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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】電子部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20240814BHJP
【FI】
H01G4/30 311F
H01G4/30 201K
H01G4/30 201L
H01G4/30 512
H01G4/30 515
H01G4/30 517
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022016114
(22)【出願日】2022-02-04
(65)【公開番号】P2023114038
(43)【公開日】2023-08-17
【審査請求日】2023-09-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100130638
【弁理士】
【氏名又は名称】野末 貴弘
(74)【代理人】
【氏名又は名称】西澤 均
(72)【発明者】
【氏名】成瀬 文雄
【審査官】鈴木 駿平
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-260665(JP,A)
【文献】特開平07-263271(JP,A)
【文献】特開2002-043161(JP,A)
【文献】特開2003-017357(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/00-4/224
H01G 4/255-4/40
H01G 13/00-13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のセラミックグリーンシートを準備する工程と、
その上に内部電極パターンが形成された第2のセラミックグリーンシートを準備する工程と、
前記第1のセラミックグリーンシートが前記内部電極パターンと接するように、前記第1のセラミックグリーンシートと前記第2のセラミックグリーンシートとを積層する工程と、
積層された前記第1のセラミックグリーンシートと前記第2のセラミックグリーンシートに対して第1の押圧を行うことによって、前記第1のセラミックグリーンシートの少なくとも一部を、前記第2のセラミックグリーンシート上の領域のうち、前記内部電極パターンが形成されていない領域に入り込ませたマザーシートを作製する工程と、
前記マザーシートに対して第2の押圧を行うことによって積層体を得る工程と、
を備え、
前記第1のセラミックグリーンシートの弾性率は、前記第2のセラミックグリーンシートの弾性率よりも小さく、
前記第2のセラミックグリーンシートを準備する工程では、複数枚の前記第2のセラミックグリーンシートを準備し、
前記積層する工程では、前記第1のセラミックグリーンシートと複数枚の前記第2のセラミックグリーンシートとを積層することを特徴とする電子部品の製造方法。
【請求項2】
前記第1のセラミックグリーンシートを準備する工程では、複数枚の前記第1のセラミックグリーンシートを準備し、
前記積層する工程では、複数枚の前記第1のセラミックグリーンシートと複数枚の前記第2のセラミックグリーンシートとを積層することを特徴とする請求項に記載の電子部品の製造方法。
【請求項3】
前記積層する工程では、1枚の前記第1のセラミックグリーンシートと、1枚の前記第2のセラミックグリーンシートとを交互に複数積層することを特徴とする請求項に記載の電子部品の製造方法。
【請求項4】
前記積層する工程では、少なくとも1枚の前記第1のセラミックグリーンシートが最上層に位置するように、前記第1のセラミックグリーンシートと複数枚の前記第2のセラミックグリーンシートとを積層することを特徴とする請求項のいずれか一項に記載の電子部品の製造方法。
【請求項5】
前記第1のセラミックグリーンシートの弾性率は、前記第2のセラミックグリーンシートの弾性率の1/10以上1/2以下であることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の電子部品の製造方法。
【請求項6】
前記マザーシートを作製する工程では、複数枚の前記マザーシートを作製し、
前記積層体を得る工程では、複数枚の前記マザーシートを積層し、積層された複数枚の前記マザーシートに対して前記第2の押圧を行うことによって前記積層体を得ることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の電子部品の製造方法。
【請求項7】
前記第1のセラミックグリーンシートの厚みは、前記第2のセラミックグリーンシートの厚みよりも厚いことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の電子部品の製造方法。
【請求項8】
前記第1のセラミックグリーンシートを準備する工程では、第1の支持体上に形成された前記第1のセラミックグリーンシートを準備し、
前記第2のセラミックグリーンシートを準備する工程では、第2の支持体上に形成された前記第2のセラミックグリーンシートを準備し、
前記積層する工程の前または後に、前記第1のセラミックグリーンシートから前記第1の支持体を剥離する工程と、
前記積層する工程の前または後に、前記第2のセラミックグリーンシートから前記第2の支持体を剥離する工程と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の電子部品の製造方法。
【請求項9】
前記第1の押圧は、積層された前記第1のセラミックグリーンシートと前記第2のセラミックグリーンシートを一対のローラで挟み込むことによって行うことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の電子部品の製造方法。
【請求項10】
前記第1のセラミックグリーンシートは、流動体であることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の電子部品の製造方法。
【請求項11】
前記第1のセラミックグリーンシートは、固体であることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の電子部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
積層セラミックコンデンサなどの電子部品を製造する方法として、セラミックグリーンシートの上に導電性ペーストを塗工し、導電性ペーストが塗工されたセラミックグリーンシートを複数枚積層して焼成する工程を経て、電子部品を製造する方法が知られている。
【0003】
そのような電子部品の製造方法の一例として、特許文献1には、第1のセラミック層と第2のセラミック層との間に内部電極パターンを配置した単位積層体を形成し、単位積層体を複数積層して焼成する工程を経て電子部品を製造する方法が開示されている。また、特許文献1には、第1のセラミック層上の内部電極パターンが形成されていない領域にセラミックペーストを印刷して補助層を形成することにより、内部電極パターンが形成されている領域と、内部電極パターンが形成されていない領域との間の段差を解消することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-93447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の電子部品の製造方法のように、段差を解消するための補助層を形成する場合、内部電極パターンが形成されていない領域に精度良く補助層を形成するための位置合わせが必要となる。このため、製造時間が長くなるとともに、位置合わせ時に位置ずれが生じ、製造される電子部品に構造欠陥が生じる可能性がある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するものであり、位置合わせによる補助層を形成することなく、内部電極パターンが形成されている領域と形成されていない領域との間の段差を抑制することができる電子部品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電子部品の製造方法は、
第1のセラミックグリーンシートを準備する工程と、
その上に内部電極パターンが形成された第2のセラミックグリーンシートを準備する工程と、
前記第1のセラミックグリーンシートが前記内部電極パターンと接するように、前記第1のセラミックグリーンシートと前記第2のセラミックグリーンシートとを積層する工程と、
積層された前記第1のセラミックグリーンシートと前記第2のセラミックグリーンシートに対して第1の押圧を行うことによって、前記第1のセラミックグリーンシートの少なくとも一部を、前記第2のセラミックグリーンシート上の領域のうち、前記内部電極パターンが形成されていない領域に入り込ませたマザーシートを作製する工程と、
前記マザーシートに対して第2の押圧を行うことによって積層体を得る工程と、
を備え、
前記第1のセラミックグリーンシートの弾性率は、前記第2のセラミックグリーンシートの弾性率よりも小さいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の電子部品の製造方法によれば、その上に内部電極パターンが形成された第2のセラミックグリーンシートと、弾性率が第2のセラミックグリーンシートよりも小さい第1のセラミックグリーンシートとを積層して第1の押圧を行うことによって、第1のセラミックグリーンシートの少なくとも一部を、第2のセラミックグリーンシート上の領域のうち、内部電極パターンが形成されていない領域に入り込ませたマザーシートを作製し、マザーシートに対して第2の押圧を行うことによって積層体を得る。第1の押圧によって第1のセラミックグリーンシートの少なくとも一部が第2のセラミックグリーンシート上の領域のうち、内部電極パターンが形成されていない領域に入り込むので、位置合わせによる補助層を形成することなく、内部電極パターンが形成されている領域と形成されていない領域との間の段差を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態における電子部品の製造方法を説明するためのフローチャートである。
図2】(a)~(c)はそれぞれ、電子部品の製造工程を説明するための図である。
図3】(a)~(b)はそれぞれ、図2に続いて電子部品の製造工程を説明するための図である。
図4】第2のセラミックグリーンシート上に導電性ペーストを塗工する方法を説明するための図である。
図5】(a)は、1枚の第1のセラミックグリーンシートと複数枚の第2のセラミックグリーンシートとを積層した状態を模式的に示す図であり、(b)は、(a)に示す積層物に対して第1の押圧を行った後の状態を模式的に示す図である。
図6】積層された第1のセラミックグリーンシートと第2のセラミックグリーンシートを一対のローラで挟み込むことによって、第1の押圧を行う様子を模式的に示す図である。
図7】1枚の第1のセラミックグリーンシートと1枚の第2のセラミックグリーンシートとを積層したものを複数用意して、それらを一対のローラの間に送り込んで挟み込むことによって、第1の押圧を行う様子を模式的に示す図である。
図8】(a)は、交互に複数積層された第1のセラミックグリーンシートと第2のセラミックグリーンシートに対して第1の押圧を行った後に、第1のセラミックグリーンシートの一部がそのまま層状に残った状態を模式的に示す図であり、(b)は、積層された1枚の第1のセラミックグリーンシートと複数の第2のセラミックグリーンシートに対して第1の押圧を行った後に、第1のセラミックグリーンシートの一部がそのまま層状に残った状態を模式的に示す図である。
図9】本発明の電子部品の製造方法によって製造された電子部品の一例である積層セラミックコンデンサを模式的に示す斜視図である。
図10図9に示す積層セラミックコンデンサをX-X線に沿って切断したときの模式的な断面図である。
図11図9に示す積層セラミックコンデンサをXI-XI線に沿って切断したときの模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の実施形態を示して、本発明の特徴を具体的に説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態における電子部品の製造方法を説明するためのフローチャートである。ここでは、電子部品が積層セラミックコンデンサであるものとして説明する。ただし、電子部品が積層セラミックコンデンサに限定されることはなく、圧電部品、サーミスタ、インダクタなど、他のセラミック電子部品であってもよい。
【0012】
ステップS1では、第1のセラミックグリーンシート11を準備する(図2(a))。第1のセラミックグリーンシート11は、後述する第2のセラミックグリーンシート21上の領域のうち、内部電極パターン22が形成されていない領域に入り込ませて段差を解消するためのシートである。本実施形態では、図2(a)に示すように、第1の支持体12上に形成された第1のセラミックグリーンシート11を複数枚準備する。第1の支持体12は、例えば、可撓性を有するPETフィルムである。
【0013】
一例として、第1の支持体12上にセラミックペーストを塗工し、乾燥させることによって、第1のセラミックグリーンシート11を作製することが可能である。その場合、セラミックペーストは、例えば、BaTiO3、CaTiO3、SrTiO3、またはCaZrO3などを主成分とする誘電体材料に、バインダ樹脂および溶剤などを加えて湿式混合することによって作製することが可能である。誘電体材料には、Mn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物、Ni化合物など、主成分よりも含有量の少ない副成分が含まれていてもよい。
【0014】
第1のセラミックグリーンシート11は、流動性を有する流動体でもよいし、固体でもよい。第1のセラミックグリーンシート11が流動体である場合、第1のセラミックグリーンシート11は、例えば、スラリー、ペーストまたはインクである。第1のセラミックグリーンシート11は、誘電体またはその前駆体からなる粒子と溶媒とを含み、さらに、分散剤やバインダとなる樹脂成分を含んでいてもよい。第1のセラミックグリーンシート11の材料は、後述する第2のセラミックグリーンシート21の材料と同じでもよいし、粒子、溶媒、樹脂成分およびその他の成分のうちの少なくとも1つが異なっていてもよい。また、第2のセラミックグリーンシート21に対して、各成分の含有割合や、分散状態などの化学的な状態が異なっていてもよい。
【0015】
第1のセラミックグリーンシート11中の固形分濃度は、例えば、10vol%以上27vol%以下であり、固形成分のうちの誘電体粒子の体積濃度(PVC:Pigment Volume Concentration)は、例えば、65%以上95%以下である。
【0016】
第1のセラミックグリーンシート11が流動体である場合、第1の支持体12上に、ダイコータ、ドクターブレード、ロールコータなどの任意の成膜手段、または、スクリーン印刷やインクジェット印刷などの任意の印刷手段により、流動体を塗工する。任意の印刷手段によって印刷を行う場合、オフセット印刷を併用してもよい。また、流動体の塗工を、同一または異なる方法で、複数回行うようにしてもよい。
【0017】
第1の支持体12上に塗工された流動体は、熱風を当てる方法、加熱する方法、および、周囲環境を減圧する方法のうちのいずれか1つ、または複数の方法によって乾燥させることが可能である。流動体を乾燥させる際の温度は、例えば、20℃以上98℃以下である。熱風を当てる方法または加熱する方法によって乾燥を行う場合の温度は、例えば、75℃である。
【0018】
第1のセラミックグリーンシート11が固体である場合、第1のセラミックグリーンシート11は、誘電体またはその前駆体からなる粒子を含み、さらにバインダとなる樹脂成分を含んでいてもよい。第1のセラミックグリーンシート11の材料は、第2のセラミックグリーンシート21の材料と同じでもよいし、粒子、樹脂成分およびその他の成分のうちの少なくとも1つが異なっていてもよい。また、第2のセラミックグリーンシート21に対して、各成分の含有割合や、分散状態などの化学的な状態が異なっていてもよい。
【0019】
同じ温度下で比較した場合、第1のセラミックグリーンシート11の弾性率は、後述する第2のセラミックグリーンシート21の弾性率よりも小さい。具体的には、第1のセラミックグリーンシート11の弾性率は、第2のセラミックグリーンシート21の弾性率の1/10以上1/2以下であり、例えば、常温で300MPa以上1.5GPa以下である。なお、加熱された場合、第1のセラミックグリーンシート11および第2のセラミックグリーンシート21の弾性率はそれぞれ小さくなるが、その場合も同じ温度下では、第1のセラミックグリーンシート11の弾性率は、第2のセラミックグリーンシート21の弾性率の1/10以上1/2以下である。第1のセラミックグリーンシート11の弾性率が第2のセラミックグリーンシート21の弾性率よりも小さいことにより、第1のセラミックグリーンシート11と第2のセラミックグリーンシート21とを積層して後述する第1の押圧を行ったときに、柔らかい第1のセラミックグリーンシート11が第2のセラミックグリーンシート21上の、後述する内部電極パターン22の間に入り込むので、内部電極パターン22が形成されている領域と形成されていない領域との間の段差を抑制することができる。
【0020】
第2のセラミックグリーンシート21よりも弾性率の小さい第1のセラミックグリーンシート11は、例えば、第2のセラミックグリーンシート21と比べて、含有するバインダの量を減らすことによって作製することが可能である。バインダの量が少ないことにより、シート内の空隙が増加し、弾性率が低下する。また、第2のセラミックグリーンシート21に対して同じ材料を用いた場合でも、乾燥度合いを減らすことによって、弾性率の小さい第1のセラミックグリーンシート11を作製することが可能である。
【0021】
本実施形態において、第1のセラミックグリーンシート11の厚みは、第2のセラミックグリーンシート21の厚みよりも厚く、後述する内部電極パターン22の厚み以上である。第1のセラミックグリーンシート11の厚みが第2のセラミックグリーンシート21の厚みよりも厚いことにより、後述する第1の押圧を行ったときに、第2のセラミックグリーンシート21上の内部電極パターン22の間に入り込んだ第1のセラミックグリーンシート11の残りは、そのまま層状に残る。それにより、セラミックグリーンシートの厚みが厚くなるので、内部電極パターン22を形成するための導電性ペーストに含まれる溶剤によって、セラミックグリーンシートに含まれるバインダが溶解してしまうシートアタックが発生しても、積層方向に隣り合う内部電極同士が導通する内部短絡の発生を抑制することができる。ただし、第1のセラミックグリーンシート11の厚みは、第2のセラミックグリーンシート21と同じでもよいし、薄くてもよい。
【0022】
準備する第1のセラミックグリーンシート11は、長尺状の形状のものでもよいし、長尺状以外の形状のものでもよい。なお、第1のセラミックグリーンシート11には、後述するマザーシート30を複数枚積層する際、内部電極パターン22の位置ずれを抑制するために、位置決めマークが設けられている。
【0023】
ステップS1に続くステップS2では、その上に内部電極パターン22が形成された第2のセラミックグリーンシート21を準備する(図2(b))。第2のセラミックグリーンシート21の弾性率は、例えば、常温で3GPa程度である。本実施形態では、第2の支持体23上に形成された第2のセラミックグリーンシート21を複数枚準備する。第2の支持体23は、例えば、PETフィルムである。例えば、第2の支持体23上にセラミックスラリーを塗工し、乾燥させることによって、第2のセラミックグリーンシート21を作製する。そして、第2のセラミックグリーンシート21上に導電性ペーストを所望のパターン形状に塗工して乾燥させることによって、内部電極パターン22を形成する。
【0024】
第2のセラミックグリーンシート21を作製するためのセラミックスラリーは、第1のセラミックグリーンシート11を作製するためのセラミックスラリーと同様のものを用いることができる。第2のセラミックグリーンシート21中の固形分濃度は、例えば、10vol%以上であり、固形成分のうちの誘電体粒子の体積濃度(PVC)は、例えば、65%以上である。
【0025】
内部電極パターン22を形成するための導電性ペーストは、例えば、Ni、Ag、Pd、Au、Cu、Ti、または、Crなどの金属粉末に、バインダ樹脂および溶剤などを加えて混練することにより、作製することが可能である。導電性ペーストの塗工は、例えば、スクリーン印刷やグラビア印刷などの印刷によって行う。
【0026】
導電性ペーストは、第2のセラミックグリーンシート21上で2次元配列に塗工する。一例として、図4に示すように、長尺状の第2の支持体23の長手方向と直交する方向に、一定の配列間隔Taで導電性ペーストを塗工することによって、1次元配列を形成する。この1次元配列に対して、1次元配列の方向にTa/2だけずらした状態で、1次元配列と直交する方向に一定の配列間隔Tbで導電性ペーストを塗工することによって、2次元配列の内部電極パターン22を形成する。第2のセラミックグリーンシート21上に内部電極パターン22を形成すると、第2のセラミックグリーンシート21上の、内部電極パターン22が形成されている領域と、内部電極パターン22が形成されていない領域との間に段差が生じる。
【0027】
準備する第2のセラミックグリーンシート21は、長尺状の形状のものでもよいし、長尺状以外の形状のものでもよいが、第1のセラミックグリーンシート11の形状に対応した形状のものであることが好ましい。
【0028】
なお、ステップS2の第2のセラミックグリーンシート21を準備する工程は、ステップS1の第1のセラミックグリーンシート11を準備する工程より先に行ってもよいし、並行して行ってもよい。
【0029】
ステップS2に続くステップS3では、ステップS1で準備した第1のセラミックグリーンシート11と、ステップS2で準備した第2のセラミックグリーンシート21とを積層する(図2(c))。例えば、図2(c)に示すように、複数枚の第1のセラミックグリーンシート11と、複数枚の第2のセラミックグリーンシート21とを交互に積層する。このとき、第1のセラミックグリーンシート11は、第2のセラミックグリーンシート21上の内部電極パターン22と接するように積層する。また、本実施形態において、第2のセラミックグリーンシート21は、図2(c)に示すように、直前に積層された第2のセラミックグリーンシート21に対して、内部電極パターン22の位置がTa/2だけずれるように積層する。
【0030】
ここで、第1の支持体12上に第1のセラミックグリーンシート11を形成した場合、積層前または積層後に、第1のセラミックグリーンシート11から第1の支持体12を剥離する。第1のセラミックグリーンシート11が流動体である場合には、積層後に第1の支持体12を剥離することが好ましい。積層後に第1の支持体12を剥離する場合には、第2のセラミックグリーンシート21上の内部電極パターン22と第1のセラミックグリーンシート11とが接するように、第1のセラミックグリーンシート11と第2のセラミックグリーンシート21とを積層した後、第1の支持体12を剥離する。
【0031】
また、第2の支持体23上に第2のセラミックグリーンシート21を形成した場合、積層前または積層後に、第2のセラミックグリーンシート21から第2の支持体23を剥離する。積層後に第2の支持体23を剥離する場合には、第2のセラミックグリーンシート21上の内部電極パターン22と第1のセラミックグリーンシート11とが接するように、第1のセラミックグリーンシート11と第2のセラミックグリーンシート21とを積層した後、第2の支持体23を剥離する。
【0032】
第1の支持体12および第2の支持体23の剥離は、任意の方法により行うことが可能である。例えば、第1のセラミックグリーンシート11および第1の支持体12がそれぞれ面保持された状態で互いを離間させる面剥離を行ってもよいし、第1のセラミックグリーンシート11および第1の支持体12のうちの少なくとも一方の端部が保持された状態で互いを離間させる線剥離を行ってもよい。第2の支持体23の剥離についても同様である。剥離時の温度は、例えば、20℃以上85℃以下であり、剥離速度は、例えば、1mm/s以上300mm/s以下である。
【0033】
図2(c)では、1枚の第1のセラミックグリーンシート11と、1枚の第2のセラミックグリーンシート21とを交互に複数積層する例を示している。図2(c)では、4枚の第1のセラミックグリーンシート11と、4枚の第2のセラミックグリーンシート21とを積層する例を示しているが、積層する第1のセラミックグリーンシート11および第2のセラミックグリーンシート21の数がそれぞれ4枚に限定されることはなく、任意の数とすることができる。
【0034】
また、図5(a)に示すように、1枚の第1のセラミックグリーンシート11と複数枚の第2のセラミックグリーンシート21とを積層するようにしてもよい。その場合、第2のセラミックグリーンシート21上の内部電極パターン22と接するように第2のセラミックグリーンシート21を積層する工程を繰り返し行い、任意の第2のセラミックグリーンシート21上の内部電極パターン22の上に第1のセラミックグリーンシート11を積層する。図5(a)では、最上層に第1のセラミックグリーンシート11を積層する例を示している。この場合、後述する第1の押圧によって、積層されている全ての第2のセラミックグリーンシート21上の内部電極パターン22が形成されていない領域に第1のセラミックグリーンシート11を入り込ませるためには、第1のセラミックグリーンシート11は、流動体であることが好ましい。
【0035】
なお、図5(a)では、第2のセラミックグリーンシート21を3枚積層し、その上に1枚の第1のセラミックグリーンシート11を積層する例を示しているが、1枚の第1のセラミックグリーンシート11に対して積層する第2のセラミックグリーンシート21の数が3枚に限定されることはない。また、同数ではない複数枚の第1のセラミックグリーンシート11と複数枚の第2のセラミックグリーンシート21とを積層するようにしてもよい。その場合、複数枚の第1のセラミックグリーンシート11を連続して積層せずに、2枚の第2のセラミックグリーンシート21の間に、1枚の第1のセラミックグリーンシート11が位置するように積層することが好ましい。
【0036】
積層する第1のセラミックグリーンシート11と第2のセラミックグリーンシート21の数が異なる場合、第1のセラミックグリーンシート11を積層する位置は、最上層に限定されることはなく、積層方向に隣り合う任意の2枚の第2のセラミックグリーンシート21の間であってもよい。ただし、後述するように、第1のセラミックグリーンシート11が最上層に位置するように積層することにより、後述する第1の押圧を行って形成されるマザーシート30の最上層に、層状の第1のセラミックグリーンシート11を残すことが可能となる。第2のセラミックグリーンシート21と比べて柔らかい第1のセラミックグリーンシート11は接着性が高いため、マザーシート30の最上層に第1のセラミックグリーンシート11が存在することにより、複数枚のマザーシート30を積層する際に、マザーシート30同士を接着して積層ずれを抑制することができる。したがって、少なくとも1枚の第1のセラミックグリーンシート11が最上層に位置するように、第1のセラミックグリーンシート11と複数枚の第2のセラミックグリーンシート21とを積層することが好ましい。
【0037】
ステップS3に続くステップS4では、積層された第1のセラミックグリーンシート11と第2のセラミックグリーンシート21に対して、積層方向に第1の押圧を行うことによって、第1のセラミックグリーンシート11の少なくとも一部を、第2のセラミックグリーンシート21上の領域のうち、内部電極パターン22が形成されていない領域に入り込ませたマザーシート30を作製する(図3(a))。本実施形態では、複数枚のマザーシート30を作製する。マザーシート30が長尺状の形状を有する場合、作製したマザーシート30をロール状に巻いた状態で保管することが可能である。
【0038】
例えば、図6に示すように、積層された第1のセラミックグリーンシート11と第2のセラミックグリーンシート21を一対のローラ50a,50bで挟み込むことによって、第1の押圧を行う。第1の押圧を行うことにより、第2のセラミックグリーンシート21と比べて柔らかい第1のセラミックグリーンシート11は、第2のセラミックグリーンシート21上の内部電極パターン22の間に入り込む。これにより、第2のセラミックグリーンシート21上において、内部電極パターン22が形成されている領域と、内部電極パターン22が形成されていない領域との間の段差が抑制される。
【0039】
なお、第1のセラミックグリーンシート11の少なくとも一部が第2のセラミックグリーンシート21上の領域のうち、内部電極パターン22が形成されていない領域に入り込む態様には、第2のセラミックグリーンシート21に接するように第1のセラミックグリーンシート11が入り込む態様だけでなく、第2のセラミックグリーンシート21と接することなく、第1のセラミックグリーンシート11が入り込む態様も含まれる。
【0040】
図5(a)に示すように、1枚の第1のセラミックグリーンシート11と複数枚の第2のセラミックグリーンシート21とを積層した場合でも、第1の押圧を行うことによって、図5(b)に示すように、複数枚の第2のセラミックグリーンシート21のそれぞれの内部電極パターン22の間に第1のセラミックグリーンシート11が入り込む。
【0041】
ただし、上述したように、1枚の第1のセラミックグリーンシート11と1枚の第2のセラミックグリーンシート21とを交互に複数積層することにより、第1の押圧を行ったときに、より確実に、全ての第2のセラミックグリーンシート21上の内部電極パターン22が形成されていない領域に第1のセラミックグリーンシート11を入り込ませることができる。したがって、1枚の第1のセラミックグリーンシート11と1枚の第2のセラミックグリーンシート21とを交互に複数積層することが好ましい。
【0042】
なお、第1の押圧後、図3(a)および図5(b)に示すように、第2のセラミックグリーンシート21上の、内部電極パターン22が形成されていない空間の全てが第1のセラミックグリーンシート11によって埋められることが好ましいが、一部に隙間が残っていてもよい。
【0043】
ここで、図7に示すように、1枚の第1のセラミックグリーンシート11と、内部電極パターン22が形成された1枚の第2のセラミックグリーンシート21とを積層したものを複数用意し、それらを一対のローラ50a,50bの間に送り込んで挟み込むことによって、第1の押圧を行うようにしてもよい。また、図示は省略するが、任意の数の第1のセラミックグリーンシート11と、任意の数の第2のセラミックグリーンシート21とを一対のローラ50a,50bの間に送り込んで挟み込むことによって、第1の押圧を行うようにしてもよい。その場合、一対のローラ50a,50bで挟まれる位置において、積層と第1の押圧とが略同時に行われる。
【0044】
ただし、第1の押圧を行う方法が一対のローラ50a,50bで挟み込む方法に限定されることはなく、任意の方法で行うことが可能である。
【0045】
このように、本実施形態における電子部品の製造方法によれば、第2のセラミックグリーンシート21よりも弾性率の小さい第1のセラミックグリーンシート11と、内部電極パターン22が形成された第2のセラミックグリーンシート21とを積層して第1の押圧を行うことによって、第1のセラミックグリーンシート11の少なくとも一部を、第2のセラミックグリーンシート21上の領域のうち、内部電極パターン22が形成されていない領域に入り込ませるので、内部電極パターン22が形成されている領域と形成されていない領域との間の段差を抑制することができる。したがって、特許文献1に記載の製造方法のように、内部電極パターン22が形成されていない領域に、位置合わせによって補助層を形成する必要がないので、製造時間を短縮することが可能となる。また、特許文献1に記載の製造方法では、位置合わせによって補助層を形成する際に位置ずれが生じる可能性があるが、本実施形態における電子部品の製造方法では、位置合わせによる補助層を形成しないため、上述した位置ずれが生じることはない。したがって、製造される電子部品に、位置ずれに起因する構造欠陥が生じることがなく、高品質の電子部品を製造することが可能となる。
【0046】
なお、第1の押圧を行った際、図8(a)に示すように、第2のセラミックグリーンシート21上の内部電極パターン22の間に入り込んだ第1のセラミックグリーンシート11の残りがそのまま層状に残るようにしてもよい。内部電極パターン22の上に第1のセラミックグリーンシート11の一部が残ることにより、内部電極パターン22が形成されている位置のセラミックグリーンシートの厚みが厚くなる。それにより、内部電極パターン22を形成するための導電性ペーストに含まれる溶剤によって、セラミックグリーンシートに含まれるバインダが溶解してしまうシートアタックが発生しても、積層方向に隣り合う内部電極同士が導通する内部短絡の発生を抑制することができる。例えば、本実施形態のように、第2のセラミックグリーンシート21よりも厚みが厚い第1のセラミックグリーンシート11を準備することにより、第1の押圧後に、内部電極パターン22の上に第1のセラミックグリーンシート11を残すようにすることができる。図8(b)に示すように、1枚の第1のセラミックグリーンシート11と複数枚の第2のセラミックグリーンシート21とを積層する場合も同様である。
【0047】
ステップS4に続くステップS5では、マザーシート30に対して第2の押圧を行うことによって積層体40を得る(図3(b))。本実施形態では、複数枚のマザーシート30を積層し、積層された複数枚のマザーシート30に対して第2の押圧を行うことによって積層体40を得る。第2の押圧は、第1の押圧よりも大きい圧力で行い、例えば、静水圧プレスや剛体プレスなどの方法で行う。
【0048】
なお、マザーシート30が長尺状の形状を有する場合、マザーシート30を所定の大きさに切断してから積層して第2の押圧を行う。また、必要に応じて、複数のマザーシート30を積層した後、積層方向の両外側に、保護層として、内部電極パターン22が形成されていない第2のセラミックグリーンシート21を複数枚積層してから第2の押圧を行う。複数枚のマザーシート30を積層して第2の押圧を行った後、積層方向の両外側に、保護層として内部電極パターン22が形成されていない第2のセラミックグリーンシート21を複数枚積層してから再び押圧を行うようにしてもよい。
【0049】
ステップS5に続くステップS6では、作製した積層体40を切断することによって、製造する電子部品に応じた複数の未焼成チップに個片化する。積層体40の切断は、例えば、押切り、ダイシング、レーザ切断などの方法により行うことができる。
【0050】
ステップS6に続くステップS7では、個片化した未焼成チップを焼成する。例えば、未焼成チップを加熱炉内の焼成用セッターに載置し、加熱することによって、第1のセラミックグリーンシート11、第2のセラミックグリーンシート21、および、内部電極パターン22に含まれるバインダを除去する。加熱炉内は、空気雰囲気であるが、N2、H2、H2O等のガスを適宜混合して、各々のガス量を調整してもよい。
【0051】
バインダを除去した後、加熱炉内で未焼成チップを焼成する。焼成温度は、例えば、900℃以上1300℃以下である。焼成は、加熱炉内のN2、H2、H2O等のガス量を調整して行う。
【0052】
この後、得られた焼成後チップをバレル研磨等で研磨することによって、角部および稜線部を丸くする。例えば、研磨メディアとともに焼成後チップを小型ポッドに収容し、小型ポッドに外力をかけることによって、研磨メディアで焼成後チップを研磨する。これにより、焼成後チップの角部および稜線部が一定の曲率半径を有するようになる。なお、研磨は、未焼成チップに対して行ってもよい。
【0053】
焼成後は、アニール処理を行うことが好ましい。アニール処理は、第1のセラミックグリーンシート11および第2のセラミックグリーンシート21を焼成することによって得られる誘電体層を再酸化する処理である。アニール処理を行うことにより絶縁抵抗の寿命を長くすることができ、信頼性が向上する。アニール処理は、還元雰囲気より、高い酸素分圧雰囲気で行うことが好ましい。ただし、酸素濃度が高すぎると、内部電極パターン22を焼成することによって得られる内部電極が絶縁化する傾向になる。
【0054】
ステップS7に続くステップS8では、焼成後チップに外部電極を形成する。外部電極は、内部電極パターン22が焼成されることによって形成される内部電極と電気的に接続されるように形成する。例えば、内部電極が露出している焼成後チップの両端面に外部電極用導電性ペーストを塗工して焼き付けることによって下地電極層を形成し、下地電極層の上にめっき層を形成することによって外部電極を形成する。外部電極用導電性ペーストは、例えば、Cu、Ni、Ag、Pd、Ti、Cr、および、Auなどの金属、またはそれらの金属を含む合金などを含む。外部電極用導電性ペーストの塗工は、例えば、ディップ法により行う。
【0055】
めっき層は、例えば、Cu、Ni、Ag、Pd、Ti、Cr、または、Auなどの金属、または、それらの金属を主成分とする合金を含む。めっき層は、1層であってもよいし、複数層であってもよい。ただし、めっき層は、Niめっき層とSnめっき層の2層構造とすることが好ましい。Niめっき層は、下地電極層が電子部品を実装する際のはんだによって侵食されるのを防止する機能を果たす。また、Snめっき層は、電子部品を実装する際のはんだの濡れ性を向上させる機能を果たす。
【0056】
上述した工程により、電子部品が製造される。
【0057】
(積層セラミックコンデンサ)
上述した製造方法によって製造される電子部品の一例である積層セラミックコンデンサの構造について説明する。ただし、上述したように、電子部品が積層セラミックコンデンサに限定されることはない。
【0058】
図9は、上述した製造方法により製造された積層セラミックコンデンサ60を模式的に示す斜視図である。図10は、図9に示す積層セラミックコンデンサ60をX-X線に沿って切断したときの模式的な断面図である。図11は、図9に示す積層セラミックコンデンサ60をXI-XI線に沿って切断したときの模式的な断面図である。
【0059】
図9図11に示すように、積層セラミックコンデンサ60は、全体として直方体に近い形状を有しており、セラミック素体61と、セラミック素体61の表面に設けられた一対の外部電極70a、70bとを有している。一対の外部電極70a、70bは、図9に示すように、対向するように配置されている。
【0060】
ここでは、一対の外部電極70a、70bが対向する方向を積層セラミックコンデンサ60の長さ方向Lと定義し、後述する誘電体層62と第1の内部電極63および第2の内部電極64とが積層されている方向を積層方向Tと定義し、長さ方向Lおよび積層方向Tのいずれの方向にも直交する方向を幅方向Wと定義する。長さ方向L、積層方向T、および、幅方向Wのうちの任意の2つの方向は、互いに直交する方向である。
【0061】
なお、本実施形態では、積層セラミックコンデンサ60の長さ方向L、幅方向W、および、積層方向Tの各方向における寸法のうち、長さ方向Lの寸法が最も大きいが、幅方向Wの寸法が最も大きい構成であってもよい。
【0062】
セラミック素体61は、上述した製造方法で説明した焼成後チップであり、長さ方向Lに相対する第1の端面61aおよび第2の端面61bと、積層方向Tに相対する第1の主面61cおよび第2の主面61dと、幅方向Wに相対する第1の側面61eおよび第2の側面61fとを有する。
【0063】
図10および図11に示すように、セラミック素体61は、積層された複数の第1の内部電極63および第2の内部電極64と、第1の内部電極63と第2の内部電極64との間に介在する誘電体層62とを含む。すなわち、セラミック素体61は、第1の内部電極63と第2の内部電極64とが積層方向Tにおいて、誘電体層62を介して交互に複数積層された構造を有する。
【0064】
誘電体層62は、上述した第1のセラミックグリーンシート11および第2のセラミックグリーンシート21が焼成されることによって形成される。誘電体層62は、例えば、BaTiO3、CaTiO3、SrTiO3、または、CaZrO3などを主成分とするセラミック材料からなる。これらの主成分に、Mn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物、Ni化合物などの主成分よりも含有量の少ない副成分が添加されていてもよい。
【0065】
第1の内部電極63および第2の内部電極64は、上述した内部電極パターン22が焼成されることによって形成される。第1の内部電極63および第2の内部電極64は、例えば、Ni、Ag、Pd、Au、Cu、Ti、または、Cr等の金属、または、上述した金属を主成分とする合金等を含有している。第1の内部電極63および第2の内部電極64は、共材として、誘電体層62に含まれる誘電体セラミックと同じセラミック材料を含んでいてもよい。
【0066】
第1の外部電極70aは、セラミック素体61の長さ方向Lの一端側に設けられている。本実施形態における積層セラミックコンデンサ60では、第1の外部電極70aは、セラミック素体61の第1の端面61aの全体に設けられているとともに、第1の端面61aから、第1の主面61c、第2の主面61d、第1の側面61e、および、第2の側面61fに回り込むように設けられている。第1の外部電極70aは、第1の内部電極63と電気的に接続されている。
【0067】
第2の外部電極70bは、セラミック素体61の長さ方向Lの他端側に設けられている。本実施形態における積層セラミックコンデンサ60では、第2の外部電極70bは、セラミック素体61の第2の端面61bの全体に設けられているとともに、第2の端面61bから、第1の主面61c、第2の主面61d、第1の側面61e、および、第2の側面61fに回り込むように設けられている。第2の外部電極70bは、第2の内部電極64と電気的に接続されている。
【0068】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0069】
11 第1のセラミックグリーンシート
12 第1の支持体
21 第2のセラミックグリーンシート
22 内部電極パターン
23 第2の支持体
30 マザーシート
40 積層体
50a,50b ローラ
60 積層セラミックコンデンサ
61 セラミック素体
62 誘電体層
63 第1の内部電極
64 第2の内部電極
70a 第1の外部電極
70b 第2の外部電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11