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  • 特許-制御装置および車両 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】制御装置および車両
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240814BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20240814BHJP
【FI】
H02J7/00 P
H02J7/00 X
H02J7/00 302B
H02J7/00 302D
H02J7/02 F
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023016029
(22)【出願日】2023-02-06
【審査請求日】2023-03-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菊地 拓也
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-291016(JP,A)
【文献】特開2019-187065(JP,A)
【文献】特開2020-089031(JP,A)
【文献】特開2010-022128(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02J 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列に接続された複数のバッテリを備える車両における前記複数のバッテリの制御装置であって、
前記複数のバッテリのそれぞれの残容量を取得する取得部と、
前記複数のバッテリのうち前記車両を駆動させるための外部負荷に電力を供給する1以上の放電対象バッテリ、および、前記複数のバッテリのうち前記車両の外部に設けられた外部電源から充電される1以上の充電対象バッテリを決定する制御部と、
を有し、
前記制御部は、前記複数のバッテリのうち、前記残容量が所定閾値以下である低残量バッテリを除く前記複数のバッテリから前記放電対象バッテリを決定し、前記低残量バッテリを含む前記複数のバッテリから前記充電対象バッテリを決定し、
前記制御部は、さらに、前記複数のバッテリの中の全てのバッテリの残容量が所定閾値以下である場合、前記全てのバッテリを、前記外部負荷に接続する接続対象のバッテリと決定する制御を実行する、
制御装置。
【請求項2】
前記複数のバッテリの状態を検知する検知部をさらに備え、
前記制御部は、前記検知部の検知結果に応じて前記車両の動作を制御する、
請求項に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記複数のバッテリの中の全てのバッテリの残容量が所定閾値以下である場合、車両の走行が不可能であることを通知する制御を実行する、
請求項に記載の制御装置。
【請求項4】
請求項に記載の制御装置と、
前記複数のバッテリと、
を含む車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置および車両に関する。
【背景技術】
【0002】
並列に接続された複数のバッテリと、車両走行用のモータなどの外部負荷と、複数のバッテリのそれぞれから外部負荷に電力を供給する電力システムとが搭載された電動車両(electric Vehicle:EV)が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、並列に接続された複数のバッテリのそれぞれの残容量(State Of Charge:SOC)を検出し、検出されたSOCに基づいて、複数のバッテリの充放電を制御する車両の制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-057228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、並列に接続された複数のバッテリのうち、SOCが低いバッテリが外部負荷に接続された場合、設計値以上に放電する場合があるという問題がある。
【0006】
本開示の目的は、並列に接続された複数のバッテリのうち、SOCが低いバッテリが設計値以上に放電しないようにすることが可能な制御装置および車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本開示における制御部は、
並列に接続された複数のバッテリを備える車両における前記複数のバッテリの制御装置であって、
前記複数のバッテリのそれぞれの残容量を取得する取得部と、
前記複数のバッテリのうち前記車両を駆動させるための外部負荷に電力を供給する1以上の放電対象バッテリ、および、前記複数のバッテリのうち前記車両の外部に設けられた外部電源から充電される1以上の充電対象バッテリを決定する制御部と、
を有し、
前記制御部は、前記複数のバッテリのうち、前記残容量が所定閾値以下である低残量バッテリを除く前記複数のバッテリから前記放電対象バッテリを決定し、前記低残量バッテリを含む前記複数のバッテリから前記充電対象バッテリを決定し、
前記制御部は、さらに、前記複数のバッテリの中の全てのバッテリの残容量が所定閾値以下である場合、前記全てのバッテリを、前記外部負荷に接続する接続対象のバッテリと決定する制御を実行する。
【0008】
本開示における車両は、
上記の制御装置と、
上記の複数のバッテリと、
を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、並列に接続された複数のバッテリのうち、SOCが低いバッテリが設計値以上に放電しないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本開示の実施の形態における電動車両の電力システムの一例を示す図である。
図2図2は、本実施の形態における電力システムにおける制御装置の一例を機能的に示す図である。
図3図3は、本実施の形態における制御装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本開示の実施の形態における電動車両(EV)の電力システム1の一例を示す図である。なお、以下の説明では、本開示をトラックや、バスなどの商用車に適用する場合について説明するが、本開示は、これに限らず、乗用車などの車両に適用してもよい。
【0012】
図1に示すように、電力システム1には、モータ3、ヒータ4および架装5などの外部負荷2と、複数のバッテリパック6と、ジャンクションボックス7(Junction Box:JB)と、車両制御装置8(Vehicle Control Unit:VCU)と、が配置されている。また、図1に、EVの外部に配置された充電器BCを示す。なお、一または複数のバッテリパック6が本開示の「バッテリ」に対応する。充電器BCが電力システム1に接続されることで、ジャンクションボックス7を介してバッテリに電力が供給される。また、充電器BCが電力システム1から取り外されることで、バッテリの充電が解除される。以下の説明で、充電器BCを「外部電源」という場合がある。また、充電器BCから供給される電力を「外部電力」という場合がある。
【0013】
モータ3は、バッテリパック6から電力が供給されることで駆動する走行用のモータである。
【0014】
ヒータ4は、バッテリパック6から電力が供給されることでバッテリパック6自身を加温するヒータである。
【0015】
架装5は、EVに搭載され、バッテリパック6から電力が供給されることで動作する装置である。架装5には、例えば、荷受台昇降装置や、冷蔵・冷凍庫が含まれる。
【0016】
複数のバッテリパック6のそれぞれは、同じ構成をしているため、複数のバッテリパック6の中の1つのバッテリパック6を代表して説明する。バッテリパック6は、複数のセル6a、バッテリリレー(+)6b、バッテリリレー(-)6c、および、バッテリパック管理システム6d(PBMS)を有している。
【0017】
バッテリリレー(+)6bの一端子は、高電圧ライン6L(+)を介してセル6aのプラス端子に接続されている。バッテリリレー(+)6bの他端子は、高電圧ライン7L(+)に接続されている。バッテリリレー(-)6cの一端子は、高電圧ライン6L(-)を介してセル6aのマイナス端子に接続されている。バッテリリレー(-)6cの他端子は、高電圧ライン7L(-)に接続されている。
【0018】
セル6aは、温度センサ6eおよび電圧センサ6fを有している。温度センサ6eは、セル温度を検出する。温度センサ6eは、検出結果(セル温度)をPBMS6dに出力する。電圧センサ6fは、セル電圧を検出する。電圧センサ6fは、検出結果(セル電圧)をPBMS6dに出力する。
【0019】
PBMS6dは、入力されたセル温度およびセル電圧のそれぞれに基づいて、高電圧ライン6L(+)と高電圧ライン7L(+)との間の接続/切断を行うようにバッテリリレー(+)6bを制御するとともに、高電圧ライン6L(-)と高電圧ライン7L(-)との間の接続/切断を行うようにバッテリリレー(-)6cを制御する。
【0020】
PBMS6dは、例えば、バッテリパック6の開放電圧(Open Circuit Voltage:OCV)およびセル温度に基づいて、セル温度毎に設定されたSOC(残容量)とOCVとの関係を表す曲線を参照して、SOCを算出する。
【0021】
ジャンクションボックス7(JB)は、バッテリパック6と外部負荷2および充電器BCとの間に配置されている。JB7は、バッテリ管理システム7a(MBMS)と、リレー回路7bとを有している。
【0022】
バッテリ管理システム7a(MBMS)とPBMS6dとは通信ライン(CAN)を介して接続されている。MBMS7aは、PBMS6dからバッテリパック6の状態(例えば、セル温度、セル電圧、SOC)を一定時間経過する毎に取得する。MBMS7aは、バッテリリレー(+)6bおよびバッテリリレー(-)6cのそれぞれの制御信号をPBMS6dに送信する。
【0023】
MBMS7aは、取得したバッテリパック6の状態に基づいてリレー回路7bを制御する。
【0024】
リレー回路7bは、モータリレー7cと、ヒータリレー7dと、チャージリレー7eと、架装リレー7fと、を有している。
【0025】
モータリレー7cの一端子は高電圧ライン7L(+)に接続されている。モータリレー7cの他端子は高電圧ライン9L(+)およびインバータ(不図示)を介してモータ3に接続されている。高電圧ライン7L(-)は、インバータを介してモータ3に接続されている。MBMS7aは、高電圧ライン7L(+)と高電圧ライン9L(+)との間の接続/切断を行うようにモータリレー7cを制御する。
【0026】
ヒータリレー7dの一端子は高電圧ライン7L(+)に接続されている。ヒータリレー7dの他端子は高電圧ライン10L(+)を介してヒータ4に接続されている。高電圧ライン7L(-)は、ヒータ4に接続されている。MBMS7aは、バッテリパック6の状態に基づいて、高電圧ライン7L(+)と高電圧ライン10L(+)との間の接続/切断を行うようにヒータリレー7dを制御する。
【0027】
チャージリレー7eの一端子(+)は高電圧ライン7L(+)に接続されている。チャージリレー7eの他端子(+)は、高電圧ライン11L(+)を介して充電器BCに接続されている。チャージリレー7eの一端子(-)は高電圧ライン7L(-)に接続されている。チャージリレー7eの他端子(-)は高電圧ライン11L(-)を介して充電器BCに接続されている。MBMS7aは、バッテリパック6の状態に基づいて、高電圧ライン7L(+)と高電圧ライン11L(+)との間の接続/切断、並びに、高電圧ライン7L(-)と高電圧ライン11L(-)との間の接続/切断、を行うようにチャージリレー7eを制御する。
【0028】
架装リレー7fの一端子は高電圧ライン7L(+)に接続されている。架装リレー7fの他端子は高電圧ライン12L(+)を介して架装5に接続されている。高電圧ライン12L(-)は、架装5に接続されている。MBMS7aは、架装5の状態に対応する車両制御装置8(VCU)の制御信号などに基づいて、高電圧ライン7L(+)と高電圧ライン12L(+)との間の接続/切断を行うように架装リレー7fを制御する。
【0029】
車両制御装置8(VCU)は、架装5の状態を示す情報に基づいて、架装5を制御する。VCU8は、EVの状態を判断し、EVを最適な状態に維持する制御を実行する。具体的には、VCU8は、EVの異常を検知した場合、EVを停止するようにモータ3を制御する。また、VCU8は、バッテリパック6とモータ3との間の電圧を変化させることで、バッテリパック6からモータ3への供給電力を制御する。また、VCU8は、バッテリパック6とヒータ4との間の電圧を変化させることで、バッテリパック6からヒータ4への供給電力を制御する。また、VCU8は、バッテリパック6を充電するときの充電電力が充電可能電力を超過しないように充電器BCを制御する。
【0030】
前述するように、MBMS7aは、バッテリパック6の状態(例えば、セル温度、セル電圧、SOC)に基づいて、バッテリリレー(+)6bおよびバッテリリレー(-)6cのそれぞれの制御信号をPBMS6dに送信する。PBMS6dは、MBMS7aの制御信号に応じて、高圧ライン6L(+)と高圧ライン7L(+)との間の接続/切断を行うように、バッテリリレー(+)6bを制御し、かつ、高圧ライン6L(-)と高圧ライン7L(-)との間の接続/切断を行うように、バッテリリレー(-)6cを制御する。高圧ライン6L(+)と高圧ライン7L(+)との間の接続が行われ、かつ、高圧ライン6L(-)と高圧ライン7L(-)との間の接続が行われることで、バッテリパック6が外部負荷2や、充電器BCと接続される接続対象のバッテリパック6となる。
【0031】
次に、電源システム1の具体例について図2を参照して説明する。図2は、電源システムにおける制御装置の一例を機能的に示す図である。本実施例においては、制御装置は、車両制御装置8に含まれているとする。なお、制御装置20は、車両制御装置8と別の装置として車両に設けられていてもよい。
【0032】
制御装置20は、バッテリパック6の電圧、電流、温度および残容量(SOC)などのバッテリパック6の状態を監視するとともに、バッテリパック6を安全かつ有効に使うための制御を行う。
【0033】
制御装置20は、制御部21と記憶部24とを備える。図2において、矢印は主なデータの流れを示しており、図2に示していないデータの流れがあってもよい。図2において、各機能ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、図2に示す機能ブロックは単一の装置内に実装されてもよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてもよい。機能ブロック間のデータの授受は、データバス、コントローラエリアネットワーク(CANバス)等、任意の手段を介して行われてもよい。
【0034】
記憶部24は、制御装置20を実現するコンピュータのBIOS(Basic Input Output System)等を格納するROM(Read Only Memory)や制御装置20の作業領域となるRAM(Random Access Memory)、OS(Operating System)やアプリケーションプログラム、当該アプリケーションプログラムの実行時に参照される種々の情報を格納するHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の記憶装置である。
【0035】
制御部21は、制御装置20のCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部24に記憶されたプログラムを実行することによって取得部22及び判定部23として機能する。
【0036】
なお、図2は、制御装置20が単一の装置で構成されている場合の例を示している。しかしながら、制御装置20は、例えば複数のプロセッサやメモリ等の計算リソースによって実現されてもよい。この場合、制御部21を構成する各部は、複数の異なるプロセッサの中の少なくともいずれかのプロセッサがプログラムを実行することによって実現される。なお、制御装置20が単一の装置で構成される場合、例えば、制御装置20は、図1に示すバッテリパック管理システム6d(PBMS)、バッテリ管理システム7a(MBMS)、および、車両制御装置8(VCU)の全部により構成されてもよい。制御装置20が複数の装置で構成される場合、例えば、制御装置20は、PBMS6d、MBMS7a、および、VCU8のそれぞれで構成されてもよく、また、いずれかの2つの装置を組み合わせたものと、他の一つの装置で構成されてもよい。
【0037】
取得部22は、複数のバッテリパック6のそれぞれのPBMS6d(図1を参照)からセル温度、セル電圧および残容量(SOC)を含むバッテリパック6の状態を示すデータを取得する。取得部22により取得されたデータは記憶部24に記憶される。
【0038】
判定部23は、複数のバッテリパック6のそれぞれのSOCが所定閾値以下であるか否かについて判定する。所定閾値は、SOCの推定誤差を考慮して設定される数値であって、例えば、7.2%である。
【0039】
また、判定部23は、モードがドライブモードであるか、又は、チャージモードであるか否かについて判定する。なお、車両の中には、複数のドライブモードおよび複数のチャージモードを備えた車両がある。例えば、複数のドライブモードの中には、アクセル操作に対するモータの駆動力を緩やかにするエコモードがある。ここでは、説明を分かり易くするため、ドライブモードおよびチャージモードのそれぞれが1つあるものとして説明する。
【0040】
次に、本実施の形態における制御装置20の動作の一例について図3を参照して説明する。図3は、本実施の形態における制御装置20の動作の一例を示すフローチャートである。本フローは、EVが起動された場合又はモードが変更された場合に開始される。以下の説明においては、制御部21(CPU)が制御装置20の各機能を実行するものとして説明する。また、以下の説明で、「接続対象」とは、負荷または充電器に接続される対象をいう。また、車両の動作時に主に負荷に対して放電して、負荷をどうさせるために、負荷に接続されるバッテリパックを、放電対象バッテリパックと呼ぶ。車両の充電時に充電器に接続されて、充電器から受けた電力を用いて充電されるバッテリパックを充電対象バッテリパックと呼ぶ。
【0041】
先ず、ステップS100において、CPUは、モードがドライブモードであるか、チャージモードであるかを判定する。モードがドライブモードである場合(ステップS100:ドライブモード)、処理はステップS110に遷移する。モードがチャージモードである場合(ステップS100:チャージモード)、処理はステップS150に遷移する。
【0042】
次に、ステップS110において、CPUは、複数のバッテリパックのそれぞれのSOCを取得する。
【0043】
次に、ステップS120において、CPUは、複数のバッテリパックの中に低残量バッテリパック(低残量バッテリパック)があるか否かについて判定する。低残量バッテリパックがある場合(ステップS120:YES)、処理は、ステップS130に遷移する。低残量バッテリパックがない場合(ステップS120:NO)、処理は、ステップS150に遷移する。
【0044】
次に、ステップS130において、CPUは、複数のバッテリパックの中の全てのバッテリパックのSOCが所定閾値以下であるか否かについて判定する。複数のバッテリパックの中の全てのバッテリパックのSOCが所定閾値以下である場合(ステップS130:YES)、処理は、ステップS150に遷移する。複数のバッテリパックの中の一部のバッテリパックのSOCが所定閾値以下でない場合(ステップS130:NO)、処理はステップS140に遷移する。
【0045】
次に、ステップS140において、CPUは、低残量バッテリパック以外のバッテリパックを、接続対象のバッテリパック(放電対象バッテリパック)と決定する制御を実行する。なお、CPUは、低残量バッテリパック以外のバッテリパックのうち、さらに所定の条件を満たすバッテリパックを放電対象バッテリパックと決定してもよい。所定の条件は、例えば、バッテリパックの残容量の差が閾値以下であること、などを設定可能である。
【0046】
次に、ステップS150において、CPUは、全てのバッテリパックを接続対象のバッテリパップ(充電対象バッテリパック)と決定する制御を実行する。なお、CPUは、全てのバッテリパックのうち、さらに所定の条件を満たすバッテリパックを充電対象バッテリパックと決定してもよい。所定の条件は、例えば、バッテリパックの残容量の差が閾値以下であること、などを設定可能である。
【0047】
上記実施の形態に係る制御装置20は、並列に接続された複数のバッテリパック6を備える車両における複数のバッテリの制御装置であって、複数のバッテリパック6のそれぞれの残容量を取得する取得部22と、複数のバッテリパック6のうち車両を駆動させるための外部負荷に電力を供給する1以上の放電対象バッテリパック6、および、複数のバッテリパック6のうち車両の外部に設けられた外部電源から充電される1以上の充電対象バッテリパック6を決定する制御部21と、を有し、制御部21は、複数のバッテリパック6のうち、残容量が所定閾値以下である低残量バッテリパック6を除く複数のバッテリパック6から放電対象バッテリパック6を決定し、低残量バッテリパック6を含む複数のバッテリパック6から充電対象バッテリパック6を決定する。
【0048】
上記構成により、SOCが所定閾値以下であるバッテリパック6を外部負荷2に接続する接続対象のバッテリパック6としないため、SOCが低いバッテリパック6が設計値以上に放電しないようにすることが可能となる。
【0049】
なお、上記実施の形態における制御装置20では、制御部21は、複数のバッテリパック6の中の全てのバッテリパック6のSOCが所定閾値以下である場合、全てのバッテリパック6を、外部負荷2に接続する接続対象のバッテリパック6と決定する制御を実行してもよい。これにより、VCU8に全てのバッテリパック6のSOCが所定閾値以下であることを送信可能となるため、VCU8がバッテリパック6の不具合が生じたか、又は、SOCの欠乏が生じたかどうかを判別可能となる。この結果、ユーザーに対して電欠状態であることを通知可能となる。
【0050】
また、上記実施の形態における制御装置20では、複数のバッテリパック6の状態(電圧、電流、温度、SOC)を検知する検知部をさらに備え、VCU8は、検知部の検知結果に応じてEVの動作を制御してもよい。これにより、例えば、VCU8は、ユーザーに対して、検知部の検知結果、および、検知結果に対応するEVの動作を知らせることが可能となる。
【0051】
また、上記実施の形態における制御装置20では、VCU8は、複数のバッテリパック6の中の全てのバッテリパック6のSOCが所定閾値以下である場合、EVの走行が不可能であることを通知する制御を実行する。これにより、ユーザーに対して、EVの走行を停止する操作を促すことが可能となる。
【0052】
その他、上記実施の形態は、何れも本開示の実施をするにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本開示の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本開示はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本開示は、並列に接続された複数のバッテリのうち、SOCが低いバッテリが設計値以上に放電しないようにすることが要求される制御装置を備えた車両に好適に利用される。
【符号の説明】
【0054】
1 電源システム
2 外部負荷
3 モータ
4 ヒータ
5 架装
6 バッテリパック
6a セル
6b バッテリリレー(+)
6c バッテリリレー(-)
6d バッテリパック管理システム(PBMS)
7 ジャンクションボックス(JB)
7a バッテリ管理システム(MBMS)
7b リレー回路
7c モータリレー
7d ヒータリレー
7e チャージリレー
7f 架装リレー
7L 高電圧ライン
8 車両制御装置(VCU)
9L 高電圧ライン
10L 高電圧ライン
11L 高電圧ライン
12L 高電圧ライン
20 制御装置
21 制御部
22 取得部
23 判定部
24 記憶部
【要約】
【課題】並列に接続された複数のバッテリのうち、SOCが低いバッテリが設計値以上に放電しないようにすることが可能な制御装置および車両を提供する。
【解決手段】制御装置は、並列に接続された複数のバッテリを備える車両における複数のバッテリの制御装置であって、複数のバッテリのそれぞれの残容量を取得する取得部と、複数のバッテリのうち車両を駆動させるための外部負荷に電力を供給する1以上の放電対象バッテリ、および、複数のバッテリのうち車両の外部に設けられた外部電源から充電される1以上の充電対象バッテリを決定する制御部と、を有し、制御部は、複数のバッテリのうち、残容量が所定閾値以下である低残量バッテリを除く複数のバッテリから放電対象バッテリを決定し、低残量バッテリを含む複数のバッテリから充電対象バッテリを決定する。
【選択図】図2
図1
図2
図3