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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】過給機
(51)【国際特許分類】
   F02B 39/00 20060101AFI20240814BHJP
   F02B 37/02 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
F02B39/00 E
F02B37/02 H
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022036094
(22)【出願日】2022-03-09
(65)【公開番号】P2023131377
(43)【公開日】2023-09-22
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】井上(杉浦) 靖子
(72)【発明者】
【氏名】築山 宜司
【審査官】津田 真吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-84578(JP,A)
【文献】特開平2-42136(JP,A)
【文献】特開2016-205141(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 37/00
F02B 39/00
F01D 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の過給機であって、
前記内燃機関は、
第1気筒及び前記第1気筒と燃焼行程の時期が異なる第2気筒と、
前記第1気筒に接続される第1排気ポート及び前記第2気筒に接続される第2排気ポートとを備え、
前記過給機は、
タービンホイールと、
前記タービンホイールを収容するタービンハウジングと、
前記タービンハウジングと前記内燃機関とを接続する接続管とを備え、
前記接続管は、
前記第1排気ポートと連通する第1通路と、
前記第2排気ポートと連通する第2通路と、
当該接続管における前記内燃機関との接触面から延びて当該接続管の内部を前記第1通路と前記第2通路とに隔てる隔壁とを有し、
前記タービンハウジングは、当該タービンハウジングの内壁と前記タービンホイールの外周面との間で前記タービンホイールの周方向に沿って延びるスクロール通路を備え、
前記スクロール通路は、前記第1通路及び前記第2通路に連通して前記第1通路の排気及び前記第2通路の排気が合流する通路であり、
前記タービンホイールの回転軸線と直交する断面であって前記スクロール通路の流路断面積が最も大きい断面を規定断面とし、当該規定断面を視たとき、
前記隔壁の先端から前記第1通路の排気の流れ方向における上流に向けて延びており、前記第1通路と前記隔壁との境界を規定する線分を第1下流側線分とし、
前記先端から前記第2通路の排気の流れ方向における上流に向けて延びており、前記第2通路と前記隔壁との境界を規定する線分を第2下流側線分とすると、
前記第1下流側線分と前記第2下流側線分とは平行であり、
前記隔壁は、前記第1下流側線分に接続されており、前記接続管における前記接触面に向けて延びる第1上流側線分と、前記第2下流側線分に接続されており、前記接触面に向けて延びる第2上流側線分とを有し、
前記規定断面を視たときに、
前記第1上流側線分と前記第2上流側線分との間の距離が前記接触面に近いほど広くなるように、前記第1上流側線分は、前記第2上流側線分に対して傾斜している
過給機。
【請求項2】
前記内燃機関は、N1気筒、N2気筒、N3気筒、及びN4気筒の順で燃焼行程が到来する、前記N1気筒、前記N2気筒、前記N3気筒、及び前記N4気筒を有し、
前記第1気筒は、前記N1気筒及び前記N3気筒であり、
前記第2気筒は、前記N2気筒及び前記N4気筒である
請求項1に記載の過給機。
【請求項3】
前記隔壁は、前記第1下流側線分を含む第1面と、前記第2下流側線分を含む第2面とを有し、
前記第1面と前記第2面とは平行である
請求項1または請求項2に記載の過給機。
【請求項4】
前記規定断面を視たときに、
前記隔壁において前記第1面及び前記第2面によって挟まれる部分を下流部分とすると、
前記第1通路及び前記第2通路において前記下流部分を挟んで隣り合う部分の流路断面積は互いに等しい
請求項3に記載の過給機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過給機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、過給機のタービンハウジングが開示されている。タービンハウジングは、タービンスクロール室を備えている。タービンスクロール室は、排気ガス導入通路と連通している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-134719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タービンハウジングにおいては、排気が排気ガス導入通路からタービンスクロール室内へスムーズに流れることが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための過給機は、内燃機関の過給機であって、前記内燃機関は、第1気筒及び前記第1気筒と燃焼行程の時期が異なる第2気筒と、前記第1気筒に接続される第1排気ポート及び前記第2気筒に接続される第2排気ポートとを備え、前記過給機は、タービンホイールと、前記タービンホイールを収容するタービンハウジングと、前記タービンハウジングと前記内燃機関とを接続する接続管とを備え、前記接続管は、前記第1排気ポートと連通する第1通路と、前記第2排気ポートと連通する第2通路と、当該接続管における前記内燃機関との接触面から延びて当該接続管の内部を前記第1通路と前記第2通路とに隔てる隔壁とを有し、前記タービンハウジングは、当該タービンハウジングの内壁と前記タービンホイールの外周面との間で前記タービンホイールの周方向に沿って延びるスクロール通路を備え、前記スクロール通路は、前記第1通路及び前記第2通路に連通して前記第1通路の排気及び前記第2通路の排気が合流する通路であり、前記タービンホイールの回転軸線と直交する断面であって前記スクロール通路の流路断面積が最も大きい断面を規定断面とし、当該規定断面を視たとき、前記隔壁の先端から前記第1通路の排気の流れ方向における上流に向けて延びており、前記第1通路と前記隔壁との境界を規定する線分を第1下流側線分とし、前記先端から前記第2通路の排気の流れ方向における上流に向けて延びており、前記第2通路と前記隔壁との境界を規定する線分を第2下流側線分とすると、前記第1下流側線分と前記第2下流側線分とは平行である。
【0006】
内燃機関から第1排気ポート及び第2排気ポートに断続的に排気が排出されるため、第1排気ポートの圧力及び第2排気ポートの圧力が変化して圧力脈動が発生する。さらに、内燃機関から第1排気ポート及び第2排気ポートに排気が排出されるタイミングが異なるため、同じタイミングにおける第1排気ポート内の圧力と第2排気ポート内の圧力とに差が生じる。したがって、第2排気ポート内の圧力よりも第1排気ポート内の圧力が高い場合は、第1排気ポートから接続管に排出された排気が第2排気ポートに逆流するおそれがある。また、第1排気ポート内の圧力よりも第2排気ポート内の圧力が高い場合は、第2排気ポートから接続管に排出された排気が第1排気ポートに逆流するおそれがある。
【0007】
上記構成によれば、接続管は、当該接続管の内部を、第1排気ポートに連通する第1通路と第2排気ポートに連通する第2通路とに隔てる隔壁を備えているため、第1排気ポートから第2排気ポートへの排気の逆流及び第2排気ポートから第1排気ポートへの排気の逆流が生じにくい。
【0008】
隔壁の第1下流側線分と第2下流側線分とが平行ではない場合、以下のような問題が生じるおそれがある。すなわち、第1通路及び第2通路から排出された排気(以下、それぞれ「第1排気流」及び「第2排気流」とする)がスクロール通路で合流する際に、互いの流れ方向が異なっているため、第1排気流及び第2排気流が干渉して排気の流速が低下するおそれがある。その結果、圧力の低い第1通路または第2通路に第1排気流及び第2排気流が逆流しやすい。したがって、上述した排気の逆流を抑制する効果が小さくなる。
【0009】
その点、上記構成によれば、第1排気流及び第2排気流が平行となりやすく、第1排気流と第2排気流とが干渉しにくい。さらに、上記構成によれば、第1排気流と第2排気流とが、近接した状態で流れる。このため、第1排気流が第2排気流よりも流速が高いときには、第1排気流に第2排気流が引き込まれる。また、第2排気流が第1排気流よりも流速が高いときには、第2排気流に第1排気流が引き込まれる。したがって、上述した排気の逆流をより一層抑制できる。なお、本明細書において、第1排気流及び第2排気流のうち、流速が高い流れに流速の低い流れが引き込まれることを「ベンチュリ効果」という。
【0010】
上記過給機において、前記内燃機関は、N1気筒、N2気筒、N3気筒、及びN4気筒の順で燃焼行程が到来する、前記N1気筒、前記N2気筒、前記N3気筒、及び前記N4気筒を有し、前記第1気筒は、前記N1気筒及び前記N3気筒であり、前記第2気筒は、前記N2気筒及び前記N4気筒であることが好ましい。
【0011】
上記構成とは異なり、例えば第1気筒をN1気筒及びN2気筒とし、第2気筒をN3気筒及びN4気筒とした構成では、以下のような問題が生じる。すなわち、N1気筒及びN2気筒から第1排気ポートに排気が連続して導入されるため、第1通路の排気の圧力が第2通路の排気の圧力よりも高くなり、両圧力の差も大きくなる。同様に、N3気筒及びN4気筒から第2排気ポートに排気が連続して導入されるため、第2通路の排気の圧力が第1通路の排気の圧力よりも高くなり、両圧力の差も大きくなる。したがって、上述した排気の逆流が生じやすい。
【0012】
その点、上記構成によれば、第1通路及び第2通路内に交互に排気が流れるため、上述した排気の干渉を抑制できる。このため、第1通路及び第2通路からスクロール通路に排気が流れやすい。
【0013】
上記過給機において、前記隔壁は、前記第1下流側線分を含む第1面と、前記第2下流側線分を含む第2面とを有し、前記第1面と前記第2面とは平行であることが好ましい。
上記構成によれば、第1排気流及び第2排気流のうち、互いに隣接して流れる排気のそれぞれの量が多くなるため、ベンチュリ効果が大きい。
【0014】
上記過給機において、前記規定断面を視たときに、前記隔壁において前記第1面及び前記第2面によって挟まれる部分を下流部分とすると、前記第1通路及び前記第2通路において前記下流部分を挟んで隣り合う部分の流路断面積は互いに等しいことが好ましい。
【0015】
上記構成によれば、第1通路の流路断面積と第2通路の流路断面積とが等しいので、第1排気流がタービンホイールの回転に寄与する力と、第2排気流がタービンホイールの回転に寄与する力との間に差が生じにくい。したがって、タービンホイールが回転する際の速度が一定になりやすい。このため、過給圧の脈動が生じにくい。
【0016】
上記過給機において、前記隔壁は、前記第1下流側線分に接続されており、前記接続管における前記接触面に向けて延びる第1上流側線分と、前記第2下流側線分に接続されており、前記接触面に向けて延びる第2上流側線分とを有し、前記規定断面を視たときに、前記第1上流側線分と前記第2上流側線分との間の距離が前記接触面に近いほど広くなるように、前記第1上流側線分は、前記第2上流側線分に対して傾斜していてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、一実施形態に係る過給機を含む内燃機関の吸排気系統を示す概略図である。
図2図2は、同実施形態に係る過給機の側面図である。
図3図3は、図2の3-3線に沿った断面図である。
図4図4は、同実施形態に係る過給機の接続管付近を拡大した断面図である。
図5図5は、図4の5-5線に沿った断面図である。
図6図6は、過給機の第1下流線分と第2下流線分とが平行ではない場合における接続管付近を拡大した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、過給機10の一実施形態について説明する。
<内燃機関30>
図1に示すように、内燃機関30は、インテークマニホールド33と、4つの気筒C1、気筒C2、気筒C3、気筒C4と、第1排気ポート31及び第2排気ポート32とを備える。
【0019】
インテークマニホールド33は、下流側が4つの流路に分岐しており、それぞれの流路は気筒C1~C4と連通している。インテークマニホールド33が4つに分岐する部分よりも上流側には、スロットルバルブ34が設けられている。
【0020】
気筒C1、気筒C2、気筒C3、気筒C4は、この順に一列に並んでいる。気筒C1、気筒C2、気筒C3、気筒C4は、それぞれ吸気行程、圧縮行程、燃焼行程、及び排気行程が、この順で到来する。また、気筒C1が吸気行程であるとき、気筒C2、気筒C3、気筒C4は、それぞれ圧縮行程、排気行程、燃焼行程である。気筒C1が圧縮行程であるとき、気筒C2、気筒C3、気筒C4は、それぞれ燃焼行程、吸気行程、排気行程である。気筒C1が燃焼行程であるとき、気筒C2、気筒C3、気筒C4は、それぞれ排気行程、圧縮行程、吸気行程である。気筒C1が排気行程であるとき、気筒C2、気筒C3、気筒C4は、それぞれ吸気行程、燃焼行程、圧縮行程である。
【0021】
<内燃機関30の吸排気系統>
図1及び図2を参照して内燃機関30の吸排気系統の概略を説明する。
図1に示すように、内燃機関30の吸排気系統は、エアクリーナ40、第1吸気通路41、過給機10、第2吸気通路42、インタークーラ43、排気通路45、及び三元触媒46を備える。
【0022】
エアクリーナ40は、第1吸気通路41によって過給機10に接続されている。過給機10は、第2吸気通路42によってインタークーラ43に接続されている。インタークーラ43は、内燃機関30のインテークマニホールド33に接続されている。第1排気ポート31及び第2排気ポート32は、過給機10に接続されている。
【0023】
図1及び図2に示すように、過給機10は、排気通路45に接続されている。排気通路45の下流には、三元触媒46が接続されている。
吸気はエアクリーナ40及び第1吸気通路41を通過して過給機10のコンプレッサハウジング12へ流入する。吸気は、コンプレッサハウジング12の中に設けられているコンプレッサホイール11で圧縮されて第2吸気通路42及びインタークーラ43を通過してインテークマニホールド33へ流入する。
【0024】
内燃機関30から排出された排気は、第1排気ポート31または第2排気ポート32を通過して過給機10のタービンハウジング15へ流入する。タービンハウジング15へ流入した排気は、タービンハウジング15の中に設けられているタービンホイール14を回転させながら排気通路45及び三元触媒46を通過して外部へ排出される。
【0025】
<過給機10>
図1及び図2に示すように、過給機10は、コンプレッサホイール11、コンプレッサハウジング12、連結シャフト13、タービンホイール14、タービンハウジング15、及び接続管20を備える。
【0026】
コンプレッサハウジング12は、コンプレッサホイール11を収容している。コンプレッサハウジング12には、第1吸気通路41及び第2吸気通路42が接続されている。
図3に示すように、接続管20は、第1通路21と、第2通路22と、隔壁23と、接触面24とを有する。接続管20は、タービンハウジング15と内燃機関30とを接続している。接続管20は、接触面24を介して内燃機関30と接触している。接続管20は、湾曲しながら接触面24に垂直な方向に延びている。隔壁23は、接続管20の内部を第1通路21と第2通路22とに隔てている。第1通路21及び第2通路22は、それぞれ第1排気ポート31及び第2排気ポート32と連通している。なお、図3は、タービンホイール14の回転軸線と直交する断面であってスクロール通路18の流路断面積が最も大きい断面である規定断面を示している。
【0027】
図3及び図4に示すように、第1通路21における第1排気流E1の流れ方向及び第2通路22における第2排気流E2の流れ方向を接続管20における排気の流れ方向とすると、隔壁23は、接触面24から接続管20における排気の流れ方向の下流に向かって延びている。
【0028】
本明細書において、第1下流側線分21b及び第2下流側線分22bを次の通り定義する。すなわち、図3及び図4に示すように、第1下流側線分21bは、隔壁23の先端26から第1排気流E1の流れ方向における上流に向けて延びており、第1通路21と隔壁23との境界を規定する線分である。また、隔壁23の先端26から第2排気流E2の流れ方向における上流に向けて延びており、第2通路22と隔壁23との境界を規定する線分を第2下流側線分22bとする。第1下流側線分21bと第2下流側線分22bとは平行である。
【0029】
図4及び図5に示すように、隔壁23において第1下流側線分21bを含む面を第1面21aとする。さらに、隔壁23において第2下流側線分22bを含む面を第2面22aとする。第1面21aと第2面22aとは、互いに隔壁23を挟んで対向している。また、第1面21aと第2面22aとは、それぞれ平面であり且つ平行である。
【0030】
隔壁23において第1面21a及び第2面22aによって挟まれる部分を下流部分25とすると、第1通路21及び第2通路22において下流部分25を挟んで隣り合う部分の流路断面積は互いに等しい。
【0031】
図4に示すように、隔壁23は、第1下流側線分21bに接続されており、接続管20における接触面24に向けて延びる第1上流側線分21cと、第2下流側線分22bに接続されており、接触面24に向けて延びる第2上流側線分22cとを有する。第1上流側線分21cと第2上流側線分22cとの間の距離が接触面24に近いほど広くなるように、第1上流側線分21cは第2上流側線分22cに対して傾斜している。
【0032】
図3に示すように、タービンハウジング15は、断面視で略円形状である。タービンハウジング15は、断面視で略円形状のタービンホイール14を収容している。タービンホイール14は、回転中心19を有している。回転中心19を通って図3に示す断面に直交する方向に延びる仮想線が回転軸線である。
【0033】
図1に示すように、コンプレッサホイール11及びタービンホイール14は、連結シャフト13によって連結されている。
図3に示すように、タービンハウジング15は、タービンハウジング15の内壁16とタービンホイール14の外周面17との間でタービンホイール14の周方向に沿って延びるスクロール通路18を備える。スクロール通路18は、接続管20の第1通路21及び第2通路22と連通する通路であり且つ第1排気流E1及び第2排気流E2が合流する通路である。
【0034】
図1及び図2に示すように、タービンハウジング15には、バイパス通路44が設けられている。バイパス通路44は、タービンハウジング15から排気通路45へ延びている。バイパス通路44には、ウエストゲートバルブ44aが設けられている。排気は、バイパス通路44を通じてタービンホイール14を迂回して流れる。
【0035】
なお、本実施形態における気筒C1、気筒C3、気筒C4、及び気筒C2が、それぞれ「課題を解決するための手段」の欄に記載したN1気筒、N2気筒、N3気筒、及びN4気筒に対応する。また、気筒C1及び気筒C4は、「課題を解決するための手段」の欄に記載した第1気筒であり、気筒C2及び気筒C3は、「課題を解決するための手段」の欄に記載した第2気筒である。第1気筒は、第1排気ポート31と連通している。第2気筒は、第2排気ポート32と連通している。
【0036】
本実施形態の作用について説明する。
内燃機関30から第1排気ポート31及び第2排気ポート32に断続的に排気が排出されるため、第1排気ポート31の圧力及び第2排気ポート32の圧力が変化して圧力脈動が発生する。さらに、内燃機関30から第1排気ポート31及び第2排気ポート32に排気が排出されるタイミングが異なるため、同じタイミングにおける第1排気ポート31内の圧力と第2排気ポート32内の圧力とに差が生じる。したがって、第2排気ポート32内の圧力よりも第1排気ポート31内の圧力が高い場合は、第1排気ポート31から接続管20に排出された排気が第2排気ポート32に逆流するおそれがある。また、第1排気ポート31内の圧力よりも第2排気ポート32内の圧力が高い場合は、第2排気ポート32から接続管20に排出された排気が第1排気ポート31に逆流するおそれがある。
【0037】
上記構成によれば、接続管20は、接続管20の内部を、第1排気ポート31に連通する第1通路21と第2排気ポート32に連通する第2通路22とに隔てる隔壁23を備えているため、第1排気ポート31から第2排気ポート32への排気の逆流及び第2排気ポート32から第1排気ポート31への排気の逆流が生じにくい。
【0038】
図6に示すように、隔壁23の第1下流側線分21bと第2下流側線分22bとが平行ではない場合、以下のような問題が生じるおそれがある。すなわち、第1排気流E1及び第2排気流E2がスクロール通路18で合流する際に、互いの流れ方向が異なっているため、第1排気流E1及び第2排気流E2が干渉して排気の流速が低下するおそれがある。その結果、圧力の低い第1通路21または第2通路22に第1排気流E1及び第2排気流E2が逆流しやすい。したがって、上述した排気の逆流を抑制する効果が小さくなる。
【0039】
上記構成によれば、第1排気流E1及び第2排気流E2が平行となりやすく、第1排気流E1と第2排気流E2とが干渉しにくい。さらに、上記構成によれば、第1排気流E1と第2排気流E2とが、近接した状態で流れる。したがって、ベンチュリ効果により上述した排気の逆流をより一層抑制できる。
【0040】
本実施形態の効果について説明する。
(1)第1下流側線分21bと第2下流側線分22bとは平行である。
こうした構成によれば、上記作用を奏することから、上述した排気の逆流を抑制できる。
【0041】
(2)内燃機関30は、気筒C1、気筒C3、気筒C4、及び気筒C2の順で燃焼行程が到来する、気筒C1、気筒C2、気筒C3、及び気筒C4を有する。第1気筒は、気筒C1及び気筒C4である。第2気筒は、気筒C2及び気筒C3である。
【0042】
上記構成とは異なり、例えば第1気筒を気筒C1及び気筒C3とし、第2気筒を気筒C4及び気筒C2とした構成では、以下のような問題が生じる。すなわち、気筒C1及び気筒C3から第1排気ポート31に排気が連続して導入されるため、第1排気流E1の圧力が第2排気流E2の圧力よりも高くなり、両圧力の差も大きくなる。同様に、気筒C4及び気筒C2から第2排気ポート32に排気が連続して導入されるため、第2排気流E2の圧力が第1排気流E1の圧力よりも高くなり、両圧力の差も大きくなる。したがって、上述した排気の逆流が生じやすい。
【0043】
その点、上記構成によれば、第1通路21及び第2通路22内に交互に排気が流れるため、上述した排気の干渉を抑制できる。このため、第1通路21及び第2通路22からスクロール通路18に排気が流れやすい。
【0044】
(3)第1面21aと第2面22aとは平行である。
こうした構成によれば、第1排気流E1及び第2排気流E2のうち、互いに隣接して流れる排気のそれぞれの量が多くなるため、ベンチュリ効果が大きい。
【0045】
(4)第1通路21及び第2通路22において下流部分25を挟んで隣り合う部分の流路断面積は互いに等しい。
こうした構成によれば、第1通路21の流路断面積と第2通路22の流路断面積とが等しいので、第1排気流E1がタービンホイール14の回転に寄与する力と、第2排気流E2がタービンホイール14の回転に寄与する力との間に差が生じにくい。したがって、タービンホイール14が回転する際の速度が一定になりやすい。このため、過給圧の脈動が生じにくい。
【0046】
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0047】
・下流部分25を挟んで隣り合う、第1通路21の流路断面積及び第2通路22の流路断面積は互いに異なっていてもよい。
・本明細書において、第1通路21の流路断面積をS1とし、第2通路22の流路断面積をS2とすると、S1とS2とが等しい場合とは、以下の場合を含む。すなわち、S1及びS2が完全に一致する場合の他、0.9≦S1/S2≦1.1を満たす場合が含まれる。
【0048】
・第1上流側線分21c及び第2上流側線分22cは、互いに平行であってもよい。
・本明細書において、「平行」は、厳密な意味での平行に限定されない。すなわち、第1排気流E1の流れ方向と第2排気流E2の流れ方向とが平行と見做せる範囲で第1下流側線分21bに対して第2下流側線分22bが傾いている場合も本明細書の「平行」に含まれる。
【符号の説明】
【0049】
10…過給機
11…コンプレッサホイール
12…コンプレッサハウジング
13…連結シャフト
14…タービンホイール
15…タービンハウジング
16…内壁
17…外周面
18…スクロール通路
19…回転中心
20…接続管
21…第1通路
21a…第1面
21b…第1下流側線分
21c…第1上流側線分
22…第2通路
22a…第2面
22b…第2下流側線分
22c…第2上流側線分
23…隔壁
24…接触面
25…下流部分
26…先端
30…内燃機関
31…第1排気ポート
32…第2排気ポート
33…インテークマニホールド
34…スロットルバルブ
40…エアクリーナ
41…第1吸気通路
42…第2吸気通路
43…インタークーラ
44…バイパス通路
44a…ウエストゲートバルブ
45…排気通路
46…三元触媒
C1,C2,C3,C4…気筒
E1…第1排気流
E2…第2排気流
図1
図2
図3
図4
図5
図6