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特許7537490骨領域を光学的に分析するための整形外科用ピン
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】骨領域を光学的に分析するための整形外科用ピン
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/90 20060101AFI20240814BHJP
【FI】
A61B17/90
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022511069
(86)(22)【出願日】2020-08-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-02
(86)【国際出願番号】 EP2020074082
(87)【国際公開番号】W WO2021038042
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2023-08-09
(31)【優先権主張番号】19194437.0
(32)【優先日】2019-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】20171382.3
(32)【優先日】2020-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】ヘンドリクス ベルナルドゥス ヘンドリクス ウィルヘルムス
(72)【発明者】
【氏名】バビック ドラゼンコ
(72)【発明者】
【氏名】スプリーソフ ヤリッヒ ウィレム
(72)【発明者】
【氏名】ルカッセン ジェルハルドゥス ウィルヘルムス
(72)【発明者】
【氏名】グローエン ヨハネケ ジェリッジェ
(72)【発明者】
【氏名】レイヒ クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ホルサイゼン ロナルドゥス フレデリック ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ホーマン ロバート ヨハネス フレデリック
【審査官】木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-518022(JP,A)
【文献】特表2018-501825(JP,A)
【文献】特表2018-529452(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0013936(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0049808(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0163901(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0221922(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第101791246(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00―90/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨領域を光学的に分析するための整形外科用ピンにおいて、前記整形外科用ピンは、
第1の直径を有する円形の外側断面、骨に挿入するための遠位端、近位端、及び前記近位端に向かって配置された光コネクタ部分を有する細長いシャフトと、
少なくとも1つの光ファイバと、
を有し、
前記少なくとも1つの光ファイバは、前記遠位端が前記骨領域に挿入される場合に前記光コネクタ部分と前記骨領域との間で光放射線を伝送するために、前記光コネクタ部分と前記遠位端との間で前記細長いシャフト内に延在し、
前記光コネクタ部分は、縮径部分を有し、前記縮径部分は、前記細長いシャフトの少なくとも一部に沿って延在し、前記細長いシャフトに対して垂直な幅を有する外側断面を有し、前記幅は、前記第1の直径より小さい、
整形外科用ピン。
【請求項2】
前記縮径部分は、前記第1の直径を有する前記円形の外側断面と同軸に配置された第2の円形の外側断面を有し、前記第2の円形の外側断面は、前記第1の直径より小さい第2の直径を有する、請求項1に記載の整形外科用ピン。
【請求項3】
前記縮径部分は、前記細長いシャフトの少なくとも一部に沿って延在する少なくとも1つの平坦な表面を有する、請求項1に記載の整形外科用ピン。
【請求項4】
前記縮径部分が、細長いシャフトの長手方向軸の周りに非対称な外側断面を有する、請求項1に記載の整形外科用ピン。
【請求項5】
前記縮径部分は、前記縮径部分の幅を超え、かつ前記第1の直径以下である、前記細長いシャフトに対して垂直にかつ前記縮径部分の前記幅に対して平行な最小幅を有する外形断面を有する前記細長いシャフトの近位部分によって、前記細長いシャフトの前記近位端から分離される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の整形外科用ピン。
【請求項6】
前記整形外科用ピンが、2つ以上の光ファイバを有し、前記2つ以上の光ファイバの各々が、前記細長いシャフトの前記遠位端に向かって配置された近位端を含み、前記2つ以上の光ファイバのうちの少なくとも1つの近位端が、前記2つ以上の光ファイバのうちの少なくとも別の光ファイバの近位端から、溝又はリッジ又は段によって分離される、請求項1に記載の整形外科用ピン。
【請求項7】
前記整形外科用ピンが、2つ以上の光ファイバを有し、前記2つ以上の光ファイバのうちの少なくとも1つの遠位端が、前記細長いシャフト内の開口を通して、かつ前記細長いシャフトに対して半径方向に光放射線を放出及び/又は受信するように構成され、前記2つ以上の光ファイバのうちの少なくとも別の光ファイバの遠位端が、前記細長いシャフトの遠位端を通して、かつ前記細長いシャフトに対して軸方向に光放射線を放出及び/又は受信するように構成される、請求項1に記載の整形外科用ピン。
【請求項8】
前記整形外科用ピンが、第1の光ファイバ及び第2の光ファイバを有し、前記細長いシャフトは、前記第1の光ファイバ及び前記第2の光ファイバが延在するボアを更に有し、前記細長いシャフトの前記光コネクタ部分と前記細長いシャフトの前記遠位端との間に配置される中央部分を含み、前記中央部分内で、前記第1の光ファイバの長手方向軸線は、第1の分離距離だけ前記第2の光ファイバの長手方向軸から最大に分離され、前記細長いシャフトの前記光コネクタ部分及び/又は前記細長いシャフトの前記遠位端は、プラグを有する遷移領域を含み、前記ボアは、前記遷移領域において、前記中央領域よりも広い直径を有し、前記プラグは、前記遷移領域における前記ボア内にフィットし、前記プラグは、前記第1の光ファイバの長手方向軸が、前記第2の光ファイバの長手方向軸から第2の分離距離だけ分離するように、前記第1の光ファイバ及び前記第2の光ファイバを分離するように構成され、前記第2の分離距離は、前記第1の分離距離よりも大きい、請求項1に記載の整形ピン。
【請求項9】
請求項1に記載の整形外科用ピンの前記光コネクタ部分と解放可能に接続するための光アダプタにおいて、前記光アダプタは、
前記縮径部分を含む前記細長いシャフトの前記近位端を受け入れるためのポートと、
把持要素と、
前記整形外科用ピンの前記少なくとも1つの光ファイバに光放射線を結合するための少なくとも1つの光学要素と、
を有し、
前記細長いシャフトの前記縮径部分が前記ポート内に受けられる場合に、前記把持要素は、前記少なくとも1つの光学要素が、光放射線を結合するために前記整形外科用ピンの前記少なくとも1つの光ファイバと整列させられるように、前記細長いシャフトの前記縮径部分と係合するように構成される、
光アダプタ。
【請求項10】
前記把持要素は、前記整形外科用ピンの前記細長いシャフトの前記縮径部分と係合するための係合面を有し、前記把持要素は、前記細長いシャフトの前記縮径部分が前記ポート内に受け入れられる場合に、前記係合面が前記細長いシャフトの前記縮径部分と係合するように、前記整形外科用ピンの前記細長いシャフトの長手方向軸線に対して横方向に移動するように構成される、請求項9に記載の光アダプタ。
【請求項11】
前記整形ピンの細長いシャフトの前記縮径部分は、前記細長いシャフトに対して垂直に且つ前記縮径部分の幅に対して平行な最小幅を有する外側断面を有する前記細長いシャフトの近位部分によって前記細長いシャフトから分離され、前記最小幅が、前記縮径部分の幅を超過し、前記第1の直径イカであり、前記縮径部分と前記近位部分との間の遷移は、前記整形ピンを前記ポート内に保持するための段を提供し、前記把持要素は、 前記整形外科用ピンが前記ポートに保持されるように、前記細長いシャフトの前記縮径部分が前記ポート内に受け入れられる場合に前記段と係合するための対応する表面を含む、請求項9に記載の光アダプタ。
【請求項12】
請求項9に記載の光アダプタを有し、分光計、及びプロセッサを更に有する、ハンドヘルド手術ツールにおいて、
前記分光計は、
少なくとも1つの光源と、
少なくとも1つの光検出器と、
を有し、
前記少なくとも1つの光源及び前記少なくとも1つの光検出器は、前記少なくとも1つの光学素子に光学的に結合され、請求項1に記載の整形外科用ピンが前記光アダプタの前記ポート内に受け入れられる場合、及び前記整形外科用ピンの前記細長いシャフトの前記遠位端が、前記骨領域に挿入される場合に、前記少なくとも1つの光源によって生成された光放射線が、前記少なくとも1つの光ファイバを介して前記骨領域を照射し、前記骨領域によって反射又は散乱された光放射線が、前記少なくとも1つの光ファイバを介して前記少なくとも1つの光検出器に光学的に結合されるように構成され、
前記プロセッサは、前記分光計と通信し、
前記光源に、前記骨領域を光学的に照射するための光放射線を生成させ、
前記骨領域を光学的に照射することに応答して、前記少なくとも1つの光検出器によって生成された電気信号を受信し、
アルゴリズムを用いて前記受信された電気信号を処理する、
ように構成され、
前記アルゴリズムは、
前記受信した電気信号に基づいて前記骨領域内の脂肪含有量又は水分含有量を示す少なくとも第1のパラメータを決定し、
前記少なくとも第1のパラメータに基づいて前記骨領域のタイプを識別し、前記タイプは海綿骨及び皮質骨のうちの少なくとも1つである、
ように構成される、
ハンドヘルド手術ツール。
【請求項13】
前記アルゴリズムは、
前記骨領域におけるコラーゲン含有量及び/又は光学散乱を示す少なくとも第2のパラメータを決定し、
前記少なくとも第2のパラメータに更に基づいて前記骨領域のタイプを識別する、
ように更に構成される、請求項12に記載のハンドヘルド手術ツール。
【請求項14】
前記アルゴリズムは、前記骨領域内の血液含有量を決定するように更に構成され、前記ハンドヘルド手術ツールが、インジケータを更に有し、前記インジケータは、
前記骨領域のタイプが海綿骨である場合の第1の出力、
前記骨領域のタイプが皮質骨である場合の第2の出力、
前記骨領域のタイプの識別の確実性を示し、前記骨領域内の前記決定された血液含有量に基づいて提供される、第3の出力、
生成するように構成される、請求項12に記載のハンドヘルド式手術ツール。
【請求項15】
請求項1に記載の整形外科用ピンと、
記整形外科用ピンの前記細長いシャフトを受け入れるためのチャネルを有する椎弓根スクリュー、及び/又は
前記整形外科用ピンを受け入れるように構成されたチャネルを有する中空ドリル、
及び/又は前記整形外科用ピンを受け入れるように構成されたチャネルを有する外科用スクリュードライバ、及び/又は
前記整形外科用ピンを受け入れるように構成されたチャネルを有する外科用ハンマー、
を有するキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨領域を光学的に分析するための整形外科用ピンに関する。関連する光アダプタ、ハンドヘルド手術ツール、及びキットも、開示される。本発明は、整形外科手術の一般的な分野、より詳細には脊椎手術の分野に適用される。後者において、整形外科用ピンは、例えば、椎弓根スクリューの配置をガイドするために使用されてもよい。
【背景技術】
【0002】
多くの医療処置では、移植可能な装置が、骨組織に挿入される。例えば、骨固定装置は、しばしば、他の骨組織に対して又は外部周囲に対して骨組織を位置決めするために使用される。
【0003】
このような医療処置の例は、頚椎、胸椎及び腰椎における椎弓根スクリュー挿入、様々な骨外傷における骨折固定、並びに股関節及び膝関節形成術におけるプレート位置決めを含む。
【0004】
文献Mobbs, R. J., Sivabalan, P., and Li, J., "Technique, challenges and indications for percutaneous pedicle screw fixation", Journal of Clinical Neuroscience 18 (2011) pp. 741 - 749に記載されるように、椎弓根スクリュー固定は、脊椎変性疾患、椎間板疾患、脊椎外傷及び脊椎変形の治療における主力である。椎弓根スクリュー固定は、運動セグメントを保存し、脊椎を安定させる、短く、剛体のセグメント安定化を提供する。胸腰椎骨折の治療における融合速度及び臨床転帰は、他の治療形態を用いて達成されたものよりも優れるように見える。医療研究品質調査機構(AHRQ)による報告によると、約488,000人の脊椎固定術が、2011年の米国入院中に実施され(人口1万人当たり15.7人の入院率)、これは、手術室処置全体の3.1%を占めていた。
【0005】
脊椎安定化を強化する際に世界的に使用されるにもかかわらず、椎弓根スクリュー器具の安全性及び有効性が、疑問視される。主要な関心事は、椎弓根スクリュー配置の精度に関する。椎弓根スクリューは、しばしば、盲目的に又はしばしば不十分な蛍光透視ガイダンスの下でのいずれかで挿入され、したがって、改善のためのかなりの余地を残している。
【0006】
この点に関して、国際公開第2017/055144号パンフレットは、骨組織に埋め込み可能な装置を埋め込むためのシステム、そのようなシステムのための処理ユニット、埋め込み可能な装置を埋め込む方法、及び埋め込み可能な装置の埋め込みのための情報を提供する方法を記載している。海綿骨中の脂肪含有量が緻密骨中の脂肪含有量よりも高いという知見を考慮すると、光学的手段、例えば分光法によって決定されることができる脂肪割合は、健康な骨中の正しいスクリュー配置を決定するのに使用されることができる。一実施形態では、国際公開第2017/055144号パンフレットが、中空シャフトを有し、その中に光学スタイレットを挿入されうる椎弓根スクリューを記載している。光学スタイレットは、スクリューの遠位先端まで延在し、スクリューの遠位先端で光学的測定を行うために使用される光ファイバを含む。スクリューの先端の前の(骨)組織の脂肪含有量は、分光分析によって決定され、(骨)組織がスクリューを配置するのを補助するために、骨の(より)柔らかい部分の組織であるか又は骨の(より)硬い部分の組織であるかを決定するために使用される。国際公開第2017/055144号パンフレットは、また、骨内へのKワイヤの最初の配置を伴う手順において、光感知部がキルシュナーワイヤ、すなわちKワイヤに一体化されてもよいことを開示している。
【0007】
これらの進歩にもかかわらず、椎弓根スクリューのような骨埋め込み装置を配置するときに、医師に改善されたガイダンスを提供する余地が残っている。
【0008】
米国特許出願公開第2018/0153623号は、管腔を含む各外科用器具を有する複数の異なる外科用器具のためのインサートを開示している。このインサートは、センサの追跡セグメントの再構成された形状を示す感知データを生成するための光ファイバリアルシェイプ(登録商標)センサを有する。複数の外科用器具は、同じ器具タイプの外科用器具の同じバージョン又は異なるバージョン(例えば、同じサイズのkワイヤ及び/又は異なるサイズのkワイヤ)、又は異なる器具タイプの外科用器具(例えば、J針及び突き錐(awl))であってもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、椎弓根スクリューのような骨埋め込み装置の配置をガイドするための改善された装置を提供しようとするものである。そこに、骨領域を光学的に分析するための整形外科用ピンが、提供される。光アダプタ、ハンドヘルド手術ツール、及びキットも、提供される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
整形外科用ピンは、細長いシャフトと、少なくとも1つの光ファイバとを含む。細長いシャフトは、第1の直径を有する円形の外側断面と、骨に挿入するための遠位端と、近位端と、近位端に向かって配置された光コネクタ部分とを有する。少なくとも1つの光ファイバは、遠位端が骨領域内に挿入される場合に、光コネクタ部分と骨領域との間で光放射線を伝達するために、光コネクタ部分と遠位端との間で細長いシャフト内に延在する。光コネクタ部分は、縮径部分を含む。縮径部分は、細長いシャフトの少なくとも一部に沿って延在し、細長いシャフトに対して垂直な幅を有する外側断面を有する。幅は、第1の直径より小さい。
【0011】
縮径部分の幅は、第1の直径よりも小さいため、細長いシャフトを把持するのに使用されてもよい。これは、例えば、整形外科用ピンを、光アダプタのような対応する光コネクタと解放可能に接続するために使用されてもよい。整形外科用ピンは、研削などの材料除去方法が、光コネクタ部分の縮径部分を形成するのに使用されてもよいので、改善された製造可能性から利益を得る。縮径部分では、幅が、第1の直径より小さいため、細長いシャフトを把持する手段は、細長いシャフトを拡幅せずに設けられる。したがって、細長いシャフトの近位端の外側断面は、第1の直径によって決定される、細長いシャフトの外側断面内にある。これは、整形外科用ピンの近位端が、外科用装置を修正する必要なしに、骨ドリルビット、外科用ハンマー、又は椎弓根スクリューなどの骨固定装置などの外科用装置のチャネル内にスライド可能に受け入れられることを可能にする。これは、また、医療処置中のワークフローを改善してもよい。例えば、椎弓根スクリュー挿入処置の第1段階では、パイロット孔が、外科的ハンマーを使用して整形外科的ピンを骨領域内に打ち込むことによって骨領域内に設けられてもよい。椎弓根スクリュー挿入処置の第2段階において、椎弓根スクリューは、ガイドとして役立つ整形外科用ピンの遠位端上をスライドされてもよい。第1段階では、整形外科的ピンが、外科的ハンマーのチャネル内に受け入れられ、その挿入中に、骨領域は、整形外科的ピンに結合された光学システムによって光学的に分析される。適切なパイロット孔が整形外科的ピンによって提供された後、縮径部分は、整形外科的ピンを骨領域から除去することなく、処置の第2段階を後で実行するために、整形外科的ピンの近位端上で外科的ハンマーのチャネルをスライドさせることによって、光学システムが整形外科的ピンから分離されることを可能にする。ワークフローは、第1の打ち込み段階と第2の椎弓根スクリュー挿入段階との間に骨領域から整形外科用ピンを除去する必要性を除去する光コネクタ部分を提供することによって改善される。更なる利点も、当業者には明らかであろう。
【0012】
更なる態様及びそれらの利点は、従属請求項を参照して記載される。これらの態様からの更なる利点も、当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A】骨領域110を光学的に分析するための整形外科用ピン100を示す。
図1B】骨領域110を光学的に分析するための2つの光ファイバ105を有する整形外科用ピン100を示す。
図2A】骨領域110を光学的に分析するための整形外科用ピン100を示し、縮径部分106は矩形断面を含む。
図2B】骨領域110を光学的に分析するための2つの光ファイバ105を有する整形外科用ピン100を示し、縮径部分106は矩形断面を含む。
図3A】長手方向軸LAに垂直な平面内に例示的な断面を有する縮径部分106を持つ整形外科用ピン100の光コネクタ部分104を示す。
図3B】長手方向軸LAに垂直な平面内に例示的な断面を有する縮径部分106を持つ整形外科用ピン100の光コネクタ部分104を示す。
図3C】長手方向軸LAに垂直な平面内に例示的な断面を有する縮径部分106を持つ整形外科用ピン100の光コネクタ部分104を示す。
図3D】長手方向軸LAに垂直な平面内に例示的な断面を有する縮径部分106を持つ整形外科用ピン100の光コネクタ部分104を示す。
図3E】長手方向軸LAに垂直な平面内に例示的な断面を有する縮径部分106を持つ整形外科用ピン100の光コネクタ部分104を示す。
図3F】長手方向軸LAに垂直な平面内に例示的な断面を有する縮径部分106を持つ整形外科用ピン100の光コネクタ部分104を示す。
図4】細長いシャフト101の近位部分107によって近位端103から分離された縮径部分106を有する整形外科用ピン100の光コネクタ部分104を示す。
図5】整形外科用ピン100の光コネクタ部分104を示し、光ファイバ105の各々の近位端は溝108によって分離される。
図6A】丸いプロファイルを有する遠位端102を有する整形外科用ピン100を示す。
図6B】ベベルを有する遠位端102を有する整形外科用ピン100を示す。
図7】整形外科用ピン100の細長いシャフト101の遠位端102を示し、1つの光ファイバ105の遠位端は、細長いシャフトの開口109を通して光放射線を放出及び/又は受信し、別の光ファイバ105の遠位端は、細長いシャフト101の遠位端102を通して光放射線を放出及び/又は受信する。
図8】第1の光ファイバ105aの長手方向軸を第2の光ファイバ105bの長手方向軸から分離するプラグ114を有する整形外科用ピン100を示す。
図9】整形外科用ピン100の光コネクタ部分104と解放可能に接続するための光アダプタ120を示す。
図10】整形外科用ピン100の光コネクタ部分104と解放可能に接続するための光アダプタ120を示し、縮径部分106は、近位部分107によって近位端103から分離される。
図11】ネジの形態の把持要素122を有する光アダプタ120を示す。
図12】ばね付勢ピストンの形態の把持要素122を有する光アダプタ120を示す。
図13】一対のばね付勢ジョーの形態の把持要素122を有する光アダプタ120の断面を示す。
図14】整形外科用ピン100の光コネクタ部分104と解放可能に接続するための一対のばね付勢ジョーの形態の把持要素122を有する光アダプタ120の断面を示し、縮径部分106は、近位部分107によって近位端103から分離される。
図15】光アダプタ120と、分光計131と、プロセッサ132とを有する突き錐の形態のハンドヘルド手術ツール130を示す。
図16】ハンドヘルド手術ツール130のプロセッサ132によって実行され得る方法METのフローチャートを示す。
図17】血中ヘモグロビン(線220)、酸素化ヘモグロビン(線221)、水(線222)及び脂肪(線223)の吸収スペクトルの対数グラフを示し、横軸はnmで波長を示し、縦軸はcm-1でμa(λ)を示す。
図18】コラーゲン、エラスチン、NADH及びFADについての固有の蛍光曲線を示し、横軸はnmでの波長を与え、縦軸は任意の単位での蛍光強度を与える。
図19】椎弓根スクリュー150のチャネル151内に受け入れられる整形外科用ピン100を含むキット140を示す。
図20】外科的ハンマー152のチャネル内に受け入れられる整形外科的ピン100を含む別のキット140を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の原理を説明するために、整形外科用ピンは、椎弓根スクリューの形態の骨固定装置の挿入を含む医療処置を特に参照して説明される。Kワイヤの特定の形態の整形外科用ピンが参照され、このタイプの整形外科用ピンは、椎弓根スクリューの挿入を、打ち込むことによって提供し、その後に、中空椎弓根スクリューのチャネル内にスライド可能に受け入れられることによって、ガイドするために、脊椎手術分野で日常的に使用される。しかしながら、本発明は、例えば、一般に骨埋め込み可能装置の挿入を含む、骨固定装置の挿入以外の医療処置にも適用されることが理解されるべきである。整形外科用ピンという用語は一般に、骨要素を固定するために、又は脊椎又は整形外科手術で使用するための外科用ツールをガイドするために使用される細長い装置を指す。したがって、本発明は、また、スタインマンピン及びトロカールを含むが、これらに限定されない、Kワイヤ以外の他のタイプの整形外科用ピンにも適用される。更に、整形外科用ピンは、外科用ドリルビット、外科用ハンマー、ねじ回し、拡張器、及び突き錐などの外科用装置、並びに一般に骨スクリューなどの椎弓根スクリュー以外の他の骨固定装置を含むが、これらに限定されない、一般に骨内への外科用装置の挿入をガイドする際に適用されることを理解されたい。したがって、整形外科用ピンは、一般に、骨領域への医療装置の挿入をガイドするために使用されてもよく、その用途は、脊椎を伴う外科的介入に限定されないことが企図される。
【0015】
Mobbs, R. J., Sivabalan, P., and Li, J., "Technique, challenges and indications for percutaneous pedicle screw fixation", Journal of Clinical Neuroscience 18 (2011) pp. 741-749の文献に記載されるように、椎弓根スクリューの経皮挿入のための1つのプロセスは、以下のステップを含む。
(i)術中の放射線撮影画像増強器を前方/後方位置に配置する。棘突起は、直接前方/後方投影を保証するように、椎弓根間の正中線であるべきである。
(ii)皮膚上の椎弓根の横側面の位置をマークする。皮膚と椎弓根との間の組織の深度に応じて、皮膚切開は、ジャムシディ針が、椎弓根に挿入するときに適切に角度を付けられることができるように、横方向に行われるべきである。
(iii)ジャムシディ針を皮膚切開部に通して配置し、椎弓根の横側面に「ドッキング」する。
(iv)ジャムシディ針を椎弓根内に20mm乃至25mm前進させ、針が中間椎弓根壁の横に残っていることを確認する。
(v)術中のX線画像増倍管を外側矢状面に配置する。ジャムシディ針は、ここで、椎体内にあるべきであり、したがって、中間椎弓根破損のリスクがない「安全」であるべきである。
(vi)ジャムシディ針の下にKワイヤを配置し、椎弓根タップをKワイヤの軌跡の下に配置する。
(vii)最後の椎弓根スクリューを、スクリューがKワイヤの下に配置された状態で配置し、椎体の前面を越えてKワイヤを前進させないことを確かめる。
【0016】
上述の方法では、外科医の目標は、「皮質骨」と称される椎骨の比較的硬いシェル部分と比較して、「海綿骨」と称される椎骨の比較的軟らかいコア組織内に椎弓根スクリューを最終的に配置することである。重篤な医学的合併症は、外科医が皮質骨を不注意に穿刺した場合、すなわち、特に椎弓根に最初に入った直後、かつ椎弓根の首に沿ってナビゲートする間、並びに椎体の前面において、椎弓根を「破る」場合に生じうる。椎弓根スクリューを配置する上述の方法は、これらの危険を回避するために、術中X線画像の使用に大きく依存し、X線撮像システムの向きを調整する頻繁な必要性に悩まされる。また、患者及び医師に対するX線量の追加的な危険に悩まされる。
【0017】
本発明では、上記及び他の関連する医療処置を使用して椎弓根スクリューの配置のガイダンスを改善するために使用されうる整形外科用ピンが、提供される。上述のように、本発明の整形外科用ピンは、Kワイヤの形で提供されてもよく、これは、椎弓根スクリューのその後の配置をガイドするために、上述のステップで説明されたKワイヤに取って代わってもよい。以下により詳細に記載されるように、本発明のKワイヤは、概して、種々の外科用ツールと組み合わせて使用されてもよく、適切に配向されたパイロット孔を提供し、これは、最終的に、椎弓根スクリュー又は他の骨インプラントのその後の挿入を可能にする。
【0018】
それに対して、図1Aは、骨領域110を光学的に分析するための整形外科用ピン100を示す。整形外科用ピン100は、光ファイバ105及び細長いシャフト101を含む。細長いシャフト101は、第1の直径D1を有する円形の外側断面と、骨に挿入するための遠位端102と、近位端103と、近位端103に向かって配置された光コネクタ部分104とを有する。細長いシャフト101の長手方向軸LAも、図1Aに示されており、第1の直径D1を有する円形の外側断面は、長手方向軸LAに対して垂直な平面内に存在する。骨内への遠位端102の挿入を容易にするために、遠位端102は、例えば、少なくとも1つのベベル面、又は丸いプロファイルを含んでもよく、したがって、図示の垂直な端面から逸脱されてもよく、これも、この目的に適している。光ファイバ105は、光コネクタ部分104と遠位端102との間で細長いシャフト101内に延在し、遠位端102が骨領域110内に挿入される場合に、光コネクタ部分104と骨領域110との間で光放射線を伝達するように構成される。
【0019】
近位端103において、光ファイバ105の近位端面は、光源及び/又は検出器(図示せず)と光ファイバ105との間で光放射線を結合するために露出される。遠位端103において、光ファイバ105の遠位端面は、光ファイバ105と骨領域110との間で光放射線を結合するために露出される。その際、光ファイバ105が光コネクタ部分104を用いて光源(図示せず)に結合され、遠位端102が骨領域110に挿入される場合、光源によって生成された光放射線は、光ファイバ105を介して骨領域110を照射してもよく、骨領域110によって反射又は散乱された光放射線は、光ファイバに沿って、光コネクタ部分104に結合された光検出器(図示せず)に戻るように結合されてもよく、そうすると、検出された光放射線のスペクトル解析は、骨領域110の種類を決定するために、又はより具体的には、骨領域が皮質骨及び海綿骨のうちの1つかどうかを区別するために、以下で説明されるように実行されてもよい。
【0020】
図1Aを更に参照すると、光コネクタ部分104は、縮径部分106を含む。縮径部分106は、細長いシャフト101の少なくとも一部に沿って延在し、細長いシャフト101に対して垂直に幅Drdを有する外側断面を有する。幅Drdは、細長いシャフト101を把持するために、例えば、整形外科用ピンを光アダプタのような対応する光コネクタと解放可能に接続させるために、第1の直径D1より小さい。
【0021】
有利には、縮径部分106は、光コネクタ部分104が光アダプタ(図示せず)のような対応する光コネクタと解放可能に接続され得るように、細長いシャフト101の把持を可能にする。幅Drdが第1の直径D1より小さいので、細長いシャフト101は、細長いシャフト101を広げる必要なしに把持されうる。これは、特に材料除去方法が幅Drdを提供するためにを使用されうるので、光コネクタ部分104の製造可能性を改善する。更に、細長いシャフト101の近位端は、光コネクタ部分104を提供するために広げられていない、すなわち、第1の直径D1よりも広くないので、細長いシャフト101は、骨領域110にパイロット孔を提供する間、又は骨固定装置を骨領域110内に後で挿入する間に、外科用ツール又は椎弓根スクリューを修正する必要なしに、骨ドリルビット又はハンマーなどの外科用ツール又は椎弓根スクリューなどの骨固定装置のチャネル内に、特に近位端103上で、スライド可能に受け入れられてもよい。
【0022】
したがって、整形外科用ピン100は、整形外科用ピン100の遠位端102における(骨)組織のタイプの光学的感知を容易にし、それによって、椎弓根スクリューなどの骨インプラントを骨領域110内に配置する様々なステップにおいて、医師を補助する。X線撮像下での従来のKワイヤの使用と比較して、整形外科用ピン100によって容易にされるような光学的ガイダンスは、皮質骨の近接に対する改善された感度を提供し、それによって、減少されたX線放射線量で又はX線放射線量なしで、皮質骨に対する遠位端102の位置決めの改善された精度を提供すると見なされてもよい。
【0023】
図1Bは、骨領域110を光学的に分析するための2つの光ファイバ105を有する整形外科用ピン100を示す。図1Bは、2つの光ファイバを有することを除いて、図1Aと同一である。光ファイバ105の近位端面は、光源(図示せず)からの光放射線を受けるために露出され、光ファイバ105の遠位端面は、骨領域110への及び/又はからの光放射線を結合するために露出される。動作中、光ファイバ105のうちの1つは、光コネクタ部分104を用いて光源に結合されてもよく、遠位端102が骨領域110に挿入される場合、光源によって生成された光放射線は、光ファイバ105のうちの1つを介して骨領域110を照射してもよく、骨領域110によって反射又は散乱された光放射線は、光ファイバ105のうちの他方に結合され、光ファイバに沿って、光コネクタ部分104に結合された光検出器(図示せず)に戻されてもよく、検出された光放射線のスペクトル解析は、その後、骨領域110のタイプを決定するために、又はより具体的には皮質骨及び海綿骨のうちの1つタイプを区別するために、以下で説明されるように実行されてもよい。
【0024】
図1Aと比較すると、図1Bに示される2つの光ファイバの使用は、骨領域110への光放射線の送達が骨領域110からの光放射線の検出から分離されることを可能にする。これは、単一の光ファイバが光放射線の送達及び検出の両方に使用される場合に、光ファイバの遠位端における光源放射の後方反射によって骨領域110から収集される検出された光放射線の汚染を防止する。更に、図1Bに示されるような別個の送達及び検出光ファイバの使用は、骨領域110内のより深い光学的感知を提供し、光学的感知深度は、感知及び送達光ファイバ105の遠位端の横方向分離に部分的に依存する。
【0025】
図1A及び図1Bは、縮径部分106が、第1の直径D1を有する円形の外側断面と同軸に配置された第2の円形の外側断面を含み、第2の円形の外側断面が、第1の直径D1よりも小さい第2の直径を有する、整形外科用ピンの両方の例である。
【0026】
図1に示される長手方向軸LAに垂直な平面内の縮径部分106の円形断面プロファイルに対する代替の設計も、図2乃至4に例示的に示されるように考えられる。いくつかの例では、縮径部分106が、例えば、細長いシャフト101の少なくとも一部分に沿って延在する少なくとも1つの平坦な表面を含んでもよい。平坦な表面は、整形外科用ピン100を把持するための把持表面を提供してもよく、かつ/又は整形外科用ピン100を光アダプタ又は他の対応する光コネクタに対して回転方向に整列させ、それによって、整形外科用ピンを光アダプタ/対応する光コネクタと解放可能に接続させることを補助してもよい。それに加えて、図2Aは、骨領域110を光学的に分析するための整形外科用ピン100を示し、縮径部分106は、矩形断面を含む。したがって、4つの平坦な表面の使用が、図2Aに例示される。図2Aの例のように、平坦な表面は、細長いシャフト101の長手方向軸LAに対して直径方向に対向した位置で対になって配置されてもよい。正方形の断面も、考えられる。図2Bは、骨領域110を光学的に分析するための2つの光ファイバ105を有する整形外科用ピン100を示し、縮径部分106は、矩形断面を含む。2本の光ファイバを有することを除いて、図2Bの例は、図2Aの例と同一である。したがって、図2Bの平坦な表面は、光放射線を結合させるために、例えば光アダプタにおいて、光ファイバ105の遠位端を、対応する光ファイバと回転方向に整列させるように機能してもよい。
【0027】
図3A乃至3Fは、それぞれ、長手方向軸LAに垂直な平面内に例示的な断面を有する縮径部分106を有する整形外科用ピン100の光コネクタ部分104を示す。図3Aには、長方形の断面が、示され、図3Bには、直径D1を有する細長いシャフト101の円周に弦を形成する単一の平坦な表面が、示され、図3Cには、直径D1を有する細長いシャフト101の円周に直径方向に対向する弦として配置された2つの平坦な表面の使用が、示され、図3Dには、ノッチの使用が、示され、図3Eには、ねじ山の使用が、示され、図3Fには、3つの平坦な表面の使用が、示される。図3A乃至図3Eの例示的な整形外科用ピンは、1つ以上の光ファイバ105を有してもよい。また、図3B及び図3Dに見られるように、非対称断面プロファイルの使用は、特に、整形外科用ピン100を光アダプタ又は対応する光コネクタとアラインするために、特に、光放射線を結合するために、整形外科用ピン100の光ファイバを、光アダプタ/対応する光コネクタ内の対応する光ファイバとアラインするために単一の回転自由度しかないことを保証するために、一般に企図されることに留意されたい。様々な面取り部及びベベル、並びに実際に、本明細書に示される例の長手方向軸LAに沿って先細になるプロファイルの使用も、企図される。
【0028】
図1の整形外科用ピン100の近位端103における光コネクタ部分104に対する代替の設計も、また、企図される。これらは、縮径部分106と、幅Drdに対して平行な方向の直径がDrdまで増加され、直径D1によって決定される細長いシャフト101の円形断面プロファイルを越えて延在しない近位端103との間に、細長いシャフト101の近位部分107を設けることを含む。これは、細長いシャフト101の近位部分107によって近位端103から分離された縮径部分106を有する整形外科用ピン100の光コネクタ部分104を示す図4に示される。図4は、整形外科用ピンの一例であり、縮径部分106は、縮径部分106の幅Drdを超え、第1の直径D1以下である、縮径部分106の幅Drdに平行かつ細長いシャフト101に対して垂直な最小幅Dmin2を有する外側断面を有する細長いシャフト101の近位部分107によって、細長いシャフト101の近位端103から分離される。近位部分107は、特に、その断面の一部分が第1の直径D1に等しい直径を有する場合、及び細長いピンが同じ直径を有するチャネル内に受け入れられる場合に、整形外科用ピン100の近位端を軸方向に支持するように機能し得る。これは、例えば、整形外科的ピン100が骨に打ち込まれ、遠位端103が本明細書中で後述されるように、外科的ハンマーのチャネル内に受け入れられる実施例に対して有用であり得る。本明細書に記載される縮径部分106の他の断面プロファイルのいずれかと組み合わせた近位部分107の使用も、考えられ、同様に、2つ以上の光ファイバと組み合わせて考えられる。
【0029】
2つ以上の光ファイバが整形外科用ピン100に含まれる場合、光ファイバの端面間に溝又はリッジ又は段を含むことによって、光ファイバの近位端面間の光学的分離を改善することが、有益であり得る。それに対して、図5は、整形外科用ピン100の光コネクタ部分104を示し、光ファイバ105の各々の近位端は、溝108によって分離される。段又はリッジは、同じ目的を果たす。段は、長手方向軸LAに対して軸方向に沿って設けられてもよい。このような特徴は、さもなければ光学分析において誤差をもたらすかもしれない、光ファイバの端面間の光放射線の導波を減少させるように動作する。各光ファイバ101の周りの細長いシャフト101の表面は、光学的分離を更に改善するために、追加的に又は代替的に、光吸収材料でコーティングされてもよい。したがって、図5の溝によって例示されるように、整形外科用ピン100は、2つ以上の光ファイバ105を含んでもよく、2つ以上の光ファイバの各々は、細長いシャフト101の遠位端103に向かって配置された近位端を有し、2つ以上の光ファイバ105のうちの少なくとも1つの近位端は、溝108又はリッジ又は段によって、2つ以上の光ファイバ105のうちの少なくとも別のものの近位端から分離される。
【0030】
図1乃至図5の縮径部分106は、長手方向軸LAに沿って一定の幅Drdを有するように図示されるが、長手方向軸LAに沿って変化し、また、細長いシャフト101に対して垂直に幅Drdを有する幅を有する、この部分に代替の断面を設けることも意図され、幅Drdが第1の直径D1より小さいことにも留意されたい。この点に関して、縮径部分106は、長手方向軸LAに沿って、任意選択で、ジグザグ又は波形プロファイルなどのテーパ又は1つ又は複数のうねりを含んでもよい。代替的に又は追加的に、縮径部分106は、改善された把持を提供するために、長手方向軸LAに沿って粗面又は窪み若しくは突出部のアレイを含んでもよい。したがって、これらの特徴は、一般に、整形外科用ピンと光アダプタなどの対応する光コネクタとの解放可能な接続を改善するように作用してもよい。
【0031】
図1の整形外科用ピン100の遠位端102に対する代替的な設計も、考えられる。遠位端102は、例えば、骨を貫通する能力を向上させるために、丸いプロファイル又は1つ以上のベベル面を有してもよい。それに加えて、図6Aは、丸いプロファイルを有する遠位端102を有する整形外科用ピン100を示し、図6Bは、ベベルを有する遠位端102を有する整形外科用ピン100を示す。
【0032】
2つ以上の光ファイバが整形外科用ピン100内に含まれる場合、整形外科用ピン100の細長いシャフト101の一部分に少なくとも部分的に沿って光感知を実行することは、有益であり得る。それに対して、図7は、整形外科用ピン100の細長いシャフト101の遠位端102を示し、1つの光ファイバ105の遠位端は、細長いシャフトの開口109を通して光放射線を放出及び/又は受け入れ、別の光ファイバ105の遠位端は、細長いシャフト101の遠位端102を通して光放射線を放出及び/又は受け入れる。細長いシャフト101の遠位端に最も近い遠位端を有する光ファイバは、細長いシャフト101に対して軸方向に感度を有し、及び/又は光放射線を放射してもよい。その目的のために、その遠位端は、例えば、その長手方向軸に対して垂直な又は数度の端面を有してもよく、又は代わりに、その遠位端が、実際に丸いプロファイルを有してもよい。遠位端は、細長いシャフト101の最遠位端と一致してもよく、又は、例えば、前記最遠位端のベベルに配置されてもよい。軸方向感知/放出光ファイバの遠位端に近位である遠位端を有する図7の他の光ファイバは、いくつかの実施態様では、その長手方向軸に対して約45度の端面を設けられてもよく、及び/又は、長手方向軸LAに対して半径方向に光放射線を再指向させる、又は光感度を提供するための反射又は散乱表面を含んでもよい。開口109は、細長いシャフト101の円形の外側断面をこの領域に維持するために、UV硬化性の光学的に透明な接着剤などの光学的に透過性の材料で充填されてもよい。
【0033】
図7に例示されるように、長手方向軸LAに対して半径方向に光放射線を感知/指向する能力は、光ファイバを軸方向の放出/感知位置に配置することよりも幾つかの利点を有する。図7に示される光ファイバ105のうちの1つが、骨領域110に光放射線を送達するための光源光ファイバとして使用され、光ファイバのうちの他方が、骨領域110によって反射又は散乱される光放射線を受け取るための検出光ファイバとして使用される場合、骨領域110内の感知された光路は、光ファイバの遠位端の間に曲線を形成する。これは、細長いシャフト101の側部に沿った骨領域の光学的感知を提供する。更に、図示されるような光ファイバの構成は、それらの遠位端のより大きな分離を可能にし得、光学的に分析される骨領域110の体積を増加させる。図7に示される両方の光ファイバ105が骨領域110内の光放射線を送達及び感知の両方のために構成される場合、骨領域110の光学特性の独立した測定が、実行されてもよく、それによって、組織特性の空間分布に関する情報を提供してもよく、例えば、一方の光ファイバは、皮質骨の軸方向近接を感知し得、他方の光ファイバは、皮質骨の横方向近接を感知し得る。追加の光ファイバが、図7の構成に組み込まれてもよく、同様に動作してもよい。
【0034】
したがって、図7の整形外科用ピン100は、2つの光ファイバ105を含み、光ファイバ105の一方の遠位端は、細長いシャフト101の開口109を通って、細長いシャフト101に対して半径方向に光放射線を放出及び/又は受け取り、光ファイバ105の他方の遠位端は、細長いシャフト101の遠位端102を通って、細長いシャフト101に対して軸方向に光放射線を放出及び/又は受け取る。
【0035】
図1の細長いシャフト101の代替設計も、また、考えられる。一実施形態では、細長いシャフト101が、ボア111と、複数の光ファイバと、ボア内に適合するプラグ114とを含んでもよい。プラグは、光ファイバの遠位端の横方向分離距離を規定してもよい。それに加えて、図8は、第1の光ファイバ105aの長手方向軸を第2の光ファイバ105bの長手方向軸から分離するプラグ114を有する整形外科用ピン100を示す。図8を参照すると、整形外科用ピン100は、第1の光ファイバ105a及び第2の光ファイバ105bを含む。細長いシャフト101は、内部に第1の光ファイバ105a及び第2の光ファイバ105bが延在するボア111をも含む。ボア111は、光コネクタ部分104と遠位端102との間に配置される中央部分112を含む。中央部112内において、第1の光ファイバ105aの長手方向軸は、第1の分離距離Ds1だけ第2の光ファイバ105bの長手方向軸から最大に分離される。細長いシャフト101の遠位端102は、遷移領域113及びプラグ114を含む。ボア111は、中央部分112よりも遷移領域113においてより広い直径を有する。プラグ114は、遷移領域113におけるボア111内に適合し、プラグ114は、第1の光ファイバ105aの長手方向軸が第2の分離距離Ds2だけ第2の光ファイバ105bの長手方向軸から分離されるように、第1の光ファイバ105a及び第2の光ファイバ105bを分離する。第2の分離距離Ds2は、第1の分離距離Ds1よりも大きい。遷移領域113及びプラグ114は、代わりに、光ファイバ105a、105bの近位端間に所定の分離を提供するために、同様の方法で、細長いシャフト101の光コネクタ部分104内に含まれてもよい。
【0036】
したがって、プラグ113によって提供される光ファイバ105a、105bの遠位端及び/又は近位端の間の横方向の分離は、中央部分112におけるよりも大きく、これは、中央部分112における細長い管101の厚い壁部分の使用を可能にし、それによって、座屈の可能性を低減し、同時に、骨領域110におけるより深い感知を提供し、かつ/又は、対応する光コネクタ又はアダプタに近位端103を結合するアライメント公差を緩和する。プラグ114の使用は、また、光ファイバの遠位端の正確な分離を提供するので、整形外科用ピン100の製造可能性を補助してもよい。図8に示されるように、いくつかの実施態様では、ボア111の遷移領域113と中央部分112との間のインターフェースは、急激であってもよい又は任意選択で傾斜を含んでもよい段を含んでもよく、この段は、骨領域110への貫通を改善するために、例えば整形外科用ピン100の打ち込み中に、プラグ114から細長いシャフト101に軸方向衝撃荷重を伝達するように機能する。プラグ114は、例えば医療用ステンレス鋼であってもよい、細長いシャフト101と同じ材料から、又はポリマーなどの別の材料から形成されてもよい。
【0037】
したがって、整形外科用ピンの様々な例が、記載されており、不必要な重複のために、1つの整形外科用ピンに関して記載された特徴は、他の整形外科用ピンにおいても使用され得ることに留意されたい。
【0038】
整形外科用ピン100の光コネクタ部分104と解放可能に接続するための光アダプタも、開示される。このため、図9は、整形外科用ピン100の光コネクタ部分104と解放可能に接続するための光アダプタ120を示す。解放可能な接続は、整形外科用ピン100が骨領域に挿入され、光学感知が皮質骨を遮らない軌道を規定するために整形外科用ピン内の光ファイバへの光学結合を用いて実行される外科処置の第1段階と、椎弓根スクリューが椎弓根スクリュー内のチャンネルを用いて挿入されうるガイドとして挿入された整形外科用ピンが機能する外科処置の第2段階との間で移行するための好都合な手段を提供する。第1の段階と第2の段階との間の移行において、さもなければ所望の軌道を失う危険性がある、骨領域から整形外科用ピン100を取り外す必要性を軽減することが望ましい。これは、光コネクタ部分104の前述の縮径部分106によって容易にされ、ユーザが整形外科用ピンの遠位端上で椎弓根スクリューをスライドさせることを可能にする。
【0039】
この目的のための種々の例示的な光アダプタ120が、図9乃至図14に示される。図9を参照すると、光アダプタ120は、ポート121と、把持要素122と、光学素子123とを含む。ポート121は、縮径部分106を含む細長いシャフト101の近位端103を受け入れるように構成される。光学素子123は、光放射線を光ファイバ105に結合するように構成される。更に、細長いシャフトの縮径部分106がポート121内に受け入れられる場合、把持要素122は、細長いシャフト101の縮径部分106と係合し、その結果、光学素子123が、両者の間の光放射線を結合するための整形外科用ピン100の光ファイバ105と整列される。これにより、縮径部分106は、整形外科用ピン100を対応する光コネクタ/光アダプタと解放可能に接続させるための手段を提供する。
【0040】
より詳細には、把持要素122は、細長いシャフト101の縮径部分106と係合するための1つ又は複数の係合面124を含み、幾つかの実施では、把持要素122は、細長いシャフト101の縮径部分106がポート121内に受け入れられる場合に、係合面124が細長いシャフト101の縮径部分106と係合するように、整形外科用ピン100の細長いシャフト101の長手方向軸LAに対して横方向に移動する、例えばスライドするように構成される。
【0041】
整形外科用ピン100内の1つ以上の追加の光ファイバと及び光アダプタ120内の対応する光学素子123が、同様の方法で図9の例に含まれてもよいことに留意されたい。ポート121は、細長いシャフト101の近位端103を受け入れるために寸法決めされてもよい。把持要素122は、図9において、U字形状を有するものとして例示され、矢印によって図示されるように、図9において長手方向軸LAに対して横方向にスライドするように配置されてもよい。横方向にスライドすると、この特定の例における係合面が互いに向き合い、U字形の内向き部分上に配置される、把持要素122の1つ又は複数の係合面124と、光コネクタ部分104との間の摩擦抵抗が、整形外科用ピン100を光アダプタ100内に保持するように作用する。把持要素122の係合面124は、任意選択的に、粗面化されてもよく、又は、改善された把持を提供するために、長手方向軸LAに沿って窪み又は突出部のアレイを含んでもよい。これらの特徴は、整形外科用ピンと光アダプタとの解放可能な接続を改善しうる。
【0042】
光アダプタ100における整形外科用ピン100の保持を改善するために、把持要素122及び/又はアダプタ120の本体の一部は、把持要素122が長手方向軸LAに対して横方向にスライドされる場合に光コネクタ部分104の部分を挟むように配置された楔形プロファイルを付加的に含んでもよい。
【0043】
代替の実施形態では、U字形を有するのではなく、図9の把持要素122は、任意選択で前述のウェッジ(複数可)とともに、単一の細長い部材のみを含んでもよく、このウェッジは、長手方向軸LAに対して横方向にスライドされると、例えば、光アダプタ120の本体内に設けられた固定表面に対して光コネクタ部分104の一方の側を挟むことによって、同様に光コネクタ部分104と係合する。把持要素122の様々な他の形態が、以下に説明される。
【0044】
図9の光学素子123は、図示のように光ファイバによって、又は同様の方法で別の光導波路によって提供されてもよい。光学素子123と整形外科用ピン100の光ファイバ105の遠位端との間で光放射線を結合する際の1つ以上のレンズ(図示せず)を使用も、考えられる。このようなレンズは、例えば、光ファイバの遠位端を光放射線で過充填することによって、光学素子123と光ファイバとの間のアライメント公差を緩和するのに役立ち得る。光学素子123は、光源及び/又は検出器(図示せず)への光学接続を提供してもよく、この光源及び/又は検出器は、例えばコンソールの形で、光アダプタとは別個であってもよく、又は光アダプタ120と光源及び/又は検出器との両方が、以下に記載されるように、ハンドヘルド手術ツールに一体化されてもよい。上記の別個の構成において、光学素子123として機能する光ファイバは、例えば、1メートル以上の長さを有してもよい。
【0045】
図10は、整形外科用ピン100の光コネクタ部分104と解放可能に接続するための光アダプタ120を示し、縮径部分106は、近位部分107によって近位端103から分離される。図10の光アダプタは、ポート121が細長いシャフト101の縮径部分106と同様に、近位部分121を受け入れるように構成される点で、図9のものとは異なる。図10において、整形外科用ピン100の細長いシャフトの縮径部分106は、細長いシャフト101に対して垂直にかつ縮径部分106の幅Drdに対して平行な最小幅Dmin2を有する外側断面を有する細長いシャフト101の近位部分107によって、細長いシャフト101の近位端103から分離される。近位部分107の最小幅Dmin2は、縮径部分106の幅Drdを超え、第1の直径D1以下である。更に、縮径部分106と近位部分107との間の遷移は、整形外科用ピン100をポート121内に保持するための段125を提供する。把持要素122は、また、整形外科用ピン100がポート121内に保持されるように、細長いシャフト101の縮径部分106がポート121内に受け入れられる場合に、段125と係合するための対応する表面126を含む。したがって、縮径部分106と近位部分107との間の遷移は、ポート121における整形外科用ピン100の保持を改善するように機能する。
【0046】
図11は、ねじの形態の把持要素122を有する光アダプタ120を示す。図9と同様に、図11の把持要素122は、細長いシャフト101の縮径部分106と係合するために、長手方向軸LAに対して矢印で示されるように横方向に移動するように構成される。図11の例は、長手方向軸LAに対して横方向にスライドすることによって細長いシャフト101の長手方向軸LAに対して横方向に移動する把持要素の代わりに、ねじが、把持要素122として機能し、ねじが、長手方向軸LAに対して平行な平面内で回転することによって細長いシャフト101の長手方向軸LAに対して横方向に移動する点で図9と異なる。
【0047】
図12は、ばね付勢ピストンの形態の把持要素122を有する光アダプタ120を示す。図9のように、図12の把持要素122は、細長いシャフト101の縮径部分106と係合するために、長手方向軸LAに対して、矢印で示されるように、スライスることによって、横方向に移動するように構成される。図12の例は、バネ付勢ピストンが把持要素122として機能する点で図9と異なる。
【0048】
図13は、一対のバネ付勢ジョーの形態の把持要素122を有する光アダプタ120の断面を示す。図9の把持要素と同様に、図12のばね付勢ジョーは、細長いシャフト101の縮径部分106と係合するために、長手方向軸LAに対して矢印で示すように横方向に移動するように構成される。図12の例は、ばね付勢ジョーが、把持要素122として機能する点で図9と異なる。代替的に、単一のジョーが、同様の方法で使用されてもよい。
【0049】
図14は、整形外科用ピン100の光コネクタ部分104と解放可能に接続するための一対のばね付勢ジョーの形態の把持要素122を有する光アダプタ120の断面図を示し、縮径部分106は、近位部分107によって近位端103から分離される。図14の光アダプタは、ポート121が細長いシャフト101の縮径部分106と同様に、近位部分121を受け入れるようになっている点で、図13のものとは異なる。再び、代替的に、単一のジョーが、同様の方法で使用されてもよい。
【0050】
したがって、光アダプタの様々な例が、説明されたが、不必要な重複のために、1つの光アダプタに関して説明された特徴が、他のアダプタに使用されてもよいことに留意されたい。
【0051】
上述の光アダプタは、また、突き錐、ドリル、又はねじ回し、又はハンマーなどのハンドヘルド外科用ツールに含まれてもよい。それに加えて、図15は、光アダプタ120、分光計131、及びプロセッサ132を有する突き錐の形態のハンドヘルド手術ツール130を示す。ハンドヘルド手術ツール130は、光アダプタ120、分光計131、及びプロセッサ132を含み、これらのユニットは、図15の相互接続線によって示されるように相互接続される。分光器131は、少なくとも1つの光源(図示せず)及び少なくとも1つの光検出器(図示せず)を含む。少なくとも1つの光源及び少なくとも1つの光検出器は、光アダプタ120の少なくとも1つの光学素子123に光学的に結合され、整形外科用ピン100が光アダプタ120のポート121内に受け入れられる場合に、及び整形外科用ピン100の細長いシャフト101の遠位端102が骨領域110に挿入される場合に、少なくとも1つの光源によって生成された光放射線が、少なくとも1つの光ファイバ105を介して骨領域110を照射し、骨領域110によって反射又は散乱された光放射線が、少なくとも1つの光ファイバ105を介して少なくとも1つの光検出器に光学的に結合されるように構成される。プロセッサ132は、分光計131と通信し、図16に更に示される以下の方法ステップ、
光源に、骨領域110を光学的に照射するための光放射線を生成させるステップS1と、
骨領域110を光学的に照射することに応答して、少なくとも1つの光検出器によって生成された電気信号を受信するステップS2と、
次のように構成されたアルゴリズムを用いて受信された電気信号を処理するステップS3と、
受信された電気信号に基づいて骨領域110内の脂肪含有量又は水分含有量を示す少なくとも第1のパラメータを決定するステップS4と、
少なくとも第1のパラメータに基づいて、海綿骨及び皮質骨のうちの少なくとも1つである、骨領域110のタイプを識別するステップS5と、
を実行するように構成される。
【0052】
この点に関して、図16は、ハンドヘルド外科手術ツール130のプロセッサ132によって実行され得る方法METのフローチャートを示す。
【0053】
任意選択で、アルゴリズムは、
骨領域110におけるコラーゲン含有量及び/又は光散乱を示す少なくとも第2のパラメータを決定しS4'、
少なくとも第2のパラメータに更に基づいて骨領域110のタイプを識別するS5、
ように更に構成されてもよい。
【0054】
コラーゲン及び/又は光学的散乱を分析に含めることは、皮質骨と海綿質骨との間の区別を更に改善しうる。
【0055】
更に、アルゴリズムは、
骨領域110内の血液量を決定するS4"
ように更に構成されてもよい。
【0056】
外科用ツールは、インジケータを更に含んでもよく、インジケータは、
骨領域110のタイプが海綿骨110aである場合の第1の出力、
骨領域110のタイプが皮質骨110bである場合の第2の出力、
骨領域110のタイプの識別の確実性を示す第3の出力であって、骨領域110内の決定された血液含有量に基づいて提供される第3の出力、
を生成するS6ように構成される。
【0057】
骨領域のタイプの識別の確実性は、血液含有量と逆相関することが分かっている。これは、整形外科用ピンが骨領域に挿入され、次いでわずかに引き抜かれる場合、結果として生じる整形外科用ピンの遠位端と骨領域との間の空隙は、血液で満たされる傾向があるためである。光信号は、遠位端と骨領域との間に接触がないため、信頼できない場合がある。したがって、血液が光信号中で検出される場合、それは、信頼できない信号を示すことがある。
【0058】
光ファイバ105によって送達される前述の光学パラメータを決定するために、骨領域から拡散反射された光放射線に基づいて骨領域110を光学的に分析する技法は、文献R. Nachabe, B.H.W. Hendriks, M.V.D. Voort, A. E, and H.J.C.M. Sterenborg, "Estimation of biological chromophores using diffuse optical spectroscopy: benefit of extending the UV-VIS wavelength range to include 1000 to 1600 nm", Optics Express, vol. 18, 2010, pp. 879-888、及び文献R. Nachabe, B.H.W. Hendriks, A.E. Desjardins, M. van der Voort, M.B. van der Mark, and H.J.C.M. Sterenborg, "Estimation of lipid and water concentrations in scattering media with diffuse optical spectroscopy from 900 to 1600 nm", Journal of Biomedical Optics, vol. 15, May. 2010, pp. 037015 - 10に記載されている。これらの拡散反射分光法、すなわちDRS測定から、組織遷移が、推定されることができ、更に具体的には、組織の脂肪含有量を示すパラメータが、得られることができる。
【0059】
組織特性を抽出するために拡散反射分光法が上述されるが、複数の光ファイバを使用することによる拡散光トモグラフィ、差分光路長分光法、蛍光及びラマン分光法を含む、他の光学的方法も、想定されることができる。加えて、光学データの取得は、組織と接触するプローブを介して、又は非接触プローブを介して行われることができる。
【0060】
特定の組織が光ファイバの前にあるかどうかを判定するために、DRS信号が、ルックアップテーブルと比較されることができる。別の方法は、測定されたパラメータを生理学的パラメータに変換し、各組織タイプに対するこれらのパラメータの範囲を規定することである。これらの生理学的パラメータに基づいて組織を分類する分類及び回帰木「CART」分析に基づく方法が記載される、Incorporating referral is made to Duck, F. A., "Physical properties of tissue: A comprehensive reference book", 1990, Academic Press, Harcourt Brace Jovanovich, Publishersに対する参照が組み込まれる。
【0061】
生理学的パラメータを抽出する例は、カスタムメイドのMatlab 7.9.0, Mathworks, Natick, MAアルゴリズムを使用して、取得されたスペクトルをフィッティングすることによる。このアルゴリズムでは、広く受け入れられた分析モデル、すなわち、T.J. Farrel, M.S. Patterson and B.C. Wilson, "A diffusion theory model of spatially resolved, steady-state diffuse reflectance for the non-invasive determination of tissue optical properties", Med. Phys. 19 (1992) p. 879 - 888によって導入されたモデルが、実装された。Farrelらのモデルに対する入力引数は、吸収係数μa(λ)、等価散乱係数μs(λ)、及びプローブの先端における放射ファイバと集光ファイバとの間の中心間距離である。拡散理論モデルの完全な説明のために、Farrelらの文献が参照される。
【0062】
以下、モデルが、簡単に説明される。これらの式は、主に、上記のNachabe ら(R. Nachabe, B.H.W. Hendriks, M.V.D. Voort, A. E, and H.J.C.M. Sterenborg, "Estimation of biological chromophores using diffuse optical spectroscopy : benefit of extending the UV-VIS wavelength range to include 1000 to 1600 nm", Optics Express, vol. 18, 2010, pp. 879 - 888)の研究に基づき、更に、この文脈で、R. Nachabe, B.H.W. Hendriks, A.E. Desjardins, M. van der Voort, M.B. van der Mark, and H.J.C.M. Sterenborg, "Estimation of lipid and water concentrations in scattering media with diffuse optical spectroscopy from 900 to 1600 nm", Journal of Biomedical Optics, vol. 15, May. 2010, pp. 037015 - 10も、参照される。
【0063】
波長λがnmで表され、λ0 =800nmの波長に対して正規化される場合、二重べき乗則関数が、等価散乱係数の波長依存性を記述するために使用されることができる。パラメータαは、この特定の波長における低減散乱振幅に対応する。
μ's(λ)=α(ρMR(λ/λ0-b +(1-ρMR)(λ/λ0-4) [cm-1 (式1)
【0064】
この式では、等価散乱係数は、ミー散乱及びレイリー散乱の合計として表され、ρMRは、ミー対合計の等価散乱割合である。ミー散乱の等価散乱傾きは、bと表記され、粒子サイズに関係する。
【0065】
吸収体を均一な分配のために、全吸光係数μa(λ)は、吸収体の減衰係数及び体積分率の積として計算されることができる(血中ヘモグロビン(線220)、酸素化ヘモグロビン(線221)、水(線222)及び脂肪(線223)の吸収スペクトルの対数グラフを示し、横軸がnmで波長を示し、縦軸がcm-1でμa(λ)を示す、図17を参照)。
μa Total = f 1 μ1 a + f 2 μ2 a + f 3 μ3 a + ... (式2)
【0066】
関心のある4つの発色団のそれぞれの濃度によって重み付けされた吸収係数の合計として吸収係数μa(λ)をモデル化する代わりに、組織吸収係数を以下のように表すことが決定された。
μa Tissue (λ)= C(λ)vBloodμa Blood(λ)+vWLμa WL(λ) [cm-1 ] (式3)
ここで、μa Blood(π) は、血液による吸収に対応し、μa WL(π)は、探査されるボリューム内の水分及び脂肪による吸収に対応する。水分及び脂肪の体積分率は、vWL=[脂肪]+[H2O]であり、vBloodは、150mg/mlの全血液中のヘモグロビン濃度についての血液体積分率を表す。
【0067】
係数Cは、色素パッケージ化の効果を説明し、吸収スペクトルの形状を変化させる波長依存補正係数である。この効果は、組織中の血液が、全体積の非常に小さな部分、すなわち血管に限定されるという事実によって説明されることができる。したがって、血管の中心付近の赤血球は、周辺よりも少ない光を吸収する。効果的には、組織内に均質に分布された場合、より少ない赤色が、別個の血管内に分布された赤血球の実際の数と同じ吸収を生じる。補正係数は、次のように表されることができる。
C(λ)=(1-exp(-2Rμa Blood(λ)))/2Rμa Blood(λ) (式4)
ここで、Rは、cmで表される平均血管半径を示す。血液に関連する吸収係数は、以下によって与えられる。
μa Blood(λ)=aBLμa HbO2(λ)+(1-aBL)μa HB(λ) [cm-1 ] (式5)
ここで、μa HbO2(λ)及びμaHB(λ)は、それぞれ、酸素化ヘモグロビンHbO2と脱酸素化ヘモグロビンHbの基本減衰係数スペクトルを表す。ヘモグロビンの総量における酸素化ヘモグロビン割合は、aBL=[HbO2]/([HbO2]+[Hb])と表示され、一般的には血液酸素飽和度して知られる。測定された組織中の水及び脂肪の存在による吸収は、以下のように規定される。
μa WL(λ)=aWLμa Lipid(λ)+(1-aWL)μa H2O(λ) [cm-1 ] (式6)
【0068】
この場合、脂肪及び水の総濃度に関連する脂肪の濃度は、aWF=[脂肪]/([脂肪]+[H2O])と書かれることができ、[脂肪]及び[H2 O]は、それぞれ脂肪(濃度0.86g/ml)及び水の濃度に対応する。
【0069】
吸収係数の表現における水及び脂肪パラメータを関連付けるこの方法は、フィッティングのための基本関数の共分散の最小化に対応する水及び脂肪体積分率を別々に推定するのではなく、式6において規定され、したがって、より安定したフィットをもたらす(この定理の更なる説明及び検証についてはR. Nachabeらによる上記の論文も参照されたい)。
【0070】
リコピン、ビタミンA、β-カロチン、又は胆汁などの他の光吸収体も、このアルゴリズムに組み込まれることができる。
【0071】
スペクトルの差を区別する別の方法は、主成分分析を利用することによる。この方法は、スペクトルの差の分類を可能にし、したがって、組織間の区別を可能にする。スペクトルから特徴を抽出することも可能である。
【0072】
拡散反射とは別に、蛍光スペクトルを測定することもできる。次いで、例えば、コラーゲン、エラスチン、還元型のニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、すなわちNADH、及びフラビンアデニンジヌクレオチド、すなわちFADのようなパラメータも、測定されることができる(コラーゲン、エラスチン、NADH、及びFADの固有蛍光曲線を示し、横軸がnmでの波長を与え、縦軸が任意の単位での蛍光強度を与える、図18を参照)。光学レドックスパラメータと称される比NADH/FADは、組織の代謝状態のインジケータであるため、興味深い(M. Muller and B.H.W. Hendriks, "Recovering intrinsic fluorescence by Monte Carlo modeling", J. Biomed. Optics vol. 18 (2013) p. 027009-1 to 027009-13、及び組織を区別するのに使用されることができる参考文献を参照)。
【0073】
本明細書に開示された方法ステップのいずれか、特にプロセッサ132に関連して説明されたものは、プロセッサ上で実行される場合にプロセッサにそのような方法ステップを実行させる命令の形で記録されてもよいことに留意されたい。
【0074】
命令は、コンピュータプログラム製品上に記憶されてもよい。コンピュータプログラム製品は、専用のハードウェアと、適切なソフトウェアに関連してソフトウェアを実行することができるハードウェアとによって提供されてもよい。プロセッサによって提供される場合、機能は、単一の専用プロセッサ、単一の共用プロセッサ、又はいくつかが共用されることができる複数の個々のプロセッサによって提供されることができる。更に、用語「プロセッサ」又は「コントローラ」の明示的な使用は、ソフトウェアを実行することができるハードウェアのみを指すものと解釈されるべきではなく、デジタル信号プロセッサ「DSP」ハードウェア、ソフトウェアを記憶するための読取専用メモリ「ROM」、ランダムアクセスメモリ「RAM」、不揮発性記憶装置などを暗黙的に含むことができるが、これらに限定されない。更に、本発明の実施形態は、コンピュータ又は任意の命令実行システムによって、又はそれに関連して使用するためのプログラムコードを提供する、コンピュータ利用可能又はコンピュータ可読記憶媒体からアクセス可能なコンピュータプログラム製品の形態をとることができる。この説明の目的のために、コンピュータ利用可能又はコンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、装置、又は機器によって、又はそれに関連して使用するために、プログラムを含む、記憶する、通信する、伝播する、又は移送することができる任意の装置であることができる。媒体は、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線、又は半導体システム、又は装置もしくは機器、又は伝搬媒体であってもよい。コンピュータ可読媒体の例は、半導体又はソリッドステートメモリ、磁気テープ、リムーバブルコンピュータディスケット、ランダムアクセスメモリ「RAM」、読取専用メモリ「ROM」、剛体磁気ディスク及び光ディスクを含む。光ディスクの現在の例は、コンパクトディスクー読取専用メモリ「CD-ROM」、コンパクトディスクー読取/書込「CD-R/W」、Blu-Ray(登録商標)及びDVDを含む。
【0075】
本明細書に記載される整形外科用ピンは、外科用装置を含むキットの一部として提供されてもよい。一例では、キットは、整形外科用ピン及び椎弓根スクリュー150を含んでもよく、椎弓根スクリューは、整形外科用ピン100の細長いシャフト101を受け入れるためのチャネル151を有する。別の例では、キットは、整形外科用ピンと、整形外科用ピンを受け入れるように構成されたチャネルを有する中空ドリルとを含んでもよい。別の例では、キットは、整形外科的ピンと、整形外科的ピンを受け入れるように構成されたチャネルを有する外科的ねじ回しとを含んでもよい。別の例では、キットは、整形外科的ピンと、整形外科的ピン100を受け入れるように構成されたチャネル151を有する外科的ハンマー152とを含んでもよい。打ち込み、穿孔、及びねじ込み機能を組み合わせる外科用ツールを有する整形外科用ピンの提供も、考えられる。それに対して、図19は、椎弓根スクリュー150のチャネル151内に受け入れられる整形外科的ピン100を含むキット140を示し、図20は、外科的ハンマー152のチャネル内に受け入れられる整形外科的ピン100を含む別のキット140を示す。これら及び他の医療装置との整形外科用ピンの使用は、整形外科用ピンの特徴として縮径部分から利益を得、これは有利にはこのような装置が整形外科用ピンの近位端上をスライドすることを可能にする。これは、外科的処置の異なる段階の間に挿入される体から整形外科用ピンを取り外す必要を除去する。
【0076】
要約すると、骨領域を光学的に分析するための整形外科用ピンが、記載されている。整形外科用ピンは、細長いシャフトと、少なくとも1つの光ファイバとを含む。細長いシャフトは、第1の直径を有する円形の外側断面と、骨に挿入するための遠位端と、近位端と、近位端に向かって配置された光コネクタ部分とを有する。少なくとも1つの光ファイバは、遠位端が骨領域に挿入される場合に、光コネクタ部分と骨領域との間で光放射線を伝達するために、光コネクタ部分と遠位端との間で細長いシャフト内に延在する。光コネクタ部分は、縮径部分を有する。縮径部分は、細長いシャフトの少なくとも一部に沿って延在し、細長いシャフトに対して垂直な幅を有する外側断面を有する。幅は、第1の直径よりも小さい。
【0077】
どのように整形外科用ピンが光アダプタとインターフェースするかを示すために、様々な例が、上で提供される。単一の中央光ファイバがある場合、この接続は、任意の相対的な角度方向で行われてもよい。次いで、角度方向は、固定されてもよく、さもなければ、整形外科用ピンと光アダプタとの間の結合は、自由に回転してもよい。複数の光ファイバがある場合、整形外科用ピンと、2つのコンポーネント間の正しい相対的な角度方向を有する光アダプタとの間で、接続が、なされるべきある。
【0078】
光アダプタは、ハンドヘルド手術器具の一部として示される。これは、一体化された光ファイバ感知を持つ光ファイバKワイヤと、Kワイヤと共に回転することができるようにしっかりと固定されるノブの形の小型着脱式光分光ユニット(OSU)とを有する第1の可能な構成を与える。ノブが取り外されると、光ファイバKワイヤは、通常の配置ツールを使用して、通常のKワイヤとして挿入されることができる。このノブは、外部装置との光ファイバ接続なしで、スタンドアロンOSU として動作することもできる。
【0079】
代替構成は、ドリルのような配置ツールに一体化されたOSUを有する光ファイバKワイヤである。光ファイバKワイヤは、例えばOSU に堅く接続されるが、OSUは、配置ツールに対する回転を可能にする。次いで、配置ツールの内部のこの回転OSUに対するKワイヤの結合は、上述のように、縮径部分を使用してもよい。
【0080】
これは、スペクトル組織感知を実行しながら、Kワイヤを使用して配置することを可能にする。光ファイバKワイヤがOSUから(したがって、配置ツールからも)切り離される場合、光ファイバKワイヤは、カニューレ装置(例えば、椎弓根スクリュー)が近位部分からバックロードされることができるという意味で、通常のKワイヤとして使用されることができる。この方法の利点は、OSU及び配置ツールが1つの装置であり、それによって光ファイバKワイヤを使用するために必要なステップ数を減らすことである。
【0081】
代替的に、光ファイバKワイヤは、配置ツールに接続され、配置ツールから切り離されることができ、Kワイヤの光ファイバと配置ツールとの間の接続は、代わりに、回転結合を含んでもよい(したがって、OSUは配置ツールに対して固定される)。上述のように、光ファイバKワイヤは、光ファイバKワイヤのファイバ及びOSUに対するファイバが、両方とも軸上にあり、互いに対して回転中も整列したままであるので、単純な結合を可能にする軸上の1つのファイバを含んでもよい。
【0082】
代替的に、光ファイバKワイヤが、代わりに、複数のファイバを含んでもよい。この場合、ファイバのアライメントが、保証される必要がある。これは、デュアルコアファイバ(この場合、特別なアライメントは必要とされない)、又は中心ファイバ及び1つ以上の同心の軸外ファイバ(例えば、環状ファイバのリング)の使用を含み得る。次いで、正しい相対的な角度向きが、光ファイバを結合させるために必要である。
【0083】
様々な実施形態が、整形外科用ピン、光アダプタ、及びハンドヘルド外科用ツールに関連して説明されてきた。不必要な重複のために、1つの実施形態に関して開示された様々な特徴は、記載された更なる有利な効果を達成するために、他の実施形態と組み合わされてもよいことに留意されたい。請求項におけるいかなる参照符号も、発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20