(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
F25B 13/00 20060101AFI20240814BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20240814BHJP
F25B 47/02 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
F25B13/00 351
F25B1/00 321C
F25B47/02 550F
F25B47/02 550K
(21)【出願番号】P 2022202387
(22)【出願日】2022-12-19
【審査請求日】2023-12-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】織田 旺伸
(72)【発明者】
【氏名】前間 慶成
(72)【発明者】
【氏名】仲田 昇平
(72)【発明者】
【氏名】兼井 一樹
【審査官】森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-028673(JP,A)
【文献】国際公開第2014/061134(WO,A1)
【文献】特開2005-337666(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 13/00
F25B 1/00
F25B 47/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒が循環する冷媒回路に、
前記冷媒を圧縮する圧縮機と、
室内の空気と冷媒とを熱交換する室内熱交換器と、
外気と冷媒とを熱交換する室外熱交換器と、
蓄熱材と冷媒とを熱交換する蓄熱熱交換器と、
前記室内熱交換器および前記蓄熱熱交換器を凝縮器、前記室外熱交換器を蒸発器として機能させる蓄熱暖房運転と、前記室内熱交換器および前記室外熱交換器を凝縮器、前記蓄熱熱交換器を蒸発器として機能させる除霜暖房運転と
、前記室内熱交換器を凝縮器、前記室外熱交換器を蒸発器として機能させる通常暖房運転とで前記冷媒回路における前記冷媒の循環経路を切り替える複数の切り替え弁と、
前記室内熱交換器と前記室外熱交換器とを接続する第1流路と、
前記第1流路の途中に設けられた分岐部と、
前記蓄熱熱交換器と前記分岐部とを接続する第2流路と、
前記第1流路のうちの前記室内熱交換器と前記分岐部との間の部分を流れる冷媒の流量を調整する第1膨張弁と、
前記第1流路のうちの前記室内熱交換器と前記第1膨張弁との間に設けられ、通過する冷媒を減圧する第2膨張弁
と、
前記室内熱交換器が凝縮器として機能するときに、前記圧縮機により圧縮された冷媒を前記室内熱交換器に供給する第3流路と、
前記室外熱交換器が凝縮器として機能するときに、前記圧縮された冷媒を前記室外熱交換器に供給する第4流路と、
前記第4流路を流れる冷媒を減圧する第3膨張弁と、
前記第2流路を流れる冷媒を減圧する第4膨張弁と、
前記蓄熱暖房運転が実行されているときに、前記第1流路のうちの前記第1膨張弁と前記第2膨張弁との間の流路である流路部分に液相冷媒が流れるように、前記第1膨張弁と前記第2膨張弁とを制御する制御部とを備え
、
前記制御部は、
前記除霜暖房運転が実行されているときに、前記流路部分に気液二相冷媒が流れるように、前記第1膨張弁と前記第2膨張弁とを制御し、
前記通常暖房運転が実行されるときに、前記蓄熱熱交換器に流れる冷媒の量が低減するように、かつ、前記第3膨張弁が冷媒を減圧させる減圧量よりも前記第4膨張弁が冷媒を減圧させる減圧量が小さくなるように、前記第3膨張弁と前記第4膨張弁とを制御する
空気調和機。
【請求項2】
前記制御部は、前記除霜暖房運転が実行されているときに、前記室外熱交換器を流れる冷媒の圧力が、前記室内熱交換器を流れる冷媒の圧力より低くなるように、前記第3膨張弁を制御する
請求項
1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記第1膨張弁は、前記室外熱交換器が設けられた室外機に設けられ、
前記第2膨張弁は、前記室内熱交換器が設けられた室内機に設けられる
請求項1
または請求項
2に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮機から吐出される冷媒を蓄熱材と熱交換させる蓄熱熱交換器を備えた空気調和機が知られている(特許文献1)。このような空気調和機は、暖房運転を継続しながら蓄熱材を加熱する蓄熱暖房運転と、蓄熱材の熱を利用して暖房運転を継続しながら室外熱交換器に発生した霜を融かす除霜暖房運転とを実行することができる。この従来技術において、蓄熱暖房運転時には、室内熱交換器および蓄熱熱交換器を凝縮器とし、室外熱交換器を蒸発器とする。また、除霜暖房運転時には、室内熱交換器および室外熱交換器を凝縮器とし、蓄熱熱交換器を蒸発器とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような空気調和機は、蓄熱暖房運転が実行されているときと比較して、除霜暖房運転が実行されているときに、凝縮器として機能する熱交換器に滞留する液相冷媒の量が多い。具体的には、凝縮器出口側の冷媒の過冷却度が同じであったとしても凝縮器として機能する熱交換器における冷媒流路の容積が大きいほど、熱交換器の冷媒経路内に液相冷媒液相冷媒で満たされた領域が大きくなる。また、蓄熱熱交換器と室外熱交換器は、冷媒と熱交換する熱媒体の違いから、室外熱交換器の容積が蓄熱熱交換器の容積より大きくなるように形成される。蓄熱暖房運転では蓄熱熱交換器が凝縮器として、室外熱交換器が蒸発器として機能する一方で、除霜暖房運転では蓄熱熱交換器が蒸発器として、室外熱交換器が凝縮器として機能する。このとき、蓄熱暖房運転時に凝縮器として機能する蓄熱熱交換器に滞留する液相冷媒の量と比較して、除霜暖房運転時に凝縮器として機能する室外熱交換器に滞留する液相冷媒の量が多い。そのため、蓄熱暖房運転時に必要な冷媒量を基準に冷媒が充填されている場合、除霜暖房運転時に液相冷媒が室外熱交換器に多く滞留することにより、室内熱交換器に流入する冷媒の流量が減少し、暖房能力が低下するという問題がある。
【0005】
開示の技術は、かかる点に鑑みてなされたものであって、除霜暖房運転時の室内の暖房能力の低下を抑制する空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様による空気調和機は、冷媒が循環する冷媒回路に、前記冷媒を圧縮する圧縮機と、室内の空気と冷媒とを熱交換する室内熱交換器と、外気と冷媒とを熱交換する室外熱交換器と、蓄熱材と冷媒とを熱交換する蓄熱熱交換器と、前記室内熱交換器および前記蓄熱熱交換器を凝縮器、前記室外熱交換器を蒸発器として機能させる蓄熱暖房運転と、前記室内熱交換器および前記室外熱交換器を凝縮器、前記蓄熱熱交換器を蒸発器として機能させる除霜暖房運転と、前記室内熱交換器を凝縮器、前記室外熱交換器を蒸発器として機能させる通常暖房運転とで前記冷媒回路における前記冷媒の循環経路を切り替える複数の切り替え弁と、前記室内熱交換器と前記室外熱交換器とを接続する第1流路と、前記第1流路の途中に設けられた分岐部と、前記蓄熱熱交換器と前記分岐部とを接続する第2流路と、前記第1流路のうちの前記室内熱交換器と前記分岐部との間の部分を流れる冷媒を減圧する第1膨張弁と、前記第1流路のうちの前記室内熱交換器と前記第1膨張弁との間に設けられ、通過する冷媒を減圧する第2膨張弁とと、前記室内熱交換器が凝縮器として機能するときに、前記圧縮機により圧縮された冷媒を前記室内熱交換器に供給する第3流路と、前記室外熱交換器が凝縮器として機能するときに、前記圧縮された冷媒を前記室外熱交換器に供給する第4流路と、前記第4流路を流れる冷媒を減圧する第3膨張弁と、前記第2流路を流れる冷媒を減圧する第4膨張弁と、前記蓄熱暖房運転が実行されているときに、前記第1流路のうちの前記第1膨張弁と前記第2膨張弁との間の流路である流路部分に液相冷媒が流れるように、前記第1膨張弁と前記第2膨張弁とを制御する制御部を備えている。前記制御部は、前記除霜暖房運転が実行されているときに、前記流路部分に気液二相冷媒が流れるように、前記第1膨張弁と前記第2膨張弁とを制御し、前記通常暖房運転が実行されるときに、前記蓄熱熱交換器に流れる冷媒の量が低減するように、かつ、前記第3膨張弁が冷媒を減圧させる減圧量よりも前記第4膨張弁が冷媒を減圧させる減圧量が小さくなるように、前記第3膨張弁と前記第4膨張弁とを制御する。
【発明の効果】
【0007】
開示の空気調和機は、除霜暖房運転時の暖房能力の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施例の空気調和機を示す冷媒回路図である。
【
図2】
図2は、空気調和機を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、通常暖房運転が実行されているときの実施例の空気調和機を示す冷媒回路図である。
【
図4】
図4は、蓄熱暖房運転が実行されているときの実施例の空気調和機を示す冷媒回路図である。
【
図5】
図5は、除霜暖房運転が実行されているときの実施例の空気調和機を示す冷媒回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願が開示する実施形態にかかる空気調和機について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の記載により本開示の技術が限定されるものではない。また、以下の記載においては、同一の構成要素に同一の符号を付与し、重複する説明を省略する。
【実施例】
【0010】
図1は、実施例の空気調和機1を示す冷媒回路図である。実施例の空気調和機1は、室外機2と室内機3とを備えている。室外機2は、屋外に設置されている。室内機3は、空気調和機1により冷暖房される室内に設置されている。空気調和機1は、冷媒回路5をさらに備えている。冷媒回路5は、室内熱交換器6と室外熱交換器7と蓄熱熱交換器8とを備え、第1冷媒管11(第1流路)と第2冷媒管12(第2流路)とを備えている。室内熱交換器6は、室内機3の内部に配置されている。室外熱交換器7は、室外機2の内部に配置され、第1冷媒管11を介して室内熱交換器6に接続されている。室外熱交換器7の冷媒流路の管内容積は、室内熱交換器6の冷媒流路の管内容積より大きい。蓄熱熱交換器8は、室外機2の内部に配置され、第2冷媒管12を介して第1冷媒管11の途中に設けられている第1分岐部14(分岐部)に接続されている。蓄熱熱交換器8の冷媒流路の管内容積は、室内熱交換器6の冷媒流路の管内容積より大きく、室外熱交換器7の冷媒流路の管内容積より小さい。蓄熱熱交換器8は、蓄熱材18を備えている。
【0011】
冷媒回路5は、室外機膨張弁15(第1膨張弁)と室内機膨張弁16(第2膨張弁)と蓄熱熱交側膨張弁17(第4膨張弁)とをさらに備えている。室外機膨張弁15は、室外機2の内部に配置され、第1冷媒管11のうちの室内熱交換器6と第1分岐部14との間に設けられている。室外機膨張弁15は、室内熱交換器6と第1分岐部14との間の部分を流れる冷媒の流量を調整する。室内機膨張弁16は、室内機3の内部に配置され、第1冷媒管11のうちの室内熱交換器6と室外機膨張弁15との間に設けられている。このとき、空気調和機1は、室外機膨張弁15と室内機膨張弁16との両方が室外機2または室内機3の一方だけに配置されている他の空気調和機に比較して、第1冷媒管11のうちの室内機膨張弁16と室外機膨張弁15との間の流路部分19に減圧して低圧となった冷媒を流すことで圧力損失を小さくできるため、当該部分の長さを長くすることができ、流路部分19の冷媒流路の管内容積を大きくすることができる。蓄熱熱交側膨張弁17は、室外機2の内部に配置され、第2冷媒管12の途中に設けられている。
【0012】
冷媒回路5は、圧縮機21と複数の切り替え弁22と第3冷媒管23(第3流路)と第4冷媒管24(第4流路)と接続配管側膨張弁25(第4膨張弁)とをさらに備えている。圧縮機21は、室外機2の内部に配置され、吸入管31と吐出管32とを備えている。圧縮機21は、吸入管31を介して圧縮機21に流入する気相冷媒を圧縮し、圧縮された気相冷媒を吐出管32に吐出することで、冷媒回路5に冷媒を循環させる。
【0013】
複数の切り替え弁22は、室外機2の内部に配置され、室内熱交側三方弁26と室外熱交側三方弁27と蓄熱熱交側三方弁28とを備えている。室内熱交側三方弁26は、室内熱交換器6に接続され、圧縮機21の吸入管31に接続されている。室内熱交側三方弁26は、さらに、第3冷媒管23を介して圧縮機21の吐出管32に接続されている。室外熱交側三方弁27は、室外熱交換器7に接続され、圧縮機21の吸入管31に接続されている。室外熱交側三方弁27は、さらに、第4冷媒管24を介して、第3冷媒管23の途中に設けられている第2分岐部33に接続されている。蓄熱熱交側三方弁28は、蓄熱熱交換器8に接続され、圧縮機21の吸入管31に接続されている。蓄熱熱交側三方弁28は、さらに、第4冷媒管24の途中に設けられている第3分岐部34に接続されている。接続配管側膨張弁25は、室外機2の内部に配置され、第4冷媒管24のうちの第2分岐部33と第3分岐部34との間に設けられている。
【0014】
複数の切り替え弁22は、通常暖房位置、蓄熱暖房位置、除霜暖房位置、冷房位置に切り替えられる。複数の切り替え弁22が通常暖房位置に切り替えられているときに、吐出管32は、室内熱交側三方弁26を介して室内熱交換器6に接続され、接続配管側膨張弁25は、蓄熱熱交側三方弁28を介して蓄熱熱交換器8に接続され、室外熱交換器7は、室外熱交側三方弁27を介して吸入管31に接続される。複数の切り替え弁22が蓄熱暖房位置に切り替えられているときに、吐出管32は、室内熱交側三方弁26を介して室内熱交換器6に接続され、接続配管側膨張弁25は、蓄熱熱交側三方弁28を介して蓄熱熱交換器8に接続され、室外熱交換器7は、室外熱交側三方弁27を介して吸入管31に接続される。複数の切り替え弁22が除霜暖房位置に切り替えられているときに、吐出管32は、室内熱交側三方弁26を介して室内熱交換器6に接続され、接続配管側膨張弁25は、室外熱交側三方弁27を介して室外熱交換器7に接続され、蓄熱熱交換器8は、蓄熱熱交側三方弁28を介して吸入管31に接続される。複数の切り替え弁22が冷房位置に切り替えられているときに、接続配管側膨張弁25は、室外熱交側三方弁27を介して室外熱交換器7に接続され、室内熱交換器6は、室内熱交側三方弁26を介して吸入管31に接続される。
【0015】
空気調和機1は、
図2に示されているように、制御装置41(制御部)をさらに備えている。
図2は、空気調和機1を示すブロック図である。制御装置41は、室外機2の内部に配置され、記憶装置42とCPU43(Central Processing Unit)とを備えている。記憶装置42は、制御装置41にインストールされるコンピュータプログラムを記憶し、CPU43により利用される情報を記憶する。CPU43は、制御装置41にインストールされるコンピュータプログラムを実行することにより、室内熱交側三方弁26と室外熱交側三方弁27と蓄熱熱交側三方弁28と室外機膨張弁15と室内機膨張弁16と蓄熱熱交側膨張弁17と接続配管側膨張弁25とを制御する。
【0016】
空気調和機1が実行する動作は、通常暖房運転と蓄熱暖房運転と除霜暖房運転と冷房運転とを含んでいる。
[通常暖房運転]
通常暖房運転は、たとえば、空気調和機1がユーザにより通常暖房運転を実行するように操作されたときに実行される。制御装置41は、空気調和機1が通常暖房運転を実行するときに、複数の切り替え弁22を制御し、複数の切り替え弁22を通常暖房位置に切り替える。制御装置41は、空気調和機1が通常暖房運転を実行するときに、さらに、室内機膨張弁16を制御する。室内機膨張弁16は、例えば公知の技術である目標吐出温度制御によって開度が絞られる。制御装置41は、空気調和機1が通常暖房運転を実行するときに、さらに、室外機膨張弁15を制御し、室外機膨張弁15の開度を全開にする。制御装置41は、空気調和機1が通常暖房運転を実行するときに、さらに、接続配管側膨張弁25を制御し、接続配管側膨張弁25の開度を、予め定められた開度に絞る。制御装置41は、空気調和機1が通常暖房運転を実行するときに、さらに、蓄熱熱交側膨張弁17を制御し、蓄熱熱交側膨張弁17の開度を、予め定められた開度に絞る。このとき、蓄熱熱交側膨張弁17と接続配管側膨張弁25とは、蓄熱熱交側膨張弁17が冷媒を減圧する減圧量が、接続配管側膨張弁25が冷媒を減圧する減圧量より小さくなるように制御されることで蓄熱熱交換器8を含む第2冷媒管12への冷媒の過度な溜まり込みを抑制する。
【0017】
圧縮機21は、吸入管31を介して圧縮機21に流入した低圧気相冷媒を圧縮する。低圧気相冷媒は、圧縮機21により圧縮され、高圧気相冷媒になる。圧縮機21は、さらに、高圧気相冷媒を吐出管32に吐出する。吐出管32に吐出された高圧気相冷媒は、室内熱交側三方弁26に流入するとともに、接続配管側膨張弁25に流入する。
【0018】
室内熱交側三方弁26に流入した高圧気相冷媒は、複数の切り替え弁22が通常暖房位置に切り替えられていることにより、室内熱交換器6に流入する。室内熱交換器6は、室内熱交換器6に流入した高圧気相冷媒と、室内機3が設置された室内の空気とを熱交換する。室内機3は、室内熱交換器6で加熱された空気を室内に吹き出し、室内を暖房する。室内熱交換器6で室内の空気と熱交換された高圧気相冷媒は、室内熱交換器6で冷却されて凝縮し、過冷却状態の高圧液相冷媒になる。すなわち、室内熱交換器6は、空気調和機1が通常暖房運転を実行するときに、凝縮器として機能する。
【0019】
室内熱交換器6から流出した高圧液相冷媒は、室内機膨張弁16に流入する。室内機膨張弁16は開度が予め定められた開度に絞られていることにより、室内熱交換器6から室外熱交換器7に流れる冷媒の流量を調節し、室内機膨張弁16に流入した高圧液相冷媒を減圧する。高圧液相冷媒は、室内機膨張弁16により減圧され、低圧気液二相冷媒になる。室内機膨張弁16から流出した低圧気液二相冷媒は、室外機膨張弁15に流入する。室外機膨張弁15に流入した低圧気液二相冷媒は、室外機膨張弁15の開度が全開であることにより、低圧気液二相冷媒のまま室外熱交換器7に流入する。このため、第1冷媒管11のうちの室内機膨張弁16と室外機膨張弁15との間の流路部分19には、
図3に示されているように、気液二相冷媒で充たされる。
図3は、通常暖房運転が実行されているときの実施例の空気調和機1を示す冷媒回路図である。
図3では、液相冷媒が流れる流路が太線で示されている。
【0020】
接続配管側膨張弁25は、開度が予め定められた開度に絞られていることにより、蓄熱熱交換器8に流れる冷媒の流量が、室内熱交換器6に流れる冷媒の流量より小さくなるように、接続配管側膨張弁25を流れる冷媒の流量を調節し、接続配管側膨張弁25に流入した高圧気相冷媒を若干減圧する。接続配管側膨張弁25により減圧された高圧気相冷媒は、蓄熱熱交側三方弁28に流入する。蓄熱熱交側三方弁28に流入した高圧気相冷媒は、複数の切り替え弁22が通常暖房位置に切り替えられていることにより、蓄熱熱交換器8に流入する。蓄熱熱交換器8は、蓄熱熱交換器8に流入した高圧気相冷媒と、蓄熱材18とを熱交換する。蓄熱熱交換器8により高圧気相冷媒と熱交換された蓄熱材18は、加熱され、熱を蓄える。蓄熱熱交換器8により蓄熱材18と熱交換された高圧気相冷媒は、冷却されて凝縮し、過冷却状態の高圧液相冷媒になる。すなわち、蓄熱熱交換器8は、空気調和機1が通常暖房運転を実行するときに、凝縮器として機能する。
【0021】
蓄熱熱交換器8から流出した高圧液相冷媒は、蓄熱熱交側膨張弁17に流入する。蓄熱熱交側膨張弁17は、蓄熱熱交側膨張弁17の開度が予め定められた開度に絞られていることにより、蓄熱熱交換器8から流入した高圧液相冷媒を減圧する。高圧液相冷媒は、蓄熱熱交側膨張弁17により減圧され、低圧気液二相冷媒になる。蓄熱熱交側膨張弁17から流出した低圧気液二相冷媒は、室外熱交換器7に流入する。
【0022】
室外熱交換器7は、室外機膨張弁15と蓄熱熱交側膨張弁17とから流入した低圧気液二相冷媒と、外気とを熱交換する。低圧気液二相冷媒は、室外熱交換器7で加熱され、低圧気相冷媒になる。すなわち、室外熱交換器7は、空気調和機1が通常暖房運転を実行するときに、蒸発器として機能する。室外熱交換器7から流出した低圧気相冷媒は、室外熱交側三方弁27に流入する。室外熱交側三方弁27に流入した低圧気相冷媒は、複数の切り替え弁22が暖房位置に切り替えられていることにより、吸入管31に供給され、吸入管31を介して圧縮機21に吸入される。
【0023】
空気調和機1は、通常暖房運転が実行されるときに、室内熱交換器6を流れる冷媒の流量より小さい流量の冷媒が蓄熱熱交換器8を流れることにより、蓄熱熱交換器8に滞留する冷媒の量を低減することができる。空気調和機1は、蓄熱熱交換器8に滞留する冷媒の量が低減されることにより、室内熱交換器6を流れる冷媒の量が不足することを抑制することができ、暖房能力が低下することを抑制することができる。
【0024】
[蓄熱暖房運転]
蓄熱暖房運転は、たとえば、通常暖房運転が実行されている最中で、かつ、暖房による熱負荷が、予め定められた閾値より小さいときに、開始される。制御装置41は、空気調和機1が蓄熱暖房運転を実行するときに、複数の切り替え弁22を制御し、複数の切り替え弁22を蓄熱暖房位置に切り替える。制御装置41は、空気調和機1が蓄熱暖房運転を実行するときに、さらに、室内機膨張弁16を制御し、室内機膨張弁16の開度を全開にする。制御装置41は、空気調和機1が蓄熱暖房運転を実行するときに、さらに、室外機膨張弁15を制御し、室外機膨張弁15の開度を、予め定められた開度に絞る。制御装置41は、空気調和機1が蓄熱暖房運転を実行するときに、さらに、接続配管側膨張弁25を制御し、接続配管側膨張弁25の開度を全開にする。制御装置41は、空気調和機1が蓄熱暖房運転を実行するときに、さらに、蓄熱熱交側膨張弁17を制御し、蓄熱熱交側膨張弁17の開度を、予め定められた開度に絞る。
【0025】
圧縮機21は、吸入管31を介して圧縮機21に流入した低圧気相冷媒を圧縮する。低圧気相冷媒は、圧縮機21により圧縮され、高圧気相冷媒になる。圧縮機21は、さらに、高圧気相冷媒を吐出管32に吐出する。吐出管32に吐出された高圧気相冷媒は、室内熱交側三方弁26に供給され、接続配管側膨張弁25に流入する。室内熱交側三方弁26に流入した高圧気相冷媒は、複数の切り替え弁22が蓄熱暖房位置に切り替えられていることにより、室内熱交換器6に流入する。
【0026】
室内熱交換器6は、複数の切り替え弁22から流入した高圧気相冷媒と、室内機3が設置された室内の空気とを熱交換する。室内機3は、室内熱交換器6で加熱された空気を室内に吹き出し、室内を暖房する。室内熱交換器6により熱交換された高圧気相冷媒は、冷却され、過冷却状態の高圧液相冷媒になる。すなわち、室内熱交換器6は、空気調和機1が蓄熱暖房運転を実行するときに、凝縮器として機能する。
【0027】
室内熱交換器6から流出した高圧液相冷媒は、室内機膨張弁16に流入する。室内機膨張弁16に流入した高圧液相冷媒は、室内機膨張弁16の開度が全開であることにより、室内機膨張弁16で減圧されずに、高圧液相冷媒のまま室外機膨張弁15に流入する。室外機膨張弁15は、室外機膨張弁15の開度が予め定められた開度に絞られていることにより、室内機膨張弁16から流入した高圧液相冷媒を減圧する。高圧液相冷媒は、室外機膨張弁15により減圧され、低圧気液二相冷媒になる。室外機膨張弁15から流出した低圧気液二相冷媒は、室外熱交換器7に流入する。このため、第1冷媒管11のうちの室外機膨張弁15と室外熱交換器7との間は、
図4に示されているように、密度の低い低圧気液二相冷媒で満たされ、流路部分19は、密度の高い高圧液相冷媒で満たされる。
図4は、蓄熱暖房運転が実行されているときの実施例の空気調和機1を示す冷媒回路図である。
図4では、液相冷媒が流れる流路が太線で示されている。
【0028】
接続配管側膨張弁25に流入した高圧気相冷媒は、接続配管側膨張弁25の開度が全開であることにより、減圧されずに高圧気相冷媒のまま蓄熱熱交側三方弁28に流入する。蓄熱熱交側三方弁28に流入した高圧気相冷媒は、複数の切り替え弁22が蓄熱暖房位置に切り替えられていることにより、蓄熱熱交換器8に流入する。蓄熱熱交換器8は、蓄熱熱交側三方弁28から流入した高圧気相冷媒と、蓄熱材18とを熱交換する。蓄熱材18は、蓄熱熱交換器8により加熱されることで、熱を蓄える。蓄熱熱交換器8により蓄熱材18と熱交換された高圧気相冷媒は、蓄熱熱交換器8により冷却されて凝縮し、過冷却状態の高圧液相冷媒になる。すなわち、蓄熱熱交換器8は、空気調和機1が蓄熱暖房運転を実行するときに、凝縮器として機能する。蓄熱熱交換器8から流出した高圧液相冷媒は、蓄熱熱交側膨張弁17に流入する。蓄熱熱交側膨張弁17は、蓄熱熱交側膨張弁17の開度が予め定められた開度に絞られていることにより、蓄熱熱交側膨張弁17に流入した高圧液相冷媒を減圧させる。高圧液相冷媒は、蓄熱熱交側膨張弁17により減圧され、低圧気液二相冷媒になる。蓄熱熱交側膨張弁17から流出した低圧気液二相冷媒は、室外熱交換器7に流入する。
【0029】
室外熱交換器7は、室外機膨張弁15と蓄熱熱交側膨張弁17とから流入した低圧気液二相冷媒と、外気とを熱交換する。低圧気液二相冷媒は、室外熱交換器7で加熱され、低圧気相冷媒になる。すなわち、室外熱交換器7は、空気調和機1が蓄熱暖房運転を実行するときに、蒸発器として機能する。室外熱交換器7から流出した低圧気相冷媒は、室外熱交側三方弁27に流入する。室外熱交側三方弁27に流入した低圧気相冷媒は、複数の切り替え弁22が蓄熱暖房位置に切り替えられていることにより、吸入管31に供給され、吸入管31を介して圧縮機21に吸入される。
【0030】
冷媒回路5を流れる冷媒の量が過剰であるとき、室内熱交換器6内部の冷媒流路において液相冷媒で満たされる領域が大きくなることで、室内熱交換器6において潜熱を利用する領域が小さくなるため熱交換量が低下することがある。すなわち、空気調和機1の暖房能力が低下することがある。空気調和機1は、蓄熱暖房運転が実行されるときに、液相冷媒を流路部分19に滞留させることができる。また、空気調和機1は、流路部分19の冷媒流路の管内容積が大きいことにより、多くの液相冷媒を流路部分19に滞留させることができる。空気調和機1は、蓄熱暖房運転が実行されるときに、流路部分19に液相冷媒を滞留させることにより、室内熱交換器6を流れる冷媒の量が過剰になることを抑制することができ、暖房能力が低下することを抑制することができる。
【0031】
[除霜暖房運転]
除霜暖房運転は、たとえば、蓄熱暖房運転を実行した後であって蓄熱材18に熱が蓄えられているときで、かつ、室外熱交換器7に着霜したときに、実行される。制御装置41は、空気調和機1が除霜暖房運転を実行するときに、複数の切り替え弁22を制御し、複数の切り替え弁22を除霜暖房位置に切り替える。制御装置41は、空気調和機1が除霜暖房運転を実行するときに、さらに、室内機膨張弁16を制御し、室内機膨張弁16の開度を、予め定められた開度に絞る。制御装置41は、空気調和機1が除霜暖房運転を実行するときに、さらに、室外機膨張弁15を制御し、室外機膨張弁15の開度を全開にする。制御装置41は、空気調和機1が除霜暖房運転を実行するときに、さらに、接続配管側膨張弁25を制御し、接続配管側膨張弁25の開度を、予め定められた開度に絞る。制御装置41は、空気調和機1が除霜暖房運転を実行するときに、さらに、蓄熱熱交側膨張弁17を制御し、蓄熱熱交側膨張弁17の開度を、予め定められた開度に絞る。
【0032】
圧縮機21は、吸入管31を介して圧縮機21に流入した低圧気相冷媒を圧縮する。低圧気相冷媒は、圧縮機21により圧縮され、高圧気相冷媒になる。圧縮機21は、さらに、高圧気相冷媒を吐出管32に吐出する。吐出管32に吐出された高圧気相冷媒は、室内熱交側三方弁26に供給され、接続配管側膨張弁25に流入する。室内熱交側三方弁26に流入した高圧気相冷媒は、複数の切り替え弁22が除霜暖房位置に切り替えられていることにより、室内熱交換器6に流入する。室内熱交換器6は、複数の切り替え弁22から流入した高圧気相冷媒と、室内機3が設置された室内の空気とを熱交換する。室内機3は、室内熱交換器6で加熱された空気を室内に吹き出し、室内を暖房する。高圧気相冷媒は、室内熱交換器6で冷却され凝縮し、過冷却状態の高圧液相冷媒になる。すなわち、室内熱交換器6は、空気調和機1が除霜暖房運転を実行するときに、凝縮器として機能する。
【0033】
室内熱交換器6から流出した高圧液相冷媒は、室内機膨張弁16に流入する。室内機膨張弁16は、室内機膨張弁16の開度が予め定められた開度に絞られていることにより、室内熱交換器6から流入した高圧液相冷媒を減圧させる。高圧液相冷媒は、室内機膨張弁16により減圧され、低圧気液二相冷媒になる。室内機膨張弁16から流出した低圧気液二相冷媒は、室外機膨張弁15に流入する。室外機膨張弁15に流入した低圧気液二相冷媒は、室外機膨張弁15の開度が全開であることにより、室外機膨張弁15で減圧されずに、低圧気液二相冷媒のまま蓄熱熱交側膨張弁17に流入する。このため、第1冷媒管11のうちの室内熱交換器6と室内機膨張弁16との間には、
図5に示されているように、高圧液相冷媒で満たされ、流路部分19には、低圧気液二相冷媒で満たされる。
図5は、除霜暖房運転が実行されているときの実施例の空気調和機1を示す冷媒回路図である。
図5では、液相冷媒が流れる流路が太線で示されている。
【0034】
接続配管側膨張弁25は、接続配管側膨張弁25の開度が予め定められた開度に絞られていることにより、接続配管側膨張弁25に流入した高圧気相冷媒を若干減圧する。接続配管側膨張弁25により減圧された高圧気相冷媒は、室外熱交側三方弁27に流入する。室外熱交側三方弁27に流入した高圧気相冷媒は、複数の切り替え弁22が除霜暖房位置に切り替えられていることにより、室外熱交換器7に流入する。
【0035】
室外熱交換器7は、室外熱交側三方弁27から流入した高圧気相冷媒と、室外熱交換器7に着霜した霜とを熱交換する。室外熱交換器7に着霜した霜は、加熱され、融解する。このとき、空気調和機1は、接続配管側膨張弁25が冷媒を減圧している分、室外熱交換器7に除霜に必要な温度の冷媒を流すことができる。室外熱交換器7により着霜した霜と熱交換した高圧気相冷媒は、冷却されて凝縮し、過冷却状態の高圧液相冷媒になる。すなわち、室外熱交換器7は、空気調和機1が除霜暖房運転を実行するときに、凝縮器として機能する。室外熱交換器7の内部には、室外熱交換器7が凝縮器として機能することにより、液相冷媒が滞留する。このとき、接続配管側膨張弁25が冷媒を減圧されている分、室外熱交換器7を流れる冷媒の温度が低く、室外熱交換器7の内部に滞留する液相冷媒が少ない。室外熱交換器7から流出した高圧液相冷媒は、蓄熱熱交側膨張弁17に流入する。
【0036】
蓄熱熱交側膨張弁17は、蓄熱熱交側膨張弁17の開度が予め定められた開度に絞られていることにより、室内熱交換器6と室外熱交換器7とから流入した高圧液相冷媒を減圧する。高圧液相冷媒は、蓄熱熱交側膨張弁17により減圧され、低圧気液二相冷媒になる。蓄熱熱交側膨張弁17から流出した低圧気液二相冷媒は、蓄熱熱交換器8に流入する。
【0037】
蓄熱熱交換器8は、蓄熱熱交側膨張弁17から流入した低圧気液二相冷媒と、蓄熱材18とを熱交換する。蓄熱熱交換器8により蓄熱材18と熱交換された低圧気液二相冷媒は、加熱され、低圧気相冷媒になる。すなわち、蓄熱熱交換器8は、空気調和機1が除霜暖房運転を実行するときに、蒸発器として機能する。蓄熱熱交換器8から流出した低圧気相冷媒は、蓄熱熱交側三方弁28に流入する。蓄熱熱交側三方弁28に流入した低圧気相冷媒は、複数の切り替え弁22が除霜暖房位置に切り替えられていることにより、吸入管31に供給され、吸入管31を介して圧縮機21に吸入される。
【0038】
空気調和機1は、蓄熱暖房運転が実行されるときに流路部分19に貯留される液相冷媒が、除霜暖房運転が実行されるときに室外熱交換器7に液相冷媒が滞留する。これにより、室内熱交換器6を流れる冷媒の量が不足することを抑制することができ、暖房能力が低下することを抑制することができる。
【0039】
[冷房運転]
冷房運転は、たとえば、空気調和機1がユーザにより冷房運転を実行するように操作されたときに実行される。制御装置41は、空気調和機1が冷房運転を実行するときに、複数の切り替え弁22を制御し、複数の切り替え弁22を冷房位置に切り替える。制御装置41は、空気調和機1が冷房運転を実行するときに、さらに、接続配管側膨張弁25を制御し、接続配管側膨張弁25の開度を全開にする。制御装置41は、空気調和機1が冷房運転を実行するときに、さらに、蓄熱熱交側膨張弁17を制御し、蓄熱熱交側膨張弁17の開度を全閉にする。制御装置41は、空気調和機1が冷房運転を実行するときに、さらに、室外機膨張弁15を制御し、室外機膨張弁15の開度を、予め定められた開度に絞る。制御装置41は、空気調和機1が冷房運転を実行するときに、さらに、室内機膨張弁16を制御し、室内機膨張弁16の開度を全開にする。
【0040】
圧縮機21は、吸入管31を介して圧縮機21に流入した低圧気相冷媒を圧縮する。低圧気相冷媒は、圧縮機21により圧縮され、高圧気相冷媒になる。圧縮機21は、さらに、高圧気相冷媒を吐出管32に吐出する。吐出管32に吐出された高圧気相冷媒は、接続配管側膨張弁25に流入する。接続配管側膨張弁25に流入した高圧気相冷媒は、接続配管側膨張弁25の開度が全開であることにより、減圧されずに、高圧気相冷媒のまま室外熱交側三方弁27に流入する。室外熱交側三方弁27に流入した高圧気相冷媒は、複数の切り替え弁22が冷房位置に切り替えられていることにより、室外熱交換器7に流入する。室外熱交換器7は、複数の切り替え弁22から流入した高圧気相冷媒と、外気とを熱交換する。高圧気相冷媒は、室外熱交換器7で冷却されて凝縮し、過冷却状態の高圧液相冷媒になる。すなわち、室外熱交換器7は、空気調和機1が冷房運転を実行するときに、凝縮器として機能する。
【0041】
室外熱交換器7から流出した高圧液相冷媒は、室外機膨張弁15に流入する。室外機膨張弁15は、室外機膨張弁15の開度が予め定められた開度に絞られていることにより、室外熱交換器7から流入した高圧液相冷媒を減圧させる。高圧液相冷媒は、室外機膨張弁15により減圧され、低圧気液二相冷媒になる。室外機膨張弁15から流出した低圧気液二相冷媒は、室内機膨張弁16に流入する。室内機膨張弁16に流入した低圧気液二相冷媒は、室内機膨張弁16の開度が全開であることにより、室内機膨張弁16により減圧されずに、低圧気液二相冷媒のまま室内熱交換器6に流入する。
【0042】
室内熱交換器6は、室内機膨張弁16から流入した低圧気液二相冷媒と、室内機3が設置される室内の空気とを熱交換する。室内機3は、室内熱交換器6で冷却された空気を室内に吹き出し、室内を冷房する。低圧気液二相冷媒は、室内熱交換器6で加熱され、低圧気相冷媒になる。すなわち、室内熱交換器6は、空気調和機1が冷房運転を実行するときに、蒸発器として機能する。室内熱交換器6から流出した低圧気相冷媒は、室内熱交側三方弁26に流入する。室内熱交側三方弁26に流入した低圧気相冷媒は、複数の切り替え弁22が冷房位置に切り替えられていることにより、吸入管31に供給され、吸入管31を介して圧縮機21に吸入される。
【0043】
[実施例の空気調和機1の効果]
実施例の空気調和機1は、冷媒が循環する冷媒回路5を備えている。冷媒回路5には、圧縮機21と室内熱交換器6と室外熱交換器7と蓄熱熱交換器8と複数の切り替え弁22と第1冷媒管11と第1分岐部14と第2冷媒管12と室外機膨張弁15と室内機膨張弁16とが設けられている。圧縮機21は、冷媒を圧縮する。室内熱交換器6は、室内の空気と冷媒とを熱交換する。室外熱交換器7は、外気と冷媒とを熱交換する。蓄熱熱交換器8は、蓄熱材18と冷媒とを熱交換する。複数の切り替え弁22は、蓄熱暖房運転と除霜暖房運転とで冷媒回路5における冷媒の循環経路を切り替える。蓄熱暖房運転では、室内熱交換器6および蓄熱熱交換器8を凝縮器として機能させ、室外熱交換器7を蒸発器として機能させる。除霜暖房運転では、室内熱交換器6および室外熱交換器7を凝縮器として機能させ、蓄熱熱交換器8を蒸発器として機能させる。第1冷媒管11は、室内熱交換器6と室外熱交換器7とを接続する。第1分岐部14は、第1冷媒管11の途中に設けられている。第2冷媒管12は、蓄熱熱交換器8と第1分岐部14とを接続する。室外機膨張弁15は、第1冷媒管11のうちの室内熱交換器6と第1分岐部14との間の部分を流れる冷媒を減圧させる。室内機膨張弁16は、第1冷媒管11のうちの室内熱交換器6と室外機膨張弁15との間に設けられ、通過する冷媒を減圧させる。
【0044】
また、実施例の空気調和機1は、蓄熱暖房運転が実行されているときに、第1冷媒管11のうちの室外機膨張弁15と室内機膨張弁16との間の流路部分19に液相冷媒が流れるように、室外機膨張弁15と室内機膨張弁16とを制御する制御装置41をさらに備えている。制御装置41は、さらに、除霜暖房運転が実行されているときに、流路部分19に気液二相冷媒が流れるように、室外機膨張弁15と室内機膨張弁16とを制御する。
【0045】
室内熱交換器6に流入する冷媒の量は、除霜暖房運転が実行されるときに、室外熱交換器7に液相冷媒が滞留する分、低減する。空気調和機1は、室内熱交換器6に流入する冷媒の量が不足するときに、暖房能力が低下するおそれがある。実施例の空気調和機1は、蓄熱暖房運転が実行されるときに流路部分19に滞留される冷媒の分、除霜暖房運転が実行されるときに室内熱交換器6に流入する冷媒の量を増加させることができる。このため、実施例の空気調和機1は、除霜暖房運転が実行されるときに、室内熱交換器6に流入する冷媒の量が低減することを抑制し、暖房能力が低下することを抑制することができる。
【0046】
また、実施例の空気調和機1は、第3冷媒管23と第4冷媒管24と接続配管側膨張弁25とをさらに備えている。第3冷媒管23は、室内熱交換器6が凝縮器として機能するときに、圧縮機21により圧縮された冷媒を室内熱交換器6に供給する。第4冷媒管24は、室外熱交換器7が凝縮器として機能するときに、圧縮された冷媒を室外熱交換器7に供給する。接続配管側膨張弁25は、第4冷媒管24を流れる冷媒を減圧させる。
【0047】
また、実施例の空気調和機1の制御装置41は、除霜暖房運転が実行されているときに、室外熱交換器7を流れる冷媒の圧力が、室内熱交換器6を流れる冷媒の圧力より低くなるように、接続配管側膨張弁25を制御する。実施例の空気調和機1は、除霜暖房運転が実行されているときに、室外熱交換器7を流れる冷媒の温度を低下させることができ、室外熱交換器7に滞留される液相冷媒の量を低減することができる。実施例の空気調和機1は、除霜暖房運転が実行されているときに室外熱交換器7に滞留される液相冷媒の量が低減することにより、室内熱交換器6に流入する冷媒の量が低減することを抑制し、暖房能力が低下することを抑制することができる。また、実施例の空気調和機1は、除霜暖房運転が実行されるときに、室外熱交換器7から蓄熱熱交換器8に流入する冷媒を減圧することができる。
【0048】
また、実施例の空気調和機1は、第2冷媒管12を流れる冷媒を減圧する蓄熱熱交側膨張弁17をさらに備えている。このとき、実施例の空気調和機1は、蓄熱暖房運転が実行されるときに、蓄熱熱交換器8から室外熱交換器7に流入する冷媒を減圧することができ、蓄熱熱交換器8へ流入する冷媒の量を室内熱交換器6へ流れる冷媒の量より少なくすることができる。実施例の空気調和機1は、室内熱交換器6へ流れる冷媒の量が不足することを抑制することができ、暖房能力の低下を抑制することができる。
【0049】
また、実施例の空気調和機1の複数の切り替え弁22は、さらに、室内熱交換器6が凝縮器として機能し、かつ、室外熱交換器7が蒸発器として機能する通常暖房運転が実行されるように、冷媒が流れる経路を切り替える。制御装置41は、通常暖房運転が実行されるときに、接続配管側膨張弁25が冷媒を減圧させる減圧量よりも蓄熱熱交側膨張弁17が冷媒を減圧させる減圧量が小さくなるように、接続配管側膨張弁25と蓄熱熱交側膨張弁17とを制御する。実施例の空気調和機1は、通常暖房運転が実行されているときに、蓄熱熱交換器8に滞留される液相冷媒を冷媒回路5に循環させ、蓄熱熱交換器8に滞留される液相冷媒を低減することができる。実施例の空気調和機1は、通常暖房運転が実行されているときに蓄熱熱交換器8に滞留される液相冷媒が低減することにより、室内熱交換器6を流れる冷媒の量が不足することを抑制することができ、暖房能力が低下することを抑制することができる。
【0050】
また、実施例の空気調和機1の室外機膨張弁15は、室外熱交換器7が設けられた室外機2に設けられている。室内機膨張弁16は、室内熱交換器6が設けられた室内機3に設けられている。実施例の空気調和機1は、室外機膨張弁15と室内機膨張弁16との両方が室外機2または室内機3の一方だけに配置される他の空気調和機に比較して、流路部分19の長さをより長くすることができ、流路部分19の冷媒流路の管内容積をより大きくすることができる。実施例の空気調和機1は、流路部分19の冷媒流路の管内容積が大きいことにより、蓄熱暖房運転が実行されているときに、流路部分19に滞留される液相冷媒の量を多くすることができる。実施例の空気調和機1は、蓄熱暖房運転が実行されているときに流路部分19に滞留される冷媒の量が多いことにより、除霜暖房運転が実行されるときに、室内熱交換器6を流れる冷媒の量が不足することを抑制でき、暖房能力が低下することを抑制することができる。
【0051】
ところで、既述の実施例の空気調和機1は、通常暖房運転が実行されているときに、蓄熱熱交換器8に冷媒を流しているが、蓄熱熱交換器8に冷媒を流さなくてもよい。たとえば、制御装置41は、空気調和機1が通常暖房運転を実行するときに、複数の切り替え弁22を制御し、室内熱交側三方弁26を介して吐出管32を室内熱交換器6に接続し、室外熱交側三方弁27を介して室外熱交換器を吸入管31に接続し、蓄熱熱交側三方弁28を介して蓄熱熱交換器8を吸入管31に接続する。制御装置41は、空気調和機1が通常暖房運転を実行するときに、さらに、蓄熱熱交側膨張弁17を制御し、蓄熱熱交側膨張弁17の開度を全閉にする。空気調和機1は、通常暖房運転が実行される前に蓄熱熱交換器8に液相冷媒が滞留しているときでも、冷媒を吸入管31に供給することができ、蓄熱熱交換器8に滞留される冷媒の量を低減することができる。空気調和機1は、蓄熱熱交換器8に滞留される冷媒の量が低減されることにより、既述の実施例の空気調和機と同様に、室内熱交換器6を流れる冷媒の量が不足することを抑制することができ、暖房能力が低下することを抑制することができる。
【0052】
ところで、既述の実施例の空気調和機1は、冷房運転が実行されるように形成されるが、冷房運転が実行されないように形成されていてもよい。空気調和機1は、冷房運転が実行されないときでも、除霜暖房運転が実行されるときに、室内熱交換器6を流れる冷媒の量が不足することを抑制することができ、暖房能力が低下することを抑制することができる。
【0053】
以上、実施例を説明したが、前述した内容により実施例が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、実施例の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。
【符号の説明】
【0054】
1 :空気調和機
2 :室外機
3 :室内機
5 :冷媒回路
6 :室内熱交換器
7 :室外熱交換器
8 :蓄熱熱交換器
11:第1冷媒管(第1流路)
12:第2冷媒管(第2流路)
14:第1分岐部(分岐部)
15:室外機膨張弁(第1膨張弁)
16:室内機膨張弁(第2膨張弁)
17:蓄熱熱交側膨張弁(第4膨張弁)
18:蓄熱材
19:流路部分
21:圧縮機
22:複数の切り替え弁
23:第3冷媒管(第3流路)
24:第4冷媒管(第4流路)
25:接続配管側膨張弁(第3膨張弁)
41:制御装置(制御部)