IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

特許7537468報知システム、車両搬送システム、コンピュータプログラム及び報知方法
<>
  • 特許-報知システム、車両搬送システム、コンピュータプログラム及び報知方法 図1
  • 特許-報知システム、車両搬送システム、コンピュータプログラム及び報知方法 図2
  • 特許-報知システム、車両搬送システム、コンピュータプログラム及び報知方法 図3
  • 特許-報知システム、車両搬送システム、コンピュータプログラム及び報知方法 図4
  • 特許-報知システム、車両搬送システム、コンピュータプログラム及び報知方法 図5
  • 特許-報知システム、車両搬送システム、コンピュータプログラム及び報知方法 図6
  • 特許-報知システム、車両搬送システム、コンピュータプログラム及び報知方法 図7A
  • 特許-報知システム、車両搬送システム、コンピュータプログラム及び報知方法 図7B
  • 特許-報知システム、車両搬送システム、コンピュータプログラム及び報知方法 図8
  • 特許-報知システム、車両搬送システム、コンピュータプログラム及び報知方法 図9
  • 特許-報知システム、車両搬送システム、コンピュータプログラム及び報知方法 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】報知システム、車両搬送システム、コンピュータプログラム及び報知方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20240814BHJP
   G08G 1/14 20060101ALI20240814BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20240814BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20240814BHJP
   G16Y 40/30 20200101ALI20240814BHJP
【FI】
G08G1/00 X
G08G1/14 A
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/30
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022075282
(22)【出願日】2022-04-28
(65)【公開番号】P2023164004
(43)【公開日】2023-11-10
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100167461
【弁理士】
【氏名又は名称】上木 亮平
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 雅之
(72)【発明者】
【氏名】前田 岩夫
(72)【発明者】
【氏名】菅野 達也
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 紀尚
(72)【発明者】
【氏名】中村 裕
(72)【発明者】
【氏名】竺原 慶和
(72)【発明者】
【氏名】西川 裕己
【審査官】佐々木 佳祐
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/021457(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0227571(US,A1)
【文献】特開2007-099197(JP,A)
【文献】特表2018-519565(JP,A)
【文献】特開2021-050510(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G16Y 10/40
G16Y 20/20
G16Y 40/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部と通信可能な報知システムであって、
外部からの報知指示に基づいて、自律走行可能な車両搬送装置による車両の搬送作業時に、当該搬送作業が許可を得た第三者によるものであることを周囲に報知するように構成される、
報知システム。
【請求項2】
前記報知システムは、前記車両又は前記車両の搬送作業地点の近傍のインフラ設備に搭載される、
請求項1に記載の報知システム。
【請求項3】
前記報知システムは、
外部と通信する通信装置と、
光、音、画像、又はそれらの組み合わせによって周囲に対する報知を行う報知装置と、
前記通信装置を介して外部から前記報知指示を受信したときに、前記報知装置による報知を行うように構成された制御装置と、
を備える、
請求項1又は請求項2に記載の報知システム。
【請求項4】
車両と関連付けられた端末と、
前記車両を自律走行によって搬送する車両搬送装置と、
周囲に対して報知を行う報知システムと、
前記端末、前記車両搬送装置及び前記報知システムのそれぞれと通信するサーバと、
を備える車両搬送システムであって、
前記サーバは、
前記車両搬送装置から、前記車両の搬送作業を開始するための準備が完了したことを知らせる搬送準備完了信号を受信したときに、前記報知システムに対して、前記車両搬送装置による前記車両の搬送作業が許可を得た第三者によるものであることを周囲に報知するように指示するための報知指示信号を送信するように構成される、
車両搬送システム。
【請求項5】
前記サーバは、
前記端末から前記車両の搬送依頼を受信したときに、前記車両搬送装置に対して前記車両の搬送指示を送信するように構成され、
前記車両搬送装置は、
前記搬送指示を受信したときに前記車両に向けて移動し、前記車両を発見すると前記サーバに対して前記搬送準備完了信号を送信するように構成される、
請求項4に記載の車両搬送システム。
【請求項6】
前記報知システムは、前記車両又は前記車両の搬送作業地点の近傍のインフラ設備に搭載される
請求項4又は請求項5に記載の車両搬送システム。
【請求項7】
前記報知システムは、
前記サーバと通信する通信装置と、
光、音、画像、又はそれらの組み合わせによって周囲に対する報知を行う報知装置と、
前記通信装置を介して前記サーバから前記報知指示信号を受信したときに、前記報知装置による報知を行うように構成された制御装置と、
を備える、
請求項4又は請求項5に記載の車両搬送システム。
【請求項8】
外部と通信可能、かつ周囲に対する報知が可能に構成された報知システムを制御するためのコンピュータプログラムであって、
外部からの報知指示に基づいて、自律走行可能な車両搬送装置による車両の搬送作業時に、当該搬送作業が許可を得た第三者によるものであることを周囲に報知することを、前記報知システムに実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項9】
外部と通信可能な報知システムによる報知方法であって、
外部からの報知指示に基づいて、自律走行可能な車両搬送装置による車両の搬送作業時に、当該搬送作業が許可を得た第三者によるものであることを周囲に報知する、
報知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、報知システム、車両搬送システム、コンピュータプログラム及び報知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自動運転車と自動運転非対応車とが駐車可能な駐車場において、自動運転非対応車を、自走式の車両搬送装置によって入出庫部から駐車場所まで搬送するものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-204373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自律走行する車両搬送装置を用いた車両搬送サービスを提供する場合、或る場所に駐車されている無人状態の車両を、車両搬送装置によってリフトアップし、別の場所まで搬送する必要がある。そのため、例えば人の立ち入りが制限されていない駐車場において、車両搬送装置による車両の搬送作業(特にリフトアップ作業)を唐突に開始してしまうと、周囲の人間が車両搬送装置の動きを予測できずに驚いたり、又は不審に思ったりするおそれがある。
【0005】
本発明はこのような問題点に着目してなされたものであり、車両搬送装置による車両の搬送作業時に周囲の人間を驚かせないように、又は周囲の人間に不審感を与えないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様による報知システムは、外部と通信可能に構成されると共に、外部からの報知指示に基づいて、自律走行可能な車両搬送装置による車両の搬送作業時に、当該搬送作業が許可を得た第三者によるものであることを周囲に報知するように構成される。
【0007】
また上記課題を解決するために、本発明のある態様による車両搬送システムは、車両と関連付けられた端末と、車両を自律走行によって搬送する車両搬送装置と、周囲に対して報知を行う報知システムと、端末、車両搬送及び報知システムのそれぞれと通信するサーバと、を備える。そしてサーバは、車両搬送装置から、車両の搬送作業を開始するための準備が完了したことを知らせる搬送準備完了信号を受信したときに、報知システムに対して、車両搬送装置による車両の搬送作業が許可を得た第三者によるものであることを周囲に報知するように指示するための報知指示信号を送信するように構成される。
【0008】
また上記課題を解決するために、外部と通信可能、かつ周囲に対する報知が可能に構成された報知システムを制御するための、本発明のある態様によるコンピュータプログラムは、外部からの報知指示に基づいて、自律走行可能な車両搬送装置による車両の搬送作業時に、当該搬送作業が許可を得た第三者によるものであることを周囲に報知することを、報知システムに実行させる。
【0009】
また上記課題を解決するために、外部と通信可能な報知システムによる報知方法は、外部からの報知指示に基づいて、自律走行可能な車両搬送装置による車両の搬送作業時に、当該搬送作業が許可を得た第三者によるものであることを周囲に報知する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のこれらの態様によれば、車両搬送装置による車両の搬送作業時には、当該搬送作業が許可を得た第三者によるものであることが周囲に報知されるので、当該搬送作業によって周囲の人間を驚かせたり、又は不審感を与えたりするのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の一実施形態による車両搬送システムの概略構成図である。
図2図2は、車両搬送システムによって提供される車両搬送サービスの一例を示す図である。
図3図3は、本発明の一実施形態によるサーバの概略構成図である。
図4図4は、本発明の一実施形態による端末の概略構成図である。
図5図5は、本発明の一実施形態による報知システムの概略構成図である。
図6図6は、本発明の一実施形態による車両搬送装置の概略上面図である。
図7A図7Aは、台車部がリフトアップされていない状態の車両搬送装置の概略側面図である。
図7B図7Bは、台車部がリフトアップされている状態の車両搬送装置の概略側面図である。
図8図8は、車両搬送装置に搭載される自律走行システムの概略構成図である。
図9図9は、サーバ、端末、車両(報知システム)及び車両搬送装置において実施される、本発明の一実施形態による車両搬送時の処理の内容について説明する動作シーケンス図である。
図10図10は、報知システムがインフラ設備に搭載された一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同様な構成要素には同一の参照番号を付す。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態による車両搬送システム100の概略構成図である。
【0014】
図1に示すように、車両搬送システム100は、サーバ1と、車両搬送サービスを利用する各利用客の端末2と、各端末2に関連付けられた車両3と、自走式の車両搬送装置4と、を備える。車両搬送サービスについては、図2を参照して後述する。
【0015】
サーバ1と、端末2、車両3及び車両搬送装置4とは、光通信回線等で構成されるネットワーク5を介して互いに通信可能となっている。サーバ1は、例えば、不図示のゲートウェイ等を介してネットワーク5と接続される。また、端末2、車両3及び車両搬送装置4は、例えば、無線基地局6などを介してネットワーク5と接続される。
【0016】
図2は、車両搬送システム100によって提供される車両搬送サービスの一例を示す図である。
【0017】
図2に示すように、車両搬送システム100は、車両搬送サービスとして、車両搬送サービスの利用客(以下「サービス利用客」という。)からの入庫依頼に基づいて、所定の入庫スペース101に駐車されたサービス利用客の車両3Aを、自動的に車両搬送装置4Aによってリフトアップし、空いている駐車スペース103まで搬送するサービスを提供する。また車両搬送システム100は、車両搬送サービスとして、サービス利用客からの出庫依頼に基づいて、駐車スペース103に駐車されているサービス利用客の車両3Bを、自動的に車両搬送装置4Bによってリフトアップし、所定の出庫スペース102まで搬送するサービスを提供する。
【0018】
駐車スペース103は、例えば、宿泊施設や商業施設、公共施設、旅客施設、医療施設などの各施設に設置された駐車場内の駐車スペースである。入庫スペース101及び出庫スペース102は、例えば、駐車場の出入口や各施設の出入口などに設置される車両の受け渡し場所であり、車両搬送サービスを提供するにあたって適切な場所に適宜設置すればよいものである。
【0019】
ここで、このような車両搬送サービスを提供する場合、入庫スペース101又は駐車スペース103に駐車されている無人状態の各サービス利用客の車両3を、車両搬送装置4によってリフトアップし、別の場所まで搬送する必要がある。そのため、例えば人の立ち入りが制限されていない駐車場において、車両搬送装置4による車両3の搬送作業(特にリフトアップ作業)を唐突に開始してしまうと、周囲の人間が車両搬送装置4の動きを予測できずに驚いてしまうおそれがある。また、車両搬送装置4による車両3の搬送作業が、車両窃盗犯などの悪意のある第三者によるものであったとしても、周囲の人間は、その搬送作業が車両3の所有者の許可を得た第三者によるものなのか、又は悪意のある第三者によるものなのかを判断することが難しいという問題点もある。
【0020】
そこで本実施形態では、車両3に後述する報知システム30(図5参照)を搭載し、車両搬送装置4による搬送作業時に、自車両に対する搬送作業が許可を得た第三者によるものであることを、周囲(車外の人間)に報知することができるようした。以下、図3から図8を参照して、サーバ1、端末2、車両3(報知システム30)及び車両搬送装置4の詳細について説明した後、図9を参照して、車両搬送サービスを提供するために、サーバ1、端末2、車両3(報知システム30)及び車両搬送装置4において実施される本実施形態による車両搬送処理の一例について説明する。
【0021】
図3は、サーバ1の概略構成図である。
【0022】
サーバ1は、通信インターフェース(通信I/F)11と、記憶装置12と、プロセッサ13と、を備える。
【0023】
通信インターフェース11は、サーバ1をネットワーク5(図1参照)に接続するためのインターフェース回路を有する。サーバ1は、通信インターフェース11及びネットワーク5を介して、端末2、車両3及び車両搬送装置4のそれぞれと通信する。
【0024】
記憶装置12は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、光記録媒体、半導体メモリ等の記憶媒体を有する。記憶装置12は、プロセッサ13によって実行される各種のコンピュータプログラムを記憶する。また記憶装置12は、コンピュータプログラムの実行時に使用される各種のデータを記憶する。
【0025】
本実施形態では記憶装置12は、例えば、各端末2の識別情報や、各端末2に関連付けられた車両3の識別情報及び現在位置情報、各車両搬送装置4の識別情報及び現在位置情報などを、コンピュータプログラムの実行時に使用されるデータとして記憶している。各端末2の識別情報は、例えば、MACアドレスとすることができる。各車両3の識別情報は、例えば、各車両3の車両ナンバーとすることができる。各車両搬送装置4の識別情報は、例えば、各車両搬送装置4の車両ナンバーや車台ナンバーとすることができるである。
【0026】
プロセッサ13は、一又は複数のCPU(Central Processing Unit)と、その周辺回路と、を有する。プロセッサは、論理演算ユニットや数値演算ユニットといった他の演算回路をさらに備えていてもよい。プロセッサは、記憶装置12に記憶された各種のコンピュータプラグラムを実行する。プロセッサ13は、例えば、車両搬送処理のうちのサーバ1に関連する処理を実施する。
【0027】
図4は、端末2の概略構成図である。
【0028】
端末2は、例えば、携帯電話機やタブレットコンピュータなどの携帯端末、又はナビゲーションシステムなどの車載端末であって、ユーザインターフェース21と、無線通信回路22と、位置測定回路23と、記憶装置24と、プロセッサ25と、を備える。サービス利用客は、端末2を操作することによって、サーバ1に対して車両3の入庫依頼及び出庫依頼を行うことができる。なお、各端末2は、全て同一種類の機器であってもよいし、互いに異なる種類の機器であってもよい。
【0029】
ユーザインターフェース21は、例えば、タッチパネルディスプレイである。ユーザインターフェース21は、ユーザ(サービス利用客)による各種の操作に応じた信号を生成し、その信号をプロセッサ25へ出力する。またユーザインターフェース21は、プロセッサ25から受け取った各種の表示用の情報を表示する。
【0030】
無線通信回路22は、例えば、アンテナと、無線信号の変調及び復調といった無線通信に関連する各種の処理を実行する信号処理回路と、を備える。無線通信回路22は、無線基地局6からダウンリンクの無線信号を受信し、また、アップリンクの無線信号を無線基地局6へ送信する。すなわち、無線通信回路22は、無線基地局6から受信したダウンリンクの無線信号から、サーバ1から端末2へ伝送される信号を取り出してプロセッサ25へわたす。また無線通信回路22は、プロセッサ25から受け取ったサーバ1へ送信される信号を含むアップリンクの無線信号を生成し、その無線信号を送信する。
【0031】
位置測定回路23は、端末2の位置を表す情報を取得する。位置測定回路23は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)信号を受信する受信機と、GNSS信号から端末2の位置を算出する演算回路と、を備える。位置測定回路23は、GNSS信号に基づいて端末2の位置を測定し、端末2の位置を測定する度にその位置をプロセッサ25へ通知する。
【0032】
記憶装置24は、例えば、読み書き可能な不揮発性の半導体メモリと、読み書き可能な揮発性の半導体メモリと、を備える。記憶装置24は、プロセッサ25上で実行される各種のアプリケーションプログラム及び各種のデータを記憶する。
【0033】
プロセッサ25は、一又は複数のCPUと、その周辺回路と、を備える。プロセッサ25は、論理演算ユニットや数値演算ユニットといった他の演算回路をさらに備えていてもよい。プロセッサ25は、記憶装置24に記憶された各種のアプリケーションプラグラムを実行する。プロセッサ25は、例えば、車両搬送処理のうちの端末2に関連する処理を実施する。
【0034】
図5は、車両3に搭載される報知システム30の概略構成図である。
【0035】
報知システム30は、無線通信装置31と、報知装置32と、報知制御装置33と、を備える。無線通信装置31及び報知装置32は、CAN等の規格に準拠した、車両3内のネットワーク34を介して報知制御装置33と接続される。
【0036】
無線通信装置31は、無線通信機能を有する車載の端末である。無線通信装置31は、例えば、ネットワーク5(図1参照)と不図示のゲートウェイ等を介して接続される無線基地局6(図1参照)にアクセスすることで、無線基地局6を介してネットワーク5と接続される。これにより、車両3とサーバ1との間で相互に通信が行われる。
【0037】
報知装置32は、車両搬送装置4による搬送作業時に、例えば光、音、画像、又はそれらの組み合わせによって、自車両が搬送対象車両であること(すなわち、車両搬送装置4によって搬送されることに同意していること)を周囲(車外の人間)に報知するための装置である。報知装置32は、このような報知ができるのであれば、その種類が特に限られるものではないが、例えば、車外に向けて音声による各種のアナウンスが可能な車外スピーカ、車外に向けて文字情報や画像情報など表示することが可能な車外ディスプレイ、又は灯具などを挙げることができる。灯具は、専用の灯具であってもよいし、ヘッドライトやウィンカーなどの従来から車両3に装備されている灯具であってもよい。なお、「搬送作業」には、例えば、台車部42の車両下部への挿入前、挿入中、リフトアップ作業の開始前、リフトアップ作業中、リフトアップ後の移動中、及びリフトダウン作業中などの車両搬送のための各段階における作業を含ませることができる。
【0038】
報知制御装置33は、通信インターフェース331と、記憶装置332と、プロセッサ333と、を備える。
【0039】
通信インターフェース331は、報知制御装置33を車両3内のネットワーク34に接続するためのインターフェース回路を備える。すなわち通信インターフェース331は、車両3内のネットワーク34を介して無線通信装置31及び報知装置32と接続される。
【0040】
記憶装置332は、例えば、読み書き可能な不揮発性の半導体メモリと、読み書き可能な揮発性の半導体メモリと、を備える。記憶装置332は、プロセッサ333上で実行される各種のコンピュータプログラム及び各種のデータを記憶する。
【0041】
プロセッサ333は、一又は複数のCPUと、その周辺回路と、を有する。プロセッサは、論理演算ユニットや数値演算ユニットといった他の演算回路をさらに備えていてもよい。プロセッサ333は、記憶装置332に記憶された各種のコンピュータプラグラムを実行する。プロセッサ333は、例えば、車両搬送処理のうちの報知システム30に関連する処理を実施する。
【0042】
続いて、図6から図8を参照して、車両搬送装置4の詳細について説明する。
【0043】
図6は、車両搬送装置4の概略上面図である。図7Aは、車両搬送装置4の台車部42がリフトアップされていない状態(以下「非リフトアップ状態」という。)の車両搬送装置の概略側面図である。図7Bは、車両搬送装置4の台車部42がリフトアップされている状態(以下「リフトアップ状態」という。)の車両搬送装置4の概略側面図である。
【0044】
図6から図7Bに示すように、車両搬送装置4は、自律走行する牽引部41と、牽引部に牽引されて車両3を支持する台車部42と、を備える。
【0045】
牽引部41には、自律走行システム50が搭載されており、当該自律走行システム50によって、加速、操舵及び制動に関する運転操作と、車両3の搬送作業とが、自動的に行われる。自律走行システム50の詳細については、図8を参照して後述する。
【0046】
台車部42は、昇降アクチュエータ(図示せず)によって牽引部41に対して上下方向に昇降させられて、非リフトアップ状態又はリフトアップ状態に切り替えることができるように構成される。昇降アクチュエータの種類や構造は、所望の機能を発揮できるのであれば特に限られるものではなく、例えば電動式、油圧式、又は空圧式のリニアアクチュエータとすることができる。
【0047】
また台車部42は、牽引部41側の第1台車部42Aと、伸縮アクチュエータ(図示せず)によって第1台車部42Aに対して台車部42の前後方向に伸縮可能に構成された第2台車部42Bと、を備える。そして第1台車部42Aには、車両3の前輪又は後輪の一方を支持する第1車輪支持アーム43が設けられ、第2台車部42Bには、車両の前輪又は後輪の他方を支持する第2車輪支持アーム44が設けられる。
【0048】
第1車輪支持アーム43は、台車部42の左右方向に延びる固定アーム431と、回動アクチュエータ(図示せず)によって図6において実線で示す格納位置と破線で示す展開位置との間で回動させることが可能な可動アーム432と、を備える。第2車輪支持アーム44は、回動アクチュエータ(図示せず)によって図6において実線で示す格納位置と破線で示す展開位置との間で回動させることが可能な一対の可動アーム441,442を備える。まお、昇降アクチュエータや回動アクチュエータの種類や構造も、所望の機能を発揮できるのであれば特に限られるものではない。
【0049】
台車部42は、車両3をリフトアップする際に、非リフトアップ状態で車両3のフロント側又はリア側から車両3の底面と地面との間の空間に挿入させられる。そして、車両3のホイールベースに応じて第2台車部42Bを伸縮させた上で、第1車輪支持アーム43及び第2車輪支持アーム44のそれぞれの可動アーム432,441,442を回動させて展開位置にすることによって車両3の前輪及び後輪をそれぞれ挟み込んだ後、リフトアップ状態に切り替えられて、車両3を支持する。
【0050】
図8は、車両搬送装置4に搭載される自律走行システム50の概略構成図である。
【0051】
自律走行システム50は、周辺情報取得装置51と、自車両情報取得装置52と、各種のアクチュエータ類53と、無線通信装置54と、運転制御装置55と、を備える。周辺情報取得装置51、自車両情報取得装置52、各種のアクチュエータ類53及び無線通信装置54は、CAN等の規格に準拠した車両搬送装置4内のネットワーク56を介して運転制御装置55と接続される。
【0052】
周辺情報取得装置51は、車両搬送装置4の周囲の物体(例えば、搬送対象車両を含む周囲の車両や歩行者、道路、建物等の障害物など)のデータを、車両搬送装置4の周辺情報として取得するための装置である。周辺情報取得装置51としては、例えば、車両搬送装置の周囲の物体を撮影するカメラや、車両搬送装置の周囲の物体までの距離を計測するライダ(LiDAR;Light Detection And Ranging)やミリ波レーダセンサなどの測距センサが挙げられるが、これらに限られるものではなく、またカメラや測距センサなどの複数の機器から構成してもよい。周辺情報取得装置51によって取得された車両搬送装置4の周辺情報は、運転制御装置55に送信される。
【0053】
自車両情報取得装置52は、車両搬送装置4の状態に関する各種のデータを、車両搬送装置4の自車両情報として取得するための装置である。本実施形態による自車両情報取得装置52は、車両搬送装置4の速度や加速度、姿勢などを検出する各種のセンサ類や、台車部42の状態(台車部42の昇降状態や各車輪支持アーム43,44の位置など)を検出する各種のセンサ類、車両搬送装置4の現在位置を検出するGNSS受信機などを備える。自車両情報取得装置52によって取得された車両搬送装置4の自車両情報は、運転制御装置55に送信される。
【0054】
各種のアクチュエータ類53は、運転制御装置55によってその動作が制御されるアクチュエータであって、例えば、牽引部41を駆動するための動力を発生させるエンジン又はモータなどの駆動アクチュエータや、牽引部41の進行方向を制御するための操舵アクチュエータ、牽引部41の制動を行うための制動アクチュエータ、台車部42の昇降制御をおこなうための前述した昇降アクチュエータ、台車部42の伸縮制御を行うための前述した伸縮アクチュエータなどのアクチュエータである。
【0055】
無線通信装置54は、無線通信機能を有し、例えば、ネットワーク5と不図示のゲートウェイ等を介して接続される無線基地局6にアクセスすることで、無線基地局6を介してネットワーク5と接続されることができるように構成される。これにより、車両搬送装置4とサーバ1との間で相互に通信が行われる。
【0056】
運転制御装置55は、通信インターフェース551と、記憶装置552と、プロセッサ553と、を備える。
【0057】
通信インターフェース551は、運転制御装置55を車両搬送装置4内のネットワーク56に接続するためのインターフェース回路を備える。すなわち通信インターフェース71は、車両搬送装置4内のネットワーク56を介して周辺情報取得装置51などと接続される。
【0058】
記憶装置552は、HDDやSSD、光記録媒体、半導体メモリ等の記憶媒体を有する。記憶装置は、プロセッサ553によって実行される各種のコンピュータプログラムを記憶する。また記憶装置552は、コンピュータプログラムの実行時に使用される各種のデータを記憶する。また記憶装置552は、車両搬送装置4が使用される領域の詳細な地図情報を記憶する。
【0059】
プロセッサ553は、一又は複数のCPU(Central Processing Unit)と、その周辺回路と、を有する。プロセッサ553は、論理演算ユニットや数値演算ユニットといった他の演算回路をさらに備えていてもよい。プロセッサ553は、記憶装置552に記憶された各種のコンピュータプラグラムを実行し、車両搬送装置4の全体的な動作を統括的に制御する。例えばプロセッサ553は、車両搬送装置4の周辺情報、自車両情報及び地図情報などに基づいて各種のアクチュエータ類53を制御し、これにより、車両搬送装置4の運転操作や車両3の搬送作業が自動的に行われる。またプロセッサ553は、例えば、車両搬送処理のうちの車両搬送装置4に関連する処理を実施する。
【0060】
図9は、車両搬送サービスを提供するために、サーバ1、端末2、車両3(より詳しくは、車両3に搭載された報知システム30)及び車両搬送装置4において実施される本実施形態による車両搬送処理(コンピュータプログラム)の内容について説明する動作シーケンス図である。
【0061】
ステップS101において、端末2は、サービス利用客による車両3の搬送依頼(入庫依頼又は出庫依頼)がユーザインターフェース21を介して行われると、サーバ1に対して、車両3の搬送依頼があったことを知らせる搬送依頼信号を送信する。
【0062】
搬送依頼信号には、例えば、当該信号の送信元となる端末2(以下「送信元端末2」という。)の識別情報と、送信元端末2に関連付けられた車両3、すなわち搬送対象となる車両3(以下「搬送対象車両3」という。)の識別情報及び現在位置情報と、が含まれる。搬送対象車両の識別情報及び現在位置情報は、例えば、サービス利用客による車両3の搬送依頼時に、サービス利用客によってユーザインターフェース21を介して入力される。
【0063】
ステップS102において、サーバ1は、搬送依頼信号を受信すると、例えば、搬送対象車両3の現在位置情報と、車両搬送装置4の現在位置情報及び使用状況と、に基づいて、車両搬送を行う車両搬送装置4を決定し、当該車両搬送装置4に対して車両搬送信号を送信する。車両搬送信号には、例えば、搬送対象車両3の識別情報及び現在位置情報が含まれる。なお車両搬送装置4は、自装置の現在位置情報及び使用状況を、サーバ1に定期的に送信しているものとする。
【0064】
ステップS103において、車両搬送装置4は、車両搬送信号を受信すると、搬送対象車両3の現在位置情報に基づいて、搬送対象車両3の停車位置に向けて移動を開始する。
【0065】
ステップS104において、車両搬送装置4は、搬送対象車両3の停車位置に到着し、例えば周辺情報取得装置51によって搬送対象車両3を認識すると、サーバ1に対して、搬送対象車両3の搬送作業を開始するための準備が完了したことを知らせる搬送準備完了信号を送信する。搬送準備完了信号には、例えば、搬送対象車両3の識別情報が含まれる。
【0066】
ステップS105において、サーバ1は、搬送準備完了信号を受信すると、搬送対象車両3に対して、報知指示信号を送信する。
【0067】
ステップS106において、車両3(より詳しくは車両3に搭載された報知システム30)は、報知指示信号を受信すると、報知装置32によって、自車両に対する搬送作業が許可を得た第三者によるものであることを、周囲(車外の人間)に報知する。
【0068】
なお本実施形態では、図9に示した通り、搬送準備完了信号を受信したサーバ1が、報知指示信号を車両3の報知システム30に送信していたが、これに限らず、例えば、搬送準備完了信号を受信したサーバ1が、端末2にそのことを通知し、端末2から車両3の報知システム30に報知指示信号を送信するようにしてもよい。
【0069】
また本実施形態では、報知システム30を車両3に搭載していたが、これに限らず、例えば図10に示すように、車両3に対する搬送作業が行われる地点、すなわち入庫スペース101や駐車スペース103の近傍に設置された、スマートポールなどのインフラ設備201に、報知システム30を搭載するようにしてもよい。そして搬送作業時には、搬送対象車両3の最寄りのインフラ設備201に搭載された報知システム30によって、搬送対象車両3に対する搬送作業が許可を得た第三者によるものであることを、周囲(車外の人間)に対して報知するようにしてもよい。
【0070】
以上説明した本実施形態による報知システム30は、サーバ1(外部)と通信可能に構成される。そして報知システム30は、サーバ1からの報知指示に基づいて、自律走行可能な車両搬送装置4による車両3の搬送作業時に、当該搬送作業が許可を得た第三者によるものであることを周囲に報知するように構成されている。
【0071】
これにより、車両搬送装置4による車両3の搬送作業時には、当該搬送作業が許可を得た第三者によるものであることが周囲に報知されるので、当該搬送作業によって周囲の人間を驚かせたりするのを抑制することができる。また、当該搬送作業を周囲の人間に不審に思うことを抑制することができる。
【0072】
特に本実施形態では、報知システム30が、車両搬送装置4ではなく車両3に搭載されている。車両搬送装置4によって報知が行われる場合は、車両窃盗犯などの悪意のある第三者が周囲の人間を欺くために車両搬送装置4による報知を行っている可能性を否定できないが、本実施形態では搬送されている車両3自体(車両3に搭載された報知システム30)が報知を行うので、車両搬送装置4による車両3の搬送が、車両3の所有者の許可を得た第三者によるものであることを、周囲の人間が容易に判断することができる。報知システム30が車両3の搬送作業地点の近傍のインフラ設備201に搭載されている場合も、同様の作用効果を得ることができる。
【0073】
また本実施形態による車両搬送システム100は、車両3と関連付けられた端末2と、車両3を自律走行によって搬送する車両搬送装置4と、周囲に対して報知を行う報知システム30と、端末2、車両搬送装置4及び報知システム30のそれぞれと通信するサーバ1と、を備える。
【0074】
そしてサーバ1は、車両搬送装置4から、車両3の搬送作業を開始するための準備が完了したことを知らせる搬送準備完了信号を受信したときに、報知システム30に対して、車両搬送装置4による車両3の搬送作業が許可を得た第三者によるものであることを周囲に報知するように指示するための報知指示信号を送信するように構成される。
【0075】
またサーバ1は、端末2から車両3の搬送依頼を受信したときに、車両搬送装置4に対して車両3の搬送指示を送信するように構成され、車両搬送装置4は、搬送指示を受信したときに車両3に向けて移動し、車両3を発見するとサーバ1に対して搬送準備完了信号を送信するように構成される.
【0076】
これにより、車両搬送装置4による車両3の搬送作業時には、当該搬送作業が許可を得た第三者によるものであることが周囲に報知されるので、当該搬送作業によって周囲の人間を驚かせたりするのを抑制することができる。また、当該搬送作業を周囲の人間に不審に思うことを抑制することができる。
【0077】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0078】
例えば上記の実施形態において、報知システム30の報知制御装置33において実行されるコンピュータプログラムは、半導体メモリ、磁気記録媒体または光記録媒体といった、コンピュータ読取可能な可搬性の記録媒体に記録された形で提供されてもよい。
【0079】
1 サーバ
2 端末
3 車両
4 車両搬送装置
30 報知システム
31 無線通信装置(通信装置)
32 報知装置
33 報知制御装置(制御装置)
100 車両搬送システム
201 インフラ設備
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10