(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】アンテナモジュール
(51)【国際特許分類】
H01Q 23/00 20060101AFI20240814BHJP
【FI】
H01Q23/00
(21)【出願番号】P 2023559499
(86)(22)【出願日】2022-10-14
(86)【国際出願番号】 JP2022038320
(87)【国際公開番号】W WO2023084991
(87)【国際公開日】2023-05-19
【審査請求日】2024-04-22
(31)【優先権主張番号】P 2021184483
(32)【優先日】2021-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中路 博行
(72)【発明者】
【氏名】前川 拓也
【審査官】佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-072363(JP,A)
【文献】国際公開第2017/098719(WO,A1)
【文献】特開平10-125830(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に並ぶ第1上主面及び第1下主面を有しており、かつ、電磁波又は磁界を送信及び/又は受信するアンテナを含んでいる第1回路基板と、
上下方向に並ぶ第2上主面及び第2下主面を有しており、かつ、前記第1回路基板より下に位置し、かつ、上下方向に見て、前記第1回路基板と重なっている第2回路基板と、
前記第1回路基板と前記第2回路基板とを電気的に接続している電気的接続部材と、
前記アンテナの駆動回路である半導体集積回路と、
前記半導体集積回路を覆っている第1金属ケースと、
前記第2上主面に実装されている第2金属ケースと、
前記第1金属ケースを前記第2金属ケースに固定している接着部材と、
を備
え、
前記第1金属ケース及び前記半導体集積回路は、前記第1下主面又は前記第2上主面の内の同じ主面に実装されて
いて、
前記第1回路基板と前記第2回路基板との間に、熱が伝導する熱伝導経路が存在
し、
前記熱伝導経路は、前記第1金属ケースを含む固体を経由する経路であ
り、
前記半導体集積回路は、前記第1下主面に実装されて
いて、
前記第1金属ケースは、前記第1下主面に実装されて
いる、
アンテナモジュール。
【請求項2】
上下方向に並ぶ第1上主面及び第1下主面を有しており、かつ、電磁波又は磁界を送信及び/又は受信するアンテナを含んでいる第1回路基板と、
上下方向に並ぶ第2上主面及び第2下主面を有しており、かつ、前記第1回路基板より下に位置し、かつ、上下方向に見て、前記第1回路基板と重なっている第2回路基板と、
前記第1回路基板と前記第2回路基板とを電気的に接続している電気的接続部材と、
前記アンテナの駆動回路である半導体集積回路と、
前記半導体集積回路を覆っている第1金属ケースと、
前記第1金属ケースを前記第1回路基板に固定する接着部材
と、
を備え、
前記第1金属ケース及び前記半導体集積回路は、前記第1下主面又は前記第2上主面の内の同じ主面に実装されていて、
前記第1回路基板と前記第2回路基板との間に、熱が伝導する熱伝導経路が存在し、
前記熱伝導経路は、前記第1金属ケースを含む固体を経由する経路であり、
前記半導体集積回路は、前記第2上主面に実装されて
いて、
前記第1金属ケースは、前記第2上主面に実装されて
いる、
アンテナモジュール。
【請求項3】
前記第1回路基板と前記第2回路基板とを連結する熱伝導部材を、
更に備
える、
請求項1
又は請求項
2に記載のアンテナモジュール。
【請求項4】
前記半導体集積回路を前記第1金属ケースに固定している熱伝導性接着部材を、
更に備
える、
請求項1
又は請求項
2に記載のアンテナモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナを備えるアンテナモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のアンテナモジュールに関する発明としては、例えば、特許文献1に記載の複合モジュールが知られている。この複合モジュールは、回路基板、アンテナ、無線通信用IC、金属ケース及び放熱用部材を備えている。アンテナ及び無線通信用ICは、回路基板に実装されている。金属ケースは、無線通信用ICを覆っている。放熱用部材は、無線通信用ICと金属ケースとに接している。これにより、無線通信用ICが発生した熱は、放熱用部材を介して金属ケースに伝導される。そして、無線通信用ICが発生した熱は、大気中へと放射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の複合モジュールにおいて、複合モジュールの小型化、通信特性の向上及び放熱性の向上が望まれている。
【0005】
そこで、本発明の目的は、アンテナモジュールの小型化、通信特性の向上及び放熱性の向上を図ることができるアンテナモジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係るアンテナモジュールは、
上下方向に並ぶ第1上主面及び第1下主面を有しており、かつ、電磁波又は磁界を送信及び/又は受信するアンテナを含んでいる第1回路基板と、
上下方向に並ぶ第2上主面及び第2下主面を有しており、かつ、前記第1回路基板より下に位置し、かつ、上下方向に見て、前記第1回路基板と重なっている第2回路基板と、
前記第1回路基板と前記第2回路基板とを電気的に接続している電気的接続部材と、
前記アンテナの駆動回路である半導体集積回路と、
前記半導体集積回路を覆っている第1金属ケースと、
を備えており、
前記第1金属ケース及び前記半導体集積回路は、前記第1下主面又は前記第2上主面の内の同じ主面に実装されており、
前記第1回路基板と前記第2回路基板との間に、熱が伝導する熱伝導経路が存在しており、
前記熱伝導経路は、前記第1金属ケースを含む固体を経由する経路である。
【0007】
本発明の一形態に係るアンテナ部品は、
第2回路基板を含むマザー部品に取り付けられるアンテナ部品であって、
上下方向に並ぶ第1上主面及び第1下主面を有しており、かつ、電磁波又は磁界を送信及び/又は受信するアンテナを含んでいる第1回路基板と、
前記第1回路基板と前記第2回路基板とを電気的に接続する電気的接続部材と、
前記第1下主面に実装されており、前記アンテナの駆動回路である半導体集積回路と、
前記第1下主面に実装されており、かつ、前記半導体集積回路を覆っている第1金属ケースと、
を備えている。
【0008】
以下に、本明細書における用語の定義について説明する。本明細書において、前後方向に延びる軸や部材は、必ずしも前後方向と平行である軸や部材だけを示すものではない。前後方向に延びる軸や部材とは、前後方向に対して±45°の範囲で傾斜している軸や部材のことである。同様に、上下方向に延びる軸や部材とは、上下方向に対して±45°の範囲で傾斜している軸や部材のことである。左右方向に延びる軸や部材とは、左右方向に対して±45°の範囲で傾斜している軸や部材のことである。
【0009】
以下に、本明細書における部材の位置関係について定義する。XないしZは、アンテナモジュールの部材又は部分である。本明細書において、前後方向に並ぶX及びYとは、以下の状態を示す。前後方向に垂直な方向にX及びYを見たときに、X及びYの両方が前後方向を示す任意の直線上に位置している状態である。本明細書において、上下方向に見たときに前後方向に並ぶX及びYとは、以下の状態を示す。上下方向にX及びYを見たときに、X及びYの両方が前後方向を示す任意の直線上に位置している。この場合、上下方向とは異なる左右方向からX及びYを見ると、X及びYのいずれか一方が前後方向を示す任意の直線上に位置していなくてもよい。なお、XとYとが接触していてもよい。XとYとが離れていてもよい。XとYとの間にZが存在していてもよい。この定義は、前後方向以外の方向にも適用される。
【0010】
本明細書において、XがYの上に位置しているとは、以下の状態を指す。Xの少なくとも一部は、Yの真上に位置している。従って、上下方向に見て、Xは、Yと重なっている。この定義は、上下方向以外の方向にも適用される。
【0011】
本明細書において、XがYより上に位置しているとは、Xの少なくとも一部がYの真上に位置している場合、及びXがYの真上に位置せずにXがYの斜め上に位置している場合を含む。この場合、上下方向に見て、Xは、Yと重なっていなくてもよい。斜め上とは、例えば、左上、右上である。この定義は、上下方向以外の方向にも適用される。
【0012】
本明細書において、特に断りのない場合には、Xの各部について以下のように定義する。Xの前部とは、Xの前半分を意味する。Xの後部とは、Xの後半分を意味する。Xの左部とは、Xの左半分を意味する。Xの右部とは、Xの右半分を意味する。Xの上部とは、Xの上半分を意味する。Xの下部とは、Xの下半分を意味する。Xの前端とは、Xの前方向の端を意味する。Xの後端とは、Xの後方向の端を意味する。Xの左端とは、Xの左方向の端を意味する。Xの右端とは、Xの右方向の端を意味する。Xの上端とは、Xの上方向の端を意味する。Xの下端とは、Xの下方向の端を意味する。Xの前端部とは、Xの前端及びその近傍を意味する。Xの後端部とは、Xの後端及びその近傍を意味する。Xの左端部とは、Xの左端及びその近傍を意味する。Xの右端部とは、Xの右端及びその近傍を意味する。Xの上端部とは、Xの上端及びその近傍を意味する。Xの下端部とは、Xの下端及びその近傍を意味する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、アンテナモジュールの小型化、通信特性の向上及び放熱性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、アンテナモジュール10の断面図である。
【
図4】
図4は、マザーボード部品60の上面図である。
【
図5】
図5は、アンテナモジュール10の実施例の断面図である。
【
図6】
図6は、アンテナモジュール10aの断面図である。
【
図7】
図7は、アンテナモジュール10bの断面図である。
【
図8】
図8は、アンテナモジュール10cの断面図である。
【
図9】
図9は、アンテナモジュール10dの断面図である。
【
図10】
図10は、アンテナモジュール10eの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施形態)
[アンテナモジュールの構造]
以下に、本発明の一実施形態に係るアンテナモジュール10の構造について図面を参照しながら説明する。
図1は、アンテナモジュール10の断面図である。
図1は、
図2のA-Aにおける断面図である。
図2は、アンテナ部品50の上面図である。
図3は、アンテナ部品50の下面図である。
図4は、マザーボード部品60の上面図である。
【0016】
本明細書において、第1回路基板12の第1上主面S1及び第1下主面S2が並ぶ方向を上下方向と定義する。また、上下方向に見て、第2回路基板14の長辺が延びる方向を左右方向と定義する。上下方向に見て、第2回路基板14の短辺が延びる方向を前後方向と定義する。上下方向、左右方向及び前後方向は、互いに直交している。なお、上下方向、左右方向及び前後方向は、説明のために定義した方向である。従って、上下方向、左右方向及び前後方向は、アンテナモジュール10の実使用時の上下方向、左右方向及び前後方向と一致していなくてもよい。
【0017】
アンテナモジュール10は、例えば、自動車のレーダー装置に用いられる。具体的には、アンテナモジュール10は、自車から自車の前に存在する車両まで距離を計測するレーダー装置や、自車の周囲の障害物を検知するレーダー装置等に用いられる。また、アンテナモジュール10は、自動車内にいる人間を検知するレーダー装置に用いられてもよい。すなわち、アンテナモジュール10は、自動車内に子供を置き去りにすることを防止するためのレーダー装置に用いられてもよい。アンテナモジュール10は、
図1に示すように、第1回路基板12、第2回路基板14、電気的接続部材16、半導体集積回路18、第1金属ケース20、第2金属ケース22、接着部材24及び電子部品26a,26bを備えている。
【0018】
第1回路基板12は、
図1に示すように、板状部材である。従って、第1回路基板12は、上下方向に並ぶ第1上主面S1及び第1下主面S2を有している。また、第1回路基板12は、
図2及び
図3に示すように、上下方向に見て、長方形状を有している。第1回路基板12は、第1回路基板本体12a及びアンテナ30を含んでいる。
【0019】
第1回路基板本体12aは、
図1に示すように、板状部材である。第1回路基板本体12aは、複数の絶縁体層が上下方向に積層された構造を有している。アンテナ30は、電磁波又は磁界を送信及び/又は受信する。本実施形態では、アンテナ30は、電磁波を送信及び受信するパッチアンテナである。従って、アンテナ30は、複数のアンテナ導体32及びグランド導体34を含んでいる。複数のアンテナ導体32のそれぞれは、
図2に示すように、上下方向に見て、長方形状を有している。複数のアンテナ導体32は、上下方向に見て、行列状に配置されている。グランド導体34は、上下方向に見て、長方形状を有している。グランド導体34は、上下方向に見て、複数のアンテナ導体32と重なっている。なお、第1回路基板12は、アンテナ30以外にも電気回路を含んでいる。しかしながら、アンテナ30以外の電気回路は、本発明の本質部分ではないので説明を省略する。
【0020】
第2回路基板14は、
図1に示すように、板状部材である。従って、第2回路基板14は、上下方向に並ぶ第2上主面S11及び第2下主面S12を有している。また、第2回路基板14は、
図4に示すように、上下方向に見て、長方形状を有している。このような第2回路基板14は、
図1に示すように、第1回路基板12より下に位置している。そして、第2回路基板14は、上下方向に見て、第1回路基板12と重なっている。第1回路基板12は、上下方向に見て、第2回路基板14の外縁内に収まっている。
【0021】
電気的接続部材16は、
図1に示すように、第1回路基板12と第2回路基板14とを電気的に接続している。電気的接続部材16は、2個のコネクタを含むコネクタセットである。より詳細には、電気的接続部材16は、電気的接続部材16a,16bを含んでいる。電気的接続部材16a,16bのそれぞれは、コネクタである。電気的接続部材16aは、第1下主面S2に実装されている。電気的接続部材16bは、第2上主面S11に実装されている。電気的接続部材16aは、電気的接続部材16bと連結されている。
【0022】
半導体集積回路18は、
図1に示すように、第1下主面S2に実装されている。半導体集積回路18は、アンテナ30の駆動回路である。従って、半導体集積回路18は、送信用のデジタル信号をアナログ信号に変換して、アナログ信号をアンテナ30に出力する。また、半導体集積回路18は、アンテナ30が出力するアナログ信号をデジタル信号に変換して、デジタル信号を第1回路基板12、電気的接続部材16を介して第2回路基板14に出力する。
【0023】
第1金属ケース20は、
図1に示すように、半導体集積回路18を覆っている。すなわち、半導体集積回路18の前後、左右及び下には第1金属ケース20が存在している。より詳細には、第1金属ケース20は、直方体形状を有している。ただし、第1金属ケース20の上面は存在しない。そして、第1金属ケース20は、第1下主面S2に実装されている。具体的には、第1金属ケース20は、第1下主面S2に設けられているグランド電極(図示せず)に半田により固定されている。これにより、第1金属ケース20は、グランド電位に接続されている。以上のように、第1金属ケース20及び半導体集積回路18は、第1下主面S2又は第2上主面S11の内の同じ主面に実装されている。
【0024】
また、第1金属ケース20の下面には、
図3に示すように、開口Op1が設けられている。これにより、電気的接続部材16aは、開口Op1を介して第1金属ケース20から露出している。以上のような第1金属ケース20の材料は、例えば、洋白(C7521)、銅、錫、ニッケル、真鍮、アルミニウム、ステンレス等である。
【0025】
電子部品26a,26bは、
図1に示すように、第2上主面S11に実装されている。電子部品26a,26bは、チップ型電子部品や半導体集積回路等である。
【0026】
第2金属ケース22は、
図1に示すように、電子部品26a,26bを覆っている。すなわち、電子部品26a,26bの前後、左右及び上には第2金属ケース22が存在している。より詳細には、第2金属ケース22は、直方体形状を有している。ただし、第2金属ケース22の下面は存在しない。そして、第2金属ケース22は、第2上主面S11に実装されている。具体的には、第2金属ケース22は、第2上主面S11に設けられているグランド電極(図示せず)に半田により固定されている。これにより、第2金属ケース22は、グランド電位に接続されている。
【0027】
また、第2金属ケース22の上面には、
図4に示すように、開口Op2が設けられている。これにより、電気的接続部材16bは、開口Op2を介して第2金属ケース22から露出している。
【0028】
第2金属ケース22は、上下方向に見て、第1金属ケース20と重なっている。これにより、第2金属ケース22の上面は、第1金属ケース20の下面と向かい合っている。ただし、第2金属ケース22の上面と第1金属ケース20の下面との間には、後述する接着部材24が存在している。第2金属ケース22は、上下方向に見て、第1金属ケース20の外縁内に収まっている。以上のような第2金属ケース22の材料は、例えば、洋白(C7521)、銅、錫、ニッケル、真鍮、アルミニウム、ステンレス等である。
【0029】
接着部材24は、第1金属ケース20を第2金属ケース22に固定している。具体的には、接着部材24は、第2金属ケース22の上主面を第1金属ケース20の下主面に固定している。このような接着部材24は、接着剤、熱伝導性接着シート、半田である。接着剤は、例えば、CEMEDINE社製のRH96Lである。熱伝導性接着剤は、例えば、3M社製のハイパーソフト放熱シート5580H-0.5である。このように、熱伝導性接着剤である接着部材24が第1金属ケース20を第2金属ケース22に固定しているので、半導体集積回路18が発生した熱は、第1金属ケース20、接着部材24及び第2金属ケース22を介して第2回路基板14へと伝導する。すなわち、第1回路基板12と第2回路基板14との間に、熱が伝導する熱伝導経路が存在している。熱伝導経路は、第1金属ケース20を含む固体を経由する経路である。換言すれば、アンテナモジュール10では、第1金属ケース20から第2回路基板14へと熱が伝導する熱伝導経路が存在する。そして、この熱伝導経路は、固体を含んでおり、液体及び気体を含んでいない。本実施形態では、固体は、第1金属ケース20、接着部材24及び第2金属ケース22である。また、固体は、電気的接続部材16を含まない。なお、本明細書において、「熱が伝導する」とは、熱が物体内において高温から低温へと移動する現象を意味する。従って、伝導は、輻射及び対流とは異なる。ただし、半導体集積回路18が発生した熱は、伝導に加えて、輻射や対流により第2回路基板14に伝わってもよい。
【0030】
なお、アンテナ部品50がマザーボード部品60に取り付けられることにより、アンテナモジュール10が組み立てられる。ここで、アンテナ部品50は、第1回路基板12、電気的接続部材16a、半導体集積回路18及び第1金属ケース20を備えている。マザーボード部品60は、第2回路基板14,電気的接続部材16b、第2金属ケース22及び電子部品26a,26bを備えている。
【0031】
[効果]
アンテナモジュール10によれば、アンテナモジュール10の小型化を図ることができる。より詳細には、第1金属ケース20は、第1下主面S2に実装されている。これにより、第1下主面S2における第1金属ケース20に囲まれた領域に、半導体集積回路18や電子部品等を実装できるようになる。すなわち、第1回路基板12と第2回路基板14との間に半導体集積回路18や電子部品等を配置できる。よって、アンテナモジュール10が小型化されても、半導体集積回路18や電子部品等を配置するためのスペースを確保しやすい。以上より、アンテナモジュール10によれば、アンテナモジュール10の小型化を図ることができる。
【0032】
アンテナモジュール10によれば、以下の理由によっても、アンテナモジュール10の小型化を図ることができる。より詳細には、第2金属ケース22は、第2上主面S11に実装されている。これにより、第2上主面S11における第2金属ケース22に囲まれた領域に、電子部品26a,26b等を実装できるようになる。すなわち、第1回路基板12と第2回路基板14との間に電子部品26a,26b等を配置できる。換言すれば、アンテナモジュール10が小型化されても、電子部品26a,26b等を配置するためのスペースを確保しやすい。以上より、アンテナモジュール10によれば、アンテナモジュール10の小型化を図ることができる。
【0033】
アンテナモジュール10によれば、通信特性が向上する。より詳細には、第1回路基板12は、アンテナ30を含んでいる。そして、第1金属ケース20は、第1回路基板12の第1下主面S2に実装されている。また、第2回路基板14は、第1回路基板12より下に位置している。よって、第1金属ケース20及び第2回路基板14がアンテナ30より上に存在しない。そのため、第1金属ケース20及び第2回路基板14は、アンテナ30の電磁波の送受信を妨げない。従って、アンテナ30が指向性を有する場合には、アンテナ30の電磁波の送受信方向の自由度が高くなる。また、アンテナ30が指向性を有さない場合には、アンテナ30が電磁波を送受信できる角度が広くなる。以上より、アンテナモジュール10によれば、通信特性が向上する。
【0034】
アンテナモジュール10によれば、放熱性が向上する。より詳細には、半導体集積回路18が発生した熱は、第2回路基板14へと効率よく伝導すればよい。そこで、半導体集積回路18が発生した熱は、第1回路基板12、電気的接続部材16を介して第2回路基板14へと伝導する。また、アンテナモジュール10では、この熱伝導経路に加えて、第1回路基板12と第2回路基板14との間に、熱が伝導する熱伝導経路が存在している。熱伝導経路は、第1金属ケース20を含む固体を経由する経路である。これにより、半導体集積回路18が発生した熱は、第1金属ケース20、接着部材24及び第2金属ケース22を介して第2回路基板14へと伝導する。以上のように、アンテナモジュール10では、複数の熱伝導経路が存在するので、放熱性が向上する。
【0035】
以下に、アンテナモジュール10の実施例について簡単に説明する。
図5は、アンテナモジュール10の実施例の断面図である。
【0036】
アンテナモジュール10は、コネクタ80を更に備えている。コネクタ80は、第2回路基板14の上主面に実装されている。コネクタ80は、アンテナモジュール10と他の回路基板との接続に用いられる。
【0037】
(第1変形例)
以下に第1変形例に係るアンテナモジュール10aについて図面を参照しながら説明する。
図6は、アンテナモジュール10aの断面図である。
【0038】
アンテナモジュール10aは、電子部品26a,26bの代わりに半導体集積回路19を備えている点においてアンテナモジュール10と相違する。半導体集積回路19は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等である。半導体集積回路19は、例えば、半導体集積回路18の動作を制御する。また、半導体集積回路19は、アンテナモジュール10aが接続されている装置との通信装置であってもよい。アンテナモジュール10aのその他の構造は、アンテナモジュール10と同じであるので説明を省略する。また、アンテナモジュール10aは、アンテナモジュール10と同じ作用効果を奏することができる。
【0039】
(第2変形例)
以下に第2変形例に係るアンテナモジュール10bについて図面を参照しながら説明する。
図7は、アンテナモジュール10bの断面図である。
【0040】
アンテナモジュール10bは、以下の点において、アンテナモジュール10と相違する。
・アンテナモジュール10bは、第2金属ケース22を備えていない。
・半導体集積回路18は、第2上主面S11に実装されている。
・第1金属ケース20は、第2上主面S11に実装されている。
・接着部材24は、第1金属ケース20を第1回路基板12に固定している。
【0041】
アンテナモジュール10bが以上の構造を有することにより、電気的接続部材16を経由せずに第1金属ケース20から第1回路基板12へと熱が伝導する熱伝導経路が存在する。アンテナモジュール10bのその他の構造は、アンテナモジュール10と同じであるので説明を省略する。アンテナモジュール10bは、アンテナモジュール10と同じ作用効果を奏することができる。
【0042】
また、アンテナモジュール10bによれば、放熱性が向上する。より詳細には、半導体集積回路18が発生した熱は、効率よく第1回路基板12へと伝導すればよい。そこで、半導体集積回路18が発生した熱は、第2回路基板14、電気的接続部材16を介して第1回路基板12へと伝導する。また、アンテナモジュール10bでは、この熱伝導経路に加えて、第1回路基板12と第2回路基板14との間に、熱が伝導する熱伝導経路が存在している。熱伝導経路は、第1金属ケース20を含む固体を経由する経路である。これにより、半導体集積回路18が発生した熱は、第1金属ケース20、接着部材24を介して第2回路基板14へと伝導する。以上のように、アンテナモジュール10bでは、複数の熱伝導経路が存在するので、放熱性が向上する。
【0043】
(第3変形例)
以下に第3変形例に係るアンテナモジュール10cについて図面を参照しながら説明する。
図8は、アンテナモジュール10cの断面図である。
【0044】
アンテナモジュール10cは、以下の点において、アンテナモジュール10と相違する。
・アンテナモジュール10bは、第2金属ケース22を備えていない。
・接着部材24は、第1金属ケース20を第2回路基板14に固定している。
【0045】
アンテナモジュール10cのその他の構造は、アンテナモジュール10と同じであるので説明を省略する。また、アンテナモジュール10cは、アンテナモジュール10と同じ作用効果を奏することができる。なお、アンテナモジュール10cは、アンテナモジュール10bより高い放熱性を有する。
【0046】
(第4変形例)
以下に第4変形例に係るアンテナモジュール10dについて図面を参照しながら説明する。
図9は、アンテナモジュール10dの断面図である。
【0047】
アンテナモジュール10dは、熱伝導部材40を更に備えている点においてアンテナモジュール10と相違する。熱伝導部材40は、上下方向に延びる金属部材である。熱伝導部材40は、第1回路基板12と第2回路基板14とを連結している。これにより、半導体集積回路18が発生した熱は、熱伝導部材40を介して第1回路基板12から第2回路基板14へと伝導される。アンテナモジュール10dのその他の構造は、アンテナモジュール10と同じであるので説明を省略する。また、アンテナモジュール10dは、アンテナモジュール10と同じ作用効果を奏することができる。
【0048】
(第5変形例)
以下に第5変形例に係るアンテナモジュール10eについて図面を参照しながら説明する。
図10は、アンテナモジュール10eの断面図である。
【0049】
アンテナモジュール10eは、熱伝導性接着部材70を更に備えている点においてアンテナモジュール10と相違する。より詳細には、熱伝導性接着部材70は、半導体集積回路18を第1金属ケース20に固定している。具体的には、熱伝導性接着部材70は、半導体集積回路18の下主面を第1金属ケース20の上主面に固定している。このような熱伝導性接着部材70は、接着剤、熱伝導性接着シート、半田である。接着剤は、例えば、CEMEDINE社製のRH96Lである。熱伝導性接着剤は、例えば、3M社製のハイパーソフト放熱シート5580H-0.5である。このように、熱伝導性接着剤である接着部材70が半導体集積回路18を第1金属ケース20に固定しているので、半導体集積回路18が発生した熱は、熱伝導性接着部材70、第1金属ケース20、接着部材24及び第2金属ケース22を介して第2回路基板14へと伝導する。アンテナモジュール10eのその他の構造は、アンテナモジュール10と同じであるので説明を省略する。アンテナモジュール10eは、アンテナモジュール10と同じ作用効果を奏することができる。
【0050】
(その他の実施形態)
本発明に係るアンテナモジュールは、アンテナモジュール10,10a~10eに限らず、その要旨の範囲内において変更可能である。なお、アンテナモジュール10,10a~10eの構成要件を任意に組み合わせてもよい。
【0051】
なお、電子部品26a,26bは、必須の構成要件ではない。
【0052】
なお、アンテナ30は、パッチアンテナに限らない。アンテナ30は、渦巻形状のコイルアンテナ、ダイポールアンテナ、モノポールアンテナであってもよい。また、アンテナ30は、第1回路基板12の内部に導体層により形成されていてもよいし、第1上主面S1に実装されることにより、第1回路基板12の一部を占めていてもよい。
【0053】
なお、アンテナモジュール10,10a~10eは、ECU(Electric Controll Unit)に電気的に接続されていてもよい。この場合、第2回路基板14には、ECUと通信するための通信回路である半導体集積回路(図示せず)が実装されていてもよい。
【0054】
なお、電気的接続部材16は、コネクタに限らない。電気的接続部材16は、例えば、フレキシブルプリント基板とコネクタとの組み合わせであってもよい。
【0055】
なお、アンテナモジュール10,10a~10eは、レーダー装置以外の装置に適用されてもよい。アンテナモジュール10,10a~10eは、通信装置に用いられてもよい。また、アンテナモジュール10,10a~10eは、ワイヤレス給電装置に用いられてもよい。
【0056】
なお、アンテナ30は、電磁波の受信のみを行ってもよいし、電磁波の送信のみを行ってもよいし、電磁波の送受信を行ってもよい。
【0057】
なお、アンテナ30は、磁界の受信のみを行ってもよいし、磁界の送信のみを行ってもよいし、磁界の送受信を行ってもよい。
【符号の説明】
【0058】
10,10a~10e:アンテナモジュール
12:第1回路基板
12a:第1回路基板本体
14:第2回路基板
16,16a,16b:電気的接続部材
18,19:半導体集積回路
20:第1金属ケース
22:第2金属ケース
24:接着部材
26a,26b:電子部品
30:アンテナ
32:アンテナ導体
34:グランド導体
40:熱伝導部材
50:アンテナ部品
60:マザーボード部品
70:熱伝導性接着剤
Op1,Op2:開口
S1:第1上主面
S11:第2上主面
S12:第2下主面
S2:第1下主面