y方向の負側)に設けられる。バックライトユニット6は、例えば、LED62(Light Emitting Diode)が実装された基板60を含む。なお、基板60は、
図1Dに示すように、放熱部材7上に載置されてよい。バックライトユニット6は、TFTパネルユニット3と協動して、表示光を生成する。
【0019】
放熱部材7は、アルミ等のような伝熱性の高い材料により形成される。放熱部材7は、ケース2の外側にフィン71が露出する態様で、ケース2に取り付けられる。放熱部材7は、バックライトユニット6から発生する熱を放熱する機能を有する。放熱部材7は、ケース2外を流れる空気に熱を放出する。
【0020】
このようなヘッドアップディスプレイ1では、
図2に示すように、ウインドシールドWSに表示光が照射されると、車両VCを運転する運転者にとっては、ウインドシールドWSよりも前方に、当該照射によって得られた表示像(虚像表示)VIが見える。これにより、運転者は、前方風景と重畳させて表示像VIを視認でき、視線移動の少ない態様で車両情報等を把握でき、利便性及び安全性が向上する。
【0021】
[反射鏡ユニットの構成]
図3は、反射鏡ユニット4の単品状態の斜視図であり、
図4は、反射鏡ユニット4の分解斜視図である。
図5は、挿入方向(
図4の矢印R1参照)の手前側から視たホルダ42の単品状態の斜視図である。
図6は、第2付勢部432の形状の説明図である。
図7は、入口側の開口の説明図であり、
図4のQ1部を拡大した異なる方向からの斜視図である。
【0022】
図4には、上述したX方向、Y方向、及びZ方向とは別に、A方向、B方向、及びC方向が定義されている。A方向(第1方向の一例)は、平面鏡41の反射面に対して垂直な方向であり、用語「A1側」や「A2側」等は、ある部材を基準とした相対的な位置関係を表し、A1側は、平面鏡41のA方向の中心位置から平面鏡41の反射面に向かう側を相対的に表し、A2側は、平面鏡41のA方向の中心位置から平面鏡41の裏面に向かう側を相対的に表す。B方向(第2方向の一例)は、A方向に直交する一の方向であって、組み付け時のホルダ42への平面鏡41の挿入方向に対応する。また、B1側は、挿入方向の奥側を相対的に表し、B2側は、挿入方向の手前側を相対的に表す。C方向(第3方向の一例)は、A方向及びB方向の双方に直交する方向であり、C1側は、平面鏡41のC方向の中心位置から辺L4に向かう側を相対的に表し、C2側は、平面鏡41のC方向の中心位置から辺L3側に向かう側を相対的に表す。
【0023】
反射鏡ユニット4は、平面鏡41と、ホルダ42とを含む。
【0024】
平面鏡41は、上述したように、TFTパネルユニット3から出射される表示光を凹面鏡5に向けて反射する反射面を形成する。平面鏡41は、略一定の厚みを有し、外形が矩形である。本実施例では、一例として、平面鏡41は、辺L1、L2が平行な台形の形態であり、辺L1と辺L4のなす角度が90度あり、辺L1と辺L3のなす角度が90よりも大きい。すなわち、平面鏡41は、辺L1側の側面と辺L4側の側面のなす角度が90度あり、辺L1側の側面と辺L3側の側面のなす角度が90よりも大きい。なお、辺L1側の側面と辺L4側の側面とは、いわゆるピン角であってもよいし、曲面(R面)で接続されてもよい。辺L1側の側面と辺L3側の側面についても同様である。
【0025】
ホルダ42は、例えば樹脂により形成される。ホルダ42は、平面鏡41を保持する。ホルダ42は、ケース2に固定される。従って、平面鏡41は、ホルダ42を介してケース2に支持される。
【0026】
本実施例では、ホルダ42は、平面鏡41に当接して弾性変形することで、ホルダ42に対する平面鏡41のA方向の変位と、ホルダ42に対する平面鏡41の、A方向に平行な軸(例えば図心を通る、A方向に平行な軸)まわりの変位とを、拘束する機能を有する。
【0027】
具体的には、ホルダ42は、ベース部420と、第1部位421と、第2部位422と、第3部位423と、第1付勢部431と、第2付勢部432と、第3付勢部433と、第1案内部441と、第2案内部442と、第3案内部443とを含む。
【0028】
ベース部420は、A方向に視て平面鏡41が重なる領域内に延在する。ベース部420は、平面状の形態である。
【0029】
ベース部420は、好ましくは、
図4に示すように、A方向で平面鏡41に対向する側(A1側)に、ハニカム状に配列されたリブ4201を有する。リブ4201は、平面部4200に立設される。これにより、ベース部420の平面部4200の厚みを低減しつつ(それに伴いベース部420の質量を低減しつつ)、ベース部420及びそれに伴いホルダ42の剛性を高めることができる。なお、リブ4201は、剛性を高める機能を果たす限り、他のパターン(ハニカム状以外のパターン)で形成されてもよい。
【0030】
ベース部420は、更に、リブ4201よりも平面部4200からの高さ(A方向の高さ)がわずかに大きい枠部4202を有する。枠部4202は、後述する第1付勢部431、第2付勢部432、及び第3付勢部433のそれぞれの近傍に延在し、必要な剛性を確保する機能を有する。
【0031】
ベース部420には、A方向に視て平面鏡41が重なる範囲内に、A方向に貫通する窓部4205を有する。窓部4205は、平面鏡41がホルダ42に所期の態様で挿入された状態を確認できるように設けられる。従って、窓部4205は、好ましくは、挿入方向の奥側に設けられる。この場合、窓部4205を介して平面鏡41が可視な状態を確認することで、平面鏡41がホルダ42に所望の態様で挿入された状態を確認できる。なお、本実施例では、一例として、窓部4205は、3つ、C方向に並んで設けられる。
【0032】
第1部位421は、平面鏡41の厚みよりもわずかに大きい距離だけベース部420に対してA方向A1側に離間する。従って、第1部位421は、A方向に見て、ベース部420に重なる範囲に延在する。本実施例では、第1部位421は、ベース部420におけるC方向の両側の部分と、ベース部420におけるB方向B1側の部分とに、A方向で対向するように設けられる。
【0033】
第1部位421は、平面鏡41の3辺(辺L1、辺L3、及び辺L4)に係る縁部において、平面鏡41における反射面側の表面に対して、A方向に当接する。第1部位421は、後述する第1付勢部431と協動して、ホルダ42に対する平面鏡41のA方向の変位を拘束する機能を有する。すなわち、第1部位421は、平面鏡41の反射面側の表面に、A方向A1側から当接することで、平面鏡41のA方向A1側への変位を規制する。以下、このようなA方向の変位を拘束する機能を「A方向変位拘束機能」とも称する。
【0034】
本実施例では、第1部位421は、上述したように、A方向に見て、C字状に延在するので、平面鏡41の3辺(辺L1、辺L3、及び辺L4)に沿って、平面鏡41に当接できる。これにより、上述したA方向変位拘束機能を効果的に高めることができる。ただし、変形例では、第1部位421は、他の態様で設けられてもよい。例えば、第1部位421は、ベース部420におけるC方向の両側の部分のみに、A方向で対向するように設けられてもよい。
【0035】
第2部位422は、
図5に示すように、ベース部420における挿入方向の奥側(B方向B1側)の位置(境界位置)にA方向A1側に立設される。本実施例では、第2部位422は、C方向に連続的に延在せず、開口部4221を間に形成する態様で形成される。
【0036】
第2部位422は、平面鏡41における挿入方向の奥側(すなわち辺L1側)の側面に対して、B方向に当接する。第2部位422は、後述する第2付勢部432と協動して、ホルダ42に対する平面鏡41のB方向の変位を拘束する機能を有する。すなわち、第2部位422は、平面鏡41のB方向B1側の側面に、B方向B1側から当接することで、平面鏡41のB方向B1側への変位を規制する。以下、このようなB方向の変位を拘束する機能を「B方向変位拘束機能」とも称する。
【0037】
本実施例では、第2部位422は、上述したように、開口部4221を間に有するものの、平面鏡41のB方向B1側の側面の全体にわたり対向する態様で、C方向に沿って配置されるので、上述したB方向変位拘束機能を効果的に高めることができる。ただし、変形例では、第2部位422は、他の態様で設けられてもよい。
【0038】
第3部位423は、
図5に示すように、ベース部420におけるC方向C1側(第1側の一例)の位置(境界位置)にA方向A1側に立設される。第3部位423は、本実施例では、第3部位423は、C方向C1側の第1部位421に連続する態様(B方向に視てL字型の断面を形成する態様)で形成され、C方向C1側の第1部位421と同様の範囲でB方向に延在する。
【0039】
第3部位423は、平面鏡41におけるC方向C1側の側面に対して、C方向に当接する。第3部位423は、後述する第3付勢部433と協動して、ホルダ42に対する平面鏡41のC方向の変位を拘束する機能を有する。すなわち、第3付勢部433は、平面鏡41のC方向C1側の側面に、C方向C1側から当接することで、平面鏡41のC方向C1側への変位を規制する。以下、このようなC方向の変位を拘束する機能を「C方向変位拘束機能」とも称する。
【0040】
本実施例では、第3部位423は、平面鏡41のC方向C1側の側面の略全体にわたり対向する態様で、B方向に沿って配置されるので、上述したC方向変位拘束機能を効果的に高めることができる。ただし、変形例では、第3部位423は、他の態様で設けられてもよい。
【0041】
第1付勢部431は、A方向に視て、平面鏡41に重なる範囲内に設けられる。本実施例では、一例として、第1付勢部431は、
図4に示すように、A方向に視て、平面鏡41に重なる範囲のC方向の両側に、それぞれ、2つずつ設けられる。
【0042】
第1付勢部431は、平面鏡41の裏面に当接し、主にA方向A2側へと弾性変形することで平面鏡41にA方向の力を付与する。具体的には、第1付勢部431は、爪状の形態であり、ホルダ42に平面鏡41が組み付けられる前の状態では、先端部がベース部420よりもA方向A1側に位置する。ホルダ42に平面鏡41が組み付けられると、第1付勢部431の先端部がA方向A2側に変位し、第1付勢部431が弾性変形する。この結果、第1付勢部431は、平面鏡41に対してA方向A1側に向かう力を与えることができる。なお、上述したように、平面鏡41のA方向A1側への変位は、第1部位421により規制される。このようにして、第1付勢部431は、第1部位421と協動して、上述したA方向変位拘束機能を実現する。
【0043】
本実施例では、第1付勢部431は、上述したように、平面鏡41のC方向両側かつB方向両側に作用するように、4箇所設けられる。これにより、C方向両側かつB方向両側において上述したA方向変位拘束機能を効果的に高めることができる。ただし、変形例では、第1付勢部431は、他の態様で設けられてもよい。例えば、第1付勢部431は、B方向B1側の第1部位421の近傍にも追加的に設けられてもよい。
【0044】
第2付勢部432は、A方向に視て、平面鏡41に重なる範囲のB方向B2側に設けられる。本実施例では、一例として、第2付勢部432は、
図4に示すように、C方向に並んで3つ設けられる。
【0045】
第2付勢部432は、平面鏡41における挿入方向の手前側(B方向B2側)の側部に当接し、弾性変形することで平面鏡41にB方向の力を付与する。具体的には、第2付勢部432は、
図6に示すように、爪状の形態であり、平面鏡41における挿入方向の手前側の側部418に係合する返し部4322を有する。ホルダ42に平面鏡41が組み付けられると、第2付勢部432がA方向A2側に変位し、第2付勢部432が弾性変形する。返し部4322は、第2付勢部432が主にA方向A2側へと弾性変形した状態で、平面鏡41のB方向B2側の側部418(正確には、側部418のA方向A2側の角部)に当接する。これにより、第2付勢部432は、平面鏡41にB方向B1側に向かう力を与えることができる。なお、上述したように、平面鏡41のB方向B1側への変位は、第2部位422により規制される。このようにして、第2付勢部432は、第2部位422と協動して、上述したB方向変位拘束機能を実現する。
【0046】
本実施例では、第2付勢部432は、上述したように、C方向に略均等に間隔をおいて3つ設けられる。これにより、上述したB方向変位拘束機能を効果的に高めることができる。ただし、変形例では、第2付勢部432は、他の態様で設けられてもよい。例えば、第2付勢部432は、3つのうちの真ん中の1つが省略されてもよい。なお、本実施例では、3つの第2付勢部432は、実質的に互いに同じ形態であるが、詳細な部分が異なってもよい。
【0047】
ところで、第2付勢部432は、上述したB方向変位拘束機能を実現する関係上、第1付勢部431や第3付勢部433とは異なり、平面鏡41に対してB方向B2側に位置する必要がある。これは、組み付け時にホルダ42に平面鏡41を挿入する際に、第2付勢部432は、第1付勢部431や第3付勢部433よりも先に平面鏡41に干渉することを意味する。従って、第2付勢部432は、第1付勢部431や第3付勢部433よりも、組み付け時にホルダ42に平面鏡41を挿入する際の組み付け性に影響しやすい。
【0048】
この点、本実施例では、以下で説明するように、上述したB方向変位拘束機能を高めつつ、ホルダ42に平面鏡41を挿入する際の組み付け性を良好にできるような第2付勢部432の構成を実現している。
【0049】
具体的には、
図6を参照して説明すると、第2付勢部432は、挿入方向の手前側の縁部4320は、第2案内部442における挿入方向の手前側の縁部4421よりも、平面鏡41の裏面からのA方向の離間距離が大きい。すなわち、第2付勢部432の縁部4320は、第2案内部442の縁部4421よりもA方向A2側に位置する。これにより、組み付け時にホルダ42に平面鏡41を挿入する際に、第2案内部442よりも先に第2付勢部432に平面鏡41が干渉する可能性が低減し、組み付け性が良好となる。
【0050】
また、第2付勢部432は、第1傾斜面43221と、第1平面43222と、第2平面4328と、第2傾斜面4329とを、A方向A1側に、有する。
【0051】
第1傾斜面43221は、C方向に視て、縁部4320からB方向B1側に向かうにつれてA方向A2側に向かう傾斜方向である。
【0052】
第1平面43222は、平面鏡41の裏面に直角である。第1平面43222は、第1傾斜面43221に対して、B方向B2側から連続する。第1平面43222は、第1傾斜面43221と協動して、上述した返し部4322を形成する。この場合、第1傾斜面43221に、平面鏡41のB方向B2側の側部418(正確には、側部418のA方向A2側の角部)が当接する。
【0053】
本実施例では、第1平面43222は、平面鏡41の裏面に直角であるので、第1平面43222は、第1傾斜面43221に当接する平面鏡41が、B方向B2側に変位しようとしても、平面鏡41を係止しやすくなる。これにより、上述したB方向変位拘束機能を効果的に高めることができる。
【0054】
第2平面4328は、第1平面43222に対してB方向B2側から接続する。第2平面4328は、平面鏡41の裏面に平行である。なお、
図6に示すように、第2平面4328は、第1平面43222に対して、比較的小さい曲率半径の曲面43281を介して接続されてよい。曲面43281の曲率中心は、A2側である。曲面43281の曲率半径を比較的小さくすることで、上述したB方向変位拘束機能を確保できる。
【0055】
第2傾斜面4329は、第2平面4328に対してB方向B2側から接続する。第2傾斜面4329は、第1傾斜面43221とは傾斜方向が逆である。すなわち、第2傾斜面4329は、C方向に視て、縁部4320からB方向B1側に向かうにつれてA方向A1側に向かう傾斜方向である。なお、第2傾斜面4329は、第1傾斜面43221よりも斜度が小さくてよい。これにより、組み付け時にホルダ42に平面鏡41を挿入する際に第2傾斜面4329に平面鏡41が引っかかり難くなり、組み付け性が良好となる。
【0056】
第2傾斜面4329は、第2平面4328に対して、比較的大きい曲率半径の曲面44211を介して接続されてよい。曲面44211の曲率中心は、A2側である。曲面44211の曲率半径を比較的大きくすることで、組み付け時にホルダ42に平面鏡41を挿入する際に第2傾斜面4329と第2平面4328とのつなぎ部分に平面鏡41が引っかかり難くなり、組み付け性が良好となる。
【0057】
第3付勢部433は、
図3及び
図4に示すように、ベース部420に対してC方向C2側(第2側の一例)かつB方向B1側に設けられる。第3付勢部433は、平面鏡41のC方向C2側の側面に当接し、主にC方向C2側へと弾性変形することで平面鏡41にC方向の力を付与する。具体的には、第3付勢部433は、爪状の形態であり、先端部がC方向C1側に突出する。ホルダ42に平面鏡41が組み付けられると、第3付勢部433の先端部がC方向C2側に変位し、第3付勢部433が弾性変形する。この結果、第3付勢部433は、平面鏡41に対してC方向C1側に向かう力を与えることができる。なお、上述したように、平面鏡41のC方向C1側への変位は、第3部位423により規制される。このようにして、第3付勢部433は、第3部位423と協動して、上述したC方向変位拘束機能を実現する。
【0058】
なお、本実施例では、第3付勢部433は、1つだけ設けられるが、2つ以上設けられてもよい。
【0059】
ここで、第3付勢部433は、好ましくは、
図3及び
図4に示すように、平面鏡41におけるC方向C2側の側面のうちの、挿入方向の奥側(B方向B1側)のみに当接する。これにより、組み付け時にホルダ42に平面鏡41を挿入する際に、挿入の最終段階付近で平面鏡41が第3付勢部433に干渉する(その結果、第3付勢部433が弾性変形する)ことになるので、挿入の開始段階で平面鏡41が第3付勢部433に干渉する場合に比べて、組み付け性が良好となる。
【0060】
第1案内部441は、
図7に示すように、第1部位421に対してB方向B2側に設けられる。第1案内部441は、第1部位421に対してB方向B2側から連続する形態である。第1案内部441は、組み付け時にホルダ42に平面鏡41を挿入する際に、平面鏡41のC方向両側の側部を適切なA方向の位置(例えばA方向A1側の表面が第1部位421のA方向A2側表面に接する位置)に位置付けるように機能する。かかる機能を高めるために、第1案内部441は、好ましくは、A方向で第1部位421とベース部420との間により形成される空間のA方向の高さ(平面鏡41の厚みよりもわずかに大きい幅)がB方向B2側に向かうにつれて大きくなるようなテーパ部4211を有する。なお、
図7には、C方向C1側の第1案内部441が示されているが、C方向C2側の第1案内部441についても同様である。ただし、変形例では、C方向C1側及びC2側の第1案内部441のうちの一方又は双方が省略されてもよい。
【0061】
第2案内部442は、
図6に示すように、ベース部420に対してB方向B2側に設けられる。第2案内部442は、ベース部420に対してB方向B2側から連続する形態である。第2案内部442は、組み付け時にホルダ42に平面鏡41を挿入する際に、平面鏡41の裏面を適切なA方向の位置(例えば平面鏡41の裏面のB方向B1側が第2付勢部432の第2傾斜面4329に乗り上げる位置)に位置付けるように機能する。かかる機能を高めるために、第2案内部442は、好ましくは、挿入方向の手前側の角部がいわゆるピン角ではなく、
図6に示すように、角R(曲面によるテーパ部4422参照)が付与される。これにより、組み付け時にホルダ42に平面鏡41を挿入する際に、平面鏡41の裏面を適切なA方向の位置に位置付けるように機能できる。
【0062】
第3案内部443は、
図7に示すように、第3部位423に対してB方向B2側に設けられる。第3案内部443は、第3部位423に対してB方向B2側から連続する形態である。第3案内部443は、組み付け時にホルダ42に平面鏡41を挿入する際に、平面鏡41のC方向の側部を適切なC方向の位置(例えば平面鏡41のC方向C1側の側面が第3部位423のC方向C2側の表面に接する位置)に位置付けるように機能する。かかる機能を高めるために、第3案内部443は、好ましくは、C方向C2側の表面がB方向B2側に向かうにつれてC方向C1側に傾斜するテーパ部4432を実現する。なお、
図7には、C方向C1側の第3案内部443が示されているが、C方向C2側に、第3案内部443のような案内部(
図6の第3案内部443A参照)が形成されてもよい。
【0063】
このようにして、本実施例では、第1案内部441、第2案内部442及び第3案内部443は、互いに協動して、平面鏡41の挿入の際の入口側の開口を形成するとともに、挿入方向に視たときの開口がB方向B2側に向かうにつれて広くなるような、テーパ部4211、4422、4432を有する。これにより、組み付け時にホルダ42に平面鏡41を挿入する際に、平面鏡41をホルダ42に対して適切な位置関係に容易に位置付けることができ、組み付け性が向上する。
【0064】
なお、変形例では、第1案内部441、第2案内部442及び第3案内部443の一部又は全部が省略されてもよいし、テーパ部4211、4422、4432の一部又は全部が省略されてもよい。
【0065】
以上説明した本実施例によれば、上述のように、第1付勢部431、第2付勢部432、及び第3付勢部433が弾性変形するので、ホルダ42に平面鏡41を挿入する際の組み付け性が良好となる。また、本実施例によれば、上述のように、ホルダ42が弾性変形することで、ホルダ42に対する平面鏡41の3方向(A方向、B方向、及びC方向)の変位を実質的にガタなく拘束できる。このようにして、本実施例によれば、平面鏡41を組み付け性が良好な態様でホルダ42に対して実質的にガタなく保持させることが可能となる。
【0066】
なお、上述した実施例では、第1付勢部431は、平面鏡41の裏面に当接するが、これに限らない。例えば、第1付勢部431は、平面鏡41の反射面側の表面に当接してA方向A2側に向かう力を平面鏡41に付与してもよい。この場合、第1付勢部431は、例えば第1部位421側に設けられてもよい。この場合、平面鏡41の裏面は、ベース部420に当接することで、A方向A2側への変位が拘束される。
【0067】
また、上述した実施例では、第3付勢部433は、C方向C2側に設けられるが、C方向C1側に設けられてもよい。この場合、第3部位423は、C方向C2側に設けられる。
【0068】
[平面鏡の構成]
つぎに、平面鏡41の好ましい構成について、
図8及び
図9を参照して説明する。
【0069】
図8は、第1実施例の平面鏡41を示す断面図である。
図9は、平面鏡41の作用説明図である。
【0070】
図8に示すように、第1実施例の平面鏡41は、反射層411と、粘着層412と、粘着層412を介して反射層411が接合される基材413とを備える。反射層411は、TFTパネルユニット3及び凹面鏡5と向き合う。粘着層412及び基材413は、反射層411の背後に配置される。
【0071】
反射層411は、反射型偏光多層フィルムである。反射型偏光多層フィルムは、異なる屈折率のポリエステル系樹脂膜を数百層に積層したフィルムである。
【0072】
反射層411は、可視光Iの特定の偏光成分のみを反射するように、各膜の屈折率が調整されている。反射層411は、反射波長に対し波長選択性があり、赤外光Jを反射せずに通過させる。反射層411は、反射軸を有し、反射軸方向Rrに平行な可視光Iの直線偏光成分を反射する。なお、反射軸方向Rrは、上述したC方向に平行であってよい。反射層411は、反射軸方向Rrに垂直な可視光Iの直線偏光成分を反射せずに通過させる。
図9を参照して具体的に説明する。反射層411の反射軸方向Rrが、入射平面D(入射光Eと反射光Fとがなす平面)と直交する方向と平行である場合、反射層411は、入射平面Dと平行な波成分である可視光IのP偏光G(図示せず)を透過する。また、反射層411は、入射平面Dと直交する波成分である可視光IのS偏光Hを反射する。
【0073】
このような反射層411を備える平面鏡41によれば、外部から入射される太陽光などの外光のうち、赤外光Jを透過してTFTパネルユニット3への到達を阻止できる。また、反射層411は、外光に含まれる可視光Iのうち、S偏光Hのみを反射し、P偏光Gを透過させるので、TFTパネルユニット3の近傍に偏光膜付きのガラス板などを配置することなく、TFTパネルユニット3に向かう可視光を削減することができる。
【0074】
粘着層412は、アクリル系樹脂からなり、無色透明な透光性粘着層である。反射層411と粘着層412は一体の部材として供給され、その総厚は約60μmである。
【0075】
基材413は、反射層411を平面性、平坦性で良好に保持し、耐振動性、透明性を兼ね備えた部材であり、例えば、透明な無機ガラスが使用される。ヘッドアップディスプレイ1の平面鏡41として経済性及び剛性を考慮すると、厚みが、1.7~2.1mmの無機ガラスが適用される。
【0076】
[平面鏡の配置]
平面鏡41は、反射層411の反射軸方向RrがTFTパネルユニット3から出射される表示光の偏光方向と略平行となる向きで配置される。このように平面鏡41を配置すると、TFTパネルユニット3に向かう可視光Iを削減しつつ、TFTパネルユニット3からの表示光の減衰を抑えて乗員の視点方向へ反射することができる。
【0077】
例えば、
図1Aに示す本実施例のヘッドアップディスプレイ1は、TFTパネルユニット3からの表示光を平面鏡41が横方向(鉛直方向よりも水平方向に近い方向)に反射させる、いわゆる横折タイプである。したがって、平面鏡41は、TFTパネルユニット3からの表示光に関する入射平面Dが、鉛直面よりも水平面に近くなり、かつ反射層411の反射軸方向Rrが、入射平面Dと直交する方向と略平行となる向きで配置される。具体的には、反射層411の反射軸方向Rrが縦方向(水平方向よりも鉛直方向に近い方向)となる向きで平面鏡41が配置される。
【0078】
TFTパネルユニット3から平面鏡41への表示光の入射角度は、30°~40°であることが望ましい。このようにすると、凹面鏡5とTFTパネルユニット3を近接した位置に配置できるので、ヘッドアップディスプレイ1を小型化できる。
【0079】
[平面鏡の他例]
つぎに、第2~第4実施例の平面鏡41B、41C、41Dについて、
図10~
図12を参照して説明する。ただし、第1実施例と共通の構成については、第1実施例と同じ符号を用いることにより、第1実施例の説明を援用する。
【0080】
図10は、第2実施例の平面鏡41Bを示す断面図である。
図11は、第3実施例の平面鏡41Cを示す断面図である。
図12は、第4実施例の平面鏡41Dを示す断面図である。
【0081】
前述した第1実施例の平面鏡41によれば、太陽光などの外光に含まれる赤外光Jや可視光IのP偏光GがTFTパネルユニット3に向かうことを防ぐので、外光に対する遮熱性が高められる。しかしながら、第1実施例の平面鏡41では、
図8に示すように、反射層411を透過した光(赤外光JやP偏光G)の一部が基材413の裏面で反射し、反射層411を再び透過してTFTパネルユニット3に向かう可能性がある。このような再透過光によるTFTパネルユニット3の温度上昇は、太陽光1、000W/m
2にて、約10℃にも達する可能性がある。また、反射層411を透過した光が平面鏡41の保持部材を照射すると、保持部材の造形が表示画像に映り込む可能性がある。
【0082】
図10に示すように、第2実施例の平面鏡41Bは、基材413Bが遮光性を有する。遮光性を有する基材413Bは、無色透明でなく有色であり、例えば、黒色の樹脂板などで構成される。このような平面鏡41Bによれば、反射層411を透過した光が基材413Bで吸収されるので、平面鏡41Bによる遮熱効果を高めることができる。また、遮光性を有する基材413Bによれば、平面鏡41Bの保持部材の造形が表示画像に映り込むことも防止できる。
【0083】
図11に示すように、第3実施例の平面鏡41Cは、粘着層412Cが遮光性を有する。遮光性を有する粘着層412Cは、無色透明でなく有色であり、例えば、黒色の粘着剤などで構成される。このような平面鏡41Cによれば、第2実施例の平面鏡41Bと同様な効果が得られる。
【0084】
図12に示すように、第4実施例の平面鏡41Dは、基材413の裏面(反射層411とは逆側の表面)に遮光性を有する遮光層414を備える。遮光層414は、無色透明でなく有色のインクを印刷した印刷層、有色の粘着フィルムなどで構成される。このような平面鏡41Dによれば、第2実施例の平面鏡41Bと同様な効果が得られる。遮光層414を印刷層で構成する場合は、基材413と屈折率が近い黒色の油性インクやUV硬化インクで構成することが好ましい。また、遮光層414を粘着フィルムで構成する場合は、基材413と屈折率が近い粘着剤を介して貼り付けられる黒色の粘着フィルムで構成することが好ましい。このように構成することで、基材413と遮光層414との境界面での反射率が低下するので、反射層411を透過した光を遮光層414で確実に吸収できる。
【0085】
ところで、第4実施例の平面鏡41Dを用いる場合、遮光層414が上述した第1付勢部431や第2付勢部432に押圧されることで、剥がれ等が生じるおそれがある。
【0086】
従って、遮光層414は、好ましくは、このような剥がれが生じないような厚みで形成される。例えば、遮光層414は、有色のインクを印刷した印刷層により形成される場合、2回以上の印刷による印刷層を重ね合わせることで実現されてもよい。これにより、遮光層414が上述した第1付勢部431や第2付勢部432に押圧されても、遮光層414の剥がれ等が生じる可能性を低減できる。
【0087】
また、第4実施例の平面鏡41Dを用いる場合、第1実施例から第3実施例の場合も同様であるが、反射層411についても、組み付け時にホルダ42に平面鏡41Dを挿入する際に、反射層411が、その角部(
図4の辺L1と辺L3の角部、辺L1と辺L4の角部、辺L2と辺L3の角部、及び辺L2と辺L4の角部のそれぞれに対応する角部)から剥がれるおそれがある。
【0088】
従って、反射層411は、好ましくは、辺L1と辺L3の角部、辺L1と辺L4の角部、辺L2と辺L3の角部、及び辺L2と辺L4の角部のそれぞれに対応する角部において、角Rが付与される。
図13には、一例として、一の角部における反射層411の角R(矢印1300参照)が示される。これにより、組み付け時にホルダ42に平面鏡41Dを挿入する際に、反射層411がホルダ42に干渉した場合でも、反射層411が剥がれる可能性を低減できる。また、
図13では、反射層411の外周縁は、基材413の外周縁(C面部端面)から0.1から0.5mm程度のクリアランスΔ1を有する。これにより、反射層411がその外周縁から剥がれ難くなり、反射層411が剥がれる可能性を低減できる。
【0089】
ところで、第4実施例の平面鏡41Dを用いる場合、第1実施例から第3実施例の場合も同様であるが、ホルダ42に対して平面鏡41Dが、反射軸方向Rrが所望の方向からずれる態様で、ガタつくと、ヘッドアップディスプレイ1により生成される表示像の品質が低下しやすくなる。この点、ホルダ42は、上述したように平面鏡41Dをガタつきなく保持できるので、かかる品質の低下の可能性を効果的に低減できる。
【0090】
以上、各実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した実施例の構成要素を全部又は複数を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0091】
1 ヘッドアップディスプレイ
2 ケース
3 TFTパネルユニット
4 反射鏡ユニット
5 凹面鏡
6 バックライトユニット
7 放熱部材
71 フィン
9 インストルメントパネル
41 平面鏡
41B 平面鏡
41C 平面鏡
41D 平面鏡
42 ホルダ
411 反射層
412 粘着層
412C 粘着層
413 基材
413B 基材
414 遮光層
418 側部
420 ベース部
421 第1部位
422 第2部位
423 第3部位
431 第1付勢部
432 第2付勢部
433 第3付勢部
441 第1案内部
442 第2案内部
443 第3案内部
443A 第3案内部
4200 平面部
4201 リブ
4202 枠部
4205 窓部
4211 テーパ部
4221 開口部
4320 縁部
4322 返し部
4328 第2平面
4329 第2傾斜面
4421 縁部
4422 テーパ部
4432 テーパ部
43221 第1傾斜面
43222 第1平面
43281 曲面
44211 曲面