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特許7537566エレベータシステム及びエレベータの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】エレベータシステム及びエレベータの制御方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/14 20060101AFI20240814BHJP
【FI】
B66B1/14 G
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023119373
(22)【出願日】2023-07-21
【審査請求日】2023-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】端 宏晃
(72)【発明者】
【氏名】御子神 健太郎
【審査官】山田 拓実
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-030776(JP,A)
【文献】特開2008-174334(JP,A)
【文献】特開2019-151453(JP,A)
【文献】特開2019-137539(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00-3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗場の車椅子利用者の有無に関する情報を含む乗場検出情報と、乗りかご内の車椅子利用者の有無に関する情報を含む乗りかご検出情報と、を取得する情報取得部と、
車椅子利用者が利用可能であり、前記乗りかごの運行を登録可能な前記乗りかご内の操作盤の操作モードを、前記乗場検出情報及び前記乗りかご検出情報に基づき、
前記操作盤の操作を無効とする無効モード、
前記操作盤の操作を車椅子対応の運行として登録する車椅子呼びモード、及び、
前記操作盤の操作を通常の運行として登録する通常呼びモード、
のいずれかに切り替える、操作モード切替部と、
前記操作モード切替部より切り替えられた前記操作モードにおいて、前記操作盤の操作により登録された登録情報に基づき、前記乗りかごの運行を制御する運行制御部と、
を備えている、エレベータシステム。
【請求項2】
前記操作モード切替部は、
車椅子利用者が検出されない前記乗場で戸開する際に前記操作モードを前記無効モードとし、その後戸閉するまでの間に、前記乗りかご内で車椅子利用者が検出されない場合、前記操作モードを前記無効モードで維持し、
車椅子利用者が検出された前記乗場で戸開する際に前記操作モードを前記車椅子呼びモードとし、その後戸閉するまでの間に、前記乗りかご内で車椅子利用者が検出されない場合、前記操作モードを前記通常呼びモードとし、
前記乗場で戸開し、その後戸閉するまでの間に、前記乗りかご内で車椅子利用者が検出された場合、前記操作モードを前記車椅子呼びモードとする、
請求項1に記載のエレベータシステム。
【請求項3】
前記操作盤において、前記乗りかごの行先階を登録可能な複数の行先階情報と、前記操作モードが前記車椅子呼びモードであることを示すモード情報と、を少なくとも表示する表示部と、
前記表示部の表示を制御する表示制御部と、を備え、
前記表示制御部は、
前記車椅子呼びモードでは、前記表示部に前記行先階情報及び前記モード情報を表示し、
前記通常呼びモードでは、前記表示部に前記モード情報を表示せずに前記行先階情報を表示し、
前記無効モードでは、前記表示部の表示をオフにする、
請求項1に記載のエレベータシステム。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記車椅子呼びモードまたは前記通常呼びモードにおいて前記操作盤により行先階が登録された場合、前記行先階が登録されてから前記乗りかごが前記行先階に到着するまで、登録された前記行先階を前記表示部に表示する、
請求項3に記載のエレベータシステム。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記車椅子呼びモードにおいて前記操作盤により登録された行先階と、前記通常呼びモードにおいて前記操作盤により登録された行先階とを、異なる表示形態で前記表示部に表示する、
請求項3に記載のエレベータシステム。
【請求項6】
前記乗りかご内の利用者への報知を制御する報知制御部を備え、
前記報知制御部は、前記無効モードから、前記車椅子呼びモードまたは前記通常呼びモードへの前記操作モードの切り替え時に前記乗りかごに利用者が乗車している場合、当該利用者に前記操作モードの切り替えを報知する、
請求項1に記載のエレベータシステム。
【請求項7】
乗場の車椅子利用者の有無に関する情報を含む乗場検出情報と、乗りかご内の車椅子利用者の有無に関する情報を含む乗りかご検出情報と、を取得する情報取得ステップと、
車椅子利用者が利用可能であり、前記乗りかごの運行を登録可能な前記乗りかご内の操作盤の操作モードを、前記乗場検出情報及び前記乗りかご検出情報に基づき、
前記操作盤の操作を無効とする無効モード、
前記操作盤の操作を車椅子対応の運行として登録する車椅子呼びモード、及び、
前記操作盤の操作を通常の運行として登録する通常呼びモード、
のいずれかに切り替える、操作モード切替ステップと、
前記操作モード切替ステップで切り替えられた前記操作モードにおいて、前記操作盤の操作により登録された登録情報に基づき、前記乗りかごの運行を制御する運行制御ステップと、
を含む、エレベータの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車椅子利用者が操作可能な操作盤を有するエレベータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車椅子呼びが可能なエレベータでは、乗りかご内に車椅子利用者に対応した操作盤(以降、車椅子用操作盤と記載する)が設置されている。例えば、特許文献1には、エレベータに乗車する利用者が、一般的な身長の大人である通常利用者か、一般的な身長の大人よりも身長が小さかったり車椅子を利用したりしている特別利用者か、に基づいて、操作盤の表示面を通常利用者の利用に適した第1配置または特別利用者の利用に適した第2配置に切り替えるエレベータ操作盤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-001791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車椅子利用者にとって、乗りかご内のどの位置に乗車するかの見当をつけるために、乗りかごが戸開した状態で、乗りかご内の車椅子用操作盤が乗場から見える位置に配置されていることが望ましい。しかしながら、そのような位置に配置された操作盤は車椅子利用者以外の利用者にも目につきやすいため、車椅子利用者以外の利用者が車椅子用操作盤を操作する場合がある。
【0005】
車椅子用操作盤が操作されると、車椅子利用者に適したエレベータの運行が行われる。そのため、車椅子用操作盤を車椅子利用者以外の利用者が操作すると、車椅子利用者がいないにも関わらず戸開時間が延長される等、エレベータの運行効率が不要に低下する場合があるという問題がある。
【0006】
本発明の一態様は、車椅子利用者の利便性を確保しつつ、不要なエレベータの運行効率の低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るエレベータシステムは、乗場の車椅子利用者の有無に関する情報を含む乗場検出情報と、乗りかご内の車椅子利用者の有無に関する情報を含む乗りかご検出情報と、を取得する情報取得部と、車椅子利用者が利用可能であり、前記乗りかごの運行を登録可能な前記乗りかご内の操作盤の操作モードを、前記乗場検出情報及び前記乗りかご検出情報に基づき、前記操作盤の操作を無効とする無効モード、前記操作盤の操作を車椅子対応の運行として登録する車椅子呼びモード、及び、前記操作盤の操作を通常の運行として登録する通常呼びモード、のいずれかに切り替える、操作モード切替部と、前記操作モード切替部より切り替えられた前記操作モードにおいて、前記操作盤の操作により登録された登録情報に基づき、前記乗りかごの運行を制御する運行制御部と、を備えている。
【0008】
上記の構成によれば、乗場及び乗りかご内の車椅子利用者の有無に基づき操作モードが切り替えられた操作盤の操作により、車椅子対応の運行、通常の運行、または操作盤の操作の無効が実行されるため、例えば、車椅子利用者がいない場合において操作盤が操作されても車椅子対応の運行を行わずに通常の運行を実行することができる。また、無効モードにより、当該操作盤の誤操作を防止することができる。
【0009】
さらに、乗りかご内の操作盤は、車椅子利用者が利用可能であり車椅子利用者の利便性を確保することができる。その結果、車椅子利用者の利便性を確保しつつ、不要なエレベータの運行効率の低下を抑制することができる。
【0010】
本発明の他の態様に係るエレベータシステムでは、前記操作モード切替部は、車椅子利用者が検出されない前記乗場で戸開する際に前記操作モードを前記無効モードとし、その後戸閉するまでの間に、前記乗りかご内で車椅子利用者が検出されない場合、前記操作モードを前記無効モードで維持し、車椅子利用者が検出された前記乗場で戸開する際に前記操作モードを前記車椅子呼びモードとし、その後戸閉するまでの間に、前記乗りかご内で車椅子利用者が検出されない場合、前記操作モードを前記通常呼びモードとし、前記乗場で戸開し、その後戸閉するまでの間に、前記乗りかご内で車椅子利用者が検出された場合、前記操作モードを前記車椅子呼びモードとしてもよい。
【0011】
上記の構成によれば、乗場の車椅子利用者の有無に関わらず、乗場で戸開してから戸閉するまでの間、乗りかご内に車椅子利用者が検出された場合は、操作盤の操作モードが車椅子呼びモードとなる。これにより、乗りかごに乗車した車椅子利用者は乗りかご内で操作盤を操作することで、乗りかごを車椅子利用者対応として運行させることができる。
【0012】
また、車椅子利用者が検出された乗場で戸開する際には、操作盤の操作モードが、車椅子呼びモードとなる。これにより、乗場から乗り込む車椅子利用者は、車椅子呼びモードとなっている操作盤を視認して、該操作盤に近づくように乗り込むことが可能となる。一方、その後戸閉するまでの間に、乗りかご内で車椅子利用者が検出されない場合、操作盤の操作モードが通常呼びモードとなる。これにより、車椅子利用者ではない利用者が、戸開時に表示された車椅子呼びモードを視認し、該操作盤を操作したとしても、乗りかごを車椅子対応の運行ではなく通常の運行とすることができるので、不要なエレベータの運行効率の低下を抑制することができる。
【0013】
また、車椅子利用者が検出されない乗場で戸開する場合及びその後戸閉するまでの間に乗りかご内で車椅子利用者が検出されない場合、操作盤の操作モードは無効モードとなる。これにより、操作盤の操作は無効になるため、例えば、車椅子利用者ではない利用者がもたれるなどして誤って操作盤に触れた場合でも、乗りかごの運行に影響を与えない。そのため、不要なエレベータの運行効率の低下を抑制することができる。
【0014】
本発明の他の態様に係るエレベータシステムでは、前記操作盤において、前記乗りかごの行先階を登録可能な複数の行先階情報と、前記操作モードが前記車椅子呼びモードであることを示すモード情報と、を少なくとも表示する表示部と、前記表示部の表示を制御する表示制御部と、を備え、前記表示制御部は、前記車椅子呼びモードでは、前記表示部に前記行先階情報及び前記モード情報を表示し、前記通常呼びモードでは、前記表示部に前記モード情報を表示せずに前記行先階情報を表示し、前記無効モードでは、前記表示部の表示をオフにしてもよい。
【0015】
上記の構成によれば、操作盤が車椅子呼びモードである場合は、モード情報が操作盤の表示部に表示されるため、利用者は操作盤が車椅子呼びモードであることを容易に把握することができる。また、操作盤が無効モードである場合は、表示部の表示がオフになるため、利用者は操作盤が利用できないことを容易に把握することができる。
【0016】
さらに、車椅子呼びモード及び通常呼びモードでは表示部がオフにならないため、例えば、表示部の表示がオフになると乗りかご内の壁と操作盤とが同化するような操作盤のデザインであっても、車椅子利用者が乗場に存在する場合には、乗りかごが戸開した状態で乗場から操作盤を容易に視認することができる。
【0017】
本発明の他の態様に係るエレベータシステムでは、前記表示制御部は、前記車椅子呼びモードまたは前記通常呼びモードにおいて前記操作盤により行先階が登録された場合、前記行先階が登録されてから前記乗りかごが前記行先階に到着するまで、登録された前記行先階を前記表示部に表示してもよい。
【0018】
操作盤を操作した利用者は、降車するまでの期間中、操作盤の表示に注目する可能性が高い。上記構成によれば、行先階を登録してから乗りかごが行先階に到着するまで、登録された行先階が表示部に継続して表示されるので、操作盤を操作した利用者は、降車するまでの期間、操作盤の表示により行先階を確認することができる。
【0019】
本発明の他の態様に係るエレベータシステムでは、前記表示制御部は、前記車椅子呼びモードにおいて前記操作盤により登録された行先階と、前記通常呼びモードにおいて前記操作盤により登録された行先階とを、異なる表示形態で前記表示部に表示してもよい。
【0020】
上記の構成によれば、車椅子呼びモードにおいて操作盤により登録された行先階と、通常呼びモードにおいて操作盤により登録された行先階とが、異なる表示形態で表示される。そのため、利用者は行先階がいずれのモードで登録されたかを容易に把握することができる。
【0021】
本発明の他の態様に係るエレベータシステムでは、前記乗りかご内の利用者への報知を制御する報知制御部を備え、前記報知制御部は、前記無効モードから、前記車椅子呼びモードまたは前記通常呼びモードへの前記操作モードの切り替え時に前記乗りかごに利用者が乗車している場合、当該利用者に前記操作モードの切り替えを報知してもよい。
【0022】
上記の構成によれば、乗りかご内の利用者に操作盤の操作が有効化されたことを知らせることができるので、操作が有効となった操作盤の誤操作を防ぐことができる。
【0023】
本発明の一態様に係るエレベータの制御方法は、乗場の車椅子利用者の有無に関する情報を含む乗場検出情報と、乗りかご内の車椅子利用者の有無に関する情報を含む乗りかご検出情報と、を取得する情報取得ステップと、車椅子利用者が利用可能であり、前記乗りかごの運行を登録可能な前記乗りかご内の操作盤の操作モードを、前記乗場検出情報及び前記乗りかご検出情報に基づき、前記操作盤の操作を無効とする無効モード、前記操作盤の操作を車椅子対応の運行として登録する車椅子呼びモード、及び、前記操作盤の操作を通常の運行として登録する通常呼びモード、のいずれかに切り替える、操作モード切替ステップと、前記操作モード切替ステップで切り替えられた前記操作モードにおいて、前記操作盤の操作により登録された登録情報に基づき、前記乗りかごの運行を制御する運行制御ステップと、を含む。
【0024】
本発明の各態様に係るエレベータシステムのエレベータ制御装置及び操作盤は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記エレベータ制御装置及び前記操作盤が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記エレベータ制御装置及び前記操作盤をコンピュータにて実現させるエレベータ制御装置及び前記操作盤の制御プログラム、及びそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一態様によれば、車椅子利用者の利便性を確保しつつ、不要なエレベータの運行効率の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施形態1に係るエレベータシステムの機能ブロック図の一例を示す図である。
図2】上記エレベータシステムの構成例を示す模式図である。
図3】上記エレベータシステムのかご内車椅子用操作盤の表示例を示す図である。
図4】上記かご内車椅子用操作盤の操作モードの切り替え条件の一例を示す図である。
図5】上記エレベータシステムの動作の一例の一部を示すフロー図である。
図6】上記エレベータシステムの動作の一例の他の一部を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
〔実施形態〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。ただし、以下の説明は本発明に係るエレベータシステム1の一例であり、本発明の技術的範囲は図示例に限定されるものではない。
【0028】
〔エレベータシステムの概要〕
図1は、本発明の実施形態1に係るエレベータシステム1の機能ブロック図の一例を示す図である。エレベータシステム1は、乗りかご20内に設置されている、車椅子利用者が利用可能なかご内車椅子用操作盤30(操作盤)の操作モードを、乗場60の車椅子利用者の有無に関する情報を含む乗場検出情報と、乗りかご20内の車椅子利用者の有無に関する情報を含む乗りかご検出情報とに基づき、(1)かご内車椅子用操作盤30の操作を無効とする無効モード、(2)かご内車椅子用操作盤30の操作を車椅子対応の運行として登録する車椅子呼びモード、及び、(3)かご内車椅子用操作盤30の操作を通常の運行として登録する通常呼びモード、のいずれかに切り替える。そして、エレベータシステム1は、各操作モードにおけるかご内車椅子用操作盤30の操作により登録された登録情報に基づき、乗りかご20を運行する。
【0029】
そのため、例えば、車椅子利用者がいない場合においてかご内車椅子用操作盤30が操作されても、乗りかご20に対して車椅子対応の運行を行わずに通常の運行を実行することができ、無効モードにより、当該操作盤の誤操作を防止することができる。これにより、エレベータシステム1は、車椅子利用者の利便性を確保しつつ、不要なエレベータの運行効率の低下の抑制を実現する。
【0030】
〔エレベータシステム〕
図2はエレベータシステム1の構成を示す模式図である。図1及び図2に示すように、エレベータシステム1は、エレベータ制御装置10と、乗りかご20と、を備えている。乗りかご20は乗場60に停止する。乗場60は複数存在するが各乗場60は同様の構成を有するため、図1及び図2では一つの乗場60のみを示している。また、本実施形態では、エレベータシステム1は、1つの乗りかご20のみを備えるものとして説明するが、上記に限らない。エレベータシステム1は複数の乗りかご20を備えていてもよく、エレベータ群を備えるものであってもよい。
【0031】
(乗場)
乗場60には、乗場車椅子用操作盤70と、乗場主操作盤80と、カメラ90と、が備えられている。乗場車椅子用操作盤70は、乗場60に設置されている、車椅子利用者が利用可能であり、乗りかご20の運行を登録可能な操作盤である。乗場車椅子用操作盤70は、車椅子利用者による呼び登録の入力が可能な入力部71を有している。
【0032】
入力部71による呼び登録の入力は、例えば、乗場60に設置された通信装置(図示無)によりエレベータ制御装置10に送信される。乗場車椅子用操作盤70は、車椅子利用者が操作可能な様に、エレベータの扉61に並んで、車椅子利用者の手が届く範囲に設置されている。
【0033】
乗場主操作盤80は、乗場60において健常者等の車椅子利用者以外の利用者(以降通常利用者と記載する)用に設置されている、乗りかご20の運行を登録可能な操作盤である。乗場主操作盤80は、通常利用者による呼び登録の入力が可能な入力部81を有している。入力部81による呼び登録の入力は、例えば、乗場60に設置された通信装置によりエレベータ制御装置10に送信される。乗場主操作盤80は、乗場車椅子用操作盤70の上部に設置されている。カメラ90は、乗場60を撮影する。カメラ90が撮影した撮影画像は、例えば、乗場60に設置された通信装置によりエレベータ制御装置10に送信される。
【0034】
(乗りかご)
乗りかご20には、制御盤21と、かご内車椅子用操作盤30と、かご内主操作盤40と、カメラ50と、が備えられている。
【0035】
制御盤21は、エレベータ制御装置10と通信を行い、乗りかご20の動作を制御する。制御盤21は、制御部22と、メモリ23と、を備えている。メモリ23は、制御盤21が実行する各種のプログラム、及びプログラムによって使用されるデータを格納する。
【0036】
制御部22は乗りかご20の各部を統括的に制御する。制御部22の機能は、メモリ23に記憶されたプログラムを、CPUが実行することで実現されてよい。具体的には、制御部22は、エレベータ制御装置10の指示に応じて乗りかご20の戸開閉動作などを制御する。また、制御部22は、乗りかご20の現在地情報、戸開閉情報、移動方向等を含む乗りかご20の運行情報をエレベータ制御装置10に送信する。カメラ50は、乗りかご20内を撮影する。カメラ50が撮影した撮影画像は、例えば、制御盤21を介してエレベータ制御装置10に送信される。
【0037】
かご内主操作盤40は、乗りかご20内において通常利用者用に設置されている、乗りかご20の運行を登録可能な操作盤である。かご内主操作盤40は、通常利用者による呼び登録の入力が可能な入力部41を有している。入力部41による呼び登録の入力は、例えば、制御盤21を介してエレベータ制御装置10に送信される。かご内主操作盤40は、通常利用者が操作可能な様に、扉25と並んで、通常利用者の手が届く範囲に設置されている。
【0038】
かご内車椅子用操作盤30は、乗りかご20内に設置されている、車椅子利用者が利用可能であり、乗りかご20の運行を登録可能な操作盤である。かご内車椅子用操作盤30は、乗りかご20が戸開した状態で、乗場60にいる車椅子利用者が目につきやすい位置において、車椅子利用者の手が届く範囲に設置されている。
【0039】
かご内車椅子用操作盤30は、入力部31と、表示部32と、報知部33と、制御部34と、を備えている。入力部31は、車椅子利用者による呼び登録の入力を可能とする。入力部31は、タッチパネルであり、表示部32に重ねて配置される。そのため、入力部31は表示部32の表示面上で操作可能となる。なお、入力部31はタッチパネルではなくボタンであってもよい。表示部32は、表示制御部341の制御に基づき、各種情報を表示する。報知部33は、報知制御部342の制御に基づき、各種情報を乗りかご20内の利用者に報知する。
【0040】
制御部34は、かご内車椅子用操作盤30を統括的に制御する。制御部34の機能は、メモリ(図示無)に記憶されたプログラムを、CPUが実行することで実現されてよい。制御部34は、表示制御部341と、報知制御部342と、を備えている。表示制御部341は、表示部32の表示を制御する。報知制御部342は、報知部33による乗りかご20内の利用者への報知を制御する。表示部32の表示、報知部33の報知の詳細については、後述する。なお、図示にはないが、制御部34は通信部を有していてもよく、入力部31による呼び登録の入力等の情報は、制御部34を介してエレベータ制御装置10に送信されてもよい。
【0041】
(エレベータ制御装置)
エレベータ制御装置10は、乗りかご20を含むエレベータ全体の運転を制御する。エレベータ制御装置10は、制御部11と、メモリ12と、を備えている。制御部11は、エレベータ制御装置10の各部を統括的に制御する。エレベータ制御装置10の機能は、メモリ12に記憶されたプログラムを、CPUが実行することで実現されてよい。制御部11の詳細については後述する。メモリ12は、エレベータ制御装置10が実行する各種のプログラム、及びプログラムによって使用されるデータを格納する。
【0042】
(制御部の構成)
制御部11は、情報取得部111と、操作モード切替部112と、運行制御部113と、を備えている。情報取得部111は、乗場検出情報と、乗りかご検出情報とを取得する。乗場検出情報は、乗場60の車椅子利用者の有無に関する情報を含む。
【0043】
乗場検出情報は、例えば、カメラ90の撮影画像であってもよい。乗場検出情報がカメラ90の撮影画像である場合、エレベータ制御装置10により画像解析等を用いて乗場60の車椅子利用者の有無が判定されることで、乗場60における車椅子利用者が検出されてもよい。
【0044】
また、乗場検出情報は、乗場車椅子用操作盤70の入力操作の有無であってもよい。乗場車椅子用操作盤70に入力操作があった場合、乗場60に車椅子利用者がいると判断できるため、乗場車椅子用操作盤70の入力操作の有無が判定されることで、乗場60における車椅子利用者が検出されてもよい。
【0045】
なお、乗場検出情報をカメラ90の撮影画像とする場合、乗りかご20が停車する乗場60すべてにカメラ90を設置する必要がある。そのため、乗場車椅子用操作盤70の入力操作の有無を乗場検出情報として利用することで、コストを削減することができる。
【0046】
乗りかご検出情報は、乗りかご20内の車椅子利用者の有無に関する情報を含む。乗りかご検出情報は、例えば、カメラ50の撮影画像であってもよい。乗りかご検出情報がカメラ50の撮影画像である場合、エレベータ制御装置10により画像解析等を用いて乗りかご20内の車椅子利用者の有無が判定されることで、乗りかご20内の車椅子利用者が検出されてもよい。なお、カメラ50及びカメラ90の画像解析等は、エレベータ制御装置10ではなく、乗りかご20または乗場60で行われてもよい。
【0047】
操作モード切替部112は、かご内車椅子用操作盤30の操作モード(以降、単に操作モードと記載する)を、乗場検出情報及び乗りかご検出情報に基づき、無効モード、車椅子呼びモード、及び、通常呼びモード、のいずれかに切り替える。
【0048】
車椅子呼びモードでは、かご内車椅子用操作盤30の操作が、車椅子対応の運行として登録される。つまり、車椅子呼びモードでは、かご内車椅子用操作盤30により登録された操作が、車椅子対応の乗りかご20の運行として実行される。通常呼びモードでは、かご内車椅子用操作盤30の操作が、通常の運行として登録される。つまり、通常呼びモードでは、かご内車椅子用操作盤30により登録された操作が、通常の乗りかご20の運行として実行される。また、無効モードでは、かご内車椅子用操作盤30の操作を、無効とする。例えば、無効モードでは、かご内車椅子用操作盤30の操作自体ができなくなる。具体的な操作モードの切り替え例について、詳しくは後述する。
【0049】
運行制御部113は、操作モード切替部112より切り替えられた操作モードにおいて、かご内車椅子用操作盤30の操作により登録された登録情報に基づき、乗りかご20の運行を制御する。登録情報は、操作された際のかご内車椅子用操作盤30の操作モード及び操作内容が含まれる。
【0050】
運行制御部113は、操作モードが車椅子呼びモードであるかご内車椅子用操作盤30で登録された操作は、車椅子対応として乗りかご20の運行を実行する。例えば、操作モードが車椅子呼びモードであるかご内車椅子用操作盤30により行先階が登録された場合、運行制御部113は、当該行先階に乗りかご20が到着した際、戸開時間を通常の運転よりも長くする運行を行う。また、運行制御部113は、操作モードが通常呼びモードであるかご内車椅子用操作盤30で登録された操作は、通常の運行として乗りかご20の運行を実行する。
【0051】
(操作モードの表示)
図3は、かご内車椅子用操作盤30の表示部32の表示例を示す図であり、図3の3001は操作モードが車椅子呼びモードである場合の表示部32の表示例である。図3の3001に示すように、操作モードが車椅子呼びモードである場合における表示部32は、かご内車椅子用操作盤30において、行先階情報321と、モード情報322と、を少なくとも表示するように表示制御部341に制御される。
【0052】
行先階情報321は、乗りかご20の行先階を登録可能な複数の行先階を含む。図3の3001では、行先階情報321として、1~4階及び10階の行先階が表示されている。モード情報322は、操作モードが車椅子呼びモードであることを示す情報を含む。図3の3001では、モード情報322として、車椅子のイラストが表示されている。このように、操作モードが車椅子呼びモードである場合は、モード情報322がかご内車椅子用操作盤30の表示部32に表示されるため、利用者はかご内車椅子用操作盤30の操作モードが車椅子呼びモードであることを容易に把握することができる。
【0053】
また、表示部32には、扉25・61(図2参照)を開閉するための戸開閉情報323及び乗りかご20の現在地及び移動方向を示す現在地情報、非常用ボタン情報、注意書き等が表示されていてもよい。上述したように、入力部31はタッチパネルであり、表示部32と入力部31とは重なっているため、利用者は表示部32をタッチすることで、表示されている情報について入力操作を行うことができる。例えば、利用者が所望の行先階の行先階情報321をタッチすると、当該行先階が登録される。また、利用者は、戸開閉情報323をタッチすることにより、扉25・61を開閉することができる。
【0054】
図3の3002は操作モードが通常呼びモードである場合の表示部32の表示例を示す。図3の3002に示すように、操作モードが通常呼びモードである場合における表示部32は、モード情報322を表示せずに行先階情報321を表示するように表示制御部341に制御される。
【0055】
このように、車椅子呼びモード及び通常呼びモードでは表示部32の表示がオフにならない。そのため、例えば、かご内車椅子用操作盤30が、表示部32の表示がオフになると乗りかご20内の壁とかご内車椅子用操作盤30とが同化するようなデザインであっても、車椅子利用者が乗場60に存在する場合には、乗りかご20が戸開した状態で乗場60からかご内車椅子用操作盤30を容易に視認することができる。
【0056】
図3の3003は操作モードが無効モードである場合の表示部32の表示例を示す。図3の3003に示すように、操作モードが無効モードである場合の表示部32は、表示部32の表示をオフにするように表示制御部341に制御される。これにより、利用者はかご内車椅子用操作盤30が利用できないことを容易に把握することができる。また、かご内車椅子用操作盤30を、表示部32の表示がオフになると乗りかご20内の壁とかご内車椅子用操作盤30とが同化するようなデザインとすることで、乗りかご20内の意匠性を向上させることができる。
【0057】
表示部32では、登録された行先階情報321が、登録されていない行先階情報321と異なる表示形態で表示されるように表示制御部341に制御される。例えば、表示制御部341は、登録された行先階情報321と、登録されていない行先階情報321とを、異なる色で表示部32に表示する。また、表示制御部341は、乗りかご20が登録された行先階に到着すると、登録された行先階情報321を、登録されていない行先階情報321と同じ表示形態で表示する。
【0058】
具体的には、例えば、表示制御部341は、登録されていない行先階情報321を白色で表示する場合、利用者が表示部32において行先階として4階をタッチすると、4階を示す行先階情報321を青色で表示し、乗りかご20が4階に到着すると当該行先階情報321を白色に戻す。これにより、利用者は登録された行先階を容易に把握することができる。
【0059】
また、表示部32では、車椅子呼びモードにおいてかご内車椅子用操作盤30により登録された行先階と、通常呼びモードにおいてかご内車椅子用操作盤30により登録された行先階とを、異なる表示形態で表示するように表示制御部341に制御される。
【0060】
例えば、表示制御部341は、車椅子呼びモードにおいてかご内車椅子用操作盤30により登録された行先階の行先階情報321と、通常呼びモードにおいてかご内車椅子用操作盤30により登録された行先階とを、異なる色で表示部32に表示する。表示制御部341は、車椅子呼びモードにおいてかご内車椅子用操作盤30により登録された行先階の行先階情報321と、通常呼びモードにおいてかご内車椅子用操作盤30により登録された行先階とで、異なるイラストを付与するなど表示する行先階情報321のデザインを異ならせてもよい。これにより、利用者は行先階がいずれのモードで登録されたかを容易に把握することができる。
【0061】
(操作モードの切り替え例)
図4は、操作モードの切り替え条件の一例を示す図である。図4に示すように、操作モード切替部112は、乗りかご20内に車椅子利用者が存在する場合は、操作モードを車椅子呼びモードとする。操作モード切替部112は、乗りかご20内に車椅子利用者が存在せず、停車する予定の乗場60に車椅子利用者が存在する場合は、操作モードを通常呼びモードとする。また、操作モード切替部112は、乗りかご20及び乗場60共に車椅子利用者が存在しない場合は、操作モードを無効モードとする。以下に、より詳細な操作モード切替部112による操作モードの切り替え例について説明する。
【0062】
操作モード切替部112は、車椅子利用者が検出されない乗場60で戸開する際に操作モードを無効モードとする。例えば、乗場車椅子用操作盤70ではなく乗場主操作盤80で呼び登録された乗場60で乗りかご20が戸開する場合、操作モード切替部112は、操作モードを無効モードとする。
【0063】
無効モードで戸開した後、その後戸閉するまでの間に、乗りかご20内で車椅子利用者が検出されない場合、操作モード切替部112は操作モードを無効モードで維持する。例えば、無効モードで戸開した後、その後戸閉するまでの間に、カメラ50による乗りかご20内の撮影画像により車椅子利用者が検出されなかった場合、操作モード切替部112は操作モードを無効モードで維持する。
【0064】
このように、車椅子利用者が検出されない乗場60で戸開する場合及びその後戸閉するまでの間に乗りかご20内で車椅子利用者が検出されない場合、かご内車椅子用操作盤30の操作モードは無効モードとなる。そのため、例えば、車椅子利用者ではない利用者が乗りかご20の壁にもたれるなどして誤ってかご内車椅子用操作盤30に触れた場合でも、乗りかご20の運行に影響を与えない。これにより、不要なエレベータの運行効率の低下を抑制することができる。
【0065】
操作モード切替部112は、車椅子利用者が検出された乗場60で戸開する際に操作モードを車椅子呼びモードとする。例えば、乗場車椅子用操作盤70で呼び登録された乗場60で乗りかご20が戸開する場合、操作モード切替部112は、操作モードを車椅子呼びモードとする。これにより、乗場60から乗り込む車椅子利用者は、車椅子呼びモードとなっているかご内車椅子用操作盤30を視認して、かご内車椅子用操作盤30に近づくように乗り込むことが可能となる。また、乗場車椅子用操作盤70で呼び登録された乗場60で乗りかご20が戸開する場合は、戸開時間は延長される。
【0066】
車椅子呼びモードで戸開した後、その後戸閉するまでの間に、乗りかご20内で車椅子利用者が検出されない場合、操作モード切替部112は操作モードを通常呼びモードとする。例えば、車椅子呼びモードで戸開した後、その後戸閉するまでの間に、カメラ50による乗りかご20内の撮影画像に車椅子利用者が検出されなかった場合、操作モード切替部112は操作モードを通常モードとする。
【0067】
車椅子呼びモードで戸開したとしても、乗りかご20内で車椅子利用者が検出されない場合、乗りかご20に利用者が存在しても通常利用者のみとなる。そこで、上記の場合にかご内車椅子用操作盤30を通常呼びモードとすることで、車椅子利用者ではない利用者が、戸開時に表示された車椅子呼びモードを視認しかご内車椅子用操作盤30を操作しても、乗りかご20を車椅子対応の運行ではなく通常の運行とすることができる。その結果、不要なエレベータの運行効率の低下を抑制することができる。
【0068】
操作モード切替部112は、乗場60で戸開し、その後戸閉するまでの間に、乗りかご20内で車椅子利用者が検出された場合、操作モードを車椅子呼びモードとする。具体的には、乗場60の車椅子利用者の有無に関わらず、戸開してからその後戸閉するまでの間に、カメラ50による乗りかご20内の撮影画像に車椅子利用者が検出された場合、操作モード切替部112は操作モードを車椅子呼びモードとする。
【0069】
これにより、乗りかご20内で車椅子利用者が存在する場合は、必ず操作モードが車椅子呼びモードとなる。そのため、乗りかご20に乗車した車椅子利用者は、かご内車椅子用操作盤30を操作することで、乗りかご20を車椅子利用者対応として運行させることができる。
【0070】
また、車椅子呼びモードまたは通常呼びモードにおいてかご内車椅子用操作盤30により複数の行先階が登録された場合、操作モード切替部112は、行先階が登録されてから乗りかご20が全ての行先階に到着するまで、操作モードを車椅子呼びモードまたは通常呼びモードに維持する。具体的には、操作モード切替部112は、到着した行先階において登録された行先階が残っているか否かを判定し、登録した行先階が残っている場合、操作モードを車椅子呼びモードまたは通常呼びモードとする。
【0071】
例えば、乗りかご20に車椅子利用者が存在し、かご内車椅子用操作盤30が車椅子呼びモードの状態で運転している乗りかご20において、第1行先階及び第2行先階が登録されている場合について説明する。なお、乗場60には車椅子利用者は存在しないものとする。
【0072】
上記の場合において、乗りかご20が第1行先階に到着しても乗りかご20内に車椅子利用者が存在する場合、操作モード切替部112は、到着した行先階において登録された行先階が残っているか否かを判定する。当該判定において、登録された行先階(第2行先階)が残っていると判定された場合、操作モード切替部112は、第2行先階まで操作モードを車椅子呼びモードに維持する。
【0073】
また、上記の場合において、第1行先階で車椅子利用者が降車して、乗りかご20内に車椅子利用者が存在しなくなった場合、操作モード切替部112は、到着した行先階において登録された行先階が残っているか否かを判定する。当該判定において、登録された行先階(第2行先階)が残っていると判定された場合、操作モード切替部112は、操作モードを無効モードとはせず、第2行先階まで操作モードを通常呼びモードとする。なお、当該判定において、登録された行先階が残っていない場合は、操作モード切替部112は、操作モードを無効モードとする。
【0074】
次に、乗りかご20に車椅子利用者が存在せず、かご内車椅子用操作盤30が通常呼びモードの状態で運転している乗りかご20において第1行先階と第2行先階が登録された場合について説明する。なお、乗場60には車椅子利用者は存在しないものとする。
【0075】
上記の場合、乗りかご20が第1行先階に到着すると、操作モード切替部112は、到着した行先階において登録された行先階が残っているか否かを判定する。当該判定において、登録された行先階(第2行先階)が残っていると判定された場合、操作モード切替部112は、乗りかご20が第2行先階に到着するまで、操作モードを通常呼びモードに維持する。なお、当該判定において、登録された行先階が残っていない場合は、操作モード切替部112は、操作モードを無効モードとする。また、第1行先階において車椅子利用者が乗りかご20に乗車してきた場合は、操作モード切替部112は、操作モードを車椅子呼びモードとする。
【0076】
これにより、表示部32には、行先階が登録されてから乗りかご20が行先階に到着するまで、登録された行先階が表示される。言い換えると、表示制御部341は、車椅子呼びモードまたは通常呼びモードにおいてかご内車椅子用操作盤30により行先階が登録された場合、行先階が登録されてから乗りかご20が行先階に到着するまで、登録された行先階を表示部32に表示する。
【0077】
かご内車椅子用操作盤30を操作した利用者は、降車するまでの期間中、かご内車椅子用操作盤30の表示に注目する可能性が高い。かご内車椅子用操作盤30の表示部32では、行先階を登録してから乗りかご20が行先階に到着するまで、登録された行先階が表示部32に継続して表示されるので、かご内車椅子用操作盤30を操作した利用者は、降車するまでの期間、かご内車椅子用操作盤30の表示により行先階を確認することができる。
【0078】
(操作モードの切り替えによる報知例)
報知制御部342は、無効モードから、車椅子呼びモードまたは通常呼びモードへの操作モードの切り替え時に乗りかご20に利用者が乗車している場合、報知部33により当該利用者に操作モードの切り替えを報知する。これにより、乗りかご20内の利用者にかご内車椅子用操作盤30の操作が有効化されたことを知らせることができるので、操作が有効となったかご内車椅子用操作盤30の誤操作を防ぐことができる。報知の方法は特に制限されず、例えば、かご内車椅子用操作盤30の表示を点滅させてもよく、「かご内操作盤を有効化します」等のアナウンスを行ってもよい。
【0079】
<エレベータシステムにおける処理の流れの一例>
図5は、エレベータシステム1の動作の一例の一部を示すフロー図であり、主に乗場60おいて車椅子利用者が検出された場合の動作を示すフロー図である。図6は、エレベータシステム1の動作の一例の他の一部を示すフロー図であり、乗場60において車椅子利用者が検出されなかった場合の動作を示すフロー図である。
【0080】
まず、図5に基づき、乗場60おいて車椅子利用者が検出された場合の動作について説明する。図5に示すように、操作モードが無効モードであるかご内車椅子用操作盤30において(ステップS1)、情報取得部111は乗場検出情報を取得する(ステップS2、情報取得ステップ)。操作モード切替部112は、乗場検出情報に基づき乗場60で車椅子利用者が検出されたか否かを判定する(ステップS3)。
【0081】
乗場60で車椅子利用者が検出された場合(ステップS3でYES)、操作モード切替部112は、操作モードを車椅子呼びモードとし(ステップS4、操作モード切替ステップ)、運行制御部113は乗場60において戸開時間を延長させて戸開する。乗場60で車椅子利用者が検出されなかった場合の処理については後述する(ステップS3でNO、P1)。
【0082】
続いて、情報取得部111は乗りかご検出情報を取得し(ステップS5、情報取得ステップ)、操作モード切替部112は、乗りかご検出情報に基づき乗りかご20内で車椅子利用者が検出されたか否かを判定する(ステップS6)。
【0083】
乗りかご20内で車椅子利用者が検出された場合(ステップS6でYES)、操作モード切替部112は操作モードを車椅子呼びモードとして維持する(ステップS7、操作モード切替ステップ)。乗りかご20内で車椅子利用者が検出されなかった場合(ステップS6でNO)、操作モード切替部112は、操作モードを通常呼びモードとする(ステップS8、操作モード切替ステップ)。
【0084】
次に、表示制御部341は、かご内車椅子用操作盤30により行先階が登録されたか否かを判定する(ステップS9)。かご内車椅子用操作盤30により行先階が登録された場合(ステップS9でYES)、表示制御部341は、登録された行先階の行先階情報321を他の行先階情報321と異なる表示とする(ステップS10)。また、表示制御部341は登録情報をエレベータ制御装置10に送信し、運行制御部113は、表示制御部341からの登録情報に基づき、乗りかご20を行先階まで運行する(ステップS11、運行制御ステップ)。かご内車椅子用操作盤30により行先階が登録されていない場合(ステップS9でNO)、ステップS5の処理を行う。
【0085】
表示制御部341は、乗りかご20が行先階に到着したか否かを判定する(ステップS12)。乗りかご20が行先階に到着した場合(ステップS12でYES)、表示制御部341は、到着した行先階の行先階情報321を他の行先階情報321と同じ表示とする(ステップS13)。
【0086】
このとき、乗りかご20が到着した行先階が車椅子呼びモードの状態で登録されていた場合、延長された戸開時間で戸開される。また、乗りかご20が到着した行先階が通常呼びモードの状態で登録されていた場合、通常の戸開時間で戸開される。乗りかご20が行先階に到着していない場合(ステップS12でNO)、乗りかご20が行先階に到着するまで待機する(ステップS12)。
【0087】
また、情報取得部111は乗りかご検出情報を取得し(ステップS14、情報取得ステップ)、操作モード切替部112は、乗りかご検出情報に基づき乗りかご20内で車椅子利用者が検出されたか否かを判定する(ステップS15)。乗りかご20内で車椅子利用者が検出された場合(ステップS15でYES)、操作モード切替部112は、操作モードを車椅子呼びモードとする(ステップS16、操作モード切替ステップ)。そして、運行制御部113は、登録された行先階が残っているか否かを判定する(ステップS17)。登録された行先階が残っている場合(ステップS17でYES)、運行制御部113は、操作モードが車椅子呼びモードの状態で乗りかご20を登録された行先階まで運行する(ステップS11)。登録された行先階が残っていない場合(ステップS17でNO)、処理を終了する。
【0088】
また、ステップS15において、乗りかご20内で車椅子利用者が検出さなかった場合(ステップS15でNO)、操作モード切替部112は、登録された行先階が残っているか否かを判定する(ステップS18)。登録された行先階が残っていない場合(ステップS18でNO)、操作モード切替部112は操作モードを無効モードとし(ステップS19、操作モード切替ステップ)、処理を終了する。
【0089】
登録された行先階が残っている場合(ステップS18でYES)、操作モード切替部112は操作モードを通常呼びモードとし(ステップS20、操作モード切替ステップ)、ステップS11の処理を行う。
【0090】
続いて、図6に基づき、乗場60において車椅子利用者が検出されなかった場合の動作について説明する。図5及び図6に示すように、乗場60で車椅子利用者が検出されなかった場合(図5のステップS3でNO、P1)、運行制御部113は乗場60において通常の戸開時間で戸開する。その後、情報取得部111は乗りかご検出情報を取得し(ステップS21、情報取得ステップ)、操作モード切替部112は、乗りかご検出情報に基づき乗りかご20内で車椅子利用者が検出されたか否かを判定する(ステップS22)。
【0091】
乗りかご20内で車椅子利用者が検出された場合(ステップS22でYES)、操作モード切替部112は操作モードを車椅子呼びモードとする(ステップS23、操作モード切替ステップ)。乗りかご20内で車椅子利用者が検出されなかった場合(ステップS22でNO)、処理を終了する。
【0092】
次に、表示制御部341は、かご内車椅子用操作盤30により行先階が登録されたか否かを判定する(ステップS24)。かご内車椅子用操作盤30により行先階が登録された場合(ステップS24でYES)、表示制御部341は、登録された行先階の行先階情報321を他の行先階情報321と異なる表示とする(ステップS25)。また、表示制御部341は登録情報をエレベータ制御装置10に送信し、運行制御部113は、表示制御部341からの登録情報に基づき、乗りかご20を行先階まで運行する(ステップS26、運行制御ステップ)。かご内車椅子用操作盤30により行先階が登録されていない場合(ステップS24でNO)、ステップS22の処理に戻る。
【0093】
その後、表示制御部341は、乗りかご20が行先階に到着したか否かを判定する(ステップS27)。乗りかご20が行先階に到着した場合(ステップS27でYES)、表示制御部341は、到着した行先階の行先階情報321を他の行先階情報321と同じ表示とする(ステップS28)。乗りかご20が行先階に到着していない場合(ステップS27でNO)、乗りかご20が行先階に到着するまで待機する(ステップS27)。
【0094】
また、情報取得部111は乗りかご検出情報を取得し(ステップS29、情報取得ステップ)、操作モード切替部112は、乗りかご検出情報に基づき乗りかご20内で車椅子利用者が検出されたか否かを判定する(ステップS30)。乗りかご20内で車椅子利用者が検出された場合(ステップS30でYES)、操作モード切替部112は、操作モードを車椅子呼びモードとする(ステップS31、操作モード切替ステップ)。そして、運行制御部113は、登録された行先階が残っているか否かを判定する(ステップS32)。登録された行先階が残っている場合(ステップS32でYES)、運行制御部113は、操作モードが車椅子呼びモードの状態で乗りかご20を登録された行先階まで運行する(ステップS26)。登録された行先階が残っていない場合(ステップS32でNO)、処理を終了する。
【0095】
また、ステップS30において、乗りかご20内で車椅子利用者が検出さなかった場合(ステップS30でNO)、操作モード切替部112は、登録された行先階が残っているか否かを判定する(ステップS33)。登録された行先階が残っていない場合(ステップS33でNO)、操作モード切替部112は操作モードを無効モードとし(ステップS34、操作モード切替ステップ)、処理を終了する。
【0096】
登録された行先階が残っている場合(ステップS33でYES)、操作モード切替部112は操作モードを通常呼びモードとし(ステップS35、操作モード切替ステップ)、ステップS26の処理を行う。
【0097】
上記の動作により、かご内車椅子用操作盤30の操作モードは、操作モード切替部112により乗場検出情報と、乗りかご検出情報とにより、無効モード、車椅子呼びモード及び通常呼びモードのいずれかに切り替えられる。また、各操作モードにおけるかご内車椅子用操作盤30の操作により登録された登録情報に基づき、運行制御部113により乗りかご20が運行される。
【0098】
これにより、例えば、車椅子利用者がいない場合においてかご内車椅子用操作盤30が操作されても車椅子対応の運行を行わずに通常の運行を実行することができる。また、無効モードにより、かご内車椅子用操作盤30の誤操作を防止することができる。
【0099】
さらに、かご内車椅子用操作盤30は、車椅子利用者が利用可能であり車椅子利用者の利便性を確保することができる。その結果、車椅子利用者の利便性を確保しつつ、不要なエレベータの運行効率の低下を抑制することができる。
【0100】
〔ソフトウェアによる実現例〕
エレベータシステム1のエレベータ制御装置10及びかご内車椅子用操作盤30(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に制御部11及び制御部34に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0101】
この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0102】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0103】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0104】
また、上記各実施形態で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)に実行させてもよい。この場合、AIは上記制御装置で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
【0105】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0106】
1 エレベータシステム
20 乗りかご
30 かご内車椅子用操作盤(操作盤)
32 表示部
60 乗場
111 情報取得部
112 操作モード切替部
113 運行制御部
321 行先階情報
322 モード情報
341 表示制御部
342 報知制御部
【要約】
【課題】車椅子利用者の利便性を確保しつつ、不要なエレベータの運行効率の低下を抑制する。
【解決手段】エレベータシステム(1)は、車椅子利用者が利用可能であり、乗りかご(20)の運行を登録可能なかご内車椅子用操作盤(30)の操作モードを、乗場(60)の車椅子利用者の有無に関する情報を含む乗場検出情報及び乗りかご(20)内の車椅子利用者の有無に関する情報を含む乗りかご検出情報に基づき、無効モード、車椅子呼びモード、通常呼びモードのいずれかに切り替える操作モード切替部(112)と、かご内車椅子用操作盤(30)の操作により登録された登録情報に基づき、乗りかご(20)の運行を制御する運行制御部(113)と、を備えている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6