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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】反応が鋭敏な高圧直流磁気保持リレー
(51)【国際特許分類】
   H01H 50/70 20060101AFI20240814BHJP
【FI】
H01H50/70
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023534903
(86)(22)【出願日】2021-12-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-15
(86)【国際出願番号】 CN2021143729
(87)【国際公開番号】W WO2022151999
(87)【国際公開日】2022-07-21
【審査請求日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】202120118283.5
(32)【優先日】2021-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518215954
【氏名又は名称】シァメン ホンファ エレクトリック パワー コントロールズ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Xiamen Hongfa Electric Power Controls Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.93 Yinong Road, Haicang District, Xiamen, Fujian 361027,China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,シュミン
(72)【発明者】
【氏名】ダイ,ウェングアン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ソンシェン
(72)【発明者】
【氏名】フアン,ユクァン
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-079108(JP,A)
【文献】特開2005-056690(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 50/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応が鋭敏な高圧直流磁気保持リレーであって、
固定接点引出端、可動接触子、プッシュロッド部品及び直動式磁気保持磁気回路構造を含み、
二つの固定接点引出端の底端は、可動接触子の両端とそれぞれ協働して、可動接点と固定接点の開閉を実現し、可動接触子は、メインばねによってプッシュロッド部品のヘッド部に取り付けられ、前記直動式磁気保持磁気回路構造は、可動鉄心、コイル、固定鉄心、ヨーク板、ヨーク筒及び保持磁石を含み、前記プッシュロッド部品の底部は、前記可動鉄心に固定的に接続され、前記ヨーク板は、プッシュロッド部品のヘッド部の下に位置し、前記ヨーク筒は、前記ヨーク板の下方に設けられ、前記コイルは、前記ヨーク筒内に設けられ、前記コイルは、鉛直方向に設けられた鉄心ホールを有し、前記固定鉄心は、前記鉄心ホール内に設けられ且つ前記鉄心ホールの底端に位置し、前記可動鉄心は、前記鉄心ホール内に設けられ且つ前記ヨーク板と前記固定鉄心との間に位置し、前記保持磁石は、前記ヨーク板と前記コイルとの間に取り付けられ、且つ前記保持磁石の位置は、鉛直方向において前記可動鉄心の位置に対応し、
前記可動鉄心と前記固定鉄心との間には、第一ばねが設けられ、前記第一ばねは、リレーの快速作動を実現するように配置され、前記可動鉄心と前記ヨーク板との間には、第二ばねが設けられ、前記第二ばねは、リレーの快速オフを実現するように配置される、反応が鋭敏な高圧直流磁気保持リレー。
【請求項2】
前記第一ばねは、前記可動鉄心と前記固定鉄心との間に作用し、且つ可動接点と固定接点が分離される場合、前記可動鉄心と前記固定鉄心との間に予め設定される第一隙間が存在するようにして、前記可動鉄心及び前記固定鉄心を含む磁気回路において第一磁気浮上空隙を形成する、請求項1に記載の反応が鋭敏な高圧直流磁気保持リレー。
【請求項3】
前記可動鉄心の下端には、上向きに凹んだ第一下部溝が設けられ、前記固定鉄心の上端には、下向きに凹んだ第一上部溝が設けられ、前記第一ばねは圧縮ばねであり、前記第一ばねの上端及び下端は、前記可動鉄心の前記第一下部溝及び前記固定鉄心の前記第一上部溝にそれぞれ配置される、請求項2に記載の反応が鋭敏な高圧直流磁気保持リレー。
【請求項4】
前記第一ばねは、タワー形ばねであり、前記第一ばねの径方向のサイズは、上から下に向かって徐々に増大する、請求項3に記載の反応が鋭敏な高圧直流磁気保持リレー。
【請求項5】
前記コイルの内部には、フランジが設けられ、前記フランジは、前記鉄心ホールの孔壁の内側面から前記鉄心ホールの内部に突出し、前記固定鉄心の外周壁には、段差が設けられ、前記段差の段差面は可動鉄心に向け、且つ前記固定鉄心の段差は、前記コイルのフランジに配置されて、固定鉄心がコイルの鉄心ホール内に位置規制される、請求項1に記載の反応が鋭敏な高圧直流磁気保持リレー。
【請求項6】
前記第二ばねは、前記可動鉄心とヨーク板との間に作用し、且つ可動接点と固定接点が閉合される場合、前記可動鉄心とヨーク板との間に予め設定される第二隙間が存在するようにして、前記保持磁石によって形成される可動鉄心及びヨーク板を含む上部ループ回路において第二磁気浮上空隙を形成し、前記第二ばねの弾性力は、前記第一ばねの弾性力より小さい、請求項2に記載の反応が鋭敏な高圧直流磁気保持リレー。
【請求項7】
前記可動鉄心の上端には、下向きに凹んだ第二上部溝が設けられ、前記ヨーク板の下端には、上向きに凹んだ第二下部溝が設けられ、前記第二ばねは圧縮ばねであり、前記第二ばねの上端及び下端は、前記ヨーク板の前記第二下部溝及び前記可動鉄心の前記第二上部溝にそれぞれ配置される、請求項6に記載の反応が鋭敏な高圧直流磁気保持リレー。
【請求項8】
前記保持磁石は、鉛直方向に前記可動鉄心の上部に対応する位置に設けられる、請求項1に記載の反応が鋭敏な高圧直流磁気保持リレー。
【請求項9】
前記保持磁石は、鉛直方向に前記可動鉄心の中央部に対応する位置に設けられる、請求項1に記載の反応が鋭敏な高圧直流磁気保持リレー。
【請求項10】
前記保持磁石は、鉛直方向に前記可動鉄心の下部に対応する位置に設けられる、請求項1に記載の反応が鋭敏な高圧直流磁気保持リレー。
【請求項11】
前記プッシュロッド部品はプッシュロッドを含み、前記プッシュロッドはヘッド部を有し、前記プッシュロッドは、前記ヘッド部から下向きに前記ヨーク板を貫通して、ヨーク板の下方の可動鉄心に固定的に接続される、請求項1に記載の反応が鋭敏な高圧直流磁気保持リレー。
【請求項12】
前記プッシュロッドと前記可動鉄心との間は、ねじ接続によって固定されまたはレーザ溶接によって固定される、請求項11に記載の反応が鋭敏な高圧直流磁気保持リレー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はリレー技術分野に関し、特に反応が鋭敏な高圧直流磁気保持リレーに関する。
【背景技術】
【0002】
リレーは電子制御装置の一種で、制御システム(入力回路とも呼ばれる)及び被制御システム(出力回路とも呼ばれる)を有し、一般的に自動制御回路に適用され、それは実際には小さな電流で大きな電流を制御する「自動スイッチ」である。したがって、回路において自動調整、安全保護、変換回路等の作用を果たす。磁気保持リレーはリレーの一種であり、自動スイッチでもあり、他の電磁リレーと同様に、回路に対して自動オン及びオフ作用を果たすが、異なるのは、磁気保持リレーの常閉または常開状態は、完全に永久磁石の作用に依存し、その開閉状態の切り替えは、一定幅のパルス電気信号によってトリガされて行われることである。
【0003】
関連技術の高圧直流磁気保持リレーは、一般的に二つの固定接点引出端(即ち負荷端)、一つの可動接触子、一つのプッシュロッド部品及び直動式磁気保持磁気回路構造を含み、プッシュロッド部品の頂部にメインばねを介して可動接触子が取り付けられ、プッシュロッド部品の底部に直動式磁気保持磁気回路構造の可動鉄心が接続され、直動式磁気保持磁気回路構造は可動鉄心以外に、さらに固定鉄心、コイル、ヨーク筒、ヨーク板及び保持磁石を含み、可動鉄心及び固定鉄心はコイルの鉄心ホール内にそれぞれ嵌合され、且つ可動鉄心は上にあり、固定鉄心は下にあり、ヨーク筒はコイルの底面及び側面にカバーされ、ヨーク板はコイルの上に取り付けられ且つヨーク筒の側面に接触し、二つの保持磁石はそれぞれコイルの巻線ウィンドウに対応する上方とヨーク板の下方との間に取り付けられる。このような構造の高圧直流磁気保持リレーは、リレーにおける保持磁石によって製品のオフ状態またはオン状態において双方向の磁場回路を形成し、磁場回路は可動鉄心に対して保持力の作用を生成し、さらに製品のオフ状態またはオン状態の保持を実現する。リレーは保持磁石の磁場により生成される駆動力を利用して接点をオフ状態またはオン状態に保持することを実現するため、これはリレーのオン及びオフの感度に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、関連技術の欠点を解決し、構造を改善することにより、オン及びオフの過程においていずれも快速作動を実現することができ、反応が鋭敏であり、快速作動、快速オフの効果を有する、反応が鋭敏な高圧直流磁気保持リレーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、反応が鋭敏な高圧直流磁気保持リレーを提供し、固定接点引出端、可動接触子、プッシュロッド部品及び直動式磁気保持磁気回路構造を含み、二つの固定接点引出端の底端は、可動接触子の両端とそれぞれ協働して、可動接点と固定接点の開閉を実現し、可動接触子は、メインばねによってプッシュロッド部品のヘッド部に取り付けられ、前記直動式磁気保持磁気回路構造は、可動鉄心、コイル、固定鉄心、ヨーク板、ヨーク筒及び保持磁石を含み、前記プッシュロッド部品の底部は、前記可動鉄心に固定的に接続され、前記ヨーク板は、プッシュロッド部品のヘッド部の下に位置し、前記ヨーク筒は、前記ヨーク板の下方に設けられ、前記コイルは、前記ヨーク筒内に設けられ、前記コイルは、鉛直方向に設けられた鉄心ホールを有し、前記固定鉄心は、前記鉄心ホール内に設けられ且つ前記鉄心ホールの底端に位置し、前記可動鉄心は、前記鉄心ホール内に設けられ且つ前記ヨーク板と前記固定鉄心との間に位置し、前記保持磁石は、前記ヨーク板と前記コイルとの間に取り付けられ、且つ前記保持磁石の位置は、鉛直方向において前記可動鉄心の位置に対応し、前記可動鉄心と前記固定鉄心との間には、第一ばねが設けられ、前記第一ばねは、リレーの快速作動を実現する第一ばねとして配置され、前記可動鉄心とヨーク板との間には、第二ばねが設けられ、前記第二ばねは、リレーの快速オフを実現する第二ばねとして配置される。
【0006】
本開示の例示的な実施形態によれば、前記第一ばねは、前記可動鉄心と前記固定鉄心との間に作用し、且つ可動接点と固定接点が分離される場合、前記可動鉄心と前記固定鉄心との間に予め設定される第一隙間が存在するようにして、前記可動鉄心及び前記固定鉄心を含む磁気回路において第一磁気浮上空隙を形成する。
【0007】
本開示の例示的な実施形態によれば、前記可動鉄心の下端には、上向きに凹んだ第一下部溝が設けられ、前記固定鉄心の上端には、下向きに凹んだ第一上部溝が設けられ、前記第一ばねは圧縮ばねであり、前記第一ばねの上端及び下端は、前記可動鉄心の前記第一下部溝及び前記固定鉄心の前記第一上部溝にそれぞれ配置される。
【0008】
本開示の例示的な実施形態によれば、前記第一ばねは、タワー形ばねであり、前記第一ばねの径方向のサイズは、上から下に向かって徐々に増大する。
【0009】
本開示の例示的な実施形態によれば、前記コイルの内部には、フランジが設けられ、前記フランジは、前記鉄心ホールの孔壁の内側面から前記鉄心ホールの内部に突出し、前記固定鉄心の外周壁には、段差が設けられ、前記段差の段差面は可動鉄心に向け、且つ前記固定鉄心の段差は、前記コイルのフランジに配置されて、固定鉄心がコイルの鉄心ホール内に位置規制される。
【0010】
本開示の例示的な実施形態によれば、前記第二ばねは、前記可動鉄心とヨーク板との間に作用し、且つ可動接点と固定接点が閉合される場合、前記可動鉄心とヨーク板との間に予め設定される第二隙間が存在するようにして、可動鉄心及びヨーク板を含む磁気回路において第二磁気浮上空隙を形成し、前記第二ばねの弾性力は、前記第一ばねの弾性力より小さい。
【0011】
本開示の例示的な実施形態によれば、前記可動鉄心の上端には、下向きに凹んだ第二上部溝が設けられ、前記ヨーク板の下端には、上向きに凹んだ第二下部溝が設けられ、前記第二ばねは圧縮ばねであり、前記第二ばねの上端及び下端は、前記ヨーク板の前記第二下部溝及び前記可動鉄心の前記第二上部溝内にそれぞれ配置される。
【0012】
本開示の例示的な実施形態によれば、前記保持磁石は、鉛直方向に前記可動鉄心の上部に対応する位置に設けられる。
【0013】
本開示の例示的な実施形態によれば、前記保持磁石は、鉛直方向に前記可動鉄心の中央部に対応する位置に設けられる。
【0014】
本開示の例示的な実施形態によれば、前記保持磁石は、鉛直方向に前記可動鉄心の下部に対応する位置に設けられる。
【0015】
本開示の例示的な実施形態によれば、前記プッシュロッド部品はプッシュロッドを含み、前記プッシュロッドはヘッド部を有し、前記プッシュロッドは、前記ヘッド部から下向きに前記ヨーク板を貫通して、ヨーク板の下方の可動鉄心に固定的に接続される。
【0016】
本開示の例示的な実施形態によれば、前記プッシュロッドと前記可動鉄心との間は、ねじ接続によって固定されまたはレーザ溶接によって固定される。
【0017】
関連技術に比べて、本開示の有益な効果は以下の通りである。
【0018】
本開示は、可動鉄心と固定鉄心との間にリレーの快速作動を実現するための第一ばねが設けられ、可動鉄心とヨーク板との間にリレーの快速オフを実現するための第二ばねが設けられる。本開示のこのような保持リレー構造は、可動鉄心と固定鉄心との間の第一ばねを利用し、該第一ばねは、可動接触子と固定接点引出端が分離される場合、可動鉄心と固定鉄心の対向する磁極断面との間に予め設定される隙間が存在するようにして、可動鉄心及び固定鉄心を含む下部ループ回路において第一磁気浮上空隙を形成し、さらに製品の快速作動を実現し、製品の快速作動を確保し、リレーのオフ保持力が製品の耐振動衝撃性を満たす前提でできるだけ小さくなるようにするとともに、可動鉄心が固定鉄心に接触する時にノイズを減少させる。可動鉄心とヨーク板との間の第二ばねを利用し、可動接触子と固定接点引出端とが閉合される場合、可動鉄心とヨーク板との間に予め設定される隙間が存在するようにして、可動鉄心及びヨーク板を含む上部ループ回路において第二磁気浮上空隙を形成し、製品がオフされる時のばね力値はメインばね、第一ばね及び第二ばねの共同作用の力値であり、製品の快速オフを実現する。本開示は、二重ばね構造を用いて物理的接触磁気遮断を行い、製品構造が安定し、同時に上下回路が磁気浮上空隙を形成し、作動電圧、作動時間、解除電圧及び解除時間を最適化することができ、製品反応がより鋭敏になることを実現する。
【0019】
以下では図面及び実施例を参照しながら本開示を更に詳細に説明する。しかし本開示の反応が鋭敏な高圧直流磁気保持リレーは実施例に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本開示の実施例の構造概略図(2つの固定接点引出端の接続線方向に沿って切断して示す)である。
図2】本開示の実施例の立体構造分解概略図である。
図3】本開示の実施例のリレーのオフ状態の磁場回路及び発生した力値状態の概略図である。
図4】本開示の実施例のリレーが順方向励磁された場合、接点のオン過程の状態の概略図である。
図5】本開示の実施例のリレーのオン状態の磁場回路及び発生した力値状態の概略図である。
図6】本開示の実施例のリレーが逆方向励磁された場合、接点のオフ過程の状態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1から図6に示すとおり、本開示の反応が鋭敏な高圧直流磁気保持リレーは、固定接点引出端1、可動接触子2、プッシュロッド部品3及び直動式磁気保持磁気回路構造5を含む。二つの固定接点引出端1の底端11(固定接点とする)は、可動接触子2の両端21(可動接点とする)とそれぞれ協働して、可動接点と固定接点の開閉を実現する。可動接触子2は、メインばね41によってプッシュロッド部品3のヘッド部に取り付けられる。前記直動式磁気保持磁気回路構造5は、可動鉄心51、コイル52、固定鉄心53、ヨーク板54、ヨーク筒55及び保持磁石56(永久磁石)を含む。プッシュロッド部品3の底部は、可動鉄心51に固定的に接続される。コイル52は、ボビン521及びエナメル線522を含む。前記ヨーク板54は、プッシュロッド部品3のヘッド部31の下に位置する。前記ヨーク筒55は、前記ヨーク板54の下方に設けられ、前記コイル52は、前記ヨーク筒55内に設けられ、前記コイル52のボビン521の内部には、鉛直方向に設けられた鉄心ホール523を有し、前記固定鉄心53は、前記コイル52の鉄心ホール523内に固定的に設けられ、且つ鉄心ホール523の底端に位置し、前記可動鉄心51は、前記鉄心ホール523内に設けられ且つヨーク板54と固定鉄心53との間に位置する。前記保持磁石56は、ヨーク板54とコイル52との間に取り付けられ、且つその位置は鉛直方向に可動鉄心51の位置に対応する。前記可動鉄心51と固定鉄心53との間には、第一ばね42が設けられ、第一ばね42は、リレーの迅速なオンを実現するように配置され、即ち固定接点引出端1と可動接触子2との迅速なオンを実現し、前記可動鉄心51とヨーク板54との間には、第二ばね43が設けられ、第二ばね43は、リレーの快速オフを実現するように配置され、即ち固定接点引出端1と可動接触子2との迅速なオフを実現する。
【0022】
なお、図3図6に示すように、本開示の実施例の保持磁石56のN極は可動鉄心51側に向き、図3に示すように、保持磁石56自体が磁性を有し、且つそれ自体の磁気回路はN極から出発し、上又は下からその外部を回ってS極に戻り、その磁気回路は、可動鉄心51、固定鉄心53及びヨーク筒55を磁化し、図3において可動鉄心51に4つの「N」が表示されており、磁化されていることを示している。したがって、図3に示すように、保持磁石56の磁気により、下部ループ回路Lが形成され、該下部ループ回路は、保持磁石56のN側から可動鉄心51、固定鉄心53およびヨーク筒55を経てS側に戻る。同時に、上部ループ回路Lが形成され、該上部ループ回路Lは、保持磁石56のN側から可動鉄心51、ヨーク板54およびヨーク筒55を経てS側に戻る。
【0023】
本実施例において、図3に示すように、第一ばね42は、前記可動鉄心51と前記固定鉄心53との間に作用し、且つ可動接点と固定接点が分離される場合、即ち固定接点引出端1の底端11と可動接触子2が分離される場合、前記可動鉄心51と前記固定鉄心53との間に予め設定される第一隙間が存在するようにして、可動鉄心51、固定鉄心53を含む下部ループ回路において第一磁気浮上空隙H1、即ち下部磁気浮上空隙を形成する。即ち、可動接点と固定接点が閉合状態にある場合、可動鉄心51の下端と固定鉄心53の上端との間に空隙を有し、可動接点と固定接点が分離される場合、可動鉄心51が下向きに移動し、該空隙が絶えず減少し、可動鉄心51が下向きに最低位置まで移動すると、可動鉄心51と固定鉄心53との間に依然として空隙が存在し、この時の空隙が、上記予め設定される第一隙間であり、即ち第一磁気浮上空隙H1である。該第一磁気浮上空隙H1を設置することにより、可動鉄心51が下向きに移動する時に固定鉄心53との間に衝突が発生することを回避し、ノイズを減少させることができ、しかも該第一磁気浮上空隙H1の鉛直方向でのサイズを大幅に減少し、その磁気抵抗を減少させ、リレーの快速作動を確保する。本実施例において、図1に示すように、前記可動鉄心51の下端には、上向きに凹んだ第一下部溝511が設けられ、前記固定鉄心53の上端には、下向きに凹んだ第一上部溝531が設けられ、前記第一ばね42は圧縮ばねであり、前記第一ばね42の上端、下端は、前記可動鉄心51の第一下部溝511及び前記固定鉄心53の第一上部溝531にそれぞれ配置される。
【0024】
本実施例において、図1に示すように、前記第一ばね42はタワー形ばねであり、第一ばね42の径方向のサイズは、上から下に向かって徐々に増大する。タワー形ばねの使用(K値を変化させ、Kはばねの剛性係数である)は、製品の作動時間をさらに短縮し、製品の迅速な作動を実現し、反応がより鋭敏であり、異なる顧客の製品作動時間に対する要求を満たすことができる。
【0025】
本実施例において、図1に示すように、前記コイル52のボビン521にはフランジ524が設けられ、該フランジ524は、鉄心ホール523の孔壁の内側面から内向きに突出し、即ち鉄心ホール523の中心に向かって突出し、前記固定鉄心53の外周壁には、段差532が設けられ、段差532の段差面は可動鉄心に向かい、且つ前記固定鉄心53の段差532は、前記コイル52のフランジ524に配置されて、固定鉄心53がコイル52の鉄心ホール523内に位置規制される。
【0026】
本実施例において、図5に示すように、第二ばね43は、前記可動鉄心51とヨーク板54との間に作用し、且つ可動接点と固定接点が閉合される場合、即ち固定接点引出端1の底端11と可動接触子2が閉合して接触する場合、前記可動鉄心51とヨーク板54との間に予め設定される第二隙間隙間が存在するようにして、可動鉄心51、ヨーク板54を含む上部ループ回路において第二磁気浮上空隙H2、即ち上部磁気浮上空隙を形成する。具体的には、可動接点と固定接点が分離状態にある場合、可動鉄心51の上端とヨーク板54の下端との間に空隙を有し、可動接点と固定接点が閉合傾向にある場合、可動鉄心51が上向きに移動し、該空隙が絶えず減少し、可動鉄心51が上向きに最高位置まで移動する場合、可動鉄心51とヨーク板54との間に依然として空隙が存在し、この時の空隙が、上記予め設定される第二隙間であり、即ち第二磁気浮上空隙H2である。該第二磁気浮上空隙H2を設置することにより、可動鉄心51が上向きに移動する時にヨーク板51との間に衝突が発生することを回避し、ノイズを減少させることができ、しかも該第二磁気浮上空隙H2の鉛直方向でのサイズが大幅に減少し、その磁気抵抗を減少させ、リレーの快速作動を確保する。可動接点と固定接点の閉合状態において、前記第二ばね43の弾性力は、前記第一ばね42の弾性力より小さい。
【0027】
本実施例において、図1に示すように、前記可動鉄心51の上端には、下向きに凹んだ第二上部溝512が設けられ、前記ヨーク板54の下端には、上向きに凹んだ第二下部溝541が設けられ、前記第二ばね43は圧縮ばねであり、前記第二ばね43の上端、下端は、前記ヨーク板54の第二下部溝541及び前記可動鉄心51の第二上部溝512にそれぞれ配置される。
【0028】
本実施例において、図1に示すように、前記保持磁石56は鉛直方向に可動鉄心51の上部に対応する位置に設けられる。具体的には、図1及び図2に示すように、保持磁石56は、ボビン521の頂部に取り付けられ、ヨーク板54とコイル52のエナメル線522との間に位置し、保持磁石56は二枚であり、それぞれ可動接触子2のその長さ方向に沿った両端の位置に対応して設けられ、即ち可動接触子2の二つの固定接点引出端1に接触可能な両端の下方に対応して設けられ、図2から図6に示すように、二枚の保持磁石56の対向する一面の極性は同じであり、本実施例において、二枚の保持磁石56の対向する一面の極性はN極である。保持磁石56を鉛直方向に可動鉄心51の上部に対応する位置に設けることにより、リレーのオン保持力をオフ保持力より大きくすることができる。ここで、リレーのオン保持力は、可動接点と固定接点が閉合状態にあるように保持する力であり、リレーのオフ保持力は、可動接点と固定接点が分離状態にあるように保持する力である。当然のことながら、必要に応じて、保持磁石56を可動鉄心51の中央部に対応する位置に設けてもよく、このような構造により、リレーのオン保持力とオフ保持力が近くなる。当然のことながら、必要に応じて、さらに保持磁石56を可動鉄心51の下部に対応する位置に設けてもよく、このような構造により、リレーのオン保持力がオフ保持力より小さくなる。このような保持磁石のオフセット設置は、製品の作動電圧及び復帰電圧の数値の差が大きいという問題を解決するだけでなく、同時に製品のオフ保持力及びオン保持力の力値の差が一定の範囲に安定することを保証する。さらに製品の作動時間及び解除時間が近く、製品がより安定することを実現する。磁石のオフセットの位置が異なると、製品の電気パラメータ、オフ及びオンの保持力値に対して、異なる影響を与え、したがって、本開示の磁気保持リレーは、顧客の製品の力値及び電気パラメータに対するニーズに応じて調整することができる。
【0029】
本実施例において、図1に示すように、前記プッシュロッド部品3はプッシュロッド32を含み、プッシュロッド32はヘッド部31を有し、前記プッシュロッド32は、そのヘッド部31から下向きに延伸してヨーク板54を貫通し、且つヨーク板54の下方の可動鉄心51に固定的に接続される。プッシュロッド32と可動鉄心51との間は、ねじ接続によって固定されてもよく、レーザ溶接によって固定されてもよい。ねじ接続を用い、組み立てが簡単で、効率が高いという特徴を有し、且つプッシュロッド32と可動鉄心51との二次固定は、可動鉄心51の側面に接着剤を注入しまたはヨーク板54に孔を開けて接着剤を注入する形式で実現されてもよい。上記レーザ溶接を用い、プッシュロッド32はライトロッドであってもよく、同心度をさらに確保し、製品の高い信頼性及び作動感度を実現することができる。
【0030】
図3に示すとおり、リレーのオフ状態において、保持磁石56が磁力を有することにより、可動鉄心51、第一磁気浮上空隙H1、固定鉄心53、ヨーク筒55を通過する下部ループ回路Lを形成し、図3における黒色充填を有する矢印に示すとおりであり、且つ可動鉄心51、空隙、ヨーク板54、ヨーク筒55を通過する上部ループ回路Lを形成し、図3における充填を有しない矢印に示すとおりである。下部ループ回路Lにおいて、可動鉄心51、固定鉄心53及びヨーク筒55は、鉛直方向に下向きの力Fを受け、上部ループ回路Lにおいて、可動鉄心51、ヨーク板54及びヨーク筒55は鉛直方向に上向きの力Fを受ける。下部ループ回路Lの第一磁気浮上空隙H1が非常に小さく、その磁気抵抗が非常に小さく、下部ループ回路Lが生じる力値Fは、上部ループ回路Lが生じる力値Fよりはるかに大きく、したがって鉛直方向での合力値F=F+F43-F-F42>0である。ここで、F43は、第二ばね43が生成する弾力を示し、方向は下向きであり、F42は、第一ばね42が生成する弾力を示し、方向は上向きであり、第一ばね42が生成する弾力F42は、下部ループ回路Lが生成する力Fよりはるかに小さく、合力は下向きであり、製品はオフ状態を維持する。
【0031】
図4に示すとおり、コイルに順方向励磁が印加されると、保持磁石56が磁力を有することにより、それは依然として鉄心51、固定鉄心53、ヨーク筒55を通過する下部ループ回路Lを形成し、図4における黒色充填を有する矢印に示すように、力値Fを生成する。且つ可動鉄心51、ヨーク板54、ヨーク筒55を通過する上部ループ回路を形成し、図4における充填を有しない矢印に示すように、力値Fを生成する。コイル52に順方向励磁が印加され、下部ループ回路Lと逆の磁場回路を生成し、コイル52にFと逆方向の力F52を生成させ、目的は下部ループ回路Lが生成するFを相殺することであり、特に、コイルが生成する力値F52は、Fを相殺する瞬間のみに効果を生成し、他の時間は上向きの力を提供しない。したがって鉛直方向での合力値はF=F+F42-F43>0であり、合力の方向は上向きであり、プッシュロッド部品3及び可動鉄心51が上向きに移動する。
【0032】
図5に示すように、リレーのオン状態において、保持磁石56が磁力を有することにより、可動鉄心51、空隙、固定鉄心53、ヨーク筒55を通過する下部ループ回路Lを形成し、図5における黒色充填を有する矢印に示すとおりであり、且つ可動鉄心51、第二磁気浮上空隙H2、ヨーク板54、ヨーク筒55を通過する上部ループ回路Lを形成し、図5における充填を有しない矢印に示すとおりである。上部ループ回路Lの第二磁気浮上空隙H2は空隙よりはるかに小さく、生じる力値Fは、下部ループ回路Lが生じる力値Fよりはるかに大きい。したがって鉛直方向での合力値F=F+F42-F43-F41-F>0であり、合力の方向は上向きであり、したがってオン状態を保持する。ここで、F41はメインばね41がプッシュロッド部品3に作用する力であり、可動鉄心51に作用する力でもあり、オン状態において、メインばね41は引張状態にあり、F41の方向は下向きである。
【0033】
図6に示すように、コイルに逆方向励磁が印加されると、保持磁石56が磁力を有することにより、それは依然として可動鉄心51、固定鉄心53、ヨーク筒55を通過する下部ループ回路Lを形成し、図6における黒色充填を有する矢印に示すように、力値Fを生成する。且つ可動鉄心51、ヨーク板54、ヨーク筒55を通過する上部ループ回路Lを形成し、図6における充填を有しない矢印に示すように、力値Fを生成する。コイルに逆方向励磁が印加され、上部磁場と逆の磁場回路を生成し、コイル52にFと逆方向の力F52を生成させ、目的は上部ループ回路Lが生成する力Fを相殺することであり、コイルが生成する力値F52は、Fを相殺する瞬間のみに存在し、他の時間は該力を生成せず、下部ループ回路Lが生成する下向きの力F+メインばね41が生成する下向きの力F41は、可動鉄心51に作用し、合力値F=F+F41+F43-F41であり、可動接点と固定接点が迅速にオフされ、即ち可動接触子2と固定接点引出端1は迅速にオフされる。
【0034】
上述した下部ループ回路L、上部ループ回路L、及びコイル52の通電時に発生する磁場回路は、いずれも磁気回路である。
【0035】
本開示の実施例の反応が鋭敏な高圧直流磁気保持リレーは、可動鉄心51と固定鉄心53との間にリレーの快速作動を実現するための第一ばね42が設けられ、可動鉄心51とヨーク板54との間にリレーの快速オフを実現するための第二ばね43が設けられる。本開示の保持リレーのこのような構造は、可動鉄心51と固定鉄心53との間の第一ばね42を利用し、該第一ばね42は、可動接触子2と固定接点引出端1が分離される場合、可動鉄心51と固定鉄心53の対向する磁極断面との間に予め設定される隙間が存在するようにして、可動鉄心51及び固定鉄心53を含む下部ループ回路Lにおいて第一磁気浮上空隙H1を形成し、さらに製品の快速作動を実現し、製品の快速作動を確保し、リレーのオフ保持力が製品の耐振動衝撃性能を満たす前提でできるだけ小さくなるようにするとともに、可動鉄心51が固定鉄心53に接触する時にノイズを減少させる。可動鉄心51とヨーク板54との間の第二ばね42を利用し、可動接触子2と固定接点引出端1が閉合される場合、可動鉄心51とヨーク板54との間に予め設定される隙間が存在するようにして、可動鉄心51及びヨーク板54を含む上部ループ回路Lにおいて第二磁気浮上空隙H2を形成し、製品がオフされる時のばね力値はメインばね41、第一ばね42及び第二ばね43の共同作用の力値であり、製品の快速オフを実現する。本開示は、二重ばね構造を用いて物理的接触磁気遮断を行い、製品構造が安定し、同時に上下回路が磁気浮上空隙を形成し、作動電圧、作動時間、解除電圧及び解除時間を最適化することができ、製品反応がより鋭敏になることを実現する。
【0036】
上記は本開示の好適な実施例に過ぎず、本開示をいかなる形式にも限定するものではない。本開示は好適な実施例を上記のように開示したが、本開示を限定するためのものではない。当業者であれば、本開示の技術的解決手段の範囲から逸脱することなく、上記開示された技術内容を利用して本開示の技術的解決手段に対して多くの可能な変更及び修飾を行うことができ、又は同等の等価実施例に修正することができる。したがって、本開示の技術的解決手段の内容から逸脱せず、本開示の技術の本質に基づいて以上の実施例に対して行われた任意の簡単な変更、同等の変化及び修飾は、いずれも本開示の技術的解決手段の保護範囲内に属すべきである。
【0037】
本出願は、2021年1月15日に中国に出願された出願番号が202120118283.5であり、発明の名称が「反応が鋭敏な高圧直流磁気保持リレー」である中国特許出願の優先権を主張するものであり、当該中国特許出願の開示全体をここに参照のために取り込む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6