(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】光源装置およびプロジェクター
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20240814BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20240814BHJP
G03B 21/14 20060101ALI20240814BHJP
F21V 7/09 20060101ALI20240814BHJP
F21V 9/40 20180101ALI20240814BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20240814BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240814BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20240814BHJP
【FI】
F21S2/00 311
G03B21/00 D
G03B21/14 A
F21V7/09 200
F21V9/40 400
G02B5/20
F21Y115:10
F21Y115:30
(21)【出願番号】P 2022055310
(22)【出願日】2022-03-30
【審査請求日】2023-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 淳一
(72)【発明者】
【氏名】古田 和也
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-016856(JP,A)
【文献】特開2020-132847(JP,A)
【文献】特開2010-049867(JP,A)
【文献】特開2017-216096(JP,A)
【文献】特開2020-30377(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0127436(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第104238250(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K 9/00- 9/90
F21S 2/00-45/70
F21V 1/00- 8/00
F21V 9/00-15/04
G03B 21/00
G03B 21/14
G02B 5/20
F21Y 115/10
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1波長帯を有する第1光を射出する発光素子と、
蛍光体を含み、前記発光素子から射出される前記第1光を、前記第1波長帯とは異なる
第2波長帯を有する第2光に変換する波長変換部材と、
前記波長変換部材に入射した前記第1光を反射する反射部材と、
を備え、
前記波長変換部材は、第1方向において互いに反対側に位置する第1面および第2面と
、前記第1方向と交差する第2方向において互いに反対側に位置する第3面および第4面
と、を有し、
前記第2光は、前記第1面から射出され、
前記発光素子から射出される前記第1光は、前記第3面から前記波長変換部材に入射し
、
前記反射部材は、前記第4面に対向して設けられ、
前記蛍光体に含まれる賦活剤の濃度は、前記第3面から入射した前記第1光が前記第4
面に到達するまでの経路において、前記第1光の入射光量の
92%以下、かつ、40%以
上の量を吸収するのに必要な濃度である、光源装置。
【請求項2】
前記反射部材は、前記波長変換部材を支持する支持部材から構成され、
前記支持部材は、前記第4面に当接し、前記第3面から入射した前記第1光を反射する
反射面を有する、請求項
1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記波長変換部材は、前記第1方向および前記第2方向と交差する第3方向において互
いに反対側に位置する第5面および第6面をさらに有し、
前記支持部材は、前記波長変換部材を収容する溝部をさらに有し、
前記溝部は、前記反射面と、前記第5面に対向し、前記第5面から離間する第1壁面と
、前記第6面に対向し、前記第6面から離間する第2壁面と、を有する、請求項
2に記載
の光源装置。
【請求項4】
前記第1壁面は、前記第3面側に位置している第1部分と、前記反射面側に位置してい
る第2部分とを有し、前記第1部分は前記反射面に対して垂直な方向に延び、前記第2部
分は、前記第1部分側から前記反射面側に向かうにつれて前記第5面に近づくように傾斜
し、
前記第2壁面は、前記第3面側に位置している第3部分と、前記反射面側に位置してい
る第4部分とを有し、前記第3部分は前記反射面に対して垂直な方向に延び、前記第4部
分は、前記第3部分側から前記反射面側に向かうにつれて前記第6面に近づくように傾斜
し、
前記第1部分、前記第2部分、前記第3部分、および前記第4部分は、前記光の少なく
とも一部を反射する、請求項
3に記載の光源装置。
【請求項5】
第1波長帯を有する第1光を射出する発光素子と、
蛍光体を含み、前記発光素子から射出される前記第1光を、前記第1波長帯とは異なる
第2波長帯を有する第2光に変換する波長変換部材と、
前記波長変換部材に入射した前記第1光を反射する反射部材と、
を備え、
前記波長変換部材は、第1方向において互いに反対側に位置する第1面および第2面と
、前記第1方向と交差する第2方向において互いに反対側に位置する第3面および第4面
と、を有し、
前記第2光は、前記第1面から射出され、
前記発光素子から射出される前記第1光は、前記第3面から前記波長変換部材に入射し
、
前記反射部材は、前記第4面に対向して設けられ、
前記蛍光体に含まれる賦活剤の濃度は、前記第3面から入射した前記第1光が前記第4
面に到達するまでの経路において、前記第1光の入射光量の98%未満の量を吸収するの
に必要な濃度であ
り、
前記反射部材は、前記波長変換部材を支持する支持部材から構成され、
前記支持部材は、前記第4面に当接し、前記第3面から入射した前記第1光を反射する
反射面を有し、
前記波長変換部材は、前記第1方向および前記第2方向と交差する第3方向において互
いに反対側に位置する第5面および第6面をさらに有し、
前記支持部材は、前記波長変換部材を収容する溝部をさらに有し、
前記溝部は、前記反射面と、前記第5面に対向し、前記第5面から離間する第1壁面と
、前記第6面に対向し、前記第6面から離間する第2壁面と、を有する、
光源装置。
【請求項6】
前記第1壁面は、前記第3面側に位置している第1部分と、前記反射面側に位置してい
る第2部分とを有し、前記第1部分は前記反射面に対して垂直な方向に延び、前記第2部
分は、前記第1部分側から前記反射面側に向かうにつれて前記第5面に近づくように傾斜
し、
前記第2
壁面は、前記第3面側に位置している第3部分と、前記反射面側に位置してい
る第4部分とを有し、前記第3部分は前記反射面に対して垂直な方向に延び、前記第4部
分は、前記第3部分側から前記反射面側に向かうにつれて前記第6面に近づくように傾斜
し、
前記第1部分、前記第2部分、前記第3部分、および前記第4部分は、前記光の少なく
とも一部を反射する、請求項
5に記載の光源装置。
【請求項7】
前記蛍光体に含まれる賦活剤の濃度は、前記第3面から入射した前記第1光が前記第4
面に到達するまでの経路において、前記第1光の入射光量の30%を超える量を吸収する
のに必要な濃度である、請求項
5または請求項6に記載の光源装置。
【請求項8】
前記反射部材の反射率は75%以上である、請求項1
から請求項
7までのいずれか一項
に記載の光源装置。
【請求項9】
前記反射部材の反射率は90%以上である、請求項
8に記載の光源装置。
【請求項10】
請求項1から請求項
9までのいずれか一項に記載の光源装置と、
前記光源装置から射出される前記第2光を含む光を画像情報に応じて変調する光変調装
置と、
前記光変調装置により変調された光を投写する投写光学装置と、
を備える、プロジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置およびプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクターに用いる光源装置として、発光素子から射出された励起光を蛍光体に照射した際に蛍光体から発せられる蛍光を利用した光源装置が提案されている。
【0003】
下記の特許文献1には、励起光を射出する固体光源と、励起光を蛍光に変換する波長変換部材と、を備える光源装置が開示されている。特許文献1には、蛍光体に含まれる賦活剤の濃度は、一般的に、励起光が入射面から反対側の面に到達する経路において全ての励起光が吸収されるように選択され、特定の条件下で例えば98%の励起光が吸収される、と記載されている。また、特許文献1の発明の特徴点として、賦活剤の濃度を98%の励起光が吸収するのに必要な量の3倍以上とすることにより、波長変換効率がさらに増加することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の光源装置の波長変換部材において、励起光が入射面から反対側の面に到達したときには、ほぼ全ての励起光が賦活剤により蛍光に変換されている。ここで、波長変換部材において、励起光が入射される入射面とは反対の面に反射部材を配置した場合、反射部材による反射光はほぼ全てが蛍光に変換されている。従って、反射された蛍光が、賦活剤で過剰に再吸収されるなどのさまざまな問題が生じる虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一つの態様の光源装置は、第1波長帯を有する
第1光を射出する発光素子と、蛍光体を含み、前記発光素子から射出される前記第1光を
、前記第1波長帯とは異なる第2波長帯を有する第2光に変換する波長変換部材と、前記
波長変換部材に入射した前記第1光を反射する反射部材と、を備える。前記波長変換部材
は、第1方向において互いに反対側に位置する第1面および第2面と、前記第1方向と交
差する第2方向において互いに反対側に位置する第3面および第4面と、を有する。前記
第2光は、前記第1面から射出される。前記発光素子から射出される前記第1光は、前記
第3面から前記波長変換部材に入射する。前記反射部材は、前記第4面に対向して設けら
れる。前記蛍光体に含まれる賦活剤の濃度は、前記第3面から入射した前記第1光が前記
第4面に到達するまでの経路において、前記第1光の入射光量の98%未満の量を吸収す
るのに必要な濃度である。
また、本発明の一つの態様の光学装置は、第1波長帯を有する第1光を射出する発光素
子と、蛍光体を含み、前記発光素子から射出される前記第1光を、前記第1波長帯とは異
なる第2波長帯を有する第2光に変換する波長変換部材と、前記波長変換部材に入射した
前記第1光を反射する反射部材と、を備え、前記波長変換部材は、第1方向において互い
に反対側に位置する第1面および第2面と、前記第1方向と交差する第2方向において互
いに反対側に位置する第3面および第4面と、を有し、前記第2光は、前記第1面から射
出され、前記発光素子から射出される前記第1光は、前記第3面から前記波長変換部材に
入射し、前記反射部材は、前記第4面に対向して設けられ、前記蛍光体に含まれる賦活剤
の濃度は、前記第3面から入射した前記第1光が前記第4面に到達するまでの経路におい
て、前記第1光の入射光量の92%以下、かつ、40%以上の量を吸収するのに必要な濃
度である。
また、本発明の一つの態様の光学装置は、第1波長帯を有する第1光を射出する発光素
子と、蛍光体を含み、前記発光素子から射出される前記第1光を、前記第1波長帯とは異
なる第2波長帯を有する第2光に変換する波長変換部材と、前記波長変換部材に入射した
前記第1光を反射する反射部材と、を備え、前記波長変換部材は、第1方向において互い
に反対側に位置する第1面および第2面と、前記第1方向と交差する第2方向において互
いに反対側に位置する第3面および第4面と、を有し、前記第2光は、前記第1面から射
出され、前記発光素子から射出される前記第1光は、前記第3面から前記波長変換部材に
入射し、前記反射部材は、前記第4面に対向して設けられ、前記蛍光体に含まれる賦活剤
の濃度は、前記第3面から入射した前記第1光が前記第4面に到達するまでの経路におい
て、前記第1光の入射光量の98%未満の量を吸収するのに必要な濃度であり、前記反射
部材は、前記波長変換部材を支持する支持部材から構成され、前記支持部材は、前記第4
面に当接し、前記第3面から入射した前記第1光を反射する反射面を有し、前記波長変換
部材は、前記第1方向および前記第2方向と交差する第3方向において互いに反対側に位
置する第5面および第6面をさらに有し、前記支持部材は、前記波長変換部材を収容する
溝部をさらに有し、前記溝部は、前記反射面と、前記第5面に対向し、前記第5面から離
間する第1壁面と、前記第6面に対向し、前記第6面から離間する第2壁面と、を有する
、光源装置。
【0007】
本発明の一つの態様のプロジェクターは、本発明の一つの態様の光源装置と、前記光源装置からの前記第2光を含む光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、前記光変調装置により変調された光を投写する投写光学装置と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態のプロジェクターの概略構成図である。
【
図2】第1実施形態の第1照明装置の概略構成図である。
【
図3】励起光吸収率と蛍光射出量との関係を示すグラフである。
【
図4】第2実施形態の第1照明装置の概略構成図である。
【
図5】
図4のV-V線に沿う光源装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、
図1~
図3を用いて説明する。
本実施形態のプロジェクターは、光変調装置として液晶パネルを用いたプロジェクターの一例である。
以下の各図面においては各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
【0010】
図1は、本実施形態のプロジェクター1の概略構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態のプロジェクター1は、スクリーン(被投写面)SCR上にカラー画像を表示する投写型画像表示装置である。プロジェクター1は、赤色光LR、緑色光LG、青色光LBの各色光に対応した3つの光変調装置を備える。
【0011】
プロジェクター1は、第1照明装置20と、第2照明装置21と、色分離光学系3と、光変調装置4Rと、光変調装置4Gと、光変調装置4Bと、光合成素子5と、投写光学装置6と、を備える。
【0012】
第1照明装置20は、黄色の蛍光Yを色分離光学系3に向けて射出する。第2照明装置21は、青色光LBを光変調装置4Bに向けて射出する。第1照明装置20および第2照明装置21の詳細な構成については後述する。
【0013】
以下、図面においては、必要に応じてXYZ直交座標系を用いて説明する。Z軸は、プロジェクター1の上下方向に沿う軸である。X軸は、第1照明装置20の光軸AX1および第2照明装置21の光軸AX2と平行な軸である。Y軸は、X軸およびZ軸に直交する軸である。第1照明装置20の光軸AX1は、第1照明装置20から射出される蛍光Yの中心軸である。第2照明装置21の光軸AX2は、第2照明装置21から射出される青色光LBの中心軸である。
【0014】
色分離光学系3は、第1照明装置20から射出される黄色の蛍光Yを赤色光LRと緑色光LGとに分離する。色分離光学系3は、ダイクロイックミラー7と、第1反射ミラー8aと、第2反射ミラー8bと、を備える。
【0015】
ダイクロイックミラー7は、蛍光Yを赤色光LRと緑色光LGとに分離する。ダイクロイックミラー7は、赤色光LRを透過するとともに、緑色光LGを反射する。第2反射ミラー8bは、緑色光LGの光路中に配置されている。第2反射ミラー8bは、ダイクロイックミラー7で反射した緑色光LGを光変調装置4Gに向けて反射する。第1反射ミラー8aは、赤色光LRの光路中に配置されている。第1反射ミラー8aは、ダイクロイックミラー7を透過した赤色光LRを光変調装置4Rに向けて反射する。
【0016】
一方、第2照明装置21から射出される青色光LBは、反射ミラー9によって光変調装置4Bに向けて反射される。
【0017】
以下、第2照明装置21の構成について説明する。
第2照明装置21は、光源部81と、集光レンズ82と、拡散板83と、ロッドレンズ86と、リレーレンズ87と、を備える。光源部81は、少なくとも一つの半導体レーザーで構成されている。光源部81は、レーザー光からなる青色光LBを射出する。なお、光源部81は、半導体レーザーに限らず、青色光を発光するLEDで構成されていてもよい。
【0018】
集光レンズ82は、凸レンズから構成されている。集光レンズ82は、光源部81から射出される青色光LBを略集光した状態で拡散板83に入射させる。拡散板83は、集光レンズ82から射出される青色光LBを所定の拡散度で拡散させ、第1照明装置20から射出される蛍光Yと同様の略均一な配光分布を有する青色光LBを生成する。拡散板83としては、例えば、光学ガラスからなる磨りガラスが用いられる。
【0019】
拡散板83で拡散された青色光LBは、ロッドレンズ86に入射する。ロッドレンズ86は、第2照明装置21の光軸AX2方向に沿って延びる角柱状の形状を有する。ロッドレンズ86は、一端に設けられた光入射端面86aと、他端に設けられた光射出端面86bと、を有する。拡散板83は、ロッドレンズ86の光入射端面86aに光学接着剤(図示略)を介して固定されている。拡散板83の屈折率とロッドレンズ86の屈折率とは、できるだけ一致させることが望ましい。
【0020】
青色光LBは、ロッドレンズ86の内部を全反射しつつ伝播することで照度分布の均一性が高められた状態で光射出端面86bから射出される。ロッドレンズ86から射出された青色光LBは、リレーレンズ87に入射する。リレーレンズ87は、ロッドレンズ86によって照度分布の均一性が高められた青色光LBを反射ミラー9に入射させる。
【0021】
ロッドレンズ86の光射出端面86bの形状は、光変調装置4Bの画像形成領域の形状と略相似形の矩形状である。これにより、ロッドレンズ86から射出された青色光LBは、光変調装置4Bの画像形成領域に効率良く入射する。
【0022】
光変調装置4Rは、赤色光LRを画像情報に応じて変調し、赤色光LRに対応した画像光を形成する。光変調装置4Gは、緑色光LGを画像情報に応じて変調し、緑色光LGに対応した画像光を形成する。光変調装置4Bは、青色光LBを画像情報に応じて変調し、青色光LBに対応した画像光を形成する。
【0023】
光変調装置4R、光変調装置4G、および光変調装置4Bのそれぞれには、例えば透過型の液晶パネルが用いられる。また、液晶パネルの入射側および射出側には、偏光板(図示略)がそれぞれ配置されている。偏光板は、特定の方向の直線偏光のみを通過させる。
【0024】
光変調装置4Rの入射側には、フィールドレンズ10Rが配置されている。光変調装置4Gの入射側には、フィールドレンズ10Gが配置されている。光変調装置4Bの入射側には、フィールドレンズ10Bが配置されている。フィールドレンズ10Rは、光変調装置4Rに入射する赤色光LRの主光線を平行化する。フィールドレンズ10Gは、光変調装置4Gに入射する緑色光LGの主光線を平行化する。フィールドレンズ10Bは、光変調装置4Bに入射する青色光LBの主光線を平行化する。
【0025】
光合成素子5は、光変調装置4R、光変調装置4G、および光変調装置4Bから射出された画像光が入射することにより、赤色光LR,緑色光LG,青色光LBに対応した画像光を合成し、合成された画像光を投写光学装置6に向けて射出する。光合成素子5には、例えばクロスダイクロイックプリズムが用いられる。
【0026】
投写光学装置6は、複数の投写レンズから構成されている。投写光学装置6は、光合成素子5により合成された画像光をスクリーンSCRに向けて拡大投写する。これにより、スクリーンSCR上に画像が表示される。
【0027】
以下、第1照明装置20の構成について説明する。
図2は、第1照明装置20の概略構成図である。
図2に示すように、第1照明装置20は、光源装置100と、平行化光学系63と、インテグレーター光学系70と、偏光変換素子102と、重畳光学系103と、を備える。
【0028】
光源装置100は、波長変換部材50と、光源部51と、角度変換部材52と、第1ミラー58と、第2ミラー53と、を備える。光源部51は、基板55と、発光素子56と、を備える。本実施形態の第1ミラー58は、特許請求の範囲の反射部材に対応する。
【0029】
波長変換部材50は、X軸方向に延びる四角柱状の形状を有し、6つの面を有する。波長変換部材50のX軸方向に延びる辺は、Y軸方向に延びる辺およびZ軸方向に延びる辺よりも長い。したがって、X軸方向は、波長変換部材50の長手方向に対応する。Y軸方向に延びる辺の長さとZ軸方向に延びる辺の長さとは等しい。すなわち、X軸方向に垂直な面で切断した波長変換部材50の断面形状は、正方形である。なお、X軸方向に垂直な面で切断した波長変換部材50の断面形状は、長方形であってもよい。
【0030】
波長変換部材50は、第1面50aおよび第2面50bと、第3面50cおよび第4面50dと、第5面50eおよび第6面50fと、を有する。第1面50aおよび第2面50bは、波長変換部材50の長手方向(X軸方向)に交差し、互いに反対側に位置する。第3面50cおよび第4面50dは、第1面50aおよび第2面50bと交差し、長手方向に垂直な仮想面内におけるY軸方向において互いに反対側に位置する。第5面50eおよび第6面50fは、第3面50cおよび第4面50dと交差し、長手方向に垂直な仮想面内におけるZ軸方向において互いに反対側に位置する。以下の説明で、第3面50c、第4面50d、第5面50e、および第6面50fを側面と称することがある。本実施形態のX軸方向は、特許請求の範囲の第1方向に対応する。本実施形態のY軸方向は、特許請求の範囲の第2方向に対応する。本実施形態のZ軸方向は、特許請求の範囲の第3方向に対応する。
【0031】
波長変換部材50は、蛍光体を少なくとも含み、第1波長帯を有する励起光Eを、第1波長帯とは異なる第2波長帯を有する蛍光Yに変換する。励起光Eは、第3面50cから波長変換部材50に入射する。蛍光Yは、波長変換部材50の内部を導光した後、第1面50aから射出される。本実施形態の励起光Eは、特許請求の範囲の第1光に対応する。本実施形態の蛍光Yは、特許請求の範囲の第2光に対応する。
【0032】
波長変換部材50は、励起光Eを蛍光Yに波長変換する多結晶蛍光体からなるセラミック蛍光体を含んでいる。蛍光Yが有する第2波長帯は、例えば490~750nmの黄色の波長帯である。すなわち、蛍光Yは、赤色光成分および緑色光成分を含む黄色の蛍光である。
【0033】
波長変換部材50は、多結晶蛍光体に代えて、単結晶蛍光体を含んでいてもよい。もしくは、波長変換部材50は、蛍光ガラスから構成されていてもよい。もしくは、波長変換部材50は、ガラスまたは樹脂からなるバインダー中に多数の蛍光体粒子が分散された材料から構成されていてもよい。このような材料からなる波長変換部材50は、励起光Eを蛍光Yに変換する。
【0034】
具体的には、波長変換部材50の材料は、例えばイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)系蛍光体を含んでいる。さらに、蛍光体は、発光中心となる賦活剤を含んでいる。賦活剤としてセリウム(Ce)を含有するYAG:Ceを例に挙げると、波長変換部材50の材料として、Y2O3、Al2O3、CeO3等の構成元素を含む原料粉末を混合して固相反応させた材料、共沈法、ゾルゲル法等の湿式法により得られるY-Al-Oアモルファス粒子、噴霧乾燥法、火炎熱分解法、熱プラズマ法等の気相法により得られるYAG粒子等が用いられる。
【0035】
蛍光体に含まれるセリウム等の賦活剤の濃度は、第3面50cから入射した励起光Eが第4面50dに到達するまでの経路において、励起光Eの入射光量の98%未満であり、好ましくは、98%未満、かつ、30%を超える光量を吸収するのに必要な濃度とすることが望ましい。さらに、賦活剤の濃度は、上記の経路において、励起光Eの入射光量の92%以下、かつ、40%以上の光量を吸収するのに必要な濃度とすることがより望ましい。賦活剤の濃度を上記の範囲とする理由については、後述する。
【0036】
光源部51は、第1波長帯の励起光Eを射出する発光面56aを有する発光素子56を備える。発光素子56は、例えば発光ダイオード(LED)から構成されている。発光素子56の発光面56aは、波長変換部材50の第3面50cに対向し、第3面50cに向けて励起光Eを射出する。第1波長帯は、例えば400nm~480nmの青色から紫色にかけての波長帯であり、ピーク波長は例えば445nmである。このように、光源部51は、波長変換部材50の長手方向に沿う4つの側面のうち、1つの側面に対向して設けられている。
【0037】
基板55は、発光素子56を支持する。基板55の一面55aには、発光素子56が設けられている。本実施形態の場合、光源部51は、発光素子56と基板55とから構成されているが、その他、導光板、拡散板、レンズ等の他の光学部材を備えていてもよい。また、本実施形態では、2つの発光素子56が用いられているが、発光素子56の個数は特に限定されない。
【0038】
第1ミラー58は、波長変換部材50の第4面50dに対向して設けられている。第1ミラー58は、空気層等を介さず、波長変換部材50の第4面50dに当接していることが望ましい。第1ミラー58は、波長変換部材50に入射した励起光Eを反射する。第1ミラー58の反射率は、極力高いことが望ましい。具体的に、第1ミラー58の反射率は、例えば75%以上であることが望ましく、90%以上であることがより望ましい。第1ミラー58は、例えばアルミニウム、銀等の高い反射率を有する金属材料で構成される。また、第1ミラー58は、波長変換部材の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有することが望ましい。なお、第1ミラー58は、金属材料に代えて、誘電体多層膜から構成されていてもよい。
【0039】
第2ミラー53は、波長変換部材50の第2面50bに対向して設けられている。第2ミラー53は、波長変換部材50の内部を導光し、第2面50bに到達した蛍光Yを反射させる。第2ミラー53は、波長変換部材50の第2面50bに形成された金属膜または誘電体多層膜から構成されている。
【0040】
第1照明装置20において、光源部51から射出された励起光Eが波長変換部材50に入射すると、波長変換部材50の内部に含まれる蛍光体が励起され、任意の発光点から蛍光Yが発せられる。蛍光Yは任意の発光点から全ての方向に向かって進むが、4つの側面50c,50d,50e,50fに向かった蛍光Yは、側面50c,50d,50e,50fの複数の個所で全反射を繰り返しつつ、第1面50aまたは第2面50bに向かって進む。第1面50aに向かって進む蛍光Yは、角度変換部材52に入射する。第2面50bに向かって進む蛍光Yは、第2ミラー53で反射され、第1面50aに向かって進む。
【0041】
波長変換部材50に入射した励起光Eのうち、蛍光体の励起に使われなかった励起光Eの一部は、光源部51の発光素子56を含む波長変換部材50の周囲の部材、または第2面50bに設けられた第2ミラー53で反射される。そのため、励起光Eの一部は、波長変換部材50の内部に閉じ込められて再利用される。
【0042】
角度変換部材52は、波長変換部材50の第1面50aの光射出側に設けられている。角度変換部材52は、例えばテーパーロッドから構成されている。角度変換部材52は、波長変換部材50から射出された蛍光Yが入射する光入射面52aと、蛍光Yを射出する光射出面52bと、入射した蛍光Yを光射出面52bに向けて反射させる側面52cと、を有する。
【0043】
角度変換部材52は、四角錐台状の形状を有し、光軸Jに垂直な断面積が光の進行方向に沿って広がっている。したがって、光射出面52bの面積は、光入射面52aの面積よりも大きい。光射出面52bおよび光入射面52aの中心を通り、X軸に平行な軸を角度変換部材52の光軸Jとする。なお、角度変換部材52の光軸Jは、第1照明装置20の光軸AX1に一致する。
【0044】
角度変換部材52に入射した蛍光Yは、角度変換部材52の内部を進行する間に、側面52cで全反射する毎に光軸Jに平行な方向に近付くように向きを変える。このようにして、角度変換部材52は、波長変換部材50の第1面50aから射出される蛍光Yの射出角度分布を変換する。具体的には、角度変換部材52は、光射出面52bにおける蛍光Yの最大射出角度を光入射面52aにおける蛍光Yの最大入射角度よりも小さくする。
【0045】
一般的に、光射出領域の面積と光の立体角(最大射出角)との積で規定される光のエテンデューは保存されるため、角度変換部材52の透過前後においても蛍光Yのエテンデューは保存される。角度変換部材52は、上述したように、光射出面52bの面積を光入射面52aの面積よりも大きくした構成を有する。そのため、エテンデュー保存の観点から、角度変換部材52は、光射出面52bにおける蛍光Yの最大射出角度を光入射面52aに入射する蛍光Yの最大入射角度よりも小さくすることができる。
【0046】
角度変換部材52は、光入射面52aが波長変換部材50の第1面50aに対向するように光学接着剤(図示略)を介して波長変換部材50に固定されている。すなわち、角度変換部材52と波長変換部材50とは光学接着剤を介して接触しており、角度変換部材52と波長変換部材50との間に空隙(空気層)は設けられていない。仮に角度変換部材52と波長変換部材50との間に空隙が設けられていた場合、角度変換部材52の光入射面52aに到達した蛍光Yのうち、臨界角以上の角度で光入射面52aに入射した蛍光Yは、光入射面52aで全反射し、角度変換部材52に入射できない。これに対して、本実施形態のように、角度変換部材52と波長変換部材50との間に空隙が設けられていない場合には、角度変換部材52に入射できない蛍光Yを減らすことができる。この観点から、角度変換部材52の屈折率と波長変換部材50の屈折率とは、できるだけ一致させることが望ましい。
【0047】
角度変換部材52として、テーパーロッドに代えて、複合放物面型集光器(Compound Parabolic Concentrator, CPC)が用いられてもよい。角度変換部材52としてCPCを用いた場合であっても、テーパーロッドを用いた場合と同様の効果が得られる。なお、光源装置100は、必ずしも角度変換部材52を備えていなくてもよい。
【0048】
光源装置100とインテグレーター光学系70との間に、コリメーターレンズ等からなる平行化光学系63が設けられている。平行化光学系63は、角度変換部材52から射出される蛍光Yの角度分布をさらに小さくし、平行度の高い蛍光Yをインテグレーター光学系70に入射させる。なお、平行化光学系63は、角度変換部材52から射出される蛍光Yの平行度が十分に高い場合には設けられていなくてもよい。
【0049】
インテグレーター光学系70は、第1レンズアレイ61と、第2レンズアレイ101と、を有する。インテグレーター光学系70は、重畳光学系103とともに光源装置100から射出された蛍光Yの強度分布を、被照明領域である光変調装置4R,4Gのそれぞれにおいて均一化する均一照明光学系として機能する。平行化光学系63から射出される蛍光Yは、第1レンズアレイ61に入射する。第1レンズアレイ61は、光源装置100の後段に設けられた第2レンズアレイ101とともに、インテグレーター光学系70を構成する。
【0050】
第1レンズアレイ61は、複数の第1小レンズ61aを有する。複数の第1小レンズ61aは、第1照明装置20の光軸AX1と直交するYZ平面に平行な面内にマトリクス状に配列されている。複数の第1小レンズ61aは、角度変換部材52から射出される蛍光Yを複数の部分光束に分割する。第1小レンズ61aの各々の形状は、光変調装置4R,4Gの画像形成領域の形状と略相似形の矩形状である。これにより、第1レンズアレイ61から射出された部分光束の各々は、光変調装置4R,4Gの画像形成領域にそれぞれ効率良く入射する。
【0051】
第1レンズアレイ61から射出された蛍光Yは、第2レンズアレイ101に向かって進む。第2レンズアレイ101は第1レンズアレイ61に対向して配置されている。第2レンズアレイ101は、第1レンズアレイ61の複数の第1小レンズ61aに対応する複数の第2小レンズ101aを有する。第2レンズアレイ101は、重畳光学系103とともに、第1レンズアレイ61の複数の第1小レンズ61aの像の各々を光変調装置4R,4Gの画像形成領域の近傍に結像させる。複数の第2小レンズ101aは、第1照明装置20の光軸AX1に直交するYZ平面に平行な面内にマトリクス状に配列されている。
【0052】
本実施形態において、第1レンズアレイ61の各第1小レンズ61aと第2レンズアレイ101の各第2小レンズ101aとは、互いに同じサイズを有しているが、互いに異なるサイズを有していてもよい。また、本実施形態において、第1レンズアレイ61の第1小レンズ61aと第2レンズアレイ101の第2小レンズ101aとは、互いの光軸が一致する位置に配置されているが、互いに偏心した状態に配置されていてもよい。
【0053】
偏光変換素子102は、第2レンズアレイ101から射出される蛍光Yの偏光方向を変換する。具体的に、偏光変換素子102は、第1レンズアレイ61で分割され、第2レンズアレイ101から射出された蛍光Yの各部分光束を直線偏光に変換する。
【0054】
偏光変換素子102は、光源装置100から射出される蛍光Yに含まれる偏光成分のうち、一方の直線偏光成分をそのまま透過させるとともに、他方の直線偏光成分を光軸AX1に垂直な方向に反射する偏光分離層(図示略)と、偏光分離層で反射された他方の直線偏光成分を光軸AX1に平行な方向に反射する反射層(図示略)と、反射層で反射された他方の直線偏光成分を一方の直線偏光成分に変換する位相差板(図示略)と、を有する。
【0055】
[賦活剤の濃度に関する検討]
本発明者は、波長変換部材から射出される蛍光の光量を増大させるため、蛍光体に含有する賦活剤の濃度について検討した。波長変換効率を高めるためには、上述の特許文献1に記載されているように、波長変換部材の1つの入射面から励起光を入射させる場合に、蛍光体に多くの賦活剤を導入しておき、励起光が入射面とは反対側の面に到達するまでの間に極力多くの励起光を吸収させようとするのが一般的な考え方である。その理由は、励起光が入射面とは反対側の面に到達した時点で吸収されていない励起光が多く存在する場合、これらの励起光が外部に漏れてしまい、波長変換効率が低下するからである。
【0056】
ところが、本発明者は、多くの励起光を吸収させるために賦活剤の濃度を増やすと、以下の3つの問題点が生じることに想到した。
第1の問題点として、賦活剤は、波長変換部材の内部を伝播する光の散乱源としても作用する。したがって、賦活剤の濃度が大きい場合、波長変換部材の内部を伝播する励起光および蛍光の散乱量が多くなり、励起光および蛍光は、賦活剤の濃度が小さい場合に比べて波長変換部材の側面から漏れやすくなる。そのため、波長変換部材の射出面から多くの蛍光を射出させることが難しくなる。
【0057】
第2の問題点として、例えば青色波長帯の励起光が黄色波長帯の蛍光に波長変換される場合、蛍光のうちの短波長側の光成分、すなわち、黄色波長帯のうちの青色波長帯に近い側の光成分は、賦活剤に自己吸収され、さらに長波長側の光成分に変換されるという現象がある。したがって、賦活剤の濃度が大きい場合、蛍光の自己吸収の影響が無視できなくなり、蛍光のスペクトルが長波長側にシフトする。その結果、所望の色味を有する蛍光を得ることが難しくなる。
【0058】
第3の問題点として、賦活剤に吸収された励起光のエネルギーは、一部が蛍光に変換される一方、残りが熱に変換される。したがって、賦活剤の濃度が大きい場合、励起光の入射面近傍で多くの熱が発生し、入射面とは反対側の面の近傍では熱の発生が少ない。そのため、波長変換部材の内部での温度分布が不均一になり、波長変換効率が低下する結果、多くの蛍光を得ることが難しくなる。
【0059】
上記の問題点を解決するためには、賦活剤の量を減らせばよいが、ただ単に賦活剤の量を減らしただけでは、上述したように、励起光が入射面とは反対側の面に到達した時点で吸収されていない励起光が外部に漏れる、という問題がある。そこで、本発明者は、賦活剤の量を減らすとともに、入射面とは反対側の面に反射部材を設け、反対側の面に到達した時点で吸収されていない励起光を反射部材によって反射させ、波長変換部材の内部で再度賦活剤に吸収させればよい、という技術思想に想到した。上記の反射部材は、本実施形態の第1ミラーに相当する。
【0060】
そこで、本発明者は、上記の技術思想を実証するため、賦活剤の濃度を異ならせた複数種の波長変換部材のサンプルを試作し、各サンプルにおいて波長変換部材の射出面(上記実施形態の第1面50a)から射出される蛍光の光量を測定する実験を行った。
【0061】
以下、実験内容について説明する。
賦活剤の濃度は、波長変換部材の寸法、波長変換部材を冷却する際の冷却効率、所望の蛍光スペクトル等の種々のパラメーターに応じて適宜決定する必要がある。ここでは、各サンプルの賦活剤の濃度を、濃度の値そのものではなく、励起光を入射面から入射し、入射面とは反対側の面に到達するまでに吸収された励起光の割合で示すことにした。すなわち、励起光の吸収率は賦活剤の濃度に対応し、賦活剤の濃度が高い程、励起光の吸収率が高くなり、賦活剤の濃度が低い程、励起光の吸収率が低くなる。以下、入射面(上記実施形態の第3面50c)から入射した励起光が入射面とは反対側の面(上記実施形態の第4面50d)に到達するまでの経路において、入射した励起光の光量に対する吸収された励起光の光量の割合を、励起光の吸収率と定義する。
【0062】
励起光の吸収率を求めるために、波長変換部材の第3面に対向する位置に発光素子を配置し、波長変換部材の第4面に対向する位置にパワーメーターを配置した。なお、励起光の吸収率を求める際には、波長変換部材の第4面に対向する位置に反射部材を配置していない。第3面の法線方向から波長変換部材に所定の光量の励起光を入射させ、第4面から射出される励起光の光量をパワーメーターにより測定した。第3面に入射させる励起光の光量をP1とし、第4面から射出される励起光の光量をP2としたとき、吸収率K(%)は、K=[(P1-P2)/P1]×100で求められる。一方、波長変換部材から射出される蛍光については、波長変換部材の第1面に対向する位置に積分球を備えたパワーメーターを配置し、蛍光の光量をパワーメーターによって測定した。また、波長変換部材に含まれる賦活剤の濃度は、誘導結合プラズマ(ICP)法により測定が可能である。
【0063】
波長変換部材の仕様は、上記実施形態に従い、賦活剤としてセリウム(Ce)を含有するYAG:Ceを用いた。波長変換部材の寸法については、波長変換部材の長さ(第1面と第2面との間の距離)を60mmとし、波長変換部材の厚さ(第3面と第4面との間の距離)を1.2mmとし、波長変換部材の幅(第5面と第6面との間の距離)を1.6mmとした。
【0064】
実施例1として、励起光の吸収率が75%、反射部材の反射率が90%の波長変換部材を作製した。実施例2として、励起光の吸収率が75%、反射部材の反射率が75%の波長変換部材を作製した。実施例3として、励起光の吸収率が50%、反射部材の反射率が90%の波長変換部材を作製した。実施例4として、励起光の吸収率が40%、反射部材の反射率が90%の波長変換部材を作製した。実施例5として、励起光の吸収率が20%、反射部材の反射率が90%の波長変換部材を作製した。これに対し、比較例として、励起光の吸収率が98%、反射部材の反射率が90%の波長変換部材を作製した。
【0065】
各サンプルの励起光の吸収率、反射部材の反射率、および蛍光の射出量を下記の表1に示す。なお、蛍光の射出量は、比較例のサンプルにおける蛍光の射出量を100としたときの相対値で示した。
【0066】
【0067】
表1に示すように、励起光吸収率を75%に低下させた実施例1では、比較例と比べて蛍光射出量が140に増加した。実施例2では、反射部材の反射率を実施例1に比べて低下させたため、蛍光射出量が実施例1よりも減少したが、それでも比較例と比べると、130に増加した。励起光吸収率を50%に低下させた実施例3では、蛍光射出量は150にさらに増加した。励起光吸収率を40%に低下させた実施例4では、蛍光射出量が110となり、実施例3と比べて減少したが、比較例と比べると増加した。励起光吸収率を20%に低下させた実施例5では、比較例と比べて蛍光射出量としては90%に低下した。
【0068】
第3面から入射した励起光が第4面に到達するまでの経路において、入射した励起光の略全てを吸収させるだけの賦活剤濃度を有する比較例に対して、賦活剤濃度を75%~20%の範囲で低下させているため、実施例1~5においては、波長変換部材での光散乱、自己吸収、および温度分布の不均一等の要因を改善できている。さらに、表1の結果から、実施例1~実施例4においては、蛍光射出量を増加できることが判った。賦活剤濃度を20%にまで低下させた実施例5においては、賦活剤濃度が低すぎ、励起光が十分に吸収されず、蛍光射出量としては増加しなかったと推測される。
【0069】
図3は、反射部材の反射率を異ならせた実施例2を除く他のサンプルについて、励起光吸収率と蛍光射出量との関係をグラフにした図である。
図3において、横軸は励起光吸収率(%)を示し、縦軸は蛍光射出量(相対値)を示す。
【0070】
図3に示すように、励起光吸収率を98%から低下させていくと、蛍光射出量は増加する傾向を示す。本実験結果から見る限り、励起光吸収率を50%としたときに蛍光射出量は最大となり、励起光吸収率を50%から低下させると、蛍光射出量は減少する傾向を示す。励起光吸収率を30%としたときに蛍光射出量は100となり、励起光吸収率を30%よりも低下させると、蛍光射出量は比較例のサンプルよりも少なくなる。
【0071】
すなわち、第3面から入射した励起光が第4面に到達するまでの経路において、入射した励起光の略1/2を吸収させる程度の賦活剤濃度に設定すれば、第4面で反射した励起光が第3面に再度到達する間に多くの励起光が吸収され、余剰の励起光が第3面から外部に射出されることも少なく、蛍光射出量の増大に寄与すると推察される。したがって、賦活剤の濃度は、第3面から入射した励起光が第4面に到達するまでの経路において、励起光の入射光量の98%未満、かつ、30%を超える光量を吸収するのに必要な濃度とすれば、入射した励起光の略全てを吸収させるだけの賦活剤濃度とした場合に比べて、波長変換部材の第1面から射出される蛍光の光量を多くできることが判った。
【0072】
[第1実施形態の効果]
本実施形態の光源装置100は、励起光Eを射出する発光素子56と、蛍光体を含み、発光素子56から射出される励起光Eを蛍光Yに変換する波長変換部材50と、波長変換部材50に入射した励起光Eを反射する第1ミラー58と、を備える。波長変換部材50は、X軸方向において互いに反対側に位置する第1面50aおよび第2面50bと、Y軸方向において互いに反対側に位置する第3面50cおよび第4面50dと、を有する。蛍光Yは、第1面50aから射出される。発光素子56から射出される励起光Eは、第3面50cから波長変換部材50に入射する。第1ミラー58は、第4面50dに対向して設けられる。蛍光体に含まれる賦活剤の濃度は、第3面50cから入射した励起光Eが第4面50dに到達するまでの経路において、励起光Eの入射光量の98%未満の光量を吸収するのに必要な濃度である。
【0073】
上述したように、この構成によれば、入射した励起光の略全てを吸収させるだけの賦活剤濃度を有する従来の構成に対して、第1ミラー58を含む構成であっても波長変換部材50での光散乱および自己吸収を低減できる。また、上記の実験では未確認であるが、賦活剤の濃度を従来に比べて低くしたことにより、蛍光Yのスペクトルが長波長側への過剰なシフトを抑制できるため、所望の色味を有する蛍光Yを得ることができる。
【0074】
本実施形態の光源装置100において、蛍光体に含まれる賦活剤の濃度は、第3面50cから入射した励起光Eが前記第4面50dに到達するまでの経路において、励起光Eの入射光量の30%を超える量を吸収するのに必要な濃度である。
この構成によれば、第1ミラー58を含む構成において波長変換部材50内での光散乱および自己吸収を低減できるため、波長変換部材50の第1面50aから射出される蛍光Yの光量を増やすことができる。
【0075】
本実施形態の光源装置100において、第1ミラー58の反射率は75%以上である。
この構成によれば、表1に示したように、上記の賦活剤の濃度範囲において、蛍光Yの光量を確実に増やすことができる。
【0076】
本実施形態の光源装置100において、第1ミラー58の反射率は90%以上である。
この構成によれば、表1に示したように、上記の賦活剤の濃度範囲において、蛍光Yの光量をより確実に増やすことができる。
【0077】
本実施形態の光源装置100において、賦活剤の濃度は、前記経路において、励起光Eの入射光量の92%以下、かつ、40%以上の量を吸収するのに必要な濃度である。
この構成によれば、
図3に示すように、蛍光Yの光量を従来の構成に比べて10%以上増やすことができ、顕著な効果が得られる。
【0078】
本実施形態のプロジェクター1は、本実施形態の光源装置100を備えているため、明るく、色再現性に優れる画像が得られる。
【0079】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について、
図4および
図5を用いて説明する。
第2実施形態のプロジェクターおよび光源装置の基本構成は第1実施形態と同様であるため、プロジェクターおよび光源装置の基本構成の説明は省略する。
図4は、第2実施形態の第1照明装置25の概略構成図である。
図5は、
図4のV-V線に沿う光源装置105の断面図である。
図4および
図5において、第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0080】
図4に示すように、本実施形態の光源装置105は、波長変換部材50と、光源部51と、角度変換部材52と、支持部材54と、第2ミラー53と、を備える。本実施形態の支持部材54は、特許請求の範囲の反射部材に対応する。
【0081】
支持部材54は、波長変換部材50の周囲を囲むように設けられている。支持部材54は、波長変換部材50を支持するとともに、波長変換部材50で発生する熱を拡散して外部に放出する。そのため、支持部材54は、所定の強度を有し、熱伝導率が高い材料で構成されることが望ましい。支持部材54の材料として、例えばアルミニウム、ステンレスなどの金属が用いられ、特に6061系等のアルミニウム合金材が用いられることが望ましい。さらに、支持部材54は、波長変換部材50に入射した励起光Eを反射する反射部材として機能する。
【0082】
図5に示すように、支持部材54は、波長変換部材50の長手方向(X軸方向)に延び、波長変換部材50を収容する溝部54hを有する。支持部材54は、溝部54hを有することによりX軸方向に垂直な断面がU字状の形状を有する。溝部54hは、反射面54sと、第1壁面54aと、第2壁面54bと、を有する。
【0083】
反射面54sは、溝部54hの底面に対応し、波長変換部材50の第4面50dに当接する。反射面54sは、XZ平面に対して平行に延びている。第1壁面54aは、溝部54hの一方の側面に対応し、波長変換部材50の第5面50eに対向し、第5面50eから離間する。第2壁面54bは、溝部54hの他方の側面に対応し、波長変換部材50の第6面50fに対向し、第6面50fから離間する。すなわち、第1壁面54aと波長変換部材50の第5面50eとの間に間隙S1が設けられている。第2壁面54bと波長変換部材50の第6面50fとの間に間隙S1が設けられている。
【0084】
第1壁面54aは、第3面50c側に位置している第1部分54a1と、反射面54s側に位置している第2部分54a2とを有する。第1部分54a1は反射面54sに対して垂直な方向、すなわち、XY平面に対して平行に延びている。第2部分54a2は、第1部分54a1側から反射面54s側に向かうにつれて第5面50eに近づくように傾斜する。換言すると、反射面54s側における第2部分54a2と第5面50eとの間の距離は、第1部分54a1側における第2部分54a2と第5面50eとの間の距離よりも小さい。
【0085】
第2壁面54bは、第3面50c側に位置している第3部分54b3と、反射面54s側に位置している第4部分54b4とを有する。第3部分54b3は反射面54sに対して垂直な方向、すなわち、XY平面に対して平行に延びている。第4部分54b4は、第3部分54b3側から反射面54s側に向かうにつれて第6面50fに近づくように傾斜している。換言すると、反射面54s側における第4部分54b4と第6面50fとの間の距離は、第3部分54b3側における第4部分54b4と第6面50fとの間の距離よりも小さい。
【0086】
反射面54s、第1壁面54aおよび第2壁面54bのそれぞれは、支持部材54の構成材料であるアルミニウム、ステンレス等の金属の表面から構成されている。より具体的には、反射面54s、第1壁面54aおよび第2壁面54bのそれぞれは、上記の金属表面に鏡面加工が施された加工面から構成されている。そのため、反射面54s、第1壁面54aおよび第2壁面54bのそれぞれは、光反射性を有し、入射した励起光Eを反射する。なお、反射面54s、第1壁面54aおよび第2壁面54bのそれぞれは、アルミニウム、ステンレス等の金属の表面に形成された他の金属膜または誘電体多層膜から構成されていてもよい。
【0087】
発光素子56の発光面56aのZ軸方向に沿う寸法W1は、波長変換部材50のZ軸方向に沿う寸法W2よりも大きい。これにより、Z軸方向において、発光素子56の発光面56aの両端部は、波長変換部材50の第3面50cの外側にはみ出している。具体的には、発光素子56の発光面56aの両端部は、第5面50eと第1壁面54aとの間隙S1および第6面50fと第2壁面54bとの間隙S1と重なる位置まではみ出している。換言すると、反射面54sから発光面56aをY軸方向に沿って見たとき、発光面56aの一部は、第3面50cと重なり、発光面56aの他の一部は、第5面50eと第1壁面54aとの間隙S1および第6面50fと第2壁面54bとの間隙S1と重なっている。
【0088】
また、発光面56aの-Z側の端部から射出され、波長変換部材50の第3面50cの+Z側の角部を通り、第1壁面54aに向かって進む励起光E1が第1壁面54aに入射する位置をP1としたとき、第1壁面54aの-Y側の端部から位置P1までの距離をT1とする。このとき、第1部分54a1のY軸方向に沿う寸法T2は、少なくとも距離T1よりも大きいことが望ましい。
【0089】
支持部材54の反射面54sのZ軸方向に沿う寸法W3は、波長変換部材50のZ軸方向に沿う寸法W2よりも大きい。これにより、Z軸方向において、反射面54sの両端部は、波長変換部材50の第4面50dの外側にはみ出している。換言すると、発光面56aから反射面54sをY軸方向に沿って見たとき、反射面54sの一部は、第4面50dと重なり、反射面54sの他の一部は、第4面50dの外側に露出している。このように、反射面54sは、波長変換部材50の外側に露出した露出部54rを有する。
光源装置のその他の構成は、第1実施形態の光源装置と同様である。
【0090】
[第2実施形態の効果]
本実施形態の光源装置105においても、波長変換部材50での光散乱および自己吸収を低減でき、波長変換部材50の第1面50aから射出される蛍光Yの光量を増やすことができる、蛍光Yのスペクトルのシフトを抑制でき、所望の色味を有する蛍光Yを得ることができる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0091】
また、本実施形態の光源装置105は、波長変換部材50を支持する支持部材54を備える。支持部材54は、波長変換部材50の第4面50dに当接し、第3面50cから入射した励起光Eを反射する反射面54sを有する。
【0092】
この構成によれば、支持部材54によって波長変換部材50が支持されるとともに、波長変換部材50で発生した熱が支持部材54を介して外部に放出され、波長変換部材50の温度上昇が抑制される。これにより、波長変換部材50の温度上昇に伴う波長変換効率の低下が抑制されるため、波長変換部材50の第1面50aから射出される蛍光Yの光量を安定して維持することができる。
【0093】
本実施形態の光源装置105において、支持部材54は、波長変換部材50を収容する溝部54hを有し、溝部54hは、反射面54sと、第5面50eに対向する第1壁面54aと、第6面50fに対向する第2壁面54bと、を有し、第5面50eと第1壁面54aとが互いに離間し、第6面50fと第2壁面54bとが互いに離間している。
【0094】
この構成によれば、発光素子56から射出される励起光Eは、波長変換部材50の第3面50cだけでなく、第5面50eおよび第6面50fからも入射される。その結果、励起光Eの利用効率を高めることができ、所望の光量を有する蛍光Yを得ることができる。
【0095】
本実施形態の光源装置100において、第1壁面54aは、反射面54sから相対的に遠い側に位置し、反射面54sに対して垂直な方向に延びる第1部分54a1と、反射面54sから相対的に近い側に位置し、反射面54sに対して傾斜して延びる第2部分54a2と、を有する。第2壁面54bは、反射面54sから相対的に遠い側に位置し、反射面54sに対して垂直な方向に延びる第3部分54b3と、反射面54sから相対的に近い側に位置し、反射面54sに対して傾斜して延びる第4部分54b4と、を有する。第1部分54a1、第2部分54a2、第3部分54b3、および第4部分54b4は、励起光Eの少なくとも一部を反射する。
【0096】
この構成によれば、
図5に示すように、発光素子56の発光面56aから射出された一部の励起光E2は、波長変換部材50の第5面50eと第1部分54a1との間隙を通って進んだ後、反射面54sに対して傾斜した第2部分54a2に入射する。このとき、励起光E2は、第2部分54a2で反射して波長変換部材50の第5面50eに入射する。このように、波長変換部材50の第5面50eと第1壁面54aとの間隙を通る励起光E2が第5面50eに入射しやすくなるため、反射面54sで反射して光源部51の側に戻る励起光Eの量を減らすことができる。また、発光面56aの-Z側の端部から射出され、波長変換部材50の第3面50cの+Z側の角部を通り、第1壁面54aに向かって進む励起光E1は、反射面54sに対して垂直に延びる第1部分54a1で反射して波長変換部材50の第5面50eに入射する。これにより、傾斜した第1壁面で反射して光源部側に戻る励起光の量を減らすことができる。これにより、励起光Eの利用効率が高く、所望の光量を有する蛍光Yが得やすい光源装置100を実現することができる。
【0097】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。また、本発明の一つの態様は、上記実施形態の特徴部分を適宜組み合わせた構成とすることができる。
【0098】
第2実施形態では、支持部材の溝部の各壁面が、反射面に対して垂直な部分と、反射面に対して傾斜した部分と、を有しているが、溝部の形状は特に限定されず、例えば溝部の壁面の全ての領域が反射面に対して垂直であってもよい。また、溝部の壁面が湾曲していてもよい。
【0099】
また、波長変換部材は、必ずしも青色波長帯の光から黄色波長帯の光に変換するものに限らず、他の波長帯であってもよい。
【0100】
その他、光源装置およびプロジェクターの各構成要素の形状、数、配置、材料等の具体的な記載については、上記実施形態に限らず、適宜変更が可能である。また、上記実施形態では、本発明による光源装置を、液晶パネルを用いたプロジェクターに搭載した例を示したが、これに限られない。本発明による光源装置を、光変調装置としてデジタルマイクロミラーデバイスを用いたプロジェクターに適用してもよい。また、プロジェクターは、複数の光変調装置を有していなくてもよく、1つの光変調装置のみを有していてもよい。
【0101】
上記実施形態では、本発明の光源装置をプロジェクターに適用した例を示したが、これに限られない。本発明の光源装置は、照明器具や自動車のヘッドライト等にも適用することができる。
【0102】
本発明の一つの態様の光源装置は、以下の構成を有していてもよい。
本発明の一つの態様の光源装置は、第1波長帯を有する第1光を射出する発光素子と、蛍光体を含み、前記発光素子から射出される前記第1光を、前記第1波長帯とは異なる第2波長帯を有する第2光に変換する波長変換部材と、前記波長変換部材に入射した前記第1光を反射する反射部材と、を備え、前記波長変換部材は、第1方向において互いに反対側に位置する第1面および第2面と、前記第1方向と交差する第2方向において互いに反対側に位置する第3面および第4面と、を有し、前記第2光は、前記第1面から射出され、前記発光素子から射出される前記第1光は、前記第3面から前記波長変換部材に入射し、前記反射部材は、前記第4面に対向して設けられ、前記蛍光体に含まれる賦活剤の濃度は、前記第3面から入射した前記第1光が前記第4面に到達するまでの経路において、前記第1光の入射光量の98%未満の量を吸収するのに必要な濃度である。
【0103】
本発明の一つの態様の光源装置において、前記蛍光体に含まれる賦活剤の濃度は、前記第3面から入射した前記第1光が前記第4面に到達するまでの経路において、前記第1光の入射光量の30%を超える量を吸収するのに必要な濃度であってもよい。
【0104】
本発明の一つの態様の光源装置において、前記反射部材の反射率は75%以上であってもよい。
【0105】
本発明の一つの態様の光源装置において、前記反射部材の反射率は90%以上であってもよい。
【0106】
本発明の一つの態様の光源装置において、前記賦活剤の濃度は、前記経路において、前記第1光の入射光量の92%以下、かつ、40%以上の量を吸収するのに必要な濃度であってもよい。
【0107】
本発明の一つの態様の光源装置において、前記反射部材は、前記波長変換部材を支持する支持部材から構成され、前記支持部材は、前記第4面に当接し、前記第3面から入射した前記第1光を反射する反射面を有していてもよい。
【0108】
本発明の一つの態様の光源装置において、前記波長変換部材は、前記第1方向および前記第2方向と交差する第3方向において互いに反対側に位置する第5面および第6面をさらに有し、前記支持部材は、前記波長変換部材を収容する溝部をさらに有し、前記溝部は、前記反射面と、前記第5面に対向し、前記第5面から離間する第1壁面と、前記第6面に対向し、前記第6面から離間する第2壁面と、を有していてもよい。
【0109】
本発明の一つの態様の光源装置において、前記第1壁面は、前記第3面側に位置している第1部分と、前記反射面側に位置している第2部分とを有し、前記第1部分は前記反射面に対して垂直な方向に延び、前記第2部分は、前記第1部分側から前記反射面側に向かうにつれて前記第5面に近づくように傾斜し、前記第2側壁は、前記第3面側に位置している第3部分と、前記反射面側に位置している第4部分とを有し、前記第3部分は前記反射面に対して垂直な方向に延び、前記第4部分は、前記第3部分側から前記反射面側に向かうにつれて前記第6面に近づくように傾斜し、前記第1部分、前記第2部分、前記第3部分、および前記第4部分は、前記光の少なくとも一部を反射してもよい。
【0110】
本発明の一つの態様のプロジェクターは、以下の構成を有していてもよい。
本発明の一つの態様のプロジェクターは、本発明の一つの態様の光源装置と、前記光源装置から射出される前記第2光を含む光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、前記光変調装置により変調された光を投写する投写光学装置と、を備える。
【符号の説明】
【0111】
1…プロジェクター、4B,4G,4R…光変調装置、6…投写光学装置、50…波長変換部材、50a…第1面、50b…第2面、50c…第3面、50d…第4面、50e…第5面、50f…第6面、54…支持部材(反射部材)、54h…溝部、54a…第1壁面、54a1…第1部分、54a2…第2部分、54b…第2壁面、54b3…第3部分、54b4…第4部分、54s…反射面、56…発光素子、58…第1ミラー(反射部材)100,105…光源装置、E,E1,E2…励起光(第1光)、Y…蛍光(第2光)。