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特許7537474図面情報形成システム、図面情報形成プログラム、および、図面情報形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】図面情報形成システム、図面情報形成プログラム、および、図面情報形成方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/13 20200101AFI20240814BHJP
   G01C 15/00 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
G06F30/13
G01C15/00 103A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022143017
(22)【出願日】2022-09-08
(65)【公開番号】P2024038759
(43)【公開日】2024-03-21
【審査請求日】2023-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】岡田 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】松谷 裕治
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 寛之
【審査官】合田 幸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-287218(JP,A)
【文献】特開2021-163199(JP,A)
【文献】特開平11-031217(JP,A)
【文献】国際公開第2008/124713(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2016/0253808(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00 - 30/28
G01C 15/00
G06Q 50/08
IEEE Xplore
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測量対象の座標を含むナビゲーション用図面情報を形成する図面情報形成システムであって、
建築物に関する第1図面情報および敷地における前記建築物の配置に関する第2図面情報を取得する取得部と、
前記第1図面情報に含まれる第1座標から前記測量対象の第1対象座標を抽出する第1抽出部と、
前記第2図面情報に含まれる第2座標から第2対象座標を抽出する第2抽出部と、
前記第1対象座標および前記第2対象座標を基準座標系における情報に変換する変換部と、
前記第1対象座標の変換後座標と前記第2対象座標の変換後座標とを統合することによって前記ナビゲーション用図面情報を形成する合成部と、を備える、
図面情報形成システム。
【請求項2】
前記第1図面情報は、前記第1座標を指定するための第1座標系を規定する第1方位情報を含み、
前記第2図面情報は、前記第2座標を指定するための第2座標系を規定する第2方位情報を含み、
前記第1図面情報および前記第2図面情報の少なくとも一方は、他方の座標系の原点の座標を示す他原点情報を有し、
前記変換部は、前記第1方位情報と前記第2方位情報と前記他原点情報とに基づいて、前記第1対象座標および前記第2対象座標を基準座標系における座標情報に変換する、
請求項1に記載の図面情報形成システム。
【請求項3】
前記第1図面情報は、前記第1抽出部が前記第1対象座標を抽出するための第1目印情報を有し、
前記第2図面情報は、前記第2抽出部が前記第2対象座標を抽出するための第2目印情報を有する、
請求項1に記載の図面情報形成システム。
【請求項4】
前記合成部は、前記第1対象座標の変換後座標と前記第2対象座標の変換後座標とが区別されるように、前記第1対象座標の変換後座標と前記第2対象座標の変換後座標とを統合する、
請求項1に記載の図面情報形成システム。
【請求項5】
前記第1抽出部は、前記第1図面情報から複数種の前記測量対象それぞれ対応する前記第1対象座標が種別で区別されるように前記第1対象座標を抽出する、
請求項1に記載の図面情報形成システム。
【請求項6】
選択指令によって複数種の前記測量対象からいずれか1つまたは複数の前記測量対象を選択する選択部を備え、
前記合成部は、前記選択部によって選択された前記測量対象に対応する前記第1対象座標の変換後座標と、前記第2対象座標の変換後座標とを統合することによって前記ナビゲーション用図面情報を形成する、
請求項5に記載の図面情報形成システム。
【請求項7】
コンピュータに測量対象の座標を含むナビゲーション用図面情報を形成させる図面情報形成プログラムであって、
建築物に関する第1図面情報および敷地における前記建築物の配置に関する第2図面情報を取得する取得ステップと、
前記第1図面情報から前記測量対象の第1対象座標を抽出する第1抽出ステップと、
前記第2図面情報から前記測量対象の第2対象座標を抽出する第2抽出ステップと、
前記第1対象座標および前記第2対象座標を基準座標系における情報に変換する変換ステップと、
前記第1対象座標の変換後座標と前記第2対象座標の変換後座標とを統合することによって前記ナビゲーション用図面情報を形成する合成ステップと、を含む、
図面情報形成プログラム。
【請求項8】
コンピュータが測量対象の座標を含むナビゲーション用図面情報を形成する図面情報形成方法であって、
前記コンピュータが、建築物に関する第1図面情報および敷地における前記建築物の配置に関する第2図面情報を取得する取得工程と、
前記コンピュータが、前記第1図面情報から前記測量対象の第1対象座標を抽出する第1抽出工程と、
前記コンピュータが、前記第2図面情報から前記測量対象の第2対象座標を抽出する第2抽出工程と、
前記コンピュータが、前記第1対象座標および前記第2対象座標を基準座標系における情報に変換する変換工程と、
前記コンピュータが、前記第1対象座標の変換後座標と前記第2対象座標の変換後座標とを統合することによって前記ナビゲーション用図面情報を形成する合成工程と、を含む、
図面情報形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、測量システムで使用される図面の形成に関して、図面情報形成システム、図面情報形成プログラム、および、図面情報形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
敷地および敷地に建てられる建築物の測量に使用される測量ナビゲーションシステム(自動測量システムとも言われる)が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載の測量ナビゲーションシステムは、図面情報に基づいて観測ターゲットに向けて測量機を回転させる。このように測量ナビゲーションシステムによれば、測量者の作業負担を軽減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-56710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
測量ナビゲーションシステムを使う場合、測量ナビゲーションシステム用の図面情報が必要となる。
ところで、建築物の設計では、建築物の設計図および敷地に対する建築物の配置図は別々に作られる。これらの図面それぞれに測量ナビゲーションシステムに使用される情報が含まれるため、これらの図面に基づいて、測量ナビゲーションシステム用の図面が作成される。しかし、測量ナビゲーションシステム用の図面の作成のため、測量ナビゲーションシステムで使用される情報を抽出したり、各図面の座標系を合わせたりすることが必要であり、設計者の負担となっている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記課題を解決する図面情報形成システムは、測量対象の座標を含むナビゲーション用図面情報を形成する図面情報形成システムであって、建築物に関する第1図面情報および敷地における前記建築物の配置に関する第2図面情報を取得する取得部と、前記第1図面情報に含まれる第1座標から前記測量対象の第1対象座標を抽出する第1抽出部と、前記第2図面情報に含まれる第2座標から第2対象座標を抽出する第2抽出部と、前記第1対象座標および前記第2対象座標を基準座標系における情報に変換する変換部と、前記第1対象座標の変換後座標と前記第2対象座標の変換後座標とを統合することによって前記ナビゲーション用図面情報を形成する合成部と、を備える。
【0006】
上記構成によれば、同一または異なる座標系を有する複数の図面に基づいて測量対象の座標を含むナビゲーション用図面情報を形成できる。これによって設計者の負担を軽減できる。ここで、変換は、座標を異なる座標に変換する演算処理、および、座標を同じ座標のまま維持する演算処理の両処理を含む。例えば、第2図面情報に含まれる座標が基準座標系によって表される場合、変換部は、第2図面情報の座標情報を実質的に変換せず、座標情報を維持する。このように座標情報を維持する処理も基準座標系への変換の一例である。
【0007】
(2)上記(1)に記載の図面情報形成システムにおいて、前記第1図面情報は、前記第1座標を指定するための第1座標系を規定する第1方位情報を含み、前記第2図面情報は、前記第2座標を指定するための第2座標系を規定する第2方位情報を含み、前記第1図面情報および前記第2図面情報の少なくとも一方は、他方の座標系の原点の座標を示す他原点情報を有し、前記変換部は、前記第1方位情報と前記第2方位情報と前記他原点情報とに基づいて、前記第1対象座標および前記第2対象座標を基準座標系における座標情報に変換する。この構成によれば、複数の図面に基づいて簡単にナビゲーション用図面情報を形成できる。
【0008】
(3)上記(1)または(2)に記載の図面情報形成システムにおいて、前記第1図面情報は、前記第1抽出部が前記第1対象座標を抽出するための第1目印情報を有し、前記第2図面情報は、前記第2抽出部が前記第2対象座標を抽出するための第2目印情報を有する。この構成によれば、第1図面情報の複数の第1座標から第1対象座標を簡単に抽出できる。また、第2図面情報の複数の第2座標から第2対象座標を簡単に抽出できる。
【0009】
(4)上記(1)~(3)のいずれか1つに記載の図面情報形成システムにおいて、前記合成部は、前記第1対象座標の変換後座標と前記第2対象座標の変換後座標とが区別されるように、前記第1対象座標の変換後座標と前記第2対象座標の変換後座標とを統合する。この構成によれば、ナビゲーション用図面情報において、第1対象座標の変換後座標と第2対象座標の変換後座標とを区別できる。このため、ナビゲーション用図面情報において、第1対象座標の変換後座標と第2対象座標の変換後座標とを個別に演算処理できる。
【0010】
(5)上記(1)~(4)のいずれか1つに記載の図面情報形成システムにおいて、前記第1抽出部は、前記第1図面情報から複数種の前記測量対象それぞれ対応する前記第1対象座標が種別で区別されるように前記第1対象座標を抽出する。この構成によれば、複数種の測量対象それぞれに対応するナビゲーション用図面情報を形成できる。
【0011】
(6)上記(5)に記載の図面情報形成システムにおいて、選択指令によって複数種の前記測量対象からいずれか1つまたは複数の前記測量対象を選択する選択部を備え、前記合成部は、前記選択部によって選択された前記測量対象に対応する前記第1対象座標の変換後座標と、前記第2対象座標の変換後座標とを統合することによって前記ナビゲーション用図面情報を形成する。この構成によれば、複数種の測量対象から測量対象を選択できる。これによって、所望の測量対象を含むナビゲーション用図面情報を形成できる。
【0012】
(7)上記課題を解決する図面情報形成プログラムは、コンピュータに測量対象の座標を含むナビゲーション用図面情報を形成させる図面情報形成プログラムであって、建築物に関する第1図面情報および敷地における前記建築物の配置に関する第2図面情報を取得する取得ステップと、前記第1図面情報から前記測量対象の第1対象座標を抽出する第1抽出ステップと、前記第2図面情報から前記測量対象の第2対象座標を抽出する第2抽出ステップと、前記第1対象座標および前記第2対象座標を基準座標系における情報に変換する変換ステップと、前記第1対象座標の変換後座標と前記第2対象座標の変換後座標とを統合することによって前記ナビゲーション用図面情報を形成する合成ステップと、を含む。この構成によれば、同一または異なる座標系を有する複数の図面に基づいて測量対象の座標を含むナビゲーション用図面情報を形成できる。これによって設計者の負担を軽減できる。
【0013】
(8)上記課題を解決する図面情報形成方法は、測量対象の座標を含むナビゲーション用図面情報を形成する図面情報形成方法であって、建築物に関する第1図面情報および敷地における前記建築物の配置に関する第2図面情報を取得する取得工程と、前記第1図面情報から前記測量対象の第1対象座標を抽出する第1抽出工程と、前記第2図面情報から前記測量対象の第2対象座標を抽出する第2抽出工程と、前記第1対象座標および前記第2対象座標を基準座標系における情報に変換する変換工程と、前記第1対象座標の変換後座標と前記第2対象座標の変換後座標とを統合することによって前記ナビゲーション用図面情報を形成する合成工程と、を含む。この構成によれば、同一または異なる座標系を有する複数の図面に基づいて測量対象の座標を含むナビゲーション用図面情報を形成できる。これによって設計者の負担を軽減できる。
【発明の効果】
【0014】
本開示の図面情報形成システム、図面情報形成プログラム、および、図面情報形成方法は、設計者の負担を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】測量ナビゲーションシステムの模式図である。
図2】図面情報形成システムのブロック図である。
図3】CADによって示される第1図面情報に係る図である。
図4】第1図面情報の構造を示す図である。
図5】CADによって示される第2図面情報に係る図である。
図6】第2図面情報の構造を示す図である。
図7】変換の第1ステップを説明する図である。
図8】変換の第2ステップを説明する図である。
図9】第1図面情報について、第1対象座標の変換後座標によって構成される図形の図である。
図10】第2図面情報について、第2対象座標の変換後座標によって構成される図形の図である。
図11】ナビゲーション用図面情報に係る図である。
図12】ナビゲーション用図面情報の構造を示す図である。
図13】図面情報形成プログラムのフローチャートである。
図14】図面情報形成方法のフローチャートである。
図15】選択部の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1図12を参照して、図面情報形成システム1を説明する。図面情報形成システム1は、ナビゲーション用図面情報2を形成する。ナビゲーション用図面情報2は、測量ナビゲーションシステム90で使用される。測量ナビゲーションシステム90は、通称、自動追尾トータルステーションと呼ばれるものである。測量ナビゲーションシステム90は「杭ナビ」とも呼ばれる。
【0017】
<測量ナビゲーションシステム>
測量ナビゲーションシステム90は、現場において、測量対象の位置出しを支援する。測量対象は測量の対象である。例えば、測量対象として、基礎81のモジュール芯82の隅部、埋込杭83の中心位置、および、敷地の境界点85が挙げられる。
【0018】
図1に示されるように、測量ナビゲーションシステム90の一例は、測量機91と、ナビゲーション部92と、測量機91が計測するターゲット93と、ナビゲーション部92と通信する通信端末94と、を備える。ターゲット93の一例はプリズムである。ターゲット93は、現場において作業者によって移動される。測量ナビゲーションシステム90は、現場における測量対象の位置にターゲット93が配置されるように、ターゲット93を持った作業者を案内するとともに、測量対象が設けられる箇所に向くように測量機91を回転させる。一例では、具体的には、ナビゲーション部92は、ナビゲーション用図面情報2に基づいて、作業者が保持する通信端末94に測量対象に関する情報を送信する。ナビゲーション部92は、ナビゲーション用図面情報2に基づいて、測量機91を測量対象の位置に向ける。作業者は、ナビゲーション部92から通信端末94に送信される情報に基づいて、現場における測量対象の位置にターゲット93を移動させる。そして、測量ナビゲーションシステム90は、通信端末94からの指令によって、ターゲット93の位置を測量する。このように、測量ナビゲーションシステム90は、ナビゲーション用図面情報2を基づいて、測量対象の位置出しを支援する。ナビゲーション用図面情報2には、測量対象に関する情報が含まれる。
【0019】
<図面情報形成システム>
図2に示されるように、図面情報形成システム1は、取得部11と、第1抽出部12と、第2抽出部13と、変換部14と、合成部15とを備える。図面情報形成システム1は、建築物に関する第1図面情報20と、敷地における建築物の配置に関する第2図面情報30とに基づいて、ナビゲーション用図面情報2を形成する。
【0020】
<第1図面情報>
図3および図4を参照して、第1図面情報20を説明する。図3は、CAD(computer-aided design)によって示される第1図面情報20の図である。図3は、建築物の基礎81と埋込杭83の配置とを示す図面である。図4は、第1図面情報20の構造を示す図である。
【0021】
第1図面情報20は、建築物に関する情報である。一例では、第1図面情報20は、建築物に関連する図面情報である。第1図面情報20は、CADによって作成される。第1図面情報20として、建築物の基礎81の図面情報、建築物の図面情報、地盤改良のための埋込杭83の配置の図面情報、および、外構の図面情報、が挙げられる。
【0022】
図4に示されるように、第1図面情報20は、複数の第1図形情報21を含む。第1図形情報21は、図形の種類に関する第1種類情報22と、図形を規定する第1図形規定情報23と、を含む。図形の種類の例は、点、線、円、円弧、および、曲線である。第1図形規定情報23は、図形によって異なる。線の第1図形規定情報23は、2個の座標を含む。円の第1図形規定情報23は、中心点の座標と、直径の大きさとを含む。第1図形情報21に含まれる座標は、本実施形態において総称として「第1座標C1」と呼ぶ。第1図面情報20に含まれる第1座標C1は、第1座標系によって指定される。第1座標系は、X軸、Y軸、Z軸、第1原点A1、および、第1方位D1によって規定される。
【0023】
第1図形情報21に含まれる複数の第1座標C1のうちの1つまたは複数は、測量対象の第1対象座標T1に該当する。
【0024】
測量対象は、測量の目的に応じて建築物の設計者によって任意に設定される。例えば、測量対象として、基礎81の外周部分のモジュール芯82、埋込杭83の中心、および、建築物の1階の外形、が挙げられる。これらの測量対象は、現場における位置出しの対象となる。例えば、基礎81の外周部分のモジュール芯82の隅部は、現場の敷地に地縄を張るときの杭打ちの対象となる。埋込杭83の中心は、杭打ちの対象となる。また、これらの測量対象は、測量対象に係る形成物の座標を確認するための測量の対象になる。例えば、形成された基礎81(形成物)におけるモジュール芯82は測量の対象となる。形成された埋込杭83の中心は測量の対象となる。
【0025】
第1図面情報20は、さらに、第1目印情報24を有する。第1目印情報24は、第1抽出部12が第1対象座標T1を抽出するための情報である。第1目印情報24は、特定の第1図形情報21に付与される。具体的には、第1目印情報24は、測量対象に係る第1図形情報21に付与される。第1目印情報24は、第1抽出部12によって検索できる情報である。第1目印情報24は、第1図面情報20に含まれる情報のうち第1目印情報24以外の情報と区別できる情報である。
【0026】
第1目印情報24は、測量対象の種類に応じて異なる。基礎81の外周部分のモジュール芯82に関する第1図形情報21には、第1種目印情報24Aが付与される。埋込杭83に関する第1図形情報21には、第2種目印情報24Bが付与される。第2種目印情報24Bは、第1種目印情報24Aと異なる。第2種目印情報24Bは、第1種目印情報24Aと区別される。
【0027】
第1図面情報20は、さらに、第1座標系を規定する第1方位情報26を有する。第1方位情報26は、子午線に対する第1座標系の向き(以下、第1方位D1)を示す。一例では、平面視における建築物の図面は、建築物の正面がX軸に沿うように作られる。基礎81の図面、および、埋込杭83の配置の図面も、建築物と同様である。一方、建築物の正面は、南北に向かないこともある。このため、第1方位D1は、第1座標系のY軸と異なる方向に向くことがある。
【0028】
図3および図4を参照して、第1図面情報20の一例を示す。図3には、図形と、第1座標C1と、第1対象座標T1との関係が示されている。
【0029】
第1図面情報20は、複数の第1図形情報21を含む。第1図面情報20は、第1図形情報21として、基礎81のモジュール芯82に関する複数の線情報、複数の埋込杭83それぞれの円情報、および、基礎81の外形に関する複数の線情報を含む。
【0030】
基礎81のモジュール芯82に関する複数の線情報のうちで、基礎81の外周部部分のモジュール芯82に関する複数の線情報には、第1種目印情報24Aが付与される。埋込杭83の情報に関する円情報には、第2種目印情報24Bが付与される。
【0031】
第1種目印情報24Aが付与された線情報の第1座標C1(例えば、図3のP1~P4)は、第1対象座標T1に該当する。第2種目印情報24Bが付与された円情報の第1座標C1(例えば、図3のK1~K15)は、第1対象座標T1に該当する。各点P1~P4は、基礎81のモジュール芯82によって構成される形状の角の点を示す。各円の中心点K1~K15は、埋込杭83の中心点を示す。
【0032】
<第2図面情報>
図5および図6を参照して、第2図面情報30を説明する。図5は、CADによって示される第2図面情報30の図である。図6は、第2図面情報30の構造を示す図である。
【0033】
第2図面情報30は、敷地における建築物の配置に関する情報である。第2図面情報30には、敷地に関する情報と、建築物に関する情報のうちの所定情報とが含まれる。第2図面情報30は、CADによって作成される。所定情報は、建築物の向きなどの情報(後述の第2方位情報35)を含む。
【0034】
図6に示されるように、第2図面情報30は、複数の第2図形情報31を含む。第2図形情報31は、図形の種類に関する第2種類情報32と、図形を規定する第2図形規定情報33と、を含む。図形の種類の例は、第1図形情報21における図形の種類と同じである。第2図形規定情報33の定義は、第1図形情報21における第2図形規定情報33と同じである。第2図形情報31に含まれる座標は、本実施形態において総称として「第2座標C2」と呼ぶ。第2図面情報30に含まれる第2座標C2は、第2座標系によって指定される。第2座標系は、X軸、Y軸、Z軸、第2原点A2、および、第2方位D2によって規定される。第2座標系は、第1座標系と同一の座標系であってもよい。第2座標系は、第1座標系と異なる座標系であってもよい。
【0035】
第2図形情報31に含まれる複数の第2座標C2のうちの1つまたは複数は、測量対象の第2対象座標T2に該当する。測量対象は、測量の目的に応じて建築物の設計者によって任意に設定される。例えば、第2図形情報31において、測量対象として、敷地の境界点85が挙げられる。境界点85は、敷地と隣地との境界を確定する場合、または、現地において境界点85の座標を確認する場合に、測量の対象となる。
【0036】
第2図面情報30は、さらに、第2目印情報34を有する。第2目印情報34は、第2抽出部13が第2対象座標T2を抽出するための情報である。第2目印情報34は、特定の第2図形情報31に付与される。具体的には、第2目印情報34は、測量対象に係る第2図形情報31に付与される。第2目印情報34は、第2抽出部13によって検索できる情報である。第2目印情報34は、第2図面情報30に含まれる情報のうち第2目印情報34以外の情報と区別できる情報である。
【0037】
第2図面情報30は、さらに、第2座標系を規定する第2方位情報35を有する。第2方位情報35は、子午線に対する第2座標系の向き(以下、第2方位D2)を示す。一例では、建築物の配置図の第2方位D2は図面の上下方向と一致する。
【0038】
図5および図6を参照して、第2図面情報30の一例を示す。図5には、第2座標C2と、第2対象座標T2とが記載されている。
【0039】
第2図面情報30は、複数の第2図形情報31を含む。第2図面情報30は、第2図形情報31として、境界点85に関する点情報、および、建築物の外形に関する複数の線情報を含む。境界点85に関する複数の点情報には、第3種目印情報34Aが付与される。
【0040】
第1図面情報20および第2図面情報30の少なくとも一方は、他方の座標系の原点の座標を示す他原点情報40を有する。本実施形態では、第2図面情報30は、第1座標系の第1原点A1の座標を示す他原点情報40を有する。具体的には、他原点情報40は、第2座標系において第1原点A1に対応する第1変換原点AX1の座標を含む。
【0041】
<図面情報形成システムの各構成>
図面情報形成システム1の構成の幾つかまたは全部は、汎用または専用のコンピュータの部分として構成される。図面情報形成システム1の構成の幾つかは、コンピュータに接続される装置として構成されてもよい。
【0042】
コンピュータは、1つまたは複数のCPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)を含む。コンピュータは、コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って各種処理を実行する1つ以上のプロセッサを含んでもよい。コンピュータは、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する、特定用途向け集積回路(ASIC)の1つ以上の専用のハードウェア回路を含んでもよい。コンピュータは、上述のプロセッサ、および、ハードウェア回路の組み合わせを含んでもよい。プロセッサは、CPU並びに、RAMおよびROM等のメモリを含む。メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
【0043】
<取得部>
取得部11は、第1図面情報20および第2図面情報30を取得する。取得部11の一例は、媒体読取装置、または、データ受取部として構成される。媒体読取装置は、第1図面情報20および第2図面情報30が媒体によって提供される場合に、媒体から第1図面情報20および第2図面情報30を取得する。媒体は、磁気ディスク、磁気テープ、半導体メモリ、および、光学ディスクを含む。
【0044】
データ受取部は、ネットワークを経由で第1図面情報20および第2図面情報30が提供される場合、第1図面情報20および第2図面情報30を受け取るコンピュータの機能として構成される。一例では、データ受取部は、コンピュータ上においてメール送受信部、または、他のコンピュータとデータをやり取りするファイル管理部として構成される。
【0045】
<第1抽出部>
第1抽出部12は、第1図面情報20に含まれる第1座標C1から測量対象の第1対象座標T1を抽出する。第1抽出部12は、第1図面情報20から複数種の測量対象それぞれ対応する第1対象座標T1が種別で区別されるように、第1対象座標T1を抽出する。
【0046】
第1抽出部12は、第1目印情報24を有する。第1目印情報24は、第1目印情報24が付与される測定対象の名称とともに予め図面情報形成システム1に登録されている。一例では、第1抽出部12は、モジュール芯82に関する第1種目印情報24A、および、埋込杭83に関する第2種目印情報24Bを有する。
【0047】
第1抽出部12は、第1図面情報20から第1目印情報24を探し出す。そして、第1抽出部12は、第1目印情報24が付与された第1図形情報21から第1座標C1を第1対象座標T1として取り出す。第1抽出部12は、第1目印情報24の種類毎に第1対象座標T1を管理する。
【0048】
<第2抽出部>
第2抽出部13は、第2図面情報30に含まれる第2座標C2から第2対象座標T2を抽出す。第2抽出部13は、第2図面情報30から複数種の測量対象それぞれ対応する第2対象座標T2を別々に抽出してもよい。
【0049】
第2抽出部13は、第2目印情報34を有する。第2目印情報34は、第2目印情報34が付与される測定対象の名称とともに予め図面情報形成システム1に登録されている。例えば、第2抽出部13は、敷地の境界点85に関する第3種目印情報34Aを有する。
【0050】
第2抽出部13は、第2図面情報30から第3種目印情報34Aを探し出す。そして、第2抽出部13は、第3種目印情報34Aが付与された第2図形情報31から第2座標C2を第2対象座標T2として取り出す。
【0051】
<変換部>
変換部14は、第1対象座標T1および第2対象座標T2を基準座標系における情報に変換する。変換部14は、第1方位情報26と、第2方位情報35と、他原点情報40とに基づいて、第1対象座標T1および第2対象座標T2を基準座標系における座標情報に変換する。
【0052】
基準座標系の一例は、子午線に平行なY軸と、Y軸に直交するX軸と、X軸とY軸とに直交するZ軸とを有する。基準座標系は、第1座標系と一致してもよく、第2座標系と一致してもよい。本実施形態では、基準座標系は第2座標系と一致する。
【0053】
<第1対象座標の変換>
基準座標系への第1対象座標T1の変換は、第1ステップと、第2ステップとを含む。図7を参照して第1ステップを説明する。説明の簡略化のため、図7では、Z軸の表記は省略されている。また、図8を参照して第2ステップを説明する。説明の簡略化のため、図8では、Z軸の表記は省略されている。
【0054】
図7に示されるように、第1ステップは、座標を、所定角度だけ、第1原点A1を中心とする円に沿って移動させる変換である。第1ステップの変換では、第1原点A1から座標までの距離は変化しない。所定角度は、子午線に対する第1方位D1の角度を示す。
【0055】
図8に示されるように、第2ステップは、座標を直線的に移動させる変換である。第2ステップにおいて、変換部14は、第1ステップ後の座標を、第2原点A2に対する第1原点A1の相対位置だけ移動させる。相対位置は、第2図面情報30の他原点情報40によって規定されている。他原点情報40は、第2座標系における第1原点(以下、第1変換原点AX1)の座標である。他原点情報40は、相対位置に相当する。第2ステップによって、第1原点A1は、第2座標系における第1変換原点AX1に移動する。
【0056】
<第2対象座標の変換>
基準座標系への第2対象座標T2の変換は、次のステップを含む。ステップは、座標を、所定角度だけ、第2原点A2を中心とする円に沿って移動させる変換である。所定角度は、子午線に対する第2方位D2の角度を示す。本実施形態では、基準座標系は第2座標系と一致するため、座標の値は変化しない。したがって、基準座標系は第2座標系と一致する場合、第2対象座標T2の変換は省略されてもよい。
【0057】
図9および図10を参照して、第1対象座標T1の変換後座標、および、第2対象座標T2の変換後座標について説明する。図9は、第1対象座標T1の変換後座標によって構成される図形の図である。この図形は、基準座標系によって示される。図9には、基準座標系の方位DAが示されている。本実施形態では、基準座標系の方位DAは第2方位D2と一致する。
【0058】
図9に示される図形の各点PX1、PX2、PX3、および、PX4は、それぞれ図3に示される図形の点P1、P2、P3、および、P4(モジュール芯82の角の点)に一対一に対応する。点PX1は、点P1の第1対象座標T1の変換後座標に対応する点である。点PX2~点PX4についても同様である。
【0059】
図9に示される円の中心点KX1~KX15は、それぞれ図3に示される円の中心点K1~K15に一対一に対応する。中心点KX1は、中心点K1の第1対象座標T1の変換後座標に対応する点である。中心点KX2~KX15についても同様である。
【0060】
図10は、第2対象座標T2の変換後座標によって構成される図形の図である。
図10に示される図形の各点PX101、PX102、PX103、PX104、およびPX105は、それぞれ図5に示される図形の点P101、P102、P103、P104、およびP105に一対一に対応する。点PX101は、点P101の第2対象座標T2の変換後座標に対応する点である。点PX102~点PX105についても同様である。本実施形態では、第2対象座標T2は基準座標系に一致する。この場合、第2対象座標T2の第2原点A2は、基準座標系の原点に一致する。第2対象座標T2の第2方位D2は、子午線に沿う。
【0061】
<合成部>
図11および図12を参照して合成部15を説明する。
合成部15は、第1対象座標T1の変換後座標と第2対象座標T2の変換後座標とを統合することによってナビゲーション用図面情報2を形成する。ナビゲーション用図面情報2は、第1対象座標T1の変換後座標と第2対象座標T2の変換後座標とを含む。
【0062】
具体的には、図11に示されるように、第1対象座標T1の変換後座標および第2対象座標T2の変換後座標は、基準座標系によって指示される。本実施形態では、基準座標系は、第2座標系と一致する。このため、第1対象座標T1の変換後座標および第2対象座標T2の変換後座標は、第2座標系で指示される。
【0063】
一例では、合成部15は、第1対象座標T1の変換後座標と第2対象座標T2の変換後座標とが区別されるように、第1対象座標T1の変換後座標と第2対象座標T2の変換後座標とを統合する。
【0064】
図12は、合成部15によって形成されるナビゲーション用図面情報2の一例を示す。ナビゲーション用図面情報2は、測量対象の座標が含まれる。具体的には、ナビゲーション用図面情報2には、第1対象座標T1の変換後座標と、第2対象座標T2の変換後座標とが含まれる。
【0065】
図12に示されるように、第1対象座標T1の変換後座標には、第1符号41が付与される。第2対象座標T2の変換後座標には、第1符号41と異なる第2符号42が付与される。第1符号41は、数字と記号との組み合わせであってもよい。この場合、第1対象座標T1の変換後座標それぞれに異なる数字の符号が付与される。そして、一例では、第1対象座標T1の変換後座標には、当該座標と最も近い他の第1対象座標T1の変換後座標と1つ違いの数字が付与されるように、符号が付与される。このような符号の付け方によれば、第1対象座標T1の変換後座標を利用する測量において、次のように測量の効率を向上できる。具合的には、符号の数字順に、第1対象座標T1の変換後座標を測量することによって、測量時における作業者の移動距離を短くできる。
【0066】
第1対象座標T1の変換後座標の符号の付与方法は、上記に限定されない。例えば、モジュール芯82によって構成される形状の角の点PX1~点PX4と、埋込杭83の中心点K1~K15とが区別されるように、各点に符号が付けられてもよい。
【0067】
一例では、モジュール芯82によって構成される形状の角の点PX1~点PX4の座標には次のように符号が付けられる。複数の第1対象座標T1の変換後座標のうちで、図面上において左下隅または左上隅の付近にある座標を起点とする。起点とされた第1対象座標T1の変換後座標に付与される第1符号41の数字は最小値とされる。そして、起点とされた第1対象座標T1の変換後座標から時計回りに近い順に、順次、第1符号41の数字が増大するように、第1対象座標T1の変換後座標それぞれに符号が付与される。具体的には、図11に示されるように、第1対象座標T1の変換後座標に符号として「P1」~「P4」が付与される。
【0068】
埋込杭83が縦横にマトリックス状に配列されている場合、埋込杭83の中心点KX1~KX15の座標には次のように符号が付けられる。
複数の第1対象座標T1の変換後座標のうちで、図面上において左上隅の付近にある座標を起点とする。起点とされた第1対象座標T1の変換後座標に付与される第1符号41の数字は最小値とされる。そして、起点とされた第1対象座標T1の変換後座標から縦方向に下に向かって順に、第1符号41の数字が増大するように、第1対象座標T1の変換後座標それぞれに符号が付与される。当該縦列の最後まで符号が付けられると、当該列の右隣りの縦列の上から下に向かって順に、第1符号41の数字が増大するように、第1対象座標T1の変換後座標それぞれに符号が付与される。そして、このような符号付与を最も右側にある列まで行われる。具体的には、図11に示されるように、第1対象座標T1の変換後座標に符号として「K1」~「K15」が付与される。
【0069】
このような時計回りの符号の付け方によれば、第1対象座標T1の変換後座標を利用する測量において、測量の効率を向上できる。ところで、測量ナビゲーションシステム90によって測量対象が案内されるため、作業者が現地の対象と図面情報における対象との照合を間違うことは少ない。しかし、システムエラーによって誤動作が生じる場合に、その照合の間違いが生じ得る。このような場合でも、測量対象が所定方法で符号付けられていることによって、測量者は敷地における測量対象の位置を概ね把握できるため、システムエラーに基づく照合の間違いを簡単に気づくことができる。
【0070】
合成部15は、ナビゲーション用図面情報2を通信端末に出力する。通信端末の一例は、携帯電話である。通信端末は、携帯電話、スマートフォン、および、携帯型のコンピュータを含む。ナビゲーション用図面情報2は、通信端末を介して測量ナビゲーションシステム90に導入される。合成部15は、ナビゲーション用図面情報2をインターネットを介してデータ管理センターに出力してもよい。一例では、データ管理センターは、通信端末の要求によって、その通信端末にナビゲーション用図面情報2を送信する。
【0071】
本実施形態の作用を説明する。
従来、設計者が手作業で建築物の図情報から測量対象の座標を抽出する。そして、敷地の情報を含む図面の座標系に合うように、測量対象の座標を計算によって変換していた。このような作業は、手間がかかり、また、抽出および計算の過程でミスを生じさせる虞がある。
【0072】
本実施形態では、これらの作業は、図面情報形成システム1によって行われる。作業者は、図面情報形成システム1を使用する前に、第1図面情報20に測量対象に第1目印情報24を付与し、かつ、第2図面情報30に測量対象に第2目印情報34を付与する。このような簡単な事前作業によって、測量対象の座標を含むナビゲーション用図面情報2を形成できる。
【0073】
第1図面情報20および第2図面情報30の作成過程において、これら情報に第1目印情報24および第2目印情報34が付与されている場合には、このような第1目印情報24および第2目印情報34の付与作業も省略される。
【0074】
また、第1目印情報24は、第1図面情報20に含まれる「モジュール芯」等のテキストデータであってもよい。このような場合、特別な第1目印情報24を付与する作業が省略され得る。
【0075】
本実施形態の効果を説明する。
(1)図面情報形成システム1は、第1対象座標T1および第2対象座標T2を基準座標系における情報に変換する。そして、図面情報形成システム1は、第1対象座標T1の変換後座標と第2対象座標T2の変換後座標とを統合することによってナビゲーション用図面情報2を形成する。上記構成によれば、同一または異なる座標系を有する複数の図面に基づいて測量対象の座標を含むナビゲーション用図面情報2を形成できる。
【0076】
(2)変換部14は、第1方位情報26と、第2方位情報35と、他原点情報40とに基づいて、第1対象座標T1および第2対象座標T2を基準座標系における座標情報に変換する。この構成によれば、複数の図面に基づいて簡単にナビゲーション用図面情報2を形成できる。
【0077】
(3)第1図面情報20は、第1抽出部12が第1対象座標T1を抽出するための第1目印情報24を有する。第2図面情報30は、第2抽出部13が第2対象座標T2を抽出するための第2目印情報34を有する。この構成によれば、第1図面情報20の複数の第1座標C1から第1対象座標T1を簡単に抽出できる。また、第2図面情報30の複数の第2座標C2から第2対象座標T2を簡単に抽出できる。
【0078】
(4)合成部15は、第1対象座標T1の変換後座標と第2対象座標T2の変換後座標とが区別されるように、第1対象座標T1の変換後座標と第2対象座標T2の変換後座標とを統合する。この構成によれば、ナビゲーション用図面情報2において、第1対象座標T1の変換後座標と第2対象座標T2の変換後座標とを区別できる。このため、ナビゲーション用図面情報2において、第1対象座標T1の変換後座標と第2対象座標T2の変換後座標とを個別に演算処理できる。
【0079】
(5)第1抽出部12は、第1図面情報20から複数種の測量対象それぞれ対応する第1対象座標T1が種別で区別されるように、第1対象座標T1を抽出する。この構成によれば、複数種の測量対象それぞれに対応するナビゲーション用図面情報2を形成できる。
【0080】
<他の実施形態>
本開示の技術は、図面情報形成プログラムによって構成されてもよい。また、本開示の技術は、方法として構成されてもよい。以下に示す実施形態について、上述の構成と同じ構成または実質的に同じ構成については説明を省略する。
【0081】
<図面情報形成プログラム>
図13を参照して、図面情報形成プログラムについて説明する。図面情報形成プログラムは、コンピュータにインストールされる。図面情報形成プログラムは、コンピュータによって実行される。
【0082】
図面情報形成プログラムは、コンピュータに測量対象の座標を含むナビゲーション用図面情報2を形成させるプログラムである。図面情報形成プログラムは、取得ステップS11と、第1抽出ステップS12と、第2抽出ステップS13と、変換ステップS14と、合成ステップS15とを含む。
【0083】
取得ステップS11は、建築物に関する第1図面情報20および敷地における建築物の配置に関する第2図面情報30を取得する。第1図面情報20および第2図面情報30の構成は、上述に記載した第1図面情報20および第2図面情報30と同じである。
【0084】
第1抽出ステップS12は、第1図面情報20から測量対象の第1対象座標T1を抽出する。第1抽出ステップS12の構成は、第1抽出部12の構成に準ずる。
【0085】
第2抽出ステップS13は、第2図面情報30から測量対象の第2対象座標T2を抽出する。第2抽出ステップS13の構成は、第2抽出部13の構成に準ずる。
【0086】
変換ステップS14は、第1対象座標T1および第2対象座標T2を基準座標系における情報に変換する。変換ステップS14の構成は、変換部14の構成に準ずる。
【0087】
合成ステップS15は、第1対象座標T1の変換後座標と第2対象座標T2の変換後座標とを統合することによってナビゲーション用図面情報2を形成する。合成ステップS15の構成は、合成部15の構成に準ずる。
【0088】
<効果>
図面情報形成プログラムは、第1対象座標T1および第2対象座標T2を基準座標系における情報に変換する。そして、図面情報形成プログラムは、第1対象座標T1の変換後座標と第2対象座標T2の変換後座標とを統合することによってナビゲーション用図面情報2を形成する。この構成によれば、同一または異なる座標系を有する複数の図面に基づいて測量対象の座標を含むナビゲーション用図面情報2を形成できる。また、これによって作業者の負担を軽減できる。
【0089】
<図面情報形成方法>
図14を参照して、図面情報形成方法について説明する。図面情報形成方法は、コンピュータによって実行される。図面情報形成方法の各工程は、独立の工程として構成されてもよい。例えば、図面情報形成方法の各工程は、別々のコンピュータによって実行されてもよい。
【0090】
図面情報形成方法は、測量対象の座標を含むナビゲーション用図面情報2を形成する方法である。図面情報形成方法は、取得工程PR11と、第1抽出工程PR12と、第2抽出工程PR13と、変換工程PR14と、合成工程PR15とを含む。
【0091】
取得工程PR11は、建築物に関する第1図面情報20および敷地における建築物の配置に関する第2図面情報30を取得する。第1図面情報20および第2図面情報30の構成は、上述に記載した第1図面情報20および第2図面情報30と同じである。
【0092】
第1抽出工程PR12は、第1図面情報20から測量対象の第1対象座標T1を抽出する。第1抽出工程PR12は、第1抽出部12の構成に準ずる。
【0093】
第2抽出工程PR13は、第2図面情報30から測量対象の第2対象座標T2を抽出する。第2抽出工程PR13は、第2抽出部13の構成に準ずる。
【0094】
変換工程PR14は、第1対象座標T1および第2対象座標T2を基準座標系における情報に変換する。変換工程PR14は、変換部14の構成に準ずる。
【0095】
合成工程PR15は、第1対象座標T1の変換後座標と第2対象座標T2の変換後座標とを統合することによってナビゲーション用図面情報2を形成する。合成工程PR15は、合成部15の構成に準ずる。
【0096】
<効果>
図面情報形成方法は、第1対象座標T1および第2対象座標T2を基準座標系における情報に変換する変換工程PR14と、合成工程PR15とを含む。合成工程PR15において、第1対象座標T1の変換後座標と第2対象座標T2の変換後座標とを統合することによってナビゲーション用図面情報2を形成する。この構成によれば、同一または異なる座標系を有する複数の図面に基づいて測量対象の座標を含むナビゲーション用図面情報2を形成できる。また、これによって作業者の負担を軽減できる。
【0097】
<変形例>
上記実施形態は、図面情報形成システム1、図面情報形成プログラム、および、図面情報形成方法が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。図面情報形成システム1、図面情報形成プログラム、および、図面情報形成方法は、上記実施形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その例は、実施形態の構成の一部を置換、変更、省略した形態、または、実施形態に新たな構成を付加した形態である。以下に実施形態の変形例を示す。
【0098】
図面情報形成システム1は、さらに、次の選択部50を備えてもよい。選択部50は、選択指令によって複数種の測量対象からいずれか1つまたは複数の測量対象を選択する。
【0099】
図15に示されるように、選択部50は、測量対象を使用者に選択させるための選択受付部51を含む。具体的には、第1図面情報20には、測量対象に係る複数種の第1図形情報21が含まれる。複数種の第1図形情報21それぞれには、異なる第1目印情報24が付与されている。例えば、基礎81の外周部分のモジュール芯82に関する第1図形情報21には、第1種目印情報24Aが付与される。埋込杭83に関する第1図形情報21には、第2種目印情報24Bが付与される。選択部50は、複数種の第1図形情報21から、測量対象を選択するための手段である。
【0100】
選択受付部51は、使用者に複数種の測量対象からいずれかを選択させるように、複数種の測量対象を表示する。選択受付部51は、タッチパネルによって構成されてもよい。選択受付部51は、コンピュータの画面であってもよい。選択受付部51は、使用者によって選択された測量対象を合成部15に伝える。
【0101】
合成部15は、選択部50によって選択された測量対象に対応する第1対象座標T1の変換後座標と、第2対象座標T2の変換後座標とを統合することによってナビゲーション用図面情報2を形成する。
【0102】
このような構成によれば、複数種の測量対象から測量対象を選択できる。これによって、所望の測量対象を含むナビゲーション用図面情報2を形成できる。
【0103】
本明細書は、次の技術を開示する。
[付記1]
測量対象の座標を含むナビゲーション用図面情報を形成する図面情報形成システムであって、建築物に関する第1図面情報および敷地における前記建築物の配置に関する第2図面情報を取得する取得部と、前記第1図面情報に含まれる第1座標から前記測量対象の第1対象座標を抽出する第1抽出部と、前記第2図面情報に含まれる第2座標から第2対象座標を抽出する第2抽出部と、前記第1対象座標および前記第2対象座標を基準座標系における情報に変換する変換部と、前記第1対象座標の変換後座標と前記第2対象座標の変換後座標とを統合することによって前記ナビゲーション用図面情報を形成する合成部と、を備える、図面情報形成システム。
【0104】
[付記2]
前記第1図面情報は、前記第1座標を指定するための第1座標系を規定する第1方位情報を含み、前記第2図面情報は、前記第2座標を指定するための第2座標系を規定する第2方位情報を含み、前記第1図面情報および前記第2図面情報の少なくとも一方は、他方の座標系の原点の座標を示す他原点情報を有し、前記変換部は、前記第1方位情報と前記第2方位情報と前記他原点情報とに基づいて、前記第1対象座標および前記第2対象座標を基準座標系における座標情報に変換する、付記1に記載の図面情報形成システム。
【0105】
[付記3]
前記第1図面情報は、前記第1抽出部が前記第1対象座標を抽出するための第1目印情報を有し、前記第2図面情報は、前記第2抽出部が前記第2対象座標を抽出するための第2目印情報を有する、付記1に記載の図面情報形成システム。
【0106】
[付記4]
前記合成部は、前記第1対象座標の変換後座標と前記第2対象座標の変換後座標とが区別されるように、前記第1対象座標の変換後座標と前記第2対象座標の変換後座標とを統合する、付記1に記載の図面情報形成システム。
【0107】
[付記5]
前記第1抽出部は、前記第1図面情報から複数種の前記測量対象それぞれ対応する前記第1対象座標が種別で区別されるように前記第1対象座標を抽出する、付記1に記載の図面情報形成システム。
【0108】
[付記6]
選択指令によって複数種の前記測量対象からいずれか1つまたは複数の前記測量対象を選択する選択部を備え、前記合成部は、前記選択部によって選択された前記測量対象に対応する前記第1対象座標の変換後座標と、前記第2対象座標の変換後座標とを統合することによって前記ナビゲーション用図面情報を形成する、付記1に記載の図面情報形成システム。
【0109】
[付記7]
コンピュータに測量対象の座標を含むナビゲーション用図面情報を形成させる図面情報形成プログラムであって、建築物に関する第1図面情報および敷地における前記建築物の配置に関する第2図面情報を取得する取得ステップと、前記第1図面情報から前記測量対象の第1対象座標を抽出する第1抽出ステップと、前記第2図面情報から前記測量対象の第2対象座標を抽出する第2抽出ステップと、前記第1対象座標および前記第2対象座標を基準座標系における情報に変換する変換ステップと、前記第1対象座標の変換後座標と前記第2対象座標の変換後座標とを統合することによって前記ナビゲーション用図面情報を形成する合成ステップと、を含む、図面情報形成プログラム。
【0110】
[付記8]
コンピュータが測量対象の座標を含むナビゲーション用図面情報を形成する図面情報形成方法であって、前記コンピュータが、建築物に関する第1図面情報および敷地における前記建築物の配置に関する第2図面情報を取得する取得工程と、前記コンピュータが、前記第1図面情報から前記測量対象の第1対象座標を抽出する第1抽出工程と、前記コンピュータが、前記第2図面情報から前記測量対象の第2対象座標を抽出する第2抽出工程と、前記コンピュータが、前記第1対象座標および前記第2対象座標を基準座標系における情報に変換する変換工程と、前記コンピュータが、前記第1対象座標の変換後座標と前記第2対象座標の変換後座標とを統合することによって前記ナビゲーション用図面情報を形成する合成工程と、を含む、図面情報形成方法。
【符号の説明】
【0111】
C1…第1座標、C2…第2座標、T1…第1対象座標、T2…第2対象座標、1…図面情報形成システム、2…ナビゲーション用図面情報、11…取得部、12…第1抽出部、13…第2抽出部、14…変換部、15…合成部、20…第1図面情報、24…第1目印情報、26…第1方位情報、30…第2図面情報、34…第2目印情報、35…第2方位情報、40…他原点情報、50…選択部。
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