(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】生体情報測定装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/02 20060101AFI20240814BHJP
A61B 5/022 20060101ALI20240814BHJP
A61B 5/33 20210101ALI20240814BHJP
A61B 5/332 20210101ALI20240814BHJP
【FI】
A61B5/02 D
A61B5/022 A
A61B5/33 200
A61B5/332
(21)【出願番号】P 2023523912
(86)(22)【出願日】2021-05-28
(86)【国際出願番号】 JP2021020448
(87)【国際公開番号】W WO2022249453
(87)【国際公開日】2022-12-01
【審査請求日】2023-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】久保 大
(72)【発明者】
【氏名】浅野 康夫
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-28421(JP,A)
【文献】特開2014-36843(JP,A)
【文献】特開2007-195693(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/02 -5/0235
A61B 5/318-5/366
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の被測定部位を圧迫するカフと、前記カフ内に気体を供給するポンプと、前記カフ内からの前記気体の排出を調整する排気弁と、前記カフ内の圧力であるカフ圧を検出する圧力検出部と、前記ポンプ及び前記排気弁を制御するカフ圧制御部と、前記被検者の血圧を算出する血圧演算部と、を有し、前記カフ圧を増加させる加圧過程及び前記カフ圧を減少させる減圧過程の少なくともいずれか一方において前記被検者の血圧を測定する血圧測定部と、
前記被検者の皮膚に接触可能な複数の電極を通じて取得される電気信号を処理して心電波形を測定する心電測定部と、
測定された前記心電波形の情報を、時間と関係づけて記憶する心電記憶部と、
を備えた生体情報測定装置であって、
前記心電記憶部に記憶された前記心電波形の情報から、前記心電波形の測定と並行する前記被検者の血圧の測定の進行に基づいて、前記加圧過程及び前記減圧過程の少なくともいずれか一方において前記心電波形の情報の区間を指定する区間指定部を備えたことを特徴とする生体情報測定装置。
【請求項4】
前記圧力検出部によって検出された前記カフ圧から脈波振幅を算出する脈波振幅演算部を備え、
前記区間指定部は、前記脈波振幅に基づいて、前記心電波形の情報の区間を指定することを特徴とする請求項1に記載の生体情報測定装置。
【請求項5】
前記区間指定部は、前記血圧演算部によって算出された前記被検者の血圧に基づいて、前記心電波形の情報の区間を指定することを特徴とする請求項1に記載の生体情報測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のカフ圧迫式血圧計に心電測定機能を付加して、心電図を測定するものとして、特許文献1に示されるような装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のカフ内の圧力が安定しているときに心電測定を実施する構成では、血圧測定の際にはカフ内の圧力を変化させる必要があるため、血圧と同時に心電測定を行うことができない。特に、血圧と同時に心電の測定を行う場合には、測定の開始直後ではカフの圧迫が十分でない状態では、電極と人体が接触したりしなかったり、電極面のごく一部分だけの接触から急に全体が接触したりと、非常に不安定な状態であり、これは電極の信号を取得し増幅する電子回路上で大きなノイズとなり、心電の症例判定に必要な安定した心電波形を取得できないという問題がある。
【0005】
上記のような課題に鑑み、本発明は、血圧測定と心電波形の測定を同時に行う生体情報測定装置において、安定した心電波形の測定を行うことができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明は、
被検者の被測定部位を圧迫するカフと、前記カフ内に気体を供給するポンプと、前記カフ内からの前記気体の排出を調整する排気弁と、前記カフ内の圧力であるカフ圧を検出する圧力検出部と、前記ポンプ及び前記排気弁を制御するカフ圧制御部と、前記被検者の血圧を算出する血圧演算部と、を有し、前記被検者の血圧を測定する血圧測定部と、
前記被検者の皮膚に接触可能な複数の電極を通じて取得される電気信号を処理して心電波形を測定する心電測定部と、
測定された前記心電波形の情報を、時間と関係づけて記憶する心電記憶部と、
を備えた生体情報測定装置であって、
前記心電記憶部に記憶された前記心電波形の情報から、前記心電波形の測定と並行する前記被検者の血圧の測定の進行に基づいて、前記心電波形の情報の区間を指定する区間指定部を備えたことを特徴とする。
【0007】
被検者の被測定部位を圧迫するカフ内の圧力を制御して行われる血圧の測定と並行して、カフの被測定部位に設けられた電極を含む複数の電極を通じて取得される電気信号を処理して心電波形を測定する生体情報測定装置においては、血圧の測定の進行によるカフ圧の変化の影響を受けて、カフの被測定部位に設けられた電極の、被検者の皮膚との接触状態が変動する可能性がある。本発明では、心電記憶部に時間と関係づけて記憶された心電波形の情報に対し、心電波形の測定と並行する血圧の測定の進行に基づいて、心電波形の情報の区間を指定する区間指定部を設けることにより、経時的に取得される心電波形のうち、被検者の皮膚と電極との接触状態が共通した状態で測定された心電波形を指定することができる。また、被検者の皮膚と電極との接触状態が安定する区間を指定することにより、ノイズの少ない品質の良い心電波形の情報の区間を指定することもできる。このように心電波形の情報の区間を指定することにより、安定した心電波形の情報を抽出することが可能となるので、安定した心電波形の測定が可能となる。また、このように抽出された心電波形の情報は、症例判定等の種々の目的に活用することができる。
【0008】
また、本発明において、前記区間指定部は、心電波形の測定と並行する被検者の血圧の測定の進行を示す指標として、種々の指標を採用することができる。すなわち、前記血圧の測定におけるカフ圧に基づいて、前記心電波形の情報の区間を指定するようにしてもよい。また、前記区間指定部は、前記血圧の測定において進行する時間に基づいて、前記心電波形の情報の区間を指定するようにしてもよい。また、前記圧力検出部によって検出された前記カフ圧から脈波振幅を算出する脈波振幅演算部を備え、前記区間指定部は、前記脈波振幅に基づいて、前記心電波形の情報の区間を指定するようにしてもよい。このようにすれば、オシロメトリック法のように、脈波振幅を算出して最低血圧、最高血圧等の血圧情報を測定する生体情報測定装置において、安定した心電波形の測定が可能となる。また、前記区間指定部は、前記血圧演算部によって算出された前記被検者の血圧に基づいて、前記心電波形の情報の区間を指定するようにしてもよい。なお、算出される血圧には、最低血圧及び最高血圧の少なくともいずれか一方を含むことが好ましい。
【0009】
また、本発明において、
前記血圧測定部は、前記カフ圧を増加させる加圧過程及び前記カフ圧を減少させる減圧過程の少なくともいずれか一方において前記被検者の血圧を測定するようにしてもよい。
【0010】
このようにすれば、カフ圧を増加させる加圧過程で被検者の血圧を測定する血圧測定部を備える生体情報測定装置においても、カフ圧を減少させる減圧過程で被検者の血圧を測定する血圧測定部を備える生体情報測定装置においても、安定した心電波形の測定が可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、血圧測定と心電波形の測定を同時に行う測定装置において、安定した心電波形の測定を行うことができる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施例1に係る生体情報測定装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施例1に係る血圧測定及び心電測定の進捗とカフ圧の時間変化を示す図である。
【
図3】
図3は、実施例2に係る血圧測定及び心電測定の進捗とカフ圧の時間変化
を示す図である。
【
図4】
図4は、実施例3に係る血圧測定及び心電測定の進捗とカフ圧及び脈波振幅の時間変化を示す図である。
【
図5】
図5は、実施例4に係る血圧測定及び心電測定の進捗とカフ圧及び脈波振幅の時間変化を示す図である。
【
図6】
図6は、実施例5に係る血圧測定及び心電測定の進捗とカフ圧の時間変化を示す図である。
【
図7】
図7は、実施例6に係る血圧測定及び心電測定の進捗とカフ圧及び脈波振幅の時間変化を示す図である。
【
図8】
図8は、実施例7に係る血圧測定及び心電測定の進捗とカフ圧の時間変化を示す図である。
【
図9】
図9は、実施例8に係る血圧測定及び心電測定の進捗とカフ圧の時間変化を示す図である。
【
図10】
図10は、実施例9に係る血圧測定及び心電測定の進捗とカフ圧及び脈波振幅の時間変化を示す図である。
【
図11】
図11は、実施例10に係る血圧測定及び心電測定の進捗とカフ圧及び脈波振幅の時間変化を示す図である。
【
図12】
図12は、実施例11に係る血圧測定及び心電測定の進捗とカフ圧の時間変化を示す図である。
【
図13】
図13は、実施例12に係る血圧測定及び心電測定の進捗とカフ圧及び脈波振幅の時間変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0014】
<実施例1>
以下に、本発明の実施例1について説明する。
【0015】
(生体情報測定装置の構成)
図1は本実施例形態に係る生体情報測定装置100の概略構成を示すブロック図である。生体情報測定装置100は、主として、心電検出部110、血圧測定機構部120、制御部130、操作部140、表示部150から構成される。
【0016】
心電検出部110は、電極111、電極112及び心電測定回路113を含む。電極111及び電極112は、被検者の皮膚に接触し、電気信号を検出する。心電測定回路113は、電極111及び電極112によって検出された電気信号を増幅するアンプ、アナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換回路等を含む。ここでは、被検者の皮膚に接触し、心電波形を検出するための電極は、電極111及び電極112の2つに限られず、適宜の数の電極を設けることができる。ここでは、電極111及び電極112の少なくともいずれかは後述するカフ121の被測定部位側に設けられる。ここでは、電極111及び電極112が、本発明の被検者の皮膚に接触可能な複数の電極に対応する。また、心電測定回路113及び後述する心電制御部131が、本発明の心電測定部を構成する。
【0017】
血圧測定機構部120は、カフ121、圧力センサ122、加圧ポンプ123、駆動回路124、排気弁125を備える。カフ121は、帯状部材であり、内部に袋状体を有する。圧力センサ122は、カフ121内の圧力であるカフ圧を測定するセンサであり、圧力センサ122の出力は後述する血圧測定制御部134に送信される。加圧ポンプ123は、カフ121内に空気を供給することにより、カフ121を加圧する。駆動回路124は、血圧測定制御部134からの指示に基づいて加圧ポンプ123を駆動する回路である。排気弁125は、血圧測定制御部134からの指示に基づいて、カフ121内からの空気の排出量を調整する弁である。カフ121は、被検者の手首、上腕等の被測定部位に巻かれ、排気弁125が閉じられたカフ121に加圧ポンプ123から空気を供給することにより、カフ121が加圧され、被検者の被測定部位が圧迫される。所定圧まで加圧された後に、排気弁125が開かれて、カフ121内の空気が排出され、カフ121は減圧される。ここでは、カフ121、圧力センサ122、加圧ポンプ123、排気弁125は、それぞれ本発明のカフ、圧力検出部、ポンプ、排気弁に対応する。また、ここでは、カフ121内に供給される気体の例として空気について説明しているが、これに限られない。
【0018】
制御部130は、例えば、CPU並びに主記憶部及び補助記憶装置を含むメモリを有するMCU(Micro Controller Unit)によって構成される。補助記憶装置に記憶されたプログラムを主記憶部に読み出しCPUにおいて実行することにより、後述する各機能が実現される。制御部130は、ASIC(Application Specific Integral Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等で構成されてもよい。
【0019】
制御部130は、心電制御部131、記憶部132、症例判定区間決定部133、血圧測定制御部134、脈波振幅演算部135、血圧演算部136、表示制御部137を含む。
【0020】
心電制御部131は、電極111及び電極112を通じて取得され、心電測定回路113によって処理されたデータに対して所定の演算処理を行うことにより心電波形を測定する。心電制御部131によって測定された心電波形の情報は、時間と関係づけて記憶部132に記憶される。症例判定区間決定部133は、後述する脈波振幅演算部135又は血圧演算部136からの情報に基づいて、記憶部132に記憶された心電波形の情報のうち症例判定に用いられる部分を抽出するための症例判定区間を決定する。ここでは、記憶部132が本発明の心電記憶部に対応する。また、症例判定区間決定部は、本発明の区間指定部に対応する。
【0021】
血圧測定制御部134は、圧力センサ122によって測定されたカフ圧の情報を取得し、駆動回路124及び排気弁125を制御する。血圧測定制御部134によって取得されたカフ圧の情報に基づき、脈波振幅演算部135は脈波振幅を演算し、血圧演算部136は、最高血圧(収縮時血圧)及び最低血圧(拡張期血圧)を含む血圧を演算する。ここでは、オシロメトリック法によって血圧を測定する。すなわち、カフ圧を増加させる加圧制御時又はカフ圧を減少させる減圧制御時に、脈波振幅演算部135がカフ圧から得られた脈波振幅を演算し、血圧演算部136は、このようにして算出された脈波振幅の変化に基づいて最高血圧及び最低血圧を算出する。血圧演算部136によって演算された血圧に関する情報は、表示部150を制御する表示制御部137に送られる。表示制御部137では、血圧に関する情報を含む画像情報が生成され、表示部150に表示される。ここでは、血圧測定制御部134、脈波振幅演算部135、血圧演算部136は、それぞれ本発明のカフ圧制御部、脈波振幅演算部、血圧演算部に対応する。また、本発明の血圧測定部は、カフ121、圧力センサ122、加圧ポンプ123、排気弁125、血圧測定制御部134、脈波振幅演算部135、血圧演算部136を含んで構成される。
【0022】
操作部140は、ボタン、スイッチ等の操作指示手段を含み、血圧及び心電測定の開始の指示や、種々の設定入力等を受け付ける。表示部150は、例えば、液晶ディスプレイ等の画像表示手段を含み、最高血圧、最低血圧、脈拍や心電波形等の測定情報や、操作ガイダンス、異常である旨の報知等の種々の情報を表示する。症例判定区間を決定するために必要な情報を表示部150に表示し、被検者が操作部140を通じて選択・設定できるようにしてもよいし、出荷時に作業者がデフォルト値を設定するようにしてもよい。
【0023】
図2は、血圧測定と同時に心電測定を行う場合の血圧測定及び心電測定の進捗とカフ圧の時間変化を示す図である。ここでは、カフ圧を加圧する過程(加圧過程)で血圧を測定する。測定開始時点T0から排気弁125が閉鎖され加圧ポンプ123が駆動されカフ圧が徐々に増加する。カフ圧が所定圧まで加圧された時点Tpで、加圧ポンプ123の駆動は停止され、血圧測定は終了する。次に、排気弁125が開放され、カフ121内の空気が急速に排出され、カフ圧も急激に減少する。
【0024】
ここでは、血圧と心電波形を同時に測定する。このため、血圧の測定は心電波形の測定と並行して進行する。測定開始時点T0から、カフ121が加圧される過程で、心電波形は継続して測定されているが、このように経時的に測定される心電波形の情報のうち、血圧の測定の進行を示す種々の指標に基づいて、症例判定区間決定部133が症例判定区間を決定することにより、一定の区間(時間的範囲)を指定する。血圧の測定の進行を示す指標に基づいて、心電波形の情報の一定の区間を指定することにより、被検者の皮膚と電極111及び電極112とが一定の接触状態にあるときの心電波形を抽出することが可能となるので、安定した心電波形測定が可能となる。そのような一定の区間としては、症例判定に適した安定した心電波形を測定できる区間が挙げられるが、心電波形の処理目的・利用目的に応じて適宜の区間を指定することも可能である。
【0025】
実施例1に係る症例判定区間決定方法では、
図2に示すように、カフ圧が所定の圧力Ps1以上となった時点Ds1を症例判定区間の開始点とする。症例判定区間については、開始点のみを定めてもよい。このとき、例えば、加圧過程の終了時点Tpを症例判定区間の終了点と定めることもできる。また、カフ圧が、圧力Ps1以上の所定の圧力Pe1以上となった時点De1を症例判定区間の終了点としてもよい。
【0026】
<実施例2>
以下に、実施例2について説明する。症例判定区間の決定方法を除いて実施例1と同様であるため、生体情報測定装置の構成等については説明を省略する。
【0027】
図3は、血圧測定と同時に心電測定を行う場合の血圧測定及び心電測定の進捗とカフ圧の時間変化を示す図である。
ここでは、血圧測定と心電測定の開始時点T0から所定時間T21経過時点である時点Ds2を症例判定区間の開始点とする。症例判定区間については、開始点のみを定めてもよい。このとき、例えば、加圧過程の終了時点Tpを終了点と定めることもできる。また、測定開始から時間T21経過時点である時点Ds2から、さらに所定時間T22を経過した時点De2を症例判定区間の終了点としてもよい。
このように症例判定区間を決定することにより、安定した心電測定が可能となる。
【0028】
<実施例3>
以下に、実施例3について説明する。症例判定区間の決定方法を除いて実施例1と同様であるため、生体情報測定装置の構成等については説明を省略する。
【0029】
図4は、血圧測定と同時に心電測定を行う場合の血圧測定及び心電測定の進捗とカフ圧及び脈波振幅の時間変化を示す図である。
ここでは、脈波振幅が所定値As3以上となった時点Ds3を症例判定区間の開始点とする。症例判定区間については、開始点のみを定めてもよい。このとき、例えば、加圧過程の終了時点Tpを終了点と定めることもできる。また、カフ圧が、脈波振幅が所定値As3以上となるときの圧力Ps3よりも高く、かつ脈波振幅が所定値Ae3以下となる時点De3を症例判定区間の終了点としてもよい。
このように症例判定区間を決定することにより、安定した心電測定が可能となる。
【0030】
<実施例4>
以下に、実施例4について説明する。症例判定区間の決定方法を除いて実施例1と同様であるため、生体情報測定装置の構成等については説明を省略する。
【0031】
図5は、血圧測定と同時に心電測定を行う場合の血圧測定及び心電測定の進捗とカフ圧及び脈波振幅の時間変化を示す図である。
ここでは、脈波振幅が所定値As4以上となりかつ所定値As4以上となる脈波振幅が連続した時点Ds4を症例判定区間の開始点とする。症例判定区間については、開始点のみを定めてもよい。このとき、例えば、加圧過程の終了時点Tpを終了点と定めることもできる。また、カフ圧が、脈波振幅が所定値As4以上となりかつ所定値As4以上となる脈波振幅が連続した時点Ds4の圧力Ps4よりも高く、かつ脈波振幅が所定値Ae4以下となりかつ所定値Ae4以下となる脈波振幅が連続した時点De4を症例判定区間の終了点としてもよい。
このように症例判定区間を決定することにより、安定した心電測定が可能となる。
【0032】
<実施例5>
以下に、実施例5について説明する。症例判定区間の決定方法を除いて実施例1と同様であるため、生体情報測定装置の構成等については説明を省略する。
【0033】
図6は、血圧測定と同時に心電測定を行う場合の血圧測定及び心電測定の進捗とカフ圧の時間変化を示す図である。
ここでは、血圧測定において最低血圧Dp5と最高血圧Sp5がそれぞれ検出された時点を含む区間、すなわち最低血圧Dp5検出時TD5以前の時点Ds5を開始点とし、最高血圧Sp5検出時TS5以後の時点De5を終了点とする区間を症例判定区間と決定する。
このように症例判定区間を決定することにより、安定した心電測定が可能となる。
【0034】
<実施例6>
以下に、実施例6について説明する。症例判定区間の決定方法を除いて実施例1と同様であるため、生体情報測定装置の構成等については説明を省略する。
【0035】
図7は、血圧測定と同時に心電測定を行う場合の血圧測定及び心電測定の進捗とカフ圧及び脈波振幅の時間変化を示す図である。
ここでは、脈波振幅の特定の特徴量を起点として、前後の所定時間又は圧力を症例判定区間として決定する。脈波振幅の特定の特徴量としては、種々の特徴量を選択することができるが、
図7に示す例では、最大振幅を特徴量としている。脈波振幅が最大となる時点T6を起点とし、ここから時間Tb6だけ遡った時点Ds6を症例判定区間の開始点とし、時点T6から時間Ta6だけ経過した時点De6を症例判定区間の終了点としている。脈波振幅が最大となる時点T6を起点とし、時点T6におけるカフ圧よりもカフ圧が所定圧力だけ低い値となる時点を症例判定区間の開始点とし、時点T6におけるカフ圧よりもカフ圧が所定圧力だけ高い値となる時点を症例判定区間の終了点としてもよい。
このように症例判定区間を決定することにより、安定した心電測定が可能となる。
【0036】
<実施例7>
以下に、実施例7について説明する。症例判定区間の決定方法を除いて実施例1と同様であるため、生体情報測定装置の構成等については説明を省略する。実施例1~実施例6では、カフ圧を加圧する過程で血圧を測定する場合について、症例判定区間の決定方法について説明した。オシロメトリック法では、排気弁125を閉じて加圧ポンプ123を駆動してカフ121に空気を供給して所定圧まで加圧し、排気弁125の開度を調整して徐々に排気することにより、カフ圧を減圧する過程(減圧過程)で血圧を測定することもできる。以下の実施例では、このように、カフ圧を減圧する過程で血圧を測定する場合について、症例判定区間の決定方法を説明する。
【0037】
図8は、血圧測定と同時に心電測定を行う場合の血圧測定及び心電測定の進捗とカフ圧の時間変化を示す図である。ここでは、上述のように、カフ圧を減圧する過程で血圧を測定する。測定開始時点T0から排気弁125が閉鎖され加圧ポンプ123が駆動されカフ圧が急速に増加する。カフ圧が所定圧まで加圧された時点Tp0で、加圧ポンプ123の駆動は停止される。そして、加圧ポンプ123を停止した状態で、排気弁125の開度を制御し、カフ121内の空気を徐々に排出し、カフ圧を徐々に減少させる。
【0038】
測定開始時点T0から心電波形は継続して測定されているが、このうち症例判定に適した安定した心電波形を測定できる区間である症例判定区間を症例判定区間決定部133が決定する。
【0039】
実施例7に係る症例判定区間決定方法について説明する。
図8に示すように、徐々に減圧されるカフ圧が所定の圧力Ps7以下となった時点Ds7を症例
判定区間の開始点とする。症例判定区間については、開始点のみを定めてもよい。このとき、例えば、血圧測定の終了時点Tpを症例判定区間の終了点と定めることもできる。また、カフ圧が、圧力Ps7以下の所定の圧力Pe7以下となった時点De7を症例判定区間の終了点としてもよい。
このように症例判定区間を決定することにより、安定した心電測定が可能となる。
【0040】
<実施例8>
以下に、実施例8について説明する。症例判定区間の決定方法を除いて実施例1と同様であるため、生体情報測定装置の構成等については説明を省略する。
【0041】
図9は、血圧測定と同時に心電測定を行う場合の血圧測定及び心電測定の進捗とカフ圧の時間変化を示す図である。
ここでは、血圧測定と心電測定の開始時点T0から所定時間T81経過時点である時点Ds8を症例判定区間の開始点とする。症例判定区間については、開始点のみを定めてもよい。このとき、例えば、血圧測定の終了時点Tpを症例判定区間の終了点と定めることもできる。また、測定開始から時間T81経過した時点Ds8から、さらに所定時間T82を経過した時点De8を症例判定区間の終了点としてもよい。
このように症例判定区間を決定することにより、安定した心電測定が可能となる。
【0042】
<実施例9>
以下に、実施例9について説明する。症例判定区間の決定方法を除いて実施例1と同様であるため、生体情報測定装置の構成等については説明を省略する。
【0043】
図10は、血圧測定と同時に心電測定を行う場合の血圧測定及び心電測定の進捗とカフ圧及び脈波振幅の時間変化を示す図である。
ここでは、脈波振幅が所定値As9以上となった時点Ds9を症例判定区間の開始点とする。症例判定区間については、開始点のみを定めてもよい。このとき、例えば、血圧測定の終了時点Tpを症例判定区間の終了点と定めることもできる。また、カフ圧が、脈波振幅が所定値As9
以上となるときの圧力Ps9よりも低く、かつ脈波振幅が所定値Ae9以下となる時点De9を症例判定区間の終了点としてもよい。
このように症例判定区間を決定することにより、安定した心電測定が可能となる。
【0044】
<実施例10>
以下に、実施例10について説明する。症例判定区間の決定方法を除いて実施例1と同様であるため、生体情報測定装置の構成等については説明を省略する。
【0045】
図11は、血圧測定と同時に心電測定を行う場合の血圧測定及び心電測定の進捗とカフ圧及び脈波振幅の時間変化を示す図である。
ここでは、脈波振幅が所定値As10以上となりかつ所定値As10以上となる脈波振幅が連続した時点Ds10を症例判定区間の開始点とする。症例判定区間については、開始点のみを定めてもよい。このとき、例えば、血圧測定の終了時点Tpを症例判定区間の終了点と定めることもできる。また、カフ圧が、脈波振幅が所定値As10
以上となりかつ所定値As10以上となる脈波振幅が連続した時点Ds10の圧力Ps10よりも低く、かつ脈波振幅が所定の脈波振幅Ae10以下となりかつ所定値Ae10
以下となる脈波振幅が連続した時点De10を症例判定区間の終了点としてもよい。
このように症例判定区間を決定することにより、安定した心電測定が可能となる。
【0046】
<実施例11>
以下に、実施例11について説明する。症例判定区間の決定方法を除いて実施例1と同様であるため、生体情報測定装置の構成等については説明を省略する。
【0047】
図12は、血圧測定と同時に心電測定を行う場合の血圧測定及び心電測定の進捗とカフ圧の時間変化を示す図である。
ここでは、血圧測定において最高血圧Sp
11と最低血圧Dp
11がそれぞれ検出され
た時点を含む区間、すなわち最高血圧Sp
11検出時TS
11以前の時点Ds
11を開始点とし、最低血圧Dp10検出時TD
11以後の時点De
11を終了点とする区間を症例判定区間と決定する。
このように症例判定区間を決定することにより、安定した心電測定が可能となる。
【0048】
<実施例12>
以下に、実施例12について説明する。症例判定区間の決定方法を除いて実施例1と同様であるため、生体情報測定装置の構成等については説明を省略する。
【0049】
図13は、血圧測定と同時に心電測定を行う場合の血圧測定及び心電測定の進捗とカフ圧及び脈波振幅の時間変化を示す図である。
ここでは、脈波振幅の特定の特徴量を起点として、前後の所定時間又は圧力を症例判定区間として決定する。脈波振幅の特定の特徴量としては、種々の特徴量を選択することができるが、
図13に示す例では、最大振幅を特徴量としている。脈波振幅が最大となる時点T12を起点とし、ここから時間Tb12だけ遡った時点Ds12を症例判定区間の開始点とし、時点T12から時間Ta12だけ経過した時点De12を症例判定区間の終了点としている。脈波振幅が最大となる時点T12を起点とし、時点T12におけるカフ圧よりもカフ圧が所定圧力だけ
高い値となる時点を症例判定区間の開始点とし、時点T12におけるカフ圧よりもカフ圧が所定圧力だけ
低い値となる時点を症例判定区間の終了点としてもよい。
このように症例判定区間を決定することにより、安定した心電測定が可能となる。
【符号の説明】
【0050】
100・・・生体情報測定装置
111,112・・・電極
113・・・心電測定回路
121・・・カフ
122・・・圧力センサ
123・・・加圧ポンプ
124・・・駆動回路
125・・・排気弁
131・・・心電制御部
132・・・記憶部
133・・・症例判定区間決定部
134・・・血圧測定制御部
135・・・脈波振幅演算部
136・・・血圧演算部