(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】電子機器および時計
(51)【国際特許分類】
G04G 17/06 20060101AFI20240814BHJP
G04C 3/00 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
G04G17/06
G04C3/00 J
(21)【出願番号】P 2022088952
(22)【出願日】2022-05-31
【審査請求日】2023-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096699
【氏名又は名称】鹿嶋 英實
(74)【代理人】
【識別番号】100171882
【氏名又は名称】北庄 麗絵子
(72)【発明者】
【氏名】猪木 洋樹
【審査官】吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】実開平2-3669(JP,U)
【文献】実開昭59-168187(JP,U)
【文献】特開2014-6145(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04G 3/00-99/00
G04C 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のコンタクト部材と、
前記第1のコンタクト部材に対向して配置された第2のコンタクト部材と、
前記第1のコンタクト部材と前記第2のコンタクト部材とを電気的に接続する弾性導電部材と、
前記弾性導電部材を前記第1のコンタクト部材と前記第2のコンタクト部材との対向方向に沿ってガイドするガイド部、および前記ガイド部を前記第1のコンタクト部材と前記第2のコンタクト部材との対向方向に弾性変位可能に保持する
ばね部を有する弾性ガイド保持部材と、
を備え
、
前記ばね部は、前記ガイド部から一方側と当該一方側とは異なる他方側に向けてそれぞれ延びる第1延部と、各当該第1延部から各当該第1延部とは異なる方向に向けてそれぞれ湾曲する曲線部と、各当該曲線部から前記第1延部の延びる方向と異なる方向にそれぞれ延びる第2延部と、を含むことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
前記弾性導電部材は、コイルばねであり、
前記弾性ガイド保持部材の前記ガイド部は、前記コイルばねが挿入される筒状部であることを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項
1に記載の電子機器において、
前記第2のコンタクト部材は、その平面において回転移動しながら前記第1のコンタクト部材と前記第2のコンタクト部材との対向方向に移動する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1に記載の電子機器において、
前記第1のコンタクト部材は、ケース内に配置されるハウジングに搭載されており、
前記弾性ガイド保持部材は、前記ハウジングを保持して前記ケース内に収容する中枠に設けられている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項
4に記載の電子機器において、
前記第2のコンタクト部材は、前記ケースの下部に回転しながら螺合する裏蓋の内面に取り付けられている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項1に記載の電子機器を備えていることを特徴とする時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、腕時計などの電子機器および時計に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、腕時計などの電子機器においては、特許文献1に記載されているように、回路基板とソーラーパネルとの間に筒状部材を配置し、この筒状部材内にコイルばねを挿入させて配置し、このコイルばねで回路基板とソーラーパネルとを電気的に接続する構造のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
このような電子機器は、コイルばねの一端部が筒状部材の一端部から突出して回路基板とソーラーパネルとの一方に弾力的に接触する構造であるため、回路基板とソーラーパネルとの一方が回転移動すると、筒状部材の一端部から突出したコイルばねの一端部が座屈などの曲がり変形をする場合があり、安定した状態で回路基板とソーラーパネルとを確実に接続することができない。
【0005】
そのため、このような電子機器では、回路基板とソーラーパネルとの一方とこれに対応する筒状部材の一端部との間に隙間を設け、この隙間に座屈防止部を設け、この座屈防止部によってコイルばねの一端部における座屈などの曲がり変形を抑制して、回路基板とソーラーパネルとを安定させた状態で接続している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような電子機器では、座屈防止部によって座屈などの曲がり変形を抑制することができても、座屈防止部によって回路基板とソーラーパネルとの一方に対する応力が増大し、回路基板とソーラーパネルとに対する反発力が高くなり、ソーラーパネルに対する応力の負荷が大きくなるという問題がある。
【0007】
この発明が解決しようとする課題は、座屈などの曲がり変形を防いで、応力を緩和させて負荷を抑制することができる電子機器および時計を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、第1のコンタクト部材と、前記第1のコンタクト部材に対向して配置された第2のコンタクト部材と、前記第1のコンタクト部材と前記第2のコンタクト部材とを電気的に接続する弾性導電部材と、前記弾性導電部材を前記第1のコンタクト部材と前記第2のコンタクト部材との対向方向に沿ってガイドするガイド部、および前記ガイド部を前記第1のコンタクト部材と前記第2のコンタクト部材との対向方向に弾性変位可能に保持するばね部を有する弾性ガイド保持部材と、を備え、前記ばね部は、前記ガイド部から一方側と当該一方側とは異なる他方側に向けてそれぞれ延びる第1延部と、各当該第1延部から各当該第1延部とは異なる方向に向けてそれぞれ湾曲する曲線部と、各当該曲線部から前記第1延部の延びる方向と異なる方向にそれぞれ延びる第2延部と、を含むことを特徴とする電子機器である。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、座屈などの曲がり変形を防いで、応力を緩和させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】この発明を腕時計に適用した一実施形態を示した拡大斜視図である。
【
図2】
図1に示された腕時計を斜め下側から見た拡大斜視図である。
【
図3】
図2に示された腕時計において裏蓋を取り外した状態を示した拡大下面図である。
【
図4】
図3に示された腕時計のA-A矢視において、上下反転させて示した拡大断面図である。
【
図5】
図4に示された腕時計において、腕時計ケースの下部に裏蓋を取り付けた状態を示した拡大断面図である。
【
図6】
図5に示された腕時計ケース内に配置される時計モジュールを中枠に収納させた状態を上側から見た拡大斜視図である。
【
図7】
図6に示された中枠を備えた時計モジュールを下側から見た拡大斜視図である。
【
図8】
図6に示された時計モジュールを上側から見た拡大斜視図である。
【
図9】
図8に示された時計モジュールを下側から見た拡大斜視図である。
【
図10】
図7に示された中枠を下側から見た拡大斜視図である。
【
図11】
図2に示した裏蓋を示し、(a)はその裏蓋を上面側から見た拡大斜視図、(b)は(a)のB-B矢視において要部を拡大して示した断面図である。
【
図12】
図4に示された腕時計のA部を示し、(a)はそのA部の拡大断面図、(b)は(a)の下側に裏蓋を取り付けた状態を示した拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、
図1~
図12を参照して、この発明を腕時計に適用した一実施形態について説明する。
この腕時計は、
図1および
図2に示すように、腕時計ケース1を備えている。この腕時計ケース1の12時側と6時側とには、時計バンド(図示せず)が取り付けられるバンド取付部2がそれぞれ設けられている。この腕時計ケース1の2時側、4時側、8時側、および10時側には、押釦スイッチ3がそれぞれ設けられている。
【0012】
この腕時計ケース1は、
図2~
図5に示すように、本体ケース4と外装ケース5とを備えている。本体ケース4は、ステンレスなどの金属、または剛性の高い合成樹脂によってほぼ円筒状に形成されている。この本体ケース4の12時側と6時側とには、バンド取付部2の本体部2aがそれぞれ設けられている。また、この本体ケース4内における内周部には、
図4および
図5に示すように、鍔部4aがリング状に突出して設けられている。
【0013】
また、外装ケース5は、
図4および
図5に示すように、本体ケース4の外周部に配置される第1外装部材5aと、この第1外装部材5aおよび本体ケース4の上部にこれらを覆って配置される第2外装部材5bと、を備えている。第1外装部材5aおよび第2外装部材5bは、本体ケース4と同様、ステンレスなどの金属、または剛性の高い合成樹脂によって形成されている。
【0014】
この場合、第1外装部材5aの12時側と6時側とには、
図4および
図5に示すように、バンド取付部2の本体部2a上に配置されるバンド取付部2の第1カバー部2b(
図4では12時側のみを示す)がそれぞれ設けられている。また、第2外装部材5bの12時側と6時側とには、第1外装部材5aに設けられたバンド取付部2の第1カバー部2b、および本体ケース4に設けられたバンド取付部2の本体部2aを覆って配置されるバンド取付部2の第2カバー部2c(
図4では12時側のみを示す)がそれぞれ設けられている。
【0015】
ところで、本体ケース4の上側開口部には、
図4および
図5に示すように、時計ガラス6がパッキン6aを介して取り付けられている。この場合、時計ガラス6の下側には、時字7a(
図1参照)を有するリング形状の見切り部材7が本体ケース4内の鍔部4a上に配置された状態で設けられている。この本体ケース4の下部には、裏蓋8が防水リング8aを介して取り付けられている。この裏蓋8は、ステンレスなどの導電性を有する金属によって形成されている。
【0016】
この場合、裏蓋8は、
図4および
図5に示すように、その内面である上面における外周側に円形状の枠状部8bが設けられている。この枠状部8bの外周面には、雄ねじ部8cが設けられている。これにより、裏蓋8は、雄ねじ部8cが本体ケース4の下側開口部の内周面に設けられた雌ねじ部4bに螺合して締め付けられることにより、本体ケース4の下部に防水リング8aを介して取り付けられるように構成されている。
【0017】
すなわち、この裏蓋8は、
図4および
図5に示すように、雄ねじ部8cが本体ケース4の雌ねじ部4bに螺合して締め付けられる際に、裏蓋8の面方向において回転しながら腕時計ケース1の表裏面方向、つまり腕時計ケース1の上下方向に移動するように構成されている。また、この本体ケース4の内部には、時計モジュール10が中枠9(
図10参照)を介して設けられている。
【0018】
この時計モジュール10は、
図4~
図9に示すように、中枠9内に配置されるハウジング11を備えている。このハウジング11内には、時針や分針などの指針12aが運針して時刻を指示表示する時刻指示表示部12と、時刻や日付、曜日などの情報を電気光学的に表示する表示パネル13と、電池15の残量などの副機能情報を指示するための副針14aが運針して副機能情報を指示表示する副情報表示部14と、電池15(
図9参照)と、が設けられている。
【0019】
このハウジング11の下部には、
図4~
図9に示すように、第1のコンタクト部材である回路基板16が設けられている。この回路基板16には、時刻指示表示部12、表示パネル13、副情報表示部14、および電池15のほか、後述するソーラーパネル22や圧電素子25などの電子部品がそれぞれ電気的に接続されている。この場合、回路基板16の下側には、地板17が設けられている。この地板17は、回路基板16をハウジング11の下面に取り付けるためのものであり、ステンレスなどの金属薄板によって形成されている。
【0020】
すなわち、この地板17は、
図4および
図5に示すように、その外周部に複数のフック部17aがハウジング11の外周面に沿って起立して設けられ(
図9参照)、これら複数のフック部17aがハウジング11の外周面に設けられた複数の突起部11bにそれぞれ係脱可能に係止されることにより、回路基板16をハウジング11の下面に押し当てて取り付けるように構成されている。
【0021】
また、この地板17の複数のフック部17aには、
図8および
図9に示すように、接点ばね17bがそれぞれ設けられている。これら複数の接点ばね17bは、ハウジング11の外周に沿って延びる板ばねであり、複数の押釦スイッチ3にそれぞれ対応して設けられている。すなわち、これら複数の接点ばね17bは、押釦スイッチ3を腕時計ケース1の外部に向けて押し出す方向に付勢し、その付勢力に抗して押釦スイッチ3が押された際に、回路基板16の接点(図示せず)に接離可能に接触して、押釦スイッチ3をスイッチ動作させるように構成されている。
【0022】
一方、ハウジング11の上面には、
図4および
図5に示すように、リング状の押え板18を介して第1の文字板20が配置されている。この第1の文字板20は、その外周がハウジング11の外周とほぼ同じ大きさで、且つ押え板18の外周ともほぼ同じ大きさに形成されている。これにより、第1の文字板20は、その外周部が押え板18上に配置された状態で、本体ケース4の鍔部4aの下面に対応して配置されるよう構成されている。
【0023】
この場合、リング状の押え板18の内側には、
図4に示すように、第2の文字板21とソーラーパネル22とが積層されて配置されている。ソーラーパネル22は、ハウジング11の上面に配置されており、このソーラーパネル22の外周部は、押え板18の内周側の下面に設けられた段差部18aに配置されている。第2の文字板21は、その外周が押え板18の内周とほぼ同じ大きさに形成されて、押え板18の内周部内に配置させた状態で、ソーラーパネル22上に配置されている。
【0024】
第1の文字板20は、
図1、
図4~
図6に示すように、その上方を時刻指示表示部12の指針12aが運針するものであり、光透過性を有するポリカーボネート(PC)などの合成樹脂によって形成されている。第2の文字板21は、その上方を副情報表示部14の副針14aが運針するものであり、第1の文字板20と同様、光透過性を有するポリカーボネート(PC)などの合成樹脂によって形成されている。
【0025】
これにより、ソーラーパネル22は、
図4および
図5に示すように、腕時計ケース1の外部から時計ガラス6を透して腕時計ケース1内に入射した外部光が、第1の文字板20および第2の文字板21を透過して照射され、この照射された外部光によって起電力を発生させることにより、発電するように構成されている。
【0026】
また、第1の文字板20の5時側、第2の文字板21の5時側、ソーラーパネル22の5時側、およびハウジング11の5時側には、
図1、
図6、
図8に示すように、表示パネル13の表示領域が対応するほぼ菱形状の表示窓部20bが設けられている。また、第1の文字板20の中心部、第2の文字板21の中心部、ソーラーパネル22の中心部、およびハウジング11の中心部には、時刻指示表示部12の指針12aが取り付けられる指針軸(図示せず)が挿入する貫通孔(図示せず)が上下に貫通して設けられている。
【0027】
さらに、第1の文字板20の9時側には、
図4、
図5および
図8に示すように、副情報表示部14の副針14aが運針する副表示領域に対応する副表示開口部20aが円形状に設けられている。第2の文字板21の9時側の箇所、ソーラーパネル22の9時側の箇所、およびハウジング11の9時側の箇所には、副情報表示部14の副針14aが取り付けられる副針軸14bが挿入する挿入孔23が、第1の文字板20の副表示開口部20aの中心部に対応した状態で、上下に貫通して設けられている。
【0028】
この場合、第1の文字板20の副表示開口部20aの外周部上には、
図3~
図5、
図8に示すように、飾り部24がほぼ半円弧状に設けられている。この飾り部24は、装飾性を有する補強部材であり、副針14aの指示によって電池15の残量などの副機能情報を表す目盛(図示せず)が表示されている。また、この飾り部24は、剛性の高い合成樹脂によって形成されている。これにより、時計モジュール10は、飾り部24に対応する箇所の撓み変形が抑えられるように構成されている。
【0029】
ところで、腕時計ケース1の下部に取り付けられる裏蓋8の内面である上面には、
図5および
図11に示すように、第2のコンタクト部材である圧電素子(ピエゾ素子)25が接着層26によって貼り付けられている。この圧電素子25は、電圧が印加されると、振動して音を放音するものである。この圧電素子25は、
図11(b)に示すように、その下面の中央部に導電部27が設けられ、この導電部27によって裏蓋8と電気的に接続されるように構成されている。
【0030】
この場合、裏蓋8は、
図3、
図7、
図9に示すように、地板17の4時側に設けられた板ばね部17cが圧電素子25の外周側に位置する裏蓋8の上面(内面)に接触して導通するように構成されている。これにより、板ばね部17cは、裏蓋8を介して回路基板16と圧電素子25の下面とを電気的に接続するように構成されている。
【0031】
また、この圧電素子25の上面には、
図11(b)に示すように、導電保護板28が設けられている。この導電保護板28は、圧電素子25の上面を保護するためのものであり、ステンレスなどの導電性を有する金属によって形成されている。これにより、圧電素子25は、その上面が導電保護板28を介して弾性導電部材であるコイルばね30によって回路基板16と電気的に接続されている。
【0032】
コイルばね30は、
図12(a)および
図12(b)に示すように、ステンレスなどの導電性を有する金属によって形成されている。このコイルばね30は、大径部30aと小径部30bとを備えている。大径部30aは、その外径が回路基板16にその上下に貫通して設けられた接続孔31の内径よりも大きく形成されている。小径部30bは、その外径が回路基板16の接続孔31の内径よりも少し小さく形成されている。
【0033】
この小径部30bは、
図12(a)および
図12(b)に示すように、その軸方向の長さつまり上下方向の長さが、大径部30aの上下方向の長さよりも大幅に長く、且つ回路基板16から中枠9の底部までの長さよりも少し長く形成されている。これにより、コイルばね30は、小径部30bが回路基板16の接続孔31に上方から挿入されて、回路基板16の下側に突出し、この突出した下端部が裏蓋8の圧電素子25の上面に導電保護板28を介して弾力的に接触して、圧電素子25の上面と回路基板16とを電気的に接続するように構成されている。
【0034】
また、このコイルばね30は、
図12(a)および
図12(b)に示すように、小径部30bが回路基板16の下側に突出した状態で、大径部30aがハウジング11に設けられた押え部材11cによって回路基板16の接続孔31の外周部の上面に弾力的に押し付けられるように構成されている。
【0035】
この場合、コイルばね30は、大径部30aが回路基板16の上面に押え付けられた際に、回路基板16の接続孔31の外周部の上面に設けられた電極(図示せず)に接触して、大径部30aが回路基板16と電気的に接続されるように構成されている。これにより、コイルばね30は、導電保護板28を介して圧電素子25の上面と回路基板16とを電気的に接続するように構成されている。
【0036】
また、このコイルばね30は、
図12(a)および
図12(b)に示すように、弾性ガイド保持部材である弾性ガイド保持部32によって、小径部30bが回路基板16と圧電素子25との対向方向である上下方向に変位可能にガイドされるように構成されている。すなわち、弾性ガイド保持部32は、
図3、
図7、
図10に示すように、ハウジング11を収容して保持する中枠9の底部における中心部からほぼ10時側の箇所までの間に位置する領域に設けられた開口部33内に設けられている。
【0037】
この場合、中枠9は、ポリアセタール(POM)などの合成樹脂によって形成されている。弾性ガイド保持部32は、
図3、
図7、
図10、
図12に示すように、中枠9と同じポリアセタール(POM)などの合成樹脂によって中枠9の底部に一体に形成されている。この弾性ガイド保持部32は、コイルばね30の小径部30bを上下方向にガイドするガイド部34と、このガイド部34を上下方向に弾性変位可能に保持する弾性保持部であるばね部35と、を備えている。
【0038】
ガイド部34は、
図3、
図7、
図10、
図12に示すように、コイルばね30の小径部30bがその軸方向つまり上下方向に移動可能に挿入する筒状部であり、中枠9の底部の厚みとほぼ同じ長さ(高さ)で形成されている。ばね部35は、複数の板ばねを備え、これら全体が平面視においてほぼS字形状に形成されている。このばね部35である複数の板ばねは、中枠9の底部の厚みのほぼ半分程度の厚みで形成され、平面視におけるほぼS字形状の中心部に円筒状のガイド部34が設けられ、且つほぼS字形状の両端部が中枠9の開口部33の縁部に連結されている。
【0039】
すなわち、ばね部35である複数の板ばねは、
図3、
図7、
図10、
図12に示すように、ガイド部34の外周から互いに相反する方向に向けてそれぞれ延びる複数の第1延部35aと、これら複数の第1延部35aから相反する方向と異なる方向に向けてそれぞれ湾曲する複数の曲線部35bと、これら複数の曲線部35bから複数の第1延部35aの延びる方向とそれぞれ異なる方向に延びて中枠9の開口部33の縁部にそれぞれ到達する複数の第2延部35cと、を備えている。
【0040】
例えば、複数の第1延部35aは、
図3に示すように、ガイド部34の外周面における相反する7時側と1時側との箇所から1時側と7時側との相反する方向に向けてそれぞれ延びている。複数の曲線部35bのうち、7時側の曲線部35bは、7時側の第1延部35aの端部から4時側に向けて湾曲している。1時側の曲線部35bは、1時側の第1延部35aの端部から10時側に向けて湾曲している。
【0041】
複数の第2延部35cのうち、4時側の第2延部35cは、
図3に示すように、7時側の曲線部35bの4時側の端部から1時側に向けて直線的に延びて中枠9の開口部33の内周部における1時側の縁部に到達している。10時側の第2延部35cは、1時側の曲線部35bの10時側の端部から7時側に向けて直線的に延びて中枠9の開口部33の内周部における7時側の縁部に到達している。
【0042】
これにより、ばね部35は、
図12(a)および
図12(b)に示すように、複数の板ばねによって全体が平面視においてほぼS字形状に形成されていることにより、ガイド部34が横振れせずに、ガイド部34を時計モジュール10の上下方向において直線的つまり垂直方向に弾性変位させるように構成されている。
【0043】
このため、コイルばね30は、
図12(a)および
図12(b)に示すように、小径部30bが回路基板16の接続孔31に挿入されて、大径部30aが回路基板16の上面の電極(図示せず)に押し当てられた状態で、腕時計ケース1の下部に裏蓋8が取り付けられる際に、裏蓋8と共に圧電素子25が回転移動しながら徐々に押し上げられて小径部30bの下端部に導電保護板28を介して押し当てられても、弾性ガイド保持部32によって小径部30bが座屈などの曲がり変形を起こさないように構成されている。
【0044】
すなわち、コイルばね30は、
図12(a)および
図12(b)に示すように、小径部30bの下端部が導電保護板28を介して圧電素子25に押し当てられた状態で、腕時計ケース1の下部に取り付けられる裏蓋8と共に、圧電素子25が回転移動しながら徐々に押し上げられる際に、圧電素子25の回転移動に伴って小径部30bの下端部が圧電素子25の導電保護板28上を相対的に移動しても、コイルばね30の小径部30bが弾性ガイド保持部32のガイド部34によって上下方向にガイドされるので、小径部30bが座屈などの曲がり変形を起こすことなく圧縮変形するように構成されている。
【0045】
また、このコイルばね30は、
図12(a)および
図12(b)に示すように、腕時計ケース1の下部に取り付けられる裏蓋8と共に、圧電素子25が回転移動しながら徐々に押し上げられる際に、圧電素子25の導電保護板28の上面が弾性ガイド保持部32のガイド部34の下端面に接近または接触することにより、座屈防止部を備えた先行文献のものよりも、圧電素子25に対するコイルばね30の応力が緩和されて、圧電素子25に対するコイルばね30の反発力が小さく抑えられ、圧電素子25に対する応力の負荷が抑制されるように構成されている。
【0046】
これにより、圧電素子25は、
図12(a)および
図12(b)に示すように、コイルばね30の小径部30bの下端部が導電保護板28を介して押し当てられた際に、座屈防止部を備えた先行文献のものよりも、圧電素子25に対するコイルばね30の反発力が小さく抑えられて、圧電素子25に対する応力の負荷が抑制されていることにより、圧電素子25に電圧が印加されて、圧電素子25が振動する際に、その圧電素子25の振動による音量が規定値を満たすように構成されている。
【0047】
また、このコイルばね30は、
図12(a)および
図12(b)に示すように、裏蓋8が回転して緩められる際に、圧電素子25が裏蓋8と共に回路基板16から離れる方向つまり下側に向けて移動して、小径部30bが徐々に膨張して伸びて弾性ガイド保持部32のガイド部34から下側に徐々に突出するように構成されている。
【0048】
これにより、このコイルばね30は、
図12(a)および
図12(b)に示すように、裏蓋8が本体ケース4から取り外された際に、小径部30bが初期状態に戻ると共に、弾性ガイド保持部32のガイド部34およびばね部35も初期状態に戻るように構成されている。このため、ばね部35は、裏蓋8が本体ケース4に螺合して締め付けられた際に、塑性変形しないように形成されている。
【0049】
次に、このような腕時計を組み立てる場合について説明する。
この場合には、予め、時計モジュール10を組み立てる。このときには、まず、ハウジング11に時刻指示表示部12と表示パネル13と副情報表示部14とを配置させる。すなわち、時刻指示表示部12をハウジング11のほぼ中央部に対応させて配置させ、表示パネル13をハウジング11の5時側に対応させて配置させ、副情報表示部14をハウジング11のほぼ9時側に対応させて配置させる。
【0050】
この状態で、ハウジング11の下面に回路基板16を配置させる。このときには、時刻指示表示部12と表示パネル13と副情報表示部14とを回路基板16に電気的に接続させる。また、このときには、回路基板16にコイルばね30を取り付ける。すなわち、回路基板16に設けられた接続孔31にコイルばね30の小径部30bを上方から挿入させて回路基板16の下側に突出させ、この状態で大径部30aを接続孔31の外周部の上面に配置させる。
【0051】
そして、回路基板16の下側に地板17を配置させて、地板17の外周部に起立して設けられた複数のフック部17aをハウジング11の外周部に設けられた複数の突起部11bにそれぞれ係止させる。これにより、回路基板16が地板17によってハウジング11の下面に押し付けられて取り付けられると共に、複数のフック部17aに設けられた接点ばね17bがそれぞれハウジング11の2時側、4時側、8時側、および10時側の箇所に配置される。
【0052】
このときには、コイルばね30の大径部30aがハウジング11に設けられた押え部材11cによって回路基板16の上面に押し付けられる。これにより、大径部30aは、回路基板16の接続孔31の外周部に設けられた電極(図示せず)に弾接して回路基板16と電気的に接続される。また、このときには、時刻指示表示部12と表示パネル13と副情報表示部14とが回路基板16と電気的に接続された状態で、ハウジング11内に組み付けられる。
【0053】
そして、ハウジング11の上面にソーラーパネル22を配置させると共に、このソーラーパネル22上に第2の文字板21を配置させる。この状態で、ソーラーパネル22および第2の文字板21の外周側に位置するハウジング11の上面にリング状の押え板18を配置させ、この押え板18上に第1の文字板20を配置させる。このときには、ソーラーパネル22の中心部、第2の文字板21の中心部、および第1の文字板20の中心部にそれぞれ同一軸上に対応して設けられた貫通孔(図示銭司)に時刻指示表示部12の指針軸(図示せず)を挿入させる。
【0054】
また、このときには、ソーラーパネル22のほぼ5時側、第2の文字板21のほぼ5時側、および第1の文字板20のほぼ5時側にそれぞれ同一軸上に対応して設けられた表示窓部20bに、表示パネル13の表示領域を対応させる。さらに、このときには、ソーラーパネル22のほぼ9時側および第2の文字板21のほぼ9時側にそれぞれ同一軸上に対応して設けられた挿入孔23に副情報表示部14の副針軸14bを挿入させ、この挿入した副針軸14bを第1の文字板20のほぼ9時側に設けられた円形状の副表示開口部20a内に配置させる。
【0055】
この状態で、時刻指示表示部12の指針軸(図示せず)に指針12aを取り付けると、指針12aが第1の文字板20の上方を運針可能な状態になる。また、この状態で、副情報表示部14の副針軸14bに副針14aを取り付けると、副針14aが第1の文字板20の円形状の副表示開口部20a内に配置されて、第2の文字板21の上方を運針可能な状態になる。これにより、時計モジュール10が組み立てられる。
【0056】
次に、このように組み立てられた時計モジュール10を腕時計ケース1内に組み込む場合について説明する。
この場合には、予め、腕時計ケース1の本体ケース4内の上部にリング形状の見切り部材7を上側から挿入させて、本体ケース4内に設けられたリング状の鍔部4a上に配置させる。この状態で、本体ケース4の上側開口部に時計ガラス6をパッキン6aと共に上側から嵌め込み、この嵌め込まれた時計ガラス6で見切り部材7を本体ケース4の鍔部4a上に押し付けて固定させる。
【0057】
そして、時計モジュール10の下面に第1の緩衝部材36を配置させて、時計モジュール10を中枠9内に配置させる。このときには、回路基板16の下側に突出したコイルばね30の小径部30bを中枠9の底部に設けられた弾性ガイド保持部32のガイド部34内に挿入させて、小径部30bの下端部をガイド部34の下側に突出させる。この状態で、時計モジュール10を中枠9と共に本体ケース4内に下側から挿入させて、時計モジュール10の第1の文字板20の外周部を本体ケース4の鍔部4aの下面に当接させる。
【0058】
そして、本体ケース4の2時側、4時側、8時側および10時側に押釦スイッチ3を取り付ける。このときには、複数の押釦スイッチ3が時計モジュール10の地板17に設けられた複数の接点ばね17bにそれぞれ対応する。この状態で、本体ケース4の外周に外装ケース5を取り付ける。このときには、本体ケース4の外周部に外装ケース5の第1外装部材5aを取り付ける共に、この第1外装部材5aの外周部および本体ケース4の上部に外装ケース5の第2外装部材5bを取り付ける。これにより、腕時計ケース1が組み立てられる。
【0059】
この状態で、腕時計ケース1の下部、つまり本体ケース4の下部に裏蓋8を取り付ける。このときには、予め、中枠9の底部の下面に第2の緩衝部材37を配置させる。また、このときには、裏蓋8の内面(上面)に接着層26によって圧電素子25を取り付ける。この場合には、圧電素子25の下面における中央部に設けられた導電部27によって圧電素子25の下面と裏蓋8とが電気的に接続される。そして、圧電素子25の上面に導電保護板28を配置させて、裏蓋8を本体ケース4の下部に取り付ける。
【0060】
このときには、本体ケース4の下側開口部の内周面に設けられた雌ねじ部4bに、裏蓋8の枠状部8bの外周面に設けられた雄ねじ部8cを螺合させて締め付ける。これにより、裏蓋8が本体ケース4の下部に取り付けられる。このときには、裏蓋8がその面方向において回転しながら本体ケース4の上側に向けて徐々に移動するので、コイルばね30の小径部30bが弾性ガイド保持部32のガイド部34にガイドされて、小径部30bの下部がガイド部34内に圧縮されながら押し込まれる。
【0061】
このときには、ガイド部34がばね部35によって時計モジュール10の上下方向に弾性変位可能に保持されている。すなわち、ばね部35は、複数の板ばねによって全体が平面視においてほぼS字形状に形成されていることにより、ガイド部34を横振れさせずに時計モジュール10の上下方向において直線的つまり垂直方向に弾性変位させる。
【0062】
このため、コイルばね30は、小径部30bが回路基板16の接続孔31に挿入されて、大径部30aが回路基板16の上面の電極(図示せず)に押し当てられた状態で、腕時計ケース1の下部に裏蓋8が取り付けられる際に、裏蓋8と共に圧電素子25が回転移動しながら徐々に押し上げられて導電保護板28を介して小径部30bの下端部に押し当てられても、弾性ガイド保持部32によって小径部30bが座屈などの曲がり変形を起こすことなく、圧縮変形する。
【0063】
すなわち、コイルばね30は、小径部30bの下端部が導電保護板28を介して圧電素子25に押し当てられた状態で、腕時計ケース1の下部に取り付けられる裏蓋8と共に、圧電素子25が回転移動しながら徐々に押し上げられる際に、圧電素子25の回転移動に伴って小径部30bの下端部が圧電素子25の導電保護板28上を相対的に移動しても、コイルばね30の小径部30bが弾性ガイド保持部32のガイド部34によって上下方向にガイドされるので、小径部30bが座屈などの曲がり変形を起こすことがない。
【0064】
また、このコイルばね30は、腕時計ケース1の下部に取り付けられる裏蓋8と共に、圧電素子25が回転移動しながら徐々に押し上げられる際に、圧電素子25の導電保護板28の上面が弾性ガイド保持部32のガイド部34の下端面に接近または接触することにより、座屈防止部を備えた先行文献のものよりも、圧電素子25に対する中枠9(ガイド部34)の応力が緩和されて、圧電素子25に対する中枠9(ガイド部34)の反発力が小さく抑えられ、これにより圧電素子25に対する負荷が抑制されて、回路基板16と圧電素子25の上面とが接続される。
【0065】
この状態では、コイルばね30の小径部30bの下端部が導電保護板28を介して圧電素子25に押し当てられた際に、座屈防止部を備えた先行文献のものよりも、圧電素子25に対する中枠9(ガイド部34)の反発力が小さく抑えられて、圧電素子25に対する応力の負荷が抑制されることにより、圧電素子25に電圧が印加されて、圧電素子25が振動した際に、その圧電素子25の振動による音量が規定値を満たす。
【0066】
このときには、地板17の4時側に設けられた板ばね部17cが圧電素子25の外周側に位置する裏蓋8の内面に弾力的に接触する。これにより、圧電素子25の下面が接続された裏蓋8が回路基板16と電気的に接続される。このため、圧電素子25は、その上面側の電極がコイルばね30によって回路基板16に接続され、圧電素子25の下面側の電極が地板17の板ばね部17cによって回路基板16に接続されることにより、回路基板16と電気的に接続されている。
【0067】
ところで、裏蓋8を本体ケース4の下部から取り外す際には、裏蓋8を回転させて緩める。このときには、圧電素子25が裏蓋8と共に回路基板16から離れる方向つまり下側に向けて移動し、コイルばね30の小径部30bが徐々に膨張して伸びてガイド部34の下側に突出する。そして、裏蓋8が本体ケース4から取り外された際には、コイルばね30の小径部30bおよび弾性ガイド保持部32が初期状態に戻る。
【0068】
次に、このような腕時計を腕に取り付けて使用する場合について説明する。
この腕時計では、通常、時計モジュール10によって現在時刻、時刻や日付、曜日などの情報、および電池15の残量などの副機能情報を知ることができる。すなわち、時計モジュール10の時刻指示表示部12の指針12aが第1の文字板20の上方を運針して時刻を指示するので、指針12aによって時刻を知ることができる。
【0069】
また、このときには、時計モジュール10の表示パネル13が時刻や日付、曜日などの情報を電気光学的に表示するので、表示窓部20bを透して、時刻や日付、曜日などの情報を知ることができる。さらに、時計モジュール10の副情報表示部14の副針14aが、第1の文字板20の副表示開口部20a内において第2の文字板21の上方を運針して電池15の残量などの副機能情報を指示するので、副針14aによって電池15の残量などの副機能情報を知ることができる。
【0070】
また、このときには、予め設定された時刻になると、アラーム音を放音する。すなわち、予め設定された時刻なると、回路基板16から圧電素子25に電圧が印加される。すると、圧電素子25が振動して裏蓋8を共振させる。これにより、アラーム音が放音され、アラーム時刻を知らせることができる。
【0071】
この場合には、座屈防止部を備えた先行文献のものよりも、圧電素子25に対するコイルばね30による応力が緩和され、圧電素子25に対する中枠9(ガイド部34)の反発力が小さく抑えられて、圧電素子25に対する応力の負荷が抑制されているので、圧電素子25に電圧が印加されて、圧電素子25が振動した際に、その圧電素子25の振動による音量が規定値を満たす。このため、アラーム音を良好に放音させることができる。
【0072】
このように、この腕時計によれば、第1のコンタクト部材である回路基板16と、この回路基板16に対向して配置された第2のコンタクト部材である圧電素子25と、回路基板16と圧電素子25とを電気的に接続する弾性導電部材であるコイルばね30と、このコイルばね30を回路基板16と圧電素子25との対向方向である上下方向に沿ってガイドするガイド部34、およびこのガイド部34を上下方向に弾性変位可能に保持する弾性保持部であるばね部35を有する弾性ガイド保持部32と、を備えていることにより、座屈などの曲がり変形を防いで、応力を緩和させることができる。
【0073】
すなわち、この腕時計では、弾性ガイド保持部32のガイド部34によってコイルばね30を上下方向にガイドすると共に、このガイド部34がばね部35によって上下方向に弾性変位可能に保持されているので、圧電素子25が回路基板16に向けて接近しながら面方向に回転移動しても、コイルばね30が座屈などの曲がり変形をするのを確実に且つ良好に防ぐことができる。さらに、座屈防止部を備えた先行文献のものよりも、圧電素子25に対する中枠9(ガイド部34)の反発による応力を緩和させることができるので、座屈防止部を備えた先行文献のものよりも、圧電素子25に対する中枠9(ガイド部34)の反発による反発力を小さく抑えて、圧電素子25に対する応力の負荷を抑制することができる。
【0074】
この場合、この腕時計では、ばね部35が、複数の板ばねを有し、これら複数の板ばねが、ガイド部34から互いに相反する方向に向けて延びる複数の第1延部35aと、これら複数の第1延部35aから前記相反する方向と異なる方向に向けてそれぞれ湾曲する複数の曲線部35bと、これら複数の曲線部35bから第1延部35aの延びる方向と異なる方向にそれぞれ延びる複数の第2延部35cと、を備えていることにより、ガイド部34が横触れすることがなく、ガイド部34を上下方向に直線的つまり垂直方向に弾性変位させることができる。従って、コイルばね等の弾性導電部材の座屈などの曲がり変形を防いで、中枠9の底部に設けられたガイド部34の応力を緩和させて、相手側の部材に対して応力の負荷を抑制することができる。
【0075】
これにより、この腕時計では、ばね部35によってガイド部34を上下方向に直線的つまり垂直方向に弾性変位させることができることにより、座屈防止部を備えた先行文献のものよりも、圧電素子25に対する中枠9(ガイド部34)の応力を緩和させて、圧電素子25に対する中枠9(ガイド部34)の反発力を小さく抑えることができるので、座屈防止部を備えた先行文献のものよりも、圧電素子25に対する応力の負荷を抑制することができ、これにより回路基板16と圧電素子25とを確実に且つ良好に接続することができる共に、圧電素子25を良好に振動させて音を良好に放音させることができる。
【0076】
また、この腕時計では、第2のコンタクト部材である圧電素子25が、その平面において回転移動しながら回路基板16と圧電素子25との対向方向である上下方向に移動することにより、圧電素子25がその平面において回転移動しても、弾性ガイド保持部32によってコイルばね30の座屈などの曲がり変形を確実に且つ良好に防ぐことができると共に、回路基板16に対する圧電素子25の接近によって回路基板16と圧電素子25とを確実に且つ良好に接続させることができる。
【0077】
また、この腕時計では、第1のコンタクト部材である回路基板16が腕時計ケース1内に配置されるハウジング11に搭載れており、弾性ガイド保持部32は、ハウジング11を保持して腕時計ケース1内に収容する中枠9に設けられていることにより、弾性ガイド保持部32を別部品として製作する必要がないので、部品点数を削減することができると共に、組立作業の簡素化を図ることができる。
【0078】
さらに、この腕時計では、第2のコンタクト部材である圧電素子25が腕時計ケース1の下部に回転しながら螺合する裏蓋8の内面に取り付けられていることにより、圧電素子25を裏蓋8と共に腕時計ケース1の下部側に配置させることができるほか、裏蓋8を振動板として用いることができ、これにより圧電素子25の振動を裏蓋8で共振させてアラーム音などの音を良好に放音させることができる。
【0079】
なお、上述した実施形態では、弾性ガイド保持部32のばね部35が複数の板ばねを有し、これら複数の板ばねが平面視においてほぼS字形状に形成した場合について述べたが、この発明は、必ずしもばね部35を複数の板ばねで形成する必要はなく、1つの板ばねのみで形成しても良く、また3つ以上の板ばねで形成しても良い。
【0080】
また、この発明は、これに限らず、例えば弾性ガイド保持部32のばね部35を渦巻き形状や螺旋形状に形成しても良く、また蛇腹形状に折り曲げた構造であっても良い。また、弾性ガイド保持部32のばね部35は、必ずしも板ばねである必要はなく、ゴムやエラストマなどの弾性部材で形成しても良い。すなわち、この発明の弾性ガイド保持部32は、ガイド部34を回路基板16と圧電素子25との接離方向に弾性変位可能に保持するものあれば、どの様なものであっても良い。
【0081】
また、上述した実施形態では、弾性導電部材としてコイルばね30を用いた場合について述べたが、この発明は、これに限らず、例えば、棒状または柱状の導電ゴムを用いても良い。
【0082】
また、上述した実施形態では、弾性ガイド保持部32を中枠9に設けた場合について述べた、この発明は、これに限らず、ハウジング11や絶縁性を有する地板17に設けても良く、要は裏蓋8の圧電素子25に接近して配置されるものであれば、時計モジュール10のどの様な絶縁性部材に設けても良く、また弾性ガイド保持部32を別部品として形成して、別部品としてハウジング11に組み込むようにしても良い。
【0083】
また、上述した実施形態では、第1のコンタクト部材が回路基板16で、第2のコンタクト部材が圧電素子25である場合について述べたが、この発明は、これに限らず、第2のコンタクト部材がソーラーパネル22などの他の接続部材であっても良く、また第1のコンタクト部材は、必ずしも回路基板16である必要はなく、他の接続部材であっても良い。
【0084】
さらに、上述した実施形態では、腕時計に適用した場合について述べたが、この発明は必ずしも腕時計である必要はなく、例えばトラベルウオッチ、目覚まし時計、置き時計、掛け時計などの各種の時計に適用することができる。また、この発明は、必ずしも時計である必要はなく、例えば携帯電話や携帯情報端末などの電子機器にも広く適用することができる。
【0085】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、これに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0086】
(付記)
請求項1に記載の発明は、第1のコンタクト部材と、前記第1のコンタクト部材に対向して配置された第2のコンタクト部材と、前記第1のコンタクト部材と前記第2のコンタクト部材とを電気的に接続する弾性導電部材と、前記弾性導電部材を前記第1のコンタクト部材と前記第2のコンタクト部材との対向方向に沿ってガイドするガイド部、および前記ガイド部を前記第1のコンタクト部材と前記第2のコンタクト部材との対向方向に弾性変位可能に保持する弾性保持部を有する弾性ガイド保持部材と、を備えていることを特徴とする電子機器である。
【0087】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電子機器において、前記弾性導電部材は、コイルばねであり、前記弾性ガイド保持部材の前記ガイド部は、前記コイルばねが挿入される筒状部であり、前記弾性ガイド保持部材の前記弾性保持部は、ばね部であることを特徴とする電子機器である。
【0088】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の電子機器において、前記ばね部は、複数の板ばねを有し、前記複数の板ばねは、前記ガイド部から互いに相反する方向に向けて延びる複数の第1延部と、前記複数の第1延部から前記相反する方向と異なる方向に向けてそれぞれ湾曲する複数の曲線部と、前記複数の曲線部から前記第1延部の延びる方向と異なる方向にそれぞれ延びる複数の第2延部と、を備えていることを特徴とする電子機器である。
【0089】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の電子機器において、前記ばね部は、渦巻き形状に形成されていることを特徴とする電子機器である。
【0090】
請求項5に記載の発明は、請求項2に記載の電子機器において、前記ばね部は、蛇腹形状に折り曲げられていることを特徴とする電子機器である。
【0091】
請求項6に記載の発明は、請求項2に記載の電子機器において、前記第2のコンタクト部材は、その平面において回転移動しながら前記第1のコンタクト部材と前記第2のコンタクト部材との対向方向に移動することを特徴とする電子機器である。
【0092】
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の電子機器において、前記第1のコンタクト部材は、ケース内に配置されるハウジングに搭載されており、前記弾性ガイド保持部材は、前記ハウジングを保持して前記ケース内に収容する中枠に設けられていることを特徴とする電子機器である。
【0093】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の電子機器において、前記第2のコンタクト部材は、前記ケースの下部に回転しながら螺合する裏蓋の内面に取り付けられていることを特徴とする電子機器である。
【0094】
請求項9に記載の発明は、請求項1に記載の電子機器を備えていることを特徴とする時計である。
【符号の説明】
【0095】
1 腕時計ケース
2 バンド取付部
3 押釦スイッチ
4 本体ケース
5 外装ケース
6 時計ガラス
7 見切り部材
8 裏蓋
8a 防水リング
8b 枠状部
8c 雄ねじ部
9 中枠
10 時計モジュール
11 ハウジング
11b 突起部
12 時刻指示表示部
13 表示パネル
14 副情報表示部
15 電池
16 回路基板
17 地板
17a フック部
17b 接点ばね
18 押え板
20 第1の文字板
21 第2の文字板
22 ソーラーパネル
23 挿入孔
24 飾り部
25 圧電素子
26 接着層
27 導電部
28 導電保護板
30 コイルばね
30a 大径部
30b 小径部
31 接続孔
32 弾性ガイド保持部
33 開口部
34 ガイド部
35 ばね部
35a 第1延部
35b 曲線部
35c 第2延部
36 第1の緩衝部材
37 第2の緩衝部材